JP3826545B2 - タイヤ補強コード用すだれ織物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、緯糸の存在しない処理済みのタイヤ補強コードを得るためのすだれ織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、タイヤにおけるカーカスやベルト層等のコードを補強材とする構成部分を、シングルのコードを用いて周方向でジョイント部を生じさせない構造(ジョイントレスタイヤ)にすることが提案されている。
【0003】
これに使用するコードは、ゴムとの接着性や形態安定性を改善するために、接着剤処理等のディッピング処理やヒートセット等の処理を施しておく必要があるが、その製造上の問題から、この処理済みコードはかなりコスト高なものとなっている。
【0004】
すなわち、前記の処理済みのコードを得るために、例えばコードを1本ずつ処理する方法では、きわめて効率が悪く、また多数本のコードを並列させて処理する方法の場合は、各コードが相互につながれていないために動き易く、ディッピング処理等の工程でトラブルが発生し易い上、各コードのテンションを均一化するために特別の装置を必要とし、手間がかかる割には効率が低く、コスト高になるといった問題がある。
【0005】
そこで、従来よりタイヤの補強層に使用されているすだれ織物、すなわち繊維コード等よりなる多数本の経糸に対し、その長手方向所要間隔間毎につなぎの役割を果す細い緯糸を打ち込んで製織したすだれ織物に、ディッピング処理等を施した後、このすだれ織物の側端から順に経糸を取り出すことにより、処理済みコードを容易に得る方法を開発した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記の方法において、例えば1000mの長さのすだれ織物から、そのまま各経糸を切り離して取り出した場合は、1000mの長さのコードしか得られず、この各コード毎に取り出したコードの巻取りボビン等の交換、コードのガイド穴通し等を行なわねばならず、その作業に工数、人手を要することになり、生産性の点では充分満足できないものであった。かといって、すだれ織物を長尺にすると、その巻径が大きくかつ重くなって取扱い難いものになるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなしたもので、接着剤処理等の処理済みのすだれ織物から経糸をコードとして取り出す方法において、すだれ織物の長さの2倍以上の長尺のコードを取り出すことができ、以てタイヤ補強コードに使用する処理済みコードの生産性の向上を図ることができるすだれ織物を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】
請求項1の発明は、タイヤ補強コードとなる多数本の経糸に対し長手方向所要間隔毎に緯糸を打込んで製織した長尺のタイヤ補強コード用すだれ織物であり、織物長手方向の両端部において、経糸の端部がその片側に隣接する経糸の端部と交互に結接されて、任意の複数本の経糸が連続していることを特徴とする。
【0009】
このすだれ織物によれば、織物長手方向の端部で片側に隣接する経糸と結接されて連続しているため、接着剤処理等の処理を施した後、このすだれ織物の経糸を側端から順に引き離すようにして取り出すことによって得られるコードは、少なくともすだれ織物の長さの2倍以上の長さを有するものとる。
【0010】
請求項2の発明は、前記のすだれ織物として、各経糸の端部が、織物長手方向の一端部において、その両隣の経糸のうちいずれか一方側の経糸の端部と結接されるとともに、織物長手方向の他端部において、前記両隣の経糸のうち前記とは反対側の経糸の端部と結接されて、各経糸が両端部で交互に連続していることを特徴とする。
【0011】
このすだれ織物によれば、各経糸が織物長手方向の両端部で交互に結接されて1本に連続していることになり、このすだれ織物から経糸を順次引き離して取り出すことにより、基本的に全ての経糸が1本に連続したきわめて長尺のコードが得られることになる。
【0012】
