JP2004272749A - 位置決め制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】負荷機械の固有振動の減衰を考慮して負荷先端の残留振動を十分に抑制し、高速高精度な位置決め制御を実現する。
【解決手段】S字位置指令を入力してフィードバック系の位置指令として出力する2次フィルタ15の伝達関数F(s)を、
【数40】
Figure 2004272749

により表し、この伝達関数F(s)中における、ωを前記負荷機械の固有角振動数ωとし、ζを前記負荷機械の固有振動減衰係数ζとし、ωを前記S字位置指令における加速時間t、加速開始から減速開始までの時間tを用いて、
【数41】
Figure 2004272749

または、
【数42】
Figure 2004272749

満たすように設定する。機械振動の減衰を考慮して、2次フィルタ15の分子にsの一次項(2ζ/ωs)を追加するようにしているので、負荷先端位置Xにおける残留振動を十分に抑制できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータで負荷を駆動して位置決めを行う位置決め制御装置に関し、特に、柔軟アームを介して負荷テーブルに連結される負荷先端に存在する振動を抑制する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、工業用ロボットは作業の高速化、軽量化、小型化等の要求から、そのアームを軽量化することが行われている。しかし、アームを軽量化するとその剛性不足のために振動が発生し易くなるという問題が発生する。このような剛性の低い柔軟アームを有する負荷を制御する場合、柔軟アームの先端に接続された負荷先端の振動を抑制しつつ、高速高精度のサーボ制御を行うことが求められる。
【0003】
柔軟アームを有する産業用機械の位置決め制御を行う従来の位置決め制御装置の構成を図6に示す。制御の対象となる産業用機械の機構は、モータ5と、負荷テーブル8と、負荷先端10と、負荷テーブル8と負荷先端10を連結する柔軟アーム9と、モータ5と負荷テーブル8を連結するトルク伝達機構7とを備えている。この従来の位置決め制御装置は、位置指令発生部1と、プレフィルタ2と、フィードバック制御部3と、サーボドライバ4と、エンコーダ6とから構成されている。
【0004】
この従来の位置決め制御装置では、位置指令発生部1で生成された元の位置指令Xがプレフィルタ2を通過することによってフィードバック制御系の位置指令Xrfが生成される。そして、モータ5に繋げられたエンコーダ6からのモータ位置信号Xはフィードバック制御部3にフィードバックされ、フィードバック制御部3では、フィードバック制御系の位置指令Xrfおよびモータ位置信号Xを用いてフィードバック制御が行われる。そして、フィードバック制御部3の出力がサーボドライバ4に入力されることによりモータ5の駆動が行われる。
【0005】
一般に、モータ5と負荷テーブル8を連結するトルク伝達機構7の剛性は高いので、フィードバック制御部3のゲインを十分大きく上げることができる。そのため、負荷テーブル8の位置またはモータ位置信号Xをほぼフィードバック位置指令Xrfに追従させることができる。しかし、負荷テーブル8と負荷先端10を連結する柔軟アーム9の剛性が低いことにより、負荷テーブル8は目標位置に到達しても、負荷先端10は低周波数で大きく振動し続けるという問題が発生する。
【0006】
このような従来の位置決め制御装置のシミュレーション結果を図7に示す。図7を参照すると、モータ位置信号Xは、ほぼ元の位置指令Xに追従しているのに対して、負荷先端位置Xは振動してしまっていることがわかる。
【0007】
従来は、このような振動を抑制するために図6に示した構成において、位置指令発生部1をS字位置指令発生部に置き換え、プレフィルタ2を2次フィルタにより実現した位置決め制御装置が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0008】
このような従来の位置決め制御装置を図8に示す。尚、この図8では、伝達関数11は、図6におけるフィードバック制御系の位置指令Xrfからモータ位置Xまでの伝達関数、伝達関数12は、図6におけるモータ位置Xから負荷先端位置Xまでの伝達関数である。
【0009】
この従来の位置決め制御装置では、S字位置指令発生部13により生成された元の位置指令Xが2次フィルタ18を通過することによってフィードバック制御系の位置指令Xrfが生成される。
