JP2004270901A - ハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライバーが予期しない急減速等の車両挙動を抑えることができると共に、オイルポンプの低容量化を図ることができるハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置を提供すること。
【解決手段】2自由度で少なくとも4要素を有する差動装置に対し、エンジンEngと第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoと出力部材outとの4要素を、共線図上で第1モータジェネレータMGi、エンジンEng、出力部材out、第2モータジェネレータMGoの回転速度順になるように連結したハイブリッド変速機において、前記差動装置の複数の要素のうち、出力部材outが連結される要素以外の少なくとも1つの要素にブレーキを設け、前記ブレーキの締結時、そのブレーキに作用するトルクがブレーキの制動トルク容量を上回った時にもブレーキが回転しないように、両モータジェネレータMGi.MGoのうち少なくとも一方のモータジェネレータを制御するブレーキ滑り制御手段を設けた。
【選択図】 図3
【解決手段】2自由度で少なくとも4要素を有する差動装置に対し、エンジンEngと第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoと出力部材outとの4要素を、共線図上で第1モータジェネレータMGi、エンジンEng、出力部材out、第2モータジェネレータMGoの回転速度順になるように連結したハイブリッド変速機において、前記差動装置の複数の要素のうち、出力部材outが連結される要素以外の少なくとも1つの要素にブレーキを設け、前記ブレーキの締結時、そのブレーキに作用するトルクがブレーキの制動トルク容量を上回った時にもブレーキが回転しないように、両モータジェネレータMGi.MGoのうち少なくとも一方のモータジェネレータを制御するブレーキ滑り制御手段を設けた。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンと2つのモータジェネレータを駆動源とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキ、クラッチを持つシステムで過トルク等によりブレーキ、クラッチが滑り出した時にはその滑りを止める方法として、従来、自動変速機等では締結油圧をアップさせるという方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、滑りの原因であるモータジェネレータやエンジン等のトルクを単に落とすことにより、滑りを抑えるという方法がある。そして、従来のブレーキ容量設計方法では、ブレーキへの最大トルク入力時に発生可能最大油圧をかけて滑ることの無いように安全率を十分に取っていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平08−014376号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フォワードブレーキやオーバードライブブレーキなどのブレーキを持つシステムで、過トルク等によりブレーキが滑り出した時に滑りを抑えるために締結油圧をアップすると、オイルポンプの吐出圧を上げる必要があり、オイルポンプへの要求圧が大きくなることからオイルポンプの大型化という問題が生じる。
【0004】
また、単にモータジェネレータトルクやエンジントルクを落とすのみで対応しようとすると、急減速等の予期しない車両挙動を生じるという問題がある。
【0005】
さらに、ブレーキ設計時に最大入力においても滑ることの無いように安全率を十分に取って設計していたため、ブレーキ装置の大型化、それに伴うコストの増大という問題があった。
【0006】
特に、オーバードライブブレーキ締結によるオーバードライブ変速比固定モードまたはフォワードブレーキ締結による発進時変速比固定モードを用いるハイブリッド変速機においては、
▲1▼オーバードライブ変速比固定モードでは、2つのモータジェネレータはトルクを所定範囲内でゼロにしている。
▲2▼発進時変速比固定モードでは、2つのモータジェネレータをトルク制御することにより目標発進トルクを得ようとしている。
【0007】
そのため、オーバードライブブレーキが滑り出すとエンジンが過回転となってしまう。また、フォワードブレーキが滑り出すと最大トルクを発生可能なように2つのモータジェネレータを共にトルク制御を行う。この結果、エンジン及びモータジェネレータが過回転となってしまうため、変速比を維持することが不可能となって、ドライバーが予期せぬ挙動を車両が示す可能性がある。
【0008】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ドライバーが予期しない急減速等の車両挙動を抑えることができると共に、オイルポンプの低容量化を図ることができるハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、
2自由度で少なくとも4要素を有する差動装置に対し、共線図上で第1モータジェネレータ、エンジン、出力部材、第2モータジェネレータの回転速度順になるように連結したハイブリッド変速機において、
前記差動装置の複数の要素のうち、出力部材が連結される要素以外の少なくとも1つの要素にブレーキを設け、
前記ブレーキの締結時、そのブレーキに作用するトルクがブレーキの制動トルク容量を上回った時にもブレーキが回転しないように、両モータジェネレータのうち少なくとも一方のモータジェネレータを制御するブレーキ滑り制御手段を設けた。
【0010】
【発明の効果】
よって、本発明のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置にあっては、ブレーキが滑り出しても、ブレーキ滑り制御手段において、モータジェネレータにより回転方向と逆方向にトルクを発生させてブレーキが設けられている要素の回転を停止させることで、ドライバーが予期しない急減速等の車両挙動を抑えることができると共に、ブレーキが滑ることを前提としてブレーキのトルク容量を小さく設計することが可能であることで、オイルポンプの低容量化を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置を実現する実施の形態を、図示する第1実施例〜第4実施例に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例のブレーキ滑り制御装置が適用されたハイブリッド変速機の全体システム図である。
第1実施例〜第4実施例のハイブリッド変速機は、2自由度で少なくとも4要素を有する差動装置に対し、エンジン(入力:主たる駆動源)、出力、2個のモータジェネレータ(入力:補助的な駆動源)を別々の要素に締結し、出力以外の要素に、少なくとも1つのブレーキを配したものである。
【0013】
ハイブリッド変速機の駆動系を図1により説明すると、図1において、Engはエンジン、MGiは第1モータジェネレータ、MGoは第2モータジェネレータ、1はラビニョウ型複合遊星歯車列(差動装置)、2は出力ギヤ(出力部材)、3はカウンターギヤ、4はドライブギヤ、5はディファレンシャル、6,6はドライブシャフト、7はモータ&ギヤケース、8はエンジン出力軸、9は第1モータジェネレータ出力軸、10は第2モータジェネレータ出力軸、11はモータ室、12はブレーキ室、13はギヤ室、14はフライホイール、15はクラッチ、O/D−Bはオーバードライブブレーキ(ブレーキ)、FWD−Bはフォワードブレーキ(ブレーキ)である。
【0014】
前記第1モータジェネレータMGiは、モータ&ギヤケース7に固定され、コイルを巻いた固定電機子としてのステータSoと、該ステータSoの内側に配置し、図外の永久磁石を埋設したインナーロータRiと、により構成され、前記インナーロータRiの端部に中空軸による第1モータジェネレータ出力軸9が連結されている。
【0015】
前記第2モータジェネレータMGoは、モータ&ギヤケース7に固定され、コイルを巻いた固定電機子としてのステータSiと、該ステータSiの外側に配置し、図外の永久磁石を埋設したアウターロータRoと、により構成され、前記アウターロータRoに、一対の伝達ギヤ16,17を介し、中空軸による前記第1モータジェネレータ出力軸9と同軸配置により第2モータジェネレータ出力軸10が連結されている。
【0016】
前記ラビニョウ型複合遊星歯車列1は、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、の5つの要素を有する。ここで、複数の遊星歯車列の組み合わせ等、多数の装置構成が考えられる2自由度・5要素の差動装置のうち、ラビニョウ型複合遊星歯車列1を採用した理由は、動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデルを導入でき、かつ、軸方向寸法が短くなりコンパクトな差動装置とすることができるという理由による。
【0017】
そして、ハイブリッド変速機は、前記第2リングギヤR2とエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記共通キャリヤCに出力ギヤ2を連結することにより構成されている。
【0018】
そして、前記ラビニョウ型複合遊星歯車列1は、第1ピニオンP1と第2ピニオンP2との噛み合いを含むクロス配列によりダブルピニオン型遊星歯車が構成され、このダブルピニオン型遊星歯車は、共線図上で(S−R−CまたはC−R−S)配列となる。また、前記ラビニョウ型複合遊星歯車列1は、第1ピニオンP1のみ、もしくは、第2ピニオンP2のみを含むパラレル配列によりシングルピニオン型遊星歯車が構成され、このシングルピニオン型遊星歯車は、共線図上で(S−C−RまたはR−C−S)配列となる。
【0019】
このため、ラビニョウ型複合遊星歯車列1に連結されるエンジンEngと第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoと出力ギヤ2との4つの要素は、図2に示すように、共線図上において、第1モータジェネレータMGi、エンジンEng(In)、出力部材out、第2モータジェネレータMGoの回転速度順になるように連結される。
【0020】
ここで、共線図(速度線図)とは、遊星歯車のギヤ比を考える場合、式により求める方法に代え、より簡単で分かりやすい作図により求める方法で用いられる速度線図であり、縦軸に各回転要素の回転数(回転速度)をとり、横軸にリングギヤ、キャリヤ、サンギヤを、間隔がサンギヤとリングギヤの歯数比になるように配置したものである。なお、図2において、O/Dはオーバードライブ変速比固定モード線であり、STARTは発進時変速比固定モード線、REVは後退段変速比線、MAXは最大車速変速比線である。
【0021】
前記オーバードライブブレーキO/D−Bは、共線図上で第1モータジェネレータMgiが連結される第1サンギヤS1の回転速度軸と一致する位置に配置され、締結により変速比をオーバードライブ変速比固定モード線O/Dに固定する(図2参照)。第1実施例のオーバードライブブレーキO/D−Bは、第1サンギヤS1をモータ&ギヤケース7に固定可能とする位置に配置している。
【0022】
前記フォワードブレーキFWD−Bは、共線図上で出力ギヤ2が連結される共通キャリヤCと第2モータジェネレータMGoが連結される第2サンギヤS2との間の位置に配置され、締結により変速比を発進時変速比固定モード線STARTに固定する(図2参照)。第1実施例のフォワードブレーキFWD−Bは、第1リングギヤR1をモータ&ギヤケース7に固定可能とする位置に配置している。
【0023】
前記出力ギヤ2からの出力回転及び出力トルクは、カウンターギヤ3→ドライブギヤ4→ディファレンシャル5を経過し、ドライブシャフト6,6から図外の駆動輪へ伝達される。
【0024】
次に、ハイブリッド変速機の制御系を図1により説明すると、図1において、20はエンジンコントローラ、21はスロットルバルブアクチュエータ、22はモータコントローラ、23は第1インバータ、24は第2インバータ、25はバッテリ、26はハイブリッドコントローラ、27はアクセル開度センサ、28は車速センサ(出力回転数センサ)、29はエンジン回転数センサ、30は第1レゾルバ(第1モータジェネレータ回転数センサ)、31は第2レゾルバ(第2モータジェネレータ回転数センサ)である。
【0025】
前記エンジンコントローラ20は、ハイブリッドコントローラ26からの指令に応じてエンジン回転数NeとエンジントルクTeを制御する指令をスロットルバルブアクチュエータ21へ出力する。
【0026】
前記モータコントローラ22は、第1モータジェネレータMGiの回転数N1とトルクT1と第2モータジェネレータMGoの回転数N2とトルクT2をそれぞれ独立に制御する指令を第1インバータ23と第2インバータ24へ出力する。
【0027】
前記第1インバータ23は、前記第1モータジェネレータMGiのステータSoのコイルに接続され、モータコントローラ22からの指令により、インナーロータRiへの駆動電流を作り出す。前記第2インバータ24は、前記第2モータジェネレータMGoのステータSiのコイルに接続され、モータコントローラ22からの指令により、アウターロータRoへの駆動電流を作り出す。両インバータ23,24にはバッテリ25が接続されている。
【0028】
前記ハイブリッドコントローラ26は、アクセル開度センサ27,車速センサ28,エンジン回転数センサ29,第1レゾルバ30,第2レゾルバ31等からのセンサ信号を入力して所定の演算処理を行う。このハイブリッドコントローラ26には、前記エンジンコントローラ20に対し演算処理結果にしたがって制御指令を出力すると共に、前記モータコントローラ22に対し演算処理結果にしたがって制御指令を出力する。なお、ハイブリッドコントローラ26とエンジンコントローラ20、および、ハイブリッドコントローラ26とモータコントローラ22とは、それぞれ双方向通信線により接続されている。
【0029】
次に、作用を説明する。
【0030】
[ブレーキフェイルセーフ制御処理]
図3は第1実施例装置のハイブリッドコントローラ26にて実行されるブレーキフェールセーフ制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(ブレーキ滑り制御手段)。
【0031】
ステップS1では、フォワードブレーキFWD−BまたはオーバードライブブレーキO/D−Bを締結しているか否かを判断し、NOの場合はステップS1の判断を繰り返し、YESの場合はステップS2へ移行する。このブレーキ締結の有無の判断は、ハイブリッドコントローラ26のブレーキ制御部からの締結指示信号等により判断する。
【0032】
ステップS2では、後述するブレーキ滑り検知処理(A)により、締結されているブレーキ要素の回転数を算出し、ステップS3へ移行する。ここで、本発明に用いるユニットは2自由度であるため、共線図上のブレーキ要素以外の要素である第1モータジェネレータMgi、第2モータジェネレータMgo、エンジンEng、出力(車速)の4点のうち、2点の回転数が分かればブレーキ要素の回転数は、各ギヤ比より容易に算出することが出来る。
【0033】
ステップS3では、締結されているブレーキ要素の回転数が所定誤差範囲内で設定された停止判定領域外であるか否かが判断され、停止判定領域内で、ブレーキの滑りがない場合はステップS1へ戻り、停止判定領域外で、ブレーキの滑りがある場合はステップS4へ移行する。
【0034】
ステップS4では、後述するブレーキ滑り時フェイルセーフ制御処理(B)により、ブレーキ要素の回転数が停止判定領域内に収まるように両モータジェネレータMgi,Mgoの少なくとも一方を制御し、ステップS5へ移行する。
【0035】
ステップS5では、ブレーキ要素の回転数が停止判定領域内となったか否かが判断され、NOの場合はステップS4へ戻り、YESの場合はENDへ移行する。
【0036】
[ブレーキ滑り検知処理(A)]
上記のように、本発明に用いるユニットは2自由度であるため、共線図上のブレーキ要素以外の要素である第1モータジェネレータMgi、第2モータジェネレータMgo、エンジンEng、出力(車速)の4点のうち、2点の回転数が分かればブレーキ要素の回転数は、各ギヤ比より容易に算出することが出来る。
【0037】
第1モータジェネレータMgiと第2モータジェネレータMGoには、モータ制御用回転数センサである第1レゾルバ30と第2レゾルバ31がそれぞれ取り付けられており、エンジンEngにはエンジン回転数センサ19が取り付けられており、出力には車速センサ28が取り付けられており、それぞれの回転数を得ることができる。そして、各回転数が所定範囲内でゼロで無い時、言い換えると、所定誤差範囲内で設定された停止判定領域外である時、ブレーキが滑っていると判断することが可能となる。
【0038】
エンジンEng〜出力outまでのギヤ比を1
エンジンEng〜第1モータジェネレータMGiまでのギヤ比をα
出力out〜第2モータジェネレータMGoまでのギヤ比をβ
出力out〜フォワードブレーキFWD−Bまでのギヤ比をγ
エンジンEng〜O/D−Bまでのギヤ比をδ
Nmgi:第1モータジェネレータMGiの回転数
Nmgo:第2モータジェネレータMGoの回転数
Ne:エンジンの回転数
No:出力回転数(車速)
Nfb:フォワードブレーキFWD−Bの回転数
Nod:オーバードライブブレーキO/D−Bの回転数
とおくと、各ブレーキ要素の回転数は下記のように表せる。
【0039】
(フォワードブレーキFWD−B締結時の場合)
Nmgi、Nmgoから
Nfb=Nmgi−{(Nmgi−Nmgo)×(α+γ+1)/(α+β+1)} ...(1)
Ngi、Neから
Nfb=Nmgi−{(Nmgi−Ne)×(α+γ+1)/α} ...(2)
Nmgi、Noから
Nfb=Nmgi−{(Nmgi−No)×(α+γ+1)/(α+1)} ...(3)
Nmgo、Neから
Nfb=Ne−{(Ne−Nmgo)×(γ+1)/(β+1)} ...(4)
Nmgo、Noから
Nfb=No−{(No−Nmgo)×(γ/β)} ...(5)
Ne、Noから
Nfb=Ne−{(Ne−No)×(γ+1)} ...(6)
となる。
【0040】
(オーバードライブブレーキO/D−B締結時の場合)
Nmgi、Nmgoから
Nod=Nmgo−{(Nmgo−Nmgi)×(β+δ+1)/(α+β+1)} ...(7)
Nmgi、Neから
Nod=Ne−{(Ne−Nmgi)×(δ/α)} ...(8)
Nmgi、Noから
Nod=No−{(No−Nmgi)×(δ+1)/(α+1)} ...(9)
Nmgo、Neから
Nod=Nmgo−{(Nmgo−Ne)×(β+δ+1)/(β+1)} ...(10)
Nmgo、Noから
Nod=Nmgo−{(Nmgo−No)×(β+δ+1)/β)} ...(11)
Ne、Noから
Nod=No−{(No−Ne)×(δ+1)} ...(12)
となる。
【0041】
(1)式〜(6)式、(7)式〜(12)式のようにそれぞれのブレーキごとに6通りのブレーキ要素の回転数算出方法があり、新たにセンサを追加すること無く、センサ故障に対してロバストなシステムを構成することができる。
【0042】
これらにより求められたフォワードブレーキ要素回転数Nfb、オーバードライブブレーキ要素回転数Nodが、所定誤差範囲内で設定された停止判定領域外である時にブレーキが滑ったと判断する。
【0043】
[ブレーキ滑り時フェイルセーフ制御処理(B)]
図4は図3のステップS4にて実行されるブレーキ滑り時フェイルセーフ制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0044】
ステップS11では、車両は加速状態であるか否かが判断され、YESの場合はステップS12へ移行し、NOの場合はステップS14へ移行する。
【0045】
ステップS12では、ブレーキ点から遠い方のモータジェネレータが回転数限界に近いか否かが判断され、YESの場合はステップS13へ移行し、NOの場合はステップS16へ移行する。
【0046】
ステップS13では、ブレーキ点から遠い方のモータジェネレータを回転数制御し、ブレーキ点から近い方のモータジェネレータをトルク制御し、ENDへ移行する。
【0047】
ステップS14では、ブレーキ点から遠い方のモータジェネレータをトルク制御し、ブレーキ点から近い方のモータジェネレータを回転数制御し、ENDへ移行する。
【0048】
ステップ15では、ステップS11にて車両が加速状態以外であると判断されたとき、車両は一定車速状態か否かが判断され、YESの場合はステップS16へ移行し、NOの場合はステップS11へ戻る。
【0049】
ステップS16では、両方のモータジェネレータMgi,Mgoの回転数制御を行いENDへ移行する。
【0050】
[FWD−B締結時におけるトルクの作用]
