JP2004270208A - 制振壁 - Google Patents
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Abstract
【課題】大きな地震に対して優れた制振効果を発揮し得る、粘弾性材料を用いた制振壁を提供する。
【解決手段】制振壁10は、上側の大梁2に対して固定された第1制振板12と、第1制振板12と隙間を隔てて重なり合うように、下側の大梁14に対して固定された第2制振板14と、これら制振板12,14の間に介装された粘弾性部材24とを備える。粘弾性部材24は帯状に形成されてスリット26となる間隔を隔てて設けられる。粘弾性部材は、スチレン系ゴムなどの剛性の低いゴムで構成される。別の実施形態では、スリット26に代えて、制振板12,14に空気抜き孔が設けられる。
【選択図】 図1
【解決手段】制振壁10は、上側の大梁2に対して固定された第1制振板12と、第1制振板12と隙間を隔てて重なり合うように、下側の大梁14に対して固定された第2制振板14と、これら制振板12,14の間に介装された粘弾性部材24とを備える。粘弾性部材24は帯状に形成されてスリット26となる間隔を隔てて設けられる。粘弾性部材は、スチレン系ゴムなどの剛性の低いゴムで構成される。別の実施形態では、スリット26に代えて、制振板12,14に空気抜き孔が設けられる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘弾性部材の変形によって振動エネルギーを吸収するように構成された制振壁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、特許文献1に開示される制振装置が公知である。この制振装置は、互いに重なり合うように配置された第1および第2の制振板と、これら制振板の間に介装された粘弾性部材とからなる制振構造体を備えている。粘弾性部材はゴムの一種により構成され、その変形に応じて減衰力を発生させる。建物の上方梁および下方梁には夫々突出部が設けられ、両突出部の間に上記制振構造体が設置されている。かかる構成によれば、風や地震により建物が振動すると、第1および第2の制振板が水平方向に相対的に変位する。この相対変位に伴って、粘弾性部材がせん断変形することで減衰力を発生し、これにより、制振効果が得られることとなる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−20557号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の制振装置において、粘弾性部材はその面積が大きいほど、大きな減衰力を発生する。したがって、粘弾性部材を大面積化して壁全体にわたる制振壁として構成すれば、より大きな制振効果を得ることができる。しかしながら、従来、粘弾性部材として用いることが可能なゴムは初期剛性(無荷重状態での剛性)が高いため、上記従来の制振装置で粘弾性部材を大面積化すると、粘弾性部材全体のせん断剛性が建物自体の剛性に対して大きくなってしまう。その場合、粘弾性部材が僅かに変形しただけで、粘弾性部材から建物架構に多大な力がかかることになるため、建物架構の構造設計が困難になってしまう。
【0005】
また、粘弾性部材を大面積化すると、粘弾性部材を制振板に接着する際に接着面に空気が入り込んでそのまま残留し易くなる。このように接着面に空気が残留した場合、接着強度が大幅に低下してしまう。
【0006】
これに対して、上記従来の制振装置は間柱型に構成されており、粘弾性部材の面積はさほど大きくならないようになっている。したがって、風や小規模地震による比較的小さな振動に対して十分な制振効果が得られ、また、接着面への空気の残留も起き難いと考えられる。その一方、大地震等の大きな振動に対して制振効果を得ようとすると、粘弾性部材を用いた制振装置では上記のような大面積化による問題があるため、従来は、オイルの粘性によって減衰力を得るオイル型制振壁を用いざるを得なかった。
【0007】
しかし、一般に、建物の壁には、ダクトその他の配管等の各種設備を挿通させるための開口を設ける必要のある場合が多いのに対して、オイル型制振壁ではオイル漏れのおそれがあるため開口を設けることは困難である。したがって、粘弾性部材を用いて制振壁を構築できることが望ましい。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、大きな地震に対して優れた制振効果を発揮し得る、粘弾性材料を用いた制振壁を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、建物の振動に応じて粘弾性部材が変形することにより振動を減衰させるように構成された制振壁であって、