【0010】
S字位置指令Xおよび、このS字位置指令Xの速度パターンV(t)および加速度パターンA(t)の時間関数を図9に示す。S字位置指令発生部13により生成されるS字形状の元の位置指令Xを図9(a)に示す。また、このS字形状の元の位置指令Xの速度パターンV(t)を図9(b)に示し、加速度パターンA(t)を図9(c)に示す。図9(a)〜図9(c)において、
(t)=
【0011】
【外1】
Figure 2004272749
【0012】
(X(t)の微分)、A(t)=
【0013】
【外2】
Figure 2004272749
【0014】
(V(t)の微分)、tは加速時間、tは加速開始から減速開始までの時間、tは指令時間であり、そして、減速時間(t−t)と加速時間tが等しくなっている。
【0015】
ここで、負荷テーブル8、柔軟アーム9および負荷先端10を含む負荷機械の固有角振動数がωである場合は、2次フィルタ18の伝達関数
【0016】
【数5】
Figure 2004272749
【0017】
におけるパラメータを
ω=ω (2)
および
【0018】
【数6】
Figure 2004272749
【0019】
を満たすように設定する。このように設定した場合における、図8に示した従来の位置決め制御装置を用いた場合のシミュレーション結果を図10に示す。
【0020】
図10を参照すると、2次フィルタ18を通過した後のフィードバック系の位置指令Xrfは元の位置指令Xと較べて指令時間が長く伸びてはおらず、また位置決め完了後の負荷先端の残留振動が図7と比較して抑えられていることがわかる。
【0021】
また、フィードバック制御系の位置指令が目標指令と一致したときにプレフィルタの出力をゼロとすることにより、フィードバック制御系の位置指令を目標指令に定着させて、短時間に安定な位置決めを行うようにした位置決め制御装置も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0022】
しかし、上述した従来の位置決め制御装置では、負荷機械の固有振動の減衰を考慮することなくプレフィルタを構成しているため、制御系の極零点キャンセルできず、残留振動を十分に抑制することができなかった。また、元の位置指令がS字形状であることを前提としているため、元の位置指令がS字形状でないと適応できなかった。
【0023】
【特許文献1】
特開2002−229602号公報
【非特許文献1】
「電気学会研究会資料」IIC−96−17, pp.75−84
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の位置決め制御装置では、負荷機械の固有振動の減衰がある場合に対して、制御系の極零点キャンセルできず、負荷先端の残留振動を十分に抑え切れなく、また、元の位置指令がS字形状でないと適応できないという問題点があった。
【0025】
そこで、本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、負荷機械の固有振動の減衰を考慮して負荷先端の残留振動を十分に抑制し、高速高精度位置決め制御を実現することのできる位置決め制御装置を提供することである。
【0026】
また、本発明の他の目的は、元の位置指令がS字形状でない場合でも適応することができる位置決め制御装置を提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の位置決め制御装置は、加速度および加速時間がそれぞれ減速度および減速時間に等しいS字位置指令を生成するS字位置指令発生部と、
前記S字位置指令発生部により生成されたS字位置指令を入力してフィードバック系の位置指令として出力する2次フィルタと、
前記2次フィルタからのフィードバック系の位置指令および負荷機械を駆動するモータの位置信号を入力してフィードバック制御を行うフィードバック制御部とを有し、
柔軟アームを含む負荷機械をモータにより駆動して、前記柔軟アームに連結された負荷先端の位置を前記2次フィルタから出力されたフィードバック系の位置指令に追従させる位置決め制御装置において、
前記2次フィルタの伝達関数F(s)が、
【0028】
【数7】
Figure 2004272749
【0029】
により表され、該伝達関数F(s)中における、ωを前記負荷機械の固有角振動数ωとし、ζを前記負荷機械の固有振動減衰係数ζとし、ωを前記S字位置指令における加速時間t、加速開始から減速開始までの時間tを用いて、
【0030】
【数8】
Figure 2004272749
