JP2004271264A - 赤外線センサー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】2本の梁部でセンサー受光部を支持する赤外線センサーにおいて、上下左右どちらの方向からの力に対しても耐えられる強い構造の梁部を具備する赤外線センサーを提供する。
【解決手段】センサー受光部1を2本の梁部3により基板2からフローティング状態にさせた赤外線センサーにおいて、梁部3は、中央部に下方向に向かう突起部分を具備した下部絶縁膜5と、中央部に上方向に向かう突起部分を具備した上部絶縁膜8とを有してその断面を十字型形状にする。
【選択図】 図1
【解決手段】センサー受光部1を2本の梁部3により基板2からフローティング状態にさせた赤外線センサーにおいて、梁部3は、中央部に下方向に向かう突起部分を具備した下部絶縁膜5と、中央部に上方向に向かう突起部分を具備した上部絶縁膜8とを有してその断面を十字型形状にする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は赤外線センサー及びその製造方法に係わり、特に赤外線を吸収した熱により信号を得る熱型赤外線センサー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱型赤外線センサーを半導体微細加工を利用して作製する技術が種々開発されている。この熱型赤外線センサは、センサー受光部を基板から浮かせた断熱構成としてあり、センサー受光部に赤外線が当たると、赤外線吸収膜により吸収されて熱となり、センサー受光部の温度を上昇させる。
【0003】
そして照射された赤外線量による温度変化で感熱素子が電気的信号の変化を生じて外部に赤外線量の信号として出力する。
【0004】
そこで温度上昇はセンサー受光部の膜厚に依存するため薄膜化され、また、効率を上げるために断熱性を向上させた種々の構成が提案されている。
【0005】
例えば、薄膜のセンサー受光部を四本の梁部で支えた構造にすることにより、受光した赤外線による温度上昇の熱が基板に逃げていく率を少なくして検出感度を上げた四本支持の断熱構造が提案されている。
【0006】
しかしながらこのように薄膜のセンサー受光部を四本の梁部で支えた四点支持構造は、全体の面積が増大し構造が複雑となるので実用化には問題を生じる。
【0007】
そこで、薄膜のセンサー受光部を二本の梁部で支えた図5および図6に示すような二本支持構造が特開2002−48636号公報に開示されている。
【0008】
図5(A)は従来技術の赤外線センサーの全体を示す斜視図であり、図5(B)は図5(A)を切断線B−Bで切断し矢印の方向を視た拡大断面図である。
【0009】
図5において、センサー受光部51が2本の梁部53により支持されて半導体基板52から高さEだけ浮いた(フローティングした)状態になっている。それぞれの梁部53は半導体基板53から高さFだけ離間している。梁部53の高さFは、センサ受光部51と接続する一端部から所定の距離までセンサー部51の高さEと同じであり、そこから半導体基板の表面に形成された電極パッドである接続部54に向けてテーパー状に減少し、梁部の他端部が接続部54に接続している。
【0010】
センサー受光部51は、下部絶縁膜55と、感熱素子となる感温抵抗変化膜56と、配線金属膜57と、上部絶縁膜58と、赤外線吸収膜59とを具備して構成されている。この感温抵抗変化膜56は半導体膜から構成されている。
【0011】
それぞれの梁部53は、下部絶縁膜55と、配線金属膜57と、上部絶縁膜58とを具備して構成されており、センサー受光部において感温抵抗変化膜56に電気的に接続した配線金属膜57が半導体基板表面の接続部54の電極パッドに電気的に接続されている。
【0012】
そして、赤外線吸収膜59が赤外線50を吸収してセンサー受光部51の温度が上昇すると感温抵抗変化膜56の抵抗が変化し、この変化を配線金属膜57および接続部54の電極パッドを通して検知することにより赤外線50の照射量を測定することができる。
【0013】
図2は他の従来技術の梁部を示す断面図である。図2の梁部63は、梁部の箇所にも感温抵抗変化膜56を延在たものであり、このようにすることにより赤外線センサーを製造する際にセンサー受光部と梁部との間の加工段差がなくなり、これにより梁部における電極金属膜の断線を防止することができると特開2002−48636号公報では説明している。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−48636号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図5(B)および図6のいずれの場合でも、梁部の断面構造(梁部の長手方向に対して直角の断面構造:横断面構造)は長方形状あるいはその角部にテーパを有する形状である。