前記のすだれ織物において、請求項3の発明のように、側端から数えて任意の奇数番目の経糸とこれに隣接する偶数番目の経糸とを端部で結接することなく、該経糸の非結接端部を織物長手方向の少なくとも一方の端部に残しておくこともできる。この場合、1つのすだれ織物から、該すだれ織物の長さの数倍以上の長さを持つ複数のコードを得ることができる。
【0013】
請求項4の発明は、前記のすだれ織物が、ロール状に巻回されて、経糸の非結接端部が該巻回体の表面に存することを特徴とする。これにより、すだれ織物をロール状の巻回体から引き出しながら経糸を引き離して取り出す方法を良好に実施でき、経糸の取り出し作業を能率よく行なうことができる。
【0014】
請求項5の発明のすだれ織物は、ロール状に巻回されて、前記経糸の非結接端部が該巻回体の表面と巻芯側とに混在してなることを特徴とし、この場合も、すだれ織物からの経糸の取り出し作業を能率よく行なうことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基いて説明する。
【0016】
図1は本発明に係るすだれ織物(1)の1例を示し、図2はその一部の拡大図である。図に示すように、このすだれ織物(1)は、レーヨン糸、またはポリエステルやアラミドなどの各種合成繊維のマルチフィラメント糸等のタイヤ補強材に一般に使用される繊維コード等を経糸とし、多数本の経糸、例えば数百本〜数千本の経糸(2)と、これらの経糸(2)の長手方向所要間隔毎に打ち込まれて各経糸(2)をつなぐ細い緯糸(3)とより、長尺に製織されてなる。
【0017】
緯糸(3)は、織物の側端部で折返すことにより1本の糸を連続して打ち込むほか、両側端部で切断した有限糸を打ち込んで製織することもできる。この緯糸(3)の打ち込み間隔は、接着剤処理や熱処理理等の加工および取扱い上の問題が生じず、しかも処理後のすだれ織物(1)からの経糸(2)の引き離し作業を容易にする範囲で、比較的大きく設定することができ、例えば10〜150mmの範囲に設定する。
【0018】
この緯糸(3)には、接着剤処理により経糸(2)と緯糸(3)が強固に接着された状態になると、経糸の切り離しが困難になる場合があるので、緯糸にテフロンコーティング加工を施して接着性を低下させておいてもよい。
【0019】
このすだれ織物(1)は、一般には500〜1000m程度の長さに製織されるが、もちろん前記範囲より短かく、あるいは長く製織する場合もある。
【0020】
こうして製織したすだれ織物(1)は、通常の手段により必要な接着剤処理および熱処理等の処理を施す。この処理は、通常の織物の処理と同様にして容易に行なえる。
【0021】
本発明のすだれ織物(1)においては、織物長手方向の両端部(a)(b)において、前記経糸(2)の端部がその片側に隣接する経糸(2)の端部と両端で交互に結接されて、複数本の経糸(2)が連続せしめられている。図において、(21)は一方の側端から数えて奇数番目の経糸、(22)は前記側端から数えて偶数番目の経糸を示し、(4)はその結接部分を示している。
【0022】
前記経糸(2)の結接の具体的形態として、図1に示すように、各経糸がその両端で交互に連続するように、各経糸(21)または(22)の端部が、織物長手方向の一端部(a)においては、その両隣の経糸のうちのいずれか一方側の経糸(22)または(21)の端部と、また織物長手方向の他端部(b)においては、前記両隣の経糸のうち前記とは反対側の経糸(22)または(21)の端部とそれぞれ結接されている。
【0023】
すなわち、織物長手方向の一端部(a)では、前記奇数番目の経糸(21)の端部(21a)が次の偶数番目の経糸(22)の端部(22a)と結接されるとともに、織物長手方向の他端部(b)では、前記偶数番目の経糸(22)の端部(22b)が次の奇数番目の経糸(21)の端部(21b)と結接されて、各経糸(21)(22)が両端部(a)(b)で交互に連続している。
【0024】
前記実施例のすだれ織物(1)の場合、各経糸(21)(22)がその両端で交互に結接されて1本に連続している。そのため、このすだれ織物(1)の各経糸(2)を側端から順次引き離す等の手段によりコードとして取り出すことにより、基本的に全ての経糸(2)が連続した長尺の1本のコードが得られる。