当該制振壁の上側の梁に対して固定された第1の制振板と、
該第1の制振板と隙間を隔てて重なり合うように、当該制振壁の下側の梁に対して固定された第2の制振板とを備え、
前記粘弾性部材は前記第1および第2の制振板の間に介装されていると共に、前記粘弾性部材と前記第1および第2の制振板との接着面を外部に連通させる連通空間が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、上下の梁に対して固定された第1および第2の制振板の間に粘弾性部材が介装される。このため、地震により建物架構が振動すると、粘弾性部材がせん断変形することで減衰力が発生し、制振効果が得られる。また、粘弾性部材と各制振板との接着面を外部に連通させる連通空間が設けられるので、粘弾性部材の接着時に接着面へ入り込んだ空気を、この連通空間から外部へ逃がしながら接着できる。このため、粘弾性部材を大面積化した場合に、接着面に空気が残存するのを防止できる。したがって、本発明によれば、粘弾性部材を大面積化することで、大きな振動に対して高い制振効果を得ることができる。
【0011】
この制振壁において、前記粘弾性部材は一または複数のスリットによって分割されており、当該スリットが前記連通空間として機能することとしてもよい。また、前記連通空間は、前記第1および第2の制振板に設けられた空気抜き穴であってもよい。
【0012】
また、本発明において、粘弾性材料として、剛性が低い(例えば試験温度20℃、加振振動数0.5Hz、歪1%の条件下でのせん断剛性係数が0.1N/mm2以上2N/mm2以下の)材料を用いるようにすれば、粘弾性材料を大面積化した場合にも、その剛性を低く抑えることができる。このため、粘弾性材料を大面積化することで大きな振動に対して高い制振効果を得つつ、粘弾性材料から建物架構に大きな力がかかるのを防止することができる。
【0013】
また、粘弾性材料として、スチレン系ゴム、アスファルト系ゴム、アクリル系ゴム、オレフィン系ゴム、ブチル系ゴム、または、エステル系ゴムを用いることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る制振壁の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態である制振壁10の正面図であり、図2は制振壁10の鉛直断面図である。これらの図面には、制振壁10が鉄骨の大梁2,4を備える鉄骨造の建物に構築された場合を示している。
【0016】
図1および図2に示すように、制振壁10は、鋼板により構成された第1制振板12および第2制振板14を備えている。第1制振板12は上側の大梁2に固定され、一方、第2制振板14は下側の大梁4に固定されている。図2から分かるように、本実施形態では、2枚の第2制振板14が1枚の第1制振板12のほぼ全面をその両側から隙間を隔てて挟むように構成している。
【0017】
第1制振板12は、上側の大梁2の下フランジに溶接された突設部材16に、接続板18を介してボルト締めされている。また、第2制振板14は、下側の大梁4の上フランジに溶接された突設部材20を両側から挟むようにボルト締めされている。建物のスラブ22は、第2制振板14のボルト締め後に施工される。なお、制振板12,14の大梁2,4への固定部の構成は上記のものに限らず、他の適宜な構成を用いることができる。
【0018】
第1制振板12と第2制振板14との間の隙間には、粘弾性部材24が介装されている。粘弾性部材24は、例えば、スチレン系ゴム等の等価減衰定数が大きく、かつ、剛性の低い(例えば、試験温度20℃、加振振動数0.5Hz、歪1%の条件下でのせん断剛性係数が0.1N/mm2〜2N/mm2の)材料で構成されており、粘弾性的に変形することにより減衰力を発生してエネルギーを吸収する。なお、粘弾性部材24として、スチレン系ゴムのほか、アスファルト系ゴム、アクリル系ゴム、オレフィン系ゴム、ブチル系ゴム、エステル系ゴムその他適宜な材料を用いることができる。この粘弾性部材24は、第1制振板12および第2制振板14の夫々に接着剤によって接着されている。本実施形態では、水平方向に延びる帯状に形成した複数の粘弾性部材24を上下に互いに間隔をおいて配置しており、粘弾性部材24の間に、制振壁10の左辺から右辺へ至るスリット26が形成されている。すなわち、粘弾性部材24がスリット26により分割された構成としている。
