JP2001207329A - ポリエステル糸およびその製造方法 - Google Patents
ポリエステル糸およびその製造方法Info
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Abstract
ることができ、繊維長手方向の物性バラツキが小さいと
ともに、布帛にしたときに低モジュラスで伸縮するため
締め付け感が小さく、ソフトな風合いを有することを特
徴とするポリエステル糸およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】実質的にポリトリメチレンテレフタレート
からなるマルチフィラメント糸であって、ストレス−ス
トレイン曲線での強度が3cN/dtex以上、ヤング
率が25cN/dtex以下であるとともに、伸度3〜
10%での微分ヤング率の最小値が10cN/dtex
以下を示し、10%伸長後の弾性回復率が90%以上で
あることを特徴とするポリエステル糸。
Description
レフタレートからなるポリエステル糸およびその製造方
法に関するものであり、詳しくは、高速製糸において巻
締まりなく安定して製糸することができ、繊維長手方向
の物性バラツキが小さいとともに、布帛にしたときに低
モジュラスで伸縮するため締め付け感が小さく、ソフト
な風合いを有することを特徴とするポリエステル糸およ
びその製造方法に関するものである。
は、伸長後の弾性回復性に優れ、ヤング率が低くソフト
な曲げ特性を有するとともに染色性が良好で、化学的に
もポリエチレンテレフタレート同様安定した特性を有し
ている。そのため、特開昭52−5320号公報や特開
昭52−8124号公報などにみられるように衣料用素
材として古くから研究されてきている。
オールが比較的高価であるため、これまで合成繊維とし
ては使われていなかった。
1号明細書などで開示されているように、安価な1,3
−プロパンジオールの合成法が見いだされたため、ポリ
トリメチレンテレフタレート繊維の価値が見直されてき
た。
トリメチレンテレフタレート繊維はポリエチレンテレフ
タレート繊維で一般的に用いられている2工程法をその
まま適用した場合、紡糸直後から内部構造の変化が始ま
り、いわゆる巻締まりと呼ばれる現象によってパッケー
ジ内層と外層とで内部構造の変化量の違いによる物性差
を引き起こすため、安定した品質の繊維が得られなかっ
た。
123号公報に示されるように紡糸工程と延伸工程を連
続して行い、巻き取り前に繊維の内部構造を熱固定する
DSDを用いる方法が提案されている。しかしながら、
該方法によっても巻締まりを完全に抑制することはでき
なかった。
おける巻締まりがなく安定した品質のパッケージが得ら
れるとともに、弾性回復領域でのヤング率が低く、ソフ
トストレッチ性、柔軟性に優れたポリエステル糸および
その製造方法を提供することを目的とするものである。
ため本発明のポリエステル糸は、主として次の構成を有
する。すなわち、実質的にポリトリメチレンテレフタレ
ートからなるマルチフィラメント糸であって、ストレス
−ストレイン曲線での強度が3cN/dtex以上、ヤ
ング率が25cN/dtex以下であるとともに、伸度
3〜10%での微分ヤング率の最小値が10cN/dt
ex以下を示し、10%伸長後の弾性回復率が90%以
上であることを特徴とするポリエステル糸である。
有する。すなわち、上記ポリエステル糸を撚係数100
00〜20000の撚糸とし、経糸および/または緯糸
として用いることを特徴とするソフトストレッチ性に優
れた織物である。
する。
トリメチレンテレフタレートからなるマルチフィラメン
トである。
るポリエステルは、その構成単位の少なくとも90モル
%がテレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパ
ンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリ
トリメチレンテレフタレート(以下PTTと略記する)
である。ただし、10モル%、より好ましくは6モル%
以下の割合で、他のエステル結合の形成可能な共重合成
分を含んでいてもよい。また、共重合可能な化合物とし
て、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジ
カルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコールなどのジオール類を
挙げることができるが、これらに限定されるものではな
