JP4572668B2 - ポリ乳酸マルチフィラメント延伸糸の分繊方法 - Google Patents
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Description
延伸して直ちに分繊して巻き取るために、巻き取り直後に延伸応力の緩和が進行するために、巻き締まりによるパッケージ崩れやパッケージ表内層間の物性ムラが発生しやすいといった問題がある。
1.分繊性
フィラメント数10のポリ乳酸マルチフィラメント延伸糸10kgのドラムパッケージ100個を糸切れやパッケージ崩れなく1kgのポリ乳酸モノフィラメントボビンパッケージに分繊できた割合を満管率(%)で表し、○および△を合格とした。
○:満管率80%以上
△:満管率70%以上
×:満管率70%未満
2.強伸度バラツキ
東洋ボールドウィン社製テンシロン引張試験機UTM−III−100を使用して、試料長20cm、引張速度20cm/分で、分繊された子糸ボビン巻き量1kgすなわち最表層部と、巻き量500gすなわち中層部、さらには巻き量100gすなわち内層部の3箇所について各10回測定し、これを1回の分繊で得られる子糸10本全数について実施し、○および△を合格とした。変動率は下式により算出した。
○:変動率2.0%未満
△:変動率2.0%以上〜3.0%未満
×:変動率3.0%以上
3.沸水収縮率
JISL1013の方法に従い、ボイルバス温度99.8±0.2℃、浸漬時間15分、カセ巻き回数10回、カセ原長56cm、測定荷重1.8cN/dtexで測定した。
カーギル・ダウ社製ポリーL乳酸ポリマー6201Dを用いて、紡糸温度220℃にて、表面温度60℃の第1ホットローラー、表面温度95℃の第2ホットローラー、表面温度105℃の第3ホットローラー、表面温度135℃の第4ホットローラーを有する多段型直接紡糸延伸機を用いて、トータル延伸倍率4.4倍、巻き取り速度3000m/分で得られた繊度265dtex、フィラメント数10、強度3.8cN/dtex、伸度39.0%、沸水収縮率14.5%のポリ乳酸マルチフィラメント延伸糸10kgのドラムパッケージを親糸とし、図1に示す分繊装置にて繊度26.5dtexのポリ乳酸モノフィラメントを分繊して子糸を得た。分繊時の引取速度は500m/分、糸条走行方向と逆方向に回転する表面粗度4Sの梨地開繊ローラー周速度400m/分とした。
実施例1と同様の方法で引取速度200m/分、開繊ローラー速度200m/分とした。分繊満管率74%と問題ない分繊性が得られ、得られた子糸の強伸度変動率は、各ボビン間、およびボビン内長手方向のいずれも良好であり2.0%未満であった。
実施例1,2と同一の親糸を用い、図2に示す分繊装置にて引取速度700m/分、開繊ローラー速度350m/分で分繊した。分繊満管率は70%であり、得られた子糸の強伸度変動率は、各ボビン間、およびボビン内長手方向のいずれも問題なく、3.0%未満であった。
実施例4
カーギル・ダウ社製ポリーL乳酸ポリマー6201Dを用いて、紡糸温度220℃にて、表面温度75℃の第1ホットローラー、表面温度120℃の第2ホットローラを有する一段型直接紡糸延伸機を用いて、トータル延伸倍率3.0倍、巻き取り速度3000m/分で得られた繊度265dtex、フィラメント数10、強度3.5cN/dtex、伸度44.5%、沸水収縮率18.6%のポリ乳酸マルチフィラメント延伸糸10kgのドラムパッケージを親糸とし、図2に示す分繊装置にて、引取速度400m/分、開繊ローラー速度400m/分で分繊した。
実施例4の親糸の紡糸方法において、第1ホットローラー温度を85℃とし、延伸倍率を2.8倍に変更した繊度265dtex、フィラメント数10、強度3.1cN/dtex、伸度48.7%、沸水収縮率24.0%のポリ乳酸マルチフィラメント延伸糸10kgのドラムパッケージを親糸とし、図2に示す分繊装置にて、引取速度600m/分、開繊ローラー速度600m/分で分繊した。
実施例1と同様の方法で、開繊ローラーの回転方向を糸条走行に対して従方向として分繊した。開繊ローラー下流で糸条交絡による糸切れが発生したため、分繊満管率は56%と工業的に分繊するレベルでは無く、得られた子糸の強伸度変動率は、各ボビン間での変動が大きく、特に同時に分繊した子糸10本のうち、分繊装置における両端で巻き取った子糸と中心付近で巻き取った子糸で強伸度差が大きく、変動率は3.0%を超えた。更に、得られた子糸について、親糸強伸度に対比して、高強度・低伸度化しており、また子糸数本を電子顕微鏡で側面観察した結果、繊維表面に他子糸走行糸条との交絡によるものと見られる変形部分が多く見られたことから、分繊装置両端で巻き取った子糸は、糸条交絡により過張力が掛かりやすく冷延伸されたものと推定する。
実施例1と同様の方法で、引取速度500m/分、開繊ローラー速度600m/分で分繊を試みたが、開繊ローラー上流部で糸条が過剰に弛み、同時に開繊ローラー下流で引取糸条が破断してしまい、実質的には分繊することができなかった。
実施例3と同様の方法で、引取速度600m/分、開繊ローラー速度200m/分で分繊した。得られた子糸の強伸度変動率は、各ボビン間、およびボビン内長手方向のいずれも問題ないレベルであったものの、比較例1と同様に開繊ローラー下流で糸条交絡による糸切れが発生したため、分繊満管率62%と工業的に分繊するレベルでは無かった。
実施例1に用いた分繊装置から、開繊ローラー(A)を取り外して、引取速度500m/分で分繊したが、分繊ガイド下流で著しい糸条交絡による糸切れが多発し分繊満管率38%となり、また、得られた子糸の強伸度変動率は、各ボビン内長手方向での変動が著しく大きく、3.0%を超えてしまった。また、得られた子糸について、親糸強伸度に対比して、低強度・低伸度化しており、子糸数本を電子顕微鏡で側面観察した結果、繊維表面に擦過傷が多く見られたことから、開繊ローラーを用いなかったために、分繊ガイド下流での糸条交絡が発生し分繊ガイド上での過張力による擦過が発生したものと推定する。
(B)親糸ドラム
(C)分繊親糸糸条
(D)分繊糸道ガイド
(E)分繊ガイド
(F)開繊ローラー駆動モーター
(G)子糸引取糸条
(H)引取ローラー
(I)子糸ボビンパッケージ
(J)ワイヤー開繊ローラー
(K)分繊糸条の走行方向を示す矢印記号
(L)開繊ローラーの回転方向を示す矢印記号
Claims (4)
- ポリ乳酸マルチフィラメント延伸糸のドラムパッケージから分繊してモノフィラメントを巻き取るに際し、糸条走行方向とは逆方向に、引取速度の0.5〜1.0倍の周速度で回転する開繊ローラーで、マルチフィラメントを開繊させて巻き取ることを特徴とするポリ乳酸マルチフィラメント延伸糸の分繊方法。
- 巻き取り速度が200〜700m/分であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸マルチフィラメント延伸糸の分繊方法。
- ポリ乳酸マルチフィラメント延伸糸の強度3.0〜4.5cN/dtex、伸度35〜55%、沸水収縮率25%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸マルチフィラメント延伸糸の分繊方法。
- 開繊ローラーが梨地開繊ローラー、ワイヤー開繊ローラーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のポリ乳酸マルチフィラメント延伸糸の分繊方法。
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