フォワードブレーキFWD−Bの締結により第1リングギヤR1が固定されている正常時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3の流れが繰り返される。そして、第1リングギヤR1とモータ&ギヤケース7との間に配置されたフォワードブレーキFWD−Bを締結することにより、発進時変速比固定モードとなり、図5のFWD−B正常時に示すように、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoとエンジンEng、または、図6のFWD−B正常時に示すように、第1モータジェネレータMgiと第2モータジェネレータMgoでトルク制御を行うことにより、発進時に必要な強大なトルクを得ることが出来る。
【0051】
次に、フォワードブレーキFWD−Bが過トルク等により滑り出した場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS4→ステップS5の流れが繰り返され、ステップS4では、図4のフローチャートにしたがって、下記の3通りの方法により、両モータジェネレータMgi,MGoが制御され、滑りの無い発進時変速比固定モードと同等の変速比を維持する。なお、FWD−B締結時におけるブレーキ滑り防止作用については、エンジンEngからの入力が有る場合(図5の▲1▼,▲2▼,▲3▼)も、エンジンEngからの入力が無い場合(図6の▲1▼,▲2▼,▲3▼)も同様の作用を示す。また、図5及び図6の矢印は制御時のトルクの向きを示す。
【0052】
▲1▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から近い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS14へと進む流れとなり、ステップS14において、共線図上で滑り出したフォワードブレーキFWD−Bに近い方の第2モータジェネレータMGoを回転数制御し、遠い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御する。
すなわち、加速時にフォワードブレーキFWD−Bが滑った場合(出力ギヤ2の加速度が所定値以上)、ブレーキ点R1には、ブレーキ点R1から遠い方の第1モータジェネレータMGiと逆方向のトルクが掛かっているため、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出すと負の方向に回転数が上昇する。この場合、共線図上でブレーキ点R1に近い方の第2モータジェネレータMGoの負の方向の回転数をゼロ回転数に戻す方向に回転数制御することにより、ブレーキ点R1を回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点R1から遠い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御とすることにより、第2モータジェネレータMGoの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0053】
▲2▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第1モータジェネレータMGiの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、ステップS13において、共線図上で滑り出したフォワードブレーキFWD−Bに遠い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御し、近い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御する。
すなわち、第1モータジェネレータMGiが回転数限界が近い場合、それ以上回転数を上昇させることが出来ないため、この第1モータジェネレータMGiの回転数を下げる回転数制御することにより、ブレーキ点R1の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点R1から近い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御とすることにより、第1モータジェネレータMGiの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0054】
▲3▼ 車両が一定車速状態である場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16において、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoの両方を回転数制御する。
すなわち、ブレーキ固定の一定車速状態でフォワードブレーキFWD−Bが滑った場合(出力ギヤの加速度が所定値以下)、1つのモータジェネレータMGは回転数制御し、もう一方のモータジェネレータMGはフリー、または、ジェネレータとして使用しているので、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出した時点で両方のモータジェネレータMGi,MGoを回転数制御に切り替えることにより、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能となる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となるため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0055】
[O/D−B締結時におけるトルクの作用]
オーバードライブブレーキO/D−Bの締結により第1サンギヤS1が固定されている正常時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3の流れが繰り返される。そして、第1モータジェネレータMGiとモータ&ギヤケース7との間に配置されたオーバードライブブレーキO/D−Bを締結することにより、オーバードライブ変速比固定モードとなり、図7のO/D−B正常時に示すように、エンジントルクのみを用いてオーバードライブレンジで走行するので、燃費を向上することが出来る。
【0056】
次に、オーバードライブブレーキO/D−Bが過トルク等により滑り出した場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS4→ステップS5の流れが繰り返され、ステップS4では、図4のフローチャートにしたがって、下記の3通りの方法により、両モータジェネレータMgi,MGoが制御され、滑りの無いオーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を維持する。なお、図7の矢印は制御時のトルクの向きを示す。
【0057】
▲1▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近くない場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS14へと進む流れとなり、ステップS14において、共線図上で滑り出したオーバードライブブレーキO/D−Bに近い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御し、遠い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御する。
すなわち、加速時にオーバードライブブレーキO/D−Bが滑った場合(出力ギヤ2の加速度が所定値以上)、ブレーキ点S1には、エンジンEngと逆方向のトルクが掛かっているため、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出すと負の方向に回転数が上昇する。この場合、共線図上でブレーキ点S1に近い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御することにより、ブレーキ点S1の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S1から遠い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御とすることにより、第1モータジェネレータMGiの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0058】
▲2▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、ステップS13において、共線図上で滑り出したオーバードライブブレーキO/D−Bに遠い方の第2モータジェネレータMGoを回転数制御し、近い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御する。
すなわち、第2モータジェネレータMGoが回転数限界が近い場合、それ以上回転数を上昇させることが出来ないため、ブレーキ点S1から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数を下げる回転数制御することにより、ブレーキ点S1の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S1から近い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御とすることにより、第2モータジェネレータMGoの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0059】
▲3▼ 車両が一定車速状態である場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16において、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoの両方を回転数制御する。
すなわち、ブレーキ固定の一定車速状態でオーバードライブブレーキO/D−Bが滑った場合(出力ギヤの加速度が所定値以下)、エンジンEngを一定回転で操作し、両方のモータジェネレータMGi,MGoをフリー、または、ジェネレータとして、または、一方のモータジェネレータを回転数制御して使用しているので、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出した時点で両方のモータジェネレータMGi,MGoを回転数制御に切り替えることにより、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能となる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となるため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0060】
[ブレーキ滑り抑制による機能]
上記のように、第1実施例装置では、フォワードブレーキFWD−B及びオーバードライブブレーキO/D−Bと両モータジェネレータ出力軸9,10が同軸にあり、その同軸上にある両モータジェネレータMGi,MGoのみでブレーキ滑りを抑えるフェイルセーフ制御が行われる。
この場合、ブレーキが滑り出したことをフォワードブレーキFWD−B及びオーバードライブブレーキO/D−Bと同軸にあるモータジェネレータMGi,MGoのレゾルバ30,31で所定値以上の回転数があることにより検知し、その回転数が停止判定領域内のゼロ回転数となるようにブレーキと同軸のモータジェネレータの回転数制御を行うことによって、ブレーキの滑りがない状態と同等の機能を得ることが可能である。
ここで、「同等の機能」とは、フォワードブレーキFWD−Bの締結については、最大発進駆動力を得ることであり、オーバードライブブレーキO/D−Bの締結については、最高車速を得ることである。
【0061】
[ブレーキ容量及びブレーキサイズの設定]
走行時、最大発進駆動力や最高車速が必要な頻度は極めて稀なため、フォワードブレーキFWD−B及びオーバードライブブレーキO/D−Bが滑ることを前提とし、フォワードブレーキFWD−B及びオーバードライブブレーキO/D−Bのブレーキ容量を設計段階で予め小さく設定しておく。
これにより、通常の使用範囲では、フォワードブレーキFWD−BまたはオーバードライブブレーキO/D−Bを完全に締結することにより機能を達成し、最大発進駆動力や最高車速が必要なブレーキトルク範囲でのブレーキ滑りに対しては、上記のように、両モータジェネレータMGi,MGoでブレーキ滑りを抑えるフェイルセーフ制御を用いる。
この結果、最大発進駆動力や最高車速が必要なブレーキトルク範囲で、ブレーキの滑りがない状態と同等の機能を得ながらも、フォワードブレーキFWD−B及びオーバードライブブレーキO/D−Bのブレーキ容量及びブレーキサイズを小さく設定することが可能となる。
【0062】
次に、効果を説明する。
第1実施例のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0063】
(1) 2自由度で少なくとも4要素を有する差動装置に対し、エンジンEngと第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoと出力部材outとの4要素を、共線図上で第1モータジェネレータMGi、エンジンEng、出力部材out、第2モータジェネレータMGoの回転速度順になるように連結したハイブリッド変速機において、前記差動装置の複数の要素のうち、出力部材outが連結される要素以外の少なくとも1つの要素にブレーキを設け、前記ブレーキの締結時、そのブレーキに作用するトルクがブレーキの制動トルク容量を上回った時にもブレーキが回転しないように、両モータジェネレータMGi.MGoのうち少なくとも一方のモータジェネレータを制御するブレーキ滑り制御手段を設けたため、ドライバーが予期しない急減速等の車両挙動を抑えることができると共に、オイルポンプの低容量化を図ることができる。
【0064】
(2) 前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキ締結時にブレーキが設けられた要素以外の少なくとも2つの要素の回転数からブレーキが設けられた要素の回転数を算出し、そのブレーキ要素回転数が所定誤差範囲内で設定された停止判定領域外であることにより、ブレーキに滑りが生じたことを検知するため、モータジェネレータ回転数、エンジン回転数、車速等のシステム構成上必要不可欠なセンサを使用することにより、容易に冗長系を構成でき、センサ故障に対してロバストなシステムとすることができる。
【0065】
(3) 前記ブレーキの容量を、ブレーキトルク値の所定の範囲内(使用頻度やトルクの大きさ等による範囲内)で決定するようにしたため、例えば、使用頻度の少ない大きい制動トルクをブレーキだけで制動する必要がなくなり、ブレーキ本体を小容量化、小型化することが可能となる。
【0066】
(4) 前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキが回転しないようにモータジェネレータMGi,MGoの制御を行う際、車両が加速状態で、かつ、共線図上で滑り出したブレーキ点から遠い方のモータジェネレータが回転数限界に近い場合、ブレーキ点から遠い方のモータジェネレータを回転数制御し、ブレーキ点から近い方のモータジェネレータをトルク制御するようにしたため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng、モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0067】
(5) 前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキが回転しないようにモータジェネレータMGi,MGoの制御を行う際、車両が加速状態で、かつ、共線図上で滑り出したブレーキ点から近い方のモータジェネレータが回転数限界に近い場合、ブレーキ点から遠い方のモータジェネレータをトルク制御し、ブレーキ点から近い方のモータジェネレータを回転数制御するようにしたため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng、モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0068】
(6) 前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキが回転しないようにモータジェネレータMGi,MGoの制御を行う際、車両が一定車速状態である場合、2つのモータジェネレータMGi,MGoを共に回転数制御するようにしたため、ブレーキが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能であると共に、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng、モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0069】
(7) モータジェネレータとブレーキとを同軸に持ち、前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキ設定要素が回転しないようにモータジェネレータを制御するようにしたため、ブレーキが滑っいしまう過大なトルクが伝達される状況でも、ブレーキの締結固定が確保されている正常時と同じブレーキ締結機能を実現することが可能となる。
【0070】
(8) 前記差動装置を、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、の2自由度で5要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1とし、前記第2リングギヤR2とエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記共通キャリヤCに出力ギヤ2を連結したため、動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデルを導入でき、かつ、軸方向寸法が短くなりコンパクトな差動装置とすることができる。
【0071】
(9) 前記ブレーキとして、前記第1リングギヤR1をモータ&ギヤケース7に固定可能なフォワードブレーキFWD−Bと、前記第1サンギヤS1をモータ&ギヤケース7に固定可能なオーバードライブブレーキO/D−Bと、を有する構成としたため、フォワードブレーキFWD−Bが滑るブレーキトルク範囲で最大発進駆動力を得ることができると共に、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑るブレーキトルク範囲で最高車速を得ることができる。
【0072】
(第2実施例)
この第2実施例は、第1実施例と同様に、第2リングギヤ入力で共通キャリヤ出力を採用しているが、第1実施例に対し、第1リングギヤR1を省略した2自由度で4要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1とすると共に、共線図上でフォワードブレーキFWD−Bの設定位置を異ならせた例である。
【0073】
まず、構成を説明する。
第2実施例のラビニョウ型複合遊星歯車列1は、図8に示すように、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、の4つの要素を有する。
【0074】
そして、ハイブリッド変速機は、前記第2リングギヤR2とエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記共通キャリヤCに出力ギヤ2を連結することにより構成されている。
【0075】
このため、ラビニョウ型複合遊星歯車列1に連結されるエンジンEngと第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoと出力ギヤ2との4つの要素は、図9に示すように、共線図上において、第1モータジェネレータMGi、エンジンEng(In)、出力部材out、第2モータジェネレータMGoの回転速度順になるように連結される。なお、図9において、O/Dはオーバードライブ変速比固定モード線であり、STARTは発進時変速比固定モード線、REVは後退段変速比線、MAXは最大車速変速比線である。
【0076】
前記オーバードライブブレーキO/D−Bは、共線図上で第1モータジェネレータMGiが連結される第1サンギヤS1と一致する位置に配置され、締結により変速比をオーバードライブ変速比固定モード線O/Dに固定する(図9参照)。第2実施例のオーバードライブブレーキO/D−Bは、第1サンギヤS1をモータ&ギヤケース7に固定可能とする位置に配置している。
【0077】
前記フォワードブレーキFWD−Bは、共線図上で第2モータジェネレータMGoが連結される第2サンギヤS2と一致する位置に配置され、締結により変速比を発進時変速比固定モード線STARTに固定する(図9参照)。第2実施例のフォワードブレーキFWD−Bは、バンドブレーキ構造であり、第2モータジェネレータMGoのアウターロータRoを固定しているドラムをモータ&ギヤケース7に固定可能とするドラム外周位置に配置している。
【0078】
なお、他の構成は、第1実施例の図1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
次に、作用を説明する。
【0080】
[FWD−B締結時におけるトルクの作用]
