JP2004270086A - タイヤコードの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストのタイヤコードの製造方法を提供する。
【解決手段】多数本の経糸6に対し長手方向所要間隔毎に緯糸13を打込んで製織した長尺のすだれ織物3をロール状に巻回しておき、この巻回体の織物の耳部からタイヤコードとなる複数本の経糸6を互いに独立して順次切離して巻回体の軸方向から引出し、これら複数本の経糸6を撚り合せて巻取ボビン12に巻き取り、均一なテンションで引き出せるようにする。また、ボビン12を回転自在に支持する支持台21を回転軸周りに回転駆動すると共に、ボビン12から引き出した複数本のコードを複数の引出しプーリ23により分離して引き出す。この際、コードの撚りピッチに応じて支持台の回転速度を回転制御し、コードを引き出す。
【選択図】図1
【解決手段】多数本の経糸6に対し長手方向所要間隔毎に緯糸13を打込んで製織した長尺のすだれ織物3をロール状に巻回しておき、この巻回体の織物の耳部からタイヤコードとなる複数本の経糸6を互いに独立して順次切離して巻回体の軸方向から引出し、これら複数本の経糸6を撚り合せて巻取ボビン12に巻き取り、均一なテンションで引き出せるようにする。また、ボビン12を回転自在に支持する支持台21を回転軸周りに回転駆動すると共に、ボビン12から引き出した複数本のコードを複数の引出しプーリ23により分離して引き出す。この際、コードの撚りピッチに応じて支持台の回転速度を回転制御し、コードを引き出す。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数本の経糸に対し長手方向所要間隔毎に緯糸を打込んで製織した長尺のすだれ織物からタイヤコードを得るための製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、タイヤにおける補強層等のコードを補強材とする構成部分を、シングルのコードを用いて周方向でジョイント部を生じさせない構造(ジョイントレスタイヤ)にすることが提案され、このタイヤコードを容易かつ低コストで得るために、種々の提案がなされている。
【0003】
特許文献1には、多数本の経糸に対し長手方向所要間隔毎に緯糸を打込んで製織した長尺のすだれ織物からタイヤコードを得るために、織物を巻き戻しながら2cmから30cm幅に分離されるように分割部を緯糸方向に押し広げながら緯糸を切断することによって粗分割した後、さらに同様にして経糸群が0.5cmから5cmは場になるように緯糸を切断することによって細分割した後、それぞれの単糸をほぐしながら巻き取るタイヤコード織物より経糸を回収する方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、コードになる多数本の経糸に対し長手方向所定間隔後とに緯糸を打ち込んで製織した長尺の簾織物を、接着剤処理を施した後にロール状に巻き取っておき、この巻取り体から簾織物を一方向に引き出しながら、その引出し走行部分において、簾織物の経糸を側端側から順に1本づつ走行方向に位置をずらせて側方に引き離し、タイヤコードを得る方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭52−121538号公報(特許請求の範囲参照)
【特許文献2】特開2000−198148号公報(請求項1参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1および特許文献2は、いずれも長尺の簾織物から複数本の経糸を抜取り、一つの巻取ボビンに巻き取る際に利用できる手法であるが、同時に複数本の経糸を抜取り、タイヤコードとして巻取ボビンに並列して巻き取る場合、後述(図4の説明を参照)するように、外層側の複数本の経糸コードを既に巻き取った内層側の経糸コードの山側頂部に均一に巻き取ることができず、その一部の経糸コードが既に巻き取った内層側の隣接するコード間の谷に落ち込むことがある。そのため、複数本のコードを均一なテンションで引き出すことができない。
【0007】
仮に、複数本のコードを整列して巻き取れたとしても、巻取ボビンの輸送中に振動などによりコードがずれる可能性が大きく、上記と同様に複数本のコードを均一なテンションで引き出すことができないといった問題点がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑み、複数本のコードを巻取ボビンに均一なテンションで巻き付け、かつ引き出すことができるタイヤコードの製造方法の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明においては、複数本のコードを撚り合せて巻取ボビンに巻き取り、このコードを引き出す際に均一なテンションで引き出せるようにしたものである。
【0010】
そのタイヤコードとしては、多数本の経糸に対し長手方向所要間隔毎に緯糸を打込んで製織した長尺のすだれ織物から、経糸を引き出し、これを利用することができる。これにより、接着剤処理等の処理済コードを容易に得ることができ、低コストのタイヤコードを得ることができる。
【0011】
本発明においては、上記すだれ織物をロール状に巻回しておき、この巻回体の織物の耳部からタイヤコードとなる複数本の経糸を互いに独立して順次切離して巻回体の軸方向から引出し、これら複数本の経糸を撚り合せて巻取ボビンに巻き取ることを特徴としている。
【0012】
