JP2004276067A - ツイン油圧プレス装置 - Google Patents

ツイン油圧プレス装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004276067A
JP2004276067A JP2003071309A JP2003071309A JP2004276067A JP 2004276067 A JP2004276067 A JP 2004276067A JP 2003071309 A JP2003071309 A JP 2003071309A JP 2003071309 A JP2003071309 A JP 2003071309A JP 2004276067 A JP2004276067 A JP 2004276067A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydraulic
cylinder chamber
cylinder
oil
press
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003071309A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunio Kamiyama
邦夫 神山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NIPPO KOSAN KK
Original Assignee
NIPPO KOSAN KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NIPPO KOSAN KK filed Critical NIPPO KOSAN KK
Priority to JP2003071309A priority Critical patent/JP2004276067A/ja
Publication of JP2004276067A publication Critical patent/JP2004276067A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】対となったプレス機を1台の油圧駆動ユニットで制御し、作動油の油温の上昇が少なく水冷クーラを必要とせず、コンパクトで省エネルギーな油圧プレス装置を提供する。
【解決手段】2台のシリンダユニット20を選択弁で切り換えると共に、高速下降用の第1のシリンダ室51と高速上昇用の第2のシリンダ室52の受圧面積を等しくし、第2のシリンダ室52から油圧ポンプ7、第1のシリンダ室51に至る閉回路を構成する。そして、交流サーボモータ6により油圧ポンプ7の回転数を正逆両方向に制御してピストン体54の進退スピード、圧力を制御する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧プレス装置に関し、特に板金成形用に適した油圧プレス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のドア、フード、トランクリッド等を製作するには、インナー部品とアウター部品を縁部でかしめるヘムプレス加工(Hem−Press)が行われ、これらの加工には油圧プレス機械が用いられる。従来の油圧プレス機械では誘導電動機で油圧ポンプを絶えず駆動し、油圧シリンダに送油しないときにはアンロード弁で圧油をタンクに戻していた。このため、油温が上昇し、作動油を冷却する水冷クーラー等を必要とすると共に、エネルギー消費(電力消費)も大であった。
【0003】
自動車の部品にはドア等、左右の部品が対になったものが多くある。これらの部品は同じ大きさであっても左右で形状が異なり金型も異なるため、それぞれ独立した油圧プレス装置で加工を行ってきた。このため、油圧プレス装置に付属する油圧駆動ユニット、制御装置等もそれぞれ独立して油圧プレス装置に付属しており、結果的に高価な装置となっていた。ところで、自動車の製造ラインでは最終的な完成車が一台ラインから離れる時間で、その前工程のタスク時間が設定される。たとえば、完成車のタスク時間が60秒であれば、前工程である左右のドアのヘムプレス加工にも60秒の時間が与えられる。このため、ヘムプレス加工としては過剰な時間が与えられることになり、結果的に油圧駆動ユニット等に大きな遊び時間が生じ、コストの上昇をもたらしていた。
【0004】
また、これら油圧プレス機械において単一の油圧シリンダを用いると金型の昇降に多量の圧油を要し、金型の昇降工程に多くの時間を要し生産性が落ちるという問題点がある。このため、特開2000−254799号公報(特許文献1)では、ねじ式スライド駆動装置(11)と油圧シリンダ式スライド駆動装置(21)を並列に設置し、急速昇降駆動にはねじ式スライド駆動装置(11)を用い、ワークの加圧時にのみ油圧シリンダ式スライド駆動装置(21)を使用するものが提案されている。また、特開平10−263888号公報(特許文献2)には、昇降用の急速シリンダ(36)とワーク加圧用の加圧シリンダ(37)を用いたものが提案されている。さらに、特開平10−180499号公報(特許文献3)には、ワーク加圧用の第1シリンダ(24)と下降用の第2シリンダ(25)と上昇用シリンダ(26)の3つのシリンダを備え、交流サーボモータ(18)で油圧ポンプ(17)を駆動するようにしラム(6)の位置を精密に制御するようにしたものが提案されている。
【0005】
公知文献ではないが、出願人は先にクローズドループの油圧回路を構成する油圧プレス装置について出願している(特願2001−337365号)。
また、1台の油圧駆動ユニットで2台の油圧プレス機を交互に駆動するツイン油圧プレス装置については先行技術を発見することができなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2000−254799号公報 段落番号0008〜0011 図2
【特許文献2】特開平10−263888号公報 段落番号0012〜0013 図4
【特許文献3】特開平10−180499号公報 段落番号0022〜0027 図3
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1のものは、電気モータ(12)で駆動されるねじ(15)と油圧シリンダ(22)が併設され、構造や制御が複雑になるという問題点があった。上記特許文献2のものは、2つのシリンダ(36)、(37)が直列に接続されシリンダの高さが高く大型のものになるという問題点、サーボバルブ(52)で油圧、油量を調節しているためエネルギーロスが大きくなるという問題点があった。上記特許文献3のものは、交流サーボモータ(18)を用いているが、交流サーボモータ(18)に結合される油圧ポンプ(17)は一方向に吐出するタイプのもので逆方向に吐出できるタイプのものではない。このため、交流サーボモータ(18)では回転数とトルクのみの制御を行い、逆転制御を行うものではない。したがって、各シリンダ(24)、(25)、(26)からの戻り油はタンク(16)に戻されており、ここでエネルギーロス、油温の上昇が生じていた。
【0008】
