JP2018202464A - プレス機械のダブルブランク検出装置及びプレス機械の金型保護装置 - Google Patents

プレス機械のダブルブランク検出装置及びプレス機械の金型保護装置 Download PDF

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Abstract

【課題】プレス機械にダブルブランクが供給された場合に、これを確実に検出することができるプレス機械のダブルブランク検出装置及びプレス機械の金型保護装置を提供する。【解決手段】ダイクッション装置を付属したプレス機械を使用し、ブランク材を1枚ずつ自動的に繰り返し成形するプレス機械のダブルブランク検出装置302である。このダブルブランク検出装置302は、ダイクッション装置のクッションパッドの位置を示すダイクッション位置信号303を取得する位置信号取得部320と、ダイクッション装置のクッションパッドに発生するダイクッション荷重を示すダイクッション荷重信号301を取得する荷重信号取得部310と、取得したダイクッション位置信号303とダイクッション荷重信号301とに基づいてブランク材が複数枚重なった状態をダブルブランクとして検出するダブルブランク検出部330と、を備える。【選択図】 図7

Description

本発明はプレス機械のダブルブランク検出装置及びプレス機械の金型保護装置に係り、特にプレス機械にダブルブランク(ブランク材2枚)が供給された場合に、これを確実に検出する技術に関する。
従来、この種のダブルブランクを検出する方式として、特許文献1に記載のものがある。
特許文献1に記載の直動型プレスの金型保護装置は、スライドを上下動させる油圧シリンダをサーボ弁で駆動する方式の直動式プレス機械を用いてブランク材(ワーク)を成形する場合に、成形開始時点における急激な(油圧シリンダの下降用圧力信号と上昇用圧力信号から演算される)プレス荷重信号の立ち上がり時にスライド位置を検出し、検出したスライド位置が板厚許容範囲(1枚のワークに対する基準板厚位置に基づいて設定した板厚許容範囲)以外にあるとき、ダブルブランク発生と判定し、スライドを加圧加工時と反対方向に移動させている。尚、特許文献1に記載の直動型プレスには、ダイクッション装置が付属していない。
また、広く一般的に用いられているダブルブランク検出方式として、ダブルブランク発生時にのみリミットスイッチがONするように、金型(上型)内部にダブルブランク検出機構を設けるものがある。
特開平10−193199号公報
特許文献1に記載のダブルブランクの検出方法は、プレス荷重とスライド位置とを検出し、成形開始時点におけるプレス荷重の急激な立ち上がり時にスライド位置を検出し、検出したスライド位置が板厚許容範囲以外にあるとき、ダブルブランク発生と判定しているが、検出されるスライド位置の変動幅(バラツキ)が大きく、1枚のブランク材の板厚を超えてスライド位置が変動するため、ダブルブランクを精度よく検出することができないという問題がある。
この理由は、プレス機械がそれに付属するダイクッション装置に対して重厚長大なことに伴い、プレス荷重の検出やスライド位置検出における分解能が低いことや、プレス荷重が成形負荷やプレス機械の(コラムの線膨張等)状態変化に応じて2次的(制御されず)に発生することに因るものと考える。
また、ダブルブランク発生時にのみリミットスイッチがONするように、金型内部にダブルブランク検出機構を設ける場合には、下記の複数の課題がある。
1つ目は、金型毎に微調整する手間を要す課題である。金型毎にリミットスイッチが、ブランク数が正常な1枚の時にはONせず、2枚の時にはONするために必要な微調整に、多くの時間を要す。
2つ目は、検出精度が低い課題である。ダブルブランクを検出する(すべき)成形開始時点は、機械が振動を伴う過度状態に陥る場合が多く、機械的な検出機構を有すリミットスイッチによって1mm前後の検出を精度良く(安定して)行うことが困難である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、プレス機械にダブルブランクが供給された場合に、これを確実に検出することができるプレス機械のダブルブランク検出装置及びプレス機械の金型保護装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために一の態様に係る本発明は、ダイクッション装置を付属したプレス機械を使用し、ブランク材を1枚ずつ自動的に繰り返し成形するプレス機械のダブルブランク検出装置において、前記ダイクッション装置のクッションパッドの位置を示すダイクッション位置信号を取得する位置信号取得部と、前記ダイクッション装置の前記クッションパッドに発生するダイクッション荷重を示すダイクッション荷重信号を取得する荷重信号取得部と、前記位置信号取得部により取得したダイクッション位置信号と前記荷重信号取得部により取得したダイクッション荷重信号とに基づいて前記ブランク材が複数枚重なった状態をダブルブランクとして検出するダブルブランク検出部と、を備える。
本発明の一の態様によれば、特許文献1に記載のスライド位置及びプレス荷重の検出に代えて、クッションパッドの位置及びダイクッション荷重を検出し、クッションパッドの位置を示すダイクッション位置信号及びダイクッション荷重を示すダイクッション荷重信号に基づいてダブルブランクを検出する。
ブランク材を1枚ずつ自動的に繰り返し成形するプレス機械のプレスサイクルにおいて、ブランク材の厚みが一定(正常)の場合、スライド位置信号及びプレス荷重信号に比べて、クッションパッド位置信号及びダイクッション荷重信号は、応答性及び精度が高く安定している。
例えば、板厚1mm前後の薄板(ブランク材)を成形する場合に、厚みが2mm前後に変化した異常(ダブルブランク)を確実に検出するためには、正常時におけるクッションパッド位置信号及びダイクッション荷重信号の安定性、つまり変動幅が小さいことが重要になる。
プレス機械のプレスサイクルにおいて、スライド位置信号及びプレス荷重信号に比べて安定しているクッションパッド位置信号及びダイクッション荷重信号を使用してダブルブランクを検出するため、ダブルブランクを確実に検出することができる。
本発明の他の態様に係るプレス機械のダブルブランク検出装置において、前記ダブルブランク検出部は、前記ダイクッション荷重信号が所定値に立ち上がった時点のダイクッション位置信号をホールドし、前記ホールドしたダイクッション位置信号ホールド値と異常識別値とを比較して前記ダブルブランクを検出することが好ましい。正常時は一定(所定値)のダイクッション荷重信号に立ち上がる時点のダイクッション位置信号ホールド値は安定しているため、ダイクッション位置信号ホールド値の変動から異常(ダブルブランク)を確実に検出することができる。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械のダブルブランク検出装置において、前記プレス機械のスライドが間接的に1枚のブランク材に衝突するときの前記スライドの位置を基準にして、前記ダイクッション装置によるダイクッション荷重制御を開始する場合において、前記異常識別値をY、1枚のブランク材の成形を複数回繰り返して得られる前記ダイクッション位置信号ホールド値の平均値をXAVE、前記ブランク材の板厚をTとすると、前記異常識別値Yは、以下の条件、
Y≦(XAVE−0.3T)、かつY>(XAVE−T)
を満足する値に設定され、前記ダブルブランク検出部は、前記ホールドしたダイクッション位置信号ホールド値が、前記異常識別値Yよりも小さい場合を、前記ダブルブランクとして検出することが好ましい。
ダイクッション荷重制御開始時点を、スライド位置基準(スライド位置が所定のダイクッション開始スライド位置に至った時点)とした場合、ダブルブランク検出時は、通常時に対して、ブランク材1枚分(スライドに押され)小さいダイクッション位置で、スライド位置基準のダイクッション荷重制御の開始時点を迎えるため、ダイクッション位置信号ホールド値はその平均値XAVEより小さくなる。ダイクッション位置信号ホールド値が、上記異常識別値Yよりも小さい場合をダブルブランクとして検出することで、ダブルブランク(2枚以上のブランク材)を確実に検出することができる。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械のダブルブランク検出装置において、前記プレス機械のスライドが間接的に1枚のブランク材に衝突するときの前記スライドの位置を基準にして、前記ダイクッション装置によるダイクッション制御を開始する場合において、前記異常識別値をY、2枚重ねのブランク材を試行した場合に得られるダイクッション位置信号ホールド値をX’、前記ブランク材の板厚をTとすると、前記異常識別値Yは、以下の条件、
Y≧(X’+0.1T)、かつY≦(X’+0.7T)
を満足する値に設定され、前記ダブルブランク検出部は、前記ホールドしたダイクッション位置信号ホールド値が、前記異常識別値Yよりも小さい場合を、前記ダブルブランクとして検出することが好ましい。
ダイクッション位置信号ホールド値X’に、その変動量(ブランク材の板厚Tの10〜70%)を加算した値の範囲内で異常識別値Yを設定し、ダイクッション位置信号ホールド値が、上記異常識別値Yよりも小さい場合をダブルブランクとして検出することで、ダブルブランクを確実に検出することができる。尚、変動量は、スライドが間接的にクッションパッドに接触した瞬間、主に機械の固有振動の影響を受けて変動し、その程度は経験的に板厚Tの10〜70%である。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械のダブルブランク検出装置において、前記プレス機械のスライドが間接的に前記クッションパッドに衝突し、前記クッションパッドに発生するダイクッション負荷変動を基準にして、前記ダイクッション装置によるダイクッション荷重制御を開始する場合において、前記異常識別値をY、1枚のブランク材の成形を複数回繰り返して得られる前記ダイクッション位置信号ホールド値の平均値をXAVE、前記ブランク材の板厚をTとすると、前記異常識別値Yは、以下の条件、
