JP2004270679A - 可変圧縮比エンジンの制御方法 - Google Patents

可変圧縮比エンジンの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 燃焼室の容積を変更することによってエンジンの圧縮比を変更可能な可変圧縮比エンジンにおいて、電動機の回生効率を向上する制御方法を提供する。
【解決手段】 ECU200は、各種センサからセンサ値を入力し、車が制動状態か、つまりモータ20に回生させるかどうか判定する。モータ20に回生をさせるならば、エンジン100の圧縮比が、通常走行時より低圧縮比となるよう電動アクチュエータ133を駆動する。それにより、エンジン100におけるフリクションロスが低減するので、モータ20の回生効率が向上する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハイブリッド車両に搭載された可変圧縮比エンジンの制御方法に関する。
エンジンと電動機とを動力源として備えたハイブリッド車両において、電動機が駆動軸の回転によって電力を回生することが可能な位置に設置されている場合、減速時には電動機は駆動軸の回転によって回生を行なうことが多い。その場合、車両の減速エネルギをEc,車両のフリクションロスをEf,回生エネルギをErとすると、Ec=Ef+Erであるから、減速エネルギEcが一定のもとでは、フリクションロスEfを低減すると、電動機による回生効率が向上する。なお、フリクションロスEfの多くは、エンジンにおけるフリクションロスである。
フリクションを低減する技術として、以下の内容が提案されている。例えば、特許文献1では、ハイブリッド車両において、制動時には、エンジンに供給される燃料をカットして、エンジンの吸気弁と排気弁を共に常時開状態にすることにより、フリクションを低減することが提案されている。
つまり、特許文献1においては、吸気弁と排気弁を共に常時開状態することで、シリンダ内が吸気弁及び排気弁の吸気口及び排気口を介して、吸気管及び排気管に常時連通する。これにより、シリンダ内だけで圧縮されていた空気が、吸気管、排気管を加えた容量で圧縮されることになり、この容量が増加した分だけ圧力の上昇が抑えられ、結果としてエンジンのフリクションも抑制される。
特許文献1では、ハイブリッド車両がバルブオーバーラップを変更する手段を備えたエンジンを搭載している場合には、次のようにしてフリクションを低減して電動機の回生効率を向上することが提案されている。つまり、上記したハイブリッド車両では、制動時には、エンジンに供給される燃料をカットして、バルブオーバーラップを大きくすることにより、電動機による回生効率を向上することが提案されている。なお、バルブオーバーラップとは、エンジンの吸気弁と排気弁とが同時に開弁する期間のことをいう。
一方、特許文献2では、エンジン運転中に複数の気筒の内の一部の気筒を休止できる可変気筒エンジンにおいて、減筒運転中は休止気筒の吸排気弁を閉じた状態で固定し、気筒内で膨張収縮を繰り返すことで、空気の粘性や慣性等によるフリクションを低減することが提案されている。
特開平10−2239号公報 実開平5−42652号公報
このように、電動機を備えたハイブリッド車両において、フリクションを減らして回生効率を向上する方法は、様々に提案されている。しかし、可変圧縮比エンジン、特に燃焼室の容積を変更することによって、エンジンの圧縮比を変更可能な可変圧縮比エンジンにおいて、その特性を活かして回生効率を向上する制御方法は提案されていない。
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、燃焼室の容積を変更することによってエンジンの圧縮比を変更可能な可変圧縮比エンジンにおいて、電動機の回生効率を向上する制御方法を提供することを目的とする。
上述の課題の少なくとも一部を解決するための本発明の車両は、
駆動軸から動力を出力して走行可能な車両であって、
燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更する圧縮比変更機構を有するエンジンと、
前記駆動軸の回転によって電力を回生することが可能な位置に結合され、更に前記エンジンの回転軸と結合された電動機と、
前記電動機が回生を行なうべき状態にあるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が回生を行なうべきと判断した場合には、前記圧縮比変更機構によって、前記エンジンの圧縮比を、回生を行なわないときよりも低い値または実現可能な最低値へと変更する圧縮比制御手段と
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、燃焼室の容積を変更することによってエンジンの圧縮比を低くすることで、エンジンにおけるフリクションを低減しつつ、電動機の回生効率を向上させることが可能である。先述したように、フリクションの多くは、エンジンにおけるフリクションであり、エンジンにおけるフリクションロス(以下、単にフリクションロスとよぶ)を低減すると、回生効率が向上する。フリクションロスは、エンジンにおいて、ピストン(ピストンリング)とシリンダ内壁との接触や、クランク軸とコネクティングロッドの摩擦により発生しており、これらのロスは、エンジンの圧縮比が高くなるにつれて発生しやすいからである。
更に、本発明によれば、吸気弁及び排気弁の開閉は制約されずにエンジンの圧縮比を低くすることが可能であるので、例えば、エミッションの悪化を防ぐことも可能である。
電動機を備えたハイブリッド車両において、フリクションを減らして回生効率を向上する方法は、先述したように、様々に提案されている。しかし、ハイブリッド車両ではエンジンが停止することが多いので、フリクションを低減するよう、吸排気弁を閉じる制御を行なうと、ポート内燃料噴射エンジンでは、ポート内に未燃ガスがたまる。この未燃ガスは、再起動時のショック発生,エミッション悪化の原因となり、好ましくない。