そこで、本発明は、作動油の温度の上昇が少なく水冷クーラー等を必要とせず、コンパクトで省エネルギーを実現できる油圧プレス装置を提供することを目的とする。また、自動車の右ドアと左ドアのように対となった部品を加工する際に、1台の油圧駆動ユニットで済み、安価で省エネルギーを実現できる油圧プレス装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のうち第1の実施態様の発明は、図3及び図4に例示するように、2機の油圧プレス機(20A、20B)を1台の油圧駆動10ユニット及び1台の制御装置80で駆動するツイン油圧プレス装置であって、
前記各油圧プレス機(20A、20B)のスライダを昇降させる油圧シリンダ50が、
(a)受圧面積の小さな往道用の第1のシリンダ室51と、(b)前記第1のシリンダ室51と同じ受圧面積を有する復道用の第2のシリンダ室52と、(c)受圧面積の大きな往道用の第3のシリンダ室53と、(d)前記各シリンダ室51、52、53を区画する一体のピストン体54と、を有する多重油圧シリンダからなり、
前記油圧駆動ユニット10が、(e)正逆両方向に作動油を圧送可能な定容積型可逆の油圧ポンプ7と、(f)前記油圧ポンプ7を正逆両方向に回転駆動するサーボモータ6と、(g)前記制御装置からの指令に従い前記油圧ポンプ7の正逆の吐出口と接続される油圧プレス機(20A、20B)を選択する2つの選択弁8、9と、(h)前記選択弁8、9により選択された油圧プレス機(20A、20B)と油圧駆動ユニット10との間で前記第1のシリンダ室51と前記第2のシリンダ室52とを前記油圧ポンプ7を介して連結するクローズド油圧回路(51、31、42、8、37、7、38、9、44、(21、22)、33、52)を構成することと、を備え、
前記油圧シリンダ50を擁するシリンダユニット(20A、20B)または前記油圧駆動ユニット10が、(i)前記第3のシリンダ室53と油タンク1とを自動供給弁23を介して連結する自動供給油圧回路35、(53、35、23、48、1)と、(j)前記制御装置80の指令に基づき前記油圧ポンプ7の一方の吐出口と第3のシリンダ室53とをチェック弁26を介して連結する加圧油圧回路32、(53、32、26、25、31、42、8、37、7)と、を備え、
前記制御装置が、(k)前記第3のシリンダ室53の油圧を検出する圧力センサー28からの信号と、(l)前記ピストン体54若しくはピストン体54と一体となったラム、スライド等の位置を検出する位置センサー91からの信号と、に基づき前記サーボモータ6を制御する手段を備える、ことを特徴とする。
【0010】
このように形成すると、制御装置80からの指示に従って選択弁8、9によって油圧ポンプ7に接続されるプレス機(20A、20B)が選択される。一方のプレス機(20A)が選択弁8、9によって選択されると、他方のプレス機(20B)からの油圧配管41、43は油タンク1に連通され油圧ポンプ7から外される。このため、他方のプレス機(20B)のピストン体54は待機位置たとえば上昇端近傍から移動することなく待機する。一方、選択されたプレス機(20A)からの油圧配管42、44は油圧ポンプ7に接続され、サーボモータ6及び油圧ポンプ7により所定のシーケンスにより駆動され、工作物をプレス加工する。1つのプレス加工が終了すると選択弁8、9が切り換えられ、他方のプレス機(20B)が油圧ポンプ7に接続されて所定のシーケンスで駆動され、一方のプレス機(20A)は待機位置で待機する。このように選択弁8、9により2機のプレス機(20A、20B)の一が、交互に選択され駆動される。このように、1台の油圧駆動ユニット10(サーボモータ6、油圧ポンプ7)によって2機のプレス機(20A、20B)を駆動制御できるから、油圧プレスシステムとして安価に構成できる。
【0011】
いずれか一方のプレス機(20A、20B)が選択されてからの作用について説明する。上記のように構成すると、第1のシリンダ室51は早送り及び加圧用の、第2のシリンダ室52は早戻し用の、第3のシリンダ室53は加圧用のシリンダ室としてそれぞれ用いられる。
【0012】
早送り時には、制御装置80からの指令により、第2のシリンダ室52から油圧回路33、選択弁9、油圧回路38、油圧ポンプ7、油圧回路37、選択弁8、油圧回路31、そして第1のシリンダ室51に至るクローズド油圧回路が形成される。ここで、第1のシリンダ室51の受圧面積と第2のシリンダ室52の受圧面積が等しくされているから、第2のシリンダ室52から吐出される作動油の量と第1のシリンダ室51に供給される作動油の量が等しい。このため、油圧ポンプ7から吐出される作動油は上記のクローズド油圧回路52、33、9、38、7、37、8、31、51を通過するのみで油タンク1に戻されることがない。したがって、エネルギーロスがなく作動油の油温が上昇することもない。なお、加圧用の第3のシリンダ室53には自動供給弁23及び自動供給油圧回路35を経由して油タンク1の作動油が負圧により吸引される。
【0013】
同様に、早戻し時には、第1のシリンダ室51から油圧回路31、選択弁8、油圧回路37、油圧ポンプ7、油圧回路38、選択弁9、油圧回路33、そして第2のシリンダ室52に至るクローズド油圧回路が形成される。サーボモータ6により油圧ポンプ7を逆転駆動することにより、第1のシリンダ室51から第2のシリンダ室52に作動油が送られ、ピストン体54が後退する。このときも、エネルギーロスがなく作動油の油温が上昇することがない。なお、第3のシリンダ室53の作動油は自動供給油圧回路35及び自動供給弁23を経由して油タンク1に逃がされる。このように、早送り時、早戻し時には作動油が第3のシリンダ室53に自動的に吸引されたり排出されたりするから、油圧ポンプ7の吐出量が少なくて済み、油圧ポンプ7の小型化が図れる。
【0014】
加圧時には、制御装置80からの指令により、自動供給弁23が閉じられる。そして、油圧ポンプ7と連通する油圧回路31と第3のシリンダ室53と連通する加圧油圧回路32が接続される。そして、サーボモータ6により油圧ポンプ7を正転駆動することにより、作動油が第3のシリンダ室53及び第1のシリンダ室51に送られ、第3のシリンダ室53の受圧面積と第1のシリンダ室51の受圧面積とを加えた受圧面積で受ける圧力でもってピストン体54を押し出す。このとき、圧力センサー28で第3のシリンダ室53の油圧を検出し、その圧力が適正となるようにサーボモータ6の回転数を制御する。このように、サーボバルブで油圧を制御するのではなく、サーボモータ6すなわち油圧ポンプ7の回転数及びトルクで油圧を制御しているので、エネルギーロスが少なく作動油の油温の上昇も僅かである。さらに、ワークによってプレス圧力を変更する等のタクトの変更も、制御装置80内の設定を電気的に変更しサーボモータ6の回転数等の制御を変更するだけで変更でき容易である。
【0015】
2機のプレス機(20A、20B)が共に待機している待機時には、サーボモータ6及び油圧ポンプ7は停止しており、アンロード弁で圧油を逃がすこともないから、エネルギーロスがなく作動油の油温が上昇することがない。このように、本発明の油圧プレス装置は、作動油の上昇がほとんどなく冷却装置もいらないことから、省エネルギーでコンパクトな装置を提供できるという効果を奏する。
【0016】
ここで、第2の実施態様の発明のように、前記定容積型可逆の油圧ポンプ7が、ベーンポンプであることを特徴とすることができる。
