JP2004273308A - 鉛蓄電池用格子の製造方法および鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池用格子の製造方法および鉛蓄電池 Download PDF

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Abstract

【課題】圧延シートから機械加工により鉛蓄電池用格子を製造する方法において、加工時に桟部に発生する歪を大幅に抑制した鉛蓄電池用格子の製造方法を提供すると共に、そのことによって、使用中の格子の伸びや変形が大幅に抑制され、優れた寿命性能を有する鉛蓄電池を提供することにある。
【解決手段】圧延シートを加工する前に該シートを100℃以上の温度で加熱する、あるいは、圧延されたシートを巻き取り、機械加工するまで放置する際に該シートが10℃以上の温度に晒される時間を10時間以内にすると共に、機械加工の前にシートを100℃以上の温度で加熱することを特徴とするものである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鉛蓄電池用格子の製造方法および鉛蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のとおり、鉛蓄電池の正・負極板は、鉛または鉛合金からなる格子に、酸化鉛を主体とする鉛粉を希硫酸で練膏したペーストを充填・熟成・乾燥した後、電解液である希硫酸中で、電気化学的に酸化・還元反応を起こさせる化成工程を経て作製される。前記格子を作製する方法には、溶融状態の鉛または鉛合金を鋳型に注入・固化する鋳造方式によって直接格子を形成する方法と、鉛または鉛合金からなるシートを打ち抜きあるいはエキスパンド加工により格子を形成する機械加工方式とがある。後者は、連続生産が可能であり、断続的な生産方式である鋳造方式に比べて極めて生産性が高く、近年ではこの方式が増えている。さらに、高出力化や軽量化のための薄形格子の製造やその後のペースト充填等も容易である利点をも有している。
【0003】
一般に、機械加工方式では、鉛−カルシウム−錫系合金等からなる厚さ12〜30mm程度のスラブを作製し、該スラブを複数の圧延ロールで順次圧延し、所定の厚さの圧延シートを形成した後、一旦巻き取られる。しかる後、圧延シートを巻き戻しながら機械加工により格子が作製されることが多い。その理由として、通常、圧延シートの製造スピードの方が機械加工やペースト充填等のスピードより速いために同期するのが難しいことや、圧延シートの製造工程で何らかのトラブルが発生した場合には、その後の機械加工工程やペースト充填工程が止まってしまうので、予備の圧延シートを準備しておく必要があること、また、圧延シート製造場所と機械加工・充填場所とが離れていて、位置的に連続できない等といったことが上げられる。
【0004】
ここでいうスラブとは、圧延シートを作製し易いように、一定の厚みを有する板状の金属物をいう。
【0005】
上述したように、シートが圧延された後、放置された場合の問題は、合金によっては時効硬化が促進することである。
【0006】
機械加工方式による格子の形成は、通常、圧延シートに所定の形状をした刃物を押し当て切断して行われるが、格子のます目形状がある程度限定されることから切断により形成された各桟および桟と桟との交点からなる桟部(以降、桟部と記載)に歪が残り易い。シートが時効硬化により硬くなっている場合、その傾向がより強くなる。このような歪が残った状態で、該格子を特に、正極格子に用いた場合に、化成さらには充・放電によって格子を構成する鉛あるいは鉛合金がそれより体積の大きい二酸化鉛(PbO)に変化するために格子に引っ張り力がかかる。前記歪が残っていると再結晶化が進行し易く、格子の機械的強度が低下し、前記引っ張り力により伸び・変形がおこり易くなる。また、歪が存在するとその部分に集中的に腐食が進行し、格子と活物質との密着性が低下し、容量低下を引き起こし、短寿命になる問題を抱えている。
【0007】