Y≧(XAVE+0.3T)、かつY<(XAVE+T)
を満足する値に設定され、前記ダブルブランク検出部は、前記ホールドしたダイクッション位置信号ホールド値が、前記異常識別値Yよりも大きい場合を、前記ダブルブランクとして検出することが好ましい。
ダイクッション荷重制御開始時点を、ダイクッション負荷発生基準(スライドが間接的にクッションパッドに衝突した瞬間)とした場合、ダブルブランク検出時は、通常時に対して、ブランク材1枚分大きいダイクッション位置で接触し、ダイクッション荷重が上昇し始めるため、ダイクッション位置信号ホールド値はその平均値XAVEより大きくなる。ダイクッション位置信号ホールド値が、上記異常識別値Yよりも大きい場合をダブルブランクとして検出することで、ダブルブランクを確実に検出することができる。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械のダブルブランク検出装置において、前記プレス機械のスライドが間接的に前記クッションパッドに衝突し、前記クッションパッドに発生するダイクッション負荷変動を基準にして、前記ダイクッション装置によるダイクッション荷重制御を開始する場合において、前記異常識別値をY、2枚重ねのブランク材を試行した場合に得られるダイクッション位置信号ホールド値をX’、前記ブランク材の板厚をTとすると、前記異常識別値Yは、以下の条件、
Y≦(X’−0.1T)、かつY≧(X’−0.7T)
を満足する値に設定され、前記ダブルブランク検出部は、前記ホールドしたダイクッション位置信号ホールド値が、前記異常識別値Yよりも大きい場合を、前記ダブルブランクとして検出することが好ましい。
ダイクッション位置信号ホールド値X’に、その変動量(ブランク材の板厚Tの10〜70%)を減算した値の範囲内で異常識別値Yを設定し、ダイクッション位置信号ホールド値が、上記異常識別値Yよりも大きい場合をダブルブランクとして検出することで、ダブルブランクを確実に検出することができる。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械のダブルブランク検出装置において、前記異常識別値を手動で設定する第1の手動設定器、又は自動演算して設定する第1の自動設定器を有することが好ましい。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械のダブルブランク検出装置において、前記ダイクッション荷重信号の所定値は、前記ダイクッション装置の最大ダイクッション荷重の5%以上20%以下の範囲内の値とすることが好ましい。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械のダブルブランク検出装置において、前記ダイクッション荷重信号の所定値を手動で設定する第2の手動設定器、又は前記ダイクッション装置の最大ダイクッション荷重に基づいて自動演算して設定する第2の自動設定器を有することが好ましい。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械のダブルブランク検出装置において、前記ダイクッション装置は、前記クッションパッドの位置を検出し、前記ダイクッション位置信号を出力するダイクッション位置検出器と、前記クッションパッドに発生するダイクッション荷重を検出し、前記ダイクッション荷重信号を出力するダイクッション荷重検出器と、を備え、前記位置信号取得部は、前記ダイクッション位置検出器から前記ダイクッション位置信号を取得し、前記荷重信号取得部は、前記ダイクッション荷重検出器から前記ダイクッション荷重信号を取得することが好ましい。
クッションパッド位置信号及びダイクッション荷重信号は、ダイクッション装置から取得することができ、これらの信号を検出する専用の検出器の追加が不要なため、安価な装置にすることができる。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械の金型保護装置は、前記プレス機械のプレス駆動装置により駆動されるスライドを制動する制動装置と、前記スライドに内蔵され、前記プレス駆動装置により駆動される前記スライドの移動に対して前記スライドの金型装着面を相対的に移動させる液圧シリンダと、を有する前記プレス機械と、上記のプレス機械のダブルブランク検出装置と、前記ダブルブランク検出部により前記ダブルブランクが検出されると、前記制動装置により前記スライドの急制動を開始させるとともに、前記液圧シリンダを脱圧させて前記スライドの金型装着面を含む一部分を上昇方向に相対的に移動させる安全化処置装置と、を備える。
ダブルブランク検出部によりダブルブランクが検出されると、制動装置によりスライドの急制動を開始させる。サーボモータ駆動式のプレス機械の場合、サーボモータに制動方向に最大トルクを作用させて急制動をかける。急制動を開始してもスライド等の慣性により、スライドの停止には有限の時間を要し、その間に成形が進むことになり、金型を破損させるリスクが増す。そこで、急制動を開始するとともに、直ちにスライドに内蔵された液圧シリンダを脱圧させてスライドの金型装着面を含む一部分を上昇方向に相対的に移動可能にする。これにより、成形が開始される前にスライド(金型)を安全に停止させ、金型の破損を防止(金型を保護)する。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械の金型保護装置において、前記ダイクッション装置は、前記クッションパッドを支持し、前記クッションパッドを昇降させるとともに、前記クッションパッドにダイクッション荷重を発生させるダイクッション駆動部と、ダイクッション荷重指令を出力するダイクッション荷重指令器と、前記ダイクッション荷重指令器から出力されるダイクッション荷重指令に基づいて前記ダイクッション駆動部を制御し、前記クッションパッドに前記ダイクッション荷重指令に対応するダイクッション荷重を発生させるダイクッション荷重制御器と、を備え、前記ダイクッション荷重指令器は、前記ダブルブランク検出部により前記ダブルブランクが検出されると、前記クッションパッドが移動する領域のうちの成形が開始されない領域に限り、前記スライドが停止に至る期間、所定のダイクッション荷重指令を出力し、前記ダイクッション荷重指令に対応して前記クッションパッドに発生するダイクッション荷重により前記液圧シリンダを縮退させ、前記スライドの金型装着面を含む一部分を上昇方向に相対的に移動させることが好ましい。
スライドに内蔵された液圧シリンダは、クッションパッドから加わるダイクッション荷重により液圧シリンダの収縮作用が助長されて縮退し、液圧シリンダの縮退に伴ってスライドの金型装着面を含む一部分が上昇方向に相対的に移動する。また、成形が開始されない領域に限り、前記スライドが停止に至る期間、所定のダイクッション荷重指令を出力する。逆に、金型にとって極めて危険な状態であるダブルブランク検出時の成形領域では、基本的にダイクッション荷重は作用させない。成形領域で、その他の、例えば、光線式安全装置を遮光した場合等、操作に伴うプレス機械の非常停止時には、スライドが停止するまで、絞り皺が発生してそれが金型を損傷させることを抑止する為に、所定のダイクッション荷重を作用させている状況とは対処が異なる。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械の金型保護装置において、前記ダイクッション装置は、ダイクッション位置指令を出力するダイクッション位置指令器と、前記ダイクッション荷重制御器によるダイクッション荷重制御終了後に前記ダイクッション位置指令器から出力されるダイクッション位置指令に基づいて前記ダイクッション駆動部を制御し、前記クッションパッドを上昇させて所定のダイクッション待機位置に移動させるダイクッション位置制御器と、を備え、前記所定のダイクッション待機位置は、成形が開始される位置よりも所定量だけ上昇方向に移動した位置であることが好ましい。ダブルブランクが検出された場合に、成形が開始されるまでのスライドの停止時間(スライドの金型装着面の下降量)を確保するためである。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械の金型保護装置において、前記成形が開始されない領域は、前記所定のダイクッション待機位置と前記成形が開始される位置との間の領域である。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械の金型保護装置において、前記ダイクッション荷重指令器は、前記ダブルブランク検出部により前記ダブルブランクが検出されると、前記所定のダイクッション荷重指令として最大ダイクッション荷重指令を自動的に出力することが好ましい。
ダブルブランクが検出されると、液圧シリンダを内蔵したスライドに最大ダイクッション荷重を作用させ、液圧シリンダを可能な限り速く縮退させて成形が開始されないようにするためである。
本発明に係るプレス機械のダブルブランク検出装置によれば、検出精度の高いクッションパッドの位置及びダイクッション荷重をダブルブランクの検出に使用するようにしたため、プレス機械にダブルブランクが供給された場合に、これを確実に検出することができる。
また、本発明に係るプレス機械の金型保護装置によれば、上記のダブルブランク検出装置によりダブルブランクが検出されると、制動装置によりスライドの急制動を開始させるとともに、スライドに内蔵された液圧シリンダを脱圧させてスライドの金型装着面を含む一部分を上昇方向に相対的に移動させるようにしたため、成形が開始される前にスライド(金型)を安全に停止させることができ、金型の破損を防止(金型を保護)することができる。
