JP4465543B2 - 高速プレス装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加工材(ワーク)を強圧して塑性加工を行なうプレス装置に係り、特に作動流体の圧力を利用して塑性加工を行なう高速プレス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
大きな推力(圧力)を必要とする圧延機やプレスなどの加圧装置は、その大部分が油圧などを利用した液圧駆動方式である。従来の液圧駆動方式は、電動機(モータ)を一定速度で回転させ、それによって油圧ポンプを一定速度で回転させて常時圧油を生産している。そして、油圧シリンダなどのアクチュエータに仕事をさせないときには、アクチュエータに圧油を供給する流路を制御弁によって閉じ、行き場のなくなった圧油をリリーフ弁を介して油タンクに戻している。圧力エネルギーを持った圧油がタンクに戻されると、そのエネルギーが熱エネルギーに変換されてタンク内の作動油の温度を上昇させる。ところで、作動油が高温になると、油の粘度が低下し、さらに品質が劣化するために冷却する必要がある。そして、大推力の装置においては、自然空冷だけでは冷却が間に合わず、強制冷却を必要とする。このため、作動油を冷却するための電力も必要となり、二重のエネルギー損失となる。
【0003】
このようなエネルギーの損失を避けるため、本願発明者は、二方向吐出油圧ポンプを使用してポンプの吐出方向、吐出量、吐出圧を制御することにより、制御弁を用いずにアクチュエータを直接駆動する「液圧駆動式塑性加工装置」を提案した(特開平10−166199号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、プレス装置の場合、ワークの装着、取出し工程においては、通常、作業時間の短縮を図るためにシリンダのロッド(ラム)を加工位置から高速に退避(後退)させ、また加工工程においては、ワークに接触する直前までシリンダロッドを高速前進させることが要求される。すなわち、プレス装置の場合、ワークを加圧するときには、シリンダロッドの速度が低速であってもよいが、無負荷時の前進、後退のときには、ロッド(ラム)を素早く動かしたい、というのが一般的要求である。しかし、上記「液圧駆動式塑性加工装置」は、無負荷時におけるシリンダロッドの進退速度を高速化するこのような要求に対して充分に対応することができない。
本発明は、前記要求に鑑みてなされたもので、無負荷時におけるプレスシリンダのラムの進退速度を高速化することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の適用例1に係る高速プレス装置は、二方向に作動流体を吐出可能なポンプと、シリンダチューブのヘッド部とラムとの間に室が形成してあるプレスシリンダと、このプレスシリンダより小径に形成され、ピストンの一側の室が前記ポンプの一方の吐出口に接続され、前記ピストンの他方側の室が前記ポンプの他方の吐出口に接続されて、前記プレスシリンダのラムを進退させる補助シリンダと、作動流体を貯溜したタンクと前記プレスシリンダの室とを接続する流路に設けられ、前記ラムの前進時に両者を連通して前記タンク内の作動流体を前記プレスシリンダの室に流入させるプレフィル弁と、前記プレスシリンダのラムの位置を検出する位置センサと、この位置センサの出力信号に基づいて、前記ラムが所定の位置まで前進したときに、前記ポンプの作動流体の吐出量を少なくする制御部と、前記ポンプの一方の吐出口と前記プレスシリンダの前記室との間に設けられ、前記ポンプの吐出した作動流体の圧力が予め定めた値になったときに両者を連通し、前記ポンプの吐出した作動流体を前記室に供給するプレス圧供給回路とを有することを特徴としている。
【0006】
そして、適用例2に係る発明は、前記補助シリンダの他方側の室と前記ポンプの他方の吐出口とを接続した流路に、前記補助シリンダの非作動時に、他方側の室から作動流体が流出するのを阻止する落下防止弁が設けてあることを特徴としている。
【0007】
またそして、適用例3に係る発明は、シリンダチューブのヘッド部とラムとの間に形成したヘッド側室と、前記ラムの後端部に形成されて前記シリンダチューブに設けたプランジャ部が嵌入する小径室と、前記ラムの外周面と前記シリンダチューブの内周面との間に形成したラム側室とを有するプレスシリンダと、二方向に作動流体を吐出可能であって、一方の吐出口が前記プレスシリンダの小径室に接続され、他方の吐出口が前記プレスシリンダのラム側室に接続されたポンプと、作動流体を貯溜したタンクと前記プレスシリンダのヘッド側室とを接続する流路に設けられ、前記ラムの前進時に両者を連通して前記タンク内の作動流体を前記プレスシリンダのヘッド側室に流入させるプレフィル弁と、前記プレスシリンダのラムの位置を検出する位置センサと、この位置センサの出力信号に基づいて、前記ラムが所定の位置まで前進したときに、前記ポンプの作動流体の吐出量を少なくする制御部と、前記ポンプの一方の吐出口と前記プレスシリンダのヘッド側室との間に設けられ、前記ポンプの吐出した作動流体の圧力が予め定めた値になったときに両者を連通し、前記ポンプの吐出した作動流体を前記ヘッド側室に供給するプレス圧供給回路とを有することを特徴としている。
【0008】
さらに、適用例4に係る発明は、二方向に作動流体を吐出可能なポンプと、シリンダチューブのヘッド部とラムとの間に形成したヘッド側室と、前記ラムの外周面と前記シリンダチューブの内周面との間に形成されて前記ポンプの他方の吐出口に接続したラム側室とを有するプレスシリンダと、このプレスシリンダのシリンダチューブより小径に形成されて前記ポンプの一方の吐出口に接続され、前記プレスシリンダのラムを前進させる補助シリンダと、作動流体を貯溜したタンクと前記プレスシリンダのヘッド側室とを接続する流路に設けられ、前記ラムの前進時に両者を連通して前記タンク内の作動流体を前記プレスシリンダのヘッド側室に流入させるプレフィル弁と、前記プレスシリンダのラムの位置を検出する位置センサと、この位置センサの出力信号に基づいて、前記ラムが所定の位置まで前進したときに、前記ポンプの作動流体の吐出量を少なくする制御部と、前記ポンプの一方の吐出口と前記プレスシリンダのヘッド側室との間に設けられ、前記ポンプの吐出した作動流体の圧力が予め定めた値になったときに両者を連通し、前記ポンプの吐出した作動流体を前記ヘッド側室に供給するプレス圧供給回路とを有することを特徴としている。
【0009】
適用例5に係る発明は、シリンダチューブのヘッド部とラムとの間に形成したヘッド側室と、前記ラムの外周面と前記シリンダチューブの内周面との間に形成したラム側室とを有するプレスシリンダと、このプレスシリンダに作動流体を供給する第1ポンプおよび第2ポンプと、これらのポンプと前記プレスシリンダのヘッド側室とを接続する第1流路と、作動流体を貯溜するタンクと前記プレスシリンダのラム側室とを接続する第2流路と、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間の前記第1流路に設けられ、前記ラムによる加圧時に第2ポンプの吐出した作動油が前記第1ポンプ側に流れるのを阻止する方向制御弁と、前記プレスシリンダのラムの位置を検出する位置センサと、この位置センサの出力信号に基づいて、前記ラムが所定の位置まで前進したときに、前記第1モータの駆動を停止する制御部と、前記第1流路と前記第2流路との間に設けられ、前記ラムによる加圧時に前記プレスシリンダのヘッド側室と前記第2ポンプとを連通するとともに、前記プレスシリンダのラム側室と前記タンクとを連通し、前記ラムの後退時に前記第2ポンプと前記ラム側室とを連通するとともに、前記ヘッド側室と前記タンクとを連通する切換弁とを有することを特徴としている。第1ポンプと第2ポンプとは、1つでも複数でもよい。