【0031】
または、
【0032】
【数9】
Figure 2004272749
【0033】
満たすように設定されていることを特徴とする。
【0034】
本発明によれば、機械振動の減衰を考慮して、2次フィルタの分子にsの一次項(2ζ/ωs)を追加するようにしているので、負荷先端位置における残留振動を十分に抑制することができる。
【0035】
また、本発明の他の位置決め制御装置は、任意形状の位置指令を生成可能な任意位置指令発生部と、
前記任意位置指令発生部により生成された位置指令を入力してフィードバック系の位置指令として出力するCICフィルタと、
前記CICフィルタからのフィードバック系の位置指令および負荷機械を駆動するモータの位置信号を入力してフィードバック制御を行うフィードバック制御部とを有し、
柔軟アームを含む負荷機械をモータにより駆動して、前記柔軟アームに連結された負荷先端の位置を前記CICフィルタから出力されたフィードバック系の位置指令に追従させる位置決め制御装置において、
前記CICフィルタの伝達関数F(s)が、
【0036】
【数10】
Figure 2004272749
【0037】
により表され、前記伝達関数F(s)中における、mが2以上の自然数に設定され、前記伝達関数F(s)中における係数B、B、・・・、Bおよび時定数T、T、・・・、Tを、前記元の位置指令と前記CICフィルタの出力の定常偏差が0となるような無定常偏差条件および前記負荷機械の振動極をキャンセルできるような振動抑制条件を満たすように設定されていることを特徴とする。
【0038】
本発明によれば、プレフィルタとしてCICフィルタを用い、このCICフィルタの伝達関数における係数および時定数を、元の位置指令とCICフィルタの出力の定常偏差が0となるような無定常偏差条件および負荷機械の振動極をキャンセルできるような振動抑制条件を満たすように設定するようにしているので、任意形状の元の位置指令に対しても、制御系は定常偏差が残らず負荷先端の残留振動を抑制できる。
【0039】
さらに、本発明の他の位置決め制御装置では、zをz変換演算子、Tをサンプル周期とした場合、前記伝達関数F(s)における積分要素1/sがT/(1−z−1)に変換し、すべてのiにおいてnをT/Tの最も近い整数とした場合、前記伝達関数F(s)における遅れ要素e−Tisがz−niに変換し、前記伝達関数F(s)における系数B、B、・・・、Bのうちの任意の2つ係数が前記元の位置指令と離散化CICフィルタの出力の定常偏差が0となるような離散化無定常偏差条件を満たすように設定するようにしてもよい。
【0040】
本発明は、CICフィルタの伝達関数を離散系により表現するようにしたものである。
【0041】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態の位置決め制御装置を示すブロック図である。図1において、図8中の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略するものとする。
【0043】
本実施形態の位置決め制御装置は、図8に示した従来の位置決め制御装置に対して、2次フィルタ18を2次フィルタ15に置き換えた構成となっている。本実施形態の2次フィルタ15の伝達関数F(s)は、図8に示した従来の位置決め制御装置における2次フィルタ18の伝達関数F(s)の分子にsの一次項(2ζ/ωs)を追加したものである。
【0044】
つまり、本実施形態における2次フィルタ15の伝達関数F(s)は下記の式(4)のように表される。
【0045】
【数11】
Figure 2004272749
【0046】
そして、従来技術と同じように2次フィルタ15の伝達関数F(s)におけるパラメータを、下記の式(5)および式(6)
を満たすように設定する。
【0047】
ω=ω (5)
【0048】
【数12】
Figure 2004272749
【0049】
また、負荷機械の固有振動の減衰係数をζとして、
ζ=ζ (7)
と設定する。
【0050】
本実施形態の位置決め制御装置を用いた場合のシミュレーション結果を図2に示す。
【0051】
元の位置指令Xとフィードバック系の位置指令Xrfの時間関数を図2(a)に示し、元の位置指令Xとフィードバック系の位置指令Xrfの速度パターンV、Vrfの時間関数を図2(b)に示す。また、図2(a)における目標位置付近の位置指令X、Xrfおよび負荷先端位置Xの拡大図を図2(c)に示す。
【0052】