このように形成すると、ベーンポンプは吐出圧力の脈動が小さいため、騒音が小さくなると共にプレスの加圧圧力が安定する。
【0017】
ここで、第3の実施態様の発明のように、前記定容積型可逆の油圧ポンプ7が、ピストンポンプであることを特徴とすることができる。
このように形成すると、ピストンポンプは誤差の少ない吐出量が得られ、高回転かつ高圧力が得られるので、小型のシリンダでもって高速でかつ高圧力の油圧プレス装置が実現できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。
図1は、本発明に係るツイン油圧プレス装置が適用される自動車のドア組み立てラインを示す平面図である。A、B、2つのラインにはそれぞれ左のドア301Aと右のドア301Bが流れる。各ラインA、Bはベルトコンベアでワークを搬送するのではなく、ロボット302、303、304により搬送されると共に必要な工作が行われるようになっている。たとえば、ロボット302、303ではドア301のインナーパネルとアウターパネルに接着剤を塗り、次の油圧プレス機200A、200Bに搬送する。2機の油圧プレス機200A、200Bは全く同じ構造を持ち、金型のみが異なる。油圧プレス機200A、200Bでのヘムプレス加工の終わったドア301A、301Bはロボット304にて次の工程に搬送される。
【0019】
図2は、本発明に係るツイン油圧プレス装置を示す正面図である。ここでは仕様の全く等しい2機の油圧プレス機200A、200Bが隣接して据え付けられ、それぞれのシリンダユニット20A、20Bが1台の油圧駆動ユニット10で駆動され、1台の制御装置80で制御されるようになっている。各シリンダユニット20A、20B内には1台の多重油圧シリンダ50が収容されている。左右の油圧プレス機200A、200Bは同じ仕様であるから、片方の油圧プレス機についてのみ、その概要を説明する。
【0020】
各ベッド201には4本のコラム202が立設され、コラム202の上にはクラウン203が固定されている。クラウン203上には多重油圧シリンダ50とその付属機器からなるシリンダユニット20Aが設置され、地上には油圧駆動ユニット10を電気的に駆動制御する制御装置80が載置される。コラム202には昇降自在にスライダ204が支承されている。スライダ204はラム205を介して多重油圧シリンダ50のピストン体54に固定され、ピストン体54の進退により昇降する。ピストン体54にはその昇降位置を検出する位置検出装置(ロータリエンコーダ)91が取り付けられている。ベッド201上にはボルスタ206が固定され、その上に下金型207が固定される。スライダ204には上板208が固定され、その下に上金型209が固定される。
【0021】
図3は、油圧駆動ユニット10の油圧回路図である。ここには、油圧駆動ユニット10及びこれらを電気的に制御する制御装置80が示されている。油圧駆動ユニット10は、交流サーボモータ6と、その交流サーボモータ6により両方向に回転駆動され両方向に作動油が吐出されるピストンポンプからなる油圧ポンプ7と、油圧ポンプ7から吐出される圧油を左右いずれの油圧プレス機のシリンダユニット20A、20Bに供給するかを決定する2つの選択弁8、9と、油タンク1とを主な要素としている。交流サーボモータ6は出力37Kw、2000rpmのものである。油圧ポンプ7は高圧型のピストンポンプであり、最大吐出圧力32Mpa、吐出量63cc/revで両方向に吐出可能なポンプである。
【0022】
油圧ポンプ7と直接接続する油圧回路として、油圧ポンプ7が正転駆動されたときに圧油が送られる正転側の油圧回路37と、油圧ポンプ7が逆転駆動されたときに圧油が送られる逆転側の油圧回路38とがある。正転側の油圧回路37にはサクションフィルタ4、チェックバルブ13、チェックバルブ11、を経由して油タンク1の作動油が吸引できるようになっている。逆転側の油圧回路38にはサクションフィルタ4、チェックバルブ13、チェックバルブ12、を経由して油タンク1の作動油が吸引できるようになっている。また、油圧リミッターとして、正転側の油圧回路37にはリリーフバルブ14が設けられ、正転側の油圧回路37の油圧が31.5Mpaを超えたときは作動油を油タンク1に戻すようになっている。同様に、逆転側の油圧回路38にはリリーフバルブ15が設けられ、逆転側の油圧回路38の油圧が22Mpaを超えたときは作動油を油タンク1に戻すようになっている。これらのリリーフバルブ14、15は安全弁として作用する。
【0023】
正転側の油圧回路37は第1の選択弁8に接続され、逆転側の油圧回路38は第2の選択弁9に接続される。各選択弁8、9は油圧回路37、38を左側の油圧プレス機のシリンダユニット20Aに接続する油圧ホース42、44に連通させるか、右側の油圧プレス機のシリンダユニット20Bに接続する油圧ホース41、43に連通させるかを選択する。ベーンポンプ16は小型誘導電動機17により駆動される。
【0024】
ここでは単純に、選択弁8の電磁ソレノイド8Aを励磁すると正転側の油圧回路37が左のシリンダユニット20Aに連なる油圧ホース42に連通され、右のシリンダユニット20Bに連なる油圧ホース41は油タンク1に落とされるものとする。対照的に、電磁ソレノイド8Bを励磁すると正転側の油圧回路37が右のシリンダユニット20Bに連なる油圧ホース41に連通され、左のシリンダユニット20Aに連なる油圧ホース42は油タンク1に落とされる。いずれの電磁ソレノイド8A、8B共に励磁されていないと、図示のように、左右の油圧ホース41、42及び油圧回路37が短絡され油タンク1に連通された状態になることとする。
【0025】
同様に、選択弁9の電磁ソレノイド9Aを励磁すると逆転側の油圧回路38が左のシリンダユニット20Aに連なる油圧ホース44に連通され、右のシリンダユニット20Bに連なる油圧ホース43は油タンク1に連通される。電磁ソレノイド9Bを励磁すると逆転側の油圧回路38が右のシリンダユニット20Bに連なる油圧ホース43に連通され、左のシリンダユニット20Aに連なる油圧ホース44は油タンク1に連通される。いずれの電磁ソレノイド9A、9B共に励磁されていないと、図示のように、左右の油圧ホース43、44及び油圧回路38が短絡され油タンク1に連通された状態になることとする。
【0026】
正転側の油圧回路37にはゲージバルブを介して油圧計103が接続されている。同様に、逆転側の油圧回路38にはゲージバルブを介して油圧計104が接続されている。油タンク1には、オイルゲージ2、エアブレザー3が取り付けられている。また、パイロット油圧を測るためゲージバルブを介して油圧計105が接続されている。また、パイロット油圧の油圧リミッターとして、ベーンポンプ16の吐出口に連通する油圧通路でチェックバルブ11、12、13で囲まれた配管の油圧が、1Mpaを超えるとリリーフバルブ101により油タンク1に逃がすようにしている。
【0027】
油圧駆動ユニット10と左側のシリンダユニット20Aとは、正転側の油圧回路37と連通可能な油圧ホース42と、逆転側の油圧回路38と連通可能な油圧ホース44と、油タンク1と連通する2つの油圧ホース47、48との4本の油圧ホースで接続されている。同様に、油圧駆動ユニット10と右側のシリンダユニット20Bとは、正転側の油圧回路37と連通可能な油圧ホース41と、逆転側の油圧回路38と連通可能な油圧ホース43と、油タンク1と連通する2つの油圧ホース45、46との4本の油圧ホースで接続されている。