【0025】
なお、前記の経糸端部における結接は、すだれ織物(1)の製織方向の始端側の端部については製織開始時に、また終端側の端部については製織終了時に行なうのが好適であるが、このほか、製織後の適当な時期、接着剤処理等の処理の前後に結接することもできる。また、すだれ織物(1)は、一般に織始めおよび織終りの両端部に、50〜150mmの程度の幅で緯糸(3)の打込み密度を密にしたタビー(1a)(1b)が形成されており、経糸(2)の端部は前記タビー(1a)(1b)より所要の長さ延出しているので、経糸端部を結接して本発明を実施するのは容易である。
【0026】
図3および図4は、前記のすだれ織物(1)の結接形態の変更例として、側端から数えて任意の奇数番目の経糸(21)とこれに隣接する偶数番目の経糸(22)とを端部で連結することなく、該経糸(21)(22)の端部を非接結端部として残した場合を示している。特に、図3は、織物長手方向の一端部(a)において、非接結の経糸(21)と経糸(22)の双方の端部(21a)(22a)を非結接端部(2a)として残した場合を示し、図4は、織物長手方向の一端部(a)に、非接結の経糸(21)の端部(21a)を、他端部(b)に経糸(22)の端部(22b)をそれぞれ非結接端部(2a)(2b)として残した場合を示している。
【0027】
この実施例のすだれ織物(1)によれば、該すだれ織物(1)から各経糸(2)を前記同様に引き離して取り出すことにより、前記非結接部分で分離した複数本(図の場合は3本以上)のコードを得ることができる。
【0028】
前記の非結接部分の個所は、該すだれ織物(1)から得ようとするコードの長さや本数に応じて任意に設定でき、また異なった長さのコードを取り出すことも可能になる。
【0029】
前記のすだれ織物(1)は、通常、図5のように、接着剤処理等の処理後にロール状に巻回しておくが、この際、一側端の経糸(2)の端部、および非結接部分の経糸(2)の非結接端部(2a)が、該すだれ織物(1)の巻回体(5)の表面に存するように巻回しておく。これにより、例えばすだれ織物(1)をロール状の巻回体(5)から引き出しながら、経糸(2)を引き離して取り出す方法を良好に実施できる。
【0030】
なお、前記のようにロール状に巻回されるすだれ織物(1)が、図4の実施例のすだれ織物であると、前記経糸(2)の非結接端部(2a)(2b)が、該巻回体(5)の表面と巻芯側とに混在することになり、この場合も、すだれ織物(1)をロール状の巻回体(5)から引き出しながら経糸(2)を引き離して取り出す方法を良好に実施できる。
【0031】
なお、前記すだれ織物(1)から経糸(2)をコードとして取り出す方法としては、種々の方法があるが、例えば、すだれ織物(1)を図5のようにロール状に巻回しておいて、該巻回体(5)からすだれ織物(1)を引き出し走行させて再度ロール状に巻き取ることを繰返しながら、前記走行部分で織物側端から順に経糸(2)を側方に引き離すようにして取り出す方法、あるいは前記巻回体(5)を巻回状態のままその軸心方向の一方端側より、経糸(2)を軸方向に引き出すうよにして取り出す方法が考えられる。こうして取出した経糸よりなるコードは、ボビンに巻取っておく。
【0032】
こうして得られた長尺の処理済みコードを、必要な本数をガイド穴に通す等の手段で並列させるように配列させて、カレンダーやチューバーに供給して、ゴムをトッピングすることにより、緯糸を有さない長尺のトッピングシートを得ることができ、タイヤの補強材として好適に使用できる。
【0033】
なお、前記の長尺のコードには経糸の結接部が存在しており、これを前記のようにチューバー等でのトッピング工程に供給した場合に、前記結接部がガイド穴に引っかかってコードが破断するおそれがあるので、ノットセンサによって前記コード中の結接部を検出して、破断が生じないように機械の運転を制御してトッピング加工を行なえばよい。
【0034】
また、前記トッピングシートをタイヤ補強材に使用する場合、前記コードの結接部の部分は使用できないので、該部分を排除して使用すれればよい。
【0035】