い。また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタ
ン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤
としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを添
加してもよい。
cN/dtex以上であることが重要である。強度が3
cN/dtexを下回ると、製織等の高次加工工程にお
いて毛羽立ち、糸切れ等を誘発するとともに、得られた
製品においても引裂強力が低いものしか得られない。
頻度には逆相関の関係があり、破断伸度は実用的な強度
を満たした上で高いほうが毛羽の発生を抑制することが
できる。そのため、残留伸度は好ましくは40%以上で
あり、より好ましくは45%以上である。
が25cN/dtex以下、伸度3〜10%での微分ヤ
ング率の最小値が10cN/dtex以下であることが
重要である。これら諸特性はすべてストレッチ布帛にお
ける伸長特性、弾性回復特性に密接に関わっており、い
ずれの特性も本発明の目的であるソフトストレッチを満
足するためには低い値であるほうが好ましい。すなわ
ち、上記の特性をすべて満足することにより、布帛にし
た際に初期引張りが容易(低ヤング率)であり、さらに
実用上の伸長回復領域である伸度3〜10%の範囲にお
いても抵抗なく伸長(低微分ヤング率)することができ
るため、着用快適性に優れたソフトストレッチ布帛とす
ることができる。
関係にあり、ヤング率が低いほど柔軟性に優れた風合い
となる。そのため、ヤング率は22cN/dtex以下
であることが好ましく、20cN/dtex以下である
ことがさらに好ましい。
の最小値は8cN/dtex以下であることが好まし
く、5cN/dtex以下であることがさらに好まし
い。
伸長後の弾性回復率が90%以上であるものである。弾
性回復率が90%未満であると、伸長させた後に部分的
に塑性変形した部分が残る「わらい」と呼ばれる欠点が
発生するため、織物の品位が低下する。10%伸長後の
弾性回復率は95%以上が好ましく、98%以上がさら
に好ましい。
に優れるのは、その分子構造に大きく起因している。P
TTの結晶構造において、アルキレングリコール部のメ
チレン鎖がゴーシュ−ゴーシュの構造であることと、ベ
ンゼン環同士のスタッキングによる相互作用が低くかつ
密度が低く、フレキシビリティーが高いことから、前記
アルキレングリコール部のメチレン鎖の回転により、分
子鎖が容易に伸長・回復するためと考えられる。
高いほど弾性回復性が高くなることがわかっている。し
たがって、結晶化度は30%以上が好ましく、35%以
上がさらに好ましい。ここで、結晶化度の測定はJIS
L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法)7.
14.2の密度勾配管法に従い密度により求めたもので
ある。
縮率が3〜15%であり、かつ収縮応力の最大値が0.
3cN/dtex以下、収縮応力の最大値を示す温度が
120℃以上であることが好ましい。
要なファクターのひとつであり、沸騰水収縮率を3%以
上に設定することで高次工程でのセット性を良好にし、
15%以下に設定することで粗硬感のない柔軟な風合い
の布帛を得ることができる。同様に、熱収縮応力も高す
ぎると過剰な収縮が入りすぎ、粗硬感のある風合いとな
ってしまう。そのため、粗硬感のない、柔軟な風合いと
するために収縮応力の最大値は0.3cN/dtex以
下であることが好ましく、0.15〜0.25cN/d
texであることがより好ましい。また、収縮応力の最
大値を示す温度は、セットおよびバルクアップ等の高次
加工を容易にするために120℃以上、さらに好ましく
は130℃以上である。
方向の連続収縮率のCV%が5%以下であることが好ま
しい。連続収縮率のCV%は糸長手方向の内部歪みの均
質性を現す指標のひとつであり、この値が小さいほど品
質が高いことを示す。CV%は高品質の布帛を得るため
に5%以下であることが好ましく、4%以下であること
がより好ましい。
理が施され、CF値が1〜30の範囲にあることが好ま
しい。CF値を1以上とすることで、製糸や糸加工、製
織時の単糸切れを抑制することができる。また、CF値
を30以下にすることで、例えば収縮差混繊糸の片側糸
条として混繊する際、マイグレーション性を良好にする
ため好ましい。CF値は5〜25であることがより好ま
しい。
繊維の断面形状は、丸断面、三角断面、マルチローバル