また、低速低負荷の状態では、混合気の吹き抜けにより、エンジンから排出される炭化水素(以下、排出HCとよぶ)が増加し、環境に悪影響を与えるので、バルブオーバーラップを小さくしておかなければならない。つまり、特許文献1で示されているように、吸気弁と排気弁を共に常時開状態したり、バルブオーバーラップを大きくしたりするには、エンジン制御上及び環境上の制約がある。
本発明によれば、これらの問題を回避するよう吸気弁及び排気弁の開閉を行なうことも可能である。
圧縮比εは、シリンダ容積が最小となる容積Vc、1行程でピストンが排除する容積Vsを用いて、ε=(Vc+Vs)/Vcで表わされる。本発明の圧縮比変更機構は、シリンダ容積が最小となる容積Vcを変更するものである。例えば、分割されたシリンダブロックの一部をクランク軸に対して相対的に移動させることで、シリンダ容積が最小となる容積Vcを変更するものである。シリンダブロックの一部を移動させるにはアクチュエータを用いる。
ところで、電動機は、制動時だけではなく、エンジンからの動力により発電をするために回生を行なう場合もある。本発明では、電動機による回生時に燃料をカットする必要はなく、燃料を噴射し、エンジンを駆動させつつ、エンジンを低圧縮比にしてフリクションロスを低減することも可能である。エンジンを低圧縮比にしながらも、燃料を噴射し、エンジンを駆動させることが可能なので、エンジンを制御する上での応答性を向上することもできる。
本発明の圧縮比の制御は、全ての走行状態で行なう必要はなく、所定の走行状態のみで行なうようにしても良い。圧縮比は、電動機が回生を行なう前に変更しても良いし、回生中に変更しても良い。
電動機の設置場所は、駆動軸の回転によって電力を回生することが可能な位置ならばどこでも良い。つまり、エンジンから駆動軸に至る動力伝達経路から動力を得ることにより、電力を回生することが可能な位置に設置されていれば良い。例えばエンジンのクランクプーリに結合されていても良いし、フライホイールに結合されていても良い。電動機が、駆動軸に回転力を与えることが可能な位置に設置され、なおかつ電源を伴う場合には、電動機は駆動力源として利用されても良い。
前記圧縮比変更機構は、前記電動機が回生により得た電力を用いて、前記圧縮比を変更するものとしても良い。
回生された電力で圧縮比変更機構を動かすことで、電力を有効活用することができる。バッテリを備えている場合では、バッテリの電力消費,バッテリへの充放電によるロスを低減させることが可能となる。
前記判断部は、前記エンジンの運転状態がエンジンブレーキの状態であるとき、前記電動機が回生を行なうべきと判断するものとしても良い。
前記判断部は、燃料噴射量,トルクコンバータの入出力回転数比,アクセル開度,スロットル開度,車速度,エンジン点火信号(点火タイミング)の少なくとも1つによりエンジンの運転状態がエンジンブレーキの状態であると判断するものとしても良い。
例えば、判断部は、燃料噴射量から燃料カット中であると分かる場合には、エンジンブレーキの状態であると判断する。
エンジンと駆動軸に結合されたトルクコンバータ及び変速機を備える車両では、エンジンの回転数と車速度に加え、変速機のギヤポジション(ギヤ比)が分かれば、トルクコンバータの入出力回転数比が分かる。トルクコンバータの入力回転数はエンジン側の回転数であり、出力回転数は駆動軸側の回転数である。例えば、入力/出力が1より小さければ、エンジンブレーキの状態であると判断する。なお、トルクコンバータの入出力回転数比を求めるには、トルクコンバータの入力回転数,出力回転数,入出力回転数比などを検出可能な装置を用意してもよい。
エンジンの回転数の変化を検出して、エンジンの回転数が所定の時間中に所定量低下すれば、エンジンブレーキの状態に移行したと判断する。車速度の変化を検出して、車速度が低下していれば、エンジンブレーキの状態に移行したと判断する。また、車速度が低下している場合であっても、運転者がフットブレーキを踏んでいる場合を除くため、ブレーキ信号の入力がない場合のみ、エンジンブレーキの状態に移行したと判断しても良い。
判断部は、アクセル開度が0であったり、スロットル開度が0であったり、エンジン点火信号が出力されていなければ(点火タイミングが設定されていなければ)、エンジンブレーキの状態であることと判断する。
エンジンの動力により発電をするために、電動機が回生を行なう場合もある。判断部は、発電のための回生が必要となった場合も、回生を行なうべき状態にあると判断しても良い。
本発明において、電動機は種々の状態で駆動軸及びエンジンと結合可能であり、例えば、前記エンジンの回転軸と前記電動機が切り離し不能に結合されていても良い。
かかる構造では、回生時にエンジンが必ず回転させられるため、フリクションロスが生じやすい。従って、本発明の有用性が高い。つまり、本発明は、エンジンの回転軸と電動機が切り離し不能に結合されている比較的簡易な構造の車両においても、フリクションロスを低減することにより、電動機の回生効率を向上することが可能である。
前記エンジンは、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方について、開弁特性を変更可能な可変動弁系を備えているものとしても良い。
本発明によれば、エンジンの負荷状態やエンジンの圧縮比などに応じて、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方について、開弁特性を変更することにより、燃費を向上させたり、エミッションの悪化を防いだりすることが可能である。
充放電可能な蓄電手段と、
前記電動機が回生により得た電力を用いて、前記蓄電手段を充電する充電手段と
を備えていても良い。
これにより、電動機が回生により得た電力を充電しておくことが可能となる。蓄電手段は、バッテリなどの2次電池やキャパシタであっても良い。