【0028】
交流サーボモータ6は制御装置80と電気配線により接続され、制御装置80によりトルク、回転数を制御されながら正逆回転駆動される。また、その他の電磁弁やモータ等の電気部品も制御装置80に接続され制御される。
【0029】
図4は、各油圧プレス機のシリンダユニット20A,20Bの油圧回路図である。左右のシリンダユニット20A,20Bは全く同じ構成であるので、左側のシリンダユニット20Aのみ内部回路を図示している。
【0030】
シリンダユニット20A,20Bは多重油圧シリンダ50とその付属機器からなる。多重油圧シリンダ50はピストン体54で区画された3つのシリンダ室51、52、53を有する。中央部の小円形の受圧面を持つ第1のシリンダ室51は早送り及び加圧用のシリンダ室である。周辺部の環状の受圧面を持つ第2のシリンダ室52は早戻し用のシリンダ室であり、その受圧面積は第1のシリンダ室51の受圧面積と等しくされている。上部の第3のシリンダ室53は大きな受圧面積を有する加圧用のシリンダ室である。
【0031】
正転側の油圧回路37と連通可能な油圧ホース42は油圧回路31を経由し直接第1のシリンダ室51に連通している。逆転側の油圧回路38と連通可能な油圧ホース44はチェック弁21とカウンターバランス弁22との並列回路及び油圧回路33を経由して第2のシリンダ室52に連通している。カウンターバランス弁22はリリーフバルブであり、第2のシリンダ室52からの油圧が所定の圧力以上になったときに導通し第2のシリンダ室52の作動油を油圧ホース44を経由して逆転側の油圧回路38に逃がす。したがって、カウンターバランス弁22のリリーフ圧を図2に示す上金型209等の重量に相当する圧力に調整することによりカウンターバランスをとることができる。
【0032】
そして、第1のシリンダ室51と第2のシリンダ室52との受圧面積が等しいから、第1のシリンダ室51から、油圧回路31、油圧ホース42、第1の選択弁8、正転側の油圧回路37、油圧ポンプ7、逆転側の油圧回路38、第2の選択弁9、油圧ホース44、チェック弁21あるいはカウンターバランス弁22、油圧回路33、第2のシリンダ室52に至るクローズド油圧回路が形成される。このクローズド油圧回路内の作動油に限って考えれば、油圧ポンプ7を正転させても逆転させても、作動油はこのクローズド油圧回路内を移動するだけで作動油が油タンク1等に移動することはない。クローズド油圧回路と称する所以である。
【0033】
油タンク1に連通する油圧ホース48からの油圧回路は自動供給弁23を介して油圧回路35に接続し、油圧回路35は第3のシリンダ室53に連通している。自動供給弁23は、第1の電磁弁24をオンとしたときに油圧ホース44に連通する油圧回路34の油圧がパイロット圧として引き入れられ、自動供給弁23が開かれる。このため、自動供給弁23を経由して、油タンク1から作動油を第3のシリンダ室53に吸引したり、第3のシリンダ室53から作動油を油タンク1に戻したりすることができる。第1の電磁弁24をオフとすると第3のシリンダ室53から作動油を油タンク1に戻すことが阻止される。油圧回路34、35と自動供給弁23は自動供給油圧回路を構成している。
【0034】
正転側の油圧回路37に連通する油圧回路31は、また、第2の電磁弁25、スロットルチェック弁26、油圧回路32を経由して第3のシリンダ室53に連結している。第2の電磁弁25をオンとすると油圧回路31の油圧が、つまり、正転側の油圧回路37の油圧が第1のシリンダ室51と共に第3のシリンダ室53に加えられる。油圧ポンプ7から油圧回路37、第1の選択弁8、油圧ホース42、油圧回路31、第2の電磁弁25、スロットルチェック弁26、油圧回路32を経由して第3のシリンダ室53に至る油圧回路は加圧油圧回路を構成している。油圧回路31には圧力センサー28が取り付けられ、第1のシリンダ室51及び第3のシリンダ室53の油圧が圧力センサー28により電気信号に変えられ制御装置80に送られる。また、第2の電磁弁25の他方のポートは、油圧ホース47により油タンク1に連通され、第2の電磁弁25をオフとしたときのサージ圧を逃がすようにしている。第1の電磁弁24及び第2の電磁弁25はそれぞれ制御装置80に電気的に接続されオンオフ制御される。また、ピストン体54の昇降を検出するロータリエンコーダからなる位置センサー91が多重油圧シリンダ50に取り付けられ、位置情報を制御装置80に送る。
【0035】
図5は、シリンダユニット20A,20Bの正面図であり左半分を断面にして示している。図6は、シリンダユニット20A、20Bを示す側面図である。また、いずれの図も長さ方向は切断し短縮して示している。シリンダ筒61の上下に上フランジ62と下フランジ63が固定されている。上フランジ62にはヘッドカバーブロック64が固定されている。ヘッドカバーブロック64の中心には円柱形状をしたキッカーロッド65がシリンダ筒61の中心部に延伸して固定されている。キッカーロッド65の中心には中心孔65Aが開けら、上下で開口している。シリンダ筒61には、下からピストン体54が嵌挿されている。ピストン体54の中心には孔54Aが穿たれ、その孔54Aにキッカーロッド65が入り込むように組み立てられる。ピストン体54の外径は2段に形成され、上部はシリンダ筒61の内径と等しいφ260(mm)とされ、下部は若干縮径してφ240(mm)とされている。キッカーロッド65の外径はφ100(mm)とされている。
【0036】
固定のキッカーロッド65の外径部と可動のピストン体54の孔54Aとの間には、ピストン体54の上方に第1のシール体66が設けられ、両者65,54Aを油密に区画している。シリンダ筒61の下端内径部にはピストン体54の縮径部(φ240)との間に第2のシール体67が設けられ、両者61、54を油密に区画している。また、ピストン体54の上部の大径部(φ260)にはシリンダ筒61の内径部と摺接する第3のシール体68が設けられ、両者54、61を油密に区画している。この結果、シリンダ筒61、ヘッドカバーブロック64、キッカーロッド65、ピストン体54で構成される多重油圧シリンダ50は、ピストン体54の孔54Aとキッカーロッド65で区画される小円形の第1のシリンダ室51と、シリンダ筒61の内壁(φ260)とピストン体54の縮径部(φ240)で区画される環状の第2のシリンダ室52と、シリンダ筒61の内壁、キッカーロッド65の外壁、ピストン体54の上面で区画される環状の第3のシリンダ室53とを有することになる。
【0037】
ここで、第1のシリンダ室51に作動油を供給するとピストン体54を下降させるように働く。その有効受圧面積は、第1のシール体66によりキッカーロッド65の外径部がシールされているから、キッカーロッド65の外径(φ100)の断面積であるπ×25cm =78.5cm である。一方、環状の第2のシリンダ室52に作動油を供給するとピストン体54を上昇させるように働く。第2のシリンダ室52はφ260−φ240の環状であるから、その受圧面積はπ×(13 −12 )=π×(169−144)=π×25cm =78.5cm である。つまり、第1のシリンダ室51の受圧面積と第2のシリンダ室52の受圧面積は等しくなるように作られている。第3のシリンダ室53(φ260)に作動油を供給するとピストン体54を下降させるように働く。第3のシリンダ室53に作動油を供給しピストン体54に圧力を掛けるときは第1のシリンダ室51にも作動油を供給し加圧するから、2つのシリンダ室51、53を合わせた受圧面積はφ260の円形と同じになり、π×13 =π×169cm =530.7cm になる。ピストン体54のストロークは1420mmであり、従って、多重油圧シリンダ50は、φ260×φ240×φ100×1420stの多重シリンダを構成する。