断面、偏平断面、X型断面その他公知の異形断面であっ
てもよく、何等限定されるものではなく、目的に合わせ
て適宜選択すれば良い。
るために、単繊維繊度は5dtex以下であることが好
ましく、3dtex以下であることがより好ましい。
数とストレッチ性との間に強い相関があり、ある一定以
上の撚係数を越えると、ストレッチ性が急激に向上する
傾向がある。実際、撚係数5000前後の糸を用いた織
物ではストレッチ率は5%程度であるが、撚係数100
00で約15%、撚係数14000ではストレッチ率が
約30%まで向上する。そこで、本発明で得られたポリ
エステル糸は無撚のまま用いてもよいが、撚係数100
00〜20000の中撚から強撚とすることがより好ま
しい。
条の繊度(デシテックス)ここで、糸長1m当たりの撚
数Tとは電動検撚機にて90×10-3cN/dtexの
荷重下で解撚し、完全に解撚したときの解撚数を解撚し
た後の糸長で割った値である。
布、さらにはクッション材など、目的に応じて適宜選択
でき、シャツ、ブラウス、パンツ、スーツ、ブルゾン等
に好適に用いることができる。
一例を示す。
TTの製造方法として、公知の方法をそのまま用いるこ
とができる。用いるPTTの極限粘度[η]は、紡糸時
の曳糸性を高め、実用的な強度の糸を得るために0.7
以上であることが重要であり、0.8以上であることが
好ましい。
った後、そのまま紡糸・延伸する連重紡で行ってもよい
し、一旦チップ化した後、乾燥し、紡糸・延伸してもよ
い。
金での吐出を安定させるためにPTTの融点よりも10
〜60℃高い温度で行うことが好ましく、融点+20〜
50℃で行うことがより好ましい。また、紡糸でのオリ
ゴマー析出を抑制し、紡糸性を向上させるために、必要
に応じて口金下に2〜20cmの加熱筒や吸引装置、ポ
リマ酸化劣化あるいは口金汚れ防止用の空気、スチー
ム、窒素などの不活性ガス発生装置を設置してもよい。
に際して最も重要なことは、紡糸後、一旦巻き取ること
なく、直ちに延伸する直接紡糸延伸法を採用することに
ある。
に紡糸直後から内部構造の変化が始まる、いわゆる巻締
まりと呼ばれる現象が起こり、これがパッケージ内・外
層での物性差を生む原因となる。そのため、この巻締ま
りを抑制するため本発明者らが検討を行ったところ、紡
糸速度2000m/分以上で引き取った後、一旦巻き取
ることなく引き続き延伸・熱処理した後、連続して弛緩
率5〜20%で弛緩熱処理を施すという方法が有効であ
ることがわかった。本手法を用いることで巻締まりが大
幅に改善し、パッケージ内・外層差が極めて小さい高品
質の糸が得られる。また、高い弛緩率で弛緩熱処理を施
すことで、伸長回復領域でのヤング率が低く伸ばしやす
いソフトストレッチ糸が得られるという作用も見出され
た。
等の欠点が出にくい均質な糸を得るために2000m/
分以上にすることが重要である。紡糸速度を高くするこ
とで紡糸線上での張力を高め、外乱の影響を受けにくく
することで細化挙動が安定する。そのため、紡糸速度は
3000m/分以上がより好ましい。さらに安定した曳
糸性を確保するために、紡糸速度は6000m/分以下
にすることが好ましい。
破断を抑制し、安定して製糸するために残留伸度が40
%以上になるように設定することが好ましい。
本発明の目的であるポリエステル糸を得るために6〜2
0%にすることが重要である。延伸後、6%以上の弛緩
熱処理を行うことで繊維内部の歪みを急速緩和させるこ
とができるため、残留歪みの遅延緩和量が少なくなり、
巻締まりが抑制される。さらに前述したように、弛緩熱
処理によって実用的な伸度領域(伸度10%以下)で伸
長しやすく、ソフトストレッチ性に優れた特性を付与す
ることができる。より好ましくは弛緩率は8%以上であ
る。一方、製糸工程での糸条の走行安定性を確保するた
めに、弛緩率は20%以下にすることが好ましく、18
%以下にすることがより好ましい。
び図2を用いて説明する。
の概略図であり、紡糸口金1から吐出された糸条はチム
ニー2で冷却された後、給油ガイド3で収束・油剤付与
の後、第1ホットロール4にて引き取られ、昇温された
後、第1ホットロール4と第2ホットロール5との間で
延伸・熱固定される。さらに延伸工程を経た後、第2ホ
ットロール5の熱を利用し、第2ホットロール5と冷ロ
ール6との間で弛緩熱処理を行い巻取機8により巻き取
る。なお、弛緩熱処理をさらに効率よく行うために、第
2ホットロール5と冷ロール6との間に加熱空気やスチ
ームを熱媒とした熱処理装置を用いたり、第3ホットロ
