JP2004273928A - ビアホールを有するセラミック基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体素子搭載用の導電性ビアホールを有する放熱性基板において、高光出力用の半導体素子を搭載して大電流を流しても高い放熱特性を維持し、更に繰り返し使用しても半導体素子と基板との接合性が低下したり破損したりすることがない放熱性基板の原料基板を工業的に有利なコファイア法を用いて効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】孔径0.06〜0.6mmの複数のスルーホールが、該スルーホールによって形成される空隙の空隙率が5〜40%となるように配置された領域を有する基板用グリーンシートのスルーホールに導電性ペーストを充填した後に該基板用グリーンシートの両面に該グリーンシートと同一組成・同一サイズの変形防止用グリーンシートを積層し、次いで脱脂・焼成した後に変形防止用グリーンシートに由来する焼結体層を除去する。
【選択図】 なし
【解決手段】孔径0.06〜0.6mmの複数のスルーホールが、該スルーホールによって形成される空隙の空隙率が5〜40%となるように配置された領域を有する基板用グリーンシートのスルーホールに導電性ペーストを充填した後に該基板用グリーンシートの両面に該グリーンシートと同一組成・同一サイズの変形防止用グリーンシートを積層し、次いで脱脂・焼成した後に変形防止用グリーンシートに由来する焼結体層を除去する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートシンクやサブマウントとして好適に使用できるビアホールを有する放熱性基板、特に、半導体レーザー素子とヒートシンク間に設置される導電性を有する半導体レーザー素子用のサブマウントとして使用可能な放熱性基板の製造方法に関する。さらに詳しくは、高出力レーザー素子を搭載することが可能なサブマウントとして使用できる放熱性基板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
サブマウントとは、半導体レーザー素子とヒートシンク(銅等の金属製ブロック)の間に位置する絶縁基板であり、半導体レーザー素子から発生される熱をヒートシンク側へ効率よく伝達する性能を持つものである。
【0003】
半導体レーザー素子用のサブマウントとしては、絶縁基板の両面に回路パターンが設けられており、両面間を貫通するビアホールに導電性物質を充填することによってこれら両面の回路パターンが電気的に接続されているものが知られており(特許文献1参照)、その片面に半導体レーザー素子を、他の片面にヒートシンクをハンダ等によりボンディングして使用されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−036274号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来、光ディスク用途のレーザー光源に要求される半導体素子の光出力は数10mW程度であったが、近年開発中のレーザー加工や医療分野向けの高出力レーザーでは、光出力がW級にまで高めることが求められている。従来のサブマウントにおいては、搭載される半導体素子の光出力がさほど高くないため、ビアホールの数は少なくても両面の回路パターンの電気的接続が得られればよく、さらにサブマウント表裏面間の抵抗は20mΩ程度あった。しかしながら、このような従来用いられていたサブマウントに高光出力用の半導体素子を搭載して使用した場合には、高出力用に大電流を流す必要があるためサブマウントのビアホール部分で発熱が起こり、放熱基板としての機能を果たせないばかりでなく、その発熱により半導体素子の破壊や機能低下の原因となることが判明した。
【0006】
そこで、本発明者等は、ビアホールの孔径を大きくしてサブマウント表裏面間の抵抗を下げれば上記課題が解決できると考え検討を行なったところ、このような方法によりビアホールでの発熱を低減することは可能であるが、設計上の要求からビアホールを半導体素子の直下に形成する場合には、ビアホールの孔径を大きくすると、長期間使用した場合には半導体素子のサブマウントへの接合状態が悪化したり素子の耐久性が低下したりするという新たな問題が発生することが明らかとなった。そこで、このような問題の発生を招くことなくビアホールにおける発熱を低減する方法について更に検討を行なった。その結果、上記のような態様においては、孔径の小さなビアホールを多数均一に分散させて配置した場合には半導体素子の密着性の低下等の問題を起こすことなくビアホールにおける発熱を低くすることできることがあること、及びビアホールの孔径を特定の範囲とし、ビアホールに充填される導電性物質の露出端面の総面積が、半導体素子が載置される部位の面積(半導体素子の接合面の面積に相当する)に占める割合を特定の範囲とした時に上記効果が安定して得られることを見出した。本発明者等は、該知見に基づいて上記課題を解決し得る新規な放熱性基板を開発することに成功し、既に提案している(特願2001−313461号)。
【0007】
上記の新規な放熱性基板は、半導体素子を載置するための載置面を有するセラミック製基板であって、該載置面に該基板の表裏両面間を貫通するスルーホールの内部に導電性物質が充填されたビアホールを有するセラミック基板を構成部材として含む放熱性基板において、前記載置面の半導体素子が載置される部位に、該部位に占める前記導電性物質の露出端面の総面積が5〜40%となるように孔径0.05〜0.5mmの複数のビアホールを配置したことを特徴とするものであり、大出力の半導体素子をビアホールの直上に載置して使用してもビアホールでの発熱が少なく高い放熱特性を発揮できるばかりでなく、長期間使用しても素子の接合性が悪化したり素子が破損したりし難いという特徴を有する。
【0008】
しかしながら、上記放熱性基板の原料基板を所謂コファイア法で製造しようとした場合には、グリーンシート内に配置される導電性物質が充填されたビアホール部位が多いことにより、グリーンシートの機械的強度が低下しハンドリング性が悪くなるだけでなく、ビアホール部位の割合によっては、脱バインダー処理後に反りや変形が発生し、その結果、反り、変形、基板割れのない焼結体を得るのが困難であるという問題が発生することが判明した。そこで、本発明は、上記のような優れた特徴を有するセラミック製基板を、工業的に有利なコファイア法を用いて効率よく製造する製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、最終的に必要なビアホールを有するセラミックグリーンシート体の両面に、該グリーンシートと同一組成の変形防止用の(ダミーの)グリーンシートを積層した後、脱脂・焼成することで、脱脂体の反りや変形を防止し、さらに焼結体の反り、変形、基板割れを確実に抑えることができ、得られた焼結積層体の表裏面の前記変形防止用のグリーンシートに由来する焼結体層を除去することにより、放熱性基板の原料基板となるセラミック基板を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、
(1) 孔径φ0.06〜φ0.6mmの複数のスルーホールが、該スルーホールによって形成される空隙の空隙率が5〜40%となるように配置された領域を有するグリーンシートの前記スルーホールに導電性ペーストを充填する工程、
(2) 前記工程(1)で得られたスルーホールに導電性ペーストが充填された基板用グリーンシートの両面に当該基板用グリーンシートを構成する組成物と実質的に同じ組成物で形成された変形防止用のグリーンシートを夫々積層する工程、
(3) 前記工程(2)で得られた積層体を脱脂後焼成する工程及び
(4) 前記工程(3)で得られた焼結積層体の前記変形防止用のグリーンシートに由来する焼結体層を除去する工程
を含むことを特徴とするビアホールを有するセラミック基板の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法では、先ず工程(1)として孔径φ0.06〜φ0.6mmの複数のスルーホールが、該スルーホールによって形成される空隙の空隙率が5〜40%となるように配置された領域を有するグリーンシート(基板用グリーンシートともいう)の前記スルーホールに導電性ペーストを充填する。
【0012】
工程(1)で使用するグリーンシートとしては、セラミック粉末、さらに有機バインダー、可塑剤、有機溶剤を混合したものが用いられる。
【0013】
本発明において使用される基板用グリーンシートの無機成分としては、公知のセラミック粉末が制限なく使用できるが、熱伝導性(放熱性)の観点から窒化アルミニウム、炭化珪素、酸化ベリリウムの何れかを主成分とするのが好適である。これらの中でも窒化アルミニウムを主成分とするセラミック粉を採用した場合には、放熱性の特に高い基板を得ることができる。この場合、窒化アルミニウムを主成分とするセラミック粉としては、沈降法で測定した平均粒径が5μm以下、特に3μm以下である粉末が好適に使用され、0.5〜2μmの範囲にある粉末が最も好適に使用される。また、上記窒化アルミニウム粉末は、酸素含有量が3.0重量%以下で、かつ窒化アルミニウム組成をAlNとするとき含有する陽イオン不純物が0.5重量%以下、特に、酸素含有量が0.4〜1.0重量%の範囲にあり、そして陽イオン不純物の含有量が0.2重量%以下でありかつ陽イオン不純物のうちFe、Ca、Si及びCの合計含有量が0.17重量%以下である窒化アルミニウム粉末が好適である。このような窒化アルミニウム粉末を用いた場合には、得られる窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率の向上が大きくなるために本発明で好適に用いられる。