【0038】
ヘッドカバーブロック64の上には、圧力センサー28が取り付けられたブロック、スロットルチェック弁26のブロック、第2の電磁弁25のブロックが積み上げられ一体とされている。また、ヘッドカバーブロック64の右側面には自動供給弁23が取り付けられる。図6を参照し、ヘッドカバーブロック64の側部にカウンターバランス弁22が取り付けられている。カウンターバランス弁22からはパイプ69によりシリンダ筒61の側部に接続され、第2のシリンダ室52に連通している。また、下フランジ63には位置センサー91(ロータリエンコーダ)が取り付けられ、ピストン体54の昇降移動量を検出できるようになっている。上記の部材により多重油圧シリンダ50を擁するシリンダユニット20A、20Bを構成している。
【0039】
図7は、制御装置80を示すブロック図である。制御装置80は、全体を制御するコンピュータ(PC)81、プレス条件、シーケンス等を入力するタッチパネル82、交流サーボモータ6を回転駆動するサーボモータ制御装置83、外部機器との入出力をするインターフェースパネル84を有する。インターフェースパネル84には油圧駆動ユニット10、左右のシリンダユニット20A、20Bの電気機器が接続される。油圧駆動ユニット10に含まれる電気機器には、第1の選択弁8、第2の選択弁9、小型誘導電動機17がある。左右のシリンダユニット20A、20Bに含まれる電気機器には、自動供給弁23の第1の電磁弁24、多重油圧シリンダ50の上部の第2の電磁弁25、油圧回路31の油圧を測定する圧力センサー28、ピストン体54の移動量を検出する位置センサー91(ロータリエンコーダ)がある。また、交流サーボモータ6にはロータリエンコーダ92が取り付けられ、交流サーボモータ6の回転情報をインターフェースパネル84に伝える。制御装置80は予め与えられたシーケンスにより、各入力機器(28、91、92)からの信号に従って各電磁弁(8、9、24、25)をオンオフ制御し、サーボモータ制御装置83はトルク、回転数を制御しながら交流サーボモータ6を正逆回転駆動する。
【0040】
以上の構成に基づき、作動について説明する。図8は、作動を説明する動作線図である。図8において縦軸はピストン体54すなわちスライダ204の下降距離(mm)を示し、横軸はシーケンス番号(S)を示している。また、各シーケンス(S1〜S18)に要する時間(sec)を示している。図3、図4を併せ参照し説明する。
【0041】
ステップS0は、プレス機選択の行程である。ここでは、選択弁8、9が選択される。具体的には、電磁ソレノイド8Aと電磁ソレノイド9Aが励磁され、左側のシリンダユニット20Aが油圧駆動ユニットの油圧ポンプ7に接続される。右側のシリンダユニット20Bからの油圧ホース41、43は選択弁8、9を経由して油タンク1に落とされ、油圧ポンプ7から外される。
【0042】
ステップS1は、準備作動の行程である。これ以降は選択されたシリンダユニット20Aと油圧駆動ユニット10での作動になる。ここでは、0.20秒の間に第1の電磁弁24をオンとして自動供給弁23が開くことができる状態にする。第2の電磁弁25はオフのままである。このため、第3のシリンダ室53は実効的に油タンク1に連通され作動油の吸引が可能になる。そして、第2の電磁弁25はオフであるから油圧回路31と油圧回路32の連結が絶たれ、第2のシリンダ室52から油圧ポンプ7を経由して第1のシリンダ室51に至るクローズド油圧回路が構成される。
【0043】
すなわち、油圧ポンプ7から吐出される作動油は正転側の油圧回路37、選択弁8、油圧ホース42、油圧回路31を経由して第1のシリンダ室51に送られる。一方、第2のシリンダ室52から吐出される作動油はカウンターバランス弁22、油圧ホース44、選択弁9、逆転側の油圧回路38を経由して油圧ポンプ7に戻される。ここで、第1のシリンダ室51の受圧面積と第2のシリンダ室52の受圧面積は等しくされているから、第2のシリンダ室52から、カウンターバランス弁22、逆転側の油圧回路38、油圧ポンプ7、正転側の油圧回路37、第1のシリンダ室51に至るクローズド回路が形成される。このため、第2のシリンダ室52から排出される作動油はすべて油圧ポンプ7に吸引され、加圧されて第1のシリンダ室51に注入される準備が整う。また、第3のシリンダ室53には、油圧ホース48、自動供給弁23、油圧回路35を経由して油タンク1の作動油が吸引される準備が整う。
【0044】
ステップS2は、プレス下降急加速の行程である。ここでは、交流サーボモータ6すなわち油圧ポンプ7を、0.35秒の間に、0回転(回転/分、以下同じ)から2300回転まで正回転方向に急加速する。ピストン体は停止状態から131.3mm/secのスピードまで急加速される。この間にピストン体54は16mm下降する。
【0045】
ステップS3は、プレス下降高速の行程である。ここでは、交流サーボモータ6を正方向に2300回転での高速回転を8.60秒間維持させる。この間にピストン体54は131.3mm/secのスピードで1116mm下降する。高速下降の間の油圧ポンプ7の吐出圧である油圧回路31の圧力は5.1Mpaで、第1のシリンダ室51によるプレス機の出力は4tonである。この間、第3のシリンダ室53には負圧により油圧回路35を経由して油タンク1の作動油が吸引され、シリンダ室53内は絶えず作動油が充満される。
【0046】
ステップS4は、プレス下降減速の行程である。ここでは、交流サーボモータ6の回転数を0.39秒の間に2300回転から800回転にまで減速する。ピストン体54は131.3mm/secのスピードから45.7mm/secのスピードに減速する。ワークに近づいたからである。この間にピストン体54は26mm下降する。
【0047】
ステップS5は、プレス下降低速の行程である。ここでは、交流サーボモータ6を正方向に800回転での低速回転を5.10秒間維持させる。この間にピストン体54は45.7mm/secのスピードで228mm下降する。
【0048】
ステップS6は、プレス下降再減速の行程である。ここでは、交流サーボモータ6の回転数を0.30秒の間に800回転から700回転にまで減速する。ピストン体54は45.7mm/secのスピードから39.9mm/secのスピードに減速する。この間にピストン体54は9mm下降する。
【0049】