上記に対して、本願発明者は、特開2001−28267で、圧延シートを機械加工を施すまで一定の期間保存しなけばならない場合には、該圧延シートを10℃以下で保存し、10℃より高い温度に曝される時間を制限することを提案している。そのことによって、シートの時効硬化が抑制され、該シートを機械加工した際の歪の発生が従来より抑制され、蓄電池使用中の正極格子の伸びや変形がかなり抑制されるようになった。しかし、近年の鉛蓄電池の用途の多様化に伴い、高温環境での使用が多くなってきた中で、鉛蓄電池には高温環境に耐えられる、すなわち、より一層の正極格子の伸びや変形の少ない蓄電池用格子が求められるようになってきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決しようとする課題は、「従来の技術」の欄で述べた問題に対して、圧延シートを機械加工する際に桟部に発生する歪を大幅に抑制した鉛蓄電池用格子の製造方法を提供すると共に、そのことによって、使用中の正極板の伸びや変形が抑制され、優れた寿命性能を有する鉛蓄電池を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題を解決するための手段として、請求項1によれば、鉛あるいは鉛合金からなるスラブを製造する第1の工程と、第1の工程で得られたスラブを複数のロールで順次圧延してシートを作製する第2の工程と、前記圧延シートを一旦巻き取る第3の工程と、該圧延シートを巻き戻しながら機械加工により鉛蓄電池用格子を作製する第4の工程とを備えた鉛蓄電池用格子の製造方式において、
前記機械加工の前に圧延シートを100℃以上の温度で加熱することを特徴とするものである。
【0010】
圧延されたシートを機械加工するまでの間、放置せざるを得ない状況の中で、放置中に進行する時効硬化により、機械加工時に桟部に歪が発生し、これが鉛蓄電池の使用中の正極格子の伸びを促進し、短寿命の原因になっていたが、本願発明者は、機械加工前に前記シートを100℃以上の温度で加熱することにより、該シートに展性が付加され、ロータリーカッター等でシートを機械加工した際の桟部に発生する歪が抑制されることを見出した。
【0011】
請求項2によれば、鉛あるいは鉛合金からなるスラブを製造する第1の工程と、第1の工程で得られたスラブを複数のロールで順次圧延してシートを作製する第2の工程と、前記圧延シートを一旦巻き取る第3の工程と、該圧延シートを巻き戻しながら機械加工により鉛蓄電池用格子を作製する第4の工程とを備えた鉛蓄電池用格子の製造方式において、
第3の工程と第4の工程との間に10℃より高い温度の雰囲気に晒される時間の総和が10時間以下になるように少なくとも1回以上、10℃以下の雰囲気で保管すると共に、機械加工の前に圧延シートを100℃以上の温度で加熱することを特徴とするものである。
【0012】
本願の発明者は、機械加工により形成された格子の変形や伸びを抑制する対策として、加工前のシートの保存中に、時効硬化によりシートが硬くなり、加工した際に桟部に歪が発生し易い問題を抱えていたのに対し、保存中にシートが10℃以上の温度に晒される時間を10時間以内にすることによって、時効硬化が抑制され、機械加工の際に歪の発生を抑制できることを特開2001−28267で提案しているが、このような条件に加えて、機械加工の前にシート表面を100℃以上の温度で加熱することによって、放置中の時効硬化が抑制されることと、加熱によりシートに展性が付加されることとの相乗効果により、加工時に桟部に発生する歪が大幅に抑制されることを見出した。
【0013】
請求項3によれば、請求項1あるいは請求項2に記載の製造方法によって製造された鉛蓄電池用格子を備えたことを特徴とする鉛蓄電池である。
【0014】
請求項1あるいは請求項2によって製造された格子を使用した鉛蓄電池は、正極板の伸びが少なく、優れた寿命性能が得られる。
【0015】
【実施例】
実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、機械加工する前に、シートを100℃以上の温度で加熱することによって桟部の歪の発生が抑制されるのを具体的に示すため行った試験の結果を示す。
【0016】
まず、鉛−0.06質量%カルシウム−1.8質量%錫−0.007質量%アルミニウム合金からなる厚さ15mmのスラブを鋳造により作製し、それを順次、7組の圧延ロールに通し、最終厚さ1.1mmの圧延シートを作製した。
【0017】
なお、合金中にアルミニウムを0.007質量%含有させたのは、スラブを鋳造する際の溶解炉中の鉛合金溶湯の合金組成、特にカルシウム含有量を安定化させるためである。
【0018】
こうして得た圧延シートを巻き取り、48時間、20〜25℃の雰囲気に放置した。しかる後、該シートを巻き戻しながら、50、100、150、200、250、300℃の各温度に設定した1組のローラーの間を通過させた後、機械加工の一つであるエキスパンド加工を行い、加熱温度の異なる6種類の格子を作製した。