この図2を参照すると、2次フィルタ15を通過した後のフィードバック系の位置指令Xrfは元の位置指令Xと比較して指令時間が長く伸びず、位置決め完了後の負荷先端の残留振動が図10と比較して十分に抑えられていることがわかる。このように負荷先端の残留振動が抑制される理由については以下に説明する。
【0053】
図9(a)より、S字位置指令X(ラプラス変換後)は、下記の式(8)のように表現される。
【0054】
【数13】
Figure 2004272749
【0055】
ただし、ここで、sはラプラス変換因子、Aは最大加速度である。図1より、フィードバック系の位置指令Xrfは、下記の式(9)となる。
【0056】
【数14】
Figure 2004272749
【0057】
そして、t=t+tを考慮して式(9)を逆ラプラス変換すると、下記の式(10)が得られる。
【0058】
【数15】
Figure 2004272749
【0059】
上記の式(6)を式(10)に代入すると、下記の式(11)が得られる。
【0060】
rf(t)=At=X,(t>t) (11)
すなわち、フィードバック系の位置指令Xrfの指令時間は元の位置指令Xの指令時間と同じとなる。
【0061】
次に負荷先端10の変位について考察する。
【0062】
図1より、負荷先端10の位置Xは、下記の式(12)のように表すことができる。
【0063】
【数16】
Figure 2004272749
【0064】
一般に、モータ5と負荷テーブル8を連結するトルク伝達機構7の剛性は高くて、フィードバック制御部3のゲインを十分大きく上げられ、モータ位置信号Xがほぼフィードバック位置指令Xrfに追従している。言い換えると、低周波数領域の特性を考察するとき、XrfからXまでの伝達関数G(s)は下記の式(13)のように考えることができる。
【0065】
(s)≒1 (13)
そして、式(5)、式(7)、式(8)および式(13)を式(12)に代入して整理すると、下記の式(14)が得られる。
【0066】
【数17】
Figure 2004272749
【0067】
そして、t=t+tを考慮して式(14)を逆ラプラス変換すると、下記の式(15)が得られる。
【0068】
【数18】
Figure 2004272749
【0069】
式(6)を式(15)に代入すると、下記の式(16)が得られる。
【0070】
(t)≒At=X,(t>t) (16)
すなわち、指令終了後負荷先端10は安定に目標位置に到着することがわかる。
【0071】
このように、本実施形態の位置決め制御装置によれば、機械振動の減衰を考慮して、2次フィルタ15の分子にsの一次項(2ζ/ωs)を追加するようにしているので、負荷先端位置Xにおける残留振動を十分に抑制することができる。
【0072】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態の位置決め制御装置について説明する。図3は本発明の第2の実施形態の位置決め制御装置の構成を示すブロック図である。図3において、図1中の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略するものとする。
【0073】
本実施形態の位置決め制御装置は、S字形状の位置指令だけでなく、任意形状の位置指令を用いた場合でも、負荷選択の振動を抑制することができるようにしたものである。
【0074】
本実施形態の位置決め制御装置は、図3に示されるように、任意形状位置指令発生部14と、CIC(Cascaded Integrator and Comb:並列カスケード積分くし形)フィルタ16を有している。
【0075】
このCICフィルタ16の伝達関数F(s)は、下記の式(17)により表される。
【0076】
【数19】
Figure 2004272749
【0077】
ただし、mは2以上の自然数である。また、[B、B、・・・、B]および[T、T、・・・、T]はそれぞれ後述するように無定常偏差条件および振動抑制条件により定める係数ベクトルおよび時定数ベクトルである。
【0078】
まず、無定常偏差条件について考える。
【0079】
良く知られているように、フィードバック制御部3が積分要素を含んでいれば、フィードバック系の位置指令Xrfとモータ位置Xの定常偏差は必ず0となる。そのため、ここではCICフィルタ16の入力である元の位置指令XとCICフィルタ16通過後のフィードバック系の位置指令Xrfとの定常偏差が0となるような無定常偏差条件について考える。
【0080】
任意形状位置指令部14が生成した元の位置指令Xを下記の式(18)で表すものとする。