上記の製造方法によると、複数本の経糸を一つの巻回体の織物から引き出すことができるので、複数本の経糸(コード)を均一なテンションでの巻取ることができる。
【0013】
より具体的な製造方法としては、簾織物の経糸の引出し側の巻芯端部に巻芯側から半径方向に長い複数の導糸孔が放射状に形成されたガイド部材を巻回体の軸中心周りに回転自在に配置しておき、前記経糸を前記導糸孔を通して引出すようにし、この際、経糸の引き出しに伴う経糸引出し位置の移行に合せて前記ガイド部材を回転させることにより、束ねた複数本の経糸を撚り合わせることができる。
【0014】
この製造方法によると、ガイド部材の導糸孔を通る経糸を集束部(例えば、集束プーリ)を通して巻取ボビンに導けば、ガイド部材の回転により、集束部に集められた複数本の経糸(コード)が撚り合わされることになる。
【0015】
この際、経糸は、集束部を中心として巻回体を周回するように引き出され、その中間に位置するガイド部材の導糸孔を通ることにより、導糸孔の孔壁との間の摩擦抵抗によりガイド部材を経糸の周回方向に回転させることになる。従って、集束部に集められた経糸(コード)の束は集束部において撚り合わされる。この場合、経糸が1周すれば、1回の撚りが掛けられることになる。経糸は、巻回体の外層側の周回長さよりも内層側の周回長さの方が徐々に短くなるので、巻回体が外層側から内層側に向かうほど、コード単位長さ当たりの撚り数が巻回体の外層から内層にかけて徐々に多くなる、つまりコード束の撚りピッチが巻回体の外層から内層にかけて徐々に小さくなることになる。
【0016】
従って、前記コード束を巻取ボビンに複数層に積層させて巻き取る際には、コード束の撚りピッチが内層から外層にかけて徐々に小さくなるように変化させることができる。
【0017】
このように、撚り合わされて巻取ボビンに巻き取られた複数本のコードは、シングルのコードとして使用する場合には、その撚りを戻してシングルコードとして引き出す必要がある。
【0018】
そこで、本発明では、複数本のコードを束ねて撚りを掛けながら巻き取った巻取ボビンから前記コード束の撚りを戻して、複数本のコードを互いに分離しながら引き出すことを特徴としている。これにより、複数本のコードが均一なテンションで引き出すことができ、精度の高いシングルコードを提供することができる。
【0019】
この場合の具体的な引出し方法としては、巻取ボビンを回転自在に支持する支持台を回転軸周りに回転駆動すると共に、前記巻取ボビンから引き出した複数本のコードを複数の引出しプーリにより分離して引き出すことができる。この際、コード単位長さ当たりの撚り数がコード長さ方向で相違する場合、つまり撚りピッチが相違する場合、そのコード束の撚りピッチに応じて支持台の回転速度を回転制御すれば、正確に撚り戻されたコードを提供することができる。
【0020】
このコード束の撚り数は、巻取ボビンと引出しプーリとの間に配置されたねじれ角センサーからの信号により巻取ボビンから引き出されるコード束のねじれ角を検出し、その検出信号により前記支持台の回転速度を制御することができる。
【0021】
この製造方法によると、単位長さ当たりの撚り数によって巻取ボビンからの撚り戻し位置がコードの長さ方向で変化し、撚り戻し位置と引出しプーリとのなす角度が変化するため、この角度変化をねじれ角検出センサーで検知し、その検出信号によってねじれ角が大きいときは支持台の回転速度を速くし、ねじれ角が小さいときは支持台の回転速度を遅くして、コード束を正確に撚り戻しことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態である簾織物からタイヤコードを抜取るコード抜取り装置の概略を示す斜視図、図2はすだれ織物からの経糸の抜取り状態を拡大して示した図、図3は巻取ボビンのコード束からタイヤコードを引き出す引出し装置を示す概略斜視図である。
【0023】
図1に示すように、簾織物からタイヤコードとなる経糸を抜取る抜取り装置1は、巻芯2にロール状に巻回された長尺の簾織物3からなる巻回体4を支持する支持台5と、前記巻回体4の軸方向一側において回転自在に支持され、簾織物3の耳部から抜取った経糸6を通す複数の導糸孔7を有するガイド部材8と、該ガイド部材8のさらに下流側(上方)に設けられ複数本の経糸6を集束させる集束プーリ9と、該集束プーリ9で集束されたコード束10をガイドプーリ11を介して巻き取る巻取ボビン12とを備え、経糸6の抜取りに伴う経糸抜取り位置の移行に合せてガイド部材8を回転させることにより、複数本の経糸6を撚り合せながらコード束として前記巻取ボビン12に巻き取るようにしている。
【0024】
図2に示すように、コードの素材となる簾織物3は、タイヤコード製造対象となる繊維コード等を経糸6に使用し、この経糸6を多数本、例えば1000本〜2000本引き揃え、これら経糸6を繋ぐように長手方向所要間隔毎に細い緯糸13が打ち込まれて製織されている。
【0025】
緯糸13は、織物の側端部で折返すことにより1本の糸を連続して打ち込むほか、両側端部で切断した有限糸を打ち込んで製織してもよい。緯糸13の間隔は、後の接着剤や樹脂処理および熱処理等の取扱い上の問題が生じず、しかも処理後の簾織物3からの経糸6を容易に抜取ることができる比較的大きい間隔とする。例えば10〜150mmの範囲に設定する。この緯糸13には、樹脂処理等により経糸6と緯糸13が強固に接着された状態になると、経糸の抜取りが困難になる場合があるので、緯糸13にテフロン(登録商標)コーティング加工を施して接着性を低下させておいてもよい。
【0026】