さらに、前記のようにして得られる処理済みコードを、そのままタイヤ成型工程でゴム層の上に螺旋状に巻付け、その上にゴムシートを被覆して一体化することにより、周方向でジョイント部を生じさせないタイヤの補強コード層に使用することもできる。
【0036】
【発明の効果】
上記したように、本発明のすだれ織物によれば、該すだれ織物から経糸を引き離して取り出すことにより、ずたれ織物の長さの2倍以上の長尺の処理済みコードを得ることができ、以てタイヤ補強コードに使用する処理済みコードの生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のすだれ織物の実施例を示す一部を省略した平面図である。
【図2】同上の拡大図である。
【図3】本発明のすだれ織物の他の実施例を示す一部を省略した平面図である。
【図4】本発明のすだれ織物の更に他の実施例を示す一部を省略した平面図である。
【図5】本発明の図3の実施例のすだれ織物をロール状に巻回した斜視図である。
【符号の説明】
(a)(b) 両端部
(1) すだれ織物
(2) 経糸
(2a)(2b) 非結接端部
(21) 奇数番目の経糸
(21a)(21b) 奇数番目の経糸の端部
(22) 偶数番目の経糸
(22a)(22b) 偶数番目の経糸の端部
(3) 緯糸
(4) 非結接端部
(5) ロール状の巻回体
【発明の属する技術分野】
本発明は、緯糸の存在しない処理済みのタイヤ補強コードを得るためのすだれ織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、タイヤにおけるカーカスやベルト層等のコードを補強材とする構成部分を、シングルのコードを用いて周方向でジョイント部を生じさせない構造(ジョイントレスタイヤ)にすることが提案されている。
【0003】
これに使用するコードは、ゴムとの接着性や形態安定性を改善するために、接着剤処理等のディッピング処理やヒートセット等の処理を施しておく必要があるが、その製造上の問題から、この処理済みコードはかなりコスト高なものとなっている。
【0004】
すなわち、前記の処理済みのコードを得るために、例えばコードを1本ずつ処理する方法では、きわめて効率が悪く、また多数本のコードを並列させて処理する方法の場合は、各コードが相互につながれていないために動き易く、ディッピング処理等の工程でトラブルが発生し易い上、各コードのテンションを均一化するために特別の装置を必要とし、手間がかかる割には効率が低く、コスト高になるといった問題がある。
【0005】
そこで、従来よりタイヤの補強層に使用されているすだれ織物、すなわち繊維コード等よりなる多数本の経糸に対し、その長手方向所要間隔間毎につなぎの役割を果す細い緯糸を打ち込んで製織したすだれ織物に、ディッピング処理等を施した後、このすだれ織物の側端から順に経糸を取り出すことにより、処理済みコードを容易に得る方法を開発した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記の方法において、例えば1000mの長さのすだれ織物から、そのまま各経糸を切り離して取り出した場合は、1000mの長さのコードしか得られず、この各コード毎に取り出したコードの巻取りボビン等の交換、コードのガイド穴通し等を行なわねばならず、その作業に工数、人手を要することになり、生産性の点では充分満足できないものであった。かといって、すだれ織物を長尺にすると、その巻径が大きくかつ重くなって取扱い難いものになるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなしたもので、接着剤処理等の処理済みのすだれ織物から経糸をコードとして取り出す方法において、すだれ織物の長さの2倍以上の長尺のコードを取り出すことができ、以てタイヤ補強コードに使用する処理済みコードの生産性の向上を図ることができるすだれ織物を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】
