JP2004273075A - 薄膜高分子積層媒体の製造方法及び薄膜高分子積層媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板表面と高分子間の気泡の残存を抑制することが可能である薄膜高分子積層媒体の製造方法及び薄膜高分子積層媒体を提供する。
【解決手段】塗布工程、重ね合わせ工程、レベリング工程、硬化工程及び分離工程を有している製造方法において。塗布工程は、第1の基板に液状高分子14を塗布する。重ね合わせ工程は、第1の基板とスタンパ15を所定の位置関係で配置した第1の状態から、第1の基板とスタンパとが液状高分子を介して重ね合わされる第2の状態に遷移させるとともに、液状高分子がスタンパに接触する瞬間を含む少なくとも一部の時間で第1の基板11とスタンパ間に気体を送り込む。レベリング工程では、液状高分子が第1の基の全面に展開する。硬化工程では、第1の基板の全面に展開された液状高分子を硬化させる。最後に、分離工程により、スタンパの凹凸面が転写された硬化した固体高分子と、スタンパとを分離する。
【選択図】 図1
【解決手段】塗布工程、重ね合わせ工程、レベリング工程、硬化工程及び分離工程を有している製造方法において。塗布工程は、第1の基板に液状高分子14を塗布する。重ね合わせ工程は、第1の基板とスタンパ15を所定の位置関係で配置した第1の状態から、第1の基板とスタンパとが液状高分子を介して重ね合わされる第2の状態に遷移させるとともに、液状高分子がスタンパに接触する瞬間を含む少なくとも一部の時間で第1の基板11とスタンパ間に気体を送り込む。レベリング工程では、液状高分子が第1の基の全面に展開する。硬化工程では、第1の基板の全面に展開された液状高分子を硬化させる。最後に、分離工程により、スタンパの凹凸面が転写された硬化した固体高分子と、スタンパとを分離する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜高分子積層媒体の製造方法に関し、詳細には光や熱を用いて、信号を記録・再生する層を複数有する多層構造型光記録媒体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特公平8−23941号公報
【特許文献2】特開2001−126322号公報
【特許文献3】特開平11−66645号公報
【特許文献4】特開2002−42383号公報
【特許文献5】特開2002−56579号公報
高分子に微細な凹凸形状などを転写する製造方法には、大きく分類して3つの方法があり、それらは、射出成形方法、シート熱転写方法、そして2P(Photo−Polymer)法あるいは紫外線硬化樹脂方法である。
【0003】
一般的な射出成形方法は、厚さ1mm〜数mmの高分子材料に、種々の形状を転写するのに大変優れた製造方法である。しかし、厚さは300μm以下の高分子材料には不適である。これに対し、シート熱転写方法は、厚さが数十μm以下であっても比較的容易に高分子に種々形状を転写することが可能である。しかし、このシート熱転写方法は、シート、すなわち高分子の厚さが数十μm以下であると、その取り扱いが難しいことから、一般的には、押出し成形などで成形されたものを一旦、ロール上に加工し、金型に挿入している。従って、製造装置としてのコンパクト化が困難であると予想される。
【0004】
このような欠点を補うため、上記特許文献1及び特許文献2には、上記2P法が提案されている。この2P法とは、感光性樹脂、Photo−Polymer、あるいは紫外線硬化樹脂(液体状の高分子)を、スタンパと呼ばれる凹凸形状を有する無機物に塗り、光を照射することにより固化し、凹凸形状を高分子に転写した後、スタンパを引き剥がす方法である。
【0005】
また、上記特許文献3には、接着剤を介して貼り合わされる2枚の基板の局所的な部位を真空吸引することによる技術が提案されている。この特許文献3の技術は、2枚の基板の内、下側基板の面上に接着剤を円環状に吐出しておき、かつ上側基板はその外周近傍部を保持された状態で、これらの2枚の基板を近接させていき、上側基板が下側基板面上の円環状の接着剤に接触する前に、上側基板面と下側基板面及び接着剤で囲まれる内側空間内の気体を真空引きし、空間の内部圧力を外部空間の大気圧より低くし、この状態にて上側基板と下側基板の円環状の接着剤を接触させることで気泡の発生を低減しようとするものである。
【0006】
この他、上記特許文献4には、接着剤を基板に塗布し、当該基板を基板中心に高速回転させて均一な所定の膜厚の接着層を得ることにより気泡の混入がないという技術が開示されている。また、上記特許文献5には、2つの基板を張り合わせる際接着剤が塗布された一方の基板を変形させて当該変形により接着剤を自然展延させて空気を押し出し気泡が混入することを防ぐ技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1及び特許文献2に記載の2P法は、液体状の高分子と主に無機から形成されるスタンパとのヌレ性の違いから、接触時に気泡を巻き込むことがあった。
【0008】
また、上記特許文献3では、上側基板面と下側基板面および接着剤で囲まれる内側空間の圧力を外側空間の大気圧より低くすること、すなわち局所的な真空雰囲気を作ることで、一定の効果を得ることは可能である。しかしながら、上記の真空引きに際して上側基板面と下側基板面及び接着剤で囲まれる内側空間の中央部分に相当する上側基板の中心穴付近が急激に負圧となって接着剤が吸引されてしまう恐れがあった。かかる事態が発生すると、接着剤に混入する気泡を確実に除去する以前の本来の目的である2枚の基板の貼り合わせにおける接合が不十分となってしまう。
【0009】
更に、上記特許文献4では、高速回転駆動装置などを具備しなければならず生産コストが上昇してしまう。また、上記特許文献5では、空気を押し出すには不十分であり、基板に不要な応力を加えることで基板の破損に繋がり、かつ変形させる機構が必要となりコストアップとなってしまう。