【0016】
このように2本の梁部でセンサー受光部を支持する従来の赤外線センサーでは、その梁部の断面構造は、長方形状もしくは長方形状の角部にテーパを付けた形状、または逆T字型があった。
【0017】
したがって従来の梁部は左右、下からの力には強い構造であるが、上からの力の対してはもろい構造であった。
【0018】
これを解決するために、梁部の本数を増やす案件もあったが、先に説明したように実用化するには、面積の増大と構造が複雑になってしまう。
【0019】
したがって本発明の目的は、2本の梁部でセンサー受光部を支持する赤外線センサーにおいて、上下左右どちらの方向からの力に対しても耐えられる強い構造の梁部を具備する赤外線センサーを提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、上記した上下左右どちらの方向からの力に対しても耐えられる強い構造の梁部を得ることができる赤外線センサーの製造方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、センサー受光部を2本の梁部により基板からフローティング状態にさせた赤外線センサーにおいて、前記梁部の断面は十字型形状である赤外線センサーにある。このように十字型形状にすることにより、上下左右どちらの方向からの力に対しても耐えられる強い構造になる。
【0022】
ここで、前記梁部は、中央部に下方向に向かう突起部分を具備した下部絶縁膜と、中央部に上方向に向かう突起部分を具備した上部絶縁膜とを有し、前記両突起が前記十字形状の縦部分を構成していることが好ましい。
【0023】
この場合、前記下部絶縁膜はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜であることができる。また、前記上部絶縁膜はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜であることができる。
【0024】
さらに、前記下部絶縁膜と前記上部絶縁膜との間に金属配線膜が設けられており、前記下部絶縁膜と前記金属配線膜と前記上部絶縁膜とは同じ幅で前記梁を構成していることができる。
【0025】
あるいは、前記下部絶縁膜と前記上部絶縁膜との間に金属配線膜が設けられており、前記金属配線膜は前記下部絶縁膜および前記上部絶縁膜よりも狭い幅であり、かつ、前記金属配線膜の側面は前記上部絶縁膜により被覆されていることができる。
【0026】
本発明の他の特徴は、センサー受光部を2本の梁部により基板からフローティング状態にさせた赤外線センサーの製造方法において、基板上に、例えば多結晶シリコン膜による犠牲膜を形成する工程と、前記梁部の中央部となる箇所に溝を形成する工程と、前記梁の下部絶縁膜を前記溝を充填して前記犠牲膜上に形成する工程とを有して前記梁部の断面を十字型形状にする赤外線センサーの製造方法にある。
【0027】
さらに、前記下部絶縁膜上に金属配線膜を形成し、前記金属配線膜上に上部絶縁膜を形成し、前記溝の真上に位置する前記上部絶縁膜の箇所に、好ましくは異方性エッチングにより突起部分を形成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明を説明する。図1(A)は本発明の実施の形態の赤外線センサーの全体を示す斜視図であり、図1(B)は図1(A)を切断線B−Bで切断し矢印の方向を視た拡大断面図である。また、図2は本発明の実施の形態の梁部の断面構造(梁部の長手方向に対して直角の断面構造:横断面構造)を拡大して示す図であり、図2(A)は断面図、図2(B)は斜視図を含む断面図である。
【0029】
図1において、センサー受光部1が2本の梁部3により支持されて半導体基板2から高さGだけ浮いた(フローティングした)状態になっている。それぞれの梁部3は半導体基板2から高さHだけ離間して浮いた状態になっている。
【0030】
梁部3の高さHは、センサ受光部1と接続する一端部から所定の距離までセンサー部1の高さGと同じであり、そこから他の素子や配線が形成されている半導体基板の表面に形成された電極パッドを有する接続部4に向けてテーパー状に減少し、梁部の他端部が接続部4に接続している。
【0031】
センサー受光部1は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜等の下部絶縁膜5と、複数個の熱電対を直列接続したサーモパイル型センサーや半導体膜からなる感温抵抗変化膜等による感熱素子6と、アルミ等の金属による配線金属膜7と、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜等の上部絶縁膜8と、金ブラックやクロムニッケル(NiCr)等による赤外線吸収膜9とを具備して構成されている。
