JP2004276707A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両に対し略水平方向に延びる空気通路を有する空調ユニットを備え、空気通路内に吸熱用熱交換器と放熱用熱交換器とを空気流れ方向に順に配置し、吸熱用熱交換器通過後の空気全量に対する、放熱用熱交換器をバイパスまたは通過する空気の流量割合をエアミックスドアにより調整して所望の吹出空気温度を得るようにした車両用空調装置において、吸熱用熱交換器を、空気通路の延設方向に対し15〜30度の角度範囲内で傾斜配置するとともに、放熱用熱交換器も同じ方向に傾斜配置した車両用空調装置。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に関し、さらに詳しくは、空気通路を有する空調ユニットを小型化、とくに薄型化した、建設機械のキャビン内等への搭載に最適な車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両用空調装置、とくに吸熱用熱交換器と放熱用熱交換器を備えた空調ユニットの小型化が種々検討されている。たとえば、特許文献1には、通常の自動車用ユニットとして、縦型のユニットを形成し、その中に吸熱用熱交換器と放熱用熱交換器が傾斜されてコンパクトに配置された構造が開示されている。
【0003】
一方、建設機械用の空調ユニットは、そのキャビン内に室内ユニットとして配置されることが多いが、近年キャビンスペースの小型化に伴い、設置すべき室内ユニットとして、本来の空調機能を十分に満足させた上で、より小型化と低騒音化の要求が高まりつつある。とくに、キャビン内において、シート(座席)下のスペースを有効活用するために、シート下レイアウトの室内ユニットが要求されることが多いが、このような場合には、室内ユニットの小型化、とくに薄型化が要求される。また、建設機械用の空調ユニットにおいても、近年、乗員の労働環境改善、快適性向上の観点から、あるいは欧州における規制を背景に、騒音レベルの一層の低減要求が高まっている。
【0004】
このような要求が高まりつつある建設機械用の空調装置に関して、小型化をはかるために、前述した通常の自動車用ユニットを適用することも考えられるが、この自動車用ユニットは縦型ユニット形状であるため、薄型構造が要求される建設機械のキャビン内設置の場合への適用は、現実的には困難である。建設機械用に求められる薄型構造を達成するための空調ユニットにおいては、たとえば吸熱用熱交換器としてサーペンタインタイプの熱交換器を横置きに配置し、それによってユニット全体としての薄型化をはかる構造も知られている。しかし、このようにサーペンタインタイプの熱交換器を使用する場合、本来上下方向に配置すべきサーペンタインタイプの冷媒チューブが90度倒した形態で配置されるため、凝縮水の水切れ性の悪化やそれに起因する通気抵抗の増加、通気騒音の増大等が生じて本来の性能を発揮することができず、結果として熱交換器容積として大きなものを使用する必要が生じ、結局目的とする小型化、低騒音化を達成できないことが多い。
【0005】
一方、特許文献2には、建設機械用の空調装置の小型化をはかるために、吸熱用熱交換器を空気通路内で傾斜配置した構造が開示されている。しかし、この提案においては、放熱用熱交換器が吸熱用熱交換器とは90度異なる方向に傾斜配置されているため、放熱用熱交換器のフェイス面から空気が排出されにくいとともに、放熱用熱交換器下流側で良好にエアミックスされにくい構造となっており、結局空調装置の性能低下を招くこととなっている。
【0006】
【特許文献1】
国際公開第99/07568号パンフレット
【特許文献2】
特開2003−11655号公報(図1、図3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、上記のような実情に鑑み、空気通路内に吸熱用熱交換器と放熱用熱交換器を収納した空調ユニットを大幅に小型化、とくに薄型化でき、かつ要求される熱交換性能を十分に発揮できるとともに低騒音化も達成可能な、とくに建設機械用として最適な車両用空調装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用空調装置は、車両に対し略水平方向に延びる空気通路を有する空調ユニットを備え、前記空気通路内に吸熱用熱交換器と放熱用熱交換器とを空気流れ方向に順に配置し、前記吸熱用熱交換器通過後の空気全量に対する、前記放熱用熱交換器をバイパスまたは通過する空気の流量割合をエアミックスドアにより調整して所望の吹出空気温度を得るようにした車両用空調装置において、前記吸熱用熱交換器を、前記空気通路の延設方向に対し傾斜させて配置するとともに、前記放熱用熱交換器を、前記吸熱用熱交換器と同じ方向に傾斜させて配置したことを特徴とするものからなる。