【0014】
前記グリーンシートに孔径φ0.06〜0.6mmのスルーホールを形成する方法は、特に限定されず、一般的に用いられている金型打ち抜き法やパンチングマシンによる方法が使用される。スルーホールの孔径は、φ0.06〜0.6mmの範囲が好適であり、特に0.1〜0.35mmの範囲が好適である。スルーホールの孔径がφ0.06mm未満の場合、金型やパンチングピンの消耗・破損が多く、安定的なスルーホールを形成するという点で技術的に困難である。一方、スルーホールの孔径がφ0.6mmを超える場合、最終的に得られる放熱性基板を長期間使用すると半導体素子のサブマウントへの接合状態が悪化したり素子の耐久性が低下したりする。なお、後述する工程(3)の焼成により該スルーホールは若干収縮し、焼成後のスルーホールの孔径は約0.05〜0.5mmとなる。
【0015】
スルーホールの形成に際しては、複数のスルーホール(互いに近接する2〜700個、好ましくは15〜300個の一群のスルーホール、これをユニットとも呼ぶ)によって形成される空隙の空隙率が5〜40%の範囲となる領域を少なくとも1つ有する必要がある。該領域は、例えばその直上部に必要に応じてメタライズ層を介して半導体素子が載置される部分となる領域であり、このような領域における空隙率が5%未満の場合、得られる放熱性基板に高出力用の半導体素子を搭載して使用すると、サブマウントのビアホールで発熱が起こり、放熱性基板としての機能を果たせないばかりでなく、その発熱により半導体素子の破壊や機能低下が起こる。また、空隙率が40%を超える場合、スルーホールと隣接するスルーホールの間隔とが狭くなり、スルーホール形成時にグリーンシートにひびが入ってしまうという点で、技術的に困難である。また、スルーホール形成が上手くいっても、得られる放熱性基板を長期間使用するとスルーホールの孔径を大きくした場合と同様、半導体素子のサブマウントへの接合状態が悪化したり素子の耐久性が低下したりする。効果および製造のよう鎖の観点から上記空隙率は、6〜30%の範囲であるのが好適である。基板用グリーンシートはその全体に渡って空隙率が5〜40%、好ましくは6〜30%の範囲となるようにスルーホールが形成されていてもよいが、一般に目的物の最終形態がサブマウント等の放熱性基板である場合には、該サブマウントの形状は非常に小さいため、その製造に当たってはサブマウントとなるパターンを複数有する大きな原料基板を製造し、後で各サブマウントに対応する形状に切り出すのが有利である。したがって、基板用グリーンシートにおいては、切断後サブマウントとしたときに半導体素子の載置面となる部位に空隙率が5〜40%、好ましくは6〜30%の範囲となるようにスルーホールを形成するのが好適である。
【0016】
前記スルーホールに充填される導電性ペーストは、グリーンシート焼成後に導電体となるものであれば特に限定されず、グリーンシートの無機成分(主成分)の焼結温度より高い融点を有する金属粉を含有する公知の導電性ペーストが特に制限なく使用できる。具体的には、タングステン、モリブデン等の高融点金属粉を含むものが好適に使用される。一般に好適に用いられる高融点金属粉末としては、フィッシャー法で測定した平均粒径1.0〜2.5μmであるが、ビアホールの電気的接続信頼性を保つのに効果的であるという理由から平均粒径1.6〜2.0μmの範囲のものを使用するのが好適である。なお、金属粉末以外の成分については特に限定されず、従来の導電性ペーストで通常使用される材料が制限なく使用できる。
【0017】
導電性ペーストを前記グリーンシートに形成したスルーホールに充填する方法は、公知の方法が特に制限なく採用される。具体的には、印刷法、圧入法などが使用されるが、スルーホールの長さと直径の比(長さ/直径)が2.5より大きい場合は、圧入法の方が充填しやすいため、好適に使用される。
【0018】
本発明の製造方法では、工程(2)として、前記工程(1)で得られたスルーホールに導電性ペーストが充填された基板用グリーンシートの両面に当該基板用グリーンシートを構成する組成物と実質的に同じ組成物で形成された変形防止用のグリーンシートを夫々積層する。
【0019】
工程(2)で使用する変形防止用のダミーのグリーンシートは、工程(1)で使用した基板用グリーンシートと同一組成、同一サイズのものが好適に使用される。グリーンシートの組成が異なる場合、焼成収縮率に大きな差が発生し、かえって変形・反りが大きくなってしまい、本発明の目的を達成することができない。また、グリーンシートのサイズが異なる場合、シート積層時、かかる圧力に差が発生することにより、シート密度のムラ即ち焼成収縮率のムラとなり、変形・反り・ビアホールの位置精度の低下を招くことになり、本発明の目的を達成することができない。尚、変形防止用のダミーのグリーンシートの厚みに制限はないが、積層体の脱脂性を考慮し、また、最終的には焼結積層体の変形防止用のダミーのグリーンシートに由来する焼結体層を除去して、本発明のメタライズ基板とすることから判断すると、スルーホールに導電性ペーストが充填された基板用グリーンシートの厚みをTとした場合、変形防止用のダミーのグリーンシートの厚みは、1/2T〜Tの範囲であることが好ましい。
【0020】
本発明の製造方法では、工程(3)として、前記工程(2)で得られた積層体を脱脂後焼成する。このとき、積層体を脱脂する方法は、特に限定されない。ただし、脱脂の雰囲気としては、導電性部材を酸化させる恐れのある大気等の酸化性雰囲気をとしないことが好ましく、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中、水素等の還元性ガス雰囲気中、それらの混合ガス雰囲気中、それらの加湿ガス雰囲気中、或いは真空中などで行なうのが好適である。また、脱脂温度は、グリーンシートの種類等に応じて適宜決定されるが、通常500〜1200℃、好ましくは800〜1000℃の温度が採用される。また、かかる温度への昇温速度は、特に限定されるものではないが、一般的に10℃/分以下が好ましい。さらに脱脂時間は、積層体の厚み、グリーンシートの密度、ビアホールの占める割合、脱脂温度等により多少異なるため、一概に特定することはできないが、一般に1〜1200分の範囲で決定される。
【0021】
次に、得られた脱脂体は焼成されるが、焼成は非酸化性雰囲気又は乾燥した還元性ガス雰囲気で行なうのが好適である。非酸化性雰囲気としては例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等のガスの単独あるいは混合ガスよりなる雰囲気又は真空(又は減圧)雰囲気が使用される。また、乾燥した還元性ガス雰囲気としては、水素や水素と不活性ガスの混合雰囲気が使われる。焼成温度はセラミック基板の材質によって異なるが、通常1000〜2000℃の範囲から選択される。例えば、セラミック基板が窒化アルミニウム焼結体からなる場合には、1600〜2000℃、更に、好適には1700〜1900℃の温度で焼成される。
【0022】
本発明の製造方法では、工程(4)として、前記工程(3)で得られた焼結積層体の前記変形防止用のグリーンシートに由来する焼結体層(ダミー層ともいう)を除去する。ダミー層の除去方法としては、ラッピング、ポリッシング、バレル研磨、サンドブラスト、研削盤による研磨等の公知の方法が制限なく用いられる。なお、ダミー層の除去後、該セラミック基板を放熱性基板として好適に使用するため即ち半導体素子のサブマウントへの接合状態の信頼性を高めるためには、ダミー層の除去時にRa≦0.8μm、特にRa≦0.05μmになるように研磨するのが好ましい。
【0023】
前記(1)〜(4)の工程を経て得られるビアホールを有するセラミック基板は、必要に応じて切断することによりサブマウント等の放熱性基板として好適に使用できるが、このような用途に使用する場合、効率性の観点から切断前に表面をメタライズしておくのが好適である。前記(1)〜(4)の工程を経て得られるビアホールを有するセラミック基板の少なくとも一方の面をメタライズする方法は、特に限定されず、公知のメタライズ形成方法が採用できる。メタライズの種類は、導電性を有するものであれば特に限定されないが、通常金属薄膜層が使用される。金属薄膜の構成金属としては、セラミック基板上に密着性を有する膜を形成できる金属であれば公知のものが特に制限なく使用できるが、基板用グリーンシートの無機成分の主成分が窒化アルミニウムの場合は、密着性の観点から、チタニウム、クロム、モリブデン、タングステン、タングステンチタニウム、アルミニウム、ニッケルクロム、タンタル、窒化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を使用するのが好適である。尚、該金属薄膜層は多層構造を有していてもよい。金属薄膜層が2層以上の積層体からなる場合には、第一層としてセラミック基板との密着性が良好な導電性材料からなる膜を形成し、その上に電気伝導性及び耐腐食性が良好な、銅、ニッケル、パラジウム、白金、及び金からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる層を形成するのが好適である。また、ハンダ層を構成するハンダ材料は特に限定されず、鉛・すず系ハンダ、金・すず系ハンダ、金・シリコン系ハンダ、金・ゲルマニウム系ハンダ等の公知のハンダ材料が制限なく使用できる。該ハンダ層も多層構造を有していてもよく、更に金属薄膜層とハンダ層との中間にハンダ材の拡散を防止するための金属層を設けてもよい。このような該拡散防止層としては、白金、タングステン、タングステンチタニウム、モリブデンが好適に使用できる。