【0032】
それぞれの梁部3は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜等の下部絶縁膜5と、アルミ等の金属による配線金属膜7と、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜等の上部絶縁膜8とを具備して構成されており、センサー受光部において感熱素子6に電気的に接続した配線金属膜7が半導体基板表面の接続部4の電極パッドに電気的に接続されている。
【0033】
そして、赤外線吸収膜9が赤外線10を吸収してセンサー受光部1の温度が上昇すると感熱素子6の特性が変化し、この変化を梁部3の配線金属膜7および接続部4の電極パッドを通して検知することにより赤外線10の照射量を測定することができる。
【0034】
図1(B)および図2に示すように本発明の赤外線センサーの梁部の断面構造(長手方向に対して直角の断面構造)は十字型になっている。
【0035】
すなわち図2を参照して本発明の実施の形態では、下部絶縁膜5が水平下面を有する水平部分5Aとその中央部から垂直側面を有して下方に突出する突起部分5Bから構成され、上部絶縁膜8が水平上面を有する水平部分8Aとその中央部から垂直側面を有して上方に突出する垂直側面を有する突起部分8Bから構成され、これにより梁部3は上下左右向きの応力に強い断面構造である十字型構造になっている。
【0036】
図3は本発明の実施の形態の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0037】
先ず、図3(A)に示すように、半導体基板2上に多結晶シリコン犠牲膜21を形成する。センサー受光部1を形成する箇所における多結晶シリコン犠牲膜21の厚さはGであり、梁部3を形成する箇所における多結晶シリコン犠牲膜21の厚さはHからテーパ状に減少した寸法になっている。
【0038】
次ぎに、図3(B)に示すように、梁部の幅の中央部となる多結晶シリコン犠牲膜21の箇所に梁部の幅の半分の深さの溝22を形成する。
【0039】
次ぎに、図3(C)に示すように、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜等の下部絶縁膜5、アルミ等の金属による配線金属膜7およびシリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜等の上部絶縁膜8を順次形成する。ここで、溝22の内部に下部絶縁膜5の突起5Bが形成される。尚、センサー受光部1を形成する箇所では、配線金属膜形成の前工程または後工程で感熱素子6を形成する。
【0040】
次ぎに、図3(D)に示すように、梁部の幅の中央部となる上部絶縁膜8の箇所、すなわち多結晶シリコン犠牲膜21の溝22の真上に位置する上部絶縁膜8の箇所にマスクを設けて他の箇所を異方性エッチングを行うことにより、梁部の幅の半分の高さの突起8Bを形成する。
【0041】
次ぎに、センサー受光部1の上部絶縁膜上に赤外線吸収膜9(図1)を形成する。
【0042】
次ぎに、センサー受光部1および梁部3となる箇所にマスクを設けて他の箇所を多結晶シリコン犠牲膜21に達するまで異方性エッチングを行い上部絶縁膜、配線金属膜および下部絶縁膜のパターニングする。
【0043】
最後に、下部絶縁膜5の下の多結晶シリコン犠牲膜21の全部をウェット系の選択性の高い等方エッチングで取り除き、図1に示すような、フローティング状態の梁部3およびセンサー受光部1を作成する。
【0044】
図4は本発明の他の実施の形態における梁部13の断面図である。尚、図4において図1乃至図3と同一もしくは類似の箇所は同じ符号を付してあるから重複する説明は省略する。
【0045】
この実施の形態の梁部13では、金属配線膜7の側面を上部絶縁膜8で覆っている。先の実施の形態では金属配線膜7が梁部の幅と同じであるからそれだけ幅広になって電気抵抗が少なくなり、かつ、上下部の絶縁膜と同じマスクで容易にパターニングをすることができるという利点があり、この実施の形態では金属配線膜7の側面が上部絶縁膜により被覆されているから腐食等に対する耐性が強いという利点がある。
【0046】