また、タイヤのベルト等の補強層をシングルコードで構成する場合、タイヤサイズによっても異なるが、一般には700〜1000mを必要とすることから、コードを取り出す簾織物3は、通常、前記より長く、例えば1000〜3000mの長尺に製織し、製織した簾織物3に通常の手段により必要な接着剤や樹脂処理および熱処理等の処理を施す。これにより、多数本のコードになる経糸6を一度に効率よく処理することができる。
【0027】
この樹脂処理等を施した簾織物3を巻芯2にロール状に巻回して巻回体4を構成する。また、すだれ織物3の巻始めおよび巻終り端部には、50〜150mm程度の幅で、緯糸13の打込みを密にしたタビー15が形成され、織物形態を保持できるようになっている。
【0028】
簾織物3から経糸6を抜取る際は、例えば、図1に示すように、巻回体4の巻芯2を上下方向にして軸方向一側を上方に開放させて支持台5上に支持する。支持台5は、巻回体4の下部を受けるトレー状に形成されている。
【0029】
巻回体4から経糸6を抜取るには、図2に示すように、軸方向の一方端である上端側からタビー15を有する巻終り端部の近傍において経糸6を1本ずつカットAして簾織物3の下部側部分と切離す。そして、本実施形態の場合、図2に示すように、4本の経糸6をカットし、これらを一度に軸方向で上方に引き出すようにする。この引出し力で、経糸6は緯糸13との絡みあるいは樹脂処理等による固着を解除しながら引出される。
【0030】
巻回体4の軸方向で上方にあるガイド部材8は、巻芯2の軸中心周りに回転自在に支持されている。このガイド部材8には、回転軸中心から半径方向で外側に向かって4個の長孔の導糸孔7が放射状に形成されている。
【0031】
このガイド部材8のさらに上方に設けられた集束プーリ9は、複数本の経糸6(コード)を束ねる機能と共に、ガイド部材8の回転によりコード束に撚りを掛けるための固定点としても機能する。両機能を達成するため、集束プーリはフランジ付きプーリであるのが好ましい。
【0032】
集束プーリ9で集束されたコード束10を巻取ボビン12に導くガイドプーリ11は、集束プーリ9に集束されたコード束10に撚りを掛けやすいように、集束プーリ9とほぼ水平に配置されている。
【0033】
このガイドプーリ11は、その下方に位置する巻取ボビン12に整列してコード束を導きやすいように軸方向にトラバース(往復動)するトラバースガイドとして機能させてもよい。
【0034】
巻取ボビン12は、巻回体4から経糸6を引き出す引出し力を与えるために回転自在に駆動制御される。また、別の実施態様として、コード束の引き出し経路に駆動ローラなどを配置して、その部位で引き出し力を与えるようにしてもよい。また、巻取ボビンは、コード束10を巻取り径の変化に応じて回転速度を制御できるようになっている。
【0035】
上記抜取り装置1を使用したタイヤコードの抜取り方法を説明すると、簾織物3の経糸6の引出し側の巻芯2の端部側から複数本の経糸6を前記の方法で導糸孔7を通して引出すようにする。この際、経糸6の引き出しに伴い経糸引出し位置は巻回体4の周囲を移動することになる。この移行によりガイド部材8の導糸孔7の孔壁と経糸6との間の摩擦抵抗によりガイド部材8が経糸6の周回方向に回転させることになる。
【0036】
このガイド部材8を通って上方に引き出される経糸6は、集束プーリ9で集束された後、ほぼ直交する方向に移動するので、集束プーリ9部位が固定点となり、それよりガイド部材8側の経糸6が集束プーリ9を中心に旋回運動を行うことになるので、集束プーリ9の部位で集められたコード束に撚りが掛けられる。そのため、巻取ボビン12に巻き取られるコード束は、経糸6の複数本(本実施形態では4本)が撚り合わされたコード束となる。
【0037】
このとき、経糸6が集束プーリ9を中心に1周すれば、1回の撚りが掛けられることになるが、経糸6は巻回体4の外層側から内層側に徐々に抜取られていくことになる。このとき、経糸6の外層側の周回長さよりも内層側の周回長さの方が徐々に短くなるので、巻回体4が外層側から内層側に向かうほど、コード単位長さ当たりの撚り数が徐々に多くなる。従って、前記コード束を巻取ボビンに複数層に積層させて巻き取る際には、コード束の撚りピッチが内層から外層にかけて徐々に小さくなるように変化させることができる。
【0038】
簾織物3の経糸6の引出しが内層まで進み、巻芯2の周辺の巻き始め端部付近まで引き出されれば、経糸の内端をカットしてコード束の巻取りを終了する。次に、簾織物3の耳部から次段の複数本(4本)の経糸を上記と同様な方法で抜取り、撚り合わされたコード束として巻取ボビン12に巻取る。以下、同様な方法で簾織物3の経糸6を抜取り、撚り合わされたコード束10を巻き取るようにする。
【0039】
なお、経糸6の引出しによって、緯糸13の端部がヒゲ状に残存することになるので、残存する緯糸端部が一定長さ以上にならないように、バリカン等の切断手段により適宜カットして除去するのが好ましい。
【0040】
次に、上記のように撚り合わされて巻き取られたコード束から、その撚りを戻してシングルコードを引き出す引出し装置20を図3に基づいて説明する。この引出し装置20は、図3に示すように、巻取ボビン12を回転自在に支持する支持台21と、該支持台をその回転軸周りに回転駆動する回転駆動装置22と、前記巻取ボビン12から引き出した複数本のコードを分離する複数の引出しプーリ23と、前記巻取ボビン12と引出しプーリ23との間に配置されたねじれ角センサー24と、このねじれ角センサー24からの信号により巻取ボビン12から引き出されるコード束10のねじれ角を検出し、その検出信号により前記支持台の回転駆動装置22を制御して指支持台21の回転速度を制御する制御部26とを備えている。