【0024】
以下、図面を用いて本発明のビアホールを有するセラミック基板の製造方法及びそれを原料基板として作製される放熱性基板について説明する。図1(a)〜(e)に、本発明のビアホールを有するセラミック基板の製造方法の実施の形態の一例を、各々の工程毎の斜視図で示す。すなわち、先ず、図1(a)に示すように、ビアホールが形成されたセラミックグリーンシート10の両面に、変形防止用のセラミックグリーンシート20を配置し、次いで、図1(b)に示すように、これらを積層して積層体30を作製する。この積層体を脱脂・焼成し、図1(c)に示すような変形防止用のグリーンシートに由来する焼結体層(ダミー層)40を有する焼結積層体を得る。その後、ダミー層40を除去し、図1(d)に示すような鏡面基板50を作製する。続いて、図1(e)に示すように、鏡面基板の両面に導電層6を形成し、更に載置面の導電層上にハンダ層7を形成する。このようにして得られたセラミック基板は、所定の大きさに切断され、放熱性基板1となる。
【0025】
図2に本発明製法により製造された代表的なビアホールを有するセラミック基板を原料基板として作製される放熱性基板1の上面図A及び断面図Bを示す。該図に示される放熱性基板1は、半導体素子(図示しない)を載置するための載置面2を有するセラミック製基板3であって、該載置面に該基板の両面間を貫通し、その内部に導電性物質が充填されたビアホール4を有するセラミック基板を構成部材として含み、前記載置面2の半導体素子が載置される部位5に、同一の断面積s(該sは、ビアホールに充填された導伝性物質の露出面の面積に相当する。)を有する複数のビアホール4が配置された基本構造を有している。そして、前記セラミックス基板3の載置面2の上面には全面に渡って導電層6が形成され、その半導体素子が載置される部位5上にハンダ層7が形成されている。また、前記セラミックス基板3の裏面(載置面と反対側の面)には全面に渡って導電層6が形成されている。なお、上面図Aにおいては、ビアホール4の位置を分かりやすくするために、ビアホールに充填された導電性物質の端面を点線で示しているが、断面図Bに示されるようにその上は導電層6及びハンダ層7で被覆されている。
【0026】
図2には、セラミック基板として板状体のものを示したが、セラミック基板の形状はこのような板状体に限定されず、半導体素子を載置する載置面を有するものであれば放熱性基板の使用形態に合わせて任意の形状のものが使用可能である。また、セラミック基板の表面粗さは目的により異なるが、通常、Ra≦0.8μm、更に好適には、Ra≦0.05μmであることが半導体素子のダイ付けの信頼性が高まるため好ましい。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明を更に具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
実施例 1
堀場製作所製遠心粒度分布装置 CAPA500で測定した沈降法による平均粒径が1.60μmで、比表面積が2.5m2/gであり、比表面積をS(m2/g)とした時に「D(μm)=6/S×3.26」から算出される平均粒径(D)が0.74μmの窒化アルミニウム粉末100重量部に焼結助剤として、比表面積12.5m2/gの酸化イットリウム粉末5重量部、有機バインダー及び分散剤としてメタクリル酸ブチル15重量部、可塑剤としてジオクチルフタレート5重量部を添加し、トルエンを溶剤としてボールミルで混合した。このスラリーを脱泡後、ドクターブレード法により厚さ0.6mmのシート状に成形した。その後、このグリーンシートAから長さ64mm、幅64mmのシートを切り出した〔窒化アルミニウム成形体(A−1)〕。
【0029】
次に、この窒化アルミニウム成形体(A−1)にパンチング用金型を使用して穿孔し、直径がφ250μmのスルーホールが縦0.65mmピッチで3個、横0.7mmピッチ17個並んだユニットが縦2.3mmピッチで20ユニット、横12.3mmピッチで4ユニット、計4080個並んだものを用意した〔窒化アルミニウム成形体(A−2)〕。
【0030】
次に、タングステン粉末、窒化アルミニウム粉末、有機結合剤としてエチルセルロース、溶剤として酢酸−2(2−ブトキシエトキシ)エチル、その他可塑剤、分散剤を自動乳鉢、続いて3本ロールミルで十分に混錬して、ペーストを調製した。このタングステンペーストを圧入法により前記窒化アルミニウム成形体(A−2)のスルーホール内に充填した〔窒化アルミニウム成形体(A−3)〕。充填圧力は50psi、充填時間は120秒とした。
【0031】
また、同一組成、手順で調製した脱泡済みスラリーを、ドクターブレード法により厚さ0.23mmのシート状に成形した。その後、このグリーンシートBから窒化アルミニウム成形体(A−1)と同一サイズのシートを2枚切り出した〔窒化アルミニウム(B−1)〕。
【0032】
このようにして作製したタングステンビアホールを有する窒化アルミニウム成形体(A−3)の両面に窒化アルミニウム成形体(B−1)を積層した〔窒化アルミニウム成形体(M−1)〕。積層圧力は140kgf/cm2、積層温度は120℃、積層時間は15分とした。
【0033】
このようにして作製したタングステンビアホールを有する窒化アルミニウム成形体(M−1)を乾燥窒素ガスを20l/分流通させながら800℃、2時間加熱脱脂を行った。尚、昇温速度は、1.5℃/分とした。同時に脱脂したテストサンプルの脱脂体の残留炭素率を測定したところ、2370ppmであった。その後、脱脂体を窒化アルミニウム製の容器に入れ、窒素雰囲気中1620℃で5時間加熱し、さらに1875℃で8時間焼成することにより、内部に直径φ200μmのタングステンビアホールを有する長さ54×54mm、厚さ0.6mmの窒化アルミニウム基板を得た。基板の反りは20μmであった。同時に脱脂・焼成した基板厚み0.6mmのテストサンプルの熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、210W/mKであった。
【0034】
次にこの窒化アルミニウム基板を用いて放熱性基板を作製した。即ち、前記基板の表裏両面を各々ほぼ同量ずつ研削し、厚さ0.3mmの両面鏡面仕上げ(表面粗さRa:0.03μm)に加工し、表裏両面の全面に薄膜導電層(第1層/第2層/第3層=Ti:0.1μm/Pt:0.2μm/Au:1.0μm)をスパッタ法により形成後、表面の全面にAuSn(Au=80wt%)ハンダ(厚み5μm)を蒸着法により形成した。次に、薄膜導電層及びハンダ層の形成された前記基板を長さ12mm、幅2mmに切断し、チップ形状の放熱性基板を作成した。この放熱性基板のハンダ層の下には51個のビアホールが存在し、この時の導電性物質面積占有率は6.7%である。また、この放熱性基板の表面側と裏面側の間で抵抗を10箇所測定したところ、抵抗値の平均は0.41mΩであった。
【0035】
さらに、この放熱性基板の表面側に長さ12mm、幅2mm、厚さ0.6mmのGaAs製のダミー素子をハンダ付けした後、放熱性基板の裏面側をAuSn(Au=80wt%)ハンダにて銅製のヒートシンクへボンディングした。ダミー素子に40Aを5分間通電したところ、39℃に温度上昇した。その後、−50℃:30分保持→125℃:30分保持を1サイクルとするヒートサイクル試験を1000サイクル行った後、ダミー素子が接合した放熱性基板を2mm角に切り出し、ダミー素子と放熱性基板とのシェア強度試験を行ったところ、平均のシェア強度は4.7kgfであった。
【0036】
実施例 2
実施例1で作製した窒化アルミニウム成形体A−1にパンチング用金型を使用して穿孔し、直径がφ250μmのスルーホールが縦0.45mmピッチで4個、横0.48mmピッチ24個並んだユニットが縦2.3mmピッチで20ユニット、横12.3mmピッチで4ユニット、計7680個並んだものを用意した〔窒化アルミニウム成形体(A−4)〕。
【0037】
次に、実施例1で調製したタングステンペーストを圧入法により前記窒化アルミニウム成形体(A−4)のスルーホール内に充填した〔窒化アルミニウム成形体(A−5)〕。充填圧力は50psi、充填時間は100秒とした。
【0038】