ールを設置して2段階で弛緩処理することも本発明の目
的を達成する有効な手段となる。
法の概略図であり、交絡ノズル7が糸条の冷却装置およ
び張力勾配の制御の役目を果たす。つまり、交絡処理に
よって交絡前の糸条張力を下げることができるため、第
2ホットロール5の熱によって生じる収縮応力を利用し
て第2ホットロール5と交絡ノズル7との間で弛緩熱処
理することができる。この場合、弛緩率は交絡ノズルの
作動圧空圧を変えることで制御できる。また、第2ホッ
トロール5と交絡ノズル7との間に加熱空気やスチーム
を熱媒とした熱処理装置を用いたり、第3ホットロール
を設置して2段階で弛緩処理してもよい。
本発明のポリエステル糸を得るために好ましく用いられ
る方法である。
た加熱ロール(図1、図2の例においては、第2ホット
ロール)は、表面粗さ1.5S〜8Sの梨地ロールを用
いることが好ましい。表面粗さはJIS B0601に
記載される最大高さ(Rmax)の区分値であり、1.5
S〜8Sは実際には1.6S、3.2S、6.3Sの区
分値に相当する。また、それは最大高さとしては0.8
μmを越え、6.3μm以下に対応する。該表面粗さを
1.5S以上にすることで、糸条とローラーとの摩擦係
数が大幅に下がり、適度にスリップするため、高い弛緩
率でも加熱ロールに糸条が逆巻きすることなく、安定し
て製糸することができる。表面粗さは高い方が弛緩工程
での走行糸条が安定するが、8Sを越えると糸条表面が
過度に擦過されるため、強度低下を起こす。加熱ロール
のより好ましい表面粗さは3.2S〜6.3S(Rmax
:1.7〜6.3μm)である。なお、表面粗さの測定
はJIS B0601に準じ、ホンメル社製ホンメルテ
スターT1000型を用いて最大高さRmax を測定して
求めた。
は糸切れなく安定して製糸するためにPTTのガラス転
移点よりも10〜50℃高くすることが好ましく、ガラ
ス転移点+20〜40℃で行うことがより好ましい。熱
固定及び弛緩熱処理温度(第2ホットロール温度)は9
0〜180℃の範囲で所望の熱収縮率になるように設定
すればよいが、延伸によって形成された残留歪みを斑な
く緩和させるためには105〜180℃にすることがよ
り好ましい。
止剤などを含むものを付与する。具体的には、流動パラ
フィン等の鉱物油、オクチルパルミテート、ラウリルオ
レエート、イソトリデシルステアレート等の脂肪酸エス
テル、ジオレイルアジペート、ジオクチルセバケート等
の2塩基酸ジエステル、トリメチロールプロパントリラ
ウレート、ヤシ油等の多価アルコールエステル、ラウリ
ルチオジプロピオネート等の脂肪族含硫黄エステル、ポ
リオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレ
ンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル、トリメチロールプロパントリラウレート等
のノニオン界面活性剤、アルキルスルホネート、アルキ
ルホスフェート等の金属塩あるいはアミン塩等のアニオ
ン界面活性剤、ジオクチルスルホサクシネートナトリウ
ム塩、アルカンスルホネートナトリウム塩等テトラメチ
レンオキシド/エチレンオキシド共重合体、プロピレン
オキシド/エチレンオキシド共重合体、非イオン系界面
活性剤、等を挙げることができ、製糸、整経、製織の各
工程、特に製織時の筬、綜絖の通過性を向上させる処方
を採用する。必要に応じて、さらに防錆剤、抗菌剤、酸
化防止剤、浸透剤、表面張力低下剤、転相粘度低下剤、
摩耗防止剤、その他の改質剤等を併用する。
重量%とすることが、高次工程通過性の点で好ましい。
る。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。 A.極限粘度[η] オルソクロロフェノール(以下OCPと略記する)に試
料ポリマを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘
度計を用いて複数点の相対粘度ηrを求め、それを無限
希釈度に外層して求めた。B.強伸度、ヤング率(初期
引張抵抗度)試料をオリエンテック(株)社製TENS
ILON UCT−100でJISL1013(化学繊
維フィラメント糸試験方法)に示される定速伸長条件で
測定した。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強
力を示した点の伸びから求めた。
学繊維フィラメント糸試験方法)の7.10初期引張抵