【0041】
支持台21は、円板状に形成され、その上面に巻取ボビン12を回転自在に支持する軸受28が設けられている。支持台の中心軸はモータなどの回転駆動装置22により駆動される。複数の引出しプーリ23は、一定間隔Dをおいて並列されている。
【0042】
ねじれ角センサー24は、引き出しプーリ23の下方の所定位置に設置され、センサー部を通過するコード位置によってねじれ角を検出するようになっている。すなわち、コード束10の単位長さ当たりの撚り数によって巻取ボビン12からの引き出されるコード束の撚り戻し位置(開放位置、つまり引出しプーリからの距離)がコード束の長さ方向で変化する。これによって、コード束の撚り戻し位置と引出しプーリとの間のコードの引出し角度が変化するため、この角度変化をねじれ角検出センサー24で引出しコード位置の横方向変化として検出する。
【0043】
ねじれ角センサー24からの信号はマイクロコンピュータからなる制御部24に入力され、回転駆動装置22の回転速度がCPUで演算処理されて出力され、支持台21の回転速度がフィードバック制御される。具体的には、ねじれ角センサー24からの検出信号により、制御部26は、ねじれ角が大きいときに支持台21の回転速度を速くし、ねじれ角が小さいときに支持台21の回転速度を遅くして、コード束10を正確に撚り戻すようにしている。
【0044】
図4(a)は本実施形態の巻取ボビンの巻き状態を示す断面図で、複数本のコードを撚り合せてコート束として巻取ボビンに巻き取った例を示す。同図(b)は複数本の経糸を並列した状態で巻取ボビンに巻き取った例を示す比較例の断面図である。図に示すように、比較例の場合、N周目に注目すると、4本のコードが下層のコード層の上に均一に巻き付きことができず、下コード層の谷部に落ち込むコードがある。従って、コードの巻径差が発生し、コード4本を均一なテンションで引き出すことができない。慎重に巻き取ったとしても、輸送中にずれで同様に巻径差が発生するため、N本のコードを均一テンションで引き出すことができない。
【0045】
これに対し、本実施形態の場合は、4本のコードが撚り合わされているので、4本のコード間に巻径差が発生しない。そのため、N本のコードを均一なテンションで引き出すことができる。
【0046】
表1はポリエステル1670dtex/2(コード構造が1670デシテックスの2本撚り)を対象コードとして、図4に示す方法で巻取ボビンから引き出した場合のテンション評価を示すものである。表1に示すように、図4(a)の4本のコードを撚り合わせたコード束からシングルコードを引き出す場合には、ほぼ均一なテンションで引き出すことができるのに対し、図4(b)に示す4本のコードを並列させたものを引き出す場合には、テンションが大きく相違し、バラツキが大きくなる。
【0047】
【表1】
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で修正・変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態では巻取ボビンをほぼ定速回転で駆動制御しているが、コード束の撚りピッチを一定にするために巻取ボビンの回転速度を制御するようにしてもよい。
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によると、複数本のコードを撚り合せて巻取ボビンに巻き取っているので、このコードを引き出す際に均一なテンションで引き出せるようになり、低コストのタイヤコードの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である簾織物からタイヤコードを抜取るコード抜取り装置の概略を示す斜視図
【図2】すだれ織物からの経糸の抜取り状態を拡大して示した図
【図3】巻取ボビンのコード束からタイヤコードを引き出す引出し装置を示す概略斜視図
【図4】(a)は本実施形態の巻取ボビンの巻き状態を示す断面図、同図(b)は比較例における巻取ボビンの巻き付け状態を示す断面図
【符号の説明】
1 抜取り装置
2 巻芯
3 簾織物
4 巻回体
5 支持台
6 経糸
7 導糸孔
8 ガイド部材
9 集束プーリ
10 コード束
11 ガイドプーリ
12 巻取ボビン
20 引出し装置
21 支持台
22 回転駆動装置
23 引出しプーリ23
24 ねじれ角センサー
26 制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数本の経糸に対し長手方向所要間隔毎に緯糸を打込んで製織した長尺のすだれ織物からタイヤコードを得るための製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、タイヤにおける補強層等のコードを補強材とする構成部分を、シングルのコードを用いて周方向でジョイント部を生じさせない構造(ジョイントレスタイヤ)にすることが提案され、このタイヤコードを容易かつ低コストで得るために、種々の提案がなされている。
【0003】