次に、このようにして作製したタングステンビアホールを有する窒化アルミニウム成形体(A−5)の両面に実施例1で作製した窒化アルミニウム成形体(B−1)を実施例1と同一条件で積層した〔窒化アルミニウム成形体(M−2)〕。
【0039】
その後、窒化アルミニウム成形体(M−2)を実施例1と同一条件にて脱脂した。同時に脱脂したテストサンプルの残留炭素率を測定したところ、2780ppmであった。その後、実施例1と同一条件にて焼成することにより、内部に直径φ200μmのタングステンビアホールを有する長さ54×54mm、厚さ0.6mmの窒化アルミニウム基板を得た。基板の反りは25μmであった。同時に脱脂・焼成した基板厚み0.6mmのテストサンプルの熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、212W/mKであった。
【0040】
この窒化アルミニウム基板に研磨、スパッタ、蒸着、切断工程を実施例1と同様に行い、長さ12mm、幅2mmのチップ形状の放熱性基板を得た。この放熱性基板のハンダ層の下には96個のビアホールが存在し、この時の導電性物質面積占有率は12.6%である。また、実施例1と同様にして抵抗測定を行なったところ、平均は0.25mΩであった。さらに、実施例1と同様にしてGaAs製のダミー素子をボンディングし、ヒートシンクへボンディングした後にダミー素子に40Aを5分間通電したところ、35℃に温度上昇した。その後、実施例1と同様にしてヒートサイクル試験を1000サイクル行った後、放熱性基板を2mm角に切りだし、シェア強度試験を行ったところ、平均のシェア強度は4.1kgfであった。
【0041】
実施例 3
実施例1で作製した窒化アルミニウム成形体A−1にパンチング用金型を使用して穿孔し、直径がφ250μmのスルーホールが縦0.32mmピッチで7個、横0.33mmピッチ37個並んだユニットが縦2.3mmピッチで20ユニット、横12.3mmピッチで4ユニット、計20720個並んだものを用意した〔窒化アルミニウム成形体(A−6)〕。
【0042】
次に、実施例1で調製したタングステンペーストを圧入法により前記窒化アルミニウム成形体(A−6)のスルーホール内に充填した〔窒化アルミニウム成形体(A−7)〕。充填圧力は50psi、充填時間は80秒とした。
【0043】
次に、このようにして作製したタングステンビアホールを有する窒化アルミニウム成形体(A−7)の両面に実施例1で作製した窒化アルミニウム成形体(B−1)を実施例1と同一条件で積層した〔窒化アルミニウム成形体(M−3)〕。
【0044】
その後、窒化アルミニウム成形体(M−3)を乾燥窒素/水素ガス(40/60%)12l/分流通させながら900℃、2時間加熱脱脂を行った。尚、昇温速度は1.2℃/分とした。同時に脱脂したテストサンプルの残留炭素率を測定したところ、2180ppmであった。その後、実施例1と同一条件にて焼成することにより、内部に直径φ200μmのタングステンビアホールを有する長さ54×54mm、厚さ0.6mmの窒化アルミニウム基板を得た。基板の反りは23μmであった。同時に脱脂・焼成した基板厚み0.6mmのテストサンプルの熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、208W/mKであった。
【0045】
この窒化アルミニウム基板に研磨、スパッタ、蒸着、切断工程を実施例1と同様に行い、長さ12mm、幅2mmのチップ形状の放熱性基板を得た。この放熱性基板のハンダ層の下に259個のビアホールが存在し、この時の導電性物質面積占有率は33.9%である。また、実施例1と同様にして抵抗測定を行なったところ、平均は0.11mΩであった。さらに、実施例1と同様にしてGaAs製のダミー素子をボンディングし、ヒートシンクへボンディングした後にダミー素子に40Aを5分間通電したところ、28℃に温度上昇した。その後、実施例1と同様にしてヒートサイクル試験を1000サイクル行った後、放熱性基板を2mm角に切りだし、シェア強度試験を行ったところ、平均のシェア強度は3.3kgfであった。
【0046】
比較例 1
実施例1で作製した窒化アルミニウム成形体(A−3)を該成形体の両面に窒化アルミニウム成形体(B−1)を積層することなく単体のまま、実施例1と同一条件で脱脂した。同時に脱脂したテストサンプルの脱脂体の残留炭素率を測定したところ、2150ppmであった。その後、実施例1と同一条件で焼成し、窒化アルミニウム基板を得た。基板の反りは520μmと非常に大きかった。同時に脱脂・焼成した基板厚み0.6mmのテストサンプルの熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、211W/mKであった。
【0047】
この窒化アルミニウム基板を用いて放熱性基板を作製するため、まず、基板の表裏両面を各々ほぼ同量研削し、厚さ0.3mmの両面鏡面仕上げを行ったところ、基板の反りの影響により、砥石あるいは砥粒が十分に触れなかったために表面状態の異なる部分(光沢や色調のむら)及び変形防止用に積層したダミーシートの部分が表面に残ってしまい、ビアホールが基板表面に露出しない部分が斑に発生した。表面粗さ計により、Raを測定したところ、正常部では0.024、光沢むらの発生した部分では0.19であった。
【0048】
比較例 2
実施例2で作製した窒化アルミニウム成形体(A−5)を該成形体の両面に窒化アルミニウム成形体(B−1)を積層することなく単体のまま、実施例1と同一条件で脱脂したところ、脱脂体の端部が変形した。同時に脱脂したテストサンプルの残留炭素率を測定したところ、2510ppmであった。その後、実施例1と同一条件で焼成し、窒化アルミニウム基板を得た。脱脂体の時点で変形していた基板の端部には欠けあるいはクラックが発生した。基板の反りは710μmと非常に大きかった。同時に脱脂・焼成した基板厚み0.6mmのテストサンプルの熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、210W/mKであった。
【0049】
この窒化アルミニウム基板を用いて放熱性基板を作製するため、まず、基板の表裏両面を各々ほぼ同量研削し、厚さ0.3mmの両面鏡面仕上げを行ったところ、鏡面加工前に発生していた基板端部のクラックを起点にクラックが伸展し、研磨はできなかった。
【0050】
比較例 3
実施例3で作製した窒化アルミニウム成形体(A−7)を該成形体の両面に窒化アルミニウム成形体(B−1)を積層することなく単体のまま、実施例3と同一条件で脱脂したところ、脱脂体全体が変形した。同時に脱脂したテストサンプルの残留炭素率を測定したところ、2030ppmであった。焼成用の窒化アルミニウム製の容器に移し替えるため脱脂体を真空ピンセットで吸着したが、割れてしまった。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、最終的に必要なビアホールを有するセラミックグリーンシートの両面に、該グリーンシートと同一組成・同一サイズの変形防止用のダミーのグリーンシートを積層した後、脱脂・焼成することで、脱脂体の反りや変形を防止し、さらに焼結体の反り、変形、基板割れを確実に抑えることができ、得られた焼結積層体の表裏面の前記変形防止用のダミーのグリーンシートに由来する焼結体層を除去することにより、放熱性基板の原料基板となるセラミック基板を得ることができる。
【0052】
本発明により作製したセラミック基板を原料として作製した放熱性基板は、素子が載置される直下の部位に金属ビアホールが設けられた構造を有するが、高出力の半導体レーザー素子等の半導体素子を載置して使用した場合に、大電流を流してもビアホールにおける発熱が小さく、優れた放熱特性を有するばかりでなく、繰り返し使用しても半導体素子と基板との接合性が低下したり破損したりすることがなく、高い安定性・耐久性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は本発明の製造方法を説明するための模式図である。
【図2】本図は本発明の製造方法によって製造される代表的な放熱性基板の上面図(A)及び断面図(B)である。
【符号の説明】
1:放熱性基板
2:載置面
3:セラミック製基板
4:内部に導伝性物質が充填されたビアホール
5:半導体素子が載置される部位
6:導電層
7:ハンダ層
s:ビアホールに充填された導伝性物質の露出面の面積
10:ビアホールが形成されたセラミックグリーンシート
20:変形防止用のセラミックグリーンシート
30:積層体
40:変形防止用のグリーンシートに由来する焼結体層(ダミー層)
50:鏡面基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートシンクやサブマウントとして好適に使用できるビアホールを有する放熱性基板、特に、半導体レーザー素子とヒートシンク間に設置される導電性を有する半導体レーザー素子用のサブマウントとして使用可能な放熱性基板の製造方法に関する。さらに詳しくは、高出力レーザー素子を搭載することが可能なサブマウントとして使用できる放熱性基板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