図1は、プレス機械、ダイクッション装置及び金型保護装置を含む装置全体の実施形態を示す概略構成図である。 図2は、図1に示したプレス機械100及びダイクッション装置200の機構部分を示す図である。 図3は、図1に示したプレス駆動装置240の一例を示す構成図である。 図4は、図1に示した過負荷除去装置220の一例を示す構成図である。 図5は、図1に示したダイクッション駆動装置160Rの一例を示す構成図である。 図6は、主として図1に示したダイクッション制御器170の実施形態を示す構成図である。 図7は、ダブルブランク検出装置302の実施形態を示すブロック図である。 図8は、金型保護装置設定画面の一例を示す図である。 図9は、プレス機械-スライド位置及びダイクッション位置を示す波形図である。 図10は、プレス荷重及びダイクッション荷重を示す波形図である。 図11は、ダイクッション荷重信号500kNの立ち上がり時点のダイクッション位置信号ホールド値のサイクル間の変動を示す図である。 図12は、プレス荷重信号1000kNの立ち上がり時点のダイクッション位置信号ホールド値のサイクル間の変動を示す図である。 図13は、ダイクッション荷重信号500kNの立ち上がり時点のプレス・スライド位置信号ホールド値のサイクル間の変動を示す図である。 図14は、プレス荷重信号1000kNの立ち上がり時点のプレス・スライド位置信号ホールド値のサイクル間の変動を示す図である。 図15は、スライド位置及びダイクッション位置を示す波形図である。 図16は、ダイクッション荷重信号の所定値、ダイクッション荷重指令及びダイクッション荷重を示す波形図である。 図17は、スライド内蔵の油圧シリンダ107R,107Lのヘッド側油圧室の圧力を示す波形図である。 図18は、ダイクッション位置信号ホールド値X,異常式物値Y,及びダブルブランクの検出を示す波形図である。 図19は、ダブルブランク検出時を中心に、図15に示した波形図の一部を拡大した波形図である。 図20は、ダブルブランク検出時を中心に、図16に示した波形図の一部を拡大した波形図である。 図21は、ダブルブランク検出時を中心に、図17に示した波形図の一部を拡大した波形図である。 図22は、ダブルブランク検出時を中心に、図18に示した波形図の一部を拡大した波形図である。
以下添付図面に従って本発明に係るプレス機械のダブルブランク検出装置及びプレス機械の金型保護装置の好ましい実施形態について詳説する。
図1は、プレス機械、ダイクッション装置及び金型保護装置を含む装置全体の実施形態を示す概略構成図である。
図1に示すように本装置全体は、主としてプレス機械100とダイクッション装置200とから構成され、プレス機械100は、プレス制御器190、過負荷除去装置220、及びプレス駆動装置240を含んで構成されている。
ダイクッション装置200は、主としてクッションパッド128、油圧シリンダ130R,130L、ダイクッション駆動装置160R,160L、及びダイクッション制御器170等を含んで構成されている。
本発明に係るプレス機械の金型保護装置300(図6)は、本例では、ダイクッション制御器170内に構成され、ダブルブランク検出装置302は、金型保護装置300内に構成されている。
[プレス機械の機構部分]
図2は、図1に示したプレス機械100及びダイクッション装置200の機構部分を示す図である。
図1に示すプレス機械100は、クラウン10と、ベッド20と、クラウン10とベッド20との間に配設された複数のコラム104とによりフレームが構成され、スライド110は、コラム104に設けられた摺動部材108により鉛直方向に移動自在に案内されている。
このプレス機械100は、スライド110が、後述するサーボモータによりクランク軸112及びコンロッド103を介して駆動される、いわゆる機械式サーボプレスであり、本例では、自動車のボディ成形等の大きな形状の薄板を絞り成形するものである。
クランク軸112には、プレス駆動装置240から回転駆動力が伝達されるとともに、クランク軸112の角度及び角速度を検出するためのエンコーダ115が設けられている。
スライド110には、左右一対の油圧シリンダ(液圧シリンダ)107L,107Rが内蔵(固定)され、油圧シリンダ107L,107Rのピストン105に、コンロッド103の先端が回動自在に固定されている。
図2上で、右側に示した油圧シリンダ107Rは、ピストン105が上端に移動している状態に関して示しており、左側に示した油圧シリンダ107Lは、ピストンが下端に移動している状態に関して示している。
これらの油圧シリンダ107L,107Rの伸縮によりコンロッド103の先端位置とスライド110の金型装着面(下面)との相対位置が変化する。即ち、油圧シリンダ107L,107Rは、クランク軸112及びコンロッド103により駆動されるスライド110の移動に対して、油圧シリンダ107L,107Rの伸縮によりスライド110の金型装着面を相対的に移動させることができる。
また、スライド110とクラウン10との間には、スライド110に上方向の力を付与する一対のバランサシリダ111が配設されている。
スライド110の金型装着面には上金型120が装着され、ベッド20上のボルスタ102の上面には下金型122が装着される。
[ダイクッション装置の機構部分]
ダイクッション装置200は、プレス機械100により成形される材料(ブランク材)の周縁を下側から押圧するものであり、主としてブランクホルダ(皺押え板)124と、クッションパッド128と、左右一対の油圧シリンダ130L,130Rとを備えている。
クッションパッド128は、複数のクッションピン126を介してブランクホルダ124を支持する。
油圧シリンダ130L,130Rは、クッションパッド128を支持し、クッションパッド128を昇降させるとともに、クッションパッド128にダイクッション荷重を発生させるダイクッション駆動部として機能する。
油圧シリンダ130L,130Rの近傍には、それぞれピストンロッドの伸縮方向の位置を、クッションパッド128の昇降方向の位置(ダイクッション位置)として検出するダイクッション位置検出器133L,133Rが設けられている。
ブランクホルダ124の上側には、材料(ブランク材)80が、図示しない搬送装置によりセットされる(接触する)。
ブランク材80は、スライド110の下降動作に伴ってスライド110の金型装着面に装着された上金型120が、ブランク材80、ブランクホルダ124、及びクッションピン126を介してクッションパッド128に衝突すると、その後、油圧シリンダ130L,130Rからダイクッション荷重が加えられるブランクホルダ124と上金型120との間でブランク材80の周縁が加圧保持されつつ、上金型120と下金型122との間で成形される。
本例のダイクッション装置200の最大ダイクッション荷重は3000kN、ダイクッション荷重設定値は2000kN、ダイクッションストロークは200mmである。ただし、ダイクッションストローク200mmの内、15mmは、上金型120がブランク材80と接触してからブランク材80が下金型122と接触するまでの非成形ストローク△Zである(△Z=15mm)。つまり、ブランクホルダ124の待機位置を、成形開始位置(ブランク材80が下金型122と接触する位置Z1)より大きい位置(Z2)とし、スライド下面の位置がZ1より大きい成形開始前のストローク△Z(=Z2−Z1)間は、成形が開始されないようにしている。また、本例では、ブランク材80の板厚は1mmである。
[プレス駆動装置]
図3は、図1に示したプレス駆動装置240の一例を示す構成図である。
プレス駆動装置240は、プレス機械100(スライド110)の駆動装置及び制動装置として機能し、主としてサーボモータ106と、サーボモータ106の回転駆動力をクランク軸112に伝達する減速ギア101と、ブレーキ装置230とを備えている。
サーボモータ106には、サーボアンプ192からトルク指令信号197に対応する駆動電力が供給され、サーボモータ106は、所定の(設定上)のスライド速度あるいはクランク軸角速度になるように駆動制御される。尚、サーボアンプ192には、回生器付きの直流電源196から電源が供給されており、プレス機械100(スライド110)の制動時には、制動方向に作用するサーボモータ106の駆動トルクにより発電された電力が、サーボアンプ192及び直流電源196を介して交流電源174に回生される。
また、サーボモータ106の回転軸にはエンコーダ114が装着され、エンコーダ114から出力されるエンコーダ信号は、信号変換器113によりサーボモータ角速度信号195に変換される。
ブレーキ装置230は、空圧源231から減圧弁233を介して圧縮エアが供給されるブレーキ開放用電磁弁235、ブレーキ機構239及びサイレンサ237を有している。
ブレーキ開放用電磁弁235には、プレス制御器190から駆動信号が加えられ、ブレーキ開放用電磁弁235はON/OFF制御される。
通常(異常の無い運転)時には、ブレーキ装置230のブレーキ開放用電磁弁235をONし、ブレーキを開放し、(様々な)異常発生時には、スライド反動作方向のトルク指令信号197をサーボアンプ192へ与えることにより、スライド110を制動し、停止後は(停止とほぼ同時点で)、ブレーキ開放用電磁弁235をOFFし、ブレーキを作用させる。
[過負荷除去装置]
図4は、図1に示した過負荷除去装置220の一例を示す構成図である。
図4に示すように過負荷除去装置220は、誘導モータ221に軸接続された油圧ポンプ222、アキュムレータ223、油圧ポンプ222の吐出口側に配設された逆止弁224、リリーフ弁225、226、圧力検出器227、及び電磁(脱圧)弁228を備えている。