ステップS7は、プレス加圧の行程である。ここでは、まず、第1の電磁弁24がオフとされ自動供給弁23が閉じられる。この結果、第3のシリンダ室53の作動油は油圧回路35を経由して逃げることができなくなる。同時に、第2の電磁弁25が励磁されオンとされる。この結果、油圧回路31からスロットルチェック弁26を経由して第3のシリンダ室53に至る油圧通路が開かれる。そして、油圧ポンプ7から吐出される作動油は油圧回路31を経由して第1のシリンダ室51ばかりではなく第3のシリンダ室53にも送られる。このため、油圧ポンプ7が吸引する作動油が第2のシリンダ室52からの作動油では足りなくなり、油圧回路38が負圧になって、油タンク1、サクションフィルタ4、チェックバルブ13、チェックバルブ12、油圧回路38を経由して必要な油量が油圧ポンプ7に吸引される。
【0050】
プレス加圧行程では、送油するシリンダ室51、53の有効受圧面積がφ260の大径の円形のものとなるから、ピストン体54の下降速度は低下する。つまり、交流サーボモータ6の回転数は700回転のままで、ピストン体の下降スピードは39.9mm/secから5.9mm/secに減速される。そして、交流サーボモータ6の電流を制御調整し、油圧ポンプ7の吐出圧すなわち油圧回路31の圧力が最大28.3Mpaまで上昇できるように制御する。この時、プレス機の最大出力すなわちピストン体54の最大押圧力は150tonになる。このプレス加圧行程は1.50秒の間続き、ピストン体54は5mm下降する。この間に、下金型207上に載置されたワークが上金型209で押圧され塑性変形する。上金型がゆっくり下降することにより塑性変形するワークの素材の流れが整い、プレス加工の仕上がりが良くなる。
【0051】
ステップS8は、プレス加圧制御の行程である。ここでは、0.30秒の間にピストン体54の押圧力を150tonに維持するように交流サーボモータ6の回転数をおおよそ700回転から300回転に制御する。この間のピストン体54の移動量は0mmである。
【0052】
ステップS9は、プレス加圧保持の工程である。ピストン体54の移動量は0mmである。ここでは、ワークの塑性変形が終了し上金型209がワークを押し切った状態である。ピストン体54が下げ止まった状態で交流サーボモータ6を300回転程度に制御し油圧ポンプ7の吐出圧を所定圧たとえば28.3Mpaに保持し、ピストン体54の押圧力を150tonに保持する。このプレス加圧保持は0.80秒間続けられる。プレス加圧減速行程及びプレス加圧保持行程では金型209、207がワークを押し切った状態で150tonの押圧力が所定時間維持される。このためプレス加工後の返り等が無くなりプレス加工の仕上がりが良くなる。このように、交流サーボモータ6を用いて油圧ポンプ7の回転数を微妙に調整しているため、プレス機の加圧力を精密に制御することができる。
【0053】
ステップS10は、交流サーボモータ停止の行程である。ここでは、0.20秒の間に交流サーボモータ6の回転が300回転から0回転に減速停止される。これに伴い、油圧回路31の圧力の減衰が始まる。この時、交流サーボモータ6の回転を0にしてから、さらに逆転させる場合もある。
【0054】
ステップS11は、プレス圧抜きの行程である。ここでは、第2の電磁弁25をオフにして第3のシリンダ室53の残圧を油圧ホース47を経由して油タンク1に逃がす。同時に、油圧ポンプ7を逆転させ、第1のシリンダ室51の残圧を油圧ホース42を経由して逃がし残圧を抜く。プレス圧抜き行程では、1.0秒間掛けて第1及び第3のシリンダ室51、53の圧力が0Mpaに減衰し、プレス機の出力が150tonから0tonに落ちるのを待つ。また同時に、第1の電磁弁24をオンとして自動供給弁23が再び開くことができる状態にする。このため、第3のシリンダ室53は実効的に油タンク1に連通され作動油の吐出が可能になる。そして、第2の電磁弁25はオフであるから油圧回路31と油圧回路32の連結が絶たれる。このため、先ほどとは逆方向に、第1のシリンダ室51から油圧回路31、油圧ポンプ7、チェック弁21、油圧回路33を経由して第2のシリンダ室52に至るクローズド油圧回路が構成されることとなる。
【0055】
ステップS12は、プレス上昇加速の行程である。ここでは、交流サーボモータ6を、0.8秒の間に、0回転から−1000回転まで逆回転方向に急加速する。ピストン体54は停止状態から57.1mm/secのスピードまで急加速される。逆転側の油圧回路38の圧油が第2のシリンダ室52に送られ、この間にピストン体54は20mm上昇する。この時、第1の電磁弁24がオンであるから油圧回路34の油圧がパイロット圧として自動供給弁23に供給され、油圧回路35の作動油を油圧ホース48に逃がすことが可能になる。従って、第3のシリンダ室53の作動油は自動供給弁23を経由して油タンク1に戻される。
【0056】
ステップS13は、プレス上昇低速の行程である。ここでは、交流サーボモータ6を逆方向に−1000回転で3.90秒の間、57.1mm/secのスピードで低速運転する。この間にピストン体54は217mm上昇する。この低速の間に上金型209が下金型207から逃げる。
【0057】
ステップS14は、プレス上昇再加速の行程である。ここでは、交流サーボモータ6を、0.90秒の間に、−1000回転から−2100回転まで加速する。この間にピストン体54は57.1mm/secから119.8mm/secのスピードに加速し、ピストン体54は71mm上昇する。
【0058】
ステップS15は、プレス上昇高速の行程である。ここでは、交流サーボモータ6を、8.80秒の間、逆方向に−2100回転で運転する。この間にピストン体54は119.8mm/secのスピードで1043mm上昇する。上昇高速の間の油圧ポンプ7の吐出圧である油圧回路33の圧力は19.1Mpaであり、第2のシリンダ室52によるプレス機の出力は15tonである。ここでは、第3のシリンダ室53から多量の作動油が排出されるが、それらは油圧ポンプ7を通ることなく自動供給弁23を経由して油タンク1に排出される。従って、油圧ポンプ7の容量が小さくて良い。
【0059】
ステップS16は、プレス上昇減速の行程である。ここでは、交流サーボモータ6が、0.30秒の間に、−2100回転から−800回転まで減速する。この間にピストン体54は、119.8mm/secから45.7mm/secのスピードに減速する。また、ピストン体54この間に17mm上昇する。
【0060】
ステップS17は、プレス上昇再低速の行程である。上昇端が近づいたので低速で上昇させるのである。ここでは、交流サーボモータ6を、0.70秒の間に、−800回転で45.7mm/secのスピードで低速運転をする。この間にピストン体54は27mm上昇する。
【0061】
ステップS18は、プレス上昇再減速の行程である。ここでは、交流サーボモータ6を、0.34秒の間に、−800回転から0回転まで急減速し停止させる。この間にピストン体54は5mm上昇し、ピストン体54の上昇端近傍の初期位置に戻り停止する。
【0062】
ステップS19は、待機の行程である。ここでは、ステップS1からステップS18までの約35秒間に亘る左側のプレス機による一連のシーケンスが終了したので、左側のシリンダユニット20Aを油圧駆動ユニット10から切り離し、右側のシリンダユニット20Bが何時でも駆動できるようにする。そこで、第1の電磁弁24を第2の電磁弁25と同様にオフとする。そして、油圧駆動ユニット10では選択弁8、9の電磁ソレノイド8A、9Aがオフとされ、図3に示すような状態に戻り、シリンダユニット20Aからの油圧ホース42、44は油タンク1に落とされる。しかし、カウンターバランス弁22により第2のシリンダ室52からの戻り油は阻止されるので、ピストン体54は、落下することなく、上昇端近傍の初期位置を維持する。待機の行程にはワークの取り出し等が行われる。この間は、交流サーボモータ6は停止したままで油圧ポンプ7も停止しているので、無駄な作動油の流れはなく、省エネルギーが達成できる。
