JP7120724B2 - 油圧プレスおよびその運転方法 - Google Patents
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Description
第1は特許文献1のタイプで、油圧シリンダ駆動用の作動油を油圧ポンプのみで供給するものである。このタイプでは、スライドの下降、加圧成形、上昇からなる一連の工程の全ての動作に油圧ポンプからの高圧作動油が使われる。このため、充分な容量をもつ大型の油圧ポンプが備えられる。
このような複数回成形する油圧プレスでは、プレスの成形速度を低く抑える(一般に、ワークの温度低下を防ぐために金型が加熱される)必要があるため、プレス駆動系のパワーも低パワー(成形速度に合わせた容量)に設計される。
同図に示す従来のプレスサイクルは、以下のとおりであり、(1)~(6)が1回目の加圧工程、(7)~(10)が2回目の加圧工程である。細線はスライドおよび上金型のストロークを示し、太線はプレス負荷を示している。
(1)ワークが下金型上に設置される。
(2)スライドを停止位置から遊行下降させ、上金型を下降させる。
(3)ワークに上金型が接触した後、ワークに要求される加圧下降速度でワークが成形される。この工程の間、プレス負荷は徐々に増大する。
(4)1回目成形完了点に到達すると加圧完了し、圧抜きする。これによりプレス負荷は急速に減少する。1回目加圧下限を符号LL1で示す。
(5)スライドおよび上金型を上昇させる。
(6)予め設定された位置で予め設定された時間、スライドを停止させ、成形プロセスに必要な処置(金型の潤滑など)を行う。
(7)スライドおよび上金型を停止位置から遊行下降させ、上金型を下降させる。
(8)2回目成形のために加圧下降させる。
この工程の間、プレス負荷は徐々に増大する。
2回目の加工下降(8)の間では、1回目の成形完了点(加圧下限LL1まで)までの昇圧区間(この間ではワークの成形は殆ど行われず、機械系の弾圧エネルギーやシリンダ内の作動油の圧縮ボリュームなどに吸収される)と、それ以降の本来の2回目成形区間が存在する。
(9)2回目成形完了直前ではプレス負荷が急激に増大し、成形完了点到達で加圧完了する。その直後に圧抜きする。2回目加圧下限を符号LL2で示す。
(10)スライドおよび上金型を上昇させ、予め設定された位置で停止させる。そして、次のワークが下金型上に供給されるまで停止する。
(i)同一の金型で同一ワークを再加熱なしに複数回成形する場合
成形工程の途中(1回目工程と2回目工程との間の停止(6))でいったん成形負荷を除荷し、上金型を上昇させ金型と素材との間に空間を設け、成形プロセスに必要な処置(例えば金型の潤滑など)を実施する。
1回目成形の後の2回目成形では、1回目成形の加圧下限LL1から2回目成形の目標値(加圧下限LL2)まで成形する。
この2回目以降の成形においては、前回成形完了時点(LL1)まで昇圧しても成形は殆ど進まず、機械系の弾性エネルギーやシリンダ内の作動油の圧縮ボリュームなどに吸収されるだけで、前回成形完了時点(LL1)以上に昇圧するとはじめて成形が進む。
この場合には1回目の成形を1ロット単位で行い、完了後その1ロットを再加熱し、この1ロットのワークに対して2回目の成形を行う(3回目の成形が必要な場合も2回目と同様に再加熱後成形される)。
その場合も、2回目以降の成形時には、前回成形完了時点(LL1)まで昇圧しても成形は殆ど進まず、機械系の弾圧エネルギーやシリンダ内の作動油の圧縮ボリュームなどに吸収されるだけで、前回成形完了時点(LL1)での圧力以上に昇圧するとはじめて成形が進むことになる。
しかしながら、成形速度を低速で行う必要があるプレスでは、経済性の観点から一般に小さなパワーのものが採用されている。この場合、小さなパワーの油圧源では、シリンダ内の作動油の圧縮性や機械系の伸びの影響で短時間での昇圧はできないので、サイクルタイムが長くなっていた。