【0019】
なお、比較として、加熱を行わずにエキスパンド加工した格子も作製した。
【0020】
このようにして作製した7種類の格子を常法にしたがって正極用ペーストを充填した後、熟成・乾燥を施した。これらの正極用未化成極板とエンベロープ状(袋状)の微孔性ポリエチレン製の隔離板(セパレータ)で袋状に包んだ未化成負極エキスパンド極板とを積層して極板群(エレメント)を構成し、5時間率容量が48Ah(アンペア・アワー)の未化成の蓄電池を作製し、通常の方法で電槽内の充電(化成)を行った。
【0021】
次いで、上記蓄電池を腐食が促進し易い加速条件である75℃の水槽中で、JIS D 5301に準じた軽負荷寿命試験(放電2分間―充電10分間)に供した。8週間後、該蓄電池を解体し、正極板を取り出してそれぞれの極板の縦寸法を測定し、腐食による、正極格子の縦方向の伸びを求めた。その結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 2004273308
【0023】
表1に示すように、加工前にシートの加熱をしなかった蓄電池は、格子の伸びが9.2%と大きかったのに対して、加熱を行ったものは、その伸びが抑制された。しかし、加熱温度が50℃では、その効果が不十分で、100℃以上の加熱が必要であることが明らかになった。一方、加熱温度が300℃になると鉛合金の融点に近くなり、シートが軟らかくなり過ぎて寿命試験後の格子の伸びが100℃の場合より大きくなり効果が低減した。
【0024】
以上のように、48時間、20〜25℃の雰囲気中に放置したことによってシート合金の時効硬化が進んだが、100℃以上の温度で加熱することによりシートに展性が付加され、機械加工、すなわち、刃物を押し当て切断する際の桟部での歪の発生が少なく、鉛蓄電池の使用中の正極板の伸びが抑制され、寿命性能が改善されることがわかった。
【0025】
本実施例では、スラブは鋳造により作製したものを用いたが、スラブを作製する方法としては、鋳造に限るものでなく、押し出しや鍛造等の方法で作製したスラブを用いても同様の効果が得られるのはいうまでもない。
(実施例2)
実施例2では、圧延されたシートを巻き取り、放置した後、巻き戻して機械加工を行うまでの放置期間中に圧延シートが10℃以上の温度に晒される時間を10時間以内にしたものを100℃以上の温度で加熱してから機械加工を行う方式の効果を具体的に示すために行った試験について示す。
【0026】
実施例1と同様、鉛−0.06質量%カルシウム−1.8質量% 錫−0.007質量%アルミニウム合金からなるスラブを7組のロールで1.1mmまで圧延した。該シートを巻き取り、5℃に設定した恒温室に48時間放置した。その後、該シートを恒温室から取り出して20〜25℃の雰囲気中に0、5、10、12.5時間放置する条件とエキスパンド加工する前に実施例1と同様に50、100、150、200、250、300℃の各温度に設定した1組のローラーの間を通過させる条件とを組み合わせて、エキスパンド加工を行い格子を作製した。比較として加熱ロールを通さない条件の格子も作製した。
【0027】
これら28種類の格子を用い、実施例1と同様の5時間率容量が48Ah(アンペア・アワー)の未化成の蓄電池を作製した後、通常の方法で電槽内の充電(化成)を行った。
【0028】
次に、これらの蓄電池を実施例1と同様、75℃の水槽中でJIS D 5301に準じた軽負荷寿命試験(放電2分―充電10分)に供した。8週間後、蓄電池を解体し、正極板を取り出してそれぞれの極板の縦寸法を測定し、腐食による正極格子の縦方向の伸びを求めた。その試験内容および結果を表2に示す。表2に示す%は、正極格子の縦方向の伸びを示す。
【0029】
【表2】
Figure 2004273308
【0030】