抗度に示される条件で測定した。 C.微分ヤング率 B項で得られたS−S曲線の各点の応力を伸度で微分し
て求めた。 D.弾性回復率 試料をオリエンテック(株)社製TENSILON U
CT−100を用い、つかみ間隔20cm、引張速度1
0cm/分でつかみ間隔の10%まで伸長させ、直ちに
同速度で除重し、記録したヒステリシスカーブから弾性
回復率を求めた。
昇温速度2.4℃/秒で測定した。サンプルは10cm
×2のループとし、初期張力は繊度(デシテックス)×
0.9×( 1/30) gfとした。 F.糸長手方向の連続収縮率のCV% 東レエンジニアリング(株)社製FTA500を用い、
設定張力を繊度(デシテックス)×0.9×(1/6
0)gf、処理温度100℃(水蒸気下)、糸速度10
m/min、試料長10mで測定して収縮率をチャート
上に記録し、糸長手方向の連続収縮率のCV%を求め
た。 G.CF値 JIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方
法)7.13の交絡度に示される条件で測定した。試験
回数は50回とし、交絡長の平均値L(mm)から下式
よりCF値(Coherence Factor)を求
めた。
法)7.14.2の密度勾配管法に従い密度を測定し、
結晶化度は次式によって求めた。
{d×(dc−da)}×100 Xc:結晶化度(%) d :実測糸密度 dc:完全結晶部の密度 da:完全非晶部の密度 ここで、dc:1.387g/cm3 、da:1.29
5g/cm3 を用いた。
6のホモPTTを溶融し、紡糸温度265℃で24孔の
紡糸口金1から吐出し、チムニー2で冷却、給油ガイド
3で収束・油剤付与の後、第1ホットロール4にて30
00m/分で引き取り、70℃で5周回させて糸条を昇
温させた後、第2ホットロール5にて延伸速度4800
m/分(延伸倍率1.6倍)で延伸し、140℃で5周
回させて熱セットし、さらに第2ホットロール5とコー
ルドロール6との間で弛緩率10%で弛緩させ、次いで
交絡装置7を用いて作動圧空圧0.2MPaで交絡処理
しながら巻取機8にて4220m/分で巻き取り、54
デシテックス、24フィラメントの延伸糸を得た。な
お、第2ホットロール5には表面粗さ3.2S(Rmax
:3μm)の梨地ロールを用いた。
生しなかった。また、得られたポリエステル糸の強度は
3.6cN/dtex、ヤング率(初期引張抵抗度)は
20.8cN/dtex、伸度3〜10%での微分ヤン
グ率の最小値は1.8cN/dtex、10%伸長後の
弾性回復率は97.8%であった。 物性値を表1に、
ストレス−ストレイン曲線および微分ヤング率−ストレ
イン曲線を図3に示す。
使いで4枚綾で製織した結果、製織性、織物品位とも良
好であり、軽いストレッチ性を有していた。
施例2)および5000m/分(延伸倍率1.67倍)
(実施例3)とした以外は実施例1と同じ条件で実施し
た。実施例2のポリエステル糸は強度3.3cN/dt
exと実施例1よりも低かったが、その他の特性は実施
例1同様に良好であった。また、実施例3のポリエステ
ル糸は実施例1と比較して製織時の停台回数が約2倍に
増加したが、その他の特性は良好であった。
を6%(実施例4)および18%(実施例5)とした以
外は実施例1と同じ条件で実施した。実施例4、実施例
5のポリエステル糸は実施例1同様、製糸性、織物品位
とも良好であり、軽いストレッチ性を有していた。特に
実施例5の織物は、実施例1よりもさらに柔軟性に優れ
ていた。
実施例1と同じ条件で実施した。比較例1のポリエステ
ル糸は曳糸性が悪く、延伸ゾーンで糸切れが多発してサ
ンプリングできなかった。
以外は実施例1と同じ条件で実施した。比較例2のポリ
エステル糸は強度2.9cN/dtex、伸度73.5
%と低強度・高伸度であるとともに、10%伸長後の弾
性回復率も低く、布帛にした後の実用耐久性が劣るもの
であった。
を22%にしたもの、および弛緩率を3%とした以外は
実施例1と同じ条件で実施した。弛緩率を22%とした
比較例3のポリエステル糸は第2ホットロール上で糸条
が大きく揺れ、さらに第2ホットロールに糸が巻き付い
て糸切れした。
発生によりパッケージ内層と外層とで物性差が生じ、パ
ッケージ端面の周期に一致した太細が発生、さらに製織
性が悪く、染色品の品位も悪いものであった。また、布
帛でのストレッチ性はあるものの、極めて伸ばしにくい
伸長特性を示した。物性値を表1に、ストレス−ストレ
イン曲線および微分ヤング率−ストレイン曲線を図4に
示す。
し、コールドロール6を取り外して弛緩率を0%とした