本発明において上述した種々の特徴は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。本発明は、上述の構成に限らず、可変圧縮比エンジンの制御方法など種々の態様で構成することができる。
以下、本発明の実施の形態について、以下の項目に分けて説明する。
A.装置構成:
A1.ハイブリッド車両の概略構成:
A2.可変圧縮比エンジンの構成:
B.エンジン及びモータ制御の概要:
C.エンジン及びモータ制御:
C1.運転モード判定処理:
C2.エンジンの圧縮比設定処理:
C3.モータ制御:
D.効果:
E.変形例:
A.装置構成:
A1.ハイブリッド車両の概略構成:
図1は実施例としてのハイブリッド車両の概略構成を示す説明図である。このハイブリッド車両は駆動力源として、エンジン100とモータ20を有する。以下では、エンジン100は、いわゆる火花点火式のエンジンであるものとして説明するが、もちろん、ディーゼルエンジンなどの圧縮着火式のエンジンに適用することもできる。エンジン100は、電動アクチュエータ133により、圧縮比を変更可能な可変圧縮比エンジンである。可変圧縮比エンジンについて詳しくは後述する。
電動アクチュエータ133は、電力を動力源として動作するリニアアクチュエータであり、ECU200との間で、位置サーボを行うサーボ制御系を構成している。電動アクチュエータ133は、モータ20が発電した電力により動かされる。もちろん、電動アクチュエータ133の替わりに、油圧などの他の動力源によって動作するアクチュエータを用いることも可能である。その場合は、モータ20が発電した電力はバッテリ210に充電される。
エンジン100のクランクシャフト11は、フライホイール22に結合されている。フライホイール22の外周には、モータ20のロータ25が組み付けられており、更にその外周に相当する位置には、モータ20のステータ26がハウジングに固定されている。
モータ20は、力行することにより、先述したようにハイブリッド車両の駆動力源としても使用される。その場合、モータ20の電源はバッテリ210である。バッテリ210から供給される直流電流は、インバータ220によって3層交流化され、モータ20に供給される。電源は、バッテリ210に限らず、キャパシタなど充放電可能な種々の蓄電手段を用いることができる。
モータ20は発電機として機能し、電力を回生することができる。モータ20は、エンジン100から出力されたトルク及び駆動軸51から伝達されたトルクを電力に変換し、この電力をバッテリ210に充電する。上述したように、モータ20が発電した電力は、電動アクチュエータ133を動かす電力にもなる。モータ20は、本実施例では、同期モータを用いるものとしたが、誘導モータその他のタイプの交流モータや直流モータを用いてもよい。
エンジン100から出力されたトルクは、フライホイール22を介して、出力軸31から出力される。この際、モータ20を力行または回生することにより、トルクを増減することができる。
出力軸31は、クラッチ30を介して、トランスミッション40の入力軸32に結合されている。トランスミッション40からの出力は、ディファレンシャルギヤ50を介して駆動軸51、駆動輪52に伝達される。
ハイブリッド車両の各部の動作は、エンジン制御用ユニット(以下、ECU)200によって制御される。ECU200は、内部にCPU、RAM、ROMを備えるマイクロコンピュータであり、制御用のソフトウェアに従って、各部の制御を実行する。この制御を実現するため、ECU200には、種々の入出力が行われる。図1には入力として、バッテリ210の残容量センサ211の検出結果を示した。他にも、ECU200では各種センサの検出結果を入力するが、詳しくは後述する。出力としては、電動アクチュエータ133への制御信号、エンジン100への燃料噴射量、点火タイミングなどの制御信号、インバータ220へのモータ駆動用の制御信号がある。
A2.可変圧縮比エンジンの構成:
図2は、圧縮比可変機構を備えた本実施例のエンジン100の構成を模式的に示した説明図である。図示されているように、エンジン100は、大きくはシリンダヘッド120と、シリンダブロックASSY130と、メインムービングASSY140と、吸気通路150と、排気通路158と、ECU200などから構成されている。
シリンダブロックASSY130は、シリンダヘッド120が取り付けられるアッパーブロック131と、メインムービングASSY140が収納されているロアブロック132とから構成されている。また、アッパーブロック131とロアブロック132との間には電動アクチュエータ133が設けられており、電動アクチュエータ133を駆動することで、アッパーブロック131をロアブロック132に対して上下方向に移動させることが可能となっている。また、アッパーブロック131の内部には円筒形のシリンダ134が形成されている。
メインムービングASSY140は、クランクシャフト143と、ピストン141をクランクシャフト143に接続するコネクティングロッド142などによって、いわゆるクランク機構を構成する。
シリンダヘッド120の下面側(アッパーブロック131に接する側)とシリンダ134とピストン141とで囲まれた部分には、燃焼室が形成される。電動アクチュエータ133を用いてアッパーブロック131及びシリンダヘッド120を上方に移動させれば、燃焼室の容積が増加するので、圧縮比を低くすることができる。逆に、アッパーブロック131とともにシリンダヘッド120を下方に動かせば、燃焼室内の容積が減少して圧縮比を高くすることができる。