【0010】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、基板表面に多層の高分子を接合すると同時に、その対向面に別の凹凸面を高分子に転写する高分子の積層製造方法において、高分子が300μm以下であっても基板表面と高分子間に気泡が残存することを効果的に抑制することが可能である薄膜高分子積層媒体の製造方法及び薄膜高分子積層媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記問題点を解決するために、本発明に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法は、凹凸面を有する第1の基板に液状高分子を塗布し、液状高分子上に別の凹凸面を有するスタンパを重ね合わせ、液状高分子を硬化させることにより第1の基板の表面に多層の高分子を接合すると同時に、その対向面に別の凹凸面を高分子に転写する。そして、本発明に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法は、塗布工程、重ね合わせ工程、レベリング工程、硬化工程及び分離工程を有している。塗布工程は、第1の基板の一方の面に液状高分子を塗布する。重ね合わせ工程は、第1の基板の一方の面を上面として第1の基板をほぼ水平に配置する。そして、スタンパを第1の基板に対向してその上方に所定の位置関係で配置した第1の状態から、第1の基板とスタンパとが液状高分子を介して重ね合わされる第2の状態に遷移させるとともに、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の液状高分子がスタンパに接触する瞬間を含む少なくとも一部の時間で第1の基板とスタンパ間に気体を送り込む。次に、レベリング工程では、液状高分子が第1の基板の全面に展開する。その後、硬化工程では、第1の基板の全面に展開された液状高分子を硬化させる。最後に、分離工程により、スタンパの凹凸面が転写された硬化した固体高分子と、スタンパとを分離する。よって、基板間に気泡が残存するのを効果的に抑制することが可能で、かつ安価に記録媒体を製造することができる。
【0012】
また、第1の基板とスタンパ間への気体の送り込みは、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の液状高分子がスタンパに接触する前に開始されることが好ましい。
【0013】
更に、第1の基板とスタンパ間への気体の送り込みは、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の時間中常に行われることが好ましい。
【0014】
また、塗布工程では、液状高分子を第1の基板の一方の面に環状に塗布することが好ましい。
【0015】
更に、第1の基板、およびスタンパの少なくとも一方の中央部には予め開口が形成され、重ね合わせ工程では、開口を介して第1の基板の一方の面上に環状に塗布された液状高分子の内側の空間に気体を送り込む。よって、液状高分子をほぼ放射状にほぼ一律に広げることができ、複雑な工程を減らすことができる。
【0016】
また、重ね合わせ工程で、第1の基板の一方の面上に環状に塗布された液状高分子の外側の空間に気体を送り込むことでも液状高分子をほぼ一律に広げることができる。
【0017】
更に、気体は、送り込みに際して圧力、流量、及び温度の少なくとも1つが調整されることにより、液状高分子をほぼ一律に広げることができる。
【0018】
また、重ね合わせ工程におけるスタンパは、液状高分子に接触するのに先立って一定の形状変化が与えられることにより、基板間の気泡が残存するのを効果的に抑制することができる。
【0019】
更に、重ね合わせ工程で、液状高分子を介して重ね合わさった第1の基板とスタンパとの間隔を一定に保つ機構を有することにより、精度よく重なり合うことができる。
【0020】
また、液状高分子として紫外線硬化型の接着剤が用いられ、重ね合わせ工程で接着剤を介して重ね合わされた第1の基板とスタンパとに紫外線を照射して接着剤を硬化させる紫外線硬化工程を更に含むことが好ましい。
【0021】
更に、別の発明としての薄膜高分子積層媒体は上記薄膜高分子積層媒体の製造方法によって製造される。よって、高品質な、かつ安価な薄膜高分子積層媒体を提供できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法は、塗布工程、重ね合わせ工程、レベリング工程、硬化工程及び分離工程を有している。塗布工程は、第1の基板の一方の面に液状高分子を塗布する。重ね合わせ工程は、第1の基板の一方の面を上面として第1の基板をほぼ水平に配置する。そして、スタンパを第1の基板に対向してその上方に所定の位置関係で配置した第1の状態から、第1の基板とスタンパとが液状高分子を介して重ね合わされる第2の状態に遷移させるとともに、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の液状高分子がスタンパに接触する瞬間を含む少なくとも一部の時間で第1の基板とスタンパ間に気体を送り込む。次に、レベリング工程では、液状高分子が第1の基板の全面に展開する。その後、硬化工程では、第1の基板の全面に展開された液状高分子を硬化させる。最後に、分離工程により、スタンパの凹凸面が転写された硬化した固体高分子と、スタンパとを分離する。
【0023】
【実施例】
図1は本発明の一実施例に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法による製造工程を示す断面図である。同図に示す薄膜高分子積層媒体を有する光記録媒体の一例として4層の記録層を有する両面からの再生・記録が可能な光記録媒体とする。同図の(a),(b)において、中心にセンター孔12を有し、射出成形などから成形され、例えば厚さ0.6mmのプラスチック基板11の上に反射膜を含む記録層13が製膜される。次に、同図の(c),(d)に示すように、透明な液状高分子14を塗布し、凹凸形状を有すスタンパ15が重ね合わせられる。図示していない気体吐出部材からの気体をセンター孔12から液状高分子14に送風することにより液状高分子14を尖塔化させて膜厚をほぼ一定にする。そして、同図の(e)に示すように、熱あるいは紫外線などのエネルギーにより液状高分子14が固化される。次に、同図の(f),(g)に示すように、スタンパ15を引き剥がすと、液状高分子14の上に凹凸が転写されると同時に、記録層13と高分子14が接合される。そして、同図の(h)に示すように、液状高分子14の上に反射膜を含む記録層13が再び製膜される。記録層13の上面に保護用のコーティング剤16がコートされる。同図の(i)に示すように、上述した同工程で作成された基板同士を、両面粘着シート17を用いて鏡面対称に貼り合わせて完成品となる。
【0024】
なお、プラスチック基板11にはポリカーボネイトを用いたがこれに限るものではない。単に所定の波長を透過する材料であれば何ら問題無く、アクリル、ポレオレフィン系樹脂、ガラスなどでも良い。反射膜の材質には、Au、Pt、Ag、Alやそれら元素を含む合金が挙げられるがこれに限るものではない。本発明においては、価格や機能の面から、Al、あるいはAgを主体とする無機化合物を用いた。記録層には、SbTe化合物を主体とした材料に、数種の元素を添加した材料を用いている。また、記録膜を保護するために、SiO2−ZnS膜を記録膜の上下に積層した記録層を用いている。また、記録膜に有機色素を用いても何ら問題はない。また、高分子の厚さは40〜60μmとした。液状高分子には400〜600CP.(25℃)、屈折率1.50のアクリル系紫外線硬化樹脂を用いたがこれに限るものではない。単に所定の波長を透過する材料で、かつ熱や光などによって硬化するものであれば何ら問題無い。最後に、上述した工程で作成された基板同士を、アクリル系の両面粘着シート、例えば日東電工株式会社製 DA8350A50他で貼り合わせて完成品とした。本実施例においては、両面粘着シートを用いたがこれに限るものではない、例えばカチオン重合型の紫外線硬化樹脂(例えば、エポキシ接着剤)やホットメルト等でも構わない。