【0009】
この車両用空調装置においては、上記吸熱用熱交換器は、上記空気通路の延設方向に対し15〜30度の角度範囲内で傾斜されて配置されていることが好ましい。傾斜角度が15度未満では、凝縮水の水切れ性が不十分となり、また、通気抵抗が大きくなりすぎるおそれがあり、30度を超えると、空調ユニットの薄型化の効果が薄れる。
【0010】
上記のように適切な範囲の傾斜角度とすることにより、吸熱用熱交換器部分で発生した凝縮水は吸熱用熱交換器を伝って良好に流下するので、本発明においては、望ましくは、少なくとも前記吸熱用熱交換器の底部側の空気通路内壁面上に、凝縮水を排水可能な排水案内溝が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、上記排水案内溝が、吸熱用熱交換器の底部側の空気通路内壁面上において空気通路幅方向両側に空気通路長手方向に沿って延びるように設けられていることが好ましく、その際、両排水案内溝に向かって円滑に排水されるように、両排水案内溝間の空気通路内壁面がその中央部が高くなるように空気通路内に張り出していることが好ましい。とくに、この高く形成された空気通路内壁面の中央部が空気通路幅方向両側の排水案内溝になだらかな傾斜面で繋がっていることが好ましい。
【0012】
また、吸熱用熱交換器の底部側の空気通路内壁面上に、吸熱用熱交換器の配設領域の前後端の位置に対応させて、つまり、吸熱用熱交換器の配設領域の直前、直後の位置において、空気通路内に張り出す凸部がそれぞれ形成されていることが好ましい。このようにしておくと、両凸部に適切に流下してきた凝縮水が溜められ、上述のような排水案内溝を設けておけば、溜まった水が適切に排出されるようになる。
【0013】
また、上記吸熱用熱交換器としては、扁平熱交換チューブ(たとえば、一対のプレートを重ね合わせて形成した扁平熱交換チューブ)とフィンとが交互に積層され、熱交換チューブ両端にそれぞれタンクが接続された積層型熱交換器を使用することが好ましい。このような積層型熱交換器を採用することにより、傾斜配置の場合にも十分な熱交換性能を保つことができ、かつ、傾斜配置により通気部の面積を十分に大きく確保して低通気抵抗、低騒音の達成が可能になる。
【0014】
さらに、本発明に係る車両用空調装置においては、上記空気通路の下流端に設けられる、車両の各部に設けられた温調空気吹出口へと通じる空気吹出口が、全て、車両に対し略水平方向に開口されている構造を採用することができる。これによって、車両の各部に設けられた温調空気吹出口へと温調空気を送るための各ダクトを、実質的に同じ水平位置内にて空調ユニットに接続できるようになり、これらダクトが上下方向に配置されて接続される場合に比べ、ダクト接続構造まで含めた形で空調装置全体の薄型化をはかることができる。
【0015】
このように薄型化された本発明に係る車両用空調装置は、とくに建設機械用として好適なものである。すなわち、上記空調ユニットが、建設機械のキャビン内に設置される場合に適用して最適なものである。
【0016】
上記のように構成された本発明に係る車両用空調装置においては、空気通路の全体を横断するように配置される吸熱用熱交換器が、空気通路の水平方向への延設方向に対し傾斜させて配置されているので、この部分の空気通路の高さが小さくて済み、空調ユニットが薄型になる。そして本発明においては、放熱用熱交換器も、上記空気通路の延設方向に対し吸熱用熱交換器の傾斜方向と同じ方向に傾斜されて配置されているので、放熱用熱交換器設置部分においても、放熱用熱交換器空気通過用の放熱用熱交換器の熱交換面積を十分に大きく確保するとともに、放熱用熱交換器空気バイパス用のバイパス路の流路面積も十分に大きくしつつ、この部分の空気通路の高さが小さくて済み、結局、空調ユニット全体として薄型に構成できる。しかも、放熱用熱交換器の傾斜方向が吸熱用熱交換器の傾斜方向と同じ方向とされることにより、吸熱用熱交換器を通過した空気は円滑に放熱用熱交換器の入口面あるいはバイパス路へと送られ、空調性能の低下および空気通過圧損の増大も実質的に生じない。したがって、望ましい性能を確保しつつ、空調装置を小型化、とくに薄型化できることになる。
【0017】