【0010】
適用例6に係る発明は、シリンダチューブのヘッド部とラムとの間に形成したヘッド側室と、前記ラムの外周面と前記シリンダチューブの内周面との間に形成したラム側室とを有するプレスシリンダと、このプレスシリンダに作動流体を供給する第1ポンプおよび第2ポンプと、この第1ポンプと第2ポンプとを連動して駆動するモータと、前記第1ポンプ、前記第2ポンプと前記プレスシリンダのヘッド側室とを接続する第1流路と、作動流体を貯溜するタンクと前記プレスシリンダのラム側室とを接続する第2流路と、前記第1ポンプと前記第2ポンプとの間の前記第1流路に設けられ、前記ラムによる加圧時に第2ポンプの吐出した作動油が前記第1ポンプ側に流れるのを阻止する方向制御弁と、前記第1ポンプの吐出側を前記タンクに接続する戻し流路に設けられ、前記ラムによる加圧時に第1ポンプの吐出した作動油を前記タンクに戻す戻し弁と、前記第1流路と前記第2流路との間に設けられ、前記ラムによる加圧時に前記プレスシリンダのヘッド側室と前記第2ポンプとを連通するとともに、前記プレスシリンダのラム側室と前記タンクとを連通し、前記ラムの後退時に前記第2ポンプと前記ラム側室とを連通するとともに、前記ヘッド側室と前記タンクとを連通する切換弁とを有することを特徴としている。
【0011】
そして、適用例7に係る発明は、適用例5または6において、前記切換弁は、4ポート3位置電磁切換弁であって、前記ラムの無負荷前進時に、前記第1流路を介して前記ヘッド側室と前記第1ポンプ、前記第2ポンプとを接続するとともに、前記第1流路、前記第2流路を介してヘッド側室とラム側室とを接続することを特徴としている。
【0012】
さらに、適用例8に係る発明は、適用例5ないし7のいずれか1において、前記第1ポンプは低圧大容量ポンプであり、前記第2ポンプは高圧小容量ポンプであることを特徴としている。
また、適用例9に係る発明は、適用例6ないし8のいずれか1において、前記戻し弁は、前記ヘッド側室の圧力によって作動するパイロット操作逆止め弁であることを特徴としている。
【0013】
適用例10に係る発明は、シリンダチューブのヘッド側とラムとの間に形成したヘッド側室と、前記シリンダチューブの内周面と前記ラムの外周面との間に設けたラム側室とを有するプレスシリンダと、二方向に作動流体を吐出可能であって、一方の吐出口が前記ヘッド側室に接続され、他方の吐出口が前記ラム側室に接続されたポンプと、作動流体を貯溜するタンクと前記ヘッド側室とを接続する流路に設けられて前記ラム側室の圧力によって作動し、前記ラムの前進時に両者を連通して前記タンク内の作動流体を前記ヘッド側室に流入させるプレフィル弁と、前記ラムの位置を検出する位置センサと、この位置センサの出力信号に基づいて、前記ラムが所定の位置まで前進したときに、前記ポンプの作動流体の吐出量を少なくする制御部とを有することを特徴としている。
【0014】
そして、適用例11に係る発明は、適用例10において、前記ヘッド側室には、前記ラムを前進方向に付勢するばねが配設してあることを特徴としている。
また、適用例12に係る発明は、適用例3ないし11のいずれか1において、前記ラム側室に接続した流路には、前記ラムの非作動時に、前記ラム側室から作動流体が流出するのを防止する落下防止弁が設けてあることを特徴としている。
【0015】
【作用】
上記のごとくなっている適用例1に係る発明は、プレスシリンダのラムによる加圧動作を行なわない無負荷時においては、プレスシリンダより小径に形成した補助シリンダによってプレスシリンダのラムを昇降させるため、プレスシリンダのラムを高速で前進、後退をさせることができる。そして、ラムが所定の位置に達すると、制御部がポンプの作動油の吐出量を少なくするため、ラムの下降速度が減少し、低速で大きな圧力による、すなわち低速大推力による加圧動作を行なわせることができる。したがって、プレスシリンダのラムの無負荷時にラムを高速で前進、後退をさせることができるため、プレス装置による加工効率を向上させることが可能となる。なお、補助シリンダの他方側の室をポンプの他側の吐出口とを接続する流路に、補助シリンダの非作動時に他方側の室から作動油が流出するのを阻止する落下防止弁を設けると、停電時や通電をしていないときに、プレスシリンダのラムが落下するような危険を避けることができる。
【0016】
また、適用例3に係る発明によれば、プレスシリンダのラムの無負荷時にラムに設けた小径室にポンプから作動油を供給することにより、プレスシリンダのラムを高速で前進(下降)させる押し動作をすることができる。そして、ラムが所定の位置まで前進し、金型がワークに接触すると、ワークの反力により流路の内圧が上昇する。その内圧により、プレス圧供給回路が連通して大径シリンダ室に作動油が流入する。したがって、ポンプの吐出量が同じでも、大径シリンダ室に作動油が流入することにより、ラムの前進速度が遅くなり、低速度で大きな圧力、すなわち低速大推力による加圧動作が可能となる。また、ラムを後退させる引き動作においては、ラムの外周面とシリンダチューブの内周面との間に設けた、ヘッド側室より受圧面積の小さなラム側室に高圧の作動油を供給することにより、ラムを高速で上昇(後退)させることができ、前記と同様の効果を得ることができる。
【0017】
適用例4に係る発明においては、プレスシリンダの無負荷時にプレスシリンダのラムを前進させる押し動作においては、プレスシリンダのシリンダチューブより小径の補助シリンダに作動油を供給し、補助シリンダによってプレスシリンダのラムを前進させる。したがって、ラムを高速で前進させることができる。また、ラムを後退させる引き動作においては、プレスシリンダのラムの外周面とシリンダチューブの内周面との間に形成した、ヘッド側室より受圧面積の小さなラム側室に作動油を供給することにより、ラムを高速で後退させることができ、プレス作業の作業効率を向上させることができる。
【0018】
適用例5に記載の発明においては、プレスシリンダの無負荷時にプレスシリンダのラムを前進させる場合、第1ポンプと第2ポンプとを駆動する。このため、プレスシリンダのヘッド側室には、両ポンプの吐出した作動油が供給されるため、ラムが高速前進する。そして、ラムが所定の位置に達すると、制御部が第1ポンプの駆動を停止するため、ヘッド側室に供給される作動油の量が少なくなり、ラムが低速前進となる。このため、低速大推力による加圧動作を行なうことができる。このとき、ヘッド側室に接続した第1流路には、第1ポンプと第1ポンプとの間に方向制御弁が設けてあって、第1ポンプ側に作動油が流れるのを防止しているため、第1ポンプが逆回転することがなく、ヘッド側室に確実に作動油(圧油)を供給することができる。また、ラムを後退させる場合、再び第1ポンプと第2ポンプとを駆動して受圧面積の小さなラム側室に作動油を供給することにより、ラムを高速で後退させることができる。
【0019】
適用例6に係る発明においては、プレスシリンダの無負荷時にプレスシリンダのラムを前進させる場合、第1ポンプと第2ポンプとが吐出した作動油をプレスシリンダのヘッド側室に供給することにより、ラムを高速で前進させることができる。そして、ラムによる加圧動作が開始するとヘッド側室の圧力が上昇し、第1流路の第1ポンプと第2ポンプとの間に設けた方向制御弁が閉じ、第2ポンプの吐出した作動油が第1ポンプ側に流れるのを阻止するとともに、第1ポンプの吐出側をタンクに接続する戻り流路に設けた戻し弁が開き、第1ポンプの吐出した作動油をタンクに戻す。このため、ヘッド側室には、第2ポンプが吐出する作動油だけが供給されるため、ラムの前進速度が小さくなって低速大推力の加圧が可能となる。また、ラムを上昇させる場合、第1ポンプと第2ポンプとが吐出した作動油をラム側室に供給するため、ラムが高速で後退する。
【0020】