【0025】
ここで、図1に示す本実施例の薄膜高分子積層媒体の製造方法によって製造された光記録媒体の完成品を図2に示す。図2の(a)は平面図であり、図2の(b)は部分断面図である。図2において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示し、この薄膜高分子積層媒体は両面からの再生・記録が可能な光記録媒体であって、両面に4層の記録層を有している。
【0026】
次に、本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法におけるスタンパとカバー基板とを張り合わせるときの動作に基づく接着剤の状態変化の様子を示す部分断面図である図3に従ってスタンパとカバー基板との貼り合わせ工程について説明する。
【0027】
先ず、図3の(a)に示すように、表面に凹凸の溝が形成されているカバー基板31が、例えばニッケルを使用しているスタンパ32に接近すると、スタンパ32の接着面に円環状に塗布されている接着剤33とスタンパ32、そしてカバー基板31によって囲まれる内側空間34の圧力が上昇し始める。その空気の圧力が接着剤33の粘性力より高くなると、接着剤33は放射方向(半径方向外側)に移動し始める。しかし、気体送り込みユニット35からの空気は外周方向に行くに従い、流速が低下するとともにカバー基板31の表面との摩擦による圧力損失の影響を受け始める。図3の(a)に示す段階では、接着剤33とカバー基板31との間には、比較的大きな隙間が空いているため、気流が各基板の外周方向に流れ、内側空間34の圧力はあまり上昇していない。このため、接着剤33の外周側への偏りは然程大きくはなっていない。
【0028】
そして、図3の(b)には、図3の(a)の状態からカバー基板31が更に下降し、スタンパ32に更に接近した状態が示されている。この場合、カバー基板31と接着剤33との間の隙間が狭くなっているため、内側空間34から各基板の外周方向への気体の流出量が減少し、内側空間34内の圧力が更に上昇する。この状態では、接着剤33の粘性力と気体の圧力とのバランスが取れた部分に接着剤33が集積し始め、盛り上がりを形成する。
【0029】
盛り上がり部分の頂部とカバー基板31との間隔は他の部分よりも狭くなっているので、この隙間を通過する気体の流速は急激に上昇し、圧力は低下するため、接着剤33に対して負圧が発生する。これにより盛り上がり量(盛り上がり高さ)はさらに上昇する。すなわち、エゼクターと同様の原理により、気体の高速流れに起因して隙間内に負圧が発生するのである。この負圧の発生により、盛り上がり量(盛り上がり高さ)はさらに高くなる。
【0030】
そして、図3の(c)に示すように、このとき、カバー基板31は、更に下降し、気体送り込みユニット35からリリースされる。このとき、接着剤33の頂上部は上述のように一部が盛り上がっているため、カバー基板31と接着剤33の接触部分はほぼ線接触することになる。この場合、接着剤31の盛り上がり部分の上端面には多少の凹凸があるため、接着部分は必ずしも円形に繋がった状態とはなっていない。
【0031】
その後、カバー基板31の自重を受けて、接触部分が円周方向及び半径方向に広がるが、この場合円周方向の広がりの方が半径方向の広がりよりも速いため、線接触の部分が円形に繋がった状態となる。一方、図3の(d)に示すように、カバー基板31がリリースされた後は、内側空間34に送り込まれる気体の流量は徐々に減少するので、カバー基板31の自重を受けて、接着剤33は内側空間34に溜まっている気体を、センタボスの切り欠きを介して排出しながら、半径方向(中心方向)に接触部分を展延するように広がっていく。
【0032】
このようにして、スタンパ32とカバー基板31の張り合わせが終了する。カバー基板31とスタンパ32上の接着剤33とが最初に線接触状態で接触するので、接触の瞬間にカバー基板31と接着剤33との間に気体(空気)が殆ど存在しない。また、カバー基板31とスタンパ32上の接着剤33とが接着した後には、接着剤33が広がるが、円周方向の広がりの方が半径方向の広がりよりも速いため、接触後短時間で非常に細い線状の接着剤33のリングが形成され、このリングの形成過程においても隣接する円弧状の接着剤相互間には気体(空気)が殆ど存在しない。よって、カバー基板31とスタンパ32の貼り合わせの過程で気泡が発生する恐れは殆どない。
【0033】
図4は本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法における硬化工程の概略を示す断面図である。同図に示すように、プラスチック基板41を保持する保持台42と、プラスチック基板41とスタンパ43の位置決め用のコアピン44と、紫外線ランプ45とを含んで構成されている。コアピン44には段差が設けられており、コアピン44の素材はスレンレス鋼であるが、その周りにはフッ素系樹脂(例えば、テフロン(登録商標))がコーティングされている。これは、液状高分子である紫外線硬化型の接着剤46とコアピン44が接着しないためのものである。また、スタンパ43ならびにプラスチック基板41の外周端部がテーパ形状となっている。このテーパ角度が同じであることから、プラスチック基板41とスタンパ43の同軸度を正確に合わせることが可能である。また、同時にコアピン44の段差をテーパ形状によりプラスチック基板41とスタンパ43のクリアランスが一定に保たれているため、均一な厚さの固体高分子転写層を得ることが可能である。
【0034】
次に、図5は本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法で作成されたICカード型光記録媒体の概略図である。図5の(a)は平面図、図5の(b)は図5の(a)のA−A’線断面図である。図5に示すICカード型光記録媒体は、電子により情報を読み書きするICチップ51とモジュール端子52から構成されるIC部53と、光や光磁気などにより情報の読み書きを行うトラック溝54と、センター穴55とを含んで構成されている。また、表面にはIDナンバー、クレジットカードナンバー、証明写真、有効期限、名前などの情報が記載されているのが一般的である。本例においては、カードの表面に点字が転写されている。
【0035】