【0019】
なお、粘弾性部材24の厚み(つまり制振板12,14間の隙間)は、例えば、約12mm程度としているが、この寸法は、粘弾性部材24に必要とされるせん断剛性の大きさ等に応じて適宜設計すればよい。
【0020】
第2制振板14の上下端部近傍および上下の略中央部には夫々1対のアングル部材28が第2制振板14を両側から挟むようにボルト締めされている。このアングル部材28は、2枚の第2制振板14を両側から拘束することで、両者の間隔が広がるのを防止する機能を有している。なお、場合によっては中央部のアングル部材28は省略して上下端部近傍の2対のアングル部材28のみを設けてもよく、あるいは、必要であれば4対以上のアングル部材28を設けてもよい。
【0021】
また、図1に示すように、制振壁10には、貫通孔30が設けられている。貫通孔30は、建物のダクトその他の配管など各種設備を挿通させるためのものである。この貫通孔30は必要に応じて必要な位置に設けられる。
【0022】
以上の構成によれば、地震や強風の影響で建物が振動すると、上下の大梁2,4に夫々固定された第1制振板12および第2制振板14が水平方向に相対変位することで、粘弾性部材24にせん断変形が生ずる。粘弾性部材24は、かかるせん断変形によって減衰力を発生して振動エネルギーを吸収し、これにより、制振効果が得られることとなる。
【0023】
そして、本実施形態では、制振壁10のほぼ全面にわたって粘弾性部材24を設けているため、粘弾性部材24の面積は大きくなっている。粘弾性部材24が発生する減衰力の大きさは、粘弾性部材24の面積に比例するから、本実施形態のように粘弾性部材24が大面積化されることで、より大きな減衰力が発生する。したがって、本実施形態の制振壁10によれば、大地震等の大きな振動に対しても高い制振効果を得ることが可能となる。
【0024】
なお、粘弾性部材24を大面積化すると、それに伴って、せん断剛性も大きくなる。そして、せん断剛性が大きくなり過ぎると、大地震等の大きな振動の際にも粘弾性部材24には小さなせん断変形しか生じず、また、大梁2,4に粘弾性部材24から大きな力がかかることになって建物架構の強度設計が難しくなってしまう。これに対して、本実施形態では、粘弾性部材24としてスチレン系ゴムなどの初期剛性の低いゴムを用いているので、粘弾性部材24を大面積化しても、そのせん断剛性を低く抑えることができる。このため、大地震等の場合に建物架構に大きな力がかかるのを防止しつつ、粘弾性部材24を十分にせん断変形させて高い制振効果を得ることが可能となっている。
【0025】
なお、上記のように、減衰力の大きさは粘弾性部材24の面積にほぼ比例するので、粘弾性部材24の面積を適宜変えることにより、制振性能を調節することが可能である。
【0026】
また、本実施形態では、粘弾性部材24の間にスリット26を形成しているため、粘弾性部材24を第1制振板12および第2制振板14に接着剤で接着する際に、接着面に入り込んだ空気をスリット26から外部へ逃がすことができる。すなわち、大面積の粘弾性部材をそのまま接着しようとすると、接着面に入り込んだ空気の逃げ場がなく、接着面にそのまま残存して接着強度を低下させてしまうことになるが、本実施形態では、スリット26から空気を逃がすことで、接着面への空気の残存を防止して、大きな接着強度を確保できるようになっている。なお、各粘弾性部材24の幅や、その間隔(スリット26の幅)は、所望の制振性能が得られるだけの粘弾性部材24の全体面積を確保できることを前提条件として、接着面からの空気の逃がし易さを考慮して適宜設定すればよい。
【0027】
さらに、オイルの粘性によって制振効果を得るオイル型制振壁の場合には、オイル漏れが起きるために開口部を設けることができないが、本実施形態によれば、固体である粘弾性部材24により制振効果を得ているため、不都合なく制振壁10に貫通孔30を開けることができる。
【0028】
なお、上記実施形態では、粘弾性部材24を水平方向に延びる帯状に配置し、スリット26が制振壁10の左右の辺の間を水平方向に横断する構成とした。しかしながら、これに限らず、例えば、粘弾性部材24を鉛直方向に延びる帯状に配置し、スリット26が制振壁10の上下の辺の間を鉛直方向に横断する構成としてよいし、あるいは、スリット26が制振壁10を斜め方向に横断する構成としてもよい。要するに、スリット26は、粘弾性部材24の制振板12,14への接着面を外部に連通する空間として機能すればよく、その限りでどの方向を向いていてもよいし、直線的に延びる構成に限らず、曲線的な形状を有していてもよい。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2実施形態である制振壁100の正面図であり、図4は制振壁100の鉛直断面図である。なお、本実施形態において上記第1実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0030】