また、突起部分5Bを有する下部絶縁膜5と突起部分8Bを有する上部絶縁膜8との間に、配線金属膜7だけではなく、例えば図6のように、感熱素子となる感温抵抗変化膜等の他の部材を併設しても、梁部の全体として十字型断面構造になれば本発明の効果が得られる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の赤外線センサーは、梁部の断面構造が十字型をしているから、上下左右どちらの方向からの力に対しても耐えられる強い構造となるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図であり、(A)は実施の形態の赤外線センサーの全体の斜視図、(B)は(A)を切断線B−Bで切断し矢印の方向を視た拡大断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の梁部の断面構造を拡大して示す図であり、(A)は断面図、(B)は斜視図を含む断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の梁部の断面構造を拡大して示す図である。
【図5】従来技術を示す図であり、(A)は赤外線センサーの全体の斜視図、(B)は(A)を切断線B−Bで切断し矢印の方向を視た拡大断面図である。
【図6】他の従来技術の梁部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 センサー受光部
2 半導体基板
3 梁部
4 接続部
5 下部絶縁膜
5A 水平部分
5B 突起部分
6 感熱素子
7 配線金属膜
8 上部絶縁膜
8A 水平部分
8B 突起部分
9 赤外線吸収膜
10 赤外線
13 梁部
21 多結晶シリコン犠牲膜
22 溝
51 センサー受光部
53 梁部
52 半導体基板
54 接続部
55 下部絶縁膜
56 感熱素子となる感温抵抗変化膜
57 配線金属膜
58 上部絶縁膜
59 赤外線吸収膜
50 赤外線
63 梁部
【発明の属する技術分野】
本発明は赤外線センサー及びその製造方法に係わり、特に赤外線を吸収した熱により信号を得る熱型赤外線センサー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱型赤外線センサーを半導体微細加工を利用して作製する技術が種々開発されている。この熱型赤外線センサは、センサー受光部を基板から浮かせた断熱構成としてあり、センサー受光部に赤外線が当たると、赤外線吸収膜により吸収されて熱となり、センサー受光部の温度を上昇させる。
【0003】
そして照射された赤外線量による温度変化で感熱素子が電気的信号の変化を生じて外部に赤外線量の信号として出力する。
【0004】
そこで温度上昇はセンサー受光部の膜厚に依存するため薄膜化され、また、効率を上げるために断熱性を向上させた種々の構成が提案されている。
【0005】
例えば、薄膜のセンサー受光部を四本の梁部で支えた構造にすることにより、受光した赤外線による温度上昇の熱が基板に逃げていく率を少なくして検出感度を上げた四本支持の断熱構造が提案されている。
【0006】
しかしながらこのように薄膜のセンサー受光部を四本の梁部で支えた四点支持構造は、全体の面積が増大し構造が複雑となるので実用化には問題を生じる。
【0007】
そこで、薄膜のセンサー受光部を二本の梁部で支えた図5および図6に示すような二本支持構造が特開2002−48636号公報に開示されている。
【0008】
図5(A)は従来技術の赤外線センサーの全体を示す斜視図であり、図5(B)は図5(A)を切断線B−Bで切断し矢印の方向を視た拡大断面図である。
【0009】
図5において、センサー受光部51が2本の梁部53により支持されて半導体基板52から高さEだけ浮いた(フローティングした)状態になっている。それぞれの梁部53は半導体基板53から高さFだけ離間している。梁部53の高さFは、センサ受光部51と接続する一端部から所定の距離までセンサー部51の高さEと同じであり、そこから半導体基板の表面に形成された電極パッドである接続部54に向けてテーパー状に減少し、梁部の他端部が接続部54に接続している。
【0010】
センサー受光部51は、下部絶縁膜55と、感熱素子となる感温抵抗変化膜56と、配線金属膜57と、上部絶縁膜58と、赤外線吸収膜59とを具備して構成されている。この感温抵抗変化膜56は半導体膜から構成されている。
【0011】
それぞれの梁部53は、下部絶縁膜55と、配線金属膜57と、上部絶縁膜58とを具備して構成されており、センサー受光部において感温抵抗変化膜56に電気的に接続した配線金属膜57が半導体基板表面の接続部54の電極パッドに電気的に接続されている。
【0012】
そして、赤外線吸収膜59が赤外線50を吸収してセンサー受光部51の温度が上昇すると感温抵抗変化膜56の抵抗が変化し、この変化を配線金属膜57および接続部54の電極パッドを通して検知することにより赤外線50の照射量を測定することができる。
【0013】