サブマウントとは、半導体レーザー素子とヒートシンク(銅等の金属製ブロック)の間に位置する絶縁基板であり、半導体レーザー素子から発生される熱をヒートシンク側へ効率よく伝達する性能を持つものである。
【0003】
半導体レーザー素子用のサブマウントとしては、絶縁基板の両面に回路パターンが設けられており、両面間を貫通するビアホールに導電性物質を充填することによってこれら両面の回路パターンが電気的に接続されているものが知られており(特許文献1参照)、その片面に半導体レーザー素子を、他の片面にヒートシンクをハンダ等によりボンディングして使用されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−036274号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来、光ディスク用途のレーザー光源に要求される半導体素子の光出力は数10mW程度であったが、近年開発中のレーザー加工や医療分野向けの高出力レーザーでは、光出力がW級にまで高めることが求められている。従来のサブマウントにおいては、搭載される半導体素子の光出力がさほど高くないため、ビアホールの数は少なくても両面の回路パターンの電気的接続が得られればよく、さらにサブマウント表裏面間の抵抗は20mΩ程度あった。しかしながら、このような従来用いられていたサブマウントに高光出力用の半導体素子を搭載して使用した場合には、高出力用に大電流を流す必要があるためサブマウントのビアホール部分で発熱が起こり、放熱基板としての機能を果たせないばかりでなく、その発熱により半導体素子の破壊や機能低下の原因となることが判明した。
【0006】
そこで、本発明者等は、ビアホールの孔径を大きくしてサブマウント表裏面間の抵抗を下げれば上記課題が解決できると考え検討を行なったところ、このような方法によりビアホールでの発熱を低減することは可能であるが、設計上の要求からビアホールを半導体素子の直下に形成する場合には、ビアホールの孔径を大きくすると、長期間使用した場合には半導体素子のサブマウントへの接合状態が悪化したり素子の耐久性が低下したりするという新たな問題が発生することが明らかとなった。そこで、このような問題の発生を招くことなくビアホールにおける発熱を低減する方法について更に検討を行なった。その結果、上記のような態様においては、孔径の小さなビアホールを多数均一に分散させて配置した場合には半導体素子の密着性の低下等の問題を起こすことなくビアホールにおける発熱を低くすることできることがあること、及びビアホールの孔径を特定の範囲とし、ビアホールに充填される導電性物質の露出端面の総面積が、半導体素子が載置される部位の面積(半導体素子の接合面の面積に相当する)に占める割合を特定の範囲とした時に上記効果が安定して得られることを見出した。本発明者等は、該知見に基づいて上記課題を解決し得る新規な放熱性基板を開発することに成功し、既に提案している(特願2001−313461号)。
【0007】
上記の新規な放熱性基板は、半導体素子を載置するための載置面を有するセラミック製基板であって、該載置面に該基板の表裏両面間を貫通するスルーホールの内部に導電性物質が充填されたビアホールを有するセラミック基板を構成部材として含む放熱性基板において、前記載置面の半導体素子が載置される部位に、該部位に占める前記導電性物質の露出端面の総面積が5〜40%となるように孔径0.05〜0.5mmの複数のビアホールを配置したことを特徴とするものであり、大出力の半導体素子をビアホールの直上に載置して使用してもビアホールでの発熱が少なく高い放熱特性を発揮できるばかりでなく、長期間使用しても素子の接合性が悪化したり素子が破損したりし難いという特徴を有する。
【0008】
しかしながら、上記放熱性基板の原料基板を所謂コファイア法で製造しようとした場合には、グリーンシート内に配置される導電性物質が充填されたビアホール部位が多いことにより、グリーンシートの機械的強度が低下しハンドリング性が悪くなるだけでなく、ビアホール部位の割合によっては、脱バインダー処理後に反りや変形が発生し、その結果、反り、変形、基板割れのない焼結体を得るのが困難であるという問題が発生することが判明した。そこで、本発明は、上記のような優れた特徴を有するセラミック製基板を、工業的に有利なコファイア法を用いて効率よく製造する製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、最終的に必要なビアホールを有するセラミックグリーンシート体の両面に、該グリーンシートと同一組成の変形防止用の(ダミーの)グリーンシートを積層した後、脱脂・焼成することで、脱脂体の反りや変形を防止し、さらに焼結体の反り、変形、基板割れを確実に抑えることができ、得られた焼結積層体の表裏面の前記変形防止用のグリーンシートに由来する焼結体層を除去することにより、放熱性基板の原料基板となるセラミック基板を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、
(1) 孔径φ0.06〜φ0.6mmの複数のスルーホールが、該スルーホールによって形成される空隙の空隙率が5〜40%となるように配置された領域を有するグリーンシートの前記スルーホールに導電性ペーストを充填する工程、
(2) 前記工程(1)で得られたスルーホールに導電性ペーストが充填された基板用グリーンシートの両面に当該基板用グリーンシートを構成する組成物と実質的に同じ組成物で形成された変形防止用のグリーンシートを夫々積層する工程、
(3) 前記工程(2)で得られた積層体を脱脂後焼成する工程及び
(4) 前記工程(3)で得られた焼結積層体の前記変形防止用のグリーンシートに由来する焼結体層を除去する工程
を含むことを特徴とするビアホールを有するセラミック基板の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法では、先ず工程(1)として孔径φ0.06〜φ0.6mmの複数のスルーホールが、該スルーホールによって形成される空隙の空隙率が5〜40%となるように配置された領域を有するグリーンシート(基板用グリーンシートともいう)の前記スルーホールに導電性ペーストを充填する。
【0012】
工程(1)で使用するグリーンシートとしては、セラミック粉末、さらに有機バインダー、可塑剤、有機溶剤を混合したものが用いられる。
【0013】
本発明において使用される基板用グリーンシートの無機成分としては、公知のセラミック粉末が制限なく使用できるが、熱伝導性(放熱性)の観点から窒化アルミニウム、炭化珪素、酸化ベリリウムの何れかを主成分とするのが好適である。これらの中でも窒化アルミニウムを主成分とするセラミック粉を採用した場合には、放熱性の特に高い基板を得ることができる。この場合、窒化アルミニウムを主成分とするセラミック粉としては、沈降法で測定した平均粒径が5μm以下、特に3μm以下である粉末が好適に使用され、0.5〜2μmの範囲にある粉末が最も好適に使用される。また、上記窒化アルミニウム粉末は、酸素含有量が3.0重量%以下で、かつ窒化アルミニウム組成をAlNとするとき含有する陽イオン不純物が0.5重量%以下、特に、酸素含有量が0.4〜1.0重量%の範囲にあり、そして陽イオン不純物の含有量が0.2重量%以下でありかつ陽イオン不純物のうちFe、Ca、Si及びCの合計含有量が0.17重量%以下である窒化アルミニウム粉末が好適である。このような窒化アルミニウム粉末を用いた場合には、得られる窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率の向上が大きくなるために本発明で好適に用いられる。
【0014】
前記グリーンシートに孔径φ0.06〜0.6mmのスルーホールを形成する方法は、特に限定されず、一般的に用いられている金型打ち抜き法やパンチングマシンによる方法が使用される。スルーホールの孔径は、φ0.06〜0.6mmの範囲が好適であり、特に0.1〜0.35mmの範囲が好適である。スルーホールの孔径がφ0.06mm未満の場合、金型やパンチングピンの消耗・破損が多く、安定的なスルーホールを形成するという点で技術的に困難である。一方、スルーホールの孔径がφ0.6mmを超える場合、最終的に得られる放熱性基板を長期間使用すると半導体素子のサブマウントへの接合状態が悪化したり素子の耐久性が低下したりする。なお、後述する工程(3)の焼成により該スルーホールは若干収縮し、焼成後のスルーホールの孔径は約0.05〜0.5mmとなる。
【0015】