適用例7に係る発明においては、プレスシリンダの無負荷時のラムを前進させるときに、プレスシリンダのヘッド側室を第1ポンプ、第2ポンプに接続するばかりでなく、ラム側室にも接続されている。ヘッド側室にラム側室から排出された作動油が流入する作動回路が形成されるため、第1ポンプと第2ポンプとの吐出する作動油の量は、ラムの断面積とラムの前進量との積に等しい量でよく、ポンプの容量を小さくすることができる。そして、適用例8に係る発明においては、第1ポンプを低圧大容量ポンプとし、第2ポンプを高圧小容量ポンプとすることにより、プレスシリンダのラムの高速移動(前進、後退)とラムによる低速大推力加圧とを効率よく行なうことが可能となる。また、適用例9に係る発明においては、戻し弁をヘッド側室の圧力によって作動するパイロット操作チェック弁としたことにより、制御装置などによる操作を必要とせず、装置の簡素化を図ることができる。
【0021】
適用例10に係る発明においては、プレス装置の場合、一般にプレスシリンダのラムが下向きに配置されるとともに、ラムにスライダと金型とが接続されるため、ラムに下向きの大きな荷重が常に作用している。したがって、ラムによる加圧動作を行なっていない無負荷時には、プレフィル弁がラム側室の圧力によって開き、ヘッド側室がプレフィル弁を介してタンクに連通する。このため、ポンプを駆動してヘッド室側に作動油を供給するときに、タンクから大量の作動油が吸い上げられてヘッド側室に供給されるため、ラムを高速前進させることができる。そして、ラムによる加圧動作が開始されると、ラム側室の圧力が低下し、プレフィル弁が閉じて大推力による加圧動作が行われる。また、ラムを上昇させる場合、ポンプによってヘッド側室の作動油を吸引してラム側室に高圧の作動油が供給されて、ラムが高速で後退するとともに、ラム側室が高圧となってプレフィル弁が開き、ポンプの吐出した作動油の一部がプレフィル弁を介してタンクに戻される。従来技術のバルブ制御では、ラムに過大な荷重を吊り下げると、高速下降(これはあくまでも制御された速度で下降するもの)どころか、激しい勢いで落下してしまう。これを防ぐために、従来は、ラム室側の出口にメータアウト回路を挿入し、絞り弁の絞り量を適当に設定して落下速度を調整している。本発明は、ポンプのラム側室ポートからの吸入量(これはポンプの回転速度に比例する)に見合った速度でラムが下降するので、下降速度を自由に制御することができる。
【0022】
適用例11に係る発明においては、プレスシリンダのヘッド側室にラムを前進方向に付勢するばねを配置したことにより、ラム側室の内圧がばね力に比例した圧力となる。このため、例えばプレスシリンダのラムが横向きに配置されているような、ラムの前進方向に荷重が作用していない場合であっても、適用例10に係る発明と同様の作用を行なわせることができる。また、適用例12に係る発明のように、プレスシリンダのラム側室に接続した流路に落下防止弁を設けることにより、停電時や通電していないときのラムの落下を防止して安全性を高めることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に係る高速プレス装置の好ましい実施の形態を、添付図面にしたがって詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る高速プレス装置の説明図である。図1において、プレス装置10は、プレスシリンダ20と、このプレスシリンダ20のラム22を昇降させる補助シリンダ30とを有している。この補助シリンダ30は、ピストン32の両側にロッド34、36を設けた複動型の両ロッド油圧シリンダであって、片側のロッド(下側のロッド)36にプレスシリンダ20のラム22が接続してある。そして、補助シリンダ30は、シリンダチューブ38の内径がプレスシリンダ20のシリンダチューブ34の内径より小さくなっていて、プレスシリンダ22より高速作動をさせることができるようになっている。また、補助シリンダ30は、ピストン32の一側の室40が第1流路44を介して、二方向吐出型ポンプ50の一方の吐出口52に接続してある。さらに、補助シリンダ30は、ピストン32の他側の室42が第2流路46を介してポンプ50の他方の吐出口54に接続してある。
【0024】
第2流路46には、プレスシリンダ20が作動していないときに、ラム22の落下を防止する落下防止弁60が設けてある。この落下防止弁60は、2ポート2位置の電磁弁であって、位置aのときに、補助シリンダ30の室42から作動流体(作動油)が流出するのを阻止するチェック弁を備えている。そして、落下防止弁60は、位置bのときに室42とポンプ50の他方の吐出口54とを連通し、ラム22の昇降やラム22による図示しないワークの加圧動作を行なわせることができる。
【0025】
ポンプ50は、定容量形の油圧ポンプであって、ポンプ50を回転させるモータ62の回転速度に応じて圧油の吐出量を変えることができるようになっている。また、モータ62は、正、逆回転可能なサーボモータであって、制御部である制御装置を構成しているモータ制御部70によって制御される。このモータ制御部70は、第1加算器72と第2加算器74とサーボ増幅器76とを有し、これらが直列に接続してある。そして、第1加算器72には、制御装置の速度指令部(図示せず)からの速度指令信号Ei が正(プラス)の信号として入力するとともに、プレスシリンダ20のラム22の位置を検出する信号が負(マイナス)の信号として入力する。
【0026】
すなわち、補助シリンダ30の一方のロッド34には、リニアスケールからなる位置センサ80が取り付けてあって、この位置センサ80の出力信号が第1加算器72にフィードバック信号として入力する。そして、第2加算器74には、第1加算器72の演算結果が正の信号として入力する。また、第2加算器74には、第1流路44に設けた圧力センサ82の出力信号が負のフィードバック信号として入力する。そして、第2加算器74の演算結果は、サーボ増幅器76に与えられる。
【0027】
プレスシリンダ20は、シリンダチューブ24のヘッド部とラム22の上端との間に室26を有している。この室26は、流路86を介して作動油を貯溜したタンク88に接続してある。そして、流路86には、ラム22が高速度で前進(下降)したときに、タンク88内の作動油をプレスシリンダ20の室26に流入させるためのプレフィル弁84が配設してある。このプレフィル弁84は、第2流路46の圧力、すなわち補助シリンダ30の室42の圧力によって作動するチェック弁によって構成してある。
【0028】
また、補助シリンダ30の一側の室40とプレスシリンダ20の室26との間には、プレス圧供給回路90が設けてある。そして、プレス圧供給回路90は、補助シリンダ30の室40とプレスシリンダ20の室26とを接続する圧油供給流路92と、この圧油供給流路92を連通遮断する2ポート2位置切換弁94とから構成してある。この切換弁94は、補助シリンダ30の室40の圧力をパイロット圧とするパイロット操作方式となっている。したがって、プレスシリンダ20の室26は、切換弁94が開の位置bになると、圧油供給流路92、室40、第1流路44を介してポンプ50の一方の吐出口52に接続される。さらに、第1流路44と第2流路46との間には、補充流路95がポンプ50と並列に設けてある。そして、補充流路95には、一対のチェック弁96、98が配設してある。これらのチェック弁96、98は、各油圧機器のポートの内部から漏れ出した作動油がドレンポートを通ってタンク88に流出し、油圧回路内の作動油が不足した場合に、その不足分をタンク88から回路に吸い上げるためのもので、チェック弁96、98の間の補充流路95が流路99を介してタンク88に接続してある。
【0029】