図2は他の従来技術の梁部を示す断面図である。図2の梁部63は、梁部の箇所にも感温抵抗変化膜56を延在たものであり、このようにすることにより赤外線センサーを製造する際にセンサー受光部と梁部との間の加工段差がなくなり、これにより梁部における電極金属膜の断線を防止することができると特開2002−48636号公報では説明している。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−48636号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図5(B)および図6のいずれの場合でも、梁部の断面構造(梁部の長手方向に対して直角の断面構造:横断面構造)は長方形状あるいはその角部にテーパを有する形状である。
【0016】
このように2本の梁部でセンサー受光部を支持する従来の赤外線センサーでは、その梁部の断面構造は、長方形状もしくは長方形状の角部にテーパを付けた形状、または逆T字型があった。
【0017】
したがって従来の梁部は左右、下からの力には強い構造であるが、上からの力の対してはもろい構造であった。
【0018】
これを解決するために、梁部の本数を増やす案件もあったが、先に説明したように実用化するには、面積の増大と構造が複雑になってしまう。
【0019】
したがって本発明の目的は、2本の梁部でセンサー受光部を支持する赤外線センサーにおいて、上下左右どちらの方向からの力に対しても耐えられる強い構造の梁部を具備する赤外線センサーを提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、上記した上下左右どちらの方向からの力に対しても耐えられる強い構造の梁部を得ることができる赤外線センサーの製造方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、センサー受光部を2本の梁部により基板からフローティング状態にさせた赤外線センサーにおいて、前記梁部の断面は十字型形状である赤外線センサーにある。このように十字型形状にすることにより、上下左右どちらの方向からの力に対しても耐えられる強い構造になる。
【0022】
ここで、前記梁部は、中央部に下方向に向かう突起部分を具備した下部絶縁膜と、中央部に上方向に向かう突起部分を具備した上部絶縁膜とを有し、前記両突起が前記十字形状の縦部分を構成していることが好ましい。
【0023】
この場合、前記下部絶縁膜はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜であることができる。また、前記上部絶縁膜はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜であることができる。
【0024】
さらに、前記下部絶縁膜と前記上部絶縁膜との間に金属配線膜が設けられており、前記下部絶縁膜と前記金属配線膜と前記上部絶縁膜とは同じ幅で前記梁を構成していることができる。
【0025】
あるいは、前記下部絶縁膜と前記上部絶縁膜との間に金属配線膜が設けられており、前記金属配線膜は前記下部絶縁膜および前記上部絶縁膜よりも狭い幅であり、かつ、前記金属配線膜の側面は前記上部絶縁膜により被覆されていることができる。
【0026】
本発明の他の特徴は、センサー受光部を2本の梁部により基板からフローティング状態にさせた赤外線センサーの製造方法において、基板上に、例えば多結晶シリコン膜による犠牲膜を形成する工程と、前記梁部の中央部となる箇所に溝を形成する工程と、前記梁の下部絶縁膜を前記溝を充填して前記犠牲膜上に形成する工程とを有して前記梁部の断面を十字型形状にする赤外線センサーの製造方法にある。
【0027】
さらに、前記下部絶縁膜上に金属配線膜を形成し、前記金属配線膜上に上部絶縁膜を形成し、前記溝の真上に位置する前記上部絶縁膜の箇所に、好ましくは異方性エッチングにより突起部分を形成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明を説明する。図1(A)は本発明の実施の形態の赤外線センサーの全体を示す斜視図であり、図1(B)は図1(A)を切断線B−Bで切断し矢印の方向を視た拡大断面図である。また、図2は本発明の実施の形態の梁部の断面構造(梁部の長手方向に対して直角の断面構造:横断面構造)を拡大して示す図であり、図2(A)は断面図、図2(B)は斜視図を含む断面図である。
【0029】
図1において、センサー受光部1が2本の梁部3により支持されて半導体基板2から高さGだけ浮いた(フローティングした)状態になっている。それぞれの梁部3は半導体基板2から高さHだけ離間して浮いた状態になっている。
【0030】