図3および図4に示す如く、本実施形態の制振壁100では、1枚の大面積の粘弾性部材124を第1制振板12および第2制振板14の間に介装し、各制振板12、14には多数の空気抜き孔102を形成している。かかる構成によれば、粘弾性部材124の制振板12,14への接着の際、接着面に入り込んだ空気が空気抜き穴102から抜ける。このため、接着面に空気が残存するのを防止でき、上記第1実施形態と同様に、大きな接着強度を確保することができる。
【0031】
なお、上記第1および第2実施形態では、本発明の制振壁が鉄骨造の建物に適用された場合を示したが、本発明の制振壁は鉄骨造に限らず適用可能である。例えば、第1実施形態の制振壁10を鉄筋コンクリート造(または鉄骨鉄筋コンクリート造)の建物に適用する場合は、図5の断面図に例示するような構成を用いることができる。同図に示すように、上側のコンクリート大梁2Aには、取付板50の背面に設けられたスタッド52を打設すると共に、下側のコンクリート大梁2Bには、取付板54の背面に設けられたスタッド56を打設している。上側の取付板50には一対の支持ブラケット58を溶接し、それら支持ブラケット58の間に第1制振板12の上端部を挟持させてボルト締めしている。また、下側の取付板54には単体の支持ブラケット60を溶接し、この支持ブラケット60の両側を第2制振板14で挟んでボルト締めしている。
【0032】
なお、上記各実施形態では、2枚の第2制振板14が1枚の第1制振板12を両側から挟むように構成したが、本発明は、これに限らず、例えば、2枚の第1制振板12が1枚の第2制振板14を両側から挟むような構成としてもよいし、1枚ずつ設けられた第1制振板12と第2制振板14とが隙間を隔てて重なり合う構成としてもよい。あるいは、第1制振板12および第2制振板14を夫々2枚以上設け、第1制振板12と第2制振板14とが隙間を隔てて交互に重なり合う構成としてもよい。要するに、第1制振板12および第2制振板14が少なくとも1枚ずつ設けられ、それらが、隙間を隔てて重なり合うように配置され、その隙間に粘弾性部材が介装される構成であればよい。
【0033】
また、上記実施形態では第1制振板12および第2制振板14が鋼板により構成されるものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、地震時に入力され得る最大のせん断力に耐える材料であれば、例えばFRP(繊維強化プラスチック)など鋼板以外の材料を制振板として用いることも可能である。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、粘弾性材料を用いて構成した制振壁により、大きな地震に対して優れた制振効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である制振壁の正面図である。
【図2】図1に示す制振壁の鉛直断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態である制振壁の正面図である。
【図4】図3に示す制振壁の鉛直断面図である。
【図5】本発明の制振壁を鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の建物に適用した場合の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10,100 制振壁
12 第1制振板
14 第2制振板
22 スラブ
24,124 粘弾性部材
26 スリット
30 貫通孔