上記のごとく構成した第1実施形態に係るプレス装置10の作用は、次の通りである。まず、プレスシリンダ20の無負荷状態、または金型およびスライド等だけを動かす場合、すなわちプレスシリンダ20のラム22を高速前進(高速下降)させる場合、制御装置は、第2流路46に配設した落下防止弁60に作動信号を与え、落下防止弁60を位置bにして補助シリンダ30の他側の室42とポンプ50の吐出口54とを連通するとともに、位置指令信号Ei をモータ制御部70に入力し、サーボモータ62を例えば正方向に高速回転する。モータ62が正回転すると、ポンプ50も正回転して一方の吐出口52から圧油が吐出され、第1流路44を介して補助シリンダ30の一側の室40に供給される。補助シリンダ30は、小径に形成して比較的少量の作動油で高速動作が可能となっているため、作動油が室40に供給されるとピストン32が高速で下方へ移動する。このため、補助シリンダ30のロッド36に接続したプレスシリンダ20のラム22がロッド36と一体に高速度で下降する。このとき、プレスシリンダ20の室26が負圧となるため、流路86に設けたプレフィル弁84が開き、タンク88内の作動油が流路86を介してプレスシリンダ20の室26に流入する。
【0030】
一方、補助シリンダ30のロッド34に取り付けた位置センサ80は、ロッド34の動きを電気信号Ef1に変換して出力する。この位置センサ80の出力信号Ef1は、制御装置の位置検出部(図示せず)に入力されるとともに、モータ制御部70の第1加算器72にフィードバック信号として入力する。そして、制御装置は、ロッド34のストローク量が所定値、すなわちプレスシリンダ20のラム22が所定の位置(ラム22に取り付けた金型がワークに接触する直前の位置)まで前進すると、モータ制御部70にモータ62を減速する。このため、ポンプ50の吐出量が減少し、補助シリンダ30のロッド34、36の移動速度が低下してプレスシリンダ20のラム22も前進速度が減速する。
【0031】
ラム22が減速状態のままさらに前進(下降)し、ラム22に取り付けた金型がワークに接触すると、補助シリンダ30の他側の室42の圧力が急速に減少して一側室40の圧力が急激に上昇する。室40の圧力が上昇すると、プレス圧供給回路90の切換弁94が作動し、圧油供給流路92を遮断している位置aから位置bに切り換わり、補助シリンダ30の室40とプレスシリンダ20の室26とを連通する。このため、圧油供給流路92を介してプレスシリンダ20の室26に圧油が供給され、室26の圧力が上昇してプレフィル弁84が閉じられる。そして、プレスシリンダ20の室26が高圧となり、補助シリンダ30の室40に供給された作動油とプレスシリンダ20の室26に供給された作動油の圧力によってワークの加圧が行われる。このプレスシリンダ20による加圧圧力は、第1流路44に設けた圧力計82によって油圧として検出され、電気信号Ef2に変換されてモータ制御部70の第2加算器74にフィードバックされる。モータ制御部70は、ラム22による加圧圧力が設定された値となるように、モータ62の回転速度を介してポンプ50の圧油の吐出量を制御すとともに、位置センサ80の出力信号Ef1に基づいて、ラム22の位置が所定の位置となるように制御する。
【0032】
ラム22による加圧動作が終了すると、制御装置は、モータ制御部70にサーボモータ62を逆回転させる回転速度信号Ei を与える。これにより、ポンプ50は、モータ62の逆回転によって一方の吐出口52から作動油を吸引し、他方の吐出口54から圧油を吐出する。このため、第1流路44の圧力が低下してプレス圧供給回路90の切換弁94が遮断位置aになるとともに、第22流路46の圧力が上昇し、落下防止弁60が正方向に自然導通する。さらに、プレフィル弁84は、第2流路46の圧力が高くなるために開となり、プレスシリンダ20の室26をタンク88に連通する。そして、第2流路46を介してポンプ50から作動油が小径の補助シリンダ30の室42に供給され、ロッド36が高速で上昇すると、このロッド36に取り付けたプレスシリンダ20のラム22がロッド36と一体に高速で上昇する。プレスシリンダ20の室26内の作動油は、ラム22の上昇に伴い流路86、プレフィル弁84を介してタンク88に戻される。
【0033】
制御装置は、補助シリンダ30のロッド34が所定の位置まで上昇すると、モータ62の駆動を停止するとともに、落下防止弁60への作動信号の出力を停止する。これにより、落下防止弁60は、補助シリンダ30の室42をポンプ50に接続している位置bから位置aに切り換わる。したがって、補助シリンダ30の室42からの作動油の流出が阻止され、ロッド36が下方に移動することがなく、プレスシリンダ20のラム22の落下を防止することができる。
【0034】
なお、油圧回路中の作動油がポートから漏れてタンク88に流出し、例えば第1流路44の作動油が不足すると、第1流路44の圧力が低下し、補充流路95に設けたチェック弁96が開となり、タンク88内の作動油が流路99、チェック弁96を介して第1流路44に流入して不足分を補充する。
【0035】
このように、第1実施形態のプレス装置10においては、プレスシリンダ20のラム22による加圧を行なわないときのラム22の昇降(進退)を、小径の補助シリンダ30によって行なうようにするようにしてあるため、比較的小出力のモータと、小容量のポンプとを用いたとしても、プレス装置10にワークを配置したり、プレス装置10からワークを取り外す際の、プレスシリンダ20のラム22の移動を高速で行なうことができる。そして、実施形態のプレス装置10は、位置センサ80によってラム22の前進位置を検出し、ラムが所定位置まで前進すると、大径のプレスシリンダ22の室26に直接高圧の作動油を供給するようにしてあるため、ラム22による加圧時に低速大推力の加圧動作が可能となり、プレスによる剪断加工や絞り加工などの塑性加工の効率を向上することができる。
【0036】
なお、前記実施形態においては、ポンプ50をサーボモータ62によって駆動する場合について説明したが、サーボモータ62に代えて汎用の誘導電動機とインバータとを組み合わせたものであってもよい。要するに、回転方向、回転速度、回転トルクを制御できる電動機であれば、すべてサーボモータとして機能を有することになる。そして、ポンプは、二方向回転二方向吐出定容量ポンプを例に挙げたが、もちろん一方向回転二方向吐出可変容量ポンプであってもよい。要するに二方向吐出であれば、どのようなポンプでも使用可能である。また、位置センサ80を構成するリニアスケールは、光学式リニアセンサや磁気式リニアセンサ、差動トランス、ポテンショメータ、さらには超音波距離センサやレーザ式距離センサなどであってよい。さらに、前記実施形態においては、モータ制御部70に第1加算器72、第2加算器74を設けてラム22の位置制御と圧力(推力)の制御とを同時にサーボコントロールが可能な場合について説明したが、加算器を1つにして位置の制御または圧力の制御のどちらかだけをサーボコントロールするようにしてもよい。そして、前記実施形態においては、落下防止弁60が2ポート2位置電磁弁である場合について説明したが、落下防止弁60はカウンタバランス弁を使用してもよい。また、停電時や通電停止時に危険性がない場合は、落下防止弁60を省略してもよい。
【0037】
さらに、前記実施形態においては、補助シリンダ30が両ロッドシリンダである場合について説明したが、複動型片ロッドシリンダであってもよい。また、前記実施形態においては、プレス圧供給回路90の2ポート2位置切換弁94として、パイロット操作型を例に挙げたが、これを電磁切換弁とし、流路44の圧力上昇を圧力センサで検出し、図示しない外部コントローラでその圧力を判断して電磁弁を制御してもよい。
【0038】