圧力検出器227が配設された高圧ラインは、スライド110に内蔵された油圧シリンダ107R,107Lのヘッド側油圧室109に接続され、アキュムレータ223に接続された低圧ラインは、油圧シリンダ107R,107Lのロッド側油圧室に接続されている(図2)。
ヘッド側油圧室109には、通常時、初期圧P0(約200kg/cm2)の圧力が作用しており、油圧シリンダ107R,107Lは、無負荷(スライド110に外部から負荷が作用しない)状態で最も伸張している(図2右側の状態)。
ヘッド側油圧室109を加圧する場合は、スライド110が上死点にある状態(少なくとも無負荷状態)で、圧力検出器227で初期圧P0を確認するまで接触器229をONさせる(P0を確認した後はOFFする)。
油圧ポンプ222の吐出口に作用するリリーフ弁225の設定圧は初期圧P0よりやや大きく設定されている為、接触器229のOFF遅延時間によらず、ほぼ一定の初期圧P0が制御できる。
また、ヘッド側油圧室109は、リリーフ弁226と電磁弁228を介して、タンク機能に相当する低圧ラインを構成するアキュムレータ223に接続され、スライド110に異常な負荷が作用した場合(例えば、本例では、プレス機械100の最大許容荷重20000kNの110%に相当する22000kN)に相当する異常シリンダ圧力PU(約320kg/cm)が作用した場合には、リリーフ弁226が作動すると共に、そのことを圧力検出器227で検知し、電磁弁228をONし、ヘッド側油圧室109を脱圧させる。
本例では、油圧シリンダ107R,107Lのシリンダストロークは30mmである。
[ダイクッション駆動装置]
図5は、図1に示したダイクッション駆動装置160Rの一例を示す構成図である。
ダイクッション駆動装置160Rは、図2に示した油圧シリンダ130Rのロッド側油圧室130a,ヘッド側油圧室130bに作動油を供給する油圧回路により構成され、主としてアキュムレータ162、油圧ポンプ/モータ140、油圧ポンプ/モータ140の駆動軸に接続されたサーボモータ150、サーボモータ150の駆動軸の角速度(サーボモータ角速度ω)を検出するためのエンコーダ152、リリーフ弁164、逆止弁166、及びダイクッション荷重検出器に相当する圧力検出器132から構成されている。
尚、油圧シリンダ130Lに作動油を供給するダイクッション駆動装置160Lは、ダイクッション駆動装置160Rと同一の構成のため、以下、ダイクッション駆動装置160Rについて説明する。
アキュムレータ162は、低圧のガス圧がセットされ、タンクの役割を果たすとともに、逆止弁166を介して略一定の低圧油を油圧シリンダ130Rのヘッド側油圧室130b(クッション圧発生側加圧室)に供給し、ダイクッション荷重制御時に昇圧しやすくする役割も果す。
油圧ポンプ/モータ140の一方のポート(吐出口)は、油圧シリンダ130Rのヘッド側油圧室130bに接続され、他方のポートはアキュムレータ162に接続されている。
尚、リリーフ弁164は、異常圧力発生時(ダイクッション荷重制御が不能で、突発的な異常圧力発生時)に動作し、油圧機器の破損を防止する手段として設けられている。また、油圧シリンダ130Rのロッド側油圧室130aは、アキュムレータ162に接続されている。
圧力検出器132は、油圧シリンダ130Rのヘッド側油圧室130bに作用する圧力を検出し、検出した圧力を示すダイクッション圧力信号171Rを出力し、サーボモータ150の駆動軸に装着されたエンコーダ152から出力されるエンコーダ信号は、信号変換器153によりサーボモータ角速度信号175Rに変換される。
ダイクッション駆動装置160Rは、後述するダイクッション制御器170から入力するトルク指令信号177Rをサーボアンプ172を介してサーボモータ150に出力し、油圧ポンプ/モータ140を駆動する。これにより、油圧シリンダ130Rを駆動し、ダイクッション圧力(荷重)制御及びダイクッション位置制御が行われる。
[ダイクッション荷重制御の原理]
ダイクッション荷重(力)は、クッションパッドを支持する油圧シリンダのヘッド側油圧室の圧力とシリンダ面積の積で表すことができるため、ダイクッション荷重を制御することは、油圧シリンダのヘッド側油圧室の圧力を制御することを意味する。
いま、油圧シリンダ・ダイクッション圧力発生側断面積:a
油圧シリンダ・ダイクッション圧力発生側体積:V
ダイクッション圧力:P
電動(サーボ)モータトルク:T
サーボモータの慣性モーメント:I
サーボモータの粘性抵抗係数:DM
サーボモータの摩擦トルク:fM
油圧モータの押し退け容積:Q
スライドから油圧シリンダピストンロッドに加わる力:Fslide
プレスに押されて発生するパッド速度:v
油圧シリンダピストンロッド+パッドの慣性質量:M
油圧シリンダの粘性抵抗係数:DS
油圧シリンダの摩擦力:fS
圧油に押されて回転するサーボモータ角速度:ω
作動油の体積弾性係数:K
比例定数:k1、k2
とすると、静的な挙動は(1)及び(2)式で表すことができる。
P=∫K((v・A−k1Q・ω)/V)dt ……(1)
T=k2・PQ/(2π) ……(2)
また、動的な挙動は(1)、(2)式に加えて(3)、(4)式で表すことができる。
PA−F=M・dv/dt+DS・v+fS ……(3)
T−k2・PQ/(2π)=I・dω/dt+DM・ω+fM ……(4)
上記(1)〜(4)式が意味するもの、即ち、スライド110からクッションパッド128を介して油圧シリンダ130L,130Rに伝わった力は、油圧シリンダ130L,130Rのヘッド側油圧室130bを圧縮し、ダイクッション圧力を発生させる。同時に、ダイクッション圧力によって油圧ポンプ/モータ140を油圧モータ作用させ、この油圧ポンプ/モータ140に発生する回転軸トルクがサーボモータ150の駆動トルクに抗じたところで、サーボモータ150を回転させ、圧力の上昇が抑制される。結局、ダイクッション圧力(ダイクッション荷重)は、サーボモータ150の駆動トルクに応じて決定される。
圧力検出器132から出力されるダイクッション圧力信号171R、及び信号変換器153から出力されるサーボモータ角速度信号175Rは、ダイクッション制御器170にてトルク指令信号177Rを生成するために使用される。
トルク指令信号177Rは、サーボアンプ172を介してサーボモータ150に出力され、サーボモータ150の駆動トルクを制御し、サーボモータ150に駆動軸が接続された油圧ポンプ/モータ140から油圧シリンダ130Rのヘッド側油圧室130bに印加する圧力を制御することで、油圧シリンダ130Rから発生するダイクッション荷重を制御する。
尚、サーボアンプ172には、回生器付きの直流電源176から電源が供給されており、ダイクッション荷重(圧力)制御時には、油圧モータとして作用する油圧ポンプ/モータ140からの駆動力により駆動されるサーボモータ150により発電された電力が、サーボアンプ172及び直流電源176を介して交流電源174に回生される。
[プレス制御器及びダイクッション制御器]
図6は、主として図1に示したダイクッション制御器170の実施形態を示す構成図である。
図6に示すダイクッション制御器170は、主として圧力制御器(ダイクッション荷重制御器)134及び位置制御器136に加えて、本発明に係る金型保護装置300を含んで構成されている。
圧力制御器134には、ダイクッション圧力信号171R,171L、サーボモータ角速度信号175R,175L、クランク角度信号191、クランク角速度信号193、及び後述する安全化処置装置305からのダイクッション荷重の切換指令(ダブルブランク検出時に最大能力のダイクッション荷重を作用させる切換指令)がそれぞれ加えられている。尚、クランク角度信号191及びクランク角速度信号193は、クランク軸112に装着されたエンコーダ115から出力されるエンコーダ信号を入力する信号変換器194により変換された、クランク軸112の角度及び角速度を示す信号である。
圧力制御器134は、予め設定されたダイクッション圧力(荷重)指令を出力するダイクッション圧力指令器(ダイクッション荷重指令器)を含み、ダイクッション圧力指令どおりにダイクッション圧力を制御するためにダイクッション圧力信号171R,171Lを入力している。
また、圧力制御器134は、主としてダイクッション圧力(荷重)制御、及び、位置制御における動的安定性を確保するための角速度フィードバック信号としてサーボモータ角速度信号175R,175Lを入力し、更にクランク角速度を示すクランク角速度信号193を、ダイクッション圧力(荷重)制御における圧力制御精度を確保するための補償に使用するために入力している。
更に、圧力制御器134は、ダイクッション機能の開始タイミングを得るために、スライド110の位置に対応する(変換可能な)クランク角度信号191を入力しており、入力するクランク角度信号191(スライド位置)に基づいてダイクッション圧力(荷重)制御を開始し、又は終了したり、圧力制御器134内のダイクッション圧力(荷重)指令器は、クランク角度信号191に基づいて対応するダイクッション圧力(荷重)指令を出力する。
圧力制御器134は、ダイクッション圧力(荷重)制御時には、入力するダイクッション圧力指令、ダイクッション圧力信号171R,171L、サーボモータ角速度信号175R,175L、及びクランク角速度信号193を用いて演算したトルク指令信号177R、177Lを、選択器138を介してダイクッション駆動装置160R,160Lに出力する。
また、安全化処置装置305からダブルブランク検出時に自動的にダイクッション荷重を切り換えるダイクッション荷重の切換指令を入力すると、圧力制御器134は、最大加圧能力(本例では、自動車のボディ成形用途では一般的な2000kNのダイクッション荷重を作用させる指令)に対応するトルク指令信号177R、177Lを出力する。
一方、位置制御器136には、ダイクッション位置信号173R,173L、サーボモータ角速度信号175R,175L、及びクランク角度信号191がそれぞれ加えられている。