102 空気抜き孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘弾性部材の変形によって振動エネルギーを吸収するように構成された制振壁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、特許文献1に開示される制振装置が公知である。この制振装置は、互いに重なり合うように配置された第1および第2の制振板と、これら制振板の間に介装された粘弾性部材とからなる制振構造体を備えている。粘弾性部材はゴムの一種により構成され、その変形に応じて減衰力を発生させる。建物の上方梁および下方梁には夫々突出部が設けられ、両突出部の間に上記制振構造体が設置されている。かかる構成によれば、風や地震により建物が振動すると、第1および第2の制振板が水平方向に相対的に変位する。この相対変位に伴って、粘弾性部材がせん断変形することで減衰力を発生し、これにより、制振効果が得られることとなる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−20557号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の制振装置において、粘弾性部材はその面積が大きいほど、大きな減衰力を発生する。したがって、粘弾性部材を大面積化して壁全体にわたる制振壁として構成すれば、より大きな制振効果を得ることができる。しかしながら、従来、粘弾性部材として用いることが可能なゴムは初期剛性(無荷重状態での剛性)が高いため、上記従来の制振装置で粘弾性部材を大面積化すると、粘弾性部材全体のせん断剛性が建物自体の剛性に対して大きくなってしまう。その場合、粘弾性部材が僅かに変形しただけで、粘弾性部材から建物架構に多大な力がかかることになるため、建物架構の構造設計が困難になってしまう。
【0005】
また、粘弾性部材を大面積化すると、粘弾性部材を制振板に接着する際に接着面に空気が入り込んでそのまま残留し易くなる。このように接着面に空気が残留した場合、接着強度が大幅に低下してしまう。
【0006】
これに対して、上記従来の制振装置は間柱型に構成されており、粘弾性部材の面積はさほど大きくならないようになっている。したがって、風や小規模地震による比較的小さな振動に対して十分な制振効果が得られ、また、接着面への空気の残留も起き難いと考えられる。その一方、大地震等の大きな振動に対して制振効果を得ようとすると、粘弾性部材を用いた制振装置では上記のような大面積化による問題があるため、従来は、オイルの粘性によって減衰力を得るオイル型制振壁を用いざるを得なかった。
【0007】
しかし、一般に、建物の壁には、ダクトその他の配管等の各種設備を挿通させるための開口を設ける必要のある場合が多いのに対して、オイル型制振壁ではオイル漏れのおそれがあるため開口を設けることは困難である。したがって、粘弾性部材を用いて制振壁を構築できることが望ましい。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、大きな地震に対して優れた制振効果を発揮し得る、粘弾性材料を用いた制振壁を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、建物の振動に応じて粘弾性部材が変形することにより振動を減衰させるように構成された制振壁であって、
当該制振壁の上側の梁に対して固定された第1の制振板と、
該第1の制振板と隙間を隔てて重なり合うように、当該制振壁の下側の梁に対して固定された第2の制振板とを備え、
前記粘弾性部材は前記第1および第2の制振板の間に介装されていると共に、前記粘弾性部材と前記第1および第2の制振板との接着面を外部に連通させる連通空間が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、上下の梁に対して固定された第1および第2の制振板の間に粘弾性部材が介装される。このため、地震により建物架構が振動すると、粘弾性部材がせん断変形することで減衰力が発生し、制振効果が得られる。また、粘弾性部材と各制振板との接着面を外部に連通させる連通空間が設けられるので、粘弾性部材の接着時に接着面へ入り込んだ空気を、この連通空間から外部へ逃がしながら接着できる。このため、粘弾性部材を大面積化した場合に、接着面に空気が残存するのを防止できる。したがって、本発明によれば、粘弾性部材を大面積化することで、大きな振動に対して高い制振効果を得ることができる。
【0011】
この制振壁において、前記粘弾性部材は一または複数のスリットによって分割されており、当該スリットが前記連通空間として機能することとしてもよい。また、前記連通空間は、前記第1および第2の制振板に設けられた空気抜き穴であってもよい。
【0012】
また、本発明において、粘弾性材料として、剛性が低い(例えば試験温度20℃、加振振動数0.5Hz、歪1%の条件下でのせん断剛性係数が0.1N/mm2以上2N/mm2以下の)材料を用いるようにすれば、粘弾性材料を大面積化した場合にも、その剛性を低く抑えることができる。このため、粘弾性材料を大面積化することで大きな振動に対して高い制振効果を得つつ、粘弾性材料から建物架構に大きな力がかかるのを防止することができる。