図2は、第2実施の形態に係るプレス装置の説明図である。この実施形態に係るプレス装置100は、第1実施形態に示した補助シリンダ30が省略されていて、プレスシリンダ110が二重シリンダ構造となっている。すなわち、プレスシリンダ110は、シリンダチューブ112のヘッド部114の中心部に、シリンダチューブ内に突出したプランジャ部116が設けてある。そして、プレスシリンダ110は、後端側をシリンダチューブ112に挿入したラム118の後端面と、ヘッド部114のプランジャ部116の周囲との間にヘッド側室120が形成してある。また、ラム118の後端面中央部には、プランジャ部116を嵌入させる小径室122が設けてある。
【0039】
ラム118は、上端部(後端部)にピストン部124が一体に形成してあって、このピストン部124の下方側がピストン部124よりやや小径に形成してある。そして、プレスシリンダ110は、ピストン部124の下方側において、ラム118の外周面とシリンダチューブ112の内周面との間に、ラム側室126が形成してある。さらに、プランジャ部116の先端部(下端部)には、ラム118の位置を検出するためのリニアスケール(位置センサ)127が配設してある。このリニアスケール127は、小径室122の底部とリニアスケール127までの距離を測定するもので、小径室122の内部に設置されて高圧の作動油に晒されても問題を生じない、例えばヴィーデマン効果による磁歪現象を応用した磁歪式リニア変位センサ、または作動トランス型変位センサなどによって形成してある。そして、リニアスケール127の出力信号は、詳細を図1に示したモータ制御部70に入力される。
【0040】
シリンダチューブ112のプランジャ部116には、小径室112に連通したポートが形成され、このポートに第1流路128を介してポンプ50の一方の吐出口52が接続してある。また、ラム側室126は、第2流路130を介してポンプ50の他方の吐出口54に接続してある。この第2流路130には、前記第1実施形態と同様の落下防止弁60が設けてある。さらに、第2流路130の落下防止弁60よりポンプ50側と、プレスシリンダ110のヘッド側室120との間には、流路132が配設してある。この流路132には、プレフィル弁84とチェック弁132とが直列に設けてある。プレフィル弁84は、第2流路130の圧力がパイロット圧となるパイロット操作チェック弁から構成してあって、ヘッド側室120の圧力がラム側室126の圧力より所定値だけ低いときに開くようになっている。また、チェック弁134は、油圧回路の作動油が不足したときにタンク88から作動油を補充するためのもので、第2流路130の圧力が低くなると開くように配置してある。そして、流路132は、プレフィル弁84とチェック弁134との間においてタンク88に接続してある。
【0041】
第1流路128と流路132との間には、プレス圧供給回路140が設けてある。プレス圧供給回路140は、第1流路128と流路132とを連通する圧油供給流路142と、この圧油供給流路142に設けたパイロット操作2ポート2位置切換弁144とからなっている。そして、切換弁144は、第1流路128の圧力がパイロット圧となっていて、第1流路128が高圧になると第1流路128と流路132とを連通し、ヘッド側室120をポンプ50の吐出口52に接続する。
【0042】
ポンプ50は、前記実施形態と同様に、二方向吐出型の定容量ポンプであって、正逆回転可能なサーボモータ62によって回転駆動させられる。そして、モータ62は、モータ制御部70によって回転が制御される。このモータ制御部70には、プレスシリンダ110に取り付けたリニアスケール127の出力信号とともに、流路132のプレフィル弁84よりプレスシリンダ110側に取り付けた圧力センサ82の出力信号がフィードバック信号として入力する。
【0043】
このように構成した第2実施形態のプレス装置100は、プレスシリンダ110の無負荷時にラムを高速下降させる場合、第1実施形態の場合と同様に、第2流路130に設けた落下防止弁60を位置bにしてプレスシリンダ110のラム側室126とポンプ50とを連通する。そして、モータ62を正方向に回転させてポンプ52の一方の吐出口52から圧油を吐出する。ポンプ50から吐出された圧油は、第1流路128を介してプレスシリンダ110の小径室122に供給され、ラム118を急速に下降(前進)させる。このため、プレスシリンダ110は、ヘッド側室120が負圧となり、プレフィル弁84が開いてタンク88の作動油がヘット側室120に流入する。
【0044】
制御装置は、リニアスケール127の出力信号に基づいてラム118の位置を監視しており、ラム118に取り付けた金型の位置がワークに接触する直前の位置までラム118が下降すると、モータ制御部70に減速指令を与えてモータ62の回転速度を減速する。そして、ラム118が低速状態で下降し、ラム118に取り付けた金型がワークに接触すると、ラム側室126の圧力が急速に低下する。このため、プレフィル弁84が閉じるとともに、第1流路128の圧力が上昇して切換弁144が作動し、位置bに切り換わって第1流路128と流路132とを連通する。したがって、ポンプ50の吐出口52から吐出された高圧の作動油は、ヘッド側室120と小径室122とに供給され、ラム118によるワークの加圧が行われる。
【0045】
制御装置は、加圧が終了するとモータ62を逆回転させる信号を出力する。これにより、ポンプ50も逆回転し、小径室122の内部の作動油が第1流路128を介してポンプ50に吸引され、圧油が他方の吐出口54から吐出される。このため、第1流路128の圧力が低下して切換弁144が図2に示した遮断位置aに戻され、第2流路130の圧力が高くなってプレフィル弁84を開く。そして、ポンプ50の吐出口54から吐出された圧油は、プレスシリンダ110のラム側室126に流入してラム118を高速で上昇させる。ラム118が上昇すると、ヘッド側室120内の作動油は、流路132、プレフィル弁84を介してタンク88に戻される。制御装置は、リニアスケール127の出力信号に基づいて、ラム118が所定の位置まで上昇したことを検知し、モータ62の回転を停止するとともに、落下防止弁60への作動信号の送出を停止する。これにより、落下防止弁60は、図に示した位置aの状態となり、プレスシリンダ110のラム側室126から作動油が流出するのを阻止し、ラム118が落下するのを防止する。
【0046】
図3は、第3実施形態に係るプレス装置の説明図である。このプレス装置150は、補助シリンダ160とプレスシリンダ170とを有している。補助シリンダ160は、単動型の片ロッドシリンダであって、シリンダチューブ162がプレスシリンダ170のシリンダチューブ172より小径に形成してある。そして、補助シリンダ160のロッド164の先端(下端)には、プレスシリンダ170のラム174が接続してある。また、補助シリンダ160に設けた室166は、第1流路128を介してモータ62によって駆動されるポンプ50の一方の吐出口52に接続してある。また、補助シリンダ160のヘッド部には、ロッド164の動きを検出するリニアスケール127が取り付けてあり、ロッド164の位置を介してプレスシリンダ170のラム174の位置を検出できるようにしてある。リニアセンサ127の検出信号は、モータ62を制御するモータ制御部70に入力される。
【0047】
一方、プレスシリンダ170は、ラム174の上部にピストン部176が設けてある。そして、プレスシリンダ170は、ラム174の上端面(後端面)とシリンダチューブ172のヘッド部178との間にヘッド側室180が形成され、ピストン部176の下方に、ラム174の外周面とシリンダチューブ172の内周面との間に形成したラム側室182が設けてある。また、プレス装置150は、プレスシリンダ170のラム側室182が落下防止弁60を設けた第2流路130を介して、ポンプ50の他方の吐出口54に接続してある。この第2流路130とプレスシリンダ170のヘッド側室180との間には、第2実施形態の場合と同様に、プレフィル弁84とチェック弁134とを有する流路132が設けてある。この流路132は、プレフィル弁84とチェック弁134との間でタンク88に接続してある。そして、流路132には、プレフィル弁84よりプレスシリンダ170側に圧力センサ82が取り付けてある。圧力センサ82は、流路132、すなわちプレスシリンダ170のヘッド側室180の圧力を検出してモータ制御部70に送出する。また、第1流路128と流路132との間には、第2実施形態と同様のプレス圧供給回路140が設けてある。