特許文献1には、多数本の経糸に対し長手方向所要間隔毎に緯糸を打込んで製織した長尺のすだれ織物からタイヤコードを得るために、織物を巻き戻しながら2cmから30cm幅に分離されるように分割部を緯糸方向に押し広げながら緯糸を切断することによって粗分割した後、さらに同様にして経糸群が0.5cmから5cmは場になるように緯糸を切断することによって細分割した後、それぞれの単糸をほぐしながら巻き取るタイヤコード織物より経糸を回収する方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、コードになる多数本の経糸に対し長手方向所定間隔後とに緯糸を打ち込んで製織した長尺の簾織物を、接着剤処理を施した後にロール状に巻き取っておき、この巻取り体から簾織物を一方向に引き出しながら、その引出し走行部分において、簾織物の経糸を側端側から順に1本づつ走行方向に位置をずらせて側方に引き離し、タイヤコードを得る方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭52−121538号公報(特許請求の範囲参照)
【特許文献2】特開2000−198148号公報(請求項1参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1および特許文献2は、いずれも長尺の簾織物から複数本の経糸を抜取り、一つの巻取ボビンに巻き取る際に利用できる手法であるが、同時に複数本の経糸を抜取り、タイヤコードとして巻取ボビンに並列して巻き取る場合、後述(図4の説明を参照)するように、外層側の複数本の経糸コードを既に巻き取った内層側の経糸コードの山側頂部に均一に巻き取ることができず、その一部の経糸コードが既に巻き取った内層側の隣接するコード間の谷に落ち込むことがある。そのため、複数本のコードを均一なテンションで引き出すことができない。
【0007】
仮に、複数本のコードを整列して巻き取れたとしても、巻取ボビンの輸送中に振動などによりコードがずれる可能性が大きく、上記と同様に複数本のコードを均一なテンションで引き出すことができないといった問題点がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑み、複数本のコードを巻取ボビンに均一なテンションで巻き付け、かつ引き出すことができるタイヤコードの製造方法の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明においては、複数本のコードを撚り合せて巻取ボビンに巻き取り、このコードを引き出す際に均一なテンションで引き出せるようにしたものである。
【0010】
そのタイヤコードとしては、多数本の経糸に対し長手方向所要間隔毎に緯糸を打込んで製織した長尺のすだれ織物から、経糸を引き出し、これを利用することができる。これにより、接着剤処理等の処理済コードを容易に得ることができ、低コストのタイヤコードを得ることができる。
【0011】
本発明においては、上記すだれ織物をロール状に巻回しておき、この巻回体の織物の耳部からタイヤコードとなる複数本の経糸を互いに独立して順次切離して巻回体の軸方向から引出し、これら複数本の経糸を撚り合せて巻取ボビンに巻き取ることを特徴としている。
【0012】
上記の製造方法によると、複数本の経糸を一つの巻回体の織物から引き出すことができるので、複数本の経糸(コード)を均一なテンションでの巻取ることができる。
【0013】
より具体的な製造方法としては、簾織物の経糸の引出し側の巻芯端部に巻芯側から半径方向に長い複数の導糸孔が放射状に形成されたガイド部材を巻回体の軸中心周りに回転自在に配置しておき、前記経糸を前記導糸孔を通して引出すようにし、この際、経糸の引き出しに伴う経糸引出し位置の移行に合せて前記ガイド部材を回転させることにより、束ねた複数本の経糸を撚り合わせることができる。
【0014】
この製造方法によると、ガイド部材の導糸孔を通る経糸を集束部(例えば、集束プーリ)を通して巻取ボビンに導けば、ガイド部材の回転により、集束部に集められた複数本の経糸(コード)が撚り合わされることになる。
【0015】
この際、経糸は、集束部を中心として巻回体を周回するように引き出され、その中間に位置するガイド部材の導糸孔を通ることにより、導糸孔の孔壁との間の摩擦抵抗によりガイド部材を経糸の周回方向に回転させることになる。従って、集束部に集められた経糸(コード)の束は集束部において撚り合わされる。この場合、経糸が1周すれば、1回の撚りが掛けられることになる。経糸は、巻回体の外層側の周回長さよりも内層側の周回長さの方が徐々に短くなるので、巻回体が外層側から内層側に向かうほど、コード単位長さ当たりの撚り数が巻回体の外層から内層にかけて徐々に多くなる、つまりコード束の撚りピッチが巻回体の外層から内層にかけて徐々に小さくなることになる。
【0016】
従って、前記コード束を巻取ボビンに複数層に積層させて巻き取る際には、コード束の撚りピッチが内層から外層にかけて徐々に小さくなるように変化させることができる。
【0017】
このように、撚り合わされて巻取ボビンに巻き取られた複数本のコードは、シングルのコードとして使用する場合には、その撚りを戻してシングルコードとして引き出す必要がある。
【0018】
そこで、本発明では、複数本のコードを束ねて撚りを掛けながら巻き取った巻取ボビンから前記コード束の撚りを戻して、複数本のコードを互いに分離しながら引き出すことを特徴としている。これにより、複数本のコードが均一なテンションで引き出すことができ、精度の高いシングルコードを提供することができる。
【0019】