シリンダヘッド120には、燃焼室内に空気を取り入れるための吸気ポート123と、燃焼室内から排気ガスを排出するための排気ポート124とが形成されており、吸気ポート123が燃焼室に開口する部分には吸気バルブ121が、また、排気ポート124が燃焼室に開口する部分には排気バルブ122が設けられている。吸気バルブ121および排気バルブ122は、ピストン141の上下動に合わせて、それぞれカム機構によって駆動される。なお、吸気バルブ121および排気バルブ122は、エンジン100の負荷状態に応じて開閉時期を可変制御可能な可変動弁系、例えばVVT(バリアブル・バルブ・タイミング)やVVT−i(バリアブル・バルブ・タイミング・インテリジェント)、を構成している。シリンダヘッド120には、燃焼室内に形成された混合気に火花を飛ばして点火するための点火プラグ127も設けられている。
シリンダヘッド120の吸気ポート123には、外気をシリンダヘッド120まで導くための吸気通路150が接続されており、吸気通路150の上流側端部にはエアクリーナ151が設けられている。吸気通路150には、スロットルバルブ152や燃料噴射弁155などが設けられている。吸気通路150には吸気圧センサ156が設けられており、吸気通路内の圧力を検出することが可能となっている。ここでは、燃料が燃料噴射弁155から吸気ポート123に向かって噴射されるポート噴射を例示したが、燃焼室内に燃料を噴射する直接噴射であっても良い。
シリンダヘッド120の排気ポート124には排気通路158が接続されており、燃焼室から排出された排気ガスは、排気通路158によって外部に導かれて放出される。
ECU200は、中央処理装置(以下、CPU)を中心として、ROM、RAM、入出力回路などが、バスで相互に接続されたマイクロコンピュータである。詳細には後述するが、ECU200は、クランクシャフト143に設けられたクランク角センサ170や、アクセルペダルに内蔵されたアクセル開度センサ201、更には必要に応じて、吸気圧センサ156などから必要な情報を取り込んで、点火プラグ127、燃料噴射弁155、電動アクチュエータ153、電動アクチュエータ133、可変動弁系(吸気バルブ121および排気バルブ122など)等を駆動することにより、エンジン100全体の動作を制御する。なお、先述したように、ECU200はインバータ220へのモータ駆動用の制御信号を出力することで、モータ20の制御も行なう。
車速度センサ204は、駆動輪52の回転速度から「車速度」を求め、出力する。なお、車速度センサ204は、エンジンの回転数とギヤ比から車速度を算出したり、衛星などから車の移動距離と移動時間を検出して車速度を計算したりするような車速計算装置であっても良い。シフトポジション信号205は、ハイブリッド車両のシフトチェンジが行なわれた際に、入力される信号である。
B.エンジン及びモータ制御の概要:
次に、上述した構成を有するエンジン100の動作について説明する。図3は、ECU200がエンジン100の動作を制御する流れを示したフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。
ECU200は、エンジン及びモータ制御ルーチンを開始すると先ず初めに、エンジンの回転速度Ne およびアクセル開度Θを検出する(ステップS100)。エンジン回転速度Ne は、クランク角センサ170の出力から算出し、また、アクセル開度Θは、アクセル開度センサ201を用いて検出することができる。
尚、ステップS100では、アクセル開度Θに代えて、吸気圧センサ56で検出した吸気通路内圧力や、スロットル開度などを用いることも可能である。スロットル開度は、電動アクチュエータ153に内蔵された図示しないスロットル開度センサによって検出することができる。もちろん、ECU200はスロットル開度を制御しているから、ECU200内部で制御のために使用している開度を利用することも可能である。
こうしてエンジン回転速度Ne およびアクセル開度Θを検出したら、エンジン100とモータ20の運転モードを判定する処理を開始する(ステップS102)。詳細には後述するが、本実施例での運転モードには、「通常モード」と「回生モード」が存在する。「通常モード」は、ハイブリッド車両が通常走行時の際に選択されるエンジン100とモータ20の運転モードである。「回生モード」とは、ハイブリッド車両が制動状態となった際に選択されるエンジン100とモータ20の運転モードである。
エンジン100とモータ20の運転モードを判定したら、エンジンの圧縮比を設定する処理を開始する(ステップS104)。図1を用いて説明したように本実施例のエンジン100は、電動アクチュエータ133を用いてエンジンの圧縮比を変更することが可能である。そこで、ステップS104では、先に判定した運転モードを考慮しながら、エンジンの運転条件に応じた適切な圧縮比を求めた後、電動アクチュエータ133を駆動して、エンジン100の圧縮比を適切な圧縮比に設定する処理を行う。圧縮比設定処理の詳細については後述する。
ECU200は、圧縮比設定処理に続いて燃料噴射制御を開始する(ステップS106)。かかる制御では、燃焼室内に吸入される空気量を検出し、所定空燃比となる分量の燃料を、燃料噴射弁155から適切なタイミングで噴射する制御を行う。本実施例では、燃焼室内に吸入される空気量は、吸気圧センサ156により検出した吸気通路内の圧力に基づいて算出している。もちろん、吸気通路150内にエアフローセンサを設けてエンジン100が吸い込んだ空気量を計測してもよく、更には簡便に、エンジン回転速度およびアクセル開度(スロットルバルブ152の開度)をパラメータとして吸入空気量を予め計測してマップとして記憶しておき、このマップを参照して空気量を求めることも可能である。
こうして求めた空気量に対して所定の空燃比となるように燃料を噴射する。空燃比とは、燃料と空気との混合割合を表す指標であり、燃焼室内に供給された空気重量を燃料重量で除算した値として定義される。ECU200に内蔵されたROMには、エンジン回転速度とアクセル開度(あるいはスロットルバルブ開度)とをパラメータとするマップの形式で、圧縮比毎に、目標の空燃比が記憶されている。