そこで、本発明は2回目以降の成形動作の加圧時間を短縮して、サイクルタイムを短縮し、生産性をあげることができる油圧プレスおよびその運転方法を提供することを目的とする。
第2発明の油圧プレスは、第1発明において、前記補制御弁を開閉制御する制御部が備えられており、該制御部は同一ワークに対し2次成形以降を行う2回目以降工程において加圧下降時の前半昇圧区間では前記アキュムレータ内の蓄圧油を前記主油圧シリンダへ供給すべく前記補制御弁を開制御することを特徴とする。
第3発明の油圧プレスの運転方法は、ベッド上の下金型に対し上金型を取付けたスライドを下降上昇させて成形作業を行うための、前記スライドを下降させる主油圧シリンダと、前記主油圧シリンダに対する油圧源としての油圧ポンプおよびアキュムレータとを備えた油圧プレスの運転方法であって、該油圧プレスを用いて行う成形作業が、1次成形を行う1回目工程と、2次成形以降を行う2回目以降工程とを含むものであり、前記1回目工程は、前記油圧ポンプの供給する作動油を用いて実行し、前記2回目以降工程では、加圧下降時の前半昇圧区間ではアキュムレータの供給する作動油を用い、加圧下降時の後半昇圧区間では油圧ポンプの供給する作動油を用いて実行することを特徴とする。
第4発明の油圧プレスの運転方法は、第3発明において、前記成形作業が、同一の金型で同一ワークを再加熱無しに複数回に分けて成形する複数工程成形作業であることを特徴とする。
第5発明の油圧プレスの運転方法は、第3発明において、前記成形作業が、加熱されたワークを成形後、再加熱し、同一の金型で再度成形する複数工程成形作業であることを特徴とする。
第6発明の油圧プレスの運転方法は、第3発明において、前記アキュムレータへの作動油補給は、油圧ポンプから供給するか、または主油圧シリンダの圧抜き時に主油圧シリンダから供給することを特徴とする。
a)加圧工程において補制御弁を開にするとアキュムレータ内の高圧作動油を主油圧シリンダに供給できる。この場合、補給された作動油が機械の弾性エネルギーや作動油の圧縮ボリュームを吸収するので、昇圧を速く行うことができる。このため、2回目以降の加圧工程を短縮することができ、プレス加工の生産性を向上できる。
b)前記主油圧シリンダの圧抜き時に補制御弁を開にして、前記主油圧シリンダ内の圧油を前記アキュムレータ内に供給して蓄圧することができる。
第2発明によれば、制御部が、2回目以降工程における加圧下降時の前半昇圧区間で補制御弁を開制御すると、2回目工程以降における前半昇圧区間での主油圧シリンダへの作動油供給をアキュレータから行うので、機械の弾性エネルギーや作動油の圧縮ボリュームを吸収して昇圧を早め、2回目以降工程での前半昇圧区間の時間を短縮できる。
第3発明によれば、2回目工程以降における前半昇圧区間での主油圧シリンダへの作動油供給をアキュレータから補給することで、機械の弾性エネルギーや作動油の圧縮ボリュームを吸収して昇圧を早め、2回目以降工程での前半昇圧区間の時間を短縮できる。このため、プレス加工の生産性を向上できる。
第4発明によれば、同一の金型で同一ワークを再加熱無しに複数回成形する成形作業において、2回目以降工程での前半昇圧区間の時間を短縮することができる。
第5発明によれば、加熱されたワークを成形後、再加熱し、同一の金型で再度成形する成形作業において、2回目以降工程での前半昇圧区間の時間を短縮することができる。
第6発明によれば、油圧ポンプからだけでなく、主油圧シリンダの圧抜き時に作動油を前記アキュムレータに導入するようにしたので、効率的に高圧作動油をアキュムレータに補給することができる。
図1に基づき、本発明の一実施形態に係る油圧プレスの構成を説明する。
1は主油圧シリンダで、2はそのシリンダ体、3はラムである。ラム3の下端にはスライド4が取付けられている。スライド4の下方にはベッド5が配置されている。そして、一対の金型を構成する上金型6がスライド4の下面に取付けられ、下金型7がベッド5の上面に配置されている。
このような機械的構成は、公知の油圧プレスと同様である。