この場合の具体的な引出し方法としては、巻取ボビンを回転自在に支持する支持台を回転軸周りに回転駆動すると共に、前記巻取ボビンから引き出した複数本のコードを複数の引出しプーリにより分離して引き出すことができる。この際、コード単位長さ当たりの撚り数がコード長さ方向で相違する場合、つまり撚りピッチが相違する場合、そのコード束の撚りピッチに応じて支持台の回転速度を回転制御すれば、正確に撚り戻されたコードを提供することができる。
【0020】
このコード束の撚り数は、巻取ボビンと引出しプーリとの間に配置されたねじれ角センサーからの信号により巻取ボビンから引き出されるコード束のねじれ角を検出し、その検出信号により前記支持台の回転速度を制御することができる。
【0021】
この製造方法によると、単位長さ当たりの撚り数によって巻取ボビンからの撚り戻し位置がコードの長さ方向で変化し、撚り戻し位置と引出しプーリとのなす角度が変化するため、この角度変化をねじれ角検出センサーで検知し、その検出信号によってねじれ角が大きいときは支持台の回転速度を速くし、ねじれ角が小さいときは支持台の回転速度を遅くして、コード束を正確に撚り戻しことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態である簾織物からタイヤコードを抜取るコード抜取り装置の概略を示す斜視図、図2はすだれ織物からの経糸の抜取り状態を拡大して示した図、図3は巻取ボビンのコード束からタイヤコードを引き出す引出し装置を示す概略斜視図である。
【0023】
図1に示すように、簾織物からタイヤコードとなる経糸を抜取る抜取り装置1は、巻芯2にロール状に巻回された長尺の簾織物3からなる巻回体4を支持する支持台5と、前記巻回体4の軸方向一側において回転自在に支持され、簾織物3の耳部から抜取った経糸6を通す複数の導糸孔7を有するガイド部材8と、該ガイド部材8のさらに下流側(上方)に設けられ複数本の経糸6を集束させる集束プーリ9と、該集束プーリ9で集束されたコード束10をガイドプーリ11を介して巻き取る巻取ボビン12とを備え、経糸6の抜取りに伴う経糸抜取り位置の移行に合せてガイド部材8を回転させることにより、複数本の経糸6を撚り合せながらコード束として前記巻取ボビン12に巻き取るようにしている。
【0024】
図2に示すように、コードの素材となる簾織物3は、タイヤコード製造対象となる繊維コード等を経糸6に使用し、この経糸6を多数本、例えば1000本〜2000本引き揃え、これら経糸6を繋ぐように長手方向所要間隔毎に細い緯糸13が打ち込まれて製織されている。
【0025】
緯糸13は、織物の側端部で折返すことにより1本の糸を連続して打ち込むほか、両側端部で切断した有限糸を打ち込んで製織してもよい。緯糸13の間隔は、後の接着剤や樹脂処理および熱処理等の取扱い上の問題が生じず、しかも処理後の簾織物3からの経糸6を容易に抜取ることができる比較的大きい間隔とする。例えば10〜150mmの範囲に設定する。この緯糸13には、樹脂処理等により経糸6と緯糸13が強固に接着された状態になると、経糸の抜取りが困難になる場合があるので、緯糸13にテフロン(登録商標)コーティング加工を施して接着性を低下させておいてもよい。
【0026】
また、タイヤのベルト等の補強層をシングルコードで構成する場合、タイヤサイズによっても異なるが、一般には700〜1000mを必要とすることから、コードを取り出す簾織物3は、通常、前記より長く、例えば1000〜3000mの長尺に製織し、製織した簾織物3に通常の手段により必要な接着剤や樹脂処理および熱処理等の処理を施す。これにより、多数本のコードになる経糸6を一度に効率よく処理することができる。
【0027】
この樹脂処理等を施した簾織物3を巻芯2にロール状に巻回して巻回体4を構成する。また、すだれ織物3の巻始めおよび巻終り端部には、50〜150mm程度の幅で、緯糸13の打込みを密にしたタビー15が形成され、織物形態を保持できるようになっている。
【0028】
簾織物3から経糸6を抜取る際は、例えば、図1に示すように、巻回体4の巻芯2を上下方向にして軸方向一側を上方に開放させて支持台5上に支持する。支持台5は、巻回体4の下部を受けるトレー状に形成されている。
【0029】
巻回体4から経糸6を抜取るには、図2に示すように、軸方向の一方端である上端側からタビー15を有する巻終り端部の近傍において経糸6を1本ずつカットAして簾織物3の下部側部分と切離す。そして、本実施形態の場合、図2に示すように、4本の経糸6をカットし、これらを一度に軸方向で上方に引き出すようにする。この引出し力で、経糸6は緯糸13との絡みあるいは樹脂処理等による固着を解除しながら引出される。
【0030】
巻回体4の軸方向で上方にあるガイド部材8は、巻芯2の軸中心周りに回転自在に支持されている。このガイド部材8には、回転軸中心から半径方向で外側に向かって4個の長孔の導糸孔7が放射状に形成されている。
【0031】
このガイド部材8のさらに上方に設けられた集束プーリ9は、複数本の経糸6(コード)を束ねる機能と共に、ガイド部材8の回転によりコード束に撚りを掛けるための固定点としても機能する。両機能を達成するため、集束プーリはフランジ付きプーリであるのが好ましい。
【0032】
集束プーリ9で集束されたコード束10を巻取ボビン12に導くガイドプーリ11は、集束プーリ9に集束されたコード束10に撚りを掛けやすいように、集束プーリ9とほぼ水平に配置されている。
【0033】
このガイドプーリ11は、その下方に位置する巻取ボビン12に整列してコード束を導きやすいように軸方向にトラバース(往復動)するトラバースガイドとして機能させてもよい。
【0034】