請求項1の発明は、タイヤ補強コードとなる多数本の経糸に対し長手方向所要間隔毎に緯糸を打込んで製織した長尺のタイヤ補強コード用すだれ織物であり、織物長手方向の両端部において、経糸の端部がその片側に隣接する経糸の端部と交互に結接されて、任意の複数本の経糸が連続していることを特徴とする。
【0009】
このすだれ織物によれば、織物長手方向の端部で片側に隣接する経糸と結接されて連続しているため、接着剤処理等の処理を施した後、このすだれ織物の経糸を側端から順に引き離すようにして取り出すことによって得られるコードは、少なくともすだれ織物の長さの2倍以上の長さを有するものとる。
【0010】
請求項2の発明は、前記のすだれ織物として、各経糸の端部が、織物長手方向の一端部において、その両隣の経糸のうちいずれか一方側の経糸の端部と結接されるとともに、織物長手方向の他端部において、前記両隣の経糸のうち前記とは反対側の経糸の端部と結接されて、各経糸が両端部で交互に連続していることを特徴とする。
【0011】
このすだれ織物によれば、各経糸が織物長手方向の両端部で交互に結接されて1本に連続していることになり、このすだれ織物から経糸を順次引き離して取り出すことにより、基本的に全ての経糸が1本に連続したきわめて長尺のコードが得られることになる。
【0012】
前記のすだれ織物において、請求項3の発明のように、側端から数えて任意の奇数番目の経糸とこれに隣接する偶数番目の経糸とを端部で結接することなく、該経糸の非結接端部を織物長手方向の少なくとも一方の端部に残しておくこともできる。この場合、1つのすだれ織物から、該すだれ織物の長さの数倍以上の長さを持つ複数のコードを得ることができる。
【0013】
請求項4の発明は、前記のすだれ織物が、ロール状に巻回されて、経糸の非結接端部が該巻回体の表面に存することを特徴とする。これにより、すだれ織物をロール状の巻回体から引き出しながら経糸を引き離して取り出す方法を良好に実施でき、経糸の取り出し作業を能率よく行なうことができる。
【0014】
請求項5の発明のすだれ織物は、ロール状に巻回されて、前記経糸の非結接端部が該巻回体の表面と巻芯側とに混在してなることを特徴とし、この場合も、すだれ織物からの経糸の取り出し作業を能率よく行なうことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基いて説明する。
【0016】
図1は本発明に係るすだれ織物(1)の1例を示し、図2はその一部の拡大図である。図に示すように、このすだれ織物(1)は、レーヨン糸、またはポリエステルやアラミドなどの各種合成繊維のマルチフィラメント糸等のタイヤ補強材に一般に使用される繊維コード等を経糸とし、多数本の経糸、例えば数百本〜数千本の経糸(2)と、これらの経糸(2)の長手方向所要間隔毎に打ち込まれて各経糸(2)をつなぐ細い緯糸(3)とより、長尺に製織されてなる。
【0017】
緯糸(3)は、織物の側端部で折返すことにより1本の糸を連続して打ち込むほか、両側端部で切断した有限糸を打ち込んで製織することもできる。この緯糸(3)の打ち込み間隔は、接着剤処理や熱処理理等の加工および取扱い上の問題が生じず、しかも処理後のすだれ織物(1)からの経糸(2)の引き離し作業を容易にする範囲で、比較的大きく設定することができ、例えば10〜150mmの範囲に設定する。
【0018】
この緯糸(3)には、接着剤処理により経糸(2)と緯糸(3)が強固に接着された状態になると、経糸の切り離しが困難になる場合があるので、緯糸にテフロンコーティング加工を施して接着性を低下させておいてもよい。
【0019】
このすだれ織物(1)は、一般には500〜1000m程度の長さに製織されるが、もちろん前記範囲より短かく、あるいは長く製織する場合もある。
【0020】
こうして製織したすだれ織物(1)は、通常の手段により必要な接着剤処理および熱処理等の処理を施す。この処理は、通常の織物の処理と同様にして容易に行なえる。
【0021】
本発明のすだれ織物(1)においては、織物長手方向の両端部(a)(b)において、前記経糸(2)の端部がその片側に隣接する経糸(2)の端部と両端で交互に結接されて、複数本の経糸(2)が連続せしめられている。図において、(21)は一方の側端から数えて奇数番目の経糸、(22)は前記側端から数えて偶数番目の経糸を示し、(4)はその結接部分を示している。