図6は本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法を用いた製品の製作工程を示す模式図である。同図の(a)に示すように、載置テーブル61上に置かれた、トラック溝と反射膜を含む記録層が形成されたプラスチック基板62上に、ICチップ(図示せず)とモジュール端子(図示せず)が装着される。次に、上述したように、液状高分子63がプラスチック基板62の上に塗布される。この際ICカード上のセンター穴64はコアピン65により塞がっている。上記実施例と同様に、コアピン65にはテフロン(登録商標)加工が施されている。次に、図6の(b)のB−B’線断面図である図6の(c)に示すように、気体吐出部材66から液状高分子63に向けて気体を送風することにより液状高分子63を尖塔化させる。次に、スタンパ67を液状高分子63と重ね合わせ、液状高分子63の膜厚が一定になったところで、紫外線や熱などにより、液状高分子63を硬化させる。なお、液状高分子63には、熱硬化型エポキシ樹脂を用いた。厚さは200μmである。特に、材料の限定は無いが、収縮率が比較的大きなアクリル系の紫外線硬化樹脂の場合、ICカードが反ってしまうため、膜厚を比較的厚くすることは難しい。
【0036】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法は、凹凸面を有する第1の基板に液状高分子を塗布し、液状高分子上に別の凹凸面を有するスタンパを重ね合わせ、液状高分子を硬化させることにより第1の基板の表面に多層の高分子を接合すると同時に、その対向面に別の凹凸面を高分子に転写する。そして、本発明に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法は、塗布工程、重ね合わせ工程、レベリング工程、硬化工程及び分離工程を有している。塗布工程は、第1の基板の一方の面に液状高分子を塗布する。重ね合わせ工程は、第1の基板の一方の面を上面として第1の基板をほぼ水平に配置する。そして、スタンパを第1の基板に対向してその上方に所定の位置関係で配置した第1の状態から、第1の基板とスタンパとが液状高分子を介して重ね合わされる第2の状態に遷移させるとともに、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の液状高分子がスタンパに接触する瞬間を含む少なくとも一部の時間で第1の基板とスタンパ間に気体を送り込む。次に、レベリング工程では、液状高分子が第1の基板の全面に展開する。その後、硬化工程では、第1の基板の全面に展開された液状高分子を硬化させる。最後に、分離工程により、スタンパの凹凸面が転写された硬化した固体高分子と、スタンパとを分離する。よって、基板間に気泡が残存するのを効果的に抑制することが可能で、かつ安価に記録媒体を製造することができる。
【0038】
また、第1の基板とスタンパ間への気体の送り込みは、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の液状高分子がスタンパに接触する前に開始されることが好ましい。
【0039】
更に、第1の基板とスタンパ間への気体の送り込みは、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の時間中常に行われることが好ましい。
【0040】
また、塗布工程では、液状高分子を第1の基板の一方の面に環状に塗布することが好ましい。
【0041】
更に、第1の基板、およびスタンパの少なくとも一方の中央部には予め開口が形成され、重ね合わせ工程では、開口を介して第1の基板の一方の面上に環状に塗布された液状高分子の内側の空間に気体を送り込む。よって、液状高分子をほぼ放射状にほぼ一律に広げることができ、複雑な工程を減らすことができる。
【0042】
また、重ね合わせ工程で、第1の基板の一方の面上に環状に塗布された液状高分子の外側の空間に気体を送り込むことでも液状高分子をほぼ一律に広げることができる。
【0043】
更に、気体は、送り込みに際して圧力、流量、及び温度の少なくとも1つが調整されることにより、液状高分子をほぼ一律に広げることができる。
【0044】
また、重ね合わせ工程におけるスタンパは、液状高分子に接触するのに先立って一定の形状変化が与えられることにより、基板間の気泡が残存するのを効果的に抑制することができる。
【0045】
更に、重ね合わせ工程で、液状高分子を介して重ね合わさった第1の基板とスタンパとの間隔を一定に保つ機構を有することにより、精度よく重なり合うことができる。
【0046】
また、液状高分子として紫外線硬化型の接着剤が用いられ、重ね合わせ工程で接着剤を介して重ね合わされた第1の基板とスタンパとに紫外線を照射して接着剤を硬化させる紫外線硬化工程を更に含むことが好ましい。
【0047】
更に、別の発明としての薄膜高分子積層媒体は上記薄膜高分子積層媒体の製造方法によって製造される。よって、高品質な、かつ安価な薄膜高分子積層媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法による製造工程を示す断面図である。
【図2】本実施例の薄膜高分子積層媒体の製造方法によって製造された光記録媒体の完成品を示す図である。
【図3】本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法におけるスタンパとカバー基板とを張り合わせるときの動作に基づく接着剤の状態変化の様子を示す部分断面図である。
【図4】本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法における硬化工程の概略を示す断面図である。
【図5】本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法で作成されたICカード型光記録媒体の概略図である。
【図6】本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法を用いた製品の製作工程を示す模式図である。
【符号の説明】
11;プラスチック基板、12;センター孔、13;記録層、
14;液状高分子、15;スタンパ、16;コーティング剤、
17;両面粘着シート。
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜高分子積層媒体の製造方法に関し、詳細には光や熱を用いて、信号を記録・再生する層を複数有する多層構造型光記録媒体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特公平8−23941号公報
【特許文献2】特開2001−126322号公報
【特許文献3】特開平11−66645号公報
【特許文献4】特開2002−42383号公報
【特許文献5】特開2002−56579号公報
高分子に微細な凹凸形状などを転写する製造方法には、大きく分類して3つの方法があり、それらは、射出成形方法、シート熱転写方法、そして2P(Photo−Polymer)法あるいは紫外線硬化樹脂方法である。
【0003】