【0013】
また、粘弾性材料として、スチレン系ゴム、アスファルト系ゴム、アクリル系ゴム、オレフィン系ゴム、ブチル系ゴム、または、エステル系ゴムを用いることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る制振壁の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態である制振壁10の正面図であり、図2は制振壁10の鉛直断面図である。これらの図面には、制振壁10が鉄骨の大梁2,4を備える鉄骨造の建物に構築された場合を示している。
【0016】
図1および図2に示すように、制振壁10は、鋼板により構成された第1制振板12および第2制振板14を備えている。第1制振板12は上側の大梁2に固定され、一方、第2制振板14は下側の大梁4に固定されている。図2から分かるように、本実施形態では、2枚の第2制振板14が1枚の第1制振板12のほぼ全面をその両側から隙間を隔てて挟むように構成している。
【0017】
第1制振板12は、上側の大梁2の下フランジに溶接された突設部材16に、接続板18を介してボルト締めされている。また、第2制振板14は、下側の大梁4の上フランジに溶接された突設部材20を両側から挟むようにボルト締めされている。建物のスラブ22は、第2制振板14のボルト締め後に施工される。なお、制振板12,14の大梁2,4への固定部の構成は上記のものに限らず、他の適宜な構成を用いることができる。
【0018】
第1制振板12と第2制振板14との間の隙間には、粘弾性部材24が介装されている。粘弾性部材24は、例えば、スチレン系ゴム等の等価減衰定数が大きく、かつ、剛性の低い(例えば、試験温度20℃、加振振動数0.5Hz、歪1%の条件下でのせん断剛性係数が0.1N/mm2〜2N/mm2の)材料で構成されており、粘弾性的に変形することにより減衰力を発生してエネルギーを吸収する。なお、粘弾性部材24として、スチレン系ゴムのほか、アスファルト系ゴム、アクリル系ゴム、オレフィン系ゴム、ブチル系ゴム、エステル系ゴムその他適宜な材料を用いることができる。この粘弾性部材24は、第1制振板12および第2制振板14の夫々に接着剤によって接着されている。本実施形態では、水平方向に延びる帯状に形成した複数の粘弾性部材24を上下に互いに間隔をおいて配置しており、粘弾性部材24の間に、制振壁10の左辺から右辺へ至るスリット26が形成されている。すなわち、粘弾性部材24がスリット26により分割された構成としている。
【0019】
なお、粘弾性部材24の厚み(つまり制振板12,14間の隙間)は、例えば、約12mm程度としているが、この寸法は、粘弾性部材24に必要とされるせん断剛性の大きさ等に応じて適宜設計すればよい。
【0020】
第2制振板14の上下端部近傍および上下の略中央部には夫々1対のアングル部材28が第2制振板14を両側から挟むようにボルト締めされている。このアングル部材28は、2枚の第2制振板14を両側から拘束することで、両者の間隔が広がるのを防止する機能を有している。なお、場合によっては中央部のアングル部材28は省略して上下端部近傍の2対のアングル部材28のみを設けてもよく、あるいは、必要であれば4対以上のアングル部材28を設けてもよい。
【0021】
また、図1に示すように、制振壁10には、貫通孔30が設けられている。貫通孔30は、建物のダクトその他の配管など各種設備を挿通させるためのものである。この貫通孔30は必要に応じて必要な位置に設けられる。
【0022】
以上の構成によれば、地震や強風の影響で建物が振動すると、上下の大梁2,4に夫々固定された第1制振板12および第2制振板14が水平方向に相対変位することで、粘弾性部材24にせん断変形が生ずる。粘弾性部材24は、かかるせん断変形によって減衰力を発生して振動エネルギーを吸収し、これにより、制振効果が得られることとなる。
【0023】
そして、本実施形態では、制振壁10のほぼ全面にわたって粘弾性部材24を設けているため、粘弾性部材24の面積は大きくなっている。粘弾性部材24が発生する減衰力の大きさは、粘弾性部材24の面積に比例するから、本実施形態のように粘弾性部材24が大面積化されることで、より大きな減衰力が発生する。したがって、本実施形態の制振壁10によれば、大地震等の大きな振動に対しても高い制振効果を得ることが可能となる。
【0024】