【0048】
このように構成した第3実施形態に係るプレス装置150は、プレスシリンダ170が無負荷のときにラム174を下降させる場合、ポンプ50の一方の吐出口52から吐出した圧油を、小径の補助シリンダ160の室166に供給する。これによりラム174は、補助シリンダ160のロッド164と一体に高速で下降(前進)する。このとき、プレスシリンダ170のヘッド側室180には、プレフィル弁84、流路132を介してタンク88から作動油が流入する。そして、ラム174が所定の位置に達したならば、モータ62の回転速度を遅くし、ラム174の下降速度を減速する。ラム174がさらに下降し、ラム174に取り付けた金型がワークと接触して補助シリンダ160の室166の圧力が上昇すると、第2実施形態において説明したように、第1流路128と流路132との間に設けたプレス圧供給回路140のパイロット操作切換弁144が位置bに切り換わり、高圧の作動油がプレスシリンダ170のヘッド側室180に供給される。これにより、プレフィル弁84が閉じる。そして、プレスシリンダ170のヘッド側室180に供給された圧油と、補助シリンダ160の室166に供給された圧油との圧力により加圧動作が行われる。
【0049】
加圧が終了するとモータ62が逆回転し、補助シリンダ160の室166内の作動油が第1流路128を介して圧油がポンプ50によって吸引され、吐出口54から第2流路130内に吐出される。このため、第1流路128内の圧力が低下して切換弁144が位置aに切り換わって圧油供給流路142を遮断し、第2流路130内の圧力が上昇してプレフィル弁84が開放される。そして、プレスシリンダ170の受圧面積の小さなラム側室182に圧油が供給されてラム174が高速で上昇(後退)し、ヘッド側室180内の作動油がプレフィル弁84を介してタンク88に戻される。
【0050】
図4は、第4実施の形態に係るプレス装置の説明図である。このプレス装置200は、第1ポンプとしての低圧大容量油圧ポンプ202と、第2ポンプとしての高圧小容量油圧ポンプ204とが並列に設けてある。これらの油圧ポンプ202、204は、これらに対応して設けたサーボモータ(モータ)206、208に接続してあって、相互に独立して回転駆動できるようにしてある。すなわち、モータ206、208が接続してあるモータ制御部210は、モータ206とモータ208とに対して個別に制御信号を出力する。
【0051】
油圧ポンプ202、204は、可変容量形の一方向にだけ圧油を吐出するポンプであって、低圧大容量油圧ポンプ202の吐出口が圧油供給流路212を介してプレスシリンダ170のヘッド側室180に接続してある。そして、圧油供給流路212には、作用を後述するチェック弁214が設けてあり、プレスシリンダ170側から油圧ポンプ202に作動油が流入するのを阻止している。また、圧油供給流路212のチェック弁214の下流側に分岐流路216を介して高圧小容量油圧ポンプ204が接続してある。
【0052】
プレスシリンダ170のラム側室182は、落下防止弁60を備えた流路218を介してタンク88に接続してある。そして、落下防止弁60よりタンク側の流路218と、分岐流路216の圧油供給路212への接続点220よりプレスシリンダ170側の圧油供給流路212との間には、4ポート3位置電磁切換弁222が配設してある。この切換弁222は、位置aのときにプレスシリンダ170のヘッド側室180を油圧ポンプ202、204に接続し、ラム側室182をタンク88に接続する。そして、切換弁222は、中立位置bのときに、ヘッド側室180をポンプ202、204に接続するとともに、プレスシリンダ170側のラム側室182を流路218を介して圧油供給流路212に接続する。また、切換弁222は、位置cのときに、ヘッド側室180をタンク88に接続し、ラム側室182を油圧ポンプ202、204に接続する。
【0053】
プレスシリンダ170のヘッド部には、ラム174の位置を検出するリニアスケール127が取り付けてある。このリニアスケール127の検出信号は、モータ制御部210にフィードバック信号として入力される。また、圧油供給流路212の切換弁222より上流側であって、チェック弁214の下流側には、圧油供給流路212内の圧力を検出する圧力センサ82が取り付けてある。この圧力センサ82の出力信号は、リニアスケール127の出力信号と同様にモータ制御部210にフィードバックされる。このモータ制御部210は、前記したモータ制御部70と同様に加算器とサーボ増幅器とから構成してある。
【0054】
このように形成した第4実施形態に係るプレス装置200は、プレスシリンダ170を作動させる場合、落下防止弁60が位置bにされる。そして、無負荷状態のラム174を前進させる下押し動作の場合、制御装置は切換弁222を中立位置bにするとともに、モータ制御部210を介してサーボモータ206、208を高速回転させる。これのより、低圧大容量油圧ポンプ202と高圧小容量油圧ポンプ204とが回転して作動油を吐出する。圧油供給流路212のチェック弁214より下流側は、ラム174の下降により低圧となるため、チェック弁214が開放され、油圧ポンプ202、204の吐出した作動油がヘッド側室180に流入し、ラム174を高速で下降させる。
【0055】
このとき、切換弁222の中立位置bは、ラム側室182に接続した流路218を圧油供給流路212に接続しているため、ラム側室182から排出された作動油がポンプ202、204の吐出した作動油とともにヘッド側室180に流入する差動回路が形成される。したがって、ポンプ202、204がヘッド側室180に供給する作動油は、ラム174の断面積と下降量との積に等しい量であればよく、低圧大容量油圧ポンプ202の容量が小さくともラム174を高速下降させることができる。なお、ラム174の高速下降時には、高圧小容量油圧ポンプ204の駆動を停止し、低圧大容量油圧ポンプ202だけで作動油をヘッド側室180に供給するようにしてもよい。
【0056】
制御装置は、ラム174が所定の位置まで下降(前進)すると、モータ206を停止して低圧大容量油圧ポンプ202の駆動を停止するとともに、切換弁222を加圧動作位置となる位置aにする。このため、圧油供給流路212のチェック弁214よりプレスシリンダ170側の圧力が高くなってチェック弁214が閉じ、圧油が油圧ポンプ202に流入するのを阻止するとともに、ラム側室182がタンク88に接続される。そして、プレスシリンダ170は、ヘッド側室180に高圧小容量油圧ポンプ204の吐出する圧油だけが供給されるため、ラム174が低速大推力による加圧動作が可能となる。
【0057】
制御装置は、ラム174による加圧動作が終了すると、切換弁222を位置cに切り換え、プレスシリンダ170のヘッド側室180をタンク88に接続し、ラム側室182をポンプ202、204に接続するとともに、モータ206、208を高速回転する。これにより、低圧大容量油圧ポンプ202と高圧小容量油圧ポンプ204とが吐出した圧油は、ラム側室182に供給され、ラム174が高速で上昇(後退)し、ヘッド側室180の作動油がタンク88に戻される。なお、この場合、小容量油圧ポンプ204を休止させたとしても、ラム174の上昇速度は、その分遅くなるだけであって、何ら問題を生じない。そして、ラム174の径を太くしてラム側室182の受圧面積を小さくすれば、ラム174の上昇速度をその分だけ速くすることができる。
【0058】