図4は、エンジンの圧縮比毎に目標の空燃比を記憶しているマップを例示した説明図であり、エンジンの圧縮比13(ε=13)、圧縮比10.5(ε=10.5)、圧縮比9(ε=9)の三枚のマップが記憶されている様子を模式的に表している。AF11,AF12・・・は、横軸のエンジン回転速度と縦軸のアクセル開度に対応した空燃比の値を示している。例えば、圧縮比設定処理(図3のステップS104)においてエンジン100の圧縮比が13に設定された場合は、図4中で一番手前に表示したマップを参照しながら補間演算を行うことで、エンジン回転速度およびアクセル開度に対する目標の空燃比を算出することができる。設定した圧縮比に対応するマップが記憶されていない場合は、異なる圧縮比の間で補間演算を行うことによって、設定した圧縮比についての目標空燃比を算出することができる。
次いで、先に検出した空気量に対して空燃比が目標空燃比となるような燃料噴射量と、燃料噴射量に対応した燃料噴射開始タイミングとを算出する。前述した空燃比の定義から、空気量と目標の空燃比とが決まれば、噴射すべき燃料量は自ずから決定される。また、燃料噴射量が決まれば、燃料の噴射開示タイミングも自ずから決定される。すなわち、本実施例のエンジン100では燃料の噴射終了タイミングが固定されているので、燃料噴射量と燃料噴射開始タイミングとは一対一の関係にあり、燃料噴射量が決まれば自ずから燃料噴射開始タイミングも決定されるのである。燃料噴射制御(図3のステップS106)では、以上に説明したようにして燃料噴射開始タイミングを決定した後、クランク角センサ170の出力に基づいて、適切なタイミングで燃料噴射弁155を駆動する制御を行う。
ECU200は、燃料噴射制御を終了するとバルブタイミング制御を開始する(ステップS107)。バルブタイミング制御では、エンジンの吸気バルブ121および排気バルブ122の開弁・閉弁時期を制御する。バルブタイミングの制御には、横軸をエンジン回転速度、縦軸をアクセル開度とし、開弁・閉弁時期を記憶した図4と同様のマップを用いる。マップは、吸気バルブ121および排気バルブ122用に、それぞれ開弁時期と閉弁時期を記憶したものが用意されており、更に、開弁時期・閉弁時期のマップは、図4と同様に、エンジンの圧縮比13(ε=13)、圧縮比10.5(ε=10.5)、圧縮比9(ε=9)ごとに用意されている。これらのマップを用いて、エンジン100の圧縮比,エンジン回転速度およびアクセル開度に対応した吸気バルブ121および排気バルブ122の目標の開弁・閉弁時期を、補間演算を行なうことによって算出することができる。なお、開弁・閉弁時期は上死点または下死点からのクランク角度で示すことができる。
バルブタイミング制御では、こうして、エンジンの運転条件に応じた吸気バルブ121および排気バルブ122の目標の開弁・閉弁時期を算出した後、クランク角センサ170の出力に基づいて、適切なタイミングで吸気バルブ121および排気バルブ122を開閉することにより、バルブタイミングの制御を行う。
ECU200は、バルブタイミング制御を終了すると点火制御を開始する(ステップS108)。点火制御では、適切なタイミングで点火プラグ127から火花を飛ばすことにより、燃焼室内に形成された混合気に点火する処理を行う。点火のタイミングは、ECU200のROMに記憶されたマップに基づいて設定される。
図5は、エンジン回転速度とアクセル開度(あるいはスロットルバルブ開度)とをパラメータとするマップの形式で、圧縮比毎に、点火時期が記憶されている様子を概念的に表している。T11,T12・・・は、横軸のエンジン回転速度と縦軸のアクセル開度に対応した点火タイミングの値を示している。上述した燃料噴射制御の中で目標空燃比を算出する場合と同様にして、点火制御においても、図5に示したマップから補間演算を行って点火タイミングを算出する。点火制御では、こうしてエンジンの運転条件に応じた点火タイミングを算出した後、クランク角センサ170の出力に基づいて、適切なタイミングで点火プラグ127を駆動することにより、燃焼室内の混合気に点火する制御を行う。
次に、ステップS102で判定した運転モードに基づき、モータ20の制御を行なう(ステップS109)。詳しくは後述する。
次いで、ECU200は、エンジンを停止する旨が設定されたか否かを確認し(ステップS110)、停止する旨が設定されていなければステップS100に戻って続く一連の処理を繰り返す。エンジンを停止する旨が設定された場合は、そのままエンジン及びモータ制御ルーチンを終了する。こうして、エンジン100は、ECU200の制御の下で、図3の制御ルーチンに従って運転され、操作者の設定に応じた動力を発生させる。
C.エンジン及びモータ制御:
上述したように、本実施例のエンジン100は、圧縮比を変更することが可能であり、エンジンの運転モードを考慮して適切な圧縮比に設定することによって、燃料消費効率を大きく改善することが可能となっている。以下では、先ず、運転モードを判定する処理(図3のステップS102)について説明した後、運転モードを考慮して圧縮比を設定する処理(図3のステップS104)について説明する。
C1.運転モード判定処理:
図6は、エンジン100とモータ20の運転モードを判定する処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、前述したエンジン及びモータ制御ルーチンの中でECU200によって実行される。尚、以下に説明する運転モード判定処理は、後述するように、エンジン及びモータ制御ルーチン中で検出したアクセル開度も利用する。以下、フローチャートに従って説明する。
ECU200は、各種センサ検出結果や制御値を入力する(ステップS200)。具体的には、スロットル開度、エンジン回転数、車速、ギヤ比、燃料噴射量、点火タイミングを、それぞれ以下のように入力する。スロットル開度は、電動アクチュエータ153に内蔵された図示しないスロットル開度センサによって検出する。もちろん、ECU200はスロットル開度を制御しているから、ECU200内部で制御のために使用している開度を利用することも可能である。
