JPH08246110A - 耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材 - Google Patents
耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材Info
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- JPH08246110A JPH08246110A JP7826395A JP7826395A JPH08246110A JP H08246110 A JPH08246110 A JP H08246110A JP 7826395 A JP7826395 A JP 7826395A JP 7826395 A JP7826395 A JP 7826395A JP H08246110 A JPH08246110 A JP H08246110A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 特に高速で耐摩耗性を発揮する電気車の集電
用パンタグラフすり板材を提供する。 【構成】 （１）集電用パンタグラフすり板材を、分散
相としてＦｅとＷの金属間化合物：５〜２５重量％を含
有し、さらに必要に応じてＣｒ：３〜７重量％を含有
し、素地形成成分として、Ｃｕ：３０〜５０重量％を含
有し、さらに必要に応じてＣ：０．０１〜０．５重量
％、および／またはＳｎ：２〜５重量％とＰ：０．０１
〜０．５重量％を含有し、残りがＦｅおよび不可避不純
物からなる組成を有する気孔率：５〜１５％のＦｅ−Ｃ
ｕ系焼結合金に、ＺｎまたはＺｎ合金を含浸してなる亜
鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金で構成する。
用パンタグラフすり板材を提供する。 【構成】 （１）集電用パンタグラフすり板材を、分散
相としてＦｅとＷの金属間化合物：５〜２５重量％を含
有し、さらに必要に応じてＣｒ：３〜７重量％を含有
し、素地形成成分として、Ｃｕ：３０〜５０重量％を含
有し、さらに必要に応じてＣ：０．０１〜０．５重量
％、および／またはＳｎ：２〜５重量％とＰ：０．０１
〜０．５重量％を含有し、残りがＦｅおよび不可避不純
物からなる組成を有する気孔率：５〜１５％のＦｅ−Ｃ
ｕ系焼結合金に、ＺｎまたはＺｎ合金を含浸してなる亜
鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金で構成する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、高速で走行する電気
車に用いた場合に特に優れた耐摩耗性を発揮する亜鉛含
浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板
材に関するものである。
車に用いた場合に特に優れた耐摩耗性を発揮する亜鉛含
浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板
材に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来、電気車のパンタグラフすり板材と
しては、例えば、特開昭６２−５０４４５号公報に記載
されるように分散相として、Ｍｏ：０．１〜８重量％
と、Ｆｅ−Ｍｏ合金：１〜１５重量％を含有し、さらに
必要に応じて、Ｃｒ：１〜１５重量％を含有し、さら
に、素地形成成分として、Ｃｕ：０．１〜５重量％、Ｎ
ｉ：０．１〜５重量％、Ｃ：０．０２〜０．５重量％を
含有し、残りがＦｅおよび不可避不純物からなる組成、
並びに５〜１５％の気孔率を有するＦｅ基焼結合金に、
ＰｂまたはＰｂ合金を含浸してなる鉛含浸Ｆｅ基焼結合
金で構成されたものが知られている。
しては、例えば、特開昭６２−５０４４５号公報に記載
されるように分散相として、Ｍｏ：０．１〜８重量％
と、Ｆｅ−Ｍｏ合金：１〜１５重量％を含有し、さらに
必要に応じて、Ｃｒ：１〜１５重量％を含有し、さら
に、素地形成成分として、Ｃｕ：０．１〜５重量％、Ｎ
ｉ：０．１〜５重量％、Ｃ：０．０２〜０．５重量％を
含有し、残りがＦｅおよび不可避不純物からなる組成、
並びに５〜１５％の気孔率を有するＦｅ基焼結合金に、
ＰｂまたはＰｂ合金を含浸してなる鉛含浸Ｆｅ基焼結合
金で構成されたものが知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年、電気車
の高速化はめざましく、これに伴ない、集電用パンタグ
ラフすり板材にも一層の耐摩耗性が要求されるが、上記
の従来鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製の集電用パンタグラフす
り板材はじめ、多くのものは、実用に際して、電気車の
速度が２５０km／ｈを越えると、急速に摩耗が進行し、
比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
の高速化はめざましく、これに伴ない、集電用パンタグ
ラフすり板材にも一層の耐摩耗性が要求されるが、上記