このように構成した第4実施形態のプレス装置230においては、前記各実施形態の場合と同様に、プレスシリンダ170の無負荷時にラム174を高速前進、高速後退をさせることができるとともに、低速大推力の加圧動作が可能である。また、プレス装置230においては、低圧大容量油圧ポンプ202と低圧小容量油圧ポンプ204とを並列に配設したことにより、ラム174の高速押し動作(前進)、高速引き動作(後退)と、低速大推力による加圧動作路を効率よく行なうことができる。なお、低圧大容量油圧ポンプ202と高圧小容量油圧ポンプ204とは、それぞれ複数設けてもよいし、どちらか一方を1台にし、どちらか他方を複数台にしてもよい。
【0059】
図5は、第5実施形態であって、第4実施形態に係るプレス装置200の変形例を示したものである。図5に示したプレス装置230は、低圧大容量油圧ポンプ202と高圧小容量油圧ポンプ204とを、1台のサーボモータ232によって駆動するようになっている。サーボモータ232は、モータ制御部70によって回転が制御される。また、プレス装置230は、低圧大容量油圧ポンプ202とチェック弁214との間の圧油供給流路212と、タンク88との間に、戻し弁であるパイロット操作チェック弁234を有する戻し流路236が設けてある。そして、パイロット操作チェック弁234は、圧油供給流路212のチェック弁214より下流側の圧力がパイロット圧となって作動し、油圧ポンプ202とタンク88とを連通する。他の構成は、第4実施形態に係るプレス装置200と同様である。
【0060】
この第5実施形態に係るプレス装置230は、低圧大容量油圧ポンプ202と高圧小容量油圧ポンプ204とがモータ232によって常に連動して一緒に駆動される。そして、プレスシリンダ170のラム174の高速下降、高速上昇は、第4実施形態に係るプレス装置200と同様に行われる。一方、プレスシリンダ170のラム174が加圧を開始して圧油供給流路212の圧力が上昇すると、チェック弁214が閉じるとともに、パイロット操作チェック弁(戻し弁)234が開き、戻し流路236が開放されて油圧ポンプ202とタンク88とを連通する。このため、ポンプ202が吐出する圧油は、戻し流路236を介してタンク88に戻される。
【0061】
この第5実施形態に係るプレス装置230においては、前記各実施形態と同様に、プレスシリンダ170の無負荷時にラム174を高速前進、後退させることができるとともに、低速大推力による加圧動作が可能である。また、ラム174による加圧動作時に、低圧大容量油圧ポンプ202が吐出した作動油を戻し弁であるパイロット操作チェック弁234を介してタンク88に戻すようにしているため、戻し弁の開閉操作を制御装置によって行なう必要がなく、装置を簡素化することができる。なお、パイロット操作チェック弁234のパイロット圧は、ラム174による加圧動作のときにだけパイロット操作チェック弁234が作動するように設定しておく。
【0062】
図6は、第6実施形態に係るプレス装置の説明図である。このプレス装置240は、プレスシリンダ170のラム174が一般に下向きに配置されるとともに、ラム174にスライダと金型とがかならず接続されることに注目してなされたものである。すなわち、ラム174には、大きな重量を有するスライダと金型とが常に下向きの荷重として掛かっており、この荷重を利用してラム174を高速下降(押し動作)させる構造となっている。
【0063】
このプレス装置240は、プレスシリンダ170のヘッド側室180が第1流路242を介して、二方向に作動油を吐出する可変容量型ポンプ50の一方の吐出口52に接続してある。また、プレスシリンダ170のラム側室182は、落下防止弁60を有する第2流路244を介してポンプ50の他側の吐出口54に接続してある。そして、第1流路242と第2流路244との間には、分岐路246がポンプ50と並列に設けてある。この分岐路246には、パイロット操作チェック弁からなるプレフィル弁84とチェック弁134とが配設してある。また、分岐路246は、プレフィル弁84とチェック弁134との間においてタンク88に接続してある。
【0064】
プレフィル弁84は、第2流路244の圧力によって作動し、第1流路242とタンク88とを連通、遮断する。一方、チェック弁134は、油圧回路内の作動油がドレンから漏れて不足した場合に、作動油をタンク88から油圧回路に補充するためのもので、第2流路244側の圧力が低下すると開いて第2流路244とタンク88とを連通する。そして、第1流路242には、油圧センサ82が設けてあり、プレスシリンダ170のヘッド部には、ラム174の位置を検出するためのリニアスケール127が取り付けてある。このリニアスケール127と圧力センサ82との出力信号は、油圧ポンプ50を駆動する正、逆回転可能なサーボモータ62を制御するモータ制御部70にフィードバック信号として入力する。
【0065】
このように構成した第6実施形態に係るプレス装置240は、前記したように、プレスシリンダ170のラム174に図示しないスライダと金型とが接続され、ラム174、スライダ、金型の重量が常に下向きの荷重として掛かっており、ラム側室182の内圧が下向きの荷重に比例した圧力となっている。このため、プレスシリンダ170を作動させるために落下防止弁60を開状態としたときには、チェック弁134が閉じており、プレフィル弁84が開となっていて、ヘッド側室180が第1流路242、分岐路246を介してタンク88に連通している。したがって、この状態でポンプ50を正方向に回転させてラム174を高速下降(高速押し動作)させると、プレスシリンダ170のラム側室182から作動油がポンプ50によって吸い出されて第1流路242に吐出されるとともに、タンク88から第1流路242に大量の作動油が吸い上げられる。そして、ヘッド側室182には、ポンプ50の吐出した作動油とタンク88から吸い上げられた作動油との合算されたものが供給される。したがって、ポンプ50の容量が比較的容量の小さなものであっても、ラム174を高速で下降させることができる。
【0066】
ラム174が所定の位置まで下降すると、前記したように制御装置がモータ50の回転速度を落し、ラム174の下降速度を減速する。そして、ラム174に取り付けた金型がワークに接触してヘッド側室180の圧力が急上昇すると、ラム側室182の内圧が急減する。このため、プレフィル弁84のパイロット圧がなくなり、プレフィル弁84が閉じる。したがって、ラム174による低速大推力の加圧を行なうことができる。
【0067】
制御装置は、ラム174による所定の加圧工程が終了したならば、前記と同様にモータ62を逆回転する。これにより、ヘッド側室180内の作動油がポンプ50によって吸引され、吐出口54から第2流路244を介してラム側室182に供給され、ラム174が高速で後退する。また、第1流路242側の圧力が低下し、第2流路244側の圧力が上昇してプレフィル弁84が開き、ポンプ50の吐出した作動油の一部がプレフィル弁84を介してタンク88に戻される。このため、プレスシリンダ170のヘッド側室180、ラム側室182の作動油を出し入れするだけでラム174を高速で前進、後退させることができる。なお、プレフィル弁84のパイ路と圧は、ラム174を上昇させるのに充分な圧力に設定してある。
【0068】
図7は、第7実施形態に係るプレス装置に説明図である。この第7実施形態のプレス装置250は、第6実施形態に係るプレス装置240の変形例であって、プレスシリンダ170のヘッド側室180にばね252が圧縮配置してあり、ラム174をばね252によって常に前進方向に付勢している。他の構成は、第6実施形態と同様である。
【0069】