【0081】
【数20】
Figure 2004272749
【0082】
ただし、ここでXは目標送り距離であり、tは指令時間である。
【0083】
上記の式(17)より、元の位置指令XがCICフィルタ16を通過した後のフィードバック系の位置指令Xrfは、下記の式(19)により示される。
【0084】
【数21】
Figure 2004272749
【0085】
式(18)を考慮し、T=max{T、T、・・・、T}、u=ξ−Tとすると、すべてのi∈[1,m]に対して、下記の式(20)が成立する。
【0086】
【数22】
Figure 2004272749
【0087】
式(20)を式(19)に代入すると、下記の式(21)が得られる。
【0088】
【数23】
Figure 2004272749
【0089】
上記の式(21)から、明らかにt>t+T時においてX(t)≡X(無定常偏差条件)を満たすための必要十分条件は、下記の式(22)および式(23)が同時に成り立つことである。
【0090】
【数24】
Figure 2004272749
【0091】
【数25】
Figure 2004272749
【0092】
次に、振動抑制条件について考える。
【0093】
図3より、負荷機械の振動極は、下記の式(24)により示される。
【0094】
【数26】
Figure 2004272749
【0095】
負荷機械の振動を抑制するため、CICフィルタ16にこの振動極をキャンセルできる零点を持たせる必要がある。ずなわち、振動抑制条件は下記の式(25)により与えられる。
【0096】
【数27】
Figure 2004272749
【0097】
上記の式(25)を整理すると、振動抑制条件は、下記の式(26)、(27)により与えられる。
【0098】
【数28】
Figure 2004272749
【0099】
【数29】
Figure 2004272749
【0100】
ただし、
【0101】
【数30】
Figure 2004272749
【0102】
である。
【0103】
最後に、係数ベクトル[B、B、・・・、B]および時定数ベクトル[T、T、・・・、T]を定める。
【0104】
CICフィルタ16の係数ベクトルと時定数ベクトルを定める際に、無定常偏差条件の式(22)と式(23)および振動抑制条件の式(26)と式(27)、全部で4つの方程式を同時に満たすようにしなければならない。
【0105】
mが2以上であれば、2つ以上の係数と2つ以上の時定数、合わせて4つ以上となるため、式(22)と式(23)と式(26)と式(27)の連立方程式を解くと、上記の未定係数を定めることができる。ところが、式(26)と式(27)は時定数ベクトルの非線形方程式であるため、上記の連立方程式を解くことは大変困難である。
【0106】
そのため、mを4以上に設定し、予め時定数ベクトル[T、T、・・・、T]を適当な値を与えておけば、式(22)と式(23)と式(26)と式(27)は係数ベクトル[B、B、・・・、B]の線形連立方程式となるので、係数ベクトル[B、B、・・・、B]は簡単に求められる。
【0107】
特に、m=3、T=0、T=π/ω、T=2π/ωとすれば、式(27)は係数ベクトル[B、B、B]とは関係なく、常に成り立つので、式(22)、式(23)および式(26)の連立方程式を解くと、下記の式(28)が得られる。
【0108】
【数31】
Figure 2004272749
【0109】
ただし、
【0110】
【数32】
Figure 2004272749
【0111】
である。
【0112】
このように、上記により求めたCICフィルタ16を用いると、任意形状の元の位置指令Xに対しても、制御系は定常偏差が残らず負荷先端10の残留振動を抑制できる。
【0113】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態の位置決め制御装置について説明する。図4は本発明の第3の実施形態の位置決め制御装置の構成を示すブロック図である。図4において、図3中の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略するものとする。
【0114】
本実施形態の位置決め制御装置が、図3に示した第2の実施形態の位置決め制御装置と異なる構成は、図4では図3の連続系のCICフィルタ16を離散化したことである。すなわち、離散化CICフィルタ17では、積分要素1/sがT/(1−z−1)に変換され、遅れ要素e−Tisがに変換されている。ただし、zはz変換演算子、Tはサンプル周期、nはT/Tの最も近い整数である。