の従来鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製の集電用パンタグラフす
り板材はじめ、多くのものは、実用に際して、電気車の
速度が２５０km／ｈを越えると、急速に摩耗が進行し、
比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【０００４】
【課題を解決する手段】そこで、本発明者等は、電気車
の高速走行にも優れた耐摩耗性を発揮する集電用パンタ
グラフすり板材を開発すべく研究を行った結果、 （ａ） 集電用パンタグラフすり板材を、分散相として
ＦｅとＷの金属間化合物：５〜２５重量％を含有し、素
地形成成分として、Ｃｕ：３０〜５０重量％、を含有
し、さらに必要に応じて、Ｓｎ：２〜５重量％、 Ｐ：
０．０１〜０．５重量％、を含有し、残りがＦｅおよび
不可避不純物からなる組成を有する気孔率：５〜１５％
のＦｅ−Ｃｕ系焼結合金に、ＺｎまたはＺｎ合金を含浸
してなる亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金で構成すると、
この結果の集電用パンタグラフすり板材は、電気車の２
５０km／ｈ以上の高速走行においても一段と優れた耐摩
耗性を発揮すること。 （ｂ） 上記（ａ）の集電用パンタグラフすり板材を構
成するＦｅ−Ｃｕ系焼結合金に、分散相としてＣｒ：３
〜７重量％、素地形成成分としてＣ：０．０１〜０．５
重量％を含有させると、耐摩耗性がさらに一段と向上す
るようになること。 以上（ａ）および（ｂ）に示される研究結果を得たので
ある。
の高速走行にも優れた耐摩耗性を発揮する集電用パンタ
グラフすり板材を開発すべく研究を行った結果、 （ａ） 集電用パンタグラフすり板材を、分散相として
ＦｅとＷの金属間化合物：５〜２５重量％を含有し、素
地形成成分として、Ｃｕ：３０〜５０重量％、を含有
し、さらに必要に応じて、Ｓｎ：２〜５重量％、 Ｐ：
０．０１〜０．５重量％、を含有し、残りがＦｅおよび
不可避不純物からなる組成を有する気孔率：５〜１５％
のＦｅ−Ｃｕ系焼結合金に、ＺｎまたはＺｎ合金を含浸
してなる亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金で構成すると、
この結果の集電用パンタグラフすり板材は、電気車の２
５０km／ｈ以上の高速走行においても一段と優れた耐摩
耗性を発揮すること。 （ｂ） 上記（ａ）の集電用パンタグラフすり板材を構
成するＦｅ−Ｃｕ系焼結合金に、分散相としてＣｒ：３
〜７重量％、素地形成成分としてＣ：０．０１〜０．５
重量％を含有させると、耐摩耗性がさらに一段と向上す
るようになること。 以上（ａ）および（ｂ）に示される研究結果を得たので
ある。
【０００５】この発明は、上記の研究結果に基づいてな
されたものであって、（１） 分散相としてＦｅとＷの
金属間化合物：５〜２５重量％を含有し、さらに素地形
成成分として、Ｃｕ：３０〜５０重量％、を含有し、残
りがＦｅおよび不可避不純物からなる組成を有する気孔
率：５〜１５％のＦｅ−Ｃｕ系焼結合金に、Ｚｎまたは
Ｚｎ合金を含浸してなる亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金
で構成されている耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ
系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材、（２）
分散相としてＦｅとＷの金属間化合物：５〜２５重量％
を含有し、さらにいずれも素地形成成分として、Ｃｕ：
３０〜５０重量％、Ｓｎ：２〜５重量％、Ｐ：０．０１
〜０．５重量％、を含有し、残りがＦｅおよび不可避不
純物からなる組成を有する気孔率：５〜１５％のＦｅ−
Ｃｕ系焼結合金に、ＺｎまたはＺｎ合金を含浸してなる
亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金で構成されている耐摩耗
性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パ
ンタグラフすり板材、（３） いずれも分散相としてＦ
ｅとＷの金属間化合物：５〜２５重量％およびＣｒ：３
〜７重量％を含有し、さらにいずれも素地形成成分とし
て、Ｃｕ：３０〜５０重量％、Ｃ：０．０１〜０．５重
量％、を含有し、残りがＦｅおよび不可避不純物からな
る組成を有する気孔率：５〜１５％のＦｅ−Ｃｕ系焼結
合金に、ＺｎまたはＺｎ合金を含浸してなる亜鉛含浸Ｆ
ｅ−Ｃｕ系焼結合金で構成されている耐摩耗性に優れた
亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフ
すり板材、（４） いずれも分散相としてＦｅとＷの金
属間化合物：５〜２５重量％およびＣｒ：３〜７重量％
を含有し、さらにいずれも素地形成成分として、Ｃｕ：
３０〜５０重量％、Ｓｎ：２〜５重量％、Ｐ：０．０１
〜０．５重量％、Ｃ：０．０１〜０．５重量％、を含有
し、残りがＦｅおよび不可避不純物からなる組成を有す
る気孔率：５〜１５％のＦｅ−Ｃｕ系焼結合金に、Ｚｎ