梁部3の高さHは、センサ受光部1と接続する一端部から所定の距離までセンサー部1の高さGと同じであり、そこから他の素子や配線が形成されている半導体基板の表面に形成された電極パッドを有する接続部4に向けてテーパー状に減少し、梁部の他端部が接続部4に接続している。
【0031】
センサー受光部1は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜等の下部絶縁膜5と、複数個の熱電対を直列接続したサーモパイル型センサーや半導体膜からなる感温抵抗変化膜等による感熱素子6と、アルミ等の金属による配線金属膜7と、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜等の上部絶縁膜8と、金ブラックやクロムニッケル(NiCr)等による赤外線吸収膜9とを具備して構成されている。
【0032】
それぞれの梁部3は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜等の下部絶縁膜5と、アルミ等の金属による配線金属膜7と、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜等の上部絶縁膜8とを具備して構成されており、センサー受光部において感熱素子6に電気的に接続した配線金属膜7が半導体基板表面の接続部4の電極パッドに電気的に接続されている。
【0033】
そして、赤外線吸収膜9が赤外線10を吸収してセンサー受光部1の温度が上昇すると感熱素子6の特性が変化し、この変化を梁部3の配線金属膜7および接続部4の電極パッドを通して検知することにより赤外線10の照射量を測定することができる。
【0034】
図1(B)および図2に示すように本発明の赤外線センサーの梁部の断面構造(長手方向に対して直角の断面構造)は十字型になっている。
【0035】
すなわち図2を参照して本発明の実施の形態では、下部絶縁膜5が水平下面を有する水平部分5Aとその中央部から垂直側面を有して下方に突出する突起部分5Bから構成され、上部絶縁膜8が水平上面を有する水平部分8Aとその中央部から垂直側面を有して上方に突出する垂直側面を有する突起部分8Bから構成され、これにより梁部3は上下左右向きの応力に強い断面構造である十字型構造になっている。
【0036】
図3は本発明の実施の形態の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0037】
先ず、図3(A)に示すように、半導体基板2上に多結晶シリコン犠牲膜21を形成する。センサー受光部1を形成する箇所における多結晶シリコン犠牲膜21の厚さはGであり、梁部3を形成する箇所における多結晶シリコン犠牲膜21の厚さはHからテーパ状に減少した寸法になっている。
【0038】
次ぎに、図3(B)に示すように、梁部の幅の中央部となる多結晶シリコン犠牲膜21の箇所に梁部の幅の半分の深さの溝22を形成する。
【0039】
次ぎに、図3(C)に示すように、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜等の下部絶縁膜5、アルミ等の金属による配線金属膜7およびシリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜等の上部絶縁膜8を順次形成する。ここで、溝22の内部に下部絶縁膜5の突起5Bが形成される。尚、センサー受光部1を形成する箇所では、配線金属膜形成の前工程または後工程で感熱素子6を形成する。
【0040】
次ぎに、図3(D)に示すように、梁部の幅の中央部となる上部絶縁膜8の箇所、すなわち多結晶シリコン犠牲膜21の溝22の真上に位置する上部絶縁膜8の箇所にマスクを設けて他の箇所を異方性エッチングを行うことにより、梁部の幅の半分の高さの突起8Bを形成する。
【0041】
次ぎに、センサー受光部1の上部絶縁膜上に赤外線吸収膜9(図1)を形成する。
【0042】
次ぎに、センサー受光部1および梁部3となる箇所にマスクを設けて他の箇所を多結晶シリコン犠牲膜21に達するまで異方性エッチングを行い上部絶縁膜、配線金属膜および下部絶縁膜のパターニングする。
【0043】
最後に、下部絶縁膜5の下の多結晶シリコン犠牲膜21の全部をウェット系の選択性の高い等方エッチングで取り除き、図1に示すような、フローティング状態の梁部3およびセンサー受光部1を作成する。
【0044】
図4は本発明の他の実施の形態における梁部13の断面図である。尚、図4において図1乃至図3と同一もしくは類似の箇所は同じ符号を付してあるから重複する説明は省略する。
【0045】