位置制御器136は、ダイクッション位置指令器を含んで構成されている。ダイクッション位置指令器には、ダイクッション位置指令生成における初期値生成用に使用するためにダイクッション位置信号173R,173Lが加えられており、ダイクッション位置指令器は、スライド110(クッションパッド128)が下死点に到達し、ダイクッション圧力(荷重)制御終了後に、製品ノックアウト動作を行うとともに、クッションパッド128を初期位置であるダイクッション待機位置に待機させるために、ダイクッション位置(クッションパッド128の位置)を制御する共通の位置指令(ダイクッション位置指令)を出力する。
ダイクッション位置制御状態の場合、位置制御器136は、ダイクッション位置指令器から出力され共通のダイクッション位置指令とダイクッション位置検出器133L,133Rによりそれぞれ検出されるダイクッション位置信号173R,173Lとに基づいてトルク指令信号177R、177Lを生成し、生成したトルク指令信号177R、177Lを選択器138に出力する。尚、位置制御器136は、位置制御における動的安定性を確保するために、サーボモータ角速度信号175R,175Lを入力し、これに基づいてクッションパッド128の昇降方向の位置制御を行うことが好ましい。さらに、クランク角度信号191を入力し、これに基づいてノックアウト時に、クッションパッド128が間接的にスライド110と衝突しないように、位置制御を行うことが好ましい。
選択器138は、圧力制御器134から入力する選択指令により、ダイクッション圧力(荷重)制御状態の場合には、圧力制御器134から入力するトルク指令信号177R、177Lを選択し、ダイクッション駆動装置160R,160Lに出力し、ダイクッション位置制御状態の場合には、位置制御器136から入力するトルク指令信号177R、177Lを選択し、ダイクッション駆動装置160R,160Lに出力する。
ダイクッション制御器170は、上記のようにして生成したトルク指令信号177R、177Lをダイクッション駆動装置160R,160Lに出力し、ダイクッション駆動装置160R,160L内のサーボアンプ172を介してサーボモータ150を駆動し、ダイクッション圧力(荷重)制御及びダイクッション位置制御を行う。
プレス制御器190には、クランク角度信号191、及びサーボモータ角速度信号195が加えられており、プレス制御器190は、入力するクランク角度信号191、及びサーボモータ角速度信号195に基づいて、所定のスライド速度あるいはクランク軸角速度になるようにトルク指令信号197を生成し、生成したトルク指令信号197をプレス駆動装置240(サーボアンプ192)に出力する。尚、サーボモータ角速度信号195は、スライド110の動的安定性を確保するための角速度フィードバック信号として使用される。
また、プレス制御器190は、金型保護装置300から入力する制動指令に基づいて、プレス駆動装置240に制動方向に最大トルクを作用させるトルク指令信号197を生成し、また、ブレーキ装置230(ブレーキ開放用電磁弁235)をON/OFFさせる信号を出力する。
<金型保護装置>
図6に示すように本例のダイクッション制御器170は、金型保護装置300を含んで構成されている。
金型保護装置300は、ダイクッション荷重信号301とダイクッション位置信号303を適用する都合上、ダイクッション制御器170内に構成する。金型保護装置300は、異常を迅速に識別し処理する使命を有し、より高速な演算処理時間が要求される為、例えばスライド(クランク軸)の角度制御(位置制御)を賄うプレス制御器190内に構成するより、ダイクッション荷重(ダイクッション圧力)制御(力制御)を担うダイクッション制御器170内に構成する方が一般的に、制御器の演算周期が早い(早い演算周期が必要な)分有効である。更に、別に金型保護装置を設ける場合に比べて、両信号の入出力処理に伴う無駄時間が割愛可能な為有効である。
金型保護装置300は、ダブルブランク検出装置302と安全化処置装置305とから構成されている。
[ダブルブランク検出装置302]
図7は、ダブルブランク検出装置302の実施形態を示すブロック図である。
図7に示すようにダブルブランク検出装置302は、荷重信号取得部310、位置信号取得部320、及びダブルブランク検出器330から構成され、ダブルブランク検出器330は、更に所定値設定器331、第1の比較器332、ホールド回路333、第2の比較器334、及び異常識別値設定器335から構成されている。
荷重信号取得部310は、ダイクッション装置200のクッションパッド128に発生するダイクッション荷重を示すダイクッション荷重信号301を取得する部分であり、ダイクッション制御器170の圧力制御器134が、ダイクッション圧力信号171R,171Lに基づいて演算したダイクッション荷重を示すダイクッション荷重信号301を圧力制御器134から入力する。尚、荷重信号取得部310は、ダイクッション圧力信号171R,171Lを直接入力し、これらのダイクッション圧力信号171R,171Lに基づいて演算したダイクッション荷重を示すダイクッション荷重信号301を取得するようにしてもよい。
位置信号取得部320は、ダイクッション装置200のクッションパッド128の位置を示すダイクッション位置信号303を取得する部分であり、ダイクッション制御器170の位置制御器136が、ダイクッション位置信号173R,173Lの平均値として演算したダイクッション位置信号303を位置制御器136から入力する。尚、位置信号取得部320は、ダイクッション位置信号173R,173Lを直接入力し、これらのダイクッション位置信号173R,173Lの平均値として演算したダイクッション位置信号303を取得するようにしてもよい。
荷重信号取得部310により取得されたダイクッション荷重信号301は、第1の比較器332に出力される。第1の比較器332の他の入力には、所定値設定器331から所定値Fが加えられており、第1の比較器332は、これらの2入力を比較し、ダイクッション荷重信号301が所定値Fに達すると、ホールド回路333をホールド動作可能にする信号を出力する。
ここで、所定値設定器331により設定される所定値Fは、ダイクッション装置200の最大ダイクッション荷重の5%以上20%以下の範囲が好ましい。本例では、最大ダイクッション荷重は3000kNであり、所定値FはF=200kNに設定されている。また、所定値Fは、手動設定器(第2の手動設定器)により手動で設定し、又は自動設定器(第2の自動設定器)によりダイクッション装置の最大ダイクッション荷重に基づいて自動演算して設定してもよい。
位置信号取得部320により取得されたダイクッション位置信号303は、ホールド回路333に出力される。
ホールド回路333は、ダイクッション荷重作用開始に伴い、毎サイクル毎にダイクッション荷重信号301が所定値(F)に立ち上がった時点(第1の比較器332から信号を入力する時点)にダイクッション位置信号303をホールドする。
ホールド回路333によりホールドされたダイクッション位置信号ホールド値Xは、第2の比較器334に出力される。第2の比較器334の他の入力には、異常識別値設定器335から異常識別値Yが加えられており、第2の比較器334は、これらの2入力の比較結果に基づいてブランク材80が2枚(複数枚)重なった状態をダブルブランクとして検出する。
図8は、金型保護装置設定画面の一例を示す図である。
金型保護装置設定画面には、成形(金型、材料、ダイクッション荷重設定値、プレス機械の速度設定やダイハイト設定等成形に固有の条件)毎に、正常に(1枚成形した場合に)複数回繰り返されるダイクッション位置信号ホールド値Xに対してダブルブランクを検出する、ダブルブランク異常識別値Yを、本例ではY=194.7mmと表示している。これは、ダブルブランク検出装置内で自動的に演算したものである。
また、本例では、後述するようにダイクッション荷重制御開始時点を、スライド位置基準で認識しており(スライド位置が所定のダイクッション開始スライド位置に至った時点としており)、ダブルブランク検出時は、通常時に対してブランク材1枚分(スライド110に押され)小さいダイクッション位置で、スライド位置基準のダイクッション荷重制御開始時点を向かえる為、ダイクッション位置信号ホールド値Xはその平均値XAVEより小さくなる。
本例では、ダイクッション位置信号ホールド値は最新値がX=195.21mm、平均値がXAVE=195.2mmである。最新値は過去に行った生産の内、最新(最終)のサイクルにおける値であり、次のダイクッション荷重作用開始時点の直前までホールドしている。平均値は、過去に行った正常な(異常の無い)複数回(本例では100回)の平均値である。ダイクッション制御器170の演算サイクルは0.25msであり、0.25ms毎にダイクッション荷重左、右を目標ダイクッション荷重に対して追従させるべく制御し、ダイクッション位置信号ホールド処理演算を行っている為、通常時のダイクッション位置信号ホールド値の変動は少ない。ダイクッション位置信号ホールド値の最新値や平均値は、ダイクッション操作器の金型保護装置設定画面(図8)に常時表示されている。
《ダブルブランク検出の第1の実施形態》
ダブルブランク検出の第1の実施形態は、前述したようにプレス機械100のスライド110が間接的に1枚のブランク材80に衝突するときのスライド110の位置を基準にして、ダイクッション装置200によるダイクッション荷重制御を開始する場合に適用される。
第1の実施形態の異常識別値Yは、ダイクッション位置信号ホールド値Xの平均値XAVE=195.2mmに対して、板厚(1mm)の半分を減じた値である(板厚をTとして、Y=XAVE−0.5T=195.2−0.5×1=194.7)。