エンジン回転数NEは、クランク角センサ170の出力から算出する。車速は、車速度センサ204によって検出する。ギヤ比は、シフトポジション信号205により求められる。ステップS106、ステップS108で述べたように、ECU200は燃料噴射量や点火タイミングを制御しているから、燃料噴射量、点火タイミングは、ECU200内部で制御のために求めた値を利用する。
次に、ステップS200で入力した値を用いて、ハイブリッド車両が制動状態であると判断するための条件判定を行なう(ステップS201)。なお、条件判定は条件1〜6の全てを行なう必要はなく、条件1〜6のうちいずれか一部の判定を省略しても良い。いずれかを省略する場合は、ステップS200において、その条件判定で利用するセンサ値や制御値を入力する必要もない。また、本実施例では、条件1〜6のすべてが成立している必要はなく、いずれかまたは複数の条件が同時に成立している場合にハイブリッド車両は制動状態であると判断する。条件1〜6がすべて成立している場合に、ハイブリッド車両は制動状態であると判断しても良い。
条件1は、燃料がカットされている、というものである。燃料噴射量から、燃料カット中と判断される場合には(制御値としての燃料噴射量が0であれば)制動状態であると判断する。
条件2は、トルクコンバータの入出力回転数比(入力/出力)が1より小さい、という条件である。なお、トルクコンバータの入力回転数はエンジン側の回転数であり、出力回転数は駆動軸側の回転数である。トルクコンバータの入出力回転数比(入力/出力)が1より小さければ、エンジン側よりも駆動軸側の回転数が高いことを意味するから制動状態であると判断する。トルクコンバータの入力側の回転数は、エンジン回転数からわかる。一方、トルクコンバータの出力側の回転数は、車速度とギヤ比からわかる。よって、トルクコンバータの入出力回転数比は、エンジン回転数と車速度とギヤ比により求めることができる。なお、別途トルクコンバータ入出力回転数検出手段を備えていても良い。
条件3は、エンジンの回転数が所定時間で所定量低下している、という条件である。エンジンの回転数の変化を検出して、エンジンの回転数が所定時間で所定量低下している場合は、制動状態に移行したと判断する。図7は、エンジン回転数の変化を示す説明図である。図7では、ハイブリッド車両が通常走行状態から制動状態へ移行した場合のエンジン回転数の変化を示している。エンジンの回転数が所定時間で所定量低下しているか否かは、傾きを示すΔNE/Δtが、任意の値−α(α>0)より小さいか否かで判断する。
Δtは任意に設定可能である。但し、通常走行時も、エンジン回転数は変動しており、その変動ΔNE/Δt1が、−β(β>α)となる部分もある。つまり、ΔtをΔt1のように小さく設定しすぎると、通常走行時のエンジン回転数の変動により、通常走行状態が制動状態であると誤認されるおそれがある。一方、Δtを大きく設定しすぎると、制動状態に移行したと判断するのが遅れてしまう。Δtは、両者を考慮して適切な値を設定すればよい。
αも任意に設定可能であるが、αを大きく設定しすぎると、制動状態に移行したと判別されるための回転数変化が急であることが要求され、制動状態に移行しても、制動状態であると判断されなくなってしまう。一方、αを小さく設定しすぎると、制動状態に移行したと判別されるための回転数変化が緩やかでよいから、通常運転状態であるにも関わらず、制動状態であると誤認されてしまう。αは、両者を考慮して適切な値を設定すればよい。
条件4は、アクセル開度が0であるという条件である。アクセル開度がほぼ0である場合は、制動状態であると判断する。条件5は、スロットル開度が0であるという条件である。スロットル開度がほぼ0である場合は、制動状態であると判断する。条件6はエンジン点火信号が出力されていないという条件である。エンジン点火信号が出力されていなければ(点火タイミングが設定されていなければ)、制動状態であると判断する。
条件1〜6のいずれかまたは複数の条件が同時に成立している場合に(ステップS202)、ECU200はハイブリッド車両が制動状態であると判断し、エンジン100とモータ20の運転モードを回生モードに設定する(ステップS203)。条件の1〜6が1つも成立していない場合は(ステップS202)、ECU200はハイブリッド車両が通常走行状態であると判断し、エンジン100とモータ20の運転モードを通常モードに設定する(ステップS204)。
C2.エンジンの圧縮比設定処理:
以上のようにして、運転モードを判定したら、判定結果を考慮しながら圧縮比を設定する。図8は、本実施例のエンジン100が圧縮比を設定する処理の流れを示したフローチャートである。この処理は、図3におけるステップS104に相当し、エンジン及びモータ制御ルーチンが一回、回る度にECU200によって実行される。以下、図8に従って説明する。
圧縮比設定処理を開始すると、先ず初めに、エンジン回転速度およびアクセル開度に基づいて通常モードの圧縮比を決定する(ステップS300)。エンジン回転速度およびアクセル開度は、エンジン及びモータ制御ルーチン中のステップS100において既に検出されている。圧縮比は、エンジン100が通常モードで運転している状態で最適となるように設定された値が、ECU200のROM内にマップの形式で記憶されている。
図9は、ECU200のROM内に記憶されているマップ、すなわち、エンジン100が通常モードで運転されている時に、燃料消費効率が最も高くなるような圧縮比が設定されたマップを概念的に示した説明図である。図示されているように、本実施例では、アクセル開度が大きくなるほど、すなわちエンジン負荷が高くなるほど、圧縮比が低くなるように設定されている。また、エンジン回転速度が比較的低い領域内には、回転速度が低くなるほど圧縮比も低くなるように設定された領域が存在している。
図8に示した圧縮比設定処理中のステップS300では、図9に示すマップを参照することによって、通常モード時の圧縮比を決定するのである。