【0022】
前記経糸(2)の結接の具体的形態として、図1に示すように、各経糸がその両端で交互に連続するように、各経糸(21)または(22)の端部が、織物長手方向の一端部(a)においては、その両隣の経糸のうちのいずれか一方側の経糸(22)または(21)の端部と、また織物長手方向の他端部(b)においては、前記両隣の経糸のうち前記とは反対側の経糸(22)または(21)の端部とそれぞれ結接されている。
【0023】
すなわち、織物長手方向の一端部(a)では、前記奇数番目の経糸(21)の端部(21a)が次の偶数番目の経糸(22)の端部(22a)と結接されるとともに、織物長手方向の他端部(b)では、前記偶数番目の経糸(22)の端部(22b)が次の奇数番目の経糸(21)の端部(21b)と結接されて、各経糸(21)(22)が両端部(a)(b)で交互に連続している。
【0024】
前記実施例のすだれ織物(1)の場合、各経糸(21)(22)がその両端で交互に結接されて1本に連続している。そのため、このすだれ織物(1)の各経糸(2)を側端から順次引き離す等の手段によりコードとして取り出すことにより、基本的に全ての経糸(2)が連続した長尺の1本のコードが得られる。
【0025】
なお、前記の経糸端部における結接は、すだれ織物(1)の製織方向の始端側の端部については製織開始時に、また終端側の端部については製織終了時に行なうのが好適であるが、このほか、製織後の適当な時期、接着剤処理等の処理の前後に結接することもできる。また、すだれ織物(1)は、一般に織始めおよび織終りの両端部に、50〜150mmの程度の幅で緯糸(3)の打込み密度を密にしたタビー(1a)(1b)が形成されており、経糸(2)の端部は前記タビー(1a)(1b)より所要の長さ延出しているので、経糸端部を結接して本発明を実施するのは容易である。
【0026】
図3および図4は、前記のすだれ織物(1)の結接形態の変更例として、側端から数えて任意の奇数番目の経糸(21)とこれに隣接する偶数番目の経糸(22)とを端部で連結することなく、該経糸(21)(22)の端部を非接結端部として残した場合を示している。特に、図3は、織物長手方向の一端部(a)において、非接結の経糸(21)と経糸(22)の双方の端部(21a)(22a)を非結接端部(2a)として残した場合を示し、図4は、織物長手方向の一端部(a)に、非接結の経糸(21)の端部(21a)を、他端部(b)に経糸(22)の端部(22b)をそれぞれ非結接端部(2a)(2b)として残した場合を示している。
【0027】
この実施例のすだれ織物(1)によれば、該すだれ織物(1)から各経糸(2)を前記同様に引き離して取り出すことにより、前記非結接部分で分離した複数本(図の場合は3本以上)のコードを得ることができる。
【0028】
前記の非結接部分の個所は、該すだれ織物(1)から得ようとするコードの長さや本数に応じて任意に設定でき、また異なった長さのコードを取り出すことも可能になる。
【0029】
前記のすだれ織物(1)は、通常、図5のように、接着剤処理等の処理後にロール状に巻回しておくが、この際、一側端の経糸(2)の端部、および非結接部分の経糸(2)の非結接端部(2a)が、該すだれ織物(1)の巻回体(5)の表面に存するように巻回しておく。これにより、例えばすだれ織物(1)をロール状の巻回体(5)から引き出しながら、経糸(2)を引き離して取り出す方法を良好に実施できる。
【0030】
なお、前記のようにロール状に巻回されるすだれ織物(1)が、図4の実施例のすだれ織物であると、前記経糸(2)の非結接端部(2a)(2b)が、該巻回体(5)の表面と巻芯側とに混在することになり、この場合も、すだれ織物(1)をロール状の巻回体(5)から引き出しながら経糸(2)を引き離して取り出す方法を良好に実施できる。
【0031】
なお、前記すだれ織物(1)から経糸(2)をコードとして取り出す方法としては、種々の方法があるが、例えば、すだれ織物(1)を図5のようにロール状に巻回しておいて、該巻回体(5)からすだれ織物(1)を引き出し走行させて再度ロール状に巻き取ることを繰返しながら、前記走行部分で織物側端から順に経糸(2)を側方に引き離すようにして取り出す方法、あるいは前記巻回体(5)を巻回状態のままその軸心方向の一方端側より、経糸(2)を軸方向に引き出すうよにして取り出す方法が考えられる。こうして取出した経糸よりなるコードは、ボビンに巻取っておく。