【0063】
そして、10秒ほど待機すると右側のプレス機のワークの準備が整い、選択弁8、9の電磁ソレノイド8B、9Bがオンとされて右側のシリンダユニット20Bが選択される。以下はステップS1からステップS18で述べたのと同じシーケンスが右側のシリンダユニット20Bで実行される。このようにして、左右のワークが交互に左右のプレス機で加工される。一方のプレス機200Aが待機しワークの交換作業などをしているときに、油圧駆動ユニット10は他方のプレス機200Bのシリンダユニット20Bを駆動しプレス作業を行う。このようにツインのプレス装置200A、200Bを1台の油圧駆動ユニット10で駆動するので非常に効率がよい。その左右を合わせた全加工時間は待機時間を含めて約90秒で自動車の組み立てに要するタスク時間に合わせることができる。
【0064】
このように、本実施の形態では、対となった左右のプレス機を1台の油圧駆動ユニット10と1台の制御装置80で駆動するものであるから、ツインの油圧プレス装置をシステムとして安価に提供できる。そして、交流サーボモータ6を用いて、油圧ポンプ7を必要なときに必要な回転数で要求されるトルクで駆動するものであるから、150tonという出力と1400mmのストロークという仕様からは考えられないほど静粛なプレス装置となった。騒音値は75dBであった。
【0065】
従来の150トンプレス機では交流誘導モータを用いている。交流誘導モータは1200回転の一定回転数で油圧ポンプを回転駆動し、負荷トルクに応じて電流値を増やし出力を増加させる。つまり、従来は油圧ポンプは一定方向に定速で回転しっぱなしであり、油圧回路のバルブの切り替えで上記ステップS1〜S18の作動をさせてきた。このため、高圧の作動油を油タンクに逃がしたりする必要が生じ、エネルギーロスを生じていた。また、ステップS1〜ステップS18に示すような細かな俊敏な動作は複雑な油圧回路を必要とし、メインテナンス上の問題が大きかった。
【0066】
たとえば、高圧力でワークを押し付け静止しているステップS7のプレス加圧保持行程の際には15,730kcal/hの発熱量が生じていた。これに対して、本発明装置ではプレス加圧保持行程の際には204kcal/hしか発熱しなかった。これは、交流サーボモータ6の回転を制御して圧力を制御しているからである。また、従来の装置では、ステップS0、ステップS19の待機工程では、アンロード弁で作動油をすべて油タンクに戻さなければならないので、1,875kcal/hの作動油の発熱を生じる。これに対して、本発明装置ではステップS0、ステップS19の待機工程では油圧ポンプ7は停止しており作動油の発熱量は0kcal/hである。待機工程はワークの交換等でかなりの時間(今回のツイン油圧プレス装置の例では、各プレス機の作動時間が約35秒であるのに対して待機時間は約55秒である)を要するから、このエネルギーロスは機械の全稼働時間で考えるとかなりの量になる。このため、2台のプレス機200A、200Bを作動中の作動油の油温の上昇は室温+10°Cに抑えることができた。このように、発熱量が非常に小さいから、従来の油圧プレス装置では必要であった作動油の水冷クーラーを、本システムは必要としていない。
【0067】
さらに、プレス下降高速(ステップS3)、プレス上昇高速(ステップS15)等の行程は作動油を第3のシリンダ室53に自動吸引、自動排出させているから、油圧ポンプ7の吐出量が少なくて済み、油圧ポンプ7の小型化ができた。これらの点から、油圧駆動ユニット10をコンパクトにすることができた。また、油圧プレス装置のタクトの変更や調整は制御装置80内のタッチパネル82から容易に行うことができ、ワークの変更等に対処するのも容易である。
【0068】
以上述べた実施の形態では油圧ポンプ7をピストンポンプとして説明したが、油圧ポンプ7としてベーンポンプを用いても良い。ベーンポンプはピストンポンプと比べて高圧使用での耐久性がやや劣るが、騒音がより静かで油圧の脈動の少ないものとすることができる。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、1台の油圧駆動ユニットで2台のプレス機のシリンダユニットを駆動制御し、しかもその油圧回路がクローズド油圧回路を構成するようにし、サーボモータにより油圧ポンプを正逆両方向に制御するものであるから、油圧プレスシステムとして安価であり、作動油の温度の上昇が少なく水冷クーラー等を必要とせず、高速かつコンパクトで省エネルギーを実現できる油圧プレス装置を提供することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るツイン油圧プレス装置が適用される自動車のドア組み立てラインを示す平面図である。
【図2】本発明に係るツイン油圧プレス装置を示す正面図である。
【図3】油圧駆動ユニットの油圧回路図である。
【図4】各油圧プレス機のシリンダユニットの油圧回路図である。
【図5】シリンダユニットの正面図であり左半分を断面にして示している。
【図6】シリンダユニットを示す側面図である。
【図7】制御装置を示すブロック図である。
【図8】作動を説明する動作線図である。
【符号の説明】
1 油タンク
6 交流サーボモータ
7 油圧ポンプ
8 第1の選択弁
9 第2の選択弁
10 油圧駆動ユニット
20A、20B シリンダユニット
23 自動供給弁
24 第1の電磁弁
25 第2の電磁弁
28 圧力センサー
37 正転側の油圧回路
38 逆転側の油圧回路
41〜48 油圧ホース
50 多重油圧シリンダ
51 第1のシリンダ室
52 第2のシリンダ室
53 第3のシリンダ室
54 ピストン体
80 制御装置
91 位置検出器(ロータリエンコーダ)

Claims (3)

  1. 2機の油圧プレス機を1台の油圧駆動ユニット及び1台の制御装置で駆動するツイン油圧プレス装置であって、
    前記各油圧プレス機のスライダを昇降させる油圧シリンダが、
    (a)受圧面積の小さな往道用の第1のシリンダ室と、
    (b)前記第1のシリンダ室と同じ受圧面積を有する復道用の第2のシリンダ室と、
    (c)受圧面積の大きな往道用の第3のシリンダ室と、
    (d)前記各シリンダ室を区画する一体のピストン体と、
    を有する多重油圧シリンダからなり、
    前記油圧駆動ユニットが、
    (e)正逆両方向に作動油を圧送可能な定容積型可逆の油圧ポンプと、
    (f)前記油圧ポンプを正逆両方向に回転駆動するサーボモータと、
    (g)前記制御装置からの指令に従い前記油圧ポンプの正逆の吐出口と接続される油圧プレス機を選択する2つの選択弁と、
    (h)前記選択弁により選択された油圧プレス機と油圧駆動ユニットとの間で前記第1のシリンダ室と前記第2のシリンダ室とを前記油圧ポンプを介して連結するクローズド油圧回路を構成することと、
    を備え、
    前記油圧シリンダを擁するシリンダユニットまたは前記油圧駆動ユニットが、
