JP2004269933A - 集電摺動材料 - Google Patents

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Shunichi Kubo
俊一 久保
Hiroshi Tsuchiya
広志 土屋
Saneji Ikeuchi
実治 池内
Kazuyuki Handa
和行 半田
Kazuyoshi Sawai
一義 澤井
Yoshiyuki Yamazaki
義之 山崎
Koji Hasegawa
浩司 長谷川
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Railway Technical Research Institute
Fine Sinter Co Ltd
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Railway Technical Research Institute
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Abstract

【課題】優れた耐摩耗性を維持しつつ、より良好な潤滑性を有する集電摺動材料を提供する。
【解決手段】▲1▼Bi及びBi化合物の少なくとも1種1〜13重量%、▲2▼窒化FeTi、FeCr、FeMo及びWの少なくとも1種5〜30重量%ならびに残部Feからなる混合粉末を焼結して得られる集電摺動材料。
【選択図】なし

Description

【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な集電摺動材料に関する。
【従来技術】
新幹線等のような高速鉄道車両におけるパンタグラフ用すり板(以下、単に「すり板」ともいう)には、特に優れた耐摩耗性と潤滑性が要求される。すなわち、このようなすり板においては、高速でのすり板の摩耗が少なく、かつ、トロリ線への攻撃性が少ないという特性が求められる。
これに関し、新幹線等のパンタグラフ用すり板として、従来より、母材である鉄に窒化FeTi、Cr、FeMo等を耐摩耗材として添加し、MoS、Pb等を潤滑材として添加した材料が使用されている(例えば、特許文献1、特許文献2など参照)。
しかしながら、上記すり板では特に潤滑性が未だ不十分であるため、低速における相手材(トロリ線)への攻撃性が高く、トロリ線の摩耗が激しい。このため、電車が低速で走行する駅付近、車庫付近等においては、給油装置を設けてトロリ線に潤滑油を付与することによって摩耗を抑制しなければならない。この場合、すり板の硬度を下げることにより潤滑性を向上させることもできるが、一般に硬度を下げるとそれだけ耐摩耗性の低下を避けることができない。
【特許文献1】
特開平7−18351号
【特許文献2】
特開平8−85854号
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、従来技術では、耐摩耗性を保ちながら潤滑性を向上させるには限界があった。
従って、本発明は、優れた耐摩耗性を維持しつつ、より良好な潤滑性を有する集電摺動材料を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定組成の焼結体を集電摺動材料として採用することによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の集電摺動材料に係る。
1.▲1▼Bi及びBi化合物の少なくとも1種1〜13重量%、▲2▼窒化FeTi、FeCr、FeMo及びWの少なくとも1種5〜30重量%ならびに▲3▼残部Feからなる混合粉末を成形し、焼結して得られる集電摺動材料。
2.Bi化合物がBi及びBiの少なくとも1種である前記項1記載の集電摺動材料。
【発明の実施の形態】
本発明に係る集電摺動材料は、▲1▼Bi及びBi化合物の少なくとも1種1〜13重量%、▲2▼窒化FeTi、FeCr、FeMo及びWの少なくとも1種5〜30重量%ならびに▲3▼残部Feからなる混合粉末を成形し、焼結することにより得られるものである。
各成分は、それぞれ公知の物又は市販品粉末を用いることができる。また、これら成分の一部が合金化した合金粉末を用いても良い。また、これら粉末は、いずれの製法によって得られたものも使用できる。
Bi及びBi化合物の少なくとも1種は、通常1〜13重量%(好ましくは2〜10重量%)配合する。Bi化合物としては、例えばBi、Bi等を用いることができる。これらの中でも、Biが特に好ましい。Bi又はBi化合物は、通常は粉末として配合すれば良く、その場合の平均粒径は特に制限されないが、通常20〜200μm程度とすれば良い。
窒化FeTi(FeTiNx)、FeCr、FeMo及びWの少なくとも1種は、通常5〜30重量%(好ましくは8〜25重量%)配合する。これらは、通常は粉末として配合すれば良く、その場合の平均粒径は特に制限されないが、通常75〜250μm程度とすれば良い。