以外は実施例1と同じ条件で実施した。比較例5は比較
例4にも増して巻締まりがひどく、さらに得られた布帛
は極めて伸ばしにくいストレッチ特性であるとともに柔
軟性の点でも劣ったものであった。
トロール5の速度を3500m/分(延伸倍率3.5
倍)とした以外は実施例1と同じ条件で実施した。 実
施例6のポリエステル糸からなる布帛は実施例1と同
様、良好なストレッチ特性を示したが、染色布において
糸斑に起因すると思われる染め斑が発生した。
下)の鏡面ロールに変更した以外は実施例1と同じ条件
で実施した。実施例7は第2ホットロールとコールドロ
ール6との間の弛緩ゾーンの走行糸条が不安定であり、
第2ホットロール上でピクツキが発生し、逆巻きに発展
して糸切れすることが多かった。そのため実施例1と比
較して糸切れ回数が約10倍になった。
数K:14700)のS/Z撚りを施して経糸および緯
糸とし、4枚綾織物を作製した。これを常法により98
℃でリラックス精練、160℃で中間セットした後、3
%NaOH熱水溶液で15重量%減量し、さらに染色を
施し仕上げセットを行った。得られた布帛は柔軟性およ
びストレッチ性が極めて優れたものであった。
の弛緩率」を、「微分ヤング率」とは「伸度3〜10%
での微分ヤング率の最小値」を、「弾性回復率」とは、
「10%伸長後の弾性回復率」を、「収縮応力」とは、
「収縮応力の最大値」を、「ピーク温度」とは、「収縮
応力の最大値を示す温度」を、「収縮率CV%」とは、
「糸長手方向の連続収縮率のCV%」を、「織物品位」
とは「染色後の織物外観品位(官能評価)」を示す。
方法は、製糸工程における巻締まりがなく安定した品質
のパッケージであるとともに、弾性回復領域でのヤング
率が低く、ソフトストレッチ性、柔軟性に優れた織物を
得ることができるものである。
伸装置の一例を示す概略図である。
伸装置の他の一例を示す概略図である。
ス−ストレイン曲線および微分ヤング率−ストレイン曲
線である。
トレス−ストレイン曲線および微分ヤング率−ストレイ
ン曲線である。
Claims (10)
- 【請求項1】実質的にポリトリメチレンテレフタレート
からなるマルチフィラメント糸であって、ストレス−ス
トレイン曲線での強度が3cN/dtex以上、ヤング
率が25cN/dtex以下であるとともに、伸度3〜
10%での微分ヤング率の最小値が10cN/dtex
以下を示し、10%伸長後の弾性回復率が90%以上で
あることを特徴とするポリエステル糸。 - 【請求項2】結晶化度が30%以上であることを特徴と
する請求項1記載のポリエステル糸。 - 【請求項3】沸騰水収縮率が3〜15%であり、かつ収
縮応力の最大値が0.3cN/dtex以下、収縮応力
の最大値を示す温度が120℃以上であることを特徴と
する請求項1または2記載のポリエステル糸。 - 【請求項4】糸長手方向の連続収縮率のCV値が5%以
下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
載のポリエステル糸。 - 【請求項5】CF値が1〜30であることを特徴とする
請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル糸。 - 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載のポリエス
テル糸を撚係数10000〜20000の撚糸とし、経
糸および/または緯糸として用いることを特徴とする織
物。 - 【請求項7】極限粘度[η]が0.7以上の、実質的に
ポリトリメチレンテレフタレートからなるポリマを溶融
紡糸して得たマルチフィラメント糸を、紡糸速度200
0m/分以上で引き取り、一旦巻き取ることなく引き続
き延伸・熱処理した後、連続して弛緩率6〜20%で弛
緩熱処理を施し、パッケージに巻き取ることを特徴とす
るポリエステル糸の製造方法。 - 【請求項8】延伸ロールと巻取機の間に冷ロールを設
け、延伸ロール−冷ロール間で弛緩熱処理することを特
徴とする請求項7記載のポリエステル糸の製造方法。 - 【請求項9】延伸ロールと巻取機の間に交絡ノズルを設
け、延伸ロール−交絡ノズル間で弛緩熱処理することを
特徴とする請求項7記載のポリエステル糸の製造方法。 - 【請求項10】延伸・熱処理に表面粗さ1.5S〜8S
の梨地ロールを用いることを特徴とする請求項7〜9の
いずれかに記載のポリエステル糸の製造方法。
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