巻取ボビン12は、巻回体4から経糸6を引き出す引出し力を与えるために回転自在に駆動制御される。また、別の実施態様として、コード束の引き出し経路に駆動ローラなどを配置して、その部位で引き出し力を与えるようにしてもよい。また、巻取ボビンは、コード束10を巻取り径の変化に応じて回転速度を制御できるようになっている。
【0035】
上記抜取り装置1を使用したタイヤコードの抜取り方法を説明すると、簾織物3の経糸6の引出し側の巻芯2の端部側から複数本の経糸6を前記の方法で導糸孔7を通して引出すようにする。この際、経糸6の引き出しに伴い経糸引出し位置は巻回体4の周囲を移動することになる。この移行によりガイド部材8の導糸孔7の孔壁と経糸6との間の摩擦抵抗によりガイド部材8が経糸6の周回方向に回転させることになる。
【0036】
このガイド部材8を通って上方に引き出される経糸6は、集束プーリ9で集束された後、ほぼ直交する方向に移動するので、集束プーリ9部位が固定点となり、それよりガイド部材8側の経糸6が集束プーリ9を中心に旋回運動を行うことになるので、集束プーリ9の部位で集められたコード束に撚りが掛けられる。そのため、巻取ボビン12に巻き取られるコード束は、経糸6の複数本(本実施形態では4本)が撚り合わされたコード束となる。
【0037】
このとき、経糸6が集束プーリ9を中心に1周すれば、1回の撚りが掛けられることになるが、経糸6は巻回体4の外層側から内層側に徐々に抜取られていくことになる。このとき、経糸6の外層側の周回長さよりも内層側の周回長さの方が徐々に短くなるので、巻回体4が外層側から内層側に向かうほど、コード単位長さ当たりの撚り数が徐々に多くなる。従って、前記コード束を巻取ボビンに複数層に積層させて巻き取る際には、コード束の撚りピッチが内層から外層にかけて徐々に小さくなるように変化させることができる。
【0038】
簾織物3の経糸6の引出しが内層まで進み、巻芯2の周辺の巻き始め端部付近まで引き出されれば、経糸の内端をカットしてコード束の巻取りを終了する。次に、簾織物3の耳部から次段の複数本(4本)の経糸を上記と同様な方法で抜取り、撚り合わされたコード束として巻取ボビン12に巻取る。以下、同様な方法で簾織物3の経糸6を抜取り、撚り合わされたコード束10を巻き取るようにする。
【0039】
なお、経糸6の引出しによって、緯糸13の端部がヒゲ状に残存することになるので、残存する緯糸端部が一定長さ以上にならないように、バリカン等の切断手段により適宜カットして除去するのが好ましい。
【0040】
次に、上記のように撚り合わされて巻き取られたコード束から、その撚りを戻してシングルコードを引き出す引出し装置20を図3に基づいて説明する。この引出し装置20は、図3に示すように、巻取ボビン12を回転自在に支持する支持台21と、該支持台をその回転軸周りに回転駆動する回転駆動装置22と、前記巻取ボビン12から引き出した複数本のコードを分離する複数の引出しプーリ23と、前記巻取ボビン12と引出しプーリ23との間に配置されたねじれ角センサー24と、このねじれ角センサー24からの信号により巻取ボビン12から引き出されるコード束10のねじれ角を検出し、その検出信号により前記支持台の回転駆動装置22を制御して指支持台21の回転速度を制御する制御部26とを備えている。
【0041】
支持台21は、円板状に形成され、その上面に巻取ボビン12を回転自在に支持する軸受28が設けられている。支持台の中心軸はモータなどの回転駆動装置22により駆動される。複数の引出しプーリ23は、一定間隔Dをおいて並列されている。
【0042】
ねじれ角センサー24は、引き出しプーリ23の下方の所定位置に設置され、センサー部を通過するコード位置によってねじれ角を検出するようになっている。すなわち、コード束10の単位長さ当たりの撚り数によって巻取ボビン12からの引き出されるコード束の撚り戻し位置(開放位置、つまり引出しプーリからの距離)がコード束の長さ方向で変化する。これによって、コード束の撚り戻し位置と引出しプーリとの間のコードの引出し角度が変化するため、この角度変化をねじれ角検出センサー24で引出しコード位置の横方向変化として検出する。
【0043】
ねじれ角センサー24からの信号はマイクロコンピュータからなる制御部24に入力され、回転駆動装置22の回転速度がCPUで演算処理されて出力され、支持台21の回転速度がフィードバック制御される。具体的には、ねじれ角センサー24からの検出信号により、制御部26は、ねじれ角が大きいときに支持台21の回転速度を速くし、ねじれ角が小さいときに支持台21の回転速度を遅くして、コード束10を正確に撚り戻すようにしている。
【0044】
図4(a)は本実施形態の巻取ボビンの巻き状態を示す断面図で、複数本のコードを撚り合せてコート束として巻取ボビンに巻き取った例を示す。同図(b)は複数本の経糸を並列した状態で巻取ボビンに巻き取った例を示す比較例の断面図である。図に示すように、比較例の場合、N周目に注目すると、4本のコードが下層のコード層の上に均一に巻き付きことができず、下コード層の谷部に落ち込むコードがある。従って、コードの巻径差が発生し、コード4本を均一なテンションで引き出すことができない。慎重に巻き取ったとしても、輸送中にずれで同様に巻径差が発生するため、N本のコードを均一テンションで引き出すことができない。
【0045】
これに対し、本実施形態の場合は、4本のコードが撚り合わされているので、4本のコード間に巻径差が発生しない。そのため、N本のコードを均一なテンションで引き出すことができる。
【0046】