フォワードブレーキFWD−Bの締結により第2サンギヤS2が固定されている正常時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3の流れが繰り返される。そして、第2モータジェネレータMGoのアウターロータRoとモータ&ギヤケース7との間に配置されたフォワードブレーキFWD−Bを締結することにより、発進時変速比固定モードとなり、図10のFWD−B正常時に示すように、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoとエンジンEng、または、図11のFWD−B正常時に示すように、第1モータジェネレータMgiと第2モータジェネレータMgoでトルク制御を行うことにより、発進時に必要な強大なトルクを得ることが出来る。
【0081】
次に、フォワードブレーキFWD−Bが過トルク等により滑り出した場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS4→ステップS5の流れが繰り返され、ステップS4では、図4のフローチャートにしたがって、下記の3通りの方法により、両モータジェネレータMgi,MGoが制御され、滑りの無い発進時変速比固定モードと同等の変速比を維持する。なお、FWD−B締結時におけるブレーキ滑り防止作用については、エンジンEngからの入力が有る場合(図10の▲1▼,▲2▼,▲3▼)も、エンジンEngからの入力が無い場合(図11の▲1▼,▲2▼,▲3▼)も同様の作用を示す。また、図10及び図11の矢印は制御時のトルクの向きを示す。
【0082】
▲1▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から近い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS14へと進む流れとなり、ステップS14において、共線図上で滑り出したフォワードブレーキFWD−Bに近い方の第2モータジェネレータMGoを回転数制御し、遠い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御する。
すなわち、加速時にフォワードブレーキFWD−Bが滑った場合(出力ギヤ2の加速度が所定値以上)、ブレーキ点S2には、ブレーキ点S2から遠い方の第1モータジェネレータMGiと逆方向のトルクが掛かっているため、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出すと負の方向に回転数が上昇する。この場合、共線図上でブレーキ点S2に近い方の第2モータジェネレータMGoの負の方向の回転数をゼロ回転数に戻す方向に回転数制御することにより、ブレーキ点S2を回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S2から遠い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御とすることにより、第2モータジェネレータMGoの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0083】
▲2▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第1モータジェネレータMGiの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、ステップS13において、共線図上で滑り出したフォワードブレーキFWD−Bに遠い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御し、近い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御する。
すなわち、第1モータジェネレータMGiが回転数限界が近い場合、それ以上回転数を上昇させることが出来ないため、この第1モータジェネレータMGiの回転数を下げる回転数制御することにより、ブレーキ点S2の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S2から近い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御とすることにより、第1モータジェネレータMGiの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0084】
▲3▼ 車両が一定車速状態である場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16において、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoの両方を回転数制御する。
すなわち、ブレーキ固定の一定車速状態でフォワードブレーキFWD−Bが滑った場合(出力ギヤの加速度が所定値以下)、1つのモータジェネレータMGは回転数制御し、もう一方のモータジェネレータMGはフリー、または、ジェネレータとして使用しているので、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出した時点で両方のモータジェネレータMGi,MGoを回転数制御に切り替えることにより、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能となる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となるため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。なお、他の作用については第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0085】
次に、効果を説明する。
第2実施例のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置にあっては、第1実施例の(1)〜(7)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0086】
(10) 前記差動装置を、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、の2自由度で4要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1とし、前記第2リングギヤR2とエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記共通キャリヤCに出力ギヤ2を連結したため、動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデルを導入でき、かつ、軸方向寸法が短くなりコンパクトな差動装置とすることができる。さらに、第1実施例のラビニョウ型複合遊星歯車列1と比べて、第1リングギヤR1を省略した構成とすることができる。
【0087】
(11) 前記ブレーキとして、前記第2サンギヤS2をモータ&ギヤケース7に固定可能なフォワードブレーキFWD−Bと、前記第1サンギヤS1をモータ&ギヤケース7に固定可能なオーバードライブブレーキO/D−Bと、を有する構成としたため、フォワードブレーキFWD−Bが滑るブレーキトルク範囲で最大発進駆動力を得ることができると共に、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑るブレーキトルク範囲で最高車速を得ることができる。
【0088】
(第3実施例)
この第3実施例は、第1実施例と同様に2自由度で5要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1を採用しているが、共通キャリヤ入力で第1リングギヤ出力とした点で第1,2実施例と異なり、第1実施例に対し、共線図上でフォワードブレーキFWD−Bの設定位置を異ならせ、第2実施例に対し、共線図上でオーバードライブブレーキO/D−Bの設定位置を異ならせた例である。
【0089】
まず、構成を説明する。
第3実施例のラビニョウ型複合遊星歯車列1は、図12に示すように、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、の5つの要素を有する。
【0090】
そして、ハイブリッド変速機は、前記共通キャリヤCとエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記第1リングギヤR1に出力ギヤ2を連結することにより構成されている。
【0091】
このため、ラビニョウ型複合遊星歯車列1に連結されるエンジンEngと第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoと出力ギヤ2との4つの要素は、図13に示すように、共線図上において、第1モータジェネレータMGi、エンジンEng(In)、出力部材out、第2モータジェネレータMGoの回転速度順になるように連結される。なお、図13において、O/Dはオーバードライブ変速比固定モード線であり、STARTは発進時変速比固定モード線、REVは後退段変速比線、MAXは最大車速変速比線である。
【0092】
前記オーバードライブブレーキO/D−Bは、共線図上で第1モータジェネレータMGiが連結される第1サンギヤS1とエンジンEngが連結される共通キャリヤCとの間の位置に配置され、締結により変速比をオーバードライブ変速比固定モード線O/Dに固定する(図13参照)。第3実施例のオーバードライブブレーキO/D−Bは、第2リングギヤR2をモータ&ギヤケース7に固定可能とする位置に配置している。
【0093】
前記フォワードブレーキFWD−Bは、共線図上で第2モータジェネレータMGoが連結される第2サンギヤS2の回転速度軸と一致する位置に配置され、締結により変速比を発進時変速比固定モード線STARTに固定する(図13参照)。第3実施例のフォワードブレーキFWD−Bは、バンドブレーキ構造であり、第2モータジェネレータMGoのアウターロータRoを固定しているドラムをモータ&ギヤケース7に固定可能とするドラム外周位置に配置している。
【0094】
なお、他の構成は、第1実施例の図1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
次に、作用を説明する。
【0096】
[FWD−B締結時におけるトルクの作用]
フォワードブレーキFWD−Bの締結により第2サンギヤS2が固定されている正常時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3の流れが繰り返される。そして、第2モータジェネレータMGoのアウターロータRoとモータ&ギヤケース7との間に配置されたフォワードブレーキFWD−Bを締結することにより、発進時変速比固定モードとなり、図14のFWD−B正常時に示すように、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoとエンジンEng、または、図15のFWD−B正常時に示すように、第1モータジェネレータMgiと第2モータジェネレータMgoでトルク制御を行うことにより、発進時に必要な強大なトルクを得ることが出来る。
【0097】
次に、フォワードブレーキFWD−Bが過トルク等により滑り出した場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS4→ステップS5の流れが繰り返され、ステップS4では、図4のフローチャートにしたがって、下記の3通りの方法により、両モータジェネレータMgi,MGoが制御され、滑りの無い発進時変速比固定モードと同等の変速比を維持する。なお、FWD−B締結時におけるブレーキ滑り防止作用については、エンジンEngからの入力が有る場合(図14の▲1▼,▲2▼,▲3▼)も、エンジンEngからの入力が無い場合(図15の▲1▼,▲2▼,▲3▼)も同様の作用を示す。また、図14及び図15の矢印は制御時のトルクの向きを示す。
【0098】
▲1▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から近い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS14へと進む流れとなり、ステップS14において、共線図上で滑り出したフォワードブレーキFWD−Bに近い方の第2モータジェネレータMGoを回転数制御し、遠い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御する。
すなわち、加速時にフォワードブレーキFWD−Bが滑った場合(出力ギヤ2の加速度が所定値以上)、ブレーキ点S2には、ブレーキ点S2から遠い方の第1モータジェネレータMGiと逆方向のトルクが掛かっているため、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出すと負の方向に回転数が上昇する。この場合、共線図上でブレーキ点S2に近い方の第2モータジェネレータMGoの負の方向の回転数をゼロ回転数に戻す方向に回転数制御することにより、ブレーキ点S2を回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S2から遠い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御とすることにより、第2モータジェネレータMGoの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0099】
▲2▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第1モータジェネレータMGiの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、ステップS13において、共線図上で滑り出したフォワードブレーキFWD−Bに遠い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御し、近い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御する。
すなわち、第1モータジェネレータMGiが回転数限界が近い場合、それ以上回転数を上昇させることが出来ないため、この第1モータジェネレータMGiの回転数を下げる回転数制御することにより、ブレーキ点S2の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S2から近い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御とすることにより、第1モータジェネレータMGiの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0100】
▲3▼ 車両が一定車速状態である場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16において、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoの両方を回転数制御する。
すなわち、ブレーキ固定の一定車速状態でフォワードブレーキFWD−Bが滑った場合(出力ギヤの加速度が所定値以下)、1つのモータジェネレータMGは回転数制御し、もう一方のモータジェネレータMGはフリー、または、ジェネレータとして使用しているので、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出した時点で両方のモータジェネレータMGi,MGoを回転数制御に切り替えることにより、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能となる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となるため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0101】
[O/D−B締結時におけるトルクの作用]
オーバードライブブレーキO/D−Bの締結により第2リングギヤR2が固定されている正常時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3の流れが繰り返される。そして、第2リングギヤR2とモータ&ギヤケース7との間に配置されたオーバードライブブレーキO/D−Bを締結することにより、オーバードライブ変速比固定モードとなり、図16のO/D−B正常時に示すように、エンジントルクのみを用いてオーバードライブレンジで走行するので、燃費を向上することが出来る。
【0102】
次に、オーバードライブブレーキO/D−Bが過トルク等により滑り出した場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS4→ステップS5の流れが繰り返され、ステップS4では、図4のフローチャートにしたがって、下記の3通りの方法により、両モータジェネレータMgi,MGoが制御され、滑りの無いオーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を維持する。なお、図16の矢印は制御時のトルクの向きを示す。
【0103】
▲1▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近くない場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS14へと進む流れとなり、ステップS14において、共線図上で滑り出したオーバードライブブレーキO/D−Bに近い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御し、遠い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御する。
すなわち、加速時にオーバードライブブレーキO/D−Bが滑った場合(出力ギヤ2の加速度が所定値以上)、ブレーキ点R2には、エンジンEngと逆方向のトルクが掛かっているため、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出すと負の方向に回転数が上昇する。この場合、共線図上でブレーキ点R2に近い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御することにより、ブレーキ点R2の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点R2から遠い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御とすることにより、第1モータジェネレータMGiの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0104】
▲2▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、ステップS13において、共線図上で滑り出したオーバードライブブレーキO/D−Bに遠い方の第2モータジェネレータMGoを回転数制御し、近い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御する。
すなわち、第2モータジェネレータMGoが回転数限界が近い場合、それ以上回転数を上昇させることが出来ないため、ブレーキ点R2から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数を下げる回転数制御することにより、ブレーキ点R2の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点R2から近い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御とすることにより、第2モータジェネレータMGoの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0105】
▲3▼ 車両が一定車速状態である場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16において、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoの両方を回転数制御する。
すなわち、ブレーキ固定の一定車速状態でオーバードライブブレーキO/D−Bが滑った場合(出力ギヤの加速度が所定値以下)、エンジンEngを一定回転で操作し、両方のモータジェネレータMGi,MGoをフリー、または、ジェネレータとして、または、一方のモータジェネレータを回転数制御して使用しているので、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出した時点で両方のモータジェネレータMGi,MGoを回転数制御に切り替えることにより、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能となる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となるため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。なお、他の作用については第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0106】