引戻しシリンダ8の油室8aに作動油を供給すれば、引戻しシリンダ8によりスライド4が上昇する。
このような主油圧シリンダ1と引戻しシリンダ8の伸縮作用によりスライド4が昇降し、上下金型6,7が接近離間するので、成形作業を行うことができる。
主油圧シリンダ1および引戻しシリンダ8には、主作動油供給回路が接続されている。この主作動油供給回路は、ポンプ回路20と第1供給回路30と第2供給回路40とからなる。ポンプ回路20と、第1供給回路30および第2供給回路40との間には主制御弁11が介装されている。
第2供給回路40は、供給管41と逆止弁42とからなる。供給管41は、主制御弁11と2本の引戻しシリンダ8の油室8aの間に配設されている。逆止弁42は作動油の供給のみ許容し、逆流を阻止する向きに介装されている。
主制御弁11は、中立位置では4つのポートが共に閉じられている。I位置では、ポンプ回路20が第1供給回路30に連通し、第2供給回路40がタンク12に連通する。II位置では、ポンプ回路20が第2供給回路40に連通し、第1供給回路30がタンク12に連通する。
前記ポンプ回路20の吐出管22には排出管24が連結されタンク12まで延びている。この排出管24には開閉弁25が介装されていて、常時は開となり電磁操作で閉に切り換るようになっている。この排出管24はポンプ21のアンロード時に作動油をタンク12に返えし無用な負荷をかけないようにするため設けられている。
また、供給管41と排出管44の間には圧力調整弁46が介装され、主油圧シリンダ1を加圧下降させる場合、カウンター圧力をかけながら、作動油をタンク12へ逃がすようになっている。
前記供給管31に介装した圧力センサ32は、主油圧シリンダ1の油室1a内の圧力を検知するために設けられている。
また制御部は、同一ワークに対し2次成形以降を行う2回目以降工程において加圧下降時の前半昇圧区間ではアキュムレータ13内の蓄圧油を主油圧シリンダ1へ供給すべく補制御弁56を開制御する。
図2に示すように、主制御弁11をI位置に切換えると、ポンプ21の吐出した作動油は、ポンプ回路20と第1供給回路30を通じて主油圧シリンダ1の油室1aに供給される。これによりラム3が下降し、これに伴ってスライド4と上金型6が下降するので成形作業を行える。
なお、引戻しシリンダ8内の作動油は第2供給回路40、および圧力調整弁46と排出管44を通じてタンク12へ返される。
なお、主シリンダ1の油室1a内の作動油は開操作されるプレフィルバルブ16を通じて油タンク15に返される。
細線はスライド4および上金型6のストロークを示している。太実線は1回目工程のプレス負荷を示し、太点線は2回目工程のプレス負荷を示している。なお、下記は、(i)同一金型を用い同一ワークを再加熱しない成形方法の場合を説明している。
1回目加圧工程は、図6に示す従来の運転方法と実質的に変ることはないが、以下のとおりである。
(1)ワークが下金型7上に設置される。
(2)スライド4を停止位置から遊行下降させ、上金型6を下降させる。
(3)ワークに上金型6が接触した後、ワークに要求される加圧下降速度でワークが成形される。この工程の間、プレス負荷は増加する。
(4)1回目成形完了点に到達すると加圧完了し、圧抜きする。これによりプレス負荷は急速に減少する。1回目加圧下限を符号LL1で示す。
(5)スライド4および上金型6を上昇させる。
(6)予め設定された位置で予め設定された時間、スライドを停止させ、成形プロセスに必要な処置(金型の潤滑など)を行う。
(7)スライド4および上金型6を停止位置から遊行下降させ、上金型6を下降させる。
(8)2回目成形のために加圧下降させる。
この2回目成形工程では、1回目の成形完了点(加圧下限LL1まで)までの前半昇圧区間81と、その後の後半成形区間82が存在する。図4では、前半および後半の昇圧区間を太点線で示している。
(9)2回目成形ではプレス負荷が急激に増大し、成形完了点到達で加圧完了する。その後、圧抜きする。2回目加圧下限を符号LL2で示す。