異常識別値Yは、手動設定器(第1の手動設定器)により手動で設定し、又は自動設定器(第1の自動設定器)によりダイクッション位置信号ホールド値Xの平均値XAVE及び板厚Tに基づいて自動演算して設定してもよい。
異常識別値設定器335により設定される異常識別値Yは、上記のように設定した194.7mmに限らず、1枚のブランク材の成形を複数回繰り返して得られるダイクッション位置信号ホールド値Xの平均値XAVE、ブランク材の板厚Tとすると、以下の条件、
Y≦(XAVE−0.3T)、かつY>(XAVE−T) ……(5)
を満足する値に設定することできる。
ダブルブランク検出部として機能する第2の比較器334は、ダイクッション位置信号ホールド値Xが、上記の式(5)を満足するように設定された異常識別値Yよりも小さい場合を、ダブルブランクとして検出する。
尚、上記の式(5)により異常識別値Yを設定する理由は、ダイクッション荷重制御開始時点に先行して、スライド110が間接的にクッションパッド128に接触し、ダイクッション待機位置に位置制御状態で停止中の油圧シリンダ130R,130Lのヘッド側油圧室109に(待機位置相当のダイクッション位置指令とダイクッション位置との偏差を修復しようとする)圧力が作用する分、昇圧時点が早まる為である。したがって、異常識別値Yは、小さくとも(XAVE−T)より大きく、位置制御の頑強性を経験的に考慮して(位置制御が最も頑強な場合の昇圧速度を経験的に加味して)、大きくとも(XAVE−0.3T)より小さくなる。
《ダブルブランク検出の第2の実施形態》
第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して異常識別値Yの設定方法が異なる。
ダブルブランク異常識別値Yは、実際に(実験的に)ダブルブランクを行い、その結果を考慮して決定しても良い。
本例では、ダブルブランク時のダイクッション位置信号ホールド値X’は、X’≒194.4mmであり、X’に変動量(△X)分板厚の30%を加算した値として異常識別値Y=194.7mm(Y=194.4+1×0.3=194.7mm)としても良い。
異常識別値Yは、実際にダブルブランクを試行した場合のダイクッション位置信号ホールド値X’より変動量(△X)を加算して決定する。△Xは、スライド110が間接的にクッションパッド128に接触した瞬間、主に機械の固有振動の影響を受けて変動し、その程度は経験的に板厚Tの10〜70%である。したがって、異常識別値設定器335により設定される異常識別値Yは、2枚重ねのブランク材を試行した場合に得られるダイクッション位置信号ホールド値X’とブランク材の板厚Tから、以下の条件、
Y≧(X’+0.1T)、かつY≦(X’+0.7T) ……(6)
を満足する値に設定することができる。
第2の比較器334は、ダイクッション位置信号ホールド値Xが、上記の式(6)により設定された異常識別値Yよりも小さい場合を、ダブルブランクとして検出する。
《ダブルブランク検出の第3の実施形態》
ダブルブランク検出の第3の実施形態は、プレス機械100のスライド110が間接的にクッションパッド128に衝突し、クッションパッド128に発生するダイクッション負荷変動を基準にして、ダイクッション装置200によるダイクッション荷重制御を開始する場合に適用される。
ダイクッション制御開始時点を、ダイクッション負荷発生基準で認識しており(スライド110が、上型-材料-ブランクホルダ-クッションピンを介してクッションパッド128に接触した瞬間に、待機位置に位置制御状態で停止中の、ダイクッション荷重を発生させる油圧シリンダの130R,130Lのヘッド側油圧室109に生じた圧力上昇に伴う変化を認識した時点としており)、この場合、ダブルブランク検出時は、通常時に対して、ブランク材1枚分大きいダイクッション位置で接触し、圧力が上し始める為、ダイクッション位置信号ホールド値Xはその平均値XAVEより大きくなる。
この場合、異常識別値設定器335により設定される異常識別値Yは、ダイクッション位置信号ホールド値Xの平均値XAVE、ブランク材の板厚Tとすると、以下の条件、
Y≧(XAVE+0.3T)、かつY<(XAVE+T) ……(7)
を満足する値に設定することできる。
第2の比較器334は、ダイクッション位置信号ホールド値Xが、上記の式(7)により設定された異常識別値Yよりも大きい場合を、ダブルブランクとして検出する。
上記の式(7)により異常識別値Yを設定する理由は、圧力上昇度合が、位置制御の頑強性に応じて機械の固有振動の影響を受けて、サイクル毎にばらつきを生じる為である。したがって、異常識別値Yは、大きくとも(XAVE+T)より小さく、圧力変動のばらつきを経験的に加味して、小さくとも(XAVE+0.3T)以上になる。
《ダブルブランク検出の第4の実施形態》
第4の実施形態は、第3の実施形態と比較して異常識別値Yの設定方法が異なる。
ダブルブランク異常識別値Yは、実際に(実験的に)ダブルブランクを行い、その結果を考慮して決定しても良い。
本例では、ダブルブランク時のダイクッション位置信号ホールド値X’は、X’≒194.4mmであり、X’に変動量(△X)分板厚の30%を加算した値として異常識別値Y=194.7mm(Y=194.4+1×0.3=194.7mm)としても良い。
異常識別値Yは、実際にダブルブランクを試行した場合のダイクッション位置信号ホールド値X’より変動量(△X)を減算して決定する。△Xは、スライド110が間接的にクッションパッド128に接触した瞬間、主に機械の固有振動の影響を受けて変動し、その程度は経験的に板厚Tの10〜70%である。したがって、異常識別値設定器335により設定される異常識別値Yは、2枚重ねのブランク材を試行した場合に得られるダイクッション位置信号ホールド値X’とブランク材の板厚Tから、以下の条件、
Y≦(X’−0.1T)、かつY≧(X’−0.7T) ……(8)
を満足する値に設定することができる。
第2の比較器334は、ダイクッション位置信号ホールド値Xが、上記の式(8)により設定された異常識別値Yよりも小さい場合を、ダブルブランクとして検出する。
[安全化処置装置]
図6に示す安全化処置装置305は、ダブルブランク検出装置302によりダブルブランクが検出されると、スライド110を急制動させる指令をプレス制御器190に出力する。
この指令を受けてプレス制御器190は、スライド反動作方向のトルク指令信号197をプレス駆動装置240に出力し、スライド110の急制動を開始させる。また、プレス制御器190は、スライド110の停止後は(停止とほぼ同時点で)、ブレーキ装置230のブレーキ開放用電磁弁235をOFFし、ブレーキを作用させる。
また、安全化処置装置305は、ダブルブランク検出装置302によりダブルブランクが検出されると、スライド110を急制動させる指令と同時に、スライド110に内蔵された油圧シリンダ107R,107Lのヘッド側油圧室109を脱圧させる指令を、選択器198を介して過負荷除去装置220に出力する。
この指令を受けて過負荷除去装置220は、電磁(脱圧)弁228をONし、油圧シリンダ107R,107Lのヘッド側油圧室109を、電磁(脱圧)弁228を介して低圧のアキュムレータ223に接続し、ヘッド側油圧室109を脱圧させる。
更に、安全化処置装置305は、ダブルブランク検出装置302によりダブルブランクが検出されると、脱圧した油圧シリンダ107R,107Lのヘッド側油圧室109を急収縮させる為に、クッションパッド128に最大能力の3000kNを作用させる指令を、圧力制御器134に出力する。
この指令を受けて圧力制御器134は、クッションパッド128に最大能力の3000kNを作用させるトルク指令信号177R,177Rを出力する。
[ダブルブランク検出の比較例]
図9は、最大加圧能力20000kNのプレス機械を用いて、厚さ1mm、断面形状がおよそ2000mm×1000mmの薄板を正常に連続(絞り)成形する場合の、経過時間に対する、プレス機械-スライド位置及びダイクッション位置を示す波形図であり、図10は、プレス荷重及びダイクッション荷重を示す波形図である。
図9及び図10には、それぞれ8サイクル分の波形が示されており、一見して、各サイクル間で同じ形態の(両位置、荷重)波形が繰り返し作用している。
図11から図14には、それぞれダイクッション荷重信号500kNの立ち上がり時点のダイクッション位置信号ホールド値、プレス荷重信号1000kNの立ち上がり時点のダイクッション位置信号ホールド値、ダイクッション荷重信号500kNの立ち上がり時点のプレス・スライド位置信号ホールド値、及びプレス荷重信号1000kNの立ち上がり時点のプレス・スライド位置信号ホールド値を示す。これらの位置信号ホールド値は、図9及び図10に示したデータを演算処理して得たものである。
図11に示した位置信号ホールド値は、サイクル間で変動が最も小さく、図12、図13、及び図14に示した位置ホールド値の順で、サイクル間で変動が大きくなっている。
尚、プレス荷重信号の立ち上がりを1000kNにしている(ダイクッション荷重の2倍にしている)理由は、ダイクッション荷重信号と同じ500kNでは(分解能の影響で)変動が大きく、位置ホールド値がより大きく変動する為である。
図14に示したようにプレス荷重信号及びスライド位置ホールド値を使用した場合(特許文献1に記載のダブルブランクの検出方法の場合)に、位置信号ホールド値の変動が最も大きくなる。
この理由は、プレス機械がそれに付属するダイクッション装置に対して重厚長大なこと(に伴い荷重検出や位置検出値における分解能が低下すること)や、プレス荷重が成形負荷やプレス機械の(コラムの線膨張等)状態変化に応じて2次的(制御されず)に発生し、(サーボダイクッション装置における)ダイクッション荷重が一定値に制御されて発生する、両者の荷重発生メカニズムの差異や、プレス荷重信号がモニタリング専用に装備されたプレス荷重検出器から出力され、ダイクッション荷重信号がダイクッション荷重制御用に装備されたダイクッション荷重検出器から出力される、両者の応答性、精度の差異に因るものと考える。