次に、効果を説明する。
第3実施例のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置にあっては、第1実施例の(1)〜(7)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0107】
(12) 前記差動装置を、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、の2自由度で5要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1とし、前記共通キャリヤCとエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記第1リングギヤR1に出力ギヤ2を連結したため、動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデルを導入でき、かつ、軸方向寸法が短くなりコンパクトな差動装置とすることができる。
【0108】
(13) 前記ブレーキとして、前記第2サンギヤS2をモータ&ギヤケース7に固定可能なフォワードブレーキFWD−Bと、前記第1リングギヤR1をモータ&ギヤケース7に固定可能なオーバードライブブレーキO/D−Bと、を有する構成としたため、フォワードブレーキFWD−Bが滑るブレーキトルク範囲で最大発進駆動力を得ることができると共に、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑るブレーキトルク範囲で最高車速を得ることができる。
【0109】
(第4実施例)
この第4実施例は、第2実施例と同様に2自由度で4要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1を採用し、かつ、第3実施例と同様に共通キャリヤ入力で第1リングギヤ出力としているが、第3実施例に対し、共線図上でオーバードライブブレーキO/D−Bの設定位置を異ならせた例である。
【0110】
まず、構成を説明する。
第4実施例のラビニョウ型複合遊星歯車列1は、図17に示すように、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、の4つの要素を有する。
【0111】
そして、ハイブリッド変速機は、前記共通キャリヤCとエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記第1リングギヤR1に出力ギヤ2を連結することにより構成されている。
【0112】
このため、ラビニョウ型複合遊星歯車列1に連結されるエンジンEngと第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoと出力ギヤ2との4つの要素は、図18に示すように、共線図上において、第1モータジェネレータMGi、エンジンEng(In)、出力部材out、第2モータジェネレータMGoの回転速度順になるように連結される。なお、図18において、O/Dはオーバードライブ変速比固定モード線であり、STARTは発進時変速比固定モード線、REVは後退段変速比線、MAXは最大車速変速比線である。
【0113】
前記オーバードライブブレーキO/D−Bは、共線図上で第1モータジェネレータMGiが連結される第1サンギヤS1の回転速度軸と一致する位置に配置され、締結により変速比をオーバードライブ変速比固定モード線O/Dに固定する(図18参照)。第4実施例のオーバードライブブレーキO/D−Bは、第1モータジェネレータ出力軸9をモータ&ギヤケース7に固定可能とする位置に配置している。
【0114】
前記フォワードブレーキFWD−Bは、共線図上で第2モータジェネレータMGoが連結される第2サンギヤS2の回転速度軸と一致する位置に配置され、締結により変速比を発進時変速比固定モード線STARTに固定する(図18参照)。第4実施例のフォワードブレーキFWD−Bは、バンドブレーキ構造であり、第2モータジェネレータMGoのアウターロータRoを固定しているドラムをモータ&ギヤケース7に固定可能とするドラム外周位置に配置している。
【0115】
なお、他の構成は、第1実施例の図1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0116】
次に、作用を説明する。
【0117】
[O/D−B締結時におけるトルクの作用]
オーバードライブブレーキO/D−Bの締結により第1サンギヤS1が固定されている正常時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3の流れが繰り返される。そして、第1モータジェネレータ出力軸9とモータ&ギヤケース7との間に配置されたオーバードライブブレーキO/D−Bを締結することにより、オーバードライブ変速比固定モードとなり、図19のO/D−B正常時に示すように、エンジントルクのみを用いてオーバードライブレンジで走行するので、燃費を向上することが出来る。
【0118】
次に、オーバードライブブレーキO/D−Bが過トルク等により滑り出した場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS4→ステップS5の流れが繰り返され、ステップS4では、図4のフローチャートにしたがって、下記の3通りの方法により、両モータジェネレータMgi,MGoが制御され、滑りの無いオーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を維持する。なお、図19の矢印は制御時のトルクの向きを示す。
【0119】
▲1▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近くない場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS14へと進む流れとなり、ステップS14において、共線図上で滑り出したオーバードライブブレーキO/D−Bに近い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御し、遠い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御する。
すなわち、加速時にオーバードライブブレーキO/D−Bが滑った場合(出力ギヤ2の加速度が所定値以上)、ブレーキ点S1には、エンジンEngと逆方向のトルクが掛かっているため、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出すと負の方向に回転数が上昇する。この場合、共線図上でブレーキ点S1に近い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御することにより、ブレーキ点S1の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S1から遠い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御とすることにより、第1モータジェネレータMGiの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0120】
▲2▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、ステップS13において、共線図上で滑り出したオーバードライブブレーキO/D−Bに遠い方の第2モータジェネレータMGoを回転数制御し、近い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御する。
すなわち、第2モータジェネレータMGoが回転数限界が近い場合、それ以上回転数を上昇させることが出来ないため、ブレーキ点S1から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数を下げる回転数制御することにより、ブレーキ点S1の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S1から近い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御とすることにより、第2モータジェネレータMGoの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0121】
▲3▼ 車両が一定車速状態である場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16において、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoの両方を回転数制御する。
すなわち、ブレーキ固定の一定車速状態でオーバードライブブレーキO/D−Bが滑った場合(出力ギヤの加速度が所定値以下)、エンジンEngを一定回転で操作し、両方のモータジェネレータMGi,MGoをフリー、または、ジェネレータとして、または、一方のモータジェネレータを回転数制御して使用しているので、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出した時点で両方のモータジェネレータMGi,MGoを回転数制御に切り替えることにより、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能となる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となるため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。なお、他の作用については第1実施例及び第3実施例と同様であるので説明を省略する。
【0122】
次に、効果を説明する。
第4実施例のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置にあっては、第1実施例の(1)〜(7)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0123】
(14) 前記差動装置を、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、の2自由度で4要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1とし、前記共通キャリヤCとエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記第1リングギヤR1に出力ギヤ2を連結したため、動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデルを導入でき、かつ、軸方向寸法が短くなりコンパクトな差動装置とすることができる。さらに、第2リングギヤR2を省略した分、第3実施例よりも簡略化できる。
【0124】
(15) 前記ブレーキとして、前記第2サンギヤS2をモータ&ギヤケース7に固定可能なフォワードブレーキFWD−Bと、前記第1サンギヤS1をモータ&ギヤケース7に固定可能なオーバードライブブレーキO/D−Bと、を有する構成としたため、フォワードブレーキFWD−Bが滑るブレーキトルク範囲で最大発進駆動力を得ることができると共に、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑るブレーキトルク範囲で最高車速を得ることができる。
【0125】
以上、本発明のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置を第1実施例〜第4実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0126】
第1実施例〜第4実施例では、2つの独立した交流モータジェネレータを同じケース内に収容したものを示したが、例えば、第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとして、共通ステータと2つのロータにより外観上は1つのモータジェネレータであるが、機能上は2つのモータジェネレータを達成する同軸多層モータを適用しても良い。
【0127】
第1実施例〜第4実施例では、差動装置としてラビニョウ型複合遊星歯車列の適用例を示したが、エンジンと第1モータジェネレータと第2モータジェネレータと出力部材との4要素を連結するため、少なくとも4要素を有する差動装置であれば、シングルピニオン型遊星歯車列とダブルピニオン型遊星歯車列との組み合わせ等、であっても良い。
【図面の簡単な説明】
Fig−1:請求項1,2,3,4,5,6,7に対応した第1実施例である。
Fig−2:請求項1,2,3,4,5,6,7に対応した第2実施例である。
Fig−3:請求項1,2,3,4,5,6,7に対応した第3実施例である。
Fig−4:請求項1,2,3,4,5,6,7に対応した第4実施例である。
Fig−5:本発明によるフェイルセーフ制御のフローチャートである。
Fig−6:図1の フォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力有り)を示す共線図である。
Fig−7:図1の フォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力無し)を示す共線図である。
Fig−8:図2の フォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力有り)を示す共線図である。
Fig−9:図2の フォワードブレーキFWD−B 締結時におけるトルクの作用(エンジン入力無し)を示す共線図である。
Fig−10:図3,4のフォワードブレーキFWD−B 締結時におけるトルクの作用(エンジン入力有り)を示す共線図である。
Fig−11:図3,4の フォワードブレーキFWD−B 締結時におけるトルクの作用(エンジン入力無し)を示す共線図である。
Fig−12:図1,2のオーバードライブブレーキO/D−B 締結時におけるトルクの作用を示す共線図である。
Fig−13:図3のオーバードライブブレーキO/D−B 締結時におけるトルクの作用を示す共線図である。
Fig−14:図4のオーバードライブブレーキO/D−B 締結時におけるトルクの作用を示す共線図である。
【図1】第1実施例のブレーキ滑り制御装置が適用されたハイブリッド変速機の全体システム図である。
【図2】第1実施例のハイブリッド変速機における共線図である。
【図3】第1実施例装置のハイブリッドコントローラにて実行されるブレーキフェールセーフ制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS4にて実行されるブレーキ滑り時フェイルセーフ制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1実施例装置のフォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力有り)を示す共線図である。
【図6】第1実施例装置のフォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力無し)を示す共線図である。
【図7】第1実施例装置のオーバードライブブレーキO/D−Bの締結時におけるトルクの作用を示す共線図である。
【図8】第2実施例のブレーキ滑り制御装置が適用されたハイブリッド変速機の全体システム図である。
【図9】第2実施例のハイブリッド変速機における共線図である。
【図10】第2実施例装置のフォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力有り)を示す共線図である。
【図11】第2実施例装置のフォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力無し)を示す共線図である。
【図12】第3実施例のブレーキ滑り制御装置が適用されたハイブリッド変速機の全体システム図である。
【図13】第3実施例のハイブリッド変速機における共線図である。
【図14】第3実施例装置のフォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力有り)を示す共線図である。
【図15】第3実施例装置のフォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力無し)を示す共線図である。
【図16】第3実施例装置のオーバードライブブレーキO/D−Bの締結時におけるトルクの作用を示す共線図である。
【図17】第4実施例のブレーキ滑り制御装置が適用されたハイブリッド変速機の全体システム図である。
【図18】第4実施例のハイブリッド変速機における共線図である。
【図19】第4実施例装置のオーバードライブブレーキO/D−Bの締結時におけるトルクの作用を示す共線図である。
【符号の説明】
Eng エンジン
MGi 第1モータジェネレータ
MGo 第2モータジェネレータ
1 ラビニョウ型複合遊星歯車列(差動装置)
2 出力ギヤ(出力部材)
3 カウンターギヤ
4 ドライブギヤ
5 ディファレンシャル
6,6 ドライブシャフト
7 モータ&ギヤケース
8 エンジン出力軸
9 第1モータジェネレータ出力軸
10 第2モータジェネレータ出力軸
11 モータ室
12 ブレーキ室
13 ギヤ室
14 フライホイール
15 クラッチ
O/D−B オーバードライブブレーキ(ブレーキ)
FWD−B フォワードブレーキ(ブレーキ)
20 エンジンコントローラ
21 スロットルバルブアクチュエータ
22 モータコントローラ
23 第1インバータ
24 第2インバータ
25 バッテリ
26 ハイブリッドコントローラ
27 アクセル開度センサ
28 車速センサ(出力回転数センサ)
29 エンジン回転数センサ
30 第1レゾルバ(第1モータジェネレータ回転数センサ)
31 第2レゾルバ(第2モータジェネレータ回転数センサ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンと2つのモータジェネレータを駆動源とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキ、クラッチを持つシステムで過トルク等によりブレーキ、クラッチが滑り出した時にはその滑りを止める方法として、従来、自動変速機等では締結油圧をアップさせるという方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、滑りの原因であるモータジェネレータやエンジン等のトルクを単に落とすことにより、滑りを抑えるという方法がある。そして、従来のブレーキ容量設計方法では、ブレーキへの最大トルク入力時に発生可能最大油圧をかけて滑ることの無いように安全率を十分に取っていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平08−014376号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フォワードブレーキやオーバードライブブレーキなどのブレーキを持つシステムで、過トルク等によりブレーキが滑り出した時に滑りを抑えるために締結油圧をアップすると、オイルポンプの吐出圧を上げる必要があり、オイルポンプへの要求圧が大きくなることからオイルポンプの大型化という問題が生じる。
【0004】
また、単にモータジェネレータトルクやエンジントルクを落とすのみで対応しようとすると、急減速等の予期しない車両挙動を生じるという問題がある。
【0005】
さらに、ブレーキ設計時に最大入力においても滑ることの無いように安全率を十分に取って設計していたため、ブレーキ装置の大型化、それに伴うコストの増大という問題があった。
【0006】
特に、オーバードライブブレーキ締結によるオーバードライブ変速比固定モードまたはフォワードブレーキ締結による発進時変速比固定モードを用いるハイブリッド変速機においては、
▲1▼オーバードライブ変速比固定モードでは、2つのモータジェネレータはトルクを所定範囲内でゼロにしている。
▲2▼発進時変速比固定モードでは、2つのモータジェネレータをトルク制御することにより目標発進トルクを得ようとしている。
【0007】
そのため、オーバードライブブレーキが滑り出すとエンジンが過回転となってしまう。また、フォワードブレーキが滑り出すと最大トルクを発生可能なように2つのモータジェネレータを共にトルク制御を行う。この結果、エンジン及びモータジェネレータが過回転となってしまうため、変速比を維持することが不可能となって、ドライバーが予期せぬ挙動を車両が示す可能性がある。
【0008】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ドライバーが予期しない急減速等の車両挙動を抑えることができると共に、オイルポンプの低容量化を図ることができるハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、