(10)スライド4および上金型6を上昇させ、予め設定された位置で停止させ、ワークを取り除く。そして、次のワークが下金型上に供給されるまで停止する。
同図に示すように、本発明における加圧下降8Aでは、前半昇圧区間81におけるアキュムレータ13からの作動油補給があるので、プレス負荷の立上りが急峻となり、従来方法での加圧下降工程8と比べて早く加圧が完了する。このため、プレスが生産性を向上できる。
図5では、このサイクル短縮時間が、太点線(本発明)と太実線(従来技術)との差として示されている。
後者(ii)の場合には1回目の成形を1ロット単位で行い、完了後その1ロットを再加熱し、この1ロットのワークに対して2回目の成形を行っている。その場合も、2回目成形時には、上記と同様に、アキュムレータ13からの作動油補給により2回目工程の前半昇圧区間を迅速に昇圧させることができ、プレス成形時間を短縮することができる。
上記に2回目以降工程でアキュムレータによる主油圧シリンダ1への作動油補給を行う運転方法を説明したが、3回目工程以降を含む複数回成形作業でも上記と同様に、アキュムレータから主油圧シリンダ1への作動油補給を行うと、プレス成形時間を短縮することができる。
4 スライド
5 ベッド
6 上金型
7 下金型
8 引戻しシリンダ
11 主制御弁
13 アキュムレータ
20 ポンプ回路
21 ポンプ
22 吐出管
30 第1供給回路
31 供給管
40 第2供給回路
41 供給管
51 補供給回路
52 開閉弁
55 圧油補給管
56 補制御弁
Claims (6)
- ベッド上の下金型に対し上金型を取付けたスライドを下降上昇させて成形作業を行う油圧プレスであって、
前記スライドを下降させる主油圧シリンダと、
前記主油圧シリンダに対する油圧源としての油圧ポンプおよびアキュムレータと、
前記主油圧シリンダと前記油圧ポンプとの間に配設されたポンプ回路と、
前記油圧ポンプと前記主油圧シリンダとの間に介装された主制御弁と、
前記アキュムレータと前記主油圧シリンダとの間に配設された圧油補給管と、該圧油補給管に介装された補制御弁とを備え、
前記補制御弁は、前記アキュムレータ内の蓄圧油を前記主油圧シリンダに補給する制御と、前記主油圧シリンダ内の圧油を前記アキュムレータ内に供給して蓄圧する制御を行う
ことを特徴とする油圧プレス。 - 前記補制御弁を開閉制御する制御部が備えられており、該制御部は同一ワークに対し2次成形以降を行う2回目以降工程において加圧下降時の前半昇圧区間では前記アキュムレータ内の蓄圧油を前記主油圧シリンダへ供給すべく前記補制御弁を開制御する
ことを特徴とする請求項1記載の油圧プレス。 - ベッド上の下金型に対し上金型を取付けたスライドを下降上昇させて成形作業を行うための、前記スライドを下降させる主油圧シリンダと、前記主油圧シリンダに対する油圧源としての油圧ポンプおよびアキュムレータとを備えた油圧プレスの運転方法であって、
該油圧プレスを用いて行う成形作業が、
1次成形を行う1回目工程と、2次成形以降を行う2回目以降工程とを含むものであり、
前記1回目工程は、前記油圧ポンプの供給する作動油を用いて実行し、
前記2回目以降工程では、加圧下降時の前半昇圧区間ではアキュムレータの供給する作動油を用い、加圧下降時の後半昇圧区間では油圧ポンプの供給する作動油を用いて実行する
ことを特徴とする油圧プレスの運転方法。 - 前記成形作業が、同一の金型で同一ワークを再加熱無しに複数回に分けて成形する複数工程成形作業である
ことを特徴とする請求項3記載の油圧プレスの運転方法。 - 前記成形作業が、加熱されたワークを成形後、再加熱し、同一の金型で再度成形する複数工程成形作業である
ことを特徴とする請求項3記載の油圧プレスの運転方法。 - 前記アキュムレータへの作動油補給は、油圧ポンプから供給するか、または主油圧シリンダの圧抜き時に主油圧シリンダから供給する
ことを特徴とする請求項3記載の油圧プレスの運転方法。
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