プレス荷重信号とダイクッション荷重信号は、材料(と金型等間接部材)を挟んで、プレス・スライド位置とダイクッション位置が合致した時点で立ち上がる。材料の厚みが一定の状態において、荷重信号と位置信号の繰り返し作用がサイクル毎に安定していれば、位置信号は荷重値毎にほぼ一定値をとり、正常時は一定の荷重信号に立ち上がる時点の位置信号ホールド値が安定する。ダブルブランクによって材料の厚みが変化した場合、例えば板厚1mm前後の薄板を成形する場合に材料の厚みが2mm前後に変化した異常時に、位置信号ホールド値の変化から確実にダブルブランクを検出する為には、正常時における位置信号ホールド値の安定性、つまり変動幅が小さいことが重要になる。
図14に示したプレス荷重信号とプレス・スライド位置信号を使用した特許文献1のダブルブランクの検出方式は、位置信号ホールド値の変動幅が薄板厚さ(1mm)より大きい1.2mmになる為、ダブルブランクの検出が不能である。
一方で、ダイクッション荷重信号とダイクッション位置信号を使用した本発明のダブルブランク検出方式は、位置信号ホールド値の変動幅が薄板厚さより十分小さい0.2mmになる為(図11)、ダブルブランクを精度よく検出することが可能である。
[ダブルブランク検出及び安全化処置装置の作用]
図15は、スライド位置及びダイクッション位置を示す波形図であり、図16は、ダイクッション荷重信号の所定値、ダイクッション荷重指令及びダイクッション荷重を示す波形図である。
また、図17は、スライド内蔵の油圧シリンダ107R,107Lのヘッド側油圧室の圧力を示し、図18は、ダイクッション位置信号ホールド値X,異常識別値Y,及びダブルブランクの検出を示す波形図である。
図15から図18には、3サイクル分の波形が示されており、1サイクル目、2サイクル目は、正常に機能している。ダイクッション荷重制御工程中、ダイクッション荷重は、2000kNの指令に対して、ダイクッション荷重制御開始時に若干オーバー傾向の2050kN前後で終始している(図16)。
油圧シリンダ107R,107Lのヘッド側油圧室の圧力は、初期圧200kg/cm2に対して、成形時(ダイクッション荷重作用時)にプレス荷重値に応じて増圧している(図17)。
ダイクッション位置信号ホールド値Xは、195.23mm、195.13mmと推移している(図18)。これらは、ダイクッション荷重制御開始時点でホールドされ、プレス・スライド位置が、次のダイクッション荷重制御開始スライド位置200mmに対して10mm上方の210mmの位置でアンホールドされる。
3サイクル目は、ダブルブランクが検出されている。ダイクッション位置信号ホールド値Xは194.4mmになり、ダブルブランク異常識別値Y(=194.7mm)より小さい為、ダブルブランク検出装置302によってダブルブランクが検出された(図18)。
ダブルブランク検出直前の、ブランク材(2枚)を介してブランクホルダ124と上金型120が接触した時点(ダイクッション荷重制御開始直前の時点)が、図2に示したプレス機械右半分の状態である。この状態では、ブランク材下面と下金型122(パンチ)まで15mmの距離があり、スライド110(下面)が更に15mm下降しなければ成形は開始されない。
図19から図22は、それぞれダブルブランク検出時を中心に、図15から図18の一部を拡大したサイクル波形を示す。
ダブルブランク検出装置302によりダブルブランクが検出されると、安全化処置装置305はプレス制御器190へ、スライド110を急制動させるべく指令する。この指令を受けて、クランク軸角度に依存するスライド(コンロッドポイント)位置は急停止に至る(図19)。
しかし、スライド(コンロッドポイント)位置は、スライド110に連動する可動部全体の慣性によって、約40mm惰性で下降して155mmで停止する。
同時に、安全化処置装置305は、選択器198を介して電磁(脱圧)弁228へ、スライド内蔵の油圧シリンダ107R,107Lのヘッド側油圧室を脱圧させるべく指令する。この指令を受けて、ヘッド側油圧室は急脱圧に至る(図21)。急脱圧作用を高める為、電磁弁228は弁開度(流量係数)が大きく、高速応答が可能なタイプを選定している。更に、応答を高める為、ON(励磁)開始時点の印加電圧を瞬間的に大きくし(電磁弁の電磁力作用に伴う略1次遅れ特性の位相を進めるべく改善し)ている。
同時に、安全化処置装置305は、圧力制御器134へ、脱圧したヘッド側油圧室を急収縮させる為に、ダイクッション荷重指令を最大能力の3000kNを作用させるべく指令する。この指令を受けて、ダイクッション荷重指令は直ちに3000kNに変化する(図20の破線)。スライド内蔵の油圧シリンダのヘッド側油圧室の圧力は、約30ms後、スライド(コンロッドポイント)位置がおよそ185mmに達する時点で、20kg/cm2程度に低下している(図21の14.225s付近)。
これ以降、油圧シリンダ107R,107Lは収縮し始め、それに連動するスライド(下面)金型装着位置も反転する(上昇に転じる)(図19の破線)。この時、ダイクッション荷重は、ダイクッションを押すスライド下面の速度が低下した影響を受けて、一旦、指令3000kNより小さい2000kN程度に定常化する(図20)。この時、油圧シリンダ107R,107Lは、ダイクッション荷重によって間接的に下方から押され、作動油を排出しながら収縮を続ける。
油圧シリンダ107R,107Lのヘッド側油圧室には、排出油量が電磁弁228を流れる際に発生する圧力損失分の約25kg/cm2が作用する。図21に示す14.3〜14.4s付近で、油圧シリンダ107R,107Lは収縮(機械)限に到達し、排出油量は無くなり、ヘッド側油圧室の圧力はほぼ0に低下する。また、スライド下面の速度が所定のスライド速度に等しくなる為、ダイクッション荷重は指令通り3000kNに変化する(図20)。この段階で、未だスライド(コンロッドポイント位置)は僅かに下降動作を続け(図19)、ダイクッションは荷重制御を終了する(図20)。
この一連の動作で、スライド(下面)金型装着位置の最小位置は、約185mm(図19の14.26s付近と15s付近)になり、図2に示したプレス機械左半分の状態に相当する。図2に示したプレス機械左半分の状態は、丁度、ブランク材が下金型122(パンチ)に接触して成形が開始される直前を示しており、本金型保護機能によって、ダブルブランクが検出されると、未然(成形前)に安全に機械を停止させる。
このように、油圧シリンダ107R,107Lの収縮の影響を考慮したスライド下面の位置が、成形が開始されない領域に在る場合に限り、油圧シリンダ107R,107Lを急収縮させる為、収縮が完了するまで最大ダイクッション荷重を作用させている。ブランク材が2重の、金型にとって極めて危険な状態であるダブルブランク検出時の成形領域では、基本的にダイクッション荷重は作用させない。
成形領域で、その他の、例えば、光線式安全装置を遮光した場合等、操作に伴うプレス機械非常停止時には、プレス・スライドが停止するまで、絞り皺が発生してそれが金型を損傷させることを抑止する為に、所定のダイクッション荷重を作用させている状況とは対処が異なる。
[その他]
本実施形態では、ダブルブランク検出装置302及び安全化処置装置305を含む金型保護装置300は、ダイクッション制御器170に内蔵する構成としたが、本発明はこれに限定されず、ダイクッション制御器170の外部に設けるようにしてもよい。
また、本発明は、ダブルブランク検出装置のみを備えたものでもよく、この場合、ダブルブランク検出時の安全化処置装置としては、本実施形態の安全化処置装置以外のものを適用してもよい。尚、本発明に係るダブルブランク検出装置は、3枚以上のブランク材が重なった状態も検出することができることは言うまでもない。
また、ダブルブランク検出装置302によりダブルブランクが検出されると、ブランク材をプレス機械100にセットする搬送装置を直ちに停止させることが好ましい。
更に、本実施形態では、クッションパッドを2本の油圧シリンダにより支持しているが、油圧シリンダの本数は、2本に限定されず、1本でもよいし、2本より多くてもよい。また、ダイクッション駆動部は、油圧シリンダを使用するものに限らず、クッションパッドを支持し、クッションパッドを昇降させるとともに、クッションパッドに所望のダイクッション荷重を発生させるものであれば、如何なるものでもよい。
また、スライド内蔵の油圧シリンダは、作動液として油を使用するが、これに限定されるものではなく、水やその他の液体を使用した液圧シリンダを本発明において使用できることは言うまでもない。
更に、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
10 クラウン
20 ベッド
80 ブランク材
100 プレス機械
101 減速ギア
102 ボルスタ
103 コンロッド
104 コラム
105 ピストン
106 サーボモータ
107L、107R 油圧シリンダ
108 摺動部材
109 ヘッド側油圧室
110 スライド
111 バランサシリダ
112 クランク軸
113 信号変換器
114、115 エンコーダ
120 上金型
122 下金型
124 ブランクホルダ
126 クッションピン
128 クッションパッド
130L、130R 油圧シリンダ
130a ロッド側油圧室
130b ヘッド側油圧室
132 圧力検出器
133L、133R ダイクッション位置検出器
134 圧力制御器
136 位置制御器
138 選択器
140 油圧ポンプ/モータ
150 サーボモータ
152 エンコーダ
153 信号変換器
160L、160R ダイクッション駆動装置
162 アキュムレータ
164 リリーフ弁
166 逆止弁
170 ダイクッション制御器
171L、171R ダイクッション圧力信号
172 サーボアンプ