【0032】
こうして得られた長尺の処理済みコードを、必要な本数をガイド穴に通す等の手段で並列させるように配列させて、カレンダーやチューバーに供給して、ゴムをトッピングすることにより、緯糸を有さない長尺のトッピングシートを得ることができ、タイヤの補強材として好適に使用できる。
【0033】
なお、前記の長尺のコードには経糸の結接部が存在しており、これを前記のようにチューバー等でのトッピング工程に供給した場合に、前記結接部がガイド穴に引っかかってコードが破断するおそれがあるので、ノットセンサによって前記コード中の結接部を検出して、破断が生じないように機械の運転を制御してトッピング加工を行なえばよい。
【0034】
また、前記トッピングシートをタイヤ補強材に使用する場合、前記コードの結接部の部分は使用できないので、該部分を排除して使用すれればよい。
【0035】
さらに、前記のようにして得られる処理済みコードを、そのままタイヤ成型工程でゴム層の上に螺旋状に巻付け、その上にゴムシートを被覆して一体化することにより、周方向でジョイント部を生じさせないタイヤの補強コード層に使用することもできる。
【0036】
【発明の効果】
上記したように、本発明のすだれ織物によれば、該すだれ織物から経糸を引き離して取り出すことにより、ずたれ織物の長さの2倍以上の長尺の処理済みコードを得ることができ、以てタイヤ補強コードに使用する処理済みコードの生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のすだれ織物の実施例を示す一部を省略した平面図である。
【図2】同上の拡大図である。
【図3】本発明のすだれ織物の他の実施例を示す一部を省略した平面図である。
【図4】本発明のすだれ織物の更に他の実施例を示す一部を省略した平面図である。
【図5】本発明の図3の実施例のすだれ織物をロール状に巻回した斜視図である。
【符号の説明】
(a)(b) 両端部
(1) すだれ織物
(2) 経糸
(2a)(2b) 非結接端部
(21) 奇数番目の経糸
(21a)(21b) 奇数番目の経糸の端部
(22) 偶数番目の経糸
(22a)(22b) 偶数番目の経糸の端部
(3) 緯糸
(4) 非結接端部
(5) ロール状の巻回体
Claims (5)
- タイヤ補強コードとなる多数本の経糸に対し長手方向所要間隔毎に緯糸を打込んで製織した長尺のすだれ織物であって、
織物長手方向の両端部において、経糸の端部がその片側に隣接する経糸の端部と交互に結接されて、任意の複数本の経糸が連続していることを特徴とするタイヤ補強コード用すだれ織物。 - 各経糸の端部が、織物長手方向の一端部において、その両隣の経糸のうちのいずれか一方側の経糸の端部と結接されるとともに、織物長手方向の他端部において、前記両隣の経糸のうち前記とは反対側の経糸の端部と結接されて、各経糸が両端部で交互に連続していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ補強コード用すだれ織物。
- 側端から数えて任意の奇数番目の経糸とこれに隣接する偶数番目の経糸とが端部で結接されないで、該経糸の非結接端部が織物長手方向の少なくとも一方の端部に残されている請求項2に記載のタイヤ補強コード用すだれ織物。
- ロール状に巻回されてなり、経糸の非結接端部が該巻回体の表面に存することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ補強コード用すだれ織物。
- ロール状に巻回されてなり、経糸の非結接端部が該巻回体の表面と巻芯側とに混在してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ補強コード用すだれ織物。
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