この実施の形態の梁部13では、金属配線膜7の側面を上部絶縁膜8で覆っている。先の実施の形態では金属配線膜7が梁部の幅と同じであるからそれだけ幅広になって電気抵抗が少なくなり、かつ、上下部の絶縁膜と同じマスクで容易にパターニングをすることができるという利点があり、この実施の形態では金属配線膜7の側面が上部絶縁膜により被覆されているから腐食等に対する耐性が強いという利点がある。
【0046】
また、突起部分5Bを有する下部絶縁膜5と突起部分8Bを有する上部絶縁膜8との間に、配線金属膜7だけではなく、例えば図6のように、感熱素子となる感温抵抗変化膜等の他の部材を併設しても、梁部の全体として十字型断面構造になれば本発明の効果が得られる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の赤外線センサーは、梁部の断面構造が十字型をしているから、上下左右どちらの方向からの力に対しても耐えられる強い構造となるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図であり、(A)は実施の形態の赤外線センサーの全体の斜視図、(B)は(A)を切断線B−Bで切断し矢印の方向を視た拡大断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の梁部の断面構造を拡大して示す図であり、(A)は断面図、(B)は斜視図を含む断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の梁部の断面構造を拡大して示す図である。
【図5】従来技術を示す図であり、(A)は赤外線センサーの全体の斜視図、(B)は(A)を切断線B−Bで切断し矢印の方向を視た拡大断面図である。
【図6】他の従来技術の梁部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 センサー受光部
2 半導体基板
3 梁部
4 接続部
5 下部絶縁膜
5A 水平部分
5B 突起部分
6 感熱素子
7 配線金属膜
8 上部絶縁膜
8A 水平部分
8B 突起部分
9 赤外線吸収膜
10 赤外線
13 梁部
21 多結晶シリコン犠牲膜
22 溝
51 センサー受光部
53 梁部
52 半導体基板
54 接続部
55 下部絶縁膜
56 感熱素子となる感温抵抗変化膜
57 配線金属膜
58 上部絶縁膜
59 赤外線吸収膜
50 赤外線
63 梁部
Claims (10)
- センサー受光部を2本の梁部により基板からフローティング状態にさせた赤外線センサーにおいて、前記梁部の断面は十字型形状であることを特徴とする赤外線センサー。
- 前記梁部は、中央部に下方向に向かう突起部分を具備した下部絶縁膜と、中央部に上方向に向かう突起部分を具備した上部絶縁膜とを有し、前記両突起が前記十字形状の縦部分を構成していることを特徴とする請求項1記載の赤外線センサー。
- 前記下部絶縁膜はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜であることを特徴とする請求項2記載の赤外線センサー。
- 前記上部絶縁膜はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜あるいはガラス膜であることを特徴とする請求項2記載の赤外線センサー。
- 前記下部絶縁膜と前記上部絶縁膜との間に金属配線膜が設けられており、前記下部絶縁膜と前記金属配線膜と前記上部絶縁膜とは同じ幅で前記梁を構成していることを特徴する請求項2記載の赤外線センサー。
- 前記下部絶縁膜と前記上部絶縁膜との間に金属配線膜が設けられており、前記金属配線膜は前記下部絶縁膜および前記上部絶縁膜よりも狭い幅であり、かつ、前記金属配線膜の側面は前記上部絶縁膜により被覆されていることを特徴する請求項2記載の赤外線センサー。
- センサー受光部を2本の梁部により基板からフローティング状態にさせた赤外線センサーの製造方法において、基板上に犠牲膜を形成する工程と、前記梁部の中央部となる箇所に溝を形成する工程と、前記梁の下部絶縁膜を前記溝を充填して前記犠牲膜上に形成する工程とを有して前記梁部の断面を十字型形状にすることを特徴とする赤外線センサーの製造方法。
- 前記下部絶縁膜上に金属配線膜を形成し、前記金属配線膜上に上部絶縁膜を形成し、前記溝の真上に位置する前記上部絶縁膜の箇所に突起部分を形成することを特徴とする請求項7記載の赤外線センサーの製造方法。
- 前記突起部分は異方性エッチングにより形成されることを特徴とする請求項8記載の赤外線センサーの製造方法。
- 前記犠牲膜は多結晶シリコン膜であることを特徴とする請求項7記載の赤外線センサーの製造方法。
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