一般的な射出成形方法は、厚さ1mm〜数mmの高分子材料に、種々の形状を転写するのに大変優れた製造方法である。しかし、厚さは300μm以下の高分子材料には不適である。これに対し、シート熱転写方法は、厚さが数十μm以下であっても比較的容易に高分子に種々形状を転写することが可能である。しかし、このシート熱転写方法は、シート、すなわち高分子の厚さが数十μm以下であると、その取り扱いが難しいことから、一般的には、押出し成形などで成形されたものを一旦、ロール上に加工し、金型に挿入している。従って、製造装置としてのコンパクト化が困難であると予想される。
【0004】
このような欠点を補うため、上記特許文献1及び特許文献2には、上記2P法が提案されている。この2P法とは、感光性樹脂、Photo−Polymer、あるいは紫外線硬化樹脂(液体状の高分子)を、スタンパと呼ばれる凹凸形状を有する無機物に塗り、光を照射することにより固化し、凹凸形状を高分子に転写した後、スタンパを引き剥がす方法である。
【0005】
また、上記特許文献3には、接着剤を介して貼り合わされる2枚の基板の局所的な部位を真空吸引することによる技術が提案されている。この特許文献3の技術は、2枚の基板の内、下側基板の面上に接着剤を円環状に吐出しておき、かつ上側基板はその外周近傍部を保持された状態で、これらの2枚の基板を近接させていき、上側基板が下側基板面上の円環状の接着剤に接触する前に、上側基板面と下側基板面及び接着剤で囲まれる内側空間内の気体を真空引きし、空間の内部圧力を外部空間の大気圧より低くし、この状態にて上側基板と下側基板の円環状の接着剤を接触させることで気泡の発生を低減しようとするものである。
【0006】
この他、上記特許文献4には、接着剤を基板に塗布し、当該基板を基板中心に高速回転させて均一な所定の膜厚の接着層を得ることにより気泡の混入がないという技術が開示されている。また、上記特許文献5には、2つの基板を張り合わせる際接着剤が塗布された一方の基板を変形させて当該変形により接着剤を自然展延させて空気を押し出し気泡が混入することを防ぐ技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1及び特許文献2に記載の2P法は、液体状の高分子と主に無機から形成されるスタンパとのヌレ性の違いから、接触時に気泡を巻き込むことがあった。
【0008】
また、上記特許文献3では、上側基板面と下側基板面および接着剤で囲まれる内側空間の圧力を外側空間の大気圧より低くすること、すなわち局所的な真空雰囲気を作ることで、一定の効果を得ることは可能である。しかしながら、上記の真空引きに際して上側基板面と下側基板面及び接着剤で囲まれる内側空間の中央部分に相当する上側基板の中心穴付近が急激に負圧となって接着剤が吸引されてしまう恐れがあった。かかる事態が発生すると、接着剤に混入する気泡を確実に除去する以前の本来の目的である2枚の基板の貼り合わせにおける接合が不十分となってしまう。
【0009】
更に、上記特許文献4では、高速回転駆動装置などを具備しなければならず生産コストが上昇してしまう。また、上記特許文献5では、空気を押し出すには不十分であり、基板に不要な応力を加えることで基板の破損に繋がり、かつ変形させる機構が必要となりコストアップとなってしまう。
【0010】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、基板表面に多層の高分子を接合すると同時に、その対向面に別の凹凸面を高分子に転写する高分子の積層製造方法において、高分子が300μm以下であっても基板表面と高分子間に気泡が残存することを効果的に抑制することが可能である薄膜高分子積層媒体の製造方法及び薄膜高分子積層媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記問題点を解決するために、本発明に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法は、凹凸面を有する第1の基板に液状高分子を塗布し、液状高分子上に別の凹凸面を有するスタンパを重ね合わせ、液状高分子を硬化させることにより第1の基板の表面に多層の高分子を接合すると同時に、その対向面に別の凹凸面を高分子に転写する。そして、本発明に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法は、塗布工程、重ね合わせ工程、レベリング工程、硬化工程及び分離工程を有している。塗布工程は、第1の基板の一方の面に液状高分子を塗布する。重ね合わせ工程は、第1の基板の一方の面を上面として第1の基板をほぼ水平に配置する。そして、スタンパを第1の基板に対向してその上方に所定の位置関係で配置した第1の状態から、第1の基板とスタンパとが液状高分子を介して重ね合わされる第2の状態に遷移させるとともに、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の液状高分子がスタンパに接触する瞬間を含む少なくとも一部の時間で第1の基板とスタンパ間に気体を送り込む。次に、レベリング工程では、液状高分子が第1の基板の全面に展開する。その後、硬化工程では、第1の基板の全面に展開された液状高分子を硬化させる。最後に、分離工程により、スタンパの凹凸面が転写された硬化した固体高分子と、スタンパとを分離する。よって、基板間に気泡が残存するのを効果的に抑制することが可能で、かつ安価に記録媒体を製造することができる。
【0012】
また、第1の基板とスタンパ間への気体の送り込みは、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の液状高分子がスタンパに接触する前に開始されることが好ましい。
【0013】
更に、第1の基板とスタンパ間への気体の送り込みは、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の時間中常に行われることが好ましい。
【0014】
また、塗布工程では、液状高分子を第1の基板の一方の面に環状に塗布することが好ましい。
【0015】
更に、第1の基板、およびスタンパの少なくとも一方の中央部には予め開口が形成され、重ね合わせ工程では、開口を介して第1の基板の一方の面上に環状に塗布された液状高分子の内側の空間に気体を送り込む。よって、液状高分子をほぼ放射状にほぼ一律に広げることができ、複雑な工程を減らすことができる。
【0016】
また、重ね合わせ工程で、第1の基板の一方の面上に環状に塗布された液状高分子の外側の空間に気体を送り込むことでも液状高分子をほぼ一律に広げることができる。
【0017】
更に、気体は、送り込みに際して圧力、流量、及び温度の少なくとも1つが調整されることにより、液状高分子をほぼ一律に広げることができる。
【0018】
また、重ね合わせ工程におけるスタンパは、液状高分子に接触するのに先立って一定の形状変化が与えられることにより、基板間の気泡が残存するのを効果的に抑制することができる。
【0019】