このプレス装置250は、ラム174が横向きに配置されるなど、ラム174に前進方向の荷重が掛からない場合に有効であって、ラム側室182の内圧が常に圧縮ばね252のばね力に比例した圧力となっている。このため、プレス装置250は、前記実施形態と同様に、常時チェック弁134が閉じ、プレフィル弁84が開となっている。したがって、プレスシリンダ170のヘッド側室180、ラム側室182の作動油の出し入れをするだけで、ラム174の高速押し(前進)と高速引き(後退)とを行なうことができる。
【0070】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、プレスシリンダのラムによる加圧動作を行なわない無負荷時においては、プレスシリンダより小径に形成した補助シリンダによってプレスシリンダのラムを昇降させるため、プレスシリンダのラムを高速で前進、後退をさせることができる。そして、ラムによる加圧時に、ポンプの作動油の吐出量を少なくするため、ラムの下降速度が減少し、低速で大きな圧力による、すなわち低速大推力による加圧動作を行なわせることができる。したがって、プレスシリンダのラムの無負荷時にラムを高速で前進、後退をさせることができるため、プレス装置による加工効率を向上させることが可能となる。なお、補助シリンダの他方側の室をポンプの他側の吐出口とを接続する流路に、補助シリンダの非作動時に他方側の室から作動油が流出するのを阻止する落下防止弁を設けると、停電時や通電をしていないときに、プレスシリンダのラムが落下するような危険を避けることができる。
【0071】
また、本発明によれば、プレスシリンダのラムの無負荷時にラムに設けた小径室にポンプから作動油を供給することにより、プレスシリンダのラムを高速で前進(下降)させる押し動作をすることができる。また、ラムを後退させる引き動作においては、ラムの外周面とシリンダチューブの内周面との間に設けた、ヘッド側室より受圧面積の小さなラム側室に高圧の作動油を供給することにより、ラムを高速で上昇(後退)させることができ、前記と同様の効果を得ることができる。
【0072】
さらに、本発明においては、プレスシリンダの無負荷時にプレスシリンダのラムを前進させる場合、プレスシリンダのシリンダチューブより小径の補助シリンダに作動油を供給し、補助シリンダによってプレスシリンダのラムを前進させ、ラムを後退させる場合、プレスシリンダのラムの外周面とシリンダチューブの内周面との間に形成した、ヘッド側室より受圧面積の小さなラム側室に作動油を供給することにより、ラムを高速で後退させることができ、プレス作業の作業効率を向上させることができる。
【0073】
また、本発明においては、プレスシリンダの無負荷時にプレスシリンダのラムを前進させる場合、第1ポンプと第2ポンプとを駆動し、ラムが所定の位置に達すると、制御部が第1ポンプの駆動を停止するため、ヘッド側室に供給される作動油の量が少なくなり、ラムが低速前進となって、低速大推力による加圧動作を行なうことができ、ラムを後退させる場合、再び第1ポンプと第2ポンプとを駆動して受圧面積の小さなラム側室に作動油を供給することにより、ラムを高速で後退させることができる。
【0074】
そして、本発明においては、プレスシリンダの無負荷時にプレスシリンダのラムを前進させる場合、第1ポンプと第2ポンプとが吐出した作動油をプレスシリンダのヘッド側室に供給することにより、ラムを高速で前進させることができ、ラムによる加圧動作時に、第1ポンプの吐出した作動油をタンクに戻し、ラムを上昇させる場合、第1ポンプと第2ポンプとが吐出した作動油をラム側室に供給するため、ラムが高速で後退する。
【0075】
また、本発明においては、プレスシリンダの無負荷時のラムを前進させるときに、プレスシリンダのヘッド側室を第1ポンプ、第2ポンプに接続するばかりでなく、ラム側室にも接続するため、ヘッド側室にラム側室から排出された作動油流入する作動回路が形成されるため、第1ポンプと第2ポンプとの吐出する作動油の量を、ラムの断面積とラムの前進量との積に等しい量でよく、ポンプの容量を小さくすることができる。さらに、本発明においては、第1ポンプを低圧大容量ポンプとし、第2ポンプを低圧小容量ポンプとすることにより、プレスシリンダのラムの高速移動(前進、後退)とラムによる低速大推力加圧とを効率よく行なうことが可能となる。また、本発明においては、戻し弁をヘッド側室の圧力によって作動するパイロット操作チェック弁としたことにより、制御装置などによる操作を必要とせず、装置の簡素化を図ることができる。
【0076】
そして、本発明においては、プレスシリンダのラムが下向きに配置されるとともに、ラムにスライダと金型とが接続されることによる、ラムに下向きの大きな荷重が利用して、ラムによる加圧動作を行なっていない無負荷時にプレフィル弁を開き、プレフィル弁を介してヘッド側室をタンクに連通し、ポンプを駆動してヘッド室側に作動油を供給するときに、タンクから大量の作動油をヘッド側室に供給するようにしており、比較的小容量のポンプでラムを高速前進させることができる。また、本発明は、プレスシリンダのヘッド側室にラムを前進方向に付勢するばねを配置したことにより、ラムの前進方向に荷重が作用していない場合であっても、前記と同様の作用を行なわせうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るプレス装置の説明図である。
【図2】本発明の第2実施の形態に係るプレス装置の説明図である。
【図3】本発明の第3実施の形態に係るプレス装置の説明図である。
【図4】本発明の第4実施の形態に係るプレス装置の説明図である。
【図5】本発明の第5実の施形態に係るプレス装置の説明図である。
【図6】本発明の第6実施の形態に係るプレス装置の説明図である。
【図7】本発明の第7実施の形態に係るプレス装置の説明図である。
【符号の説明】
10、100、150、200、230、240、250……プレス装置、
20、110、170……プレスシリンダ、30、160……補助シリンダ、
22、118、174……ラム、24、40、42……室、50……ポンプ、
52、54……吐出口、62、206、208……モータ、60……落下防止弁、70、210……制御部(モータ制御部)、80……位置センサ、
82……圧力センサ、84……プレフィル弁、
90、140……プレス圧供給回路、94、144、222……切換弁、
116……プランジャ部、120、180……ヘッド側室、122……小径室、
126、182……ラム側室、127……リニアスケール(位置センサ)、
128、242……第1流路、130、244……第1流路、
132、218……流路、202……低圧大容量油圧ポンプ(第1ポンプ)、
204……高圧小容量ポンプ(第2ポンプ)、
234……パイロット操作チェック弁(戻し弁)、236……戻し流路、
252……ばね。
Claims (2)
- シリンダチューブのヘッド側とラムとの間に形成したヘッド側室と、前記シリンダチューブの内周面と前記ラムの外周面との間に設けたラム側室とを有するプレスシリンダと、
二方向に作動流体を吐出可能であって、一方の吐出口が前記ヘッド側室に接続され、他方の吐出口が前記ラム側室に接続されたポンプと、
作動流体を貯溜するタンクと前記ヘッド側室とを接続する流路に設けられて前記ラム側室の圧力によって作動し、前記ラムの前進時に両者を連通して前記タンク内の作動流体を前記ヘッド側室に流入させるプレフィル弁と、
前記ラムの位置を検出する位置センサと、
この位置センサの出力信号に基づいて、前記ラムが所定の位置まで前進したときに、前記ポンプの作動流体の吐出量を小さくする制御部と、
を有してなり、
前記ヘッド側室には、前記ラムを前進方向に付勢するばねが配設してあることを特徴とする高速プレス装置。 - 前記ラム側室に接続した流路には、前記ラムの非作動時に、前記ラム側室から作動流体が流出するのを防止する落下防止弁が設けてあることを特徴とする請求項1に記載の高速プレス装置。
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