なお、粘弾性部材24を大面積化すると、それに伴って、せん断剛性も大きくなる。そして、せん断剛性が大きくなり過ぎると、大地震等の大きな振動の際にも粘弾性部材24には小さなせん断変形しか生じず、また、大梁2,4に粘弾性部材24から大きな力がかかることになって建物架構の強度設計が難しくなってしまう。これに対して、本実施形態では、粘弾性部材24としてスチレン系ゴムなどの初期剛性の低いゴムを用いているので、粘弾性部材24を大面積化しても、そのせん断剛性を低く抑えることができる。このため、大地震等の場合に建物架構に大きな力がかかるのを防止しつつ、粘弾性部材24を十分にせん断変形させて高い制振効果を得ることが可能となっている。
【0025】
なお、上記のように、減衰力の大きさは粘弾性部材24の面積にほぼ比例するので、粘弾性部材24の面積を適宜変えることにより、制振性能を調節することが可能である。
【0026】
また、本実施形態では、粘弾性部材24の間にスリット26を形成しているため、粘弾性部材24を第1制振板12および第2制振板14に接着剤で接着する際に、接着面に入り込んだ空気をスリット26から外部へ逃がすことができる。すなわち、大面積の粘弾性部材をそのまま接着しようとすると、接着面に入り込んだ空気の逃げ場がなく、接着面にそのまま残存して接着強度を低下させてしまうことになるが、本実施形態では、スリット26から空気を逃がすことで、接着面への空気の残存を防止して、大きな接着強度を確保できるようになっている。なお、各粘弾性部材24の幅や、その間隔(スリット26の幅)は、所望の制振性能が得られるだけの粘弾性部材24の全体面積を確保できることを前提条件として、接着面からの空気の逃がし易さを考慮して適宜設定すればよい。
【0027】
さらに、オイルの粘性によって制振効果を得るオイル型制振壁の場合には、オイル漏れが起きるために開口部を設けることができないが、本実施形態によれば、固体である粘弾性部材24により制振効果を得ているため、不都合なく制振壁10に貫通孔30を開けることができる。
【0028】
なお、上記実施形態では、粘弾性部材24を水平方向に延びる帯状に配置し、スリット26が制振壁10の左右の辺の間を水平方向に横断する構成とした。しかしながら、これに限らず、例えば、粘弾性部材24を鉛直方向に延びる帯状に配置し、スリット26が制振壁10の上下の辺の間を鉛直方向に横断する構成としてよいし、あるいは、スリット26が制振壁10を斜め方向に横断する構成としてもよい。要するに、スリット26は、粘弾性部材24の制振板12,14への接着面を外部に連通する空間として機能すればよく、その限りでどの方向を向いていてもよいし、直線的に延びる構成に限らず、曲線的な形状を有していてもよい。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2実施形態である制振壁100の正面図であり、図4は制振壁100の鉛直断面図である。なお、本実施形態において上記第1実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0030】
図3および図4に示す如く、本実施形態の制振壁100では、1枚の大面積の粘弾性部材124を第1制振板12および第2制振板14の間に介装し、各制振板12、14には多数の空気抜き孔102を形成している。かかる構成によれば、粘弾性部材124の制振板12,14への接着の際、接着面に入り込んだ空気が空気抜き穴102から抜ける。このため、接着面に空気が残存するのを防止でき、上記第1実施形態と同様に、大きな接着強度を確保することができる。
【0031】
なお、上記第1および第2実施形態では、本発明の制振壁が鉄骨造の建物に適用された場合を示したが、本発明の制振壁は鉄骨造に限らず適用可能である。例えば、第1実施形態の制振壁10を鉄筋コンクリート造(または鉄骨鉄筋コンクリート造)の建物に適用する場合は、図5の断面図に例示するような構成を用いることができる。同図に示すように、上側のコンクリート大梁2Aには、取付板50の背面に設けられたスタッド52を打設すると共に、下側のコンクリート大梁2Bには、取付板54の背面に設けられたスタッド56を打設している。上側の取付板50には一対の支持ブラケット58を溶接し、それら支持ブラケット58の間に第1制振板12の上端部を挟持させてボルト締めしている。また、下側の取付板54には単体の支持ブラケット60を溶接し、この支持ブラケット60の両側を第2制振板14で挟んでボルト締めしている。
【0032】