更に、重ね合わせ工程で、液状高分子を介して重ね合わさった第1の基板とスタンパとの間隔を一定に保つ機構を有することにより、精度よく重なり合うことができる。
【0020】
また、液状高分子として紫外線硬化型の接着剤が用いられ、重ね合わせ工程で接着剤を介して重ね合わされた第1の基板とスタンパとに紫外線を照射して接着剤を硬化させる紫外線硬化工程を更に含むことが好ましい。
【0021】
更に、別の発明としての薄膜高分子積層媒体は上記薄膜高分子積層媒体の製造方法によって製造される。よって、高品質な、かつ安価な薄膜高分子積層媒体を提供できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法は、塗布工程、重ね合わせ工程、レベリング工程、硬化工程及び分離工程を有している。塗布工程は、第1の基板の一方の面に液状高分子を塗布する。重ね合わせ工程は、第1の基板の一方の面を上面として第1の基板をほぼ水平に配置する。そして、スタンパを第1の基板に対向してその上方に所定の位置関係で配置した第1の状態から、第1の基板とスタンパとが液状高分子を介して重ね合わされる第2の状態に遷移させるとともに、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の液状高分子がスタンパに接触する瞬間を含む少なくとも一部の時間で第1の基板とスタンパ間に気体を送り込む。次に、レベリング工程では、液状高分子が第1の基板の全面に展開する。その後、硬化工程では、第1の基板の全面に展開された液状高分子を硬化させる。最後に、分離工程により、スタンパの凹凸面が転写された硬化した固体高分子と、スタンパとを分離する。
【0023】
【実施例】
図1は本発明の一実施例に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法による製造工程を示す断面図である。同図に示す薄膜高分子積層媒体を有する光記録媒体の一例として4層の記録層を有する両面からの再生・記録が可能な光記録媒体とする。同図の(a),(b)において、中心にセンター孔12を有し、射出成形などから成形され、例えば厚さ0.6mmのプラスチック基板11の上に反射膜を含む記録層13が製膜される。次に、同図の(c),(d)に示すように、透明な液状高分子14を塗布し、凹凸形状を有すスタンパ15が重ね合わせられる。図示していない気体吐出部材からの気体をセンター孔12から液状高分子14に送風することにより液状高分子14を尖塔化させて膜厚をほぼ一定にする。そして、同図の(e)に示すように、熱あるいは紫外線などのエネルギーにより液状高分子14が固化される。次に、同図の(f),(g)に示すように、スタンパ15を引き剥がすと、液状高分子14の上に凹凸が転写されると同時に、記録層13と高分子14が接合される。そして、同図の(h)に示すように、液状高分子14の上に反射膜を含む記録層13が再び製膜される。記録層13の上面に保護用のコーティング剤16がコートされる。同図の(i)に示すように、上述した同工程で作成された基板同士を、両面粘着シート17を用いて鏡面対称に貼り合わせて完成品となる。
【0024】
なお、プラスチック基板11にはポリカーボネイトを用いたがこれに限るものではない。単に所定の波長を透過する材料であれば何ら問題無く、アクリル、ポレオレフィン系樹脂、ガラスなどでも良い。反射膜の材質には、Au、Pt、Ag、Alやそれら元素を含む合金が挙げられるがこれに限るものではない。本発明においては、価格や機能の面から、Al、あるいはAgを主体とする無機化合物を用いた。記録層には、SbTe化合物を主体とした材料に、数種の元素を添加した材料を用いている。また、記録膜を保護するために、SiO2−ZnS膜を記録膜の上下に積層した記録層を用いている。また、記録膜に有機色素を用いても何ら問題はない。また、高分子の厚さは40〜60μmとした。液状高分子には400〜600CP.(25℃)、屈折率1.50のアクリル系紫外線硬化樹脂を用いたがこれに限るものではない。単に所定の波長を透過する材料で、かつ熱や光などによって硬化するものであれば何ら問題無い。最後に、上述した工程で作成された基板同士を、アクリル系の両面粘着シート、例えば日東電工株式会社製 DA8350A50他で貼り合わせて完成品とした。本実施例においては、両面粘着シートを用いたがこれに限るものではない、例えばカチオン重合型の紫外線硬化樹脂(例えば、エポキシ接着剤)やホットメルト等でも構わない。
【0025】
ここで、図1に示す本実施例の薄膜高分子積層媒体の製造方法によって製造された光記録媒体の完成品を図2に示す。図2の(a)は平面図であり、図2の(b)は部分断面図である。図2において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示し、この薄膜高分子積層媒体は両面からの再生・記録が可能な光記録媒体であって、両面に4層の記録層を有している。
【0026】
次に、本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法におけるスタンパとカバー基板とを張り合わせるときの動作に基づく接着剤の状態変化の様子を示す部分断面図である図3に従ってスタンパとカバー基板との貼り合わせ工程について説明する。
【0027】
先ず、図3の(a)に示すように、表面に凹凸の溝が形成されているカバー基板31が、例えばニッケルを使用しているスタンパ32に接近すると、スタンパ32の接着面に円環状に塗布されている接着剤33とスタンパ32、そしてカバー基板31によって囲まれる内側空間34の圧力が上昇し始める。その空気の圧力が接着剤33の粘性力より高くなると、接着剤33は放射方向(半径方向外側)に移動し始める。しかし、気体送り込みユニット35からの空気は外周方向に行くに従い、流速が低下するとともにカバー基板31の表面との摩擦による圧力損失の影響を受け始める。図3の(a)に示す段階では、接着剤33とカバー基板31との間には、比較的大きな隙間が空いているため、気流が各基板の外周方向に流れ、内側空間34の圧力はあまり上昇していない。このため、接着剤33の外周側への偏りは然程大きくはなっていない。
【0028】
そして、図3の(b)には、図3の(a)の状態からカバー基板31が更に下降し、スタンパ32に更に接近した状態が示されている。この場合、カバー基板31と接着剤33との間の隙間が狭くなっているため、内側空間34から各基板の外周方向への気体の流出量が減少し、内側空間34内の圧力が更に上昇する。この状態では、接着剤33の粘性力と気体の圧力とのバランスが取れた部分に接着剤33が集積し始め、盛り上がりを形成する。
【0029】
盛り上がり部分の頂部とカバー基板31との間隔は他の部分よりも狭くなっているので、この隙間を通過する気体の流速は急激に上昇し、圧力は低下するため、接着剤33に対して負圧が発生する。これにより盛り上がり量(盛り上がり高さ)はさらに上昇する。すなわち、エゼクターと同様の原理により、気体の高速流れに起因して隙間内に負圧が発生するのである。この負圧の発生により、盛り上がり量(盛り上がり高さ)はさらに高くなる。