2自由度で少なくとも4要素を有する差動装置に対し、共線図上で第1モータジェネレータ、エンジン、出力部材、第2モータジェネレータの回転速度順になるように連結したハイブリッド変速機において、
前記差動装置の複数の要素のうち、出力部材が連結される要素以外の少なくとも1つの要素にブレーキを設け、
前記ブレーキの締結時、そのブレーキに作用するトルクがブレーキの制動トルク容量を上回った時にもブレーキが回転しないように、両モータジェネレータのうち少なくとも一方のモータジェネレータを制御するブレーキ滑り制御手段を設けた。
【0010】
【発明の効果】
よって、本発明のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置にあっては、ブレーキが滑り出しても、ブレーキ滑り制御手段において、モータジェネレータにより回転方向と逆方向にトルクを発生させてブレーキが設けられている要素の回転を停止させることで、ドライバーが予期しない急減速等の車両挙動を抑えることができると共に、ブレーキが滑ることを前提としてブレーキのトルク容量を小さく設計することが可能であることで、オイルポンプの低容量化を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置を実現する実施の形態を、図示する第1実施例〜第4実施例に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例のブレーキ滑り制御装置が適用されたハイブリッド変速機の全体システム図である。
第1実施例〜第4実施例のハイブリッド変速機は、2自由度で少なくとも4要素を有する差動装置に対し、エンジン(入力:主たる駆動源)、出力、2個のモータジェネレータ(入力:補助的な駆動源)を別々の要素に締結し、出力以外の要素に、少なくとも1つのブレーキを配したものである。
【0013】
ハイブリッド変速機の駆動系を図1により説明すると、図1において、Engはエンジン、MGiは第1モータジェネレータ、MGoは第2モータジェネレータ、1はラビニョウ型複合遊星歯車列(差動装置)、2は出力ギヤ(出力部材)、3はカウンターギヤ、4はドライブギヤ、5はディファレンシャル、6,6はドライブシャフト、7はモータ&ギヤケース、8はエンジン出力軸、9は第1モータジェネレータ出力軸、10は第2モータジェネレータ出力軸、11はモータ室、12はブレーキ室、13はギヤ室、14はフライホイール、15はクラッチ、O/D−Bはオーバードライブブレーキ(ブレーキ)、FWD−Bはフォワードブレーキ(ブレーキ)である。
【0014】
前記第1モータジェネレータMGiは、モータ&ギヤケース7に固定され、コイルを巻いた固定電機子としてのステータSoと、該ステータSoの内側に配置し、図外の永久磁石を埋設したインナーロータRiと、により構成され、前記インナーロータRiの端部に中空軸による第1モータジェネレータ出力軸9が連結されている。
【0015】
前記第2モータジェネレータMGoは、モータ&ギヤケース7に固定され、コイルを巻いた固定電機子としてのステータSiと、該ステータSiの外側に配置し、図外の永久磁石を埋設したアウターロータRoと、により構成され、前記アウターロータRoに、一対の伝達ギヤ16,17を介し、中空軸による前記第1モータジェネレータ出力軸9と同軸配置により第2モータジェネレータ出力軸10が連結されている。
【0016】
前記ラビニョウ型複合遊星歯車列1は、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、の5つの要素を有する。ここで、複数の遊星歯車列の組み合わせ等、多数の装置構成が考えられる2自由度・5要素の差動装置のうち、ラビニョウ型複合遊星歯車列1を採用した理由は、動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデルを導入でき、かつ、軸方向寸法が短くなりコンパクトな差動装置とすることができるという理由による。
【0017】
そして、ハイブリッド変速機は、前記第2リングギヤR2とエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記共通キャリヤCに出力ギヤ2を連結することにより構成されている。
【0018】
そして、前記ラビニョウ型複合遊星歯車列1は、第1ピニオンP1と第2ピニオンP2との噛み合いを含むクロス配列によりダブルピニオン型遊星歯車が構成され、このダブルピニオン型遊星歯車は、共線図上で(S−R−CまたはC−R−S)配列となる。また、前記ラビニョウ型複合遊星歯車列1は、第1ピニオンP1のみ、もしくは、第2ピニオンP2のみを含むパラレル配列によりシングルピニオン型遊星歯車が構成され、このシングルピニオン型遊星歯車は、共線図上で(S−C−RまたはR−C−S)配列となる。
【0019】
このため、ラビニョウ型複合遊星歯車列1に連結されるエンジンEngと第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoと出力ギヤ2との4つの要素は、図2に示すように、共線図上において、第1モータジェネレータMGi、エンジンEng(In)、出力部材out、第2モータジェネレータMGoの回転速度順になるように連結される。
【0020】
ここで、共線図(速度線図)とは、遊星歯車のギヤ比を考える場合、式により求める方法に代え、より簡単で分かりやすい作図により求める方法で用いられる速度線図であり、縦軸に各回転要素の回転数(回転速度)をとり、横軸にリングギヤ、キャリヤ、サンギヤを、間隔がサンギヤとリングギヤの歯数比になるように配置したものである。なお、図2において、O/Dはオーバードライブ変速比固定モード線であり、STARTは発進時変速比固定モード線、REVは後退段変速比線、MAXは最大車速変速比線である。
【0021】
前記オーバードライブブレーキO/D−Bは、共線図上で第1モータジェネレータMgiが連結される第1サンギヤS1の回転速度軸と一致する位置に配置され、締結により変速比をオーバードライブ変速比固定モード線O/Dに固定する(図2参照)。第1実施例のオーバードライブブレーキO/D−Bは、第1サンギヤS1をモータ&ギヤケース7に固定可能とする位置に配置している。
【0022】
前記フォワードブレーキFWD−Bは、共線図上で出力ギヤ2が連結される共通キャリヤCと第2モータジェネレータMGoが連結される第2サンギヤS2との間の位置に配置され、締結により変速比を発進時変速比固定モード線STARTに固定する(図2参照)。第1実施例のフォワードブレーキFWD−Bは、第1リングギヤR1をモータ&ギヤケース7に固定可能とする位置に配置している。
【0023】
前記出力ギヤ2からの出力回転及び出力トルクは、カウンターギヤ3→ドライブギヤ4→ディファレンシャル5を経過し、ドライブシャフト6,6から図外の駆動輪へ伝達される。
【0024】
次に、ハイブリッド変速機の制御系を図1により説明すると、図1において、20はエンジンコントローラ、21はスロットルバルブアクチュエータ、22はモータコントローラ、23は第1インバータ、24は第2インバータ、25はバッテリ、26はハイブリッドコントローラ、27はアクセル開度センサ、28は車速センサ(出力回転数センサ)、29はエンジン回転数センサ、30は第1レゾルバ(第1モータジェネレータ回転数センサ)、31は第2レゾルバ(第2モータジェネレータ回転数センサ)である。
【0025】
前記エンジンコントローラ20は、ハイブリッドコントローラ26からの指令に応じてエンジン回転数NeとエンジントルクTeを制御する指令をスロットルバルブアクチュエータ21へ出力する。
【0026】
前記モータコントローラ22は、第1モータジェネレータMGiの回転数N1とトルクT1と第2モータジェネレータMGoの回転数N2とトルクT2をそれぞれ独立に制御する指令を第1インバータ23と第2インバータ24へ出力する。
【0027】
前記第1インバータ23は、前記第1モータジェネレータMGiのステータSoのコイルに接続され、モータコントローラ22からの指令により、インナーロータRiへの駆動電流を作り出す。前記第2インバータ24は、前記第2モータジェネレータMGoのステータSiのコイルに接続され、モータコントローラ22からの指令により、アウターロータRoへの駆動電流を作り出す。両インバータ23,24にはバッテリ25が接続されている。
【0028】
前記ハイブリッドコントローラ26は、アクセル開度センサ27,車速センサ28,エンジン回転数センサ29,第1レゾルバ30,第2レゾルバ31等からのセンサ信号を入力して所定の演算処理を行う。このハイブリッドコントローラ26には、前記エンジンコントローラ20に対し演算処理結果にしたがって制御指令を出力すると共に、前記モータコントローラ22に対し演算処理結果にしたがって制御指令を出力する。なお、ハイブリッドコントローラ26とエンジンコントローラ20、および、ハイブリッドコントローラ26とモータコントローラ22とは、それぞれ双方向通信線により接続されている。
【0029】
次に、作用を説明する。
【0030】
[ブレーキフェイルセーフ制御処理]
図3は第1実施例装置のハイブリッドコントローラ26にて実行されるブレーキフェールセーフ制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(ブレーキ滑り制御手段)。
【0031】
ステップS1では、フォワードブレーキFWD−BまたはオーバードライブブレーキO/D−Bを締結しているか否かを判断し、NOの場合はステップS1の判断を繰り返し、YESの場合はステップS2へ移行する。このブレーキ締結の有無の判断は、ハイブリッドコントローラ26のブレーキ制御部からの締結指示信号等により判断する。
【0032】
ステップS2では、後述するブレーキ滑り検知処理(A)により、締結されているブレーキ要素の回転数を算出し、ステップS3へ移行する。ここで、本発明に用いるユニットは2自由度であるため、共線図上のブレーキ要素以外の要素である第1モータジェネレータMgi、第2モータジェネレータMgo、エンジンEng、出力(車速)の4点のうち、2点の回転数が分かればブレーキ要素の回転数は、各ギヤ比より容易に算出することが出来る。
【0033】
ステップS3では、締結されているブレーキ要素の回転数が所定誤差範囲内で設定された停止判定領域外であるか否かが判断され、停止判定領域内で、ブレーキの滑りがない場合はステップS1へ戻り、停止判定領域外で、ブレーキの滑りがある場合はステップS4へ移行する。
【0034】
ステップS4では、後述するブレーキ滑り時フェイルセーフ制御処理(B)により、ブレーキ要素の回転数が停止判定領域内に収まるように両モータジェネレータMgi,Mgoの少なくとも一方を制御し、ステップS5へ移行する。
【0035】
ステップS5では、ブレーキ要素の回転数が停止判定領域内となったか否かが判断され、NOの場合はステップS4へ戻り、YESの場合はENDへ移行する。
【0036】
[ブレーキ滑り検知処理(A)]
上記のように、本発明に用いるユニットは2自由度であるため、共線図上のブレーキ要素以外の要素である第1モータジェネレータMgi、第2モータジェネレータMgo、エンジンEng、出力(車速)の4点のうち、2点の回転数が分かればブレーキ要素の回転数は、各ギヤ比より容易に算出することが出来る。
【0037】
第1モータジェネレータMgiと第2モータジェネレータMGoには、モータ制御用回転数センサである第1レゾルバ30と第2レゾルバ31がそれぞれ取り付けられており、エンジンEngにはエンジン回転数センサ19が取り付けられており、出力には車速センサ28が取り付けられており、それぞれの回転数を得ることができる。そして、各回転数が所定範囲内でゼロで無い時、言い換えると、所定誤差範囲内で設定された停止判定領域外である時、ブレーキが滑っていると判断することが可能となる。
【0038】
エンジンEng〜出力outまでのギヤ比を1
エンジンEng〜第1モータジェネレータMGiまでのギヤ比をα
出力out〜第2モータジェネレータMGoまでのギヤ比をβ
出力out〜フォワードブレーキFWD−Bまでのギヤ比をγ
エンジンEng〜O/D−Bまでのギヤ比をδ
Nmgi:第1モータジェネレータMGiの回転数
Nmgo:第2モータジェネレータMGoの回転数
Ne:エンジンの回転数
No:出力回転数(車速)
Nfb:フォワードブレーキFWD−Bの回転数
Nod:オーバードライブブレーキO/D−Bの回転数
とおくと、各ブレーキ要素の回転数は下記のように表せる。
【0039】
(フォワードブレーキFWD−B締結時の場合)
Nmgi、Nmgoから
Nfb=Nmgi−{(Nmgi−Nmgo)×(α+γ+1)/(α+β+1)} ...(1)
Ngi、Neから
Nfb=Nmgi−{(Nmgi−Ne)×(α+γ+1)/α} ...(2)
Nmgi、Noから
Nfb=Nmgi−{(Nmgi−No)×(α+γ+1)/(α+1)} ...(3)
Nmgo、Neから
Nfb=Ne−{(Ne−Nmgo)×(γ+1)/(β+1)} ...(4)
Nmgo、Noから
Nfb=No−{(No−Nmgo)×(γ/β)} ...(5)
Ne、Noから
Nfb=Ne−{(Ne−No)×(γ+1)} ...(6)
となる。
【0040】
(オーバードライブブレーキO/D−B締結時の場合)
Nmgi、Nmgoから
Nod=Nmgo−{(Nmgo−Nmgi)×(β+δ+1)/(α+β+1)} ...(7)
Nmgi、Neから
Nod=Ne−{(Ne−Nmgi)×(δ/α)} ...(8)
Nmgi、Noから
Nod=No−{(No−Nmgi)×(δ+1)/(α+1)} ...(9)
Nmgo、Neから
Nod=Nmgo−{(Nmgo−Ne)×(β+δ+1)/(β+1)} ...(10)
Nmgo、Noから
Nod=Nmgo−{(Nmgo−No)×(β+δ+1)/β)} ...(11)
Ne、Noから
Nod=No−{(No−Ne)×(δ+1)} ...(12)
となる。
【0041】
(1)式〜(6)式、(7)式〜(12)式のようにそれぞれのブレーキごとに6通りのブレーキ要素の回転数算出方法があり、新たにセンサを追加すること無く、センサ故障に対してロバストなシステムを構成することができる。
【0042】
これらにより求められたフォワードブレーキ要素回転数Nfb、オーバードライブブレーキ要素回転数Nodが、所定誤差範囲内で設定された停止判定領域外である時にブレーキが滑ったと判断する。
【0043】
[ブレーキ滑り時フェイルセーフ制御処理(B)]
図4は図3のステップS4にて実行されるブレーキ滑り時フェイルセーフ制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0044】
ステップS11では、車両は加速状態であるか否かが判断され、YESの場合はステップS12へ移行し、NOの場合はステップS14へ移行する。
【0045】
ステップS12では、ブレーキ点から遠い方のモータジェネレータが回転数限界に近いか否かが判断され、YESの場合はステップS13へ移行し、NOの場合はステップS16へ移行する。
【0046】
ステップS13では、ブレーキ点から遠い方のモータジェネレータを回転数制御し、ブレーキ点から近い方のモータジェネレータをトルク制御し、ENDへ移行する。
【0047】
ステップS14では、ブレーキ点から遠い方のモータジェネレータをトルク制御し、ブレーキ点から近い方のモータジェネレータを回転数制御し、ENDへ移行する。
【0048】
ステップ15では、ステップS11にて車両が加速状態以外であると判断されたとき、車両は一定車速状態か否かが判断され、YESの場合はステップS16へ移行し、NOの場合はステップS11へ戻る。
【0049】
ステップS16では、両方のモータジェネレータMgi,Mgoの回転数制御を行いENDへ移行する。
【0050】
[FWD−B締結時におけるトルクの作用]
フォワードブレーキFWD−Bの締結により第1リングギヤR1が固定されている正常時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3の流れが繰り返される。そして、第1リングギヤR1とモータ&ギヤケース7との間に配置されたフォワードブレーキFWD−Bを締結することにより、発進時変速比固定モードとなり、図5のFWD−B正常時に示すように、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoとエンジンEng、または、図6のFWD−B正常時に示すように、第1モータジェネレータMgiと第2モータジェネレータMgoでトルク制御を行うことにより、発進時に必要な強大なトルクを得ることが出来る。
【0051】
次に、フォワードブレーキFWD−Bが過トルク等により滑り出した場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS4→ステップS5の流れが繰り返され、ステップS4では、図4のフローチャートにしたがって、下記の3通りの方法により、両モータジェネレータMgi,MGoが制御され、滑りの無い発進時変速比固定モードと同等の変速比を維持する。なお、FWD−B締結時におけるブレーキ滑り防止作用については、エンジンEngからの入力が有る場合(図5の▲1▼,▲2▼,▲3▼)も、エンジンEngからの入力が無い場合(図6の▲1▼,▲2▼,▲3▼)も同様の作用を示す。また、図5及び図6の矢印は制御時のトルクの向きを示す。
【0052】
▲1▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から近い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS14へと進む流れとなり、ステップS14において、共線図上で滑り出したフォワードブレーキFWD−Bに近い方の第2モータジェネレータMGoを回転数制御し、遠い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御する。
すなわち、加速時にフォワードブレーキFWD−Bが滑った場合(出力ギヤ2の加速度が所定値以上)、ブレーキ点R1には、ブレーキ点R1から遠い方の第1モータジェネレータMGiと逆方向のトルクが掛かっているため、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出すと負の方向に回転数が上昇する。この場合、共線図上でブレーキ点R1に近い方の第2モータジェネレータMGoの負の方向の回転数をゼロ回転数に戻す方向に回転数制御することにより、ブレーキ点R1を回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点R1から遠い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御とすることにより、第2モータジェネレータMGoの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0053】
▲2▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第1モータジェネレータMGiの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、ステップS13において、共線図上で滑り出したフォワードブレーキFWD−Bに遠い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御し、近い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御する。
すなわち、第1モータジェネレータMGiが回転数限界が近い場合、それ以上回転数を上昇させることが出来ないため、この第1モータジェネレータMGiの回転数を下げる回転数制御することにより、ブレーキ点R1の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点R1から近い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御とすることにより、第1モータジェネレータMGiの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0054】
▲3▼ 車両が一定車速状態である場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16において、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoの両方を回転数制御する。
すなわち、ブレーキ固定の一定車速状態でフォワードブレーキFWD−Bが滑った場合(出力ギヤの加速度が所定値以下)、1つのモータジェネレータMGは回転数制御し、もう一方のモータジェネレータMGはフリー、または、ジェネレータとして使用しているので、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出した時点で両方のモータジェネレータMGi,MGoを回転数制御に切り替えることにより、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能となる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となるため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0055】