表1はポリエステル1670dtex/2(コード構造が1670デシテックスの2本撚り)を対象コードとして、図4に示す方法で巻取ボビンから引き出した場合のテンション評価を示すものである。表1に示すように、図4(a)の4本のコードを撚り合わせたコード束からシングルコードを引き出す場合には、ほぼ均一なテンションで引き出すことができるのに対し、図4(b)に示す4本のコードを並列させたものを引き出す場合には、テンションが大きく相違し、バラツキが大きくなる。
【0047】
【表1】
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で修正・変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態では巻取ボビンをほぼ定速回転で駆動制御しているが、コード束の撚りピッチを一定にするために巻取ボビンの回転速度を制御するようにしてもよい。
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によると、複数本のコードを撚り合せて巻取ボビンに巻き取っているので、このコードを引き出す際に均一なテンションで引き出せるようになり、低コストのタイヤコードの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である簾織物からタイヤコードを抜取るコード抜取り装置の概略を示す斜視図
【図2】すだれ織物からの経糸の抜取り状態を拡大して示した図
【図3】巻取ボビンのコード束からタイヤコードを引き出す引出し装置を示す概略斜視図
【図4】(a)は本実施形態の巻取ボビンの巻き状態を示す断面図、同図(b)は比較例における巻取ボビンの巻き付け状態を示す断面図
【符号の説明】
1 抜取り装置
2 巻芯
3 簾織物
4 巻回体
5 支持台
6 経糸
7 導糸孔
8 ガイド部材
9 集束プーリ
10 コード束
11 ガイドプーリ
12 巻取ボビン
20 引出し装置
21 支持台
22 回転駆動装置
23 引出しプーリ23
24 ねじれ角センサー
26 制御部
Claims (7)
- 多数本の経糸に対し長手方向所要間隔毎に緯糸を打込んで製織した長尺のすだれ織物をロール状に巻回しておき、この巻回体の織物の耳部からタイヤコードとなる複数本の経糸を互いに独立して順次切離して巻回体の軸方向から引出し、これら複数本の経糸を撚り合せてコード束として巻取ボビンに巻き取ることを特徴とするタイヤコードの製造方法。
- 前記経糸の引出し側の巻芯端部に、巻芯側から半径方向に長い複数の導糸孔が放射状に形成されたガイド部材を巻回体の軸中心周りに回転自在に配置しておき、前記経糸を前記導糸孔を通して引出すようにし、この際、経糸の引き出しに伴う経糸引出し位置の移行に合せて前記ガイド部材を回転させることにより、複数本の経糸を撚り合せてコード束とすることを特徴とする請求項1に記載のタイヤコードの製造方法。
- 前記コード束を巻取ボビンに複数層に積層させて巻き取る際に、コード束の撚りピッチが内層から外層にかけて徐々に小さくなるように変化させることを特徴とする請求項2に記載のタイヤコードの製造方法。
- 前記簾織物が樹脂処理等の処理を施してロール状に巻回されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤコードの製造方法。
- 複数本のコードを束ねてコード束とし、これに撚りを掛けながら巻き取った巻取ボビンから前記コード束の撚りを戻して、複数本のコードを互いに分離しながら引き出すことを特徴とするタイヤコードの製造方法。
- ボビンを回転自在に支持する支持台を回転軸周りに回転駆動すると共に、前記ボビンから引き出した複数本のコードを複数の引出しプーリにより分離して引き出すタイヤコードの製造方法において、コード束の撚りピッチに応じて前記支持台の回転速度を回転制御することを特徴とする請求項5に記載のタイヤコードの製造方法。
- 前記巻取ボビンと引出しプーリとの間に配置されたねじれ角センサーからの信号によりボビンから引き出されるコード束のねじれ角を検出し、その検出信号により前記支持台の回転速度を制御することを特徴とする請求項6に記載のタイヤコードの製造方法。
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JP2003063278A JP2004270086A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | タイヤコードの製造方法 |
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Cited By (2)
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GB2484912A (en) * | 2010-10-25 | 2012-05-02 | Mahmudul Hossain Akonda | Composite yarn formed from fabric selvedge with carbon-fibre tows |
JP2020066807A (ja) * | 2018-10-22 | 2020-04-30 | 東レ株式会社 | 伝動ベルト補強用コード及びその製造方法 |
-
2003
- 2003-03-10 JP JP2003063278A patent/JP2004270086A/ja active Pending
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