【0115】
以上のように離散化を行うと、プレフィルタの特性が少し変わるので、第2の実施形態で定めた係数ベクトル[B、B、・・・、B]をそのまま用いると、式(22)と式(23)の無定常偏差条件および式(26)と式(27)の振動抑制条件は満たされなくなる可能性がある。一般に、振動抑制条件は少し外れても、近似的に満足されれば依然十分な振動抑制特性が得られるが、無定常偏差条件が僅かに外れて定常偏差が残ることは位置決め制御にとっては許されない。そのため、無定常偏差条件を厳密に満足するように係数ベクトル[B、B、・・・、B]を修正する必要がある。
【0116】
以下、離散系の無定常偏差条件を与え、係数ベクトルを修正する方法を説明する。
【0117】
まず、任意形状位置指令部14が生成した元の位置指令Xの離散形式を下記の式(29)で表すものとする。
【0118】
【数33】
Figure 2004272749
【0119】
ただし、Xは目標送り距離、nは指令のサンプル周期数である。
【0120】
離散化CICフィルタ17は、下記の式(30)のように表現される。
【0121】
【数34】
Figure 2004272749
【0122】
そのため、Xが離散化CICフィルタ17を通過した後のフィードバック系の位置指令Xrfは、下記の式(31)のように示される。
【0123】
【数35】
Figure 2004272749
【0124】
式(29)を考慮し、n=max{n,n,…,n}、l=k−n−jとすると、すべてのi∈[1,m]に対して、下記の式(32)が満たされる。
【0125】
【数36】
Figure 2004272749
【0126】
式(32)を式(31)に代入すると、下記の式(33)が得られる。
【0127】
【数37】
Figure 2004272749
【0128】
上記の式(33)から、明らかにk>n+n時においてX(k)≡X(離散系の無定常偏差条件)を満たすための必要十分条件は式(23)と、下記の式(34)が同時に成り立つことである。
【0129】
【数38】
Figure 2004272749
【0130】
すべてのi∈[1,m]に対してTはTの整数倍である場合は、下記の式(35)が成り立つので、式(34)は式(22)と同じになる。
【0131】
【数39】
Figure 2004272749
【0132】
これは第2の実施の形態で定めた係数ベクトル[B、B、・・・、B]をそのまま用いても離散化系の無定常偏差条件も満たされることを意味する。
【0133】
しかし、あるi∈[1,m]に対してTはTの整数倍でない場合は、式(34)は式(22)と異なるので、第2の実施の形態で定めた係数ベクトル[B、B、・・・、B]をそのまま用いたら離散系の無定常偏差条件の式(34)が満たされなくなる。そのため、係数ベクトル[B、B、・・・、B]の任意の2つ要素、例えば、BとBを修正係数とし、他の全ての要素を第2の実施の形態で定めた値に固定し、式(23)と式(34)で構成される連立方程式を解くことにより、新たに修正係数BとBの値を求める。このように最終に得た係数ベクトル[B、B、・・・、B]を用いると、制御系は定常偏差が残らない。
【0134】
本実施形態の位置決め制御装置を用いた場合のシミュレーション結果を図5に示す。図5を参照すると、上記により求めた離散化CICフィルタ17を用いると、任意形状の元の位置指令Xに対しても、制御系は定常偏差が残らず負荷先端10の残留振動を抑制できることがわかる。
【0135】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、負荷機械振動の減衰を考慮して位置決め完了後の残留振動を抑制し、定常偏差が残らないようにプレフィルタを構成し、位置指令発生部が生成した元の位置指令をプレフィルタに通させて得た信号をフィードバック制御系の位置指令とすることにより、負荷先端の残留振動を抑制し、高速かつ高精度位置決め制御ができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の制御装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を用いた場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の位置決め制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施形態の位置決め制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を用いた場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図6】柔軟アームを有する機械の位置決め制御系の構成図である。