なお、上記各実施形態では、2枚の第2制振板14が1枚の第1制振板12を両側から挟むように構成したが、本発明は、これに限らず、例えば、2枚の第1制振板12が1枚の第2制振板14を両側から挟むような構成としてもよいし、1枚ずつ設けられた第1制振板12と第2制振板14とが隙間を隔てて重なり合う構成としてもよい。あるいは、第1制振板12および第2制振板14を夫々2枚以上設け、第1制振板12と第2制振板14とが隙間を隔てて交互に重なり合う構成としてもよい。要するに、第1制振板12および第2制振板14が少なくとも1枚ずつ設けられ、それらが、隙間を隔てて重なり合うように配置され、その隙間に粘弾性部材が介装される構成であればよい。
【0033】
また、上記実施形態では第1制振板12および第2制振板14が鋼板により構成されるものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、地震時に入力され得る最大のせん断力に耐える材料であれば、例えばFRP(繊維強化プラスチック)など鋼板以外の材料を制振板として用いることも可能である。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、粘弾性材料を用いて構成した制振壁により、大きな地震に対して優れた制振効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である制振壁の正面図である。
【図2】図1に示す制振壁の鉛直断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態である制振壁の正面図である。
【図4】図3に示す制振壁の鉛直断面図である。
【図5】本発明の制振壁を鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の建物に適用した場合の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10,100 制振壁
12 第1制振板
14 第2制振板
22 スラブ
24,124 粘弾性部材
26 スリット
30 貫通孔
102 空気抜き孔
Claims (5)
- 建物の振動に応じて粘弾性部材が変形することにより振動を減衰させるように構成された制振壁であって、
当該制振壁の上側の梁に対して固定された第1の制振板と、
該第1の制振板と隙間を隔てて重なり合うように、当該制振壁の下側の梁に対して固定された第2の制振板とを備え、
前記粘弾性部材は前記第1および第2の制振板の間に介装されていると共に、前記粘弾性部材と前記第1および第2の制振板との接着面を外部に連通させる連通空間が設けられていることを特徴とする制振壁。 - 請求項1記載の制振壁において、前記粘弾性部材は一または複数のスリットによって分割されており、当該スリットが前記連通空間として機能することを特徴とする制振壁。
- 請求項1記載の制振壁において、前記連通空間は、前記第1および第2の制振板に設けられた空気抜き穴であることを特徴とする制振壁。
- 請求項1〜3のうち何れか1項記載の制振壁において、前記粘弾性材料は、試験温度20℃、加振振動数0.5Hz、歪1%の条件下でのせん断剛性係数が0.1N/mm2以上2N/mm2以下の材料であることを特徴とする制振壁。
- 請求項1〜3のうち何れか1項記載の制振壁において、前記粘弾性材料は、スチレン系ゴム、アスファルト系ゴム、アクリル系ゴム、オレフィン系ゴム、ブチル系ゴム、または、エステル系ゴムであることを特徴とする制振壁。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010116660A1 (ja) | 2009-04-07 | 2010-10-14 | 株式会社構造材料研究会 | 異方性補強金属板 |
CN102791940A (zh) * | 2010-03-16 | 2012-11-21 | 株式会社构造材料研究会 | 长方形金属平板的加强构造 |
-
2003
- 2003-03-06 JP JP2003059672A patent/JP2004270208A/ja active Pending
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US8615969B2 (en) | 2010-03-16 | 2013-12-31 | Suzuki Laboratory of Material and Structure Co. Ltd. | Reinforcement structure of rectangular flat metal plate |
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