スルーホールの形成に際しては、複数のスルーホール(互いに近接する2〜700個、好ましくは15〜300個の一群のスルーホール、これをユニットとも呼ぶ)によって形成される空隙の空隙率が5〜40%の範囲となる領域を少なくとも1つ有する必要がある。該領域は、例えばその直上部に必要に応じてメタライズ層を介して半導体素子が載置される部分となる領域であり、このような領域における空隙率が5%未満の場合、得られる放熱性基板に高出力用の半導体素子を搭載して使用すると、サブマウントのビアホールで発熱が起こり、放熱性基板としての機能を果たせないばかりでなく、その発熱により半導体素子の破壊や機能低下が起こる。また、空隙率が40%を超える場合、スルーホールと隣接するスルーホールの間隔とが狭くなり、スルーホール形成時にグリーンシートにひびが入ってしまうという点で、技術的に困難である。また、スルーホール形成が上手くいっても、得られる放熱性基板を長期間使用するとスルーホールの孔径を大きくした場合と同様、半導体素子のサブマウントへの接合状態が悪化したり素子の耐久性が低下したりする。効果および製造のよう鎖の観点から上記空隙率は、6〜30%の範囲であるのが好適である。基板用グリーンシートはその全体に渡って空隙率が5〜40%、好ましくは6〜30%の範囲となるようにスルーホールが形成されていてもよいが、一般に目的物の最終形態がサブマウント等の放熱性基板である場合には、該サブマウントの形状は非常に小さいため、その製造に当たってはサブマウントとなるパターンを複数有する大きな原料基板を製造し、後で各サブマウントに対応する形状に切り出すのが有利である。したがって、基板用グリーンシートにおいては、切断後サブマウントとしたときに半導体素子の載置面となる部位に空隙率が5〜40%、好ましくは6〜30%の範囲となるようにスルーホールを形成するのが好適である。
【0016】
前記スルーホールに充填される導電性ペーストは、グリーンシート焼成後に導電体となるものであれば特に限定されず、グリーンシートの無機成分(主成分)の焼結温度より高い融点を有する金属粉を含有する公知の導電性ペーストが特に制限なく使用できる。具体的には、タングステン、モリブデン等の高融点金属粉を含むものが好適に使用される。一般に好適に用いられる高融点金属粉末としては、フィッシャー法で測定した平均粒径1.0〜2.5μmであるが、ビアホールの電気的接続信頼性を保つのに効果的であるという理由から平均粒径1.6〜2.0μmの範囲のものを使用するのが好適である。なお、金属粉末以外の成分については特に限定されず、従来の導電性ペーストで通常使用される材料が制限なく使用できる。
【0017】
導電性ペーストを前記グリーンシートに形成したスルーホールに充填する方法は、公知の方法が特に制限なく採用される。具体的には、印刷法、圧入法などが使用されるが、スルーホールの長さと直径の比(長さ/直径)が2.5より大きい場合は、圧入法の方が充填しやすいため、好適に使用される。
【0018】
本発明の製造方法では、工程(2)として、前記工程(1)で得られたスルーホールに導電性ペーストが充填された基板用グリーンシートの両面に当該基板用グリーンシートを構成する組成物と実質的に同じ組成物で形成された変形防止用のグリーンシートを夫々積層する。
【0019】
工程(2)で使用する変形防止用のダミーのグリーンシートは、工程(1)で使用した基板用グリーンシートと同一組成、同一サイズのものが好適に使用される。グリーンシートの組成が異なる場合、焼成収縮率に大きな差が発生し、かえって変形・反りが大きくなってしまい、本発明の目的を達成することができない。また、グリーンシートのサイズが異なる場合、シート積層時、かかる圧力に差が発生することにより、シート密度のムラ即ち焼成収縮率のムラとなり、変形・反り・ビアホールの位置精度の低下を招くことになり、本発明の目的を達成することができない。尚、変形防止用のダミーのグリーンシートの厚みに制限はないが、積層体の脱脂性を考慮し、また、最終的には焼結積層体の変形防止用のダミーのグリーンシートに由来する焼結体層を除去して、本発明のメタライズ基板とすることから判断すると、スルーホールに導電性ペーストが充填された基板用グリーンシートの厚みをTとした場合、変形防止用のダミーのグリーンシートの厚みは、1/2T〜Tの範囲であることが好ましい。
【0020】
本発明の製造方法では、工程(3)として、前記工程(2)で得られた積層体を脱脂後焼成する。このとき、積層体を脱脂する方法は、特に限定されない。ただし、脱脂の雰囲気としては、導電性部材を酸化させる恐れのある大気等の酸化性雰囲気をとしないことが好ましく、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中、水素等の還元性ガス雰囲気中、それらの混合ガス雰囲気中、それらの加湿ガス雰囲気中、或いは真空中などで行なうのが好適である。また、脱脂温度は、グリーンシートの種類等に応じて適宜決定されるが、通常500〜1200℃、好ましくは800〜1000℃の温度が採用される。また、かかる温度への昇温速度は、特に限定されるものではないが、一般的に10℃/分以下が好ましい。さらに脱脂時間は、積層体の厚み、グリーンシートの密度、ビアホールの占める割合、脱脂温度等により多少異なるため、一概に特定することはできないが、一般に1〜1200分の範囲で決定される。
【0021】
次に、得られた脱脂体は焼成されるが、焼成は非酸化性雰囲気又は乾燥した還元性ガス雰囲気で行なうのが好適である。非酸化性雰囲気としては例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等のガスの単独あるいは混合ガスよりなる雰囲気又は真空(又は減圧)雰囲気が使用される。また、乾燥した還元性ガス雰囲気としては、水素や水素と不活性ガスの混合雰囲気が使われる。焼成温度はセラミック基板の材質によって異なるが、通常1000〜2000℃の範囲から選択される。例えば、セラミック基板が窒化アルミニウム焼結体からなる場合には、1600〜2000℃、更に、好適には1700〜1900℃の温度で焼成される。
【0022】
本発明の製造方法では、工程(4)として、前記工程(3)で得られた焼結積層体の前記変形防止用のグリーンシートに由来する焼結体層(ダミー層ともいう)を除去する。ダミー層の除去方法としては、ラッピング、ポリッシング、バレル研磨、サンドブラスト、研削盤による研磨等の公知の方法が制限なく用いられる。なお、ダミー層の除去後、該セラミック基板を放熱性基板として好適に使用するため即ち半導体素子のサブマウントへの接合状態の信頼性を高めるためには、ダミー層の除去時にRa≦0.8μm、特にRa≦0.05μmになるように研磨するのが好ましい。
【0023】
前記(1)〜(4)の工程を経て得られるビアホールを有するセラミック基板は、必要に応じて切断することによりサブマウント等の放熱性基板として好適に使用できるが、このような用途に使用する場合、効率性の観点から切断前に表面をメタライズしておくのが好適である。前記(1)〜(4)の工程を経て得られるビアホールを有するセラミック基板の少なくとも一方の面をメタライズする方法は、特に限定されず、公知のメタライズ形成方法が採用できる。メタライズの種類は、導電性を有するものであれば特に限定されないが、通常金属薄膜層が使用される。金属薄膜の構成金属としては、セラミック基板上に密着性を有する膜を形成できる金属であれば公知のものが特に制限なく使用できるが、基板用グリーンシートの無機成分の主成分が窒化アルミニウムの場合は、密着性の観点から、チタニウム、クロム、モリブデン、タングステン、タングステンチタニウム、アルミニウム、ニッケルクロム、タンタル、窒化タンタルからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を使用するのが好適である。尚、該金属薄膜層は多層構造を有していてもよい。金属薄膜層が2層以上の積層体からなる場合には、第一層としてセラミック基板との密着性が良好な導電性材料からなる膜を形成し、その上に電気伝導性及び耐腐食性が良好な、銅、ニッケル、パラジウム、白金、及び金からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる層を形成するのが好適である。また、ハンダ層を構成するハンダ材料は特に限定されず、鉛・すず系ハンダ、金・すず系ハンダ、金・シリコン系ハンダ、金・ゲルマニウム系ハンダ等の公知のハンダ材料が制限なく使用できる。該ハンダ層も多層構造を有していてもよく、更に金属薄膜層とハンダ層との中間にハンダ材の拡散を防止するための金属層を設けてもよい。このような該拡散防止層としては、白金、タングステン、タングステンチタニウム、モリブデンが好適に使用できる。
【0024】
以下、図面を用いて本発明のビアホールを有するセラミック基板の製造方法及びそれを原料基板として作製される放熱性基板について説明する。図1(a)〜(e)に、本発明のビアホールを有するセラミック基板の製造方法の実施の形態の一例を、各々の工程毎の斜視図で示す。すなわち、先ず、図1(a)に示すように、ビアホールが形成されたセラミックグリーンシート10の両面に、変形防止用のセラミックグリーンシート20を配置し、次いで、図1(b)に示すように、これらを積層して積層体30を作製する。この積層体を脱脂・焼成し、図1(c)に示すような変形防止用のグリーンシートに由来する焼結体層(ダミー層)40を有する焼結積層体を得る。その後、ダミー層40を除去し、図1(d)に示すような鏡面基板50を作製する。続いて、図1(e)に示すように、鏡面基板の両面に導電層6を形成し、更に載置面の導電層上にハンダ層7を形成する。このようにして得られたセラミック基板は、所定の大きさに切断され、放熱性基板1となる。
【0025】