【0030】
そして、図3の(c)に示すように、このとき、カバー基板31は、更に下降し、気体送り込みユニット35からリリースされる。このとき、接着剤33の頂上部は上述のように一部が盛り上がっているため、カバー基板31と接着剤33の接触部分はほぼ線接触することになる。この場合、接着剤31の盛り上がり部分の上端面には多少の凹凸があるため、接着部分は必ずしも円形に繋がった状態とはなっていない。
【0031】
その後、カバー基板31の自重を受けて、接触部分が円周方向及び半径方向に広がるが、この場合円周方向の広がりの方が半径方向の広がりよりも速いため、線接触の部分が円形に繋がった状態となる。一方、図3の(d)に示すように、カバー基板31がリリースされた後は、内側空間34に送り込まれる気体の流量は徐々に減少するので、カバー基板31の自重を受けて、接着剤33は内側空間34に溜まっている気体を、センタボスの切り欠きを介して排出しながら、半径方向(中心方向)に接触部分を展延するように広がっていく。
【0032】
このようにして、スタンパ32とカバー基板31の張り合わせが終了する。カバー基板31とスタンパ32上の接着剤33とが最初に線接触状態で接触するので、接触の瞬間にカバー基板31と接着剤33との間に気体(空気)が殆ど存在しない。また、カバー基板31とスタンパ32上の接着剤33とが接着した後には、接着剤33が広がるが、円周方向の広がりの方が半径方向の広がりよりも速いため、接触後短時間で非常に細い線状の接着剤33のリングが形成され、このリングの形成過程においても隣接する円弧状の接着剤相互間には気体(空気)が殆ど存在しない。よって、カバー基板31とスタンパ32の貼り合わせの過程で気泡が発生する恐れは殆どない。
【0033】
図4は本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法における硬化工程の概略を示す断面図である。同図に示すように、プラスチック基板41を保持する保持台42と、プラスチック基板41とスタンパ43の位置決め用のコアピン44と、紫外線ランプ45とを含んで構成されている。コアピン44には段差が設けられており、コアピン44の素材はスレンレス鋼であるが、その周りにはフッ素系樹脂(例えば、テフロン(登録商標))がコーティングされている。これは、液状高分子である紫外線硬化型の接着剤46とコアピン44が接着しないためのものである。また、スタンパ43ならびにプラスチック基板41の外周端部がテーパ形状となっている。このテーパ角度が同じであることから、プラスチック基板41とスタンパ43の同軸度を正確に合わせることが可能である。また、同時にコアピン44の段差をテーパ形状によりプラスチック基板41とスタンパ43のクリアランスが一定に保たれているため、均一な厚さの固体高分子転写層を得ることが可能である。
【0034】
次に、図5は本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法で作成されたICカード型光記録媒体の概略図である。図5の(a)は平面図、図5の(b)は図5の(a)のA−A’線断面図である。図5に示すICカード型光記録媒体は、電子により情報を読み書きするICチップ51とモジュール端子52から構成されるIC部53と、光や光磁気などにより情報の読み書きを行うトラック溝54と、センター穴55とを含んで構成されている。また、表面にはIDナンバー、クレジットカードナンバー、証明写真、有効期限、名前などの情報が記載されているのが一般的である。本例においては、カードの表面に点字が転写されている。
【0035】
図6は本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法を用いた製品の製作工程を示す模式図である。同図の(a)に示すように、載置テーブル61上に置かれた、トラック溝と反射膜を含む記録層が形成されたプラスチック基板62上に、ICチップ(図示せず)とモジュール端子(図示せず)が装着される。次に、上述したように、液状高分子63がプラスチック基板62の上に塗布される。この際ICカード上のセンター穴64はコアピン65により塞がっている。上記実施例と同様に、コアピン65にはテフロン(登録商標)加工が施されている。次に、図6の(b)のB−B’線断面図である図6の(c)に示すように、気体吐出部材66から液状高分子63に向けて気体を送風することにより液状高分子63を尖塔化させる。次に、スタンパ67を液状高分子63と重ね合わせ、液状高分子63の膜厚が一定になったところで、紫外線や熱などにより、液状高分子63を硬化させる。なお、液状高分子63には、熱硬化型エポキシ樹脂を用いた。厚さは200μmである。特に、材料の限定は無いが、収縮率が比較的大きなアクリル系の紫外線硬化樹脂の場合、ICカードが反ってしまうため、膜厚を比較的厚くすることは難しい。
【0036】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法は、凹凸面を有する第1の基板に液状高分子を塗布し、液状高分子上に別の凹凸面を有するスタンパを重ね合わせ、液状高分子を硬化させることにより第1の基板の表面に多層の高分子を接合すると同時に、その対向面に別の凹凸面を高分子に転写する。そして、本発明に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法は、塗布工程、重ね合わせ工程、レベリング工程、硬化工程及び分離工程を有している。塗布工程は、第1の基板の一方の面に液状高分子を塗布する。重ね合わせ工程は、第1の基板の一方の面を上面として第1の基板をほぼ水平に配置する。そして、スタンパを第1の基板に対向してその上方に所定の位置関係で配置した第1の状態から、第1の基板とスタンパとが液状高分子を介して重ね合わされる第2の状態に遷移させるとともに、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の液状高分子がスタンパに接触する瞬間を含む少なくとも一部の時間で第1の基板とスタンパ間に気体を送り込む。次に、レベリング工程では、液状高分子が第1の基板の全面に展開する。その後、硬化工程では、第1の基板の全面に展開された液状高分子を硬化させる。最後に、分離工程により、スタンパの凹凸面が転写された硬化した固体高分子と、スタンパとを分離する。よって、基板間に気泡が残存するのを効果的に抑制することが可能で、かつ安価に記録媒体を製造することができる。
【0038】
また、第1の基板とスタンパ間への気体の送り込みは、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の液状高分子がスタンパに接触する前に開始されることが好ましい。
【0039】
更に、第1の基板とスタンパ間への気体の送り込みは、第1の状態から第2の状態へ遷移する間の時間中常に行われることが好ましい。