表2に示すように、加工前に、加熱を行わなくても、圧延後、機械加工までの放置中の温度を5℃以下に保持し、10℃以上の温度に晒さなかったものは、時効硬化が抑制され、格子桟部の歪が少なく、寿命後の格子の伸びは4.5%に低下した。しかし、圧延されたシートを巻き取り、放置、巻き戻し、機械加工という工程において、シートを全く10℃以上の温度に晒さないというのは量産システムでは困難で、10℃以上の温度に晒される時間をある程度、許容する必要がある。そういった中で、本試験では、20〜25℃の雰囲気中で5、10、12.5時間放置した影響について調査した。上記放置中に時効硬化が進むため、放置時間が長くなる程、寿命試験後の格子の伸びが大きくなる傾向であったが、機械加工前にシートを加熱することによって、時効硬化の負の要因を低減できることが表2の結果から明らかである。蓄電池が厳しい使用条件での安定した寿命性能を要求された場合、本試験の条件では、格子の伸びを少なくとも5%以下に押える必要がある。その場合、シート保管中に10℃以上の温度に晒される時間を10時間以内に抑えると共に、機械加工前の加熱温度を100℃以上にする条件が有効であることが分かった。しかし、加熱温度が300℃になると、正極板の伸びの5%以下は満足しているが、実施例1と同様、シートが軟らかくなり過ぎて、寿命試験後の伸びは、100℃の場合より大きく、加熱効果の低下傾向が見られた。
【0031】
以上、説明したように、圧延後、機械加工までの放置期間中にシートが10℃より高い温度に曝される時間を10時間以内にすると共に、エキスパンド加工前にシートを100℃以上の温度で加熱することによって、寿命試験後の正極格子の伸びが大幅に小さくなり、寿命性能の優れた鉛蓄電池が得られた。その理由は、10℃より高い温度に曝される時間を10時間以内に制限したことにより圧延シートの時効硬化が抑制されたことと、圧延シート表面の加熱によってシートに展性が付加されたことの相乗効果により、刃物による圧延シートの切断時の桟部の歪の発生が大幅に抑制されたためである。そのことによりその部分での局部的な腐食や再結晶化がより起こり難くなり、格子の伸びや変形がより一層抑制され、優れた寿命性能が得られたと考えられる。
【0032】
また、今回は、5℃に設定した恒温室を用いたが、10℃に設定した恒温室でも同様な効果が得られた。これは、5℃と10℃とでは、圧延シートの時効硬化挙動がほとんど同じであるため、エキスパンド加工時に残る歪みの程度もほとんど同じになったためと思われる。
【0033】
ここでいう、圧延後、機械加工するまでの放置中にシートが10℃以上に晒される時間が10時間以内というのは、圧延されたシートを一旦巻き取り、しかる後、圧延シートを巻き戻しながら機械加工する鉛蓄電池用格子の製造方法において、巻き取った圧延シートを10℃以下の雰囲気に搬入するまでの時間(a)、および10℃以下の雰囲気から取り出した後、機械加工するまでの時間(b)との和(a+b)が10時間以下であることをいう。
【0034】
また、10℃以下の雰囲気での保存、および保存場所からの取り出しを複数回行う場合には、巻き取った圧延シートを10℃以下の雰囲気に搬入するまでの時間(a)、および一旦保存場所から取り出した後、再度10℃以下の雰囲気に搬入するまでの時間(a)、これをn回繰り返す時の10℃以下の雰囲気から一旦取り出した後、再度10℃以下の雰囲気に搬入するまでの時間(a)およびその後、10℃以下の雰囲気から取り出した後、機械加工するまでの時間(b)の合計(a+a+…+a+b)が10時間以下であることを意味する。
〔実施例3〕
実施例3では、シートに鉛―カルシウム−錫系合金を用いた場合のカルシウムおよび錫の含有量の影響について試験した結果について説明する。
【0035】
まず、圧延シートの錫の含有量を1.8質量%に固定し、カルシウム含有量を0.02、0.04、0.06、0.09および0.12質量%と変えたスラブをもとに、厚み1.1mmの圧延シートを作製した。また、カルシウム含有量を0.06質量%に固定し、錫の含有量を0.8、1.0、1.8、2.4および2.8質量%と変えたスラブをもとに厚み1.1mmの圧延シートを作製した。これらを5℃の雰囲気中に48時間放置し、次に、20〜25℃の雰囲気に5時間放置してから、各シートを150℃のロールで加熱後、エキスパンド加工を行って格子を作製した。これら格子を用いて、実施例1と同様の蓄電池を作製した。その内容を表3に示す。
【0036】
【表3】
Figure 2004273308
【0037】
以上の蓄電池を実施例1と同様のJIS D 5301準じた軽負荷寿命試験(放電:2分間、充電:10分間)に供し、8週間目に解体し、正極板の縦方向の伸びを測定した。その結果を表4に示す。
【0038】
【表4】
Figure 2004273308
【0039】
カルシウム含有量が0.02質量%の圧延シートは軟らかくて、エキスパンド加工ができなかったため、格子が作製不可能で試験に供しなかった。
【0040】