こうして通常モード時の圧縮比を決定したら、運転モードが回生モードであれば(ステップS301)、圧縮比を補正する処理を行う(ステップS302)。圧縮比の補正量は、ECU200内のROMに予め記憶されている。図10は、ROMに記憶された圧縮比の補正量を例示した説明図である。回生モード時には、ステップS300で決定した圧縮比を「1.5」だけ低い圧縮比に補正する。つまり、「ステップS300で決定した圧縮比―1.5」の値を新たに圧縮比として設定する。なお、通常モード時の圧縮比に、所定の係数(例えば0.9)をかけることで、回生モード時の圧縮比に補正する方法をとっても良い。補正量を、回転数,アクセル開度,圧縮比などによって変化させても良い。
次いで、圧縮比が上限値を超えていないことを確認する(ステップS304)。すなわち、仮に、何らかの理由で異常に高い圧縮比が算出された場合を考慮して、圧縮比には、運転モードに応じた上限値が予め定められている。図10は、ECU200のROM内に、運転モードに応じて圧縮比の上限値が記憶されている様子を概念的に例示した説明図である。
ステップS304では、補正された圧縮比が、このように運転モードに応じて定められた圧縮比の上限値を超えていないことを確認し、仮に上限値を超えている場合は(ステップS304:no)、圧縮比を上限値に変更する(ステップS306)。
ECU200は、こうして補正した圧縮比に応じて電動アクチュエータ133を駆動することにより、エンジン100の圧縮比を変更する(ステップS308)。ECU200は、圧縮比を変更したら、図8に示す圧縮比設定処理を終了して図2のエンジン及びモータ制御ルーチンに復帰する。
以上に説明した実施例では、通常モード時の最適な圧縮比を記憶しておき(図9参照)、この圧縮比を、運転モードに応じて補正するものとして説明した。もっとも、運転モードの判定結果を考慮しながら適切な圧縮比を設定する方法は、こうした方法に限られるものではなく、種々の方法を適用することが可能である。例えば、図11に示すように、運転モード毎に適切な圧縮比を予め記憶しておき、運転モードの判定結果に応じて、対応するマップを参照しながら圧縮比を設定することとしても良い。
C3.モータ制御:
先に説明したエンジン100の燃料噴射制御(ステップS106)、点火制御(ステップS108)を行なった後、モータ20の制御を行なう(ステップS109)。
図12は、ECU200が行なうモータ20の制御を示すフローチャートである。モータ20の運転モードが回生モードならば(ステップS301)、回生モード時の目標トルクを記憶しているマップを用いて、目標トルクを設定する(ステップS302)。図示したマップには、エンジン回転速度に対応した回生トルクが示されており、エンジン回転速度がわかれば回生トルクが求められるようになっている。回生トルクは、正の値をとるときには制動力となることを示すトルクである。図のマップは、ECU200内のROMに予め記憶されている。
モータ20の運転モードが回生モードでなければ(ステップS301)、通常モード時の目標トルクを記憶しているマップを用いて、目標トルクを設定する(ステップS303)。図示したマップでは、エンジン回転速度とアクセル開度がわかれば、目標トルクが求められるようになっている。図の同一線上では、目標トルクは一定であり、補間演算を行うことで、エンジン回転速度およびアクセル開度に対する目標トルクを算出することができる。
エンジン回転速度もアクセル開度も共に小さい図12のAの範囲では、モータ20により駆動トルクを出力する。マップにおけるAの範囲での目標トルクは、エンジン回転速度とアクセル開度が共に小さいほど大きい値となるように設定されており、エンジン回転速度とアクセル開度が共に大きくなるにつれて小さい値となるよう設定されている。そして、エンジン回転速度とアクセル開度がそれぞれ所定の値になると(Aの範囲とCの範囲の境界線上の値となると)、0となるように設定されている。
エンジン回転速度もアクセル開度も共に大きい図12のBの範囲では、モータ20によるアシスト走行を行なうため、駆動トルクを出力する。マップにおけるBの範囲での目標トルクは、エンジン回転速度とアクセル開度がそれぞれ所定の値のときは(Cの範囲とBの範囲の境界線上の値のときは)、0となるように設定されており、エンジン回転速度とアクセル開度が共に大きくなるにつれて大きい値となるよう設定されている。マップにおけるCの範囲のエンジン回転速度とアクセル開度の場合には、目標トルクは補間演算により0と算出される。図のマップは、ECU200内のROMに予め記憶されている。
モータ20の目標トルクは種々の設定が可能であり、バッテリ210の残容量センサ211の検出結果に基づいて求めても良い。例えば、バッテリ210の残容量が少なければモータ20による発電を行ない、その他の場合はモータ20を空回りさせるなどの制御が可能である。
次に、ステップS302,S303で求めた目標トルクに基づいて、モータ20の駆動制御を行なう(ステップS304)。制御信号は、インバータ220へ送信される。モータ20が回生を行なう場合、モータ20で発電した電力は、バッテリ210に充電することなく、直接電動アクチュエータ133を駆動する電力に使用される。
D.効果:
以上に説明したように、本実施例のエンジン100では、運転モードを考慮して圧縮比を設定している。つまり、ハイブリッド車両が制動状態となり、モータ20に回生を行なわせる場合には、エンジン100の圧縮比を通常走行状態の時より低圧縮比にすることで、フリクションロスを防ぎ、回生効率を向上することが可能である。また、バルブタイミングの制御を行なうことにより、エミッションの悪化を防ぐことなども可能である。
E.変形例:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、更に様々な形態で実施しうることは勿論である。例えば、以上の説明では、エンジン100の圧縮比は連続的に変更可能として説明したが、もちろん、圧縮比を何段階かに切り換え可能としても構わない。こうすれば、制御内容を簡素なものとすることが可能となる。