【0040】
また、塗布工程では、液状高分子を第1の基板の一方の面に環状に塗布することが好ましい。
【0041】
更に、第1の基板、およびスタンパの少なくとも一方の中央部には予め開口が形成され、重ね合わせ工程では、開口を介して第1の基板の一方の面上に環状に塗布された液状高分子の内側の空間に気体を送り込む。よって、液状高分子をほぼ放射状にほぼ一律に広げることができ、複雑な工程を減らすことができる。
【0042】
また、重ね合わせ工程で、第1の基板の一方の面上に環状に塗布された液状高分子の外側の空間に気体を送り込むことでも液状高分子をほぼ一律に広げることができる。
【0043】
更に、気体は、送り込みに際して圧力、流量、及び温度の少なくとも1つが調整されることにより、液状高分子をほぼ一律に広げることができる。
【0044】
また、重ね合わせ工程におけるスタンパは、液状高分子に接触するのに先立って一定の形状変化が与えられることにより、基板間の気泡が残存するのを効果的に抑制することができる。
【0045】
更に、重ね合わせ工程で、液状高分子を介して重ね合わさった第1の基板とスタンパとの間隔を一定に保つ機構を有することにより、精度よく重なり合うことができる。
【0046】
また、液状高分子として紫外線硬化型の接着剤が用いられ、重ね合わせ工程で接着剤を介して重ね合わされた第1の基板とスタンパとに紫外線を照射して接着剤を硬化させる紫外線硬化工程を更に含むことが好ましい。
【0047】
更に、別の発明としての薄膜高分子積層媒体は上記薄膜高分子積層媒体の製造方法によって製造される。よって、高品質な、かつ安価な薄膜高分子積層媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る薄膜高分子積層媒体の製造方法による製造工程を示す断面図である。
【図2】本実施例の薄膜高分子積層媒体の製造方法によって製造された光記録媒体の完成品を示す図である。
【図3】本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法におけるスタンパとカバー基板とを張り合わせるときの動作に基づく接着剤の状態変化の様子を示す部分断面図である。
【図4】本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法における硬化工程の概略を示す断面図である。
【図5】本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法で作成されたICカード型光記録媒体の概略図である。
【図6】本発明の薄膜高分子積層媒体の製造方法を用いた製品の製作工程を示す模式図である。
【符号の説明】
11;プラスチック基板、12;センター孔、13;記録層、
14;液状高分子、15;スタンパ、16;コーティング剤、
17;両面粘着シート。
Claims (11)
- 凹凸面を有する第1の基板に液状高分子を塗布し、該液状高分子上に別の凹凸面を有するスタンパを重ね合わせ、前記液状高分子を硬化させることにより前記第1の基板の表面に多層の高分子を接合すると同時に、その対向面に別の凹凸面を高分子に転写する薄膜高分子積層媒体の製造方法において、
前記第1の基板の一方の面に前記液状高分子を塗布する塗布工程と、
前記第1の基板の一方の面を上面として前記第1の基板をほぼ水平に配置し、前記スタンパを前記第1の基板に対向してその上方に所定の位置関係で配置した第1の状態から、前記第1の基板と前記スタンパとが前記液状高分子を介して重ね合わされる第2の状態に遷移させるとともに、前記第1の状態から前記第2の状態へ遷移する間の前記液状高分子が前記スタンパに接触する瞬間を含む少なくとも一部の時間で前記第1の基板と前記スタンパ間に気体を送り込む、重ね合わせ工程と、
前記液状高分子が前記第1の基板の全面に展開するレベリング工程と、
前記第1の基板の全面に展開された前記液状高分子を硬化する硬化工程と、
前記スタンパの凹凸面が転写された硬化した固体高分子と、前記スタンパとを分離する分離工程と
を有することを特徴とする薄膜高分子積層媒体の製造方法。 - 前記第1の基板と前記スタンパ間への前記気体の送り込みは、前記第1の状態から前記第2の状態へ遷移する間の前記液状高分子が前記スタンパに接触する前に開始される請求項1記載の薄膜高分子積層媒体の製造方法。
- 前記第1の基板と前記スタンパ間への前記気体の送り込みは、前記第1の状態から前記第2の状態へ遷移する間の時間中常に行われる請求項1記載の薄膜高分子積層媒体の製造方法。
- 前記塗布工程では、前記液状高分子を前記第1の基板の一方の面に環状に塗布する請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜高分子積層媒体の製造方法。
- 前記第1の基板、および前記スタンパの少なくとも一方の中央部には予め開口が形成され、前記重ね合わせ工程では、前記開口を介して前記第1の基板の一方の面上に環状に塗布された前記液状高分子の内側の空間に前記気体を送り込む請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜高分子積層媒体の製造方法。
- 前記重ね合わせ工程で、前記第1の基板の一方の面上に環状に塗布された前記液状高分子の外側の空間に前記気体を送り込む請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜高分子積層媒体の製造方法。
- 前記気体は、前記送り込みに際して圧力、流量、及び温度の少なくとも1つが調整される請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜高分子積層媒体の製造方法。
- 前記重ね合わせ工程における前記スタンパは、前記液状高分子に接触するのに先立って一定の形状変化が与えられる請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜高分子積層媒体の製造方法。
- 前記重ね合わせ工程で、前記液状高分子を介して重ね合わさった前記第1の基板と前記スタンパとの間隔を一定に保つ機構を有する請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜高分子積層媒体の製造方法。
- 前記液状高分子として紫外線硬化型の接着剤が用いられ、前記重ね合わせ工程で接着剤を介して重ね合わされた前記第1の基板と前記スタンパとに紫外線を照射して前記接着剤を硬化させる紫外線硬化工程を更に含む請求項1〜9のいずれかに記載の薄膜高分子積層媒体の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の薄膜高分子積層媒体の製造方法によって製造された薄膜高分子積層媒体。
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