[O/D−B締結時におけるトルクの作用]
オーバードライブブレーキO/D−Bの締結により第1サンギヤS1が固定されている正常時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3の流れが繰り返される。そして、第1モータジェネレータMGiとモータ&ギヤケース7との間に配置されたオーバードライブブレーキO/D−Bを締結することにより、オーバードライブ変速比固定モードとなり、図7のO/D−B正常時に示すように、エンジントルクのみを用いてオーバードライブレンジで走行するので、燃費を向上することが出来る。
【0056】
次に、オーバードライブブレーキO/D−Bが過トルク等により滑り出した場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS4→ステップS5の流れが繰り返され、ステップS4では、図4のフローチャートにしたがって、下記の3通りの方法により、両モータジェネレータMgi,MGoが制御され、滑りの無いオーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を維持する。なお、図7の矢印は制御時のトルクの向きを示す。
【0057】
▲1▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近くない場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS14へと進む流れとなり、ステップS14において、共線図上で滑り出したオーバードライブブレーキO/D−Bに近い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御し、遠い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御する。
すなわち、加速時にオーバードライブブレーキO/D−Bが滑った場合(出力ギヤ2の加速度が所定値以上)、ブレーキ点S1には、エンジンEngと逆方向のトルクが掛かっているため、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出すと負の方向に回転数が上昇する。この場合、共線図上でブレーキ点S1に近い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御することにより、ブレーキ点S1の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S1から遠い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御とすることにより、第1モータジェネレータMGiの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0058】
▲2▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、ステップS13において、共線図上で滑り出したオーバードライブブレーキO/D−Bに遠い方の第2モータジェネレータMGoを回転数制御し、近い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御する。
すなわち、第2モータジェネレータMGoが回転数限界が近い場合、それ以上回転数を上昇させることが出来ないため、ブレーキ点S1から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数を下げる回転数制御することにより、ブレーキ点S1の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S1から近い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御とすることにより、第2モータジェネレータMGoの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0059】
▲3▼ 車両が一定車速状態である場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16において、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoの両方を回転数制御する。
すなわち、ブレーキ固定の一定車速状態でオーバードライブブレーキO/D−Bが滑った場合(出力ギヤの加速度が所定値以下)、エンジンEngを一定回転で操作し、両方のモータジェネレータMGi,MGoをフリー、または、ジェネレータとして、または、一方のモータジェネレータを回転数制御して使用しているので、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出した時点で両方のモータジェネレータMGi,MGoを回転数制御に切り替えることにより、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能となる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となるため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0060】
[ブレーキ滑り抑制による機能]
上記のように、第1実施例装置では、フォワードブレーキFWD−B及びオーバードライブブレーキO/D−Bと両モータジェネレータ出力軸9,10が同軸にあり、その同軸上にある両モータジェネレータMGi,MGoのみでブレーキ滑りを抑えるフェイルセーフ制御が行われる。
この場合、ブレーキが滑り出したことをフォワードブレーキFWD−B及びオーバードライブブレーキO/D−Bと同軸にあるモータジェネレータMGi,MGoのレゾルバ30,31で所定値以上の回転数があることにより検知し、その回転数が停止判定領域内のゼロ回転数となるようにブレーキと同軸のモータジェネレータの回転数制御を行うことによって、ブレーキの滑りがない状態と同等の機能を得ることが可能である。
ここで、「同等の機能」とは、フォワードブレーキFWD−Bの締結については、最大発進駆動力を得ることであり、オーバードライブブレーキO/D−Bの締結については、最高車速を得ることである。
【0061】
[ブレーキ容量及びブレーキサイズの設定]
走行時、最大発進駆動力や最高車速が必要な頻度は極めて稀なため、フォワードブレーキFWD−B及びオーバードライブブレーキO/D−Bが滑ることを前提とし、フォワードブレーキFWD−B及びオーバードライブブレーキO/D−Bのブレーキ容量を設計段階で予め小さく設定しておく。
これにより、通常の使用範囲では、フォワードブレーキFWD−BまたはオーバードライブブレーキO/D−Bを完全に締結することにより機能を達成し、最大発進駆動力や最高車速が必要なブレーキトルク範囲でのブレーキ滑りに対しては、上記のように、両モータジェネレータMGi,MGoでブレーキ滑りを抑えるフェイルセーフ制御を用いる。
この結果、最大発進駆動力や最高車速が必要なブレーキトルク範囲で、ブレーキの滑りがない状態と同等の機能を得ながらも、フォワードブレーキFWD−B及びオーバードライブブレーキO/D−Bのブレーキ容量及びブレーキサイズを小さく設定することが可能となる。
【0062】
次に、効果を説明する。
第1実施例のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0063】
(1) 2自由度で少なくとも4要素を有する差動装置に対し、エンジンEngと第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoと出力部材outとの4要素を、共線図上で第1モータジェネレータMGi、エンジンEng、出力部材out、第2モータジェネレータMGoの回転速度順になるように連結したハイブリッド変速機において、前記差動装置の複数の要素のうち、出力部材outが連結される要素以外の少なくとも1つの要素にブレーキを設け、前記ブレーキの締結時、そのブレーキに作用するトルクがブレーキの制動トルク容量を上回った時にもブレーキが回転しないように、両モータジェネレータMGi.MGoのうち少なくとも一方のモータジェネレータを制御するブレーキ滑り制御手段を設けたため、ドライバーが予期しない急減速等の車両挙動を抑えることができると共に、オイルポンプの低容量化を図ることができる。
【0064】
(2) 前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキ締結時にブレーキが設けられた要素以外の少なくとも2つの要素の回転数からブレーキが設けられた要素の回転数を算出し、そのブレーキ要素回転数が所定誤差範囲内で設定された停止判定領域外であることにより、ブレーキに滑りが生じたことを検知するため、モータジェネレータ回転数、エンジン回転数、車速等のシステム構成上必要不可欠なセンサを使用することにより、容易に冗長系を構成でき、センサ故障に対してロバストなシステムとすることができる。
【0065】
(3) 前記ブレーキの容量を、ブレーキトルク値の所定の範囲内(使用頻度やトルクの大きさ等による範囲内)で決定するようにしたため、例えば、使用頻度の少ない大きい制動トルクをブレーキだけで制動する必要がなくなり、ブレーキ本体を小容量化、小型化することが可能となる。
【0066】
(4) 前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキが回転しないようにモータジェネレータMGi,MGoの制御を行う際、車両が加速状態で、かつ、共線図上で滑り出したブレーキ点から遠い方のモータジェネレータが回転数限界に近い場合、ブレーキ点から遠い方のモータジェネレータを回転数制御し、ブレーキ点から近い方のモータジェネレータをトルク制御するようにしたため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng、モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0067】
(5) 前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキが回転しないようにモータジェネレータMGi,MGoの制御を行う際、車両が加速状態で、かつ、共線図上で滑り出したブレーキ点から近い方のモータジェネレータが回転数限界に近い場合、ブレーキ点から遠い方のモータジェネレータをトルク制御し、ブレーキ点から近い方のモータジェネレータを回転数制御するようにしたため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng、モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0068】
(6) 前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキが回転しないようにモータジェネレータMGi,MGoの制御を行う際、車両が一定車速状態である場合、2つのモータジェネレータMGi,MGoを共に回転数制御するようにしたため、ブレーキが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能であると共に、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng、モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0069】
(7) モータジェネレータとブレーキとを同軸に持ち、前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキ設定要素が回転しないようにモータジェネレータを制御するようにしたため、ブレーキが滑っいしまう過大なトルクが伝達される状況でも、ブレーキの締結固定が確保されている正常時と同じブレーキ締結機能を実現することが可能となる。
【0070】
(8) 前記差動装置を、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、の2自由度で5要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1とし、前記第2リングギヤR2とエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記共通キャリヤCに出力ギヤ2を連結したため、動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデルを導入でき、かつ、軸方向寸法が短くなりコンパクトな差動装置とすることができる。
【0071】
(9) 前記ブレーキとして、前記第1リングギヤR1をモータ&ギヤケース7に固定可能なフォワードブレーキFWD−Bと、前記第1サンギヤS1をモータ&ギヤケース7に固定可能なオーバードライブブレーキO/D−Bと、を有する構成としたため、フォワードブレーキFWD−Bが滑るブレーキトルク範囲で最大発進駆動力を得ることができると共に、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑るブレーキトルク範囲で最高車速を得ることができる。
【0072】
(第2実施例)
この第2実施例は、第1実施例と同様に、第2リングギヤ入力で共通キャリヤ出力を採用しているが、第1実施例に対し、第1リングギヤR1を省略した2自由度で4要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1とすると共に、共線図上でフォワードブレーキFWD−Bの設定位置を異ならせた例である。
【0073】
まず、構成を説明する。
第2実施例のラビニョウ型複合遊星歯車列1は、図8に示すように、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、の4つの要素を有する。
【0074】
そして、ハイブリッド変速機は、前記第2リングギヤR2とエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記共通キャリヤCに出力ギヤ2を連結することにより構成されている。
【0075】
このため、ラビニョウ型複合遊星歯車列1に連結されるエンジンEngと第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoと出力ギヤ2との4つの要素は、図9に示すように、共線図上において、第1モータジェネレータMGi、エンジンEng(In)、出力部材out、第2モータジェネレータMGoの回転速度順になるように連結される。なお、図9において、O/Dはオーバードライブ変速比固定モード線であり、STARTは発進時変速比固定モード線、REVは後退段変速比線、MAXは最大車速変速比線である。
【0076】
前記オーバードライブブレーキO/D−Bは、共線図上で第1モータジェネレータMGiが連結される第1サンギヤS1と一致する位置に配置され、締結により変速比をオーバードライブ変速比固定モード線O/Dに固定する(図9参照)。第2実施例のオーバードライブブレーキO/D−Bは、第1サンギヤS1をモータ&ギヤケース7に固定可能とする位置に配置している。
【0077】
前記フォワードブレーキFWD−Bは、共線図上で第2モータジェネレータMGoが連結される第2サンギヤS2と一致する位置に配置され、締結により変速比を発進時変速比固定モード線STARTに固定する(図9参照)。第2実施例のフォワードブレーキFWD−Bは、バンドブレーキ構造であり、第2モータジェネレータMGoのアウターロータRoを固定しているドラムをモータ&ギヤケース7に固定可能とするドラム外周位置に配置している。
【0078】
なお、他の構成は、第1実施例の図1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
次に、作用を説明する。
【0080】
[FWD−B締結時におけるトルクの作用]
フォワードブレーキFWD−Bの締結により第2サンギヤS2が固定されている正常時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3の流れが繰り返される。そして、第2モータジェネレータMGoのアウターロータRoとモータ&ギヤケース7との間に配置されたフォワードブレーキFWD−Bを締結することにより、発進時変速比固定モードとなり、図10のFWD−B正常時に示すように、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoとエンジンEng、または、図11のFWD−B正常時に示すように、第1モータジェネレータMgiと第2モータジェネレータMgoでトルク制御を行うことにより、発進時に必要な強大なトルクを得ることが出来る。
【0081】
次に、フォワードブレーキFWD−Bが過トルク等により滑り出した場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS4→ステップS5の流れが繰り返され、ステップS4では、図4のフローチャートにしたがって、下記の3通りの方法により、両モータジェネレータMgi,MGoが制御され、滑りの無い発進時変速比固定モードと同等の変速比を維持する。なお、FWD−B締結時におけるブレーキ滑り防止作用については、エンジンEngからの入力が有る場合(図10の▲1▼,▲2▼,▲3▼)も、エンジンEngからの入力が無い場合(図11の▲1▼,▲2▼,▲3▼)も同様の作用を示す。また、図10及び図11の矢印は制御時のトルクの向きを示す。
【0082】
▲1▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から近い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS14へと進む流れとなり、ステップS14において、共線図上で滑り出したフォワードブレーキFWD−Bに近い方の第2モータジェネレータMGoを回転数制御し、遠い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御する。
すなわち、加速時にフォワードブレーキFWD−Bが滑った場合(出力ギヤ2の加速度が所定値以上)、ブレーキ点S2には、ブレーキ点S2から遠い方の第1モータジェネレータMGiと逆方向のトルクが掛かっているため、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出すと負の方向に回転数が上昇する。この場合、共線図上でブレーキ点S2に近い方の第2モータジェネレータMGoの負の方向の回転数をゼロ回転数に戻す方向に回転数制御することにより、ブレーキ点S2を回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S2から遠い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御とすることにより、第2モータジェネレータMGoの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0083】
▲2▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第1モータジェネレータMGiの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、ステップS13において、共線図上で滑り出したフォワードブレーキFWD−Bに遠い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御し、近い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御する。
すなわち、第1モータジェネレータMGiが回転数限界が近い場合、それ以上回転数を上昇させることが出来ないため、この第1モータジェネレータMGiの回転数を下げる回転数制御することにより、ブレーキ点S2の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S2から近い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御とすることにより、第1モータジェネレータMGiの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0084】
▲3▼ 車両が一定車速状態である場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16において、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoの両方を回転数制御する。