また、吸熱用熱交換器が傾斜配置されることにより、空調ユニットが薄型になっても、吸熱用熱交換器自体のサイズ、とくにその熱交換部のサイズは十分に大きく確保できるから、目標とする吸熱性能が損なわれることはなく、むしろ、通気用の面積の拡大をはかることができる。したがって、通気抵抗の低減が可能となり、それによって低騒音化を達成できる。とくに、積層型熱交換器を使用することにより、容易に、通気抵抗の低減、低騒音化を達成しつつ、望ましい薄型の空調ユニットを構成できる。
【0018】
また、吸熱用熱交換器の傾斜角度を最適な角度範囲内(15〜30度)とすることにより、薄型化を達成しつつ良好な水切れ性を維持できるから、水切れ不良に伴う通気抵抗の増大、それに起因する騒音の増大も適切に防止される。排水案内溝を設けておけば、排水も適切に行われる。
【0019】
このように、本発明においては、所望の熱交換性能を発揮させつつ、空調ユニットの薄型化を達成でき、さらに、通気抵抗の低減、低騒音化をはかることが可能になる。
【0020】
この薄型化された空調ユニットは、建設機械のキャビン内に設置する室内ユニットとして好適なものである。そして、建設機械用空調装置を製作する場合においても、上記の如く吸熱用熱交換器および放熱用熱交換器を傾斜配置することにより、建設機械用の小型の熱交換器を特別に開発、設計、製作しなくても、大量生産されている自動車用の熱交換器を使用して薄型化された空調ユニット内に収納することが可能になり、開発、設計機関の大幅な短縮、全体として大幅なコストダウンが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1および図2は、本発明の一実施態様に係る車両用空調装置を示しており、とくにその空調ユニット部の全体概略構造を示している。この空調ユニットは、たとえば、建設機械のキャビン内のシート下に配置されるものである。
【0022】
図1において、1は空調ユニット全体を示しており、空調ユニット1は、車両(たとえば、建設機械)に対し略水平方向に延びる空気通路2を有している。したがって、この空気通路2内における空気の流れ方向(矢印A)も、全体として略水平方向になる。この空気通路2内には、吸熱用熱交換器としてのエバポレータ3と放熱用熱交換器としてのヒータコア4が、空気流れ方向に順に配置されている。エバポレータ3は、空気通路2の全体を横断するように配置されているが、ヒータコア4は部分的に横断するように配置されている。ヒータコア4の上流側あるいは下流側またはその両方には(本実施態様では上流側に)、開度調整可能なエアミックスドア5が設けられており、エアミックスドア5の開度調整により、エバポレータ3を通過した空気の全量に対する、ヒータコア4をバイパスまたは通過する空気の流量割合を調整できるようになっている。この調整により、エバポレータ3を通過した冷却された空気が、そのままバイパス路を通過されるか、ヒータコア4により温められた空気と所定の割合で混合され、所望の吹出空気温度が得られる。
【0023】
温調された空気は、空気通路2の下流側端部に設けられた配風ボックス6内に送られ、ここでさらにエアミックスされるとともに、水平方向に配設された各空気吹出口7、8、9を介して、車両の各部に設けられた温調空気吹出口(図示略、たとえば、VENT、DEF、FOOT各温調空気吹出口)へと送り出される。各空気吹出口には、各空気吹出口をそれぞれ独立に開閉可能なダンパが設けられている(図示略)。
【0024】
一方、空気通路2におけるエバポレータ3の上流側には、送風機10が設けられている。送風機10への空気吸入口は、空調ユニット1の側面側や後端面側など、車両側からの要求仕様に応じて適宜決定すればよい。たとえば、送風機10に両軸タイプブロワを使用する場合には、空調ユニット1の両側面に空気吸入口を開口すればよい。
【0025】
本実施態様では、送風機10に両軸タイプブロワが使用されており、内部に設けられた多翼ファン体により、ブロワケースのインボリュート曲線に沿って形成された流路を通してエバポレータ3側に向けて送風されるようになっている。
【0026】
エバポレータ3は、扁平熱交換チューブ(たとえば、一対のプレートを重ね合わせて形成した扁平熱交換チューブ)とフィンとが交互に積層され、熱交換チューブ両端にそれぞれタンクが接続された積層型熱交換器からなっており、空気通路2の延設方向(水平方向)に対し傾斜角度θ1 を15〜30度の角度範囲内として、傾斜されて配置されている。
【0027】