残部はFeであり、通常は粉末として配合すれば良く、その場合の粒径は特に制限されないが、通常50〜250μm程度とすれば良い。
本発明では、その効果を妨げない範囲内で、例えばNi、Mo、Cu、C等の成分を必要に応じて添加することもでき、また不可避不純物が含まれていても差し支えない。
これらの粉末を公知の混合機等を用いて混合する。この場合、必要に応じて、混合時に混合粉末をさらに粉砕して粒度調整を適宜行うこともできる。
次いで、混合粉末を成形して所定の形状(すり板形状等)とする。成形方法は、粉末冶金分野で用いられている公知の成形法に従えば良い。例えば、プレス成形、CIP法、HIP法等が適用できる。成形圧は、通常5〜7トン/cm程度とすれば良い。成形圧は、最終的に後記に示すような密度が得られれば良いので、その限りにおいて上記成形圧の範囲外となっても良い。なお、成形に際しては、必要に応じて有機バインダー、焼結助剤等を添加することもできる。
続いて、上記成形体の焼結を行う。焼結温度は、通常900〜1200℃程度とすれば良い。焼結雰囲気は、窒素ガス、ヘリウムガス等の不活性ガス雰囲気又はアンモニア分解ガス等の還元性雰囲気下で焼結を行えば良い。焼結時間は、焼結温度等に応じて適宜決定すれば良いが、通常は60〜90分程度とすれば良い。
本発明材料におけるかさ密度は、組成、用途等に応じて適宜設定すれば良いが、通常6.3〜7.3g/cm程度、好ましくは6.5〜7.0g/cmとすれば良い。特に、本発明では、材料密度比(真比重に対する比)が通常85%以上、好ましくは90%とする。
本発明の集電摺動材料は、例えばパンタグラフ用すり板等として好適に用いることができる。本発明材料をパンタグラフ用すり板として用いる場合、そのすり板のパンタグラフへの取り付け方法としては、公知の方法に従えば良く、例えば本発明すり板を舟体にネジ止めすることにより設置すれば良い。本発明材料は、いずれのタイプのパンタグラフにも適用することが可能である。
【発明の効果】
本発明の集電摺動材料は、特にBi及びBi化合物の少なくとも1種と窒化FeTi等の特定成分とを併用した焼結体から構成されているので、優れた耐摩耗性を維持しつつ硬度を適度に下げることができる結果、優れた耐摩耗性と潤滑性とを達成することができる。しかも、本発明材料は、強度特性も効果的に維持されているので、耐久性にも優れている。
このような特長をもつ本発明材料は、低速域での潤滑性にも優れることから、新幹線等の高速で走行する電車のパンタグラフ用としてより効果的に適用することができる。
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴を一層明確にする。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1〜5
表1に示す配合で各成分をVI型混合機(徳寿工作所製)で混合した後、成形圧6トン/cmですり板形状(サイズ270mm×40mm×9mm)に成形し、窒素ガス雰囲気下1100℃で70分間焼結を行った。
得られた各試料について、硬さ、衝撃値、すり板比摩耗量及びトロリ線摩耗量をそれぞれ調べた。なお、摩耗試験の条件は以下の通りとした。
・すり板比摩耗量の試験条件
摺動速度 100km/h
通電電流 200A(AC)
押付け力 5kgf
試験時間 300秒
・トロリ線摩耗量の試験条件
摺動速度 25km/h
通電電流 100A(AC)
押付け力 5kgf
試験時間 1800秒
【表1】
Figure 2004269933
比較例1〜5
配合を表1のようにしたほかは実施例1と同様にして焼結体を作製し、実施例1と同様にして試験を行った。その結果を表1に示す。
表1の結果からも明らかなように、比較例(No6〜No10)のすり板では硬さが高いために相手材に対する攻撃性が高く、その摩耗量が大きい。これに対し、本発明のすり板は、良好な耐摩耗性及び強度特性(衝撃値)を維持しながら硬度を適度に下げることができるので、トロリ線摩耗量のより一層の軽減を図ることができる。このことから、本発明のすり板は、特に低速域においても優れた潤滑性を達成できることがわかる。

Claims (2)

  1. ▲1▼Bi及びBi化合物の少なくとも1種1〜13重量%、▲2▼窒化FeTi、FeCr、FeMo及びWの少なくとも1種5〜30重量%ならびに▲3▼残部Feからなる混合粉末を成形し、焼結して得られる集電摺動材料。
  2. Bi化合物がBi及びBiの少なくとも1種である請求項1記載の集電摺動材料。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013241629A (ja) * 2012-05-17 2013-12-05 Railway Technical Research Institute 集電摺動材料及びその製造方法

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