すなわち、ブレーキ固定の一定車速状態でフォワードブレーキFWD−Bが滑った場合(出力ギヤの加速度が所定値以下)、1つのモータジェネレータMGは回転数制御し、もう一方のモータジェネレータMGはフリー、または、ジェネレータとして使用しているので、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出した時点で両方のモータジェネレータMGi,MGoを回転数制御に切り替えることにより、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能となる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となるため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。なお、他の作用については第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0085】
次に、効果を説明する。
第2実施例のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置にあっては、第1実施例の(1)〜(7)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0086】
(10) 前記差動装置を、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、の2自由度で4要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1とし、前記第2リングギヤR2とエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記共通キャリヤCに出力ギヤ2を連結したため、動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデルを導入でき、かつ、軸方向寸法が短くなりコンパクトな差動装置とすることができる。さらに、第1実施例のラビニョウ型複合遊星歯車列1と比べて、第1リングギヤR1を省略した構成とすることができる。
【0087】
(11) 前記ブレーキとして、前記第2サンギヤS2をモータ&ギヤケース7に固定可能なフォワードブレーキFWD−Bと、前記第1サンギヤS1をモータ&ギヤケース7に固定可能なオーバードライブブレーキO/D−Bと、を有する構成としたため、フォワードブレーキFWD−Bが滑るブレーキトルク範囲で最大発進駆動力を得ることができると共に、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑るブレーキトルク範囲で最高車速を得ることができる。
【0088】
(第3実施例)
この第3実施例は、第1実施例と同様に2自由度で5要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1を採用しているが、共通キャリヤ入力で第1リングギヤ出力とした点で第1,2実施例と異なり、第1実施例に対し、共線図上でフォワードブレーキFWD−Bの設定位置を異ならせ、第2実施例に対し、共線図上でオーバードライブブレーキO/D−Bの設定位置を異ならせた例である。
【0089】
まず、構成を説明する。
第3実施例のラビニョウ型複合遊星歯車列1は、図12に示すように、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、の5つの要素を有する。
【0090】
そして、ハイブリッド変速機は、前記共通キャリヤCとエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記第1リングギヤR1に出力ギヤ2を連結することにより構成されている。
【0091】
このため、ラビニョウ型複合遊星歯車列1に連結されるエンジンEngと第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoと出力ギヤ2との4つの要素は、図13に示すように、共線図上において、第1モータジェネレータMGi、エンジンEng(In)、出力部材out、第2モータジェネレータMGoの回転速度順になるように連結される。なお、図13において、O/Dはオーバードライブ変速比固定モード線であり、STARTは発進時変速比固定モード線、REVは後退段変速比線、MAXは最大車速変速比線である。
【0092】
前記オーバードライブブレーキO/D−Bは、共線図上で第1モータジェネレータMGiが連結される第1サンギヤS1とエンジンEngが連結される共通キャリヤCとの間の位置に配置され、締結により変速比をオーバードライブ変速比固定モード線O/Dに固定する(図13参照)。第3実施例のオーバードライブブレーキO/D−Bは、第2リングギヤR2をモータ&ギヤケース7に固定可能とする位置に配置している。
【0093】
前記フォワードブレーキFWD−Bは、共線図上で第2モータジェネレータMGoが連結される第2サンギヤS2の回転速度軸と一致する位置に配置され、締結により変速比を発進時変速比固定モード線STARTに固定する(図13参照)。第3実施例のフォワードブレーキFWD−Bは、バンドブレーキ構造であり、第2モータジェネレータMGoのアウターロータRoを固定しているドラムをモータ&ギヤケース7に固定可能とするドラム外周位置に配置している。
【0094】
なお、他の構成は、第1実施例の図1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
次に、作用を説明する。
【0096】
[FWD−B締結時におけるトルクの作用]
フォワードブレーキFWD−Bの締結により第2サンギヤS2が固定されている正常時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3の流れが繰り返される。そして、第2モータジェネレータMGoのアウターロータRoとモータ&ギヤケース7との間に配置されたフォワードブレーキFWD−Bを締結することにより、発進時変速比固定モードとなり、図14のFWD−B正常時に示すように、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoとエンジンEng、または、図15のFWD−B正常時に示すように、第1モータジェネレータMgiと第2モータジェネレータMgoでトルク制御を行うことにより、発進時に必要な強大なトルクを得ることが出来る。
【0097】
次に、フォワードブレーキFWD−Bが過トルク等により滑り出した場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS4→ステップS5の流れが繰り返され、ステップS4では、図4のフローチャートにしたがって、下記の3通りの方法により、両モータジェネレータMgi,MGoが制御され、滑りの無い発進時変速比固定モードと同等の変速比を維持する。なお、FWD−B締結時におけるブレーキ滑り防止作用については、エンジンEngからの入力が有る場合(図14の▲1▼,▲2▼,▲3▼)も、エンジンEngからの入力が無い場合(図15の▲1▼,▲2▼,▲3▼)も同様の作用を示す。また、図14及び図15の矢印は制御時のトルクの向きを示す。
【0098】
▲1▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から近い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS14へと進む流れとなり、ステップS14において、共線図上で滑り出したフォワードブレーキFWD−Bに近い方の第2モータジェネレータMGoを回転数制御し、遠い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御する。
すなわち、加速時にフォワードブレーキFWD−Bが滑った場合(出力ギヤ2の加速度が所定値以上)、ブレーキ点S2には、ブレーキ点S2から遠い方の第1モータジェネレータMGiと逆方向のトルクが掛かっているため、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出すと負の方向に回転数が上昇する。この場合、共線図上でブレーキ点S2に近い方の第2モータジェネレータMGoの負の方向の回転数をゼロ回転数に戻す方向に回転数制御することにより、ブレーキ点S2を回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S2から遠い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御とすることにより、第2モータジェネレータMGoの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0099】
▲2▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第1モータジェネレータMGiの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、ステップS13において、共線図上で滑り出したフォワードブレーキFWD−Bに遠い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御し、近い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御する。
すなわち、第1モータジェネレータMGiが回転数限界が近い場合、それ以上回転数を上昇させることが出来ないため、この第1モータジェネレータMGiの回転数を下げる回転数制御することにより、ブレーキ点S2の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S2から近い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御とすることにより、第1モータジェネレータMGiの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0100】
▲3▼ 車両が一定車速状態である場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16において、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoの両方を回転数制御する。
すなわち、ブレーキ固定の一定車速状態でフォワードブレーキFWD−Bが滑った場合(出力ギヤの加速度が所定値以下)、1つのモータジェネレータMGは回転数制御し、もう一方のモータジェネレータMGはフリー、または、ジェネレータとして使用しているので、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出した時点で両方のモータジェネレータMGi,MGoを回転数制御に切り替えることにより、フォワードブレーキFWD−Bが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能となる。
これにより、発進時変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となるため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0101】
[O/D−B締結時におけるトルクの作用]
オーバードライブブレーキO/D−Bの締結により第2リングギヤR2が固定されている正常時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3の流れが繰り返される。そして、第2リングギヤR2とモータ&ギヤケース7との間に配置されたオーバードライブブレーキO/D−Bを締結することにより、オーバードライブ変速比固定モードとなり、図16のO/D−B正常時に示すように、エンジントルクのみを用いてオーバードライブレンジで走行するので、燃費を向上することが出来る。
【0102】
次に、オーバードライブブレーキO/D−Bが過トルク等により滑り出した場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS4→ステップS5の流れが繰り返され、ステップS4では、図4のフローチャートにしたがって、下記の3通りの方法により、両モータジェネレータMgi,MGoが制御され、滑りの無いオーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を維持する。なお、図16の矢印は制御時のトルクの向きを示す。
【0103】
▲1▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近くない場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS14へと進む流れとなり、ステップS14において、共線図上で滑り出したオーバードライブブレーキO/D−Bに近い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御し、遠い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御する。
すなわち、加速時にオーバードライブブレーキO/D−Bが滑った場合(出力ギヤ2の加速度が所定値以上)、ブレーキ点R2には、エンジンEngと逆方向のトルクが掛かっているため、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出すと負の方向に回転数が上昇する。この場合、共線図上でブレーキ点R2に近い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御することにより、ブレーキ点R2の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点R2から遠い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御とすることにより、第1モータジェネレータMGiの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0104】
▲2▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、ステップS13において、共線図上で滑り出したオーバードライブブレーキO/D−Bに遠い方の第2モータジェネレータMGoを回転数制御し、近い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御する。
すなわち、第2モータジェネレータMGoが回転数限界が近い場合、それ以上回転数を上昇させることが出来ないため、ブレーキ点R2から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数を下げる回転数制御することにより、ブレーキ点R2の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点R2から近い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御とすることにより、第2モータジェネレータMGoの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0105】
▲3▼ 車両が一定車速状態である場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16において、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoの両方を回転数制御する。
すなわち、ブレーキ固定の一定車速状態でオーバードライブブレーキO/D−Bが滑った場合(出力ギヤの加速度が所定値以下)、エンジンEngを一定回転で操作し、両方のモータジェネレータMGi,MGoをフリー、または、ジェネレータとして、または、一方のモータジェネレータを回転数制御して使用しているので、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出した時点で両方のモータジェネレータMGi,MGoを回転数制御に切り替えることにより、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能となる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となるため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。なお、他の作用については第1実施例と同様であるので説明を省略する。
【0106】
次に、効果を説明する。
第3実施例のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置にあっては、第1実施例の(1)〜(7)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0107】
(12) 前記差動装置を、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2リングギヤR2と、の2自由度で5要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1とし、前記共通キャリヤCとエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記第1リングギヤR1に出力ギヤ2を連結したため、動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデルを導入でき、かつ、軸方向寸法が短くなりコンパクトな差動装置とすることができる。
【0108】
(13) 前記ブレーキとして、前記第2サンギヤS2をモータ&ギヤケース7に固定可能なフォワードブレーキFWD−Bと、前記第1リングギヤR1をモータ&ギヤケース7に固定可能なオーバードライブブレーキO/D−Bと、を有する構成としたため、フォワードブレーキFWD−Bが滑るブレーキトルク範囲で最大発進駆動力を得ることができると共に、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑るブレーキトルク範囲で最高車速を得ることができる。
【0109】
(第4実施例)
この第4実施例は、第2実施例と同様に2自由度で4要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1を採用し、かつ、第3実施例と同様に共通キャリヤ入力で第1リングギヤ出力としているが、第3実施例に対し、共線図上でオーバードライブブレーキO/D−Bの設定位置を異ならせた例である。
【0110】
まず、構成を説明する。
第4実施例のラビニョウ型複合遊星歯車列1は、図17に示すように、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、の4つの要素を有する。
【0111】
そして、ハイブリッド変速機は、前記共通キャリヤCとエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記第1リングギヤR1に出力ギヤ2を連結することにより構成されている。
【0112】
このため、ラビニョウ型複合遊星歯車列1に連結されるエンジンEngと第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoと出力ギヤ2との4つの要素は、図18に示すように、共線図上において、第1モータジェネレータMGi、エンジンEng(In)、出力部材out、第2モータジェネレータMGoの回転速度順になるように連結される。なお、図18において、O/Dはオーバードライブ変速比固定モード線であり、STARTは発進時変速比固定モード線、REVは後退段変速比線、MAXは最大車速変速比線である。
【0113】
前記オーバードライブブレーキO/D−Bは、共線図上で第1モータジェネレータMGiが連結される第1サンギヤS1の回転速度軸と一致する位置に配置され、締結により変速比をオーバードライブ変速比固定モード線O/Dに固定する(図18参照)。第4実施例のオーバードライブブレーキO/D−Bは、第1モータジェネレータ出力軸9をモータ&ギヤケース7に固定可能とする位置に配置している。
【0114】
前記フォワードブレーキFWD−Bは、共線図上で第2モータジェネレータMGoが連結される第2サンギヤS2の回転速度軸と一致する位置に配置され、締結により変速比を発進時変速比固定モード線STARTに固定する(図18参照)。第4実施例のフォワードブレーキFWD−Bは、バンドブレーキ構造であり、第2モータジェネレータMGoのアウターロータRoを固定しているドラムをモータ&ギヤケース7に固定可能とするドラム外周位置に配置している。
【0115】
なお、他の構成は、第1実施例の図1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0116】
次に、作用を説明する。
【0117】
[O/D−B締結時におけるトルクの作用]
オーバードライブブレーキO/D−Bの締結により第1サンギヤS1が固定されている正常時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3の流れが繰り返される。そして、第1モータジェネレータ出力軸9とモータ&ギヤケース7との間に配置されたオーバードライブブレーキO/D−Bを締結することにより、オーバードライブ変速比固定モードとなり、図19のO/D−B正常時に示すように、エンジントルクのみを用いてオーバードライブレンジで走行するので、燃費を向上することが出来る。