また、本実施態様においては、ヒータコア4もまた、空気通路2の延設方向に対し、エバポレータ3と同じ傾斜方向に傾斜されて配置されている。このヒータコア4の傾斜角度θ2 はとくに限定されず、空調ユニット1が薄型化された場合にも、十分に大きなヒータコア4の空気通過面積およびバイパス路の流路面積を確保できるように、傾斜角度θ2 が設定されればよい。
【0028】
さらに本実施態様では、エバポレータ3の底部側の空気通路2の内壁面上には、エバポレータ3を伝って流下してきた凝縮水を排出するための排水案内溝11が設けられている。エバポレータ3は、図2に示すように、空気通路2の幅方向両側内壁面を内側に向けて張り出すように形成されたエバポレータ押さえ12に両側から保持されている。
【0029】
排水案内溝11は、エバポレータ3の底部側の空気通路2内壁面上において、空気通路2幅方向両側に、空気通路2長手方向に沿って延びるように設けられており、各排水案内溝11の適当な位置にドレン口13が設けられている。また、両排水案内溝11間の空気通路内壁面がその中央部が高くなるように空気通路内に張り出しており、該中央部が凸部14として形成されている。この凸部14を形成しておくことにより、流下してきた水は両側の排水案内溝11へと円滑に流される。とくに、底部側の空気通路2内壁面中央部の凸部14からなだらかな傾斜面で両側の排水案内溝11に繋がる構造とすることが好ましく、このような構成により、従来の空調ケースでは中央に一箇所の排水口を設けているため比較的深い凸構造を空調ユニット底部に設けて排水を集約させていたものに対して、ユニットケース中央部の傾斜高さを低く抑えても両側壁下部の排水案内溝11への凝縮水の案内ができ確実な排水が行えるため、高さ方向でより薄型化が図れる。また、特に建設機械車両のように車体の傾いた条件での空調連続使用が行われる場合においても、どちらかの排水案内溝11への凝縮水の案内ができ確実な排水が行える。
【0030】
さらに本実施態様では、エバポレータ3の底部側の空気通路2内壁面上に、エバポレータ3の配設領域の前後端の位置に対応させて、空気通路2内に張り出す凸部15、16がそれぞれ形成されている。この凸部15、16の形成により、両凸部15、16間に適切に水が溜められるようになるとともに、両凸部15、16を越えて水が流出しないようになる。適切に溜められた水は、上述の凸部14の構造、幅方向両側に設けられた排水案内溝11を介して、ドレン口13から円滑に排出されることになる。
【0031】
上記のように構成された本実施態様に係る空調ユニット1においては、エバポレータ3およびヒータコア4が傾斜配置されているので、エバポレータ3およびヒータコア4自体には必要かつ十分なサイズを持たせながら、空調ユニット1としては大幅に薄型化(小型化)することが可能である。とくに本実施態様では、エバポレータ3は、両軸タイプブロワからなる送風機10のインボリュート曲線に沿って送風されてきた空気の流れをそのまま円滑に受け入れる方向に傾斜されているので、傾斜配置による通気抵抗の増大はほとんどない。むしろ、傾斜配置により、エバポレータ3の通気部(熱交換部)の面積を十分に大きくできるから、エバポレータ3の通気抵抗を大きく低下させることが可能になる。通気抵抗の低減は、通気に伴う騒音の低減につながり、騒音低減も達成される。また、エバポレータ3の熱交換部の面積を十分に大きく確保できることにより、エバポレータ3の能力は十分に高く保たれる。エバポレータ3として積層型熱交換器を使用することで、望ましい性能が容易に発揮されるようになる。さらに、エバポレータ3の通気抵抗が低減されることにより、送風機10としてより小型のものの採用が可能になり、それによって空調ユニット1の一層の小型化、低コスト化が可能になる。
【0032】
また、ヒータコア4は、空気通路2の延設方向に対し、エバポレータ3と同じ傾斜方向に傾斜されて配置されているので、エバポレータ3を通過した空気は、大きな圧損を伴うことなくそのまま円滑にヒータコア4の入口面側に送られ、通過風量とバイパス風量との割合がエアミックスドア5によって容易に設定される。つまり、良好な空調性能が維持されつつ、このヒータコア4設置部分でも無理なく空調ユニット1が薄型化され、空調ユニット1全体としての小型化、低コスト化が可能になる。
【0033】
また、エバポレータ3は、空気通路2の延設方向(水平方向)に対し15〜30度の角度範囲内で傾斜配置されており、15度以上の傾斜角度とすることにより十分に良好な水切れ性が確保されるとともに、30度以下の傾斜角度とすることにより本発明の目的である薄型化、とくに建設機械用に要求されるような空調ユニット1の薄型化が十分に達成される。また、この水切れ性の確保により、一層の低騒音化をはかることができる。