図2に本発明製法により製造された代表的なビアホールを有するセラミック基板を原料基板として作製される放熱性基板1の上面図A及び断面図Bを示す。該図に示される放熱性基板1は、半導体素子(図示しない)を載置するための載置面2を有するセラミック製基板3であって、該載置面に該基板の両面間を貫通し、その内部に導電性物質が充填されたビアホール4を有するセラミック基板を構成部材として含み、前記載置面2の半導体素子が載置される部位5に、同一の断面積s(該sは、ビアホールに充填された導伝性物質の露出面の面積に相当する。)を有する複数のビアホール4が配置された基本構造を有している。そして、前記セラミックス基板3の載置面2の上面には全面に渡って導電層6が形成され、その半導体素子が載置される部位5上にハンダ層7が形成されている。また、前記セラミックス基板3の裏面(載置面と反対側の面)には全面に渡って導電層6が形成されている。なお、上面図Aにおいては、ビアホール4の位置を分かりやすくするために、ビアホールに充填された導電性物質の端面を点線で示しているが、断面図Bに示されるようにその上は導電層6及びハンダ層7で被覆されている。
【0026】
図2には、セラミック基板として板状体のものを示したが、セラミック基板の形状はこのような板状体に限定されず、半導体素子を載置する載置面を有するものであれば放熱性基板の使用形態に合わせて任意の形状のものが使用可能である。また、セラミック基板の表面粗さは目的により異なるが、通常、Ra≦0.8μm、更に好適には、Ra≦0.05μmであることが半導体素子のダイ付けの信頼性が高まるため好ましい。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明を更に具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
実施例 1
堀場製作所製遠心粒度分布装置 CAPA500で測定した沈降法による平均粒径が1.60μmで、比表面積が2.5m2/gであり、比表面積をS(m2/g)とした時に「D(μm)=6/S×3.26」から算出される平均粒径(D)が0.74μmの窒化アルミニウム粉末100重量部に焼結助剤として、比表面積12.5m2/gの酸化イットリウム粉末5重量部、有機バインダー及び分散剤としてメタクリル酸ブチル15重量部、可塑剤としてジオクチルフタレート5重量部を添加し、トルエンを溶剤としてボールミルで混合した。このスラリーを脱泡後、ドクターブレード法により厚さ0.6mmのシート状に成形した。その後、このグリーンシートAから長さ64mm、幅64mmのシートを切り出した〔窒化アルミニウム成形体(A−1)〕。
【0029】
次に、この窒化アルミニウム成形体(A−1)にパンチング用金型を使用して穿孔し、直径がφ250μmのスルーホールが縦0.65mmピッチで3個、横0.7mmピッチ17個並んだユニットが縦2.3mmピッチで20ユニット、横12.3mmピッチで4ユニット、計4080個並んだものを用意した〔窒化アルミニウム成形体(A−2)〕。
【0030】
次に、タングステン粉末、窒化アルミニウム粉末、有機結合剤としてエチルセルロース、溶剤として酢酸−2(2−ブトキシエトキシ)エチル、その他可塑剤、分散剤を自動乳鉢、続いて3本ロールミルで十分に混錬して、ペーストを調製した。このタングステンペーストを圧入法により前記窒化アルミニウム成形体(A−2)のスルーホール内に充填した〔窒化アルミニウム成形体(A−3)〕。充填圧力は50psi、充填時間は120秒とした。
【0031】
また、同一組成、手順で調製した脱泡済みスラリーを、ドクターブレード法により厚さ0.23mmのシート状に成形した。その後、このグリーンシートBから窒化アルミニウム成形体(A−1)と同一サイズのシートを2枚切り出した〔窒化アルミニウム(B−1)〕。
【0032】
このようにして作製したタングステンビアホールを有する窒化アルミニウム成形体(A−3)の両面に窒化アルミニウム成形体(B−1)を積層した〔窒化アルミニウム成形体(M−1)〕。積層圧力は140kgf/cm2、積層温度は120℃、積層時間は15分とした。
【0033】
このようにして作製したタングステンビアホールを有する窒化アルミニウム成形体(M−1)を乾燥窒素ガスを20l/分流通させながら800℃、2時間加熱脱脂を行った。尚、昇温速度は、1.5℃/分とした。同時に脱脂したテストサンプルの脱脂体の残留炭素率を測定したところ、2370ppmであった。その後、脱脂体を窒化アルミニウム製の容器に入れ、窒素雰囲気中1620℃で5時間加熱し、さらに1875℃で8時間焼成することにより、内部に直径φ200μmのタングステンビアホールを有する長さ54×54mm、厚さ0.6mmの窒化アルミニウム基板を得た。基板の反りは20μmであった。同時に脱脂・焼成した基板厚み0.6mmのテストサンプルの熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、210W/mKであった。
【0034】
次にこの窒化アルミニウム基板を用いて放熱性基板を作製した。即ち、前記基板の表裏両面を各々ほぼ同量ずつ研削し、厚さ0.3mmの両面鏡面仕上げ(表面粗さRa:0.03μm)に加工し、表裏両面の全面に薄膜導電層(第1層/第2層/第3層=Ti:0.1μm/Pt:0.2μm/Au:1.0μm)をスパッタ法により形成後、表面の全面にAuSn(Au=80wt%)ハンダ(厚み5μm)を蒸着法により形成した。次に、薄膜導電層及びハンダ層の形成された前記基板を長さ12mm、幅2mmに切断し、チップ形状の放熱性基板を作成した。この放熱性基板のハンダ層の下には51個のビアホールが存在し、この時の導電性物質面積占有率は6.7%である。また、この放熱性基板の表面側と裏面側の間で抵抗を10箇所測定したところ、抵抗値の平均は0.41mΩであった。
【0035】
さらに、この放熱性基板の表面側に長さ12mm、幅2mm、厚さ0.6mmのGaAs製のダミー素子をハンダ付けした後、放熱性基板の裏面側をAuSn(Au=80wt%)ハンダにて銅製のヒートシンクへボンディングした。ダミー素子に40Aを5分間通電したところ、39℃に温度上昇した。その後、−50℃:30分保持→125℃:30分保持を1サイクルとするヒートサイクル試験を1000サイクル行った後、ダミー素子が接合した放熱性基板を2mm角に切り出し、ダミー素子と放熱性基板とのシェア強度試験を行ったところ、平均のシェア強度は4.7kgfであった。
【0036】
実施例 2
実施例1で作製した窒化アルミニウム成形体A−1にパンチング用金型を使用して穿孔し、直径がφ250μmのスルーホールが縦0.45mmピッチで4個、横0.48mmピッチ24個並んだユニットが縦2.3mmピッチで20ユニット、横12.3mmピッチで4ユニット、計7680個並んだものを用意した〔窒化アルミニウム成形体(A−4)〕。
【0037】
次に、実施例1で調製したタングステンペーストを圧入法により前記窒化アルミニウム成形体(A−4)のスルーホール内に充填した〔窒化アルミニウム成形体(A−5)〕。充填圧力は50psi、充填時間は100秒とした。
【0038】
次に、このようにして作製したタングステンビアホールを有する窒化アルミニウム成形体(A−5)の両面に実施例1で作製した窒化アルミニウム成形体(B−1)を実施例1と同一条件で積層した〔窒化アルミニウム成形体(M−2)〕。
【0039】
その後、窒化アルミニウム成形体(M−2)を実施例1と同一条件にて脱脂した。同時に脱脂したテストサンプルの残留炭素率を測定したところ、2780ppmであった。その後、実施例1と同一条件にて焼成することにより、内部に直径φ200μmのタングステンビアホールを有する長さ54×54mm、厚さ0.6mmの窒化アルミニウム基板を得た。基板の反りは25μmであった。同時に脱脂・焼成した基板厚み0.6mmのテストサンプルの熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、212W/mKであった。
【0040】
この窒化アルミニウム基板に研磨、スパッタ、蒸着、切断工程を実施例1と同様に行い、長さ12mm、幅2mmのチップ形状の放熱性基板を得た。この放熱性基板のハンダ層の下には96個のビアホールが存在し、この時の導電性物質面積占有率は12.6%である。また、実施例1と同様にして抵抗測定を行なったところ、平均は0.25mΩであった。さらに、実施例1と同様にしてGaAs製のダミー素子をボンディングし、ヒートシンクへボンディングした後にダミー素子に40Aを5分間通電したところ、35℃に温度上昇した。その後、実施例1と同様にしてヒートサイクル試験を1000サイクル行った後、放熱性基板を2mm角に切りだし、シェア強度試験を行ったところ、平均のシェア強度は4.1kgfであった。
【0041】
実施例 3
実施例1で作製した窒化アルミニウム成形体A−1にパンチング用金型を使用して穿孔し、直径がφ250μmのスルーホールが縦0.32mmピッチで7個、横0.33mmピッチ37個並んだユニットが縦2.3mmピッチで20ユニット、横12.3mmピッチで4ユニット、計20720個並んだものを用意した〔窒化アルミニウム成形体(A−6)〕。
【0042】