また、以上に説明した実施例では、アクチュエータ133を用いてアッパーブロック131およびシリンダヘッド120を動かすことによって、圧縮比を変更するものとした。しかし、圧縮比を変更する方法は、こうした方法に限られるものではなく、燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更する方法であれば、種々の方法を適用することも可能である。
更に、実施例では、制動時にモータ20が回生を行なう場合に、エンジンの圧縮比を低圧縮比とすることで回生効率を向上させている。しかし、制動時に限らず、モータ20がエンジンの動力によって発電する場合に、エンジンの圧縮比を低圧縮比として回生効率を向上させるものとしても良い。
実施例としてのハイブリッド車両の概略構成を示す説明図である。 圧縮比可変機構を備えた本実施例のエンジン100の構成を模式的に示した説明図である。 ECU200がエンジン100とモータ20の動作を制御する流れを示したフローチャートである。 圧縮比に応じて空燃比の制御目標値が設定されているマップを模式的に示した説明図である。 圧縮比に応じて点火時期の制御目標値が設定されているマップを模式的に示した説明図である。 エンジン100とモータ20の運転モードを判定する処理の流れを示すフローチャートである。 エンジン回転数の変化を示す説明図である。 本実施例のエンジン100が圧縮比を設定する処理の流れを示したフローチャートである。 エンジン100の運転条件に応じて、通常モードでの圧縮比が設定されているマップを概念的に示した説明図である。 ROMに記憶された圧縮比の補正量を例示した説明図である。 運転モードに応じて適切な圧縮比がマップの形式で記憶されている様子を概念的に示した説明図である。 ECU200が行なうモータ20の制御を示すフローチャートである。
符号の説明
11...クランクシャフト
20...モータ
22...フライホイール
25...ロータ
26...ステータ
30...クラッチ
31...出力軸
32...入力軸
40...トランスミッション
50...ディファレンシャルギヤ
51...駆動軸
52...駆動輪
100...エンジン
120...シリンダヘッド
121...吸気バルブ
122...排気バルブ
123...吸気ポート
124...排気ポート
130...シリンダブロックASSY
131...アッパーブロック
132...ロアブロック
133...電動アクチュエータ
134...シリンダ
140...メインムービングASSY
141...ピストン
142...コネクティングロッド
143...クランクシャフト
150...吸気通路
152...スロットルバルブ
153...電動アクチュエータ
155...燃料噴射弁
156...吸気圧センサ
158...排気通路
170...クランク角センサ
200...ECU(エンジン制御用ユニット)
201...アクセル開度センサ
204...車速度センサ
205...シフトポジション信号
210...バッテリ
211...残容量センサ
220...インバータ
Ne...エンジン回転速度
Θ...アクセル開度
NE...エンジン回転数

Claims (7)

  1. 駆動軸から動力を出力して走行可能な車両であって、
    燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更する圧縮比変更機構を有するエンジンと、
    前記駆動軸の回転によって電力を回生することが可能な位置に結合され、更に前記エンジンの回転軸と結合された電動機と、
    前記電動機が回生を行なうべき状態にあるか否かを判断する判断部と、
    前記判断部が回生を行なうべきと判断した場合には、前記圧縮比変更機構によって、前記エンジンの圧縮比を、回生を行なわないときよりも低い値または実現可能な最低値へと変更する圧縮比制御手段と
    を備えた車両。
  2. 請求項1記載の車両であって、
    前記圧縮比変更機構は、前記電動機が回生により得た電力を用いて、前記圧縮比を変更する車両。
  3. 請求項1記載の車両であって、
    前記判断部は、前記エンジンの運転状態がエンジンブレーキの状態であるとき、前記電動機が回生を行なうべきと判断する車両。
  4. 請求項1記載の車両であって、
    前記エンジンの回転軸と前記電動機が切り離し不能に結合された車両。
  5. 請求項1記載の車両であって、
    前記エンジンは、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方について、開弁特性を変更可能な可変動弁系を備えている車両。
  6. 請求項1記載の車両であって、
    充放電可能な蓄電手段と、
    前記電動機が回生により得た電力を用いて、前記蓄電手段を充電する充電手段と
    を備えた車両。
  7. 駆動軸から動力を出力して走行可能な車両の制御方法であって、
    前記車両は、
    燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更する圧縮比変更機構を有するエンジンと、
    前記駆動軸の回転によって電力を回生することが可能な位置に結合され、更に前記エンジンの回転軸と結合された電動機と、
    を備え、
    前記電動機が回生を行なうべき状態にあるか否かを判断する判断工程と、
    前記判断部が回生を行なうべきと判断した場合には、前記圧縮比変更機構によって、前記エンジンの圧縮比を、回生を行なわないときよりも低い値または実現可能な最低値へと変更する圧縮比制御工程と
    を備える制御方法。
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