【0034】
また、上記のように良好な水切れ性が確保されたエバポレータ3に対し、少なくともエバポレータ3の底部側の空気通路2の内壁面上に、排水案内溝11を設けておけば、エバポレータ3を伝って流下してきた凝縮水は適切かつ良好に系外に排出される。加えて、凸部14、凸部15、16を設けておくことにより、より円滑に排水される。
【0035】
さらに本実施態様では、空気通路2の下流側端部に設けられた配風ボックス6の各空気吹出口7、8、9が水平方向に配設されているので、これら各空気吹出口に、車両の各部に設けられた温調空気吹出口へと通じるダクトが接続される場合にも、これら接続部が空調ユニット1の薄型化を阻害することは回避される。したがって、これら接続部を含めて、空調装置全体としての薄型化を確実に実行できるようになる。
【0036】
このような薄型の空調ユニット1は、とくに建設機械用として好適なものであり、所望の性能を保ちつつ、建設機械のキャビンのシート下レイアウトにも容易に対応できるようになる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る車両用空調装置によれば、吸熱用熱交換器と放熱用熱交換器を収納した空調ユニットを、要求される熱交換性能を十分に発揮させつつ、大幅に小型化、とくに薄型化することができる。また、通気抵抗も低減でき、しかも、所定の吸熱用熱交換器傾斜角度とすることにより良好な水切れ性も確保でき、低騒音化も達成可能となる。さらに、通気抵抗の低減により、送風機の小型化、低コスト化も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る車両用空調装置の空調ユニット部の概略構成図である。
【図2】図1の装置のII−II線に沿う横断面図である。
【符号の説明】
1 空調ユニット
2 空気通路
3 吸熱用熱交換器としてのエバポレータ
4 放熱用熱交換器としてのヒータコア
5 エアミックスドア
6 配風ボックス
7、8、9 空気吹出口
10 送風機
11 排水案内溝
12 エバポレータ押さえ
13 ドレン口
14 凸部
15、16 凸部
Claims (9)
- 車両に対し略水平方向に延びる空気通路を有する空調ユニットを備え、前記空気通路内に吸熱用熱交換器と放熱用熱交換器とを空気流れ方向に順に配置し、前記吸熱用熱交換器通過後の空気全量に対する、前記放熱用熱交換器をバイパスまたは通過する空気の流量割合をエアミックスドアにより調整して所望の吹出空気温度を得るようにした車両用空調装置において、前記吸熱用熱交換器を、前記空気通路の延設方向に対し傾斜させて配置するとともに、前記放熱用熱交換器を、前記吸熱用熱交換器と同じ方向に傾斜させて配置したことを特徴とする車両用空調装置。
- 前記吸熱用熱交換器が、前記空気通路の延設方向に対し15〜30度の角度範囲内で傾斜されて配置されている、請求項1の車両用空調装置。
- 少なくとも前記吸熱用熱交換器の底部側の空気通路内壁面上に、排水案内溝が設けられている、請求項1または2の車両用空調装置。
- 前記排水案内溝が、前記吸熱用熱交換器の底部側の空気通路内壁面上において空気通路幅方向両側に空気通路長手方向に沿って延びるように設けられており、両排水案内溝間の空気通路内壁面がその中央部が高くなるように空気通路内に張り出している、請求項3の車両用空調装置。
- 前記空気通路内壁面の中央部からなだらかな傾斜面で前記両排水案内溝へと繋がっている、請求項4の車両用空調装置。
- 前記吸熱用熱交換器の底部側の空気通路内壁面上に、吸熱用熱交換器の配設領域の前後端の位置に対応させて、空気通路内に張り出す凸部がそれぞれ形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の車両用空調装置。
- 前記吸熱用熱交換器が、扁平熱交換チューブとフィンとが交互に積層され、熱交換チューブ両端にそれぞれタンクが接続された積層型熱交換器からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の車両用空調装置。
- 前記空気通路の下流端に、車両の各部に設けられた温調空気吹出口へと通じる空気吹出口が設けられており、全空気吹出口が、車両に対し略水平方向に開口されている、請求項1〜7のいずれかに記載の車両用空調装置。
- 前記空調ユニットが、建設機械のキャビン内に設置される、請求項1〜8のいずれかに記載の車両用空調装置。
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