173L、173R ダイクッション位置信号
174 交流電源
175L、175R サーボモータ角速度信号
176 直流電源
177L、177R トルク指令信号
190 プレス制御器
191 クランク角度信号
192 サーボアンプ
193 クランク角速度信号
195 サーボモータ角速度信号
196 直流電源
197 トルク指令信号
198 選択器
200 ダイクッション装置
220 過負荷除去装置
221 誘導モータ
222 油圧ポンプ
223 アキュムレータ
224 逆止弁
225、226 リリーフ弁
227 圧力検出器
228 電磁(脱圧)弁
229 接触器
230 ブレーキ装置
231 空圧源
233 減圧弁
235 ブレーキ開放用電磁弁
237 サイレンサ
239 ブレーキ機構
240 プレス駆動装置
300 金型保護装置
301 ダイクッション荷重信号
302 ダブルブランク検出装置
303 ダイクッション位置信号
305 安全化処置装置
310 荷重信号取得部
320 位置信号取得部
330 ダブルブランク検出器
331 所定値設定器
332 第1の比較器
333 ホールド回路
334 第2の比較器
335 異常識別値設定器

Claims (15)

  1. ダイクッション装置を付属したプレス機械を使用し、ブランク材を1枚ずつ自動的に繰り返し成形するプレス機械のダブルブランク検出装置において、
    前記ダイクッション装置のクッションパッドの位置を示すダイクッション位置信号を取得する位置信号取得部と、
    前記ダイクッション装置の前記クッションパッドに発生するダイクッション荷重を示すダイクッション荷重信号を取得する荷重信号取得部と、
    前記位置信号取得部により取得したダイクッション位置信号と前記荷重信号取得部により取得したダイクッション荷重信号とに基づいて前記ブランク材が複数枚重なった状態をダブルブランクとして検出するダブルブランク検出部と、
    を備えたプレス機械のダブルブランク検出装置。
  2. 前記ダブルブランク検出部は、前記ダイクッション荷重信号が所定値に立ち上がった時点のダイクッション位置信号をホールドし、前記ホールドしたダイクッション位置信号ホールド値と異常識別値とを比較して前記ダブルブランクを検出する請求項1に記載のプレス機械のダブルブランク検出装置。
  3. 前記プレス機械のスライドが間接的に1枚のブランク材に衝突するときの前記スライドの位置を基準にして、前記ダイクッション装置によるダイクッション荷重制御を開始する場合において、
    前記異常識別値をY、1枚のブランク材の成形を複数回繰り返して得られる前記ダイクッション位置信号ホールド値の平均値をXAVE、前記ブランク材の板厚をTとすると、前記異常識別値Yは、以下の条件、
    Y≦(XAVE−0.3T)、かつY>(XAVE−T)
    を満足する値に設定され、
    前記ダブルブランク検出部は、前記ホールドしたダイクッション位置信号ホールド値が、前記異常識別値Yよりも小さい場合を、前記ダブルブランクとして検出する請求項2に記載のプレス機械のダブルブランク検出装置。
  4. 前記プレス機械のスライドが間接的に1枚のブランク材に衝突するときの前記スライドの位置を基準にして、前記ダイクッション装置によるダイクッション制御を開始する場合において、
    前記異常識別値をY、2枚重ねのブランク材を試行した場合に得られるダイクッション位置信号ホールド値をX’、前記ブランク材の板厚をTとすると、前記異常識別値Yは、以下の条件、
    Y≧(X’+0.1T)、かつY≦(X’+0.7T)
    を満足する値に設定され、
    前記ダブルブランク検出部は、前記ホールドしたダイクッション位置信号ホールド値が、前記異常識別値Yよりも小さい場合を、前記ダブルブランクとして検出する請求項2に記載のプレス機械のダブルブランク検出装置。
  5. 前記プレス機械のスライドが間接的に前記クッションパッドに衝突し、前記クッションパッドに発生するダイクッション負荷変動を基準にして、前記ダイクッション装置によるダイクッション荷重制御を開始する場合において、
    前記異常識別値をY、1枚のブランク材の成形を複数回繰り返して得られる前記ダイクッション位置信号ホールド値の平均値をXAVE、前記ブランク材の板厚をTとすると、前記異常識別値Yは、以下の条件、
    Y≧(XAVE+0.3T)、かつY<(XAVE+T)
    を満足する値に設定され、
    前記ダブルブランク検出部は、前記ホールドしたダイクッション位置信号ホールド値が、前記異常識別値Yよりも大きい場合を、前記ダブルブランクとして検出する請求項2に記載のプレス機械のダブルブランク検出装置。
  6. 前記プレス機械のスライドが間接的に前記クッションパッドに衝突し、前記クッションパッドに発生するダイクッション負荷変動を基準にして、前記ダイクッション装置によるダイクッション荷重制御を開始する場合において、
    前記異常識別値をY、2枚重ねのブランク材を試行した場合に得られるダイクッション位置信号ホールド値をX’、前記ブランク材の板厚をTとすると、前記異常識別値Yは、以下の条件、
    Y≦(X’−0.1T)、かつY≧(X’−0.7T)
    を満足する値に設定され、
    前記ダブルブランク検出部は、前記ホールドしたダイクッション位置信号ホールド値が、前記異常識別値Yよりも大きい場合を、前記ダブルブランクとして検出する請求項2に記載のプレス機械のダブルブランク検出装置。
  7. 前記異常識別値を手動で設定する第1の手動設定器、又は自動演算して設定する第1の自動設定器を有する請求項3から6のいずれか1項に記載のプレス機械のダブルブランク検出装置。
  8. 前記ダイクッション荷重信号の所定値は、前記ダイクッション装置の最大ダイクッション荷重の5%以上20%以下の範囲内の値とする請求項3から7のいずれか1項に記載のプレス機械のダブルブランク検出装置。
  9. 前記ダイクッション荷重信号の所定値を手動で設定する第2の手動設定器、又は前記ダイクッション装置の最大ダイクッション荷重に基づいて自動演算して設定する第2の自動設定器を有する請求項8に記載のプレス機械のダブルブランク検出装置。
  10. 前記ダイクッション装置は、前記クッションパッドの位置を検出し、前記ダイクッション位置信号を出力するダイクッション位置検出器と、前記クッションパッドに発生するダイクッション荷重を検出し、前記ダイクッション荷重信号を出力するダイクッション荷重検出器と、を備え、
    前記位置信号取得部は、前記ダイクッション位置検出器から前記ダイクッション位置信号を取得し、
    前記荷重信号取得部は、前記ダイクッション荷重検出器から前記ダイクッション荷重信号を取得する請求項1から9のいずれか1項に記載のプレス機械のダブルブランク検出装置。
  11. 前記プレス機械のプレス駆動装置により駆動されるスライドを制動する制動装置と、前記スライドに内蔵され、前記プレス駆動装置により駆動される前記スライドの移動に対して前記スライドの金型装着面を相対的に移動させる液圧シリンダと、を有する前記プレス機械と、
    請求項1から10のいずれか1項に記載のプレス機械のダブルブランク検出装置と、
    前記ダブルブランク検出部により前記ダブルブランクが検出されると、前記制動装置により前記スライドの急制動を開始させるとともに、前記液圧シリンダを脱圧させて前記スライドの金型装着面を含む一部分を上昇方向に相対的に移動させる安全化処置装置と、
    を備えたプレス機械の金型保護装置。
  12. 前記ダイクッション装置は、
    前記クッションパッドを支持し、前記クッションパッドを昇降させるとともに、前記クッションパッドにダイクッション荷重を発生させるダイクッション駆動部と、
    ダイクッション荷重指令を出力するダイクッション荷重指令器と、
    前記ダイクッション荷重指令器から出力されるダイクッション荷重指令に基づいて前記ダイクッション駆動部を制御し、前記クッションパッドに前記ダイクッション荷重指令に対応するダイクッション荷重を発生させるダイクッション荷重制御器と、を備え、
    前記ダイクッション荷重指令器は、前記ダブルブランク検出部により前記ダブルブランクが検出されると、前記クッションパッドが移動する領域のうちの成形が開始されない領域に限り、前記スライドが停止に至る期間、所定のダイクッション荷重指令を出力し、前記ダイクッション荷重指令に対応して前記クッションパッドに発生するダイクッション荷重により前記液圧シリンダを縮退させ、前記スライドの金型装着面を含む一部分を上昇方向に相対的に移動させる請求項11に記載のプレス機械の金型保護装置。
  13. 前記ダイクッション装置は、
    ダイクッション位置指令を出力するダイクッション位置指令器と、
    前記ダイクッション荷重制御器によるダイクッション荷重制御終了後に前記ダイクッション位置指令器から出力されるダイクッション位置指令に基づいて前記ダイクッション駆動部を制御し、前記クッションパッドを上昇させて所定のダイクッション待機位置に移動させるダイクッション位置制御器と、を備え、
    前記所定のダイクッション待機位置は、成形が開始される位置よりも所定量だけ上昇方向に移動した位置である請求項12に記載のプレス機械の金型保護装置。
  14. 前記成形が開始されない領域は、前記所定のダイクッション待機位置と前記成形が開始される位置との間の領域である請求項13に記載のプレス機械の金型保護装置。
  15. 前記ダイクッション荷重指令器は、前記ダブルブランク検出部により前記ダブルブランクが検出されると、前記所定のダイクッション荷重指令として最大ダイクッション荷重指令を自動的に出力する請求項12から14のいずれか1項に記載のプレス機械の金型保護装置。
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