    (i)前記第3のシリンダ室と油タンクとを自動供給弁を介して連結する自動供給油圧回路と、
    (j)前記制御装置の指令に基づき前記油圧ポンプの一方の吐出口と第3のシリンダ室とをチェック弁を介して連結する加圧油圧回路と、
    を備え、
    前記制御装置が、
    (k)前記第3のシリンダ室の油圧を検出する圧力センサーからの信号と、
    (l)前記ピストン体若しくはピストン体と一体となったラム、スライド等の位置を検出する位置センサーからの信号と、
    に基づき前記サーボモータを制御する手段を備える、
    ことを特徴とするツイン油圧プレス装置。
  2. 前記定容積型可逆の油圧ポンプが、ベーンポンプであることを特徴とする請求項1記載の油圧プレス装置。
  3. 前記定容積型可逆の油圧ポンプが、ピストンポンプであることを特徴とする請求項1記載の油圧プレス装置。
JP2003071309A 2003-03-17 2003-03-17 ツイン油圧プレス装置 Pending JP2004276067A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003071309A JP2004276067A (ja) 2003-03-17 2003-03-17 ツイン油圧プレス装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003071309A JP2004276067A (ja) 2003-03-17 2003-03-17 ツイン油圧プレス装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004276067A true JP2004276067A (ja) 2004-10-07

Family

ID=33287778

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003071309A Pending JP2004276067A (ja) 2003-03-17 2003-03-17 ツイン油圧プレス装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004276067A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103158275A (zh) * 2011-12-09 2013-06-19 苏州工业园区高登威科技有限公司 液压油管
JP2013185648A (ja) * 2012-03-08 2013-09-19 Taiyo Ltd 流体圧シリンダ装置
CN104265109A (zh) * 2014-07-30 2015-01-07 天津市裕泰机械有限责任公司 一种压力机安全门
CN110240067A (zh) * 2019-07-18 2019-09-17 上海振华重工(集团)股份有限公司 一种岸桥倾转-挂仓一体化电液控制系统及其控制方法
CN110526162A (zh) * 2019-09-30 2019-12-03 中船第九设计研究院工程有限公司 一种液压顶升负载控制系统

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103158275A (zh) * 2011-12-09 2013-06-19 苏州工业园区高登威科技有限公司 液压油管
JP2013185648A (ja) * 2012-03-08 2013-09-19 Taiyo Ltd 流体圧シリンダ装置
CN104265109A (zh) * 2014-07-30 2015-01-07 天津市裕泰机械有限责任公司 一种压力机安全门
CN110240067A (zh) * 2019-07-18 2019-09-17 上海振华重工(集团)股份有限公司 一种岸桥倾转-挂仓一体化电液控制系统及其控制方法
CN110240067B (zh) * 2019-07-18 2023-11-10 上海振华重工(集团)股份有限公司 一种岸桥倾转-挂仓一体化电液控制系统及其控制方法
CN110526162A (zh) * 2019-09-30 2019-12-03 中船第九设计研究院工程有限公司 一种液压顶升负载控制系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3782710B2 (ja) 油圧プレス装置
US9889621B2 (en) Press and method for pressing workpieces
JP3609127B2 (ja) 油圧プレスのラム駆動用油圧回路
WO2006123452A1 (ja) プレス機械のダイクッション装置
CN106925653B (zh) 模具缓冲装置和控制所述模具缓冲装置的方法
CN102596527A (zh) 用于成形装置的顶出装置
JP2004160529A (ja) 複動油圧プレス
JP2007075846A (ja) プレスのダイクッション装置
JP2004276067A (ja) ツイン油圧プレス装置
JP4465543B2 (ja) 高速プレス装置
US6959581B2 (en) Press brake and ram movement method for press brake
JP2007160319A (ja) プレス用ダイクッション装置
JP2006297411A (ja) プレス機械
JPH08174097A (ja) 油圧式タレットパンチプレスの油圧回路
JPH10180500A (ja) ラム昇降作動装置
EP0752307B1 (en) Drive for a press working machine
JP2000254799A (ja) プレス機械
JP5007798B2 (ja) プレス機械のダイクッション装置及びダイクッションの動作制御方法
JP3509918B2 (ja) パンチヘッド打撃用のピストンロッドを備えたパンチプレスにおける油圧シリンダの駆動装置
JP7110667B2 (ja) プレス機械及びプレス機械の制御方法
JPH08118086A (ja) プレス機械の駆動装置
JP2003094197A (ja) プレス機械および同プレス機械を用いたプレス加工方法
JP4558867B2 (ja) プレスブレーキにおけるラム移動方法およびこのラム移動方法を用いたプレスブレーキ
CN214366942U (zh) 一种防滑块跌落的折弯机液压系统
TWI829132B (zh) 衝壓裝置及衝壓裝置之控制方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20041214

A621 Written request for application examination

Effective date: 20051118

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080422

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20081007

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090421