【図7】図6に示した従来の位置決め制御装置のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】従来の他の位置決め制御装置の構成を示すブロック図である。
【図9】S字位置指令および、このS字位置指令の速度パターンおよび加速度パターンの時間関数を示す図である。
【図10】図8に示した従来の位置決め制御装置を用いた場合のシミュレーション結果を示す図である。
【符号の説明】
1 位置指令発生部
2 プレフィルタ
3 フィードバック制御部
4 サーボドライバ
5 モータ
6 エンコーダ
7 トルク伝達機構
8 負荷テーブル
9 柔軟アーム
10 負荷先端
11 フィードバック制御系の位置指令からモータ位置までの伝達関数
12 モータ位置から負荷先端位置までの伝達関数
13 S字位置指令発生部
14 任意形状位置指令発生部
15 2次フィルタ
16 CICフィルタ
17 離散化CICフィルタ
18 2次フィルタ
元の位置指令
の微分値
の微分値
rf フィードバック制御系の位置指令
rfrfの微分値
モータの位置信号
負荷先端の位置

Claims (3)

  1. 加速度および加速時間がそれぞれ減速度および減速時間に等しいS字位置指令を生成するS字位置指令発生部と、
    前記S字位置指令発生部により生成されたS字位置指令を入力してフィードバック系の位置指令として出力する2次フィルタと、
    前記2次フィルタからのフィードバック系の位置指令および負荷機械を駆動するモータの位置信号を入力してフィードバック制御を行うフィードバック制御部とを有し、
    柔軟アームを含む負荷機械をモータにより駆動して、前記柔軟アームに連結された負荷先端の位置を前記2次フィルタから出力されたフィードバック系の位置指令に追従させる位置決め制御装置において、
    前記2次フィルタの伝達関数F(s)が、
    Figure 2004272749
    により表され、該伝達関数F(s)中における、ωを前記負荷機械の固有角振動数ωとし、ζを前記負荷機械の固有振動減衰係数ζとし、ωを前記S字位置指令における加速時間t、加速開始から減速開始までの時間tを用いて、
    Figure 2004272749
    または、
    Figure 2004272749
    満たすように設定されていることを特徴とする位置決め制御装置。
  2. 任意形状の位置指令を生成可能な任意位置指令発生部と、
    前記任意位置指令発生部により生成された位置指令を入力してフィードバック系の位置指令として出力するCICフィルタと、
    前記CICフィルタからのフィードバック系の位置指令および負荷機械を駆動するモータの位置信号を入力してフィードバック制御を行うフィードバック制御部とを有し、
    柔軟アームを含む負荷機械をモータにより駆動して、前記柔軟アームに連結された負荷先端の位置を前記CICフィルタから出力されたフィードバック系の位置指令に追従させる位置決め制御装置において、
    前記CICフィルタの伝達関数F(s)が、
    Figure 2004272749
    により表され、前記伝達関数F(s)中における、mが2以上の自然数に設定され、前記伝達関数F(s)中における係数B、B、・・・、Bおよび時定数T、T、・・・、Tを、前記元の位置指令と前記CICフィルタの出力の定常偏差が0となるような無定常偏差条件および前記負荷機械の振動極をキャンセルできるような振動抑制条件を満たすように設定されていることを特徴とする位置決め制御装置。
  3. zをz変換演算子、Tをサンプル周期とした場合、前記伝達関数F(s)における積分要素1/sがT/(1−z−1)に変換され、すべてのiにおいてnをT/Tの最も近い整数とした場合、前記伝達関数F(s)における遅れ要素e−Tisがz−niに変換され、前記伝達関数F(s)における系数B、B、・・・、Bのうちの任意の2つ係数が前記元の位置指令と離散化CICフィルタの出力の定常偏差が0となるような離散化無定常偏差条件を満たすように設定されている請求項2記載の位置決め制御装置。
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