次に、実施例1で調製したタングステンペーストを圧入法により前記窒化アルミニウム成形体(A−6)のスルーホール内に充填した〔窒化アルミニウム成形体(A−7)〕。充填圧力は50psi、充填時間は80秒とした。
【0043】
次に、このようにして作製したタングステンビアホールを有する窒化アルミニウム成形体(A−7)の両面に実施例1で作製した窒化アルミニウム成形体(B−1)を実施例1と同一条件で積層した〔窒化アルミニウム成形体(M−3)〕。
【0044】
その後、窒化アルミニウム成形体(M−3)を乾燥窒素/水素ガス(40/60%)12l/分流通させながら900℃、2時間加熱脱脂を行った。尚、昇温速度は1.2℃/分とした。同時に脱脂したテストサンプルの残留炭素率を測定したところ、2180ppmであった。その後、実施例1と同一条件にて焼成することにより、内部に直径φ200μmのタングステンビアホールを有する長さ54×54mm、厚さ0.6mmの窒化アルミニウム基板を得た。基板の反りは23μmであった。同時に脱脂・焼成した基板厚み0.6mmのテストサンプルの熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、208W/mKであった。
【0045】
この窒化アルミニウム基板に研磨、スパッタ、蒸着、切断工程を実施例1と同様に行い、長さ12mm、幅2mmのチップ形状の放熱性基板を得た。この放熱性基板のハンダ層の下に259個のビアホールが存在し、この時の導電性物質面積占有率は33.9%である。また、実施例1と同様にして抵抗測定を行なったところ、平均は0.11mΩであった。さらに、実施例1と同様にしてGaAs製のダミー素子をボンディングし、ヒートシンクへボンディングした後にダミー素子に40Aを5分間通電したところ、28℃に温度上昇した。その後、実施例1と同様にしてヒートサイクル試験を1000サイクル行った後、放熱性基板を2mm角に切りだし、シェア強度試験を行ったところ、平均のシェア強度は3.3kgfであった。
【0046】
比較例 1
実施例1で作製した窒化アルミニウム成形体(A−3)を該成形体の両面に窒化アルミニウム成形体(B−1)を積層することなく単体のまま、実施例1と同一条件で脱脂した。同時に脱脂したテストサンプルの脱脂体の残留炭素率を測定したところ、2150ppmであった。その後、実施例1と同一条件で焼成し、窒化アルミニウム基板を得た。基板の反りは520μmと非常に大きかった。同時に脱脂・焼成した基板厚み0.6mmのテストサンプルの熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、211W/mKであった。
【0047】
この窒化アルミニウム基板を用いて放熱性基板を作製するため、まず、基板の表裏両面を各々ほぼ同量研削し、厚さ0.3mmの両面鏡面仕上げを行ったところ、基板の反りの影響により、砥石あるいは砥粒が十分に触れなかったために表面状態の異なる部分(光沢や色調のむら)及び変形防止用に積層したダミーシートの部分が表面に残ってしまい、ビアホールが基板表面に露出しない部分が斑に発生した。表面粗さ計により、Raを測定したところ、正常部では0.024、光沢むらの発生した部分では0.19であった。
【0048】
比較例 2
実施例2で作製した窒化アルミニウム成形体(A−5)を該成形体の両面に窒化アルミニウム成形体(B−1)を積層することなく単体のまま、実施例1と同一条件で脱脂したところ、脱脂体の端部が変形した。同時に脱脂したテストサンプルの残留炭素率を測定したところ、2510ppmであった。その後、実施例1と同一条件で焼成し、窒化アルミニウム基板を得た。脱脂体の時点で変形していた基板の端部には欠けあるいはクラックが発生した。基板の反りは710μmと非常に大きかった。同時に脱脂・焼成した基板厚み0.6mmのテストサンプルの熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、210W/mKであった。
【0049】
この窒化アルミニウム基板を用いて放熱性基板を作製するため、まず、基板の表裏両面を各々ほぼ同量研削し、厚さ0.3mmの両面鏡面仕上げを行ったところ、鏡面加工前に発生していた基板端部のクラックを起点にクラックが伸展し、研磨はできなかった。
【0050】
比較例 3
実施例3で作製した窒化アルミニウム成形体(A−7)を該成形体の両面に窒化アルミニウム成形体(B−1)を積層することなく単体のまま、実施例3と同一条件で脱脂したところ、脱脂体全体が変形した。同時に脱脂したテストサンプルの残留炭素率を測定したところ、2030ppmであった。焼成用の窒化アルミニウム製の容器に移し替えるため脱脂体を真空ピンセットで吸着したが、割れてしまった。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、最終的に必要なビアホールを有するセラミックグリーンシートの両面に、該グリーンシートと同一組成・同一サイズの変形防止用のダミーのグリーンシートを積層した後、脱脂・焼成することで、脱脂体の反りや変形を防止し、さらに焼結体の反り、変形、基板割れを確実に抑えることができ、得られた焼結積層体の表裏面の前記変形防止用のダミーのグリーンシートに由来する焼結体層を除去することにより、放熱性基板の原料基板となるセラミック基板を得ることができる。
【0052】
本発明により作製したセラミック基板を原料として作製した放熱性基板は、素子が載置される直下の部位に金属ビアホールが設けられた構造を有するが、高出力の半導体レーザー素子等の半導体素子を載置して使用した場合に、大電流を流してもビアホールにおける発熱が小さく、優れた放熱特性を有するばかりでなく、繰り返し使用しても半導体素子と基板との接合性が低下したり破損したりすることがなく、高い安定性・耐久性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は本発明の製造方法を説明するための模式図である。
【図2】本図は本発明の製造方法によって製造される代表的な放熱性基板の上面図(A)及び断面図(B)である。
【符号の説明】
1:放熱性基板
2:載置面
3:セラミック製基板
4:内部に導伝性物質が充填されたビアホール
5:半導体素子が載置される部位
6:導電層
7:ハンダ層
s:ビアホールに充填された導伝性物質の露出面の面積
10:ビアホールが形成されたセラミックグリーンシート
20:変形防止用のセラミックグリーンシート
30:積層体
40:変形防止用のグリーンシートに由来する焼結体層(ダミー層)
50:鏡面基板
Claims (4)
- (1)孔径0.06〜0.6mmの複数のスルーホールが、該スルーホールによって形成される空隙の空隙率が5〜40%となるように配置された領域を有するグリーンシートの前記スルーホールに導電性ペーストを充填する工程、
(2)前記工程(1)で得られたスルーホールに導電性ペーストが充填された基板用グリーンシートの両面に当該基板用グリーンシートを構成する組成物と実質的に同じ組成物で形成された変形防止用のグリーンシートを夫々積層する工程、
(3)前記工程(2)で得られた積層体を脱脂後焼成する工程及び
(4)前記工程(3)で得られた焼結積層体の前記変形防止用のグリーンシートに由来する焼結体層を除去する工程
を含むことを特徴とするビアホールを有するセラミック基板の製造方法。 - セラミック基板が半導体素子を載置するための載置面を有するセラミック製基板であり、前記工程(1)における「複数のスルーホールが、該スルーホールによって形成される空隙の空隙率が5〜40%となるように配置された領域」が上記載置面の直下の領域となるセラミック基板を製造する請求項1に記載の製造方法。
- 基板用グリーンシートの無機成分の主成分が窒化アルミニウム、炭化珪素又は酸化ベリリウムである請求項1又2に記載の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法で得られたセラミック基板の少なくとも一方の面をメタライズすることを特徴とするメタライズ基板の製造方法。
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JP2003065216A JP2004273928A (ja) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | ビアホールを有するセラミック基板の製造方法 |
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JP2007234802A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-09-13 | Tdk Corp | 薄膜電子部品の製造方法 |
JP2019033224A (ja) * | 2017-08-09 | 2019-02-28 | 日本特殊陶業株式会社 | セラミック基板の製造方法 |
-
2003
- 2003-03-11 JP JP2003065216A patent/JP2004273928A/ja active Pending
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