表4に示すように、カルシウムの含有量が0.04質量%の蓄電池は、強度的に弱かったこともあり、本発明の方式により製造されたといえ寿命試験では格子の伸びが4.5%と若干大きかった。また、カルシウム含有量が0.12%の蓄電池は、カルシウムに起因する腐食が大きくなり6.1%と伸びが大きくなった。以上から、カルシウムの含有量は0.04質量%以上、0.09質量%以下が好ましいことがわかった。
【0041】
一方、錫の含有量に関しては、0.8質量%の蓄電池は、伸びが6.6%と大きかった。また、含有量が2.8質量%の蓄電池は、錫が析出し、錫に起因する腐食が促進し、格子の伸びは6.2%と大きかった。以上から、錫の含有量は1.0質量%以上、2.4質量%以下が好ましいことが分かった。
【0042】
以上のように、実施例では、鉛―カルシウムー錫合金について説明したが、本発明の特徴とするところは、圧延されたシートを加工するまで放置した際の時効硬化を低温の環境下で保存して抑制すると共に、加工する前に前記シートを加熱することによってシートに展性を付加し、機械加工時に発生する桟部の歪を抑制するものであって、放置中に時効硬化が促進する、また、加熱により展性が増加する特性を有する鉛合金であれば本発明の方式を適用すれば同様の効果が得られるのはいうまでもない
純鉛に関しては、放置中の時効硬化は、ほとんど促進しないが、機械加工前に加熱することにより展性が増し、機械加工時の歪発生の抑制に効果のあることを確認している。
【0043】
なお、本実施例では、シートを加熱する方法として、加熱した1組のローラーの間を圧延シートを通過させる方式を採用したが、所定の温度に保持したオイルバス中を通過させる方法やその他、圧延シートを加熱することができる方法であれば上記実施例に限定されるものではない。
【0044】
また、実施例では、極板群の周囲に電解液が十分にある開放型(液式)の鉛蓄電池の例を示したが、近年その生産量が増加している制御弁式鉛蓄電池においても、同様の効果があることはいうまでもない。
【0045】
【発明の効果】
詳述したように、圧延シートから機械加工により格子を作製する方式は生産性が優れている特長を有しているが、圧延後、加工するまでの間、放置すると時効硬化が進行し、該シートを機械加工、すなわち、刃物で切断する際に格子の桟部に歪が発生し、それが使用中の、特に正極格子の伸びの原因になり、蓄電池が短寿命になる問題を抱えていた。これに対して、圧延シートを加工する前に該シートを100℃以上の温度で加熱する、あるいは、圧延されたシートを巻き取り、機械加工するまで放置する際に該シートが10℃以上の温度に晒される時間を10時間以内にすると共に、機械加工の前にシートを100℃以上の温度で加熱することによって、使用中の正極格子の伸びが抑制され、寿命性能の優れた鉛蓄電池が得られ、その工業的効果が極めて大である。

Claims (3)

  1. 鉛あるいは鉛合金からなるスラブを製造する第1の工程と、第1の工程で得られたスラブを複数のロールで順次圧延してシートを作製する第2の工程と、前記圧延シートを一旦巻き取る第3の工程と、該圧延シートを巻き戻しながら機械加工により鉛蓄電池用格子を作製する第4の工程とを備えた鉛蓄電池用格子の製造方式において、
    前記機械加工の前に前記圧延シートを100℃以上の温度で加熱することを特徴とする鉛蓄電池の製造方法。
  2. 鉛あるいは鉛合金からなるスラブを製造する第1の工程と、第1の工程で得られたスラブを複数のロールで順次圧延してシートを作製する第2の工程と、前記圧延シートを一旦巻き取る第3の工程と、該圧延シートを巻き戻しながら機械加工により鉛蓄電池用格子を作製する第4の工程とを備えた鉛蓄電池用格子の製造方式において、
    第3の工程と第4の工程との間に10℃より高い温度の雰囲気に晒される時間の総和が10時間以下になるように少なくとも1回以上10℃以下の雰囲気で保管すると共に、機械加工の前に前記圧延シートを100℃以上の温度で加熱することを特徴とする鉛蓄電池の製造方法。
  3. 請求項1あるいは請求項2に記載の製造方法によって製造された鉛蓄電池用格子を備えたことを特徴とする鉛蓄電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010113913A (ja) * 2008-11-05 2010-05-20 Furukawa Battery Co Ltd:The 鉛蓄電池用基板の製造方法

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