【0118】
次に、オーバードライブブレーキO/D−Bが過トルク等により滑り出した場合、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進み、ステップS4→ステップS5の流れが繰り返され、ステップS4では、図4のフローチャートにしたがって、下記の3通りの方法により、両モータジェネレータMgi,MGoが制御され、滑りの無いオーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を維持する。なお、図19の矢印は制御時のトルクの向きを示す。
【0119】
▲1▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近くない場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS14へと進む流れとなり、ステップS14において、共線図上で滑り出したオーバードライブブレーキO/D−Bに近い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御し、遠い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御する。
すなわち、加速時にオーバードライブブレーキO/D−Bが滑った場合(出力ギヤ2の加速度が所定値以上)、ブレーキ点S1には、エンジンEngと逆方向のトルクが掛かっているため、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出すと負の方向に回転数が上昇する。この場合、共線図上でブレーキ点S1に近い方の第1モータジェネレータMGiを回転数制御することにより、ブレーキ点S1の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S1から遠い方の第2モータジェネレータMGoをトルク制御とすることにより、第1モータジェネレータMGiの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0120】
▲2▼ 車両は加速状態で、かつ、ブレーキ点から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数が回転数限界に近い場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13へと進む流れとなり、ステップS13において、共線図上で滑り出したオーバードライブブレーキO/D−Bに遠い方の第2モータジェネレータMGoを回転数制御し、近い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御する。
すなわち、第2モータジェネレータMGoが回転数限界が近い場合、それ以上回転数を上昇させることが出来ないため、ブレーキ点S1から遠い方の第2モータジェネレータMGoの回転数を下げる回転数制御することにより、ブレーキ点S1の回転数をゼロにする。さらに、ブレーキ点S1から近い方の第1モータジェネレータMGiをトルク制御とすることにより、第2モータジェネレータMGoの回転数制御によるトルク低下が補われ、駆動力の減少を少なく加速することができる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となり、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。
【0121】
▲3▼ 車両が一定車速状態である場合には、図4のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16において、第1モータジェネレータMGiと第2モータジェネレータMGoの両方を回転数制御する。
すなわち、ブレーキ固定の一定車速状態でオーバードライブブレーキO/D−Bが滑った場合(出力ギヤの加速度が所定値以下)、エンジンEngを一定回転で操作し、両方のモータジェネレータMGi,MGoをフリー、または、ジェネレータとして、または、一方のモータジェネレータを回転数制御して使用しているので、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出した時点で両方のモータジェネレータMGi,MGoを回転数制御に切り替えることにより、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑り出す直前の変速比にレスポンスよく戻すことが可能となる。
これにより、オーバードライブ変速比固定モードと同等の変速比を得ることが可能となるため、車速の変化を抑えつつ、エンジンEng及び両モータジェネレータMGi,MGoの吹け上がりを防止しながら、急減速等の車両の予期しない挙動を防止することが可能となる。なお、他の作用については第1実施例及び第3実施例と同様であるので説明を省略する。
【0122】
次に、効果を説明する。
第4実施例のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置にあっては、第1実施例の(1)〜(7)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0123】
(14) 前記差動装置を、互いに噛み合う第1ピニオンP1と第2ピニオンP2を支持する共通キャリヤCと、第1ピニオンP1に噛み合う第1サンギヤ第1サンギヤS1と、第2ピニオンP2に噛み合う第2サンギヤS2と、第1ピニオンP1に噛み合う第1リングギヤR1と、の2自由度で4要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列1とし、前記共通キャリヤCとエンジン出力軸8とをクラッチ15を介して連結し、前記第1サンギヤS1と第1モータジェネレータ出力軸9とを連結し、前記第2サンギヤS2と第2モータジェネレータ出力軸10とを連結し、前記第1リングギヤR1に出力ギヤ2を連結したため、動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデルを導入でき、かつ、軸方向寸法が短くなりコンパクトな差動装置とすることができる。さらに、第2リングギヤR2を省略した分、第3実施例よりも簡略化できる。
【0124】
(15) 前記ブレーキとして、前記第2サンギヤS2をモータ&ギヤケース7に固定可能なフォワードブレーキFWD−Bと、前記第1サンギヤS1をモータ&ギヤケース7に固定可能なオーバードライブブレーキO/D−Bと、を有する構成としたため、フォワードブレーキFWD−Bが滑るブレーキトルク範囲で最大発進駆動力を得ることができると共に、オーバードライブブレーキO/D−Bが滑るブレーキトルク範囲で最高車速を得ることができる。
【0125】
以上、本発明のハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置を第1実施例〜第4実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0126】
第1実施例〜第4実施例では、2つの独立した交流モータジェネレータを同じケース内に収容したものを示したが、例えば、第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとして、共通ステータと2つのロータにより外観上は1つのモータジェネレータであるが、機能上は2つのモータジェネレータを達成する同軸多層モータを適用しても良い。
【0127】
第1実施例〜第4実施例では、差動装置としてラビニョウ型複合遊星歯車列の適用例を示したが、エンジンと第1モータジェネレータと第2モータジェネレータと出力部材との4要素を連結するため、少なくとも4要素を有する差動装置であれば、シングルピニオン型遊星歯車列とダブルピニオン型遊星歯車列との組み合わせ等、であっても良い。
【図面の簡単な説明】
Fig−1:請求項1,2,3,4,5,6,7に対応した第1実施例である。
Fig−2:請求項1,2,3,4,5,6,7に対応した第2実施例である。
Fig−3:請求項1,2,3,4,5,6,7に対応した第3実施例である。
Fig−4:請求項1,2,3,4,5,6,7に対応した第4実施例である。
Fig−5:本発明によるフェイルセーフ制御のフローチャートである。
Fig−6:図1の フォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力有り)を示す共線図である。
Fig−7:図1の フォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力無し)を示す共線図である。
Fig−8:図2の フォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力有り)を示す共線図である。
Fig−9:図2の フォワードブレーキFWD−B 締結時におけるトルクの作用(エンジン入力無し)を示す共線図である。
Fig−10:図3,4のフォワードブレーキFWD−B 締結時におけるトルクの作用(エンジン入力有り)を示す共線図である。
Fig−11:図3,4の フォワードブレーキFWD−B 締結時におけるトルクの作用(エンジン入力無し)を示す共線図である。
Fig−12:図1,2のオーバードライブブレーキO/D−B 締結時におけるトルクの作用を示す共線図である。
Fig−13:図3のオーバードライブブレーキO/D−B 締結時におけるトルクの作用を示す共線図である。
Fig−14:図4のオーバードライブブレーキO/D−B 締結時におけるトルクの作用を示す共線図である。
【図1】第1実施例のブレーキ滑り制御装置が適用されたハイブリッド変速機の全体システム図である。
【図2】第1実施例のハイブリッド変速機における共線図である。
【図3】第1実施例装置のハイブリッドコントローラにて実行されるブレーキフェールセーフ制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS4にて実行されるブレーキ滑り時フェイルセーフ制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1実施例装置のフォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力有り)を示す共線図である。
【図6】第1実施例装置のフォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力無し)を示す共線図である。
【図7】第1実施例装置のオーバードライブブレーキO/D−Bの締結時におけるトルクの作用を示す共線図である。
【図8】第2実施例のブレーキ滑り制御装置が適用されたハイブリッド変速機の全体システム図である。
【図9】第2実施例のハイブリッド変速機における共線図である。
【図10】第2実施例装置のフォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力有り)を示す共線図である。
【図11】第2実施例装置のフォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力無し)を示す共線図である。
【図12】第3実施例のブレーキ滑り制御装置が適用されたハイブリッド変速機の全体システム図である。
【図13】第3実施例のハイブリッド変速機における共線図である。
【図14】第3実施例装置のフォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力有り)を示す共線図である。
【図15】第3実施例装置のフォワードブレーキFWD−Bの締結時におけるトルクの作用(エンジン入力無し)を示す共線図である。
【図16】第3実施例装置のオーバードライブブレーキO/D−Bの締結時におけるトルクの作用を示す共線図である。
【図17】第4実施例のブレーキ滑り制御装置が適用されたハイブリッド変速機の全体システム図である。
【図18】第4実施例のハイブリッド変速機における共線図である。
【図19】第4実施例装置のオーバードライブブレーキO/D−Bの締結時におけるトルクの作用を示す共線図である。
【符号の説明】
Eng エンジン
MGi 第1モータジェネレータ
MGo 第2モータジェネレータ
1 ラビニョウ型複合遊星歯車列(差動装置)
2 出力ギヤ(出力部材)
3 カウンターギヤ
4 ドライブギヤ
5 ディファレンシャル
6,6 ドライブシャフト
7 モータ&ギヤケース
8 エンジン出力軸
9 第1モータジェネレータ出力軸
10 第2モータジェネレータ出力軸
11 モータ室
12 ブレーキ室
13 ギヤ室
14 フライホイール
15 クラッチ
O/D−B オーバードライブブレーキ(ブレーキ)
FWD−B フォワードブレーキ(ブレーキ)
20 エンジンコントローラ
21 スロットルバルブアクチュエータ
22 モータコントローラ
23 第1インバータ
24 第2インバータ
25 バッテリ
26 ハイブリッドコントローラ
27 アクセル開度センサ
28 車速センサ(出力回転数センサ)
29 エンジン回転数センサ
30 第1レゾルバ(第1モータジェネレータ回転数センサ)
31 第2レゾルバ(第2モータジェネレータ回転数センサ)
Claims (15)
- 2自由度で少なくとも4要素を有する差動装置に対し、エンジンと第1モータジェネレータと第2モータジェネレータと出力部材との4要素を、共線図上で第1モータジェネレータ、エンジン、出力部材、第2モータジェネレータの回転速度順になるように連結したハイブリッド変速機において、
前記差動装置の複数の要素のうち、出力部材が連結される要素以外の少なくとも1つの要素にブレーキを設け、
前記ブレーキの締結時、そのブレーキに作用するトルクがブレーキの制動トルク容量を上回った時にもブレーキが回転しないように、両モータジェネレータのうち少なくとも一方のモータジェネレータを制御するブレーキ滑り制御手段を設けたことを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項1に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキ締結時にブレーキが設けられた要素以外の少なくとも2つの要素の回転数からブレーキが設けられた要素の回転数を算出し、そのブレーキ要素回転数が所定誤差範囲内で設定された停止判定領域外であることにより、ブレーキに滑りが生じたことを検知することを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記ブレーキの容量を、ブレーキトルク値の所定の範囲内で決定することを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキが回転しないようにモータジェネレータの制御を行う際、車両が加速状態で、かつ、共線図上で滑り出したブレーキ点から遠い方のモータジェネレータが回転数限界に近い場合、ブレーキ点から遠い方のモータジェネレータを回転数制御し、ブレーキ点から近い方のモータジェネレータをトルク制御することを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキが回転しないようにモータジェネレータの制御を行う際、車両が加速状態で、かつ、共線図上で滑り出したブレーキ点から近い方のモータジェネレータが回転数限界に近い場合、ブレーキ点から遠い方のモータジェネレータをトルク制御し、ブレーキ点から近い方のモータジェネレータを回転数制御することを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキが回転しないようにモータジェネレータの制御を行う際、車両が一定車速状態である場合、2つのモータジェネレータを共に回転数制御することを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記モータジェネレータとブレーキとを同軸に持ち、
前記ブレーキ滑り制御手段は、ブレーキ設定要素が回転しないようにモータジェネレータを制御することを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記差動装置を、互いに噛み合う第1ピニオンと第2ピニオンを支持する共通キャリヤと、第1ピニオンに噛み合う第1サンギヤと、第2ピニオンに噛み合う第2サンギヤと、第1ピニオンに噛み合う第1リングギヤと、第2ピニオンに噛み合う第2リングギヤと、の2自由度で5要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列とし、
前記第2リングギヤとエンジン出力軸とをクラッチを介して連結し、前記第1サンギヤと第1モータジェネレータ出力軸とを連結し、前記第2サンギヤと第2モータジェネレータ出力軸とを連結し、前記共通キャリヤに出力部材を連結したことを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項8に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記ブレーキとして、前記第1リングギヤをケースに固定可能なフォワードブレーキと、前記第1サンギヤをケースに固定可能なオーバードライブブレーキと、を有することを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記差動装置を、互いに噛み合う第1ピニオンと第2ピニオンを支持する共通キャリヤと、第1ピニオンに噛み合う第1サンギヤと、第2ピニオンに噛み合う第2サンギヤと、第2ピニオンに噛み合う第2リングギヤと、の2自由度で4要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列とし、
前記第2リングギヤとエンジン出力軸とをクラッチを介して連結し、前記第1サンギヤと第1モータジェネレータ出力軸とを連結し、前記第2サンギヤと第2モータジェネレータ出力軸とを連結し、前記共通キャリヤに出力部材を連結したことを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項10に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記ブレーキとして、前記第2サンギヤをケースに固定可能なフォワードブレーキと、前記第1サンギヤをケースに固定可能なオーバードライブブレーキと、を有することを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記差動装置を、互いに噛み合う第1ピニオンと第2ピニオンを支持する共通キャリヤと、第1ピニオンに噛み合う第1サンギヤと、第2ピニオンに噛み合う第2サンギヤと、第1ピニオンに噛み合う第1リングギヤと、第2ピニオンに噛み合う第2リングギヤと、の2自由度で5要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列とし、
前記共通キャリヤとエンジン出力軸とをクラッチを介して連結し、前記第1サンギヤと第1モータジェネレータ出力軸とを連結し、前記第2サンギヤと第2モータジェネレータ出力軸とを連結し、前記第1リングギヤに出力部材を連結したことを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項12に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記ブレーキとして、前記第2サンギヤをケースに固定可能なフォワードブレーキと、前記第2リングギヤをケースに固定可能なオーバードライブブレーキと、を有することを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記差動装置を、互いに噛み合う第1ピニオンと第2ピニオンを支持する共通キャリヤと、第1ピニオンに噛み合う第1サンギヤと、第2ピニオンに噛み合う第2サンギヤと、第1ピニオンに噛み合う第1リングギヤと、の2自由度で4要素を有するラビニョウ型複合遊星歯車列とし、
前記共通キャリヤとエンジン出力軸とをクラッチを介して連結し、前記第1サンギヤと第1モータジェネレータ出力軸とを連結し、前記第2サンギヤと第2モータジェネレータ出力軸とを連結し、前記第1リングギヤに出力部材を連結したことを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。 - 請求項14に記載されたハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置において、
前記ブレーキとして、前記第2サンギヤをケースに固定可能なフォワードブレーキと、前記第1サンギヤをケースに固定可能なオーバードライブブレーキと、を有することを特徴とするハイブリッド変速機のブレーキ滑り制御装置。
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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