またはＺｎ合金を含浸してなる亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼
結合金で構成されている耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ
−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材、に
特徴を有するものである。
されたものであって、（１） 分散相としてＦｅとＷの
金属間化合物：５〜２５重量％を含有し、さらに素地形
成成分として、Ｃｕ：３０〜５０重量％、を含有し、残
りがＦｅおよび不可避不純物からなる組成を有する気孔
率：５〜１５％のＦｅ−Ｃｕ系焼結合金に、Ｚｎまたは
Ｚｎ合金を含浸してなる亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金
で構成されている耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ
系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材、（２）
分散相としてＦｅとＷの金属間化合物：５〜２５重量％
を含有し、さらにいずれも素地形成成分として、Ｃｕ：
３０〜５０重量％、Ｓｎ：２〜５重量％、Ｐ：０．０１
〜０．５重量％、を含有し、残りがＦｅおよび不可避不
純物からなる組成を有する気孔率：５〜１５％のＦｅ−
Ｃｕ系焼結合金に、ＺｎまたはＺｎ合金を含浸してなる
亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金で構成されている耐摩耗
性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パ
ンタグラフすり板材、（３） いずれも分散相としてＦ
ｅとＷの金属間化合物：５〜２５重量％およびＣｒ：３
〜７重量％を含有し、さらにいずれも素地形成成分とし
て、Ｃｕ：３０〜５０重量％、Ｃ：０．０１〜０．５重
量％、を含有し、残りがＦｅおよび不可避不純物からな
る組成を有する気孔率：５〜１５％のＦｅ−Ｃｕ系焼結
合金に、ＺｎまたはＺｎ合金を含浸してなる亜鉛含浸Ｆ
ｅ−Ｃｕ系焼結合金で構成されている耐摩耗性に優れた
亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフ
すり板材、（４） いずれも分散相としてＦｅとＷの金
属間化合物：５〜２５重量％およびＣｒ：３〜７重量％
を含有し、さらにいずれも素地形成成分として、Ｃｕ：
３０〜５０重量％、Ｓｎ：２〜５重量％、Ｐ：０．０１
〜０．５重量％、Ｃ：０．０１〜０．５重量％、を含有
し、残りがＦｅおよび不可避不純物からなる組成を有す
る気孔率：５〜１５％のＦｅ−Ｃｕ系焼結合金に、Ｚｎ
またはＺｎ合金を含浸してなる亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼
結合金で構成されている耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ
−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材、に
特徴を有するものである。
【０００６】この発明の耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ
−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材を構
成するＦｅ−Ｃｕ系焼結合金の成分組成および気孔率を
上記の通りに限定した理由を説明する。
−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材を構
成するＦｅ−Ｃｕ系焼結合金の成分組成および気孔率を
上記の通りに限定した理由を説明する。
【０００７】Ａ．成分組成 （ａ） ＦｅとＷの金属間化合物 この成分は、ビッカース硬さ（Ｈｖ）で５００〜８００
の高硬度を有し、すり板材の摺動面直下の表面部にあっ
ては、摺動に伴う素地の塑性変形を抑制し、またすり板
材の摺動面に露出した状態では、これの結晶形が六方晶
系であるのに対し、相手材のトロリ線を構成する結晶形
が立方晶系であることから、相互凝着性およびアブレイ
シブ性（砥粒性）が小さく、さらに実用時に潤滑性のあ
る酸化被膜が形成されることとあいまって、相手攻撃性
の小さい状態で、特に高速走行下での耐摩耗性を著しく
向上させる作用を持つが、その含有量が５重量％未満で
は前記作用に所望の効果が得られず、一方、その含有量
が２５重量％を越えると所望の強度が得られなくなるこ
とから、その含有量は５〜２５重量％に定めた。この範
囲よりも一層好ましい範囲は、１０〜２０重量％であ
る。
の高硬度を有し、すり板材の摺動面直下の表面部にあっ
ては、摺動に伴う素地の塑性変形を抑制し、またすり板
材の摺動面に露出した状態では、これの結晶形が六方晶
系であるのに対し、相手材のトロリ線を構成する結晶形
が立方晶系であることから、相互凝着性およびアブレイ
シブ性（砥粒性）が小さく、さらに実用時に潤滑性のあ
る酸化被膜が形成されることとあいまって、相手攻撃性
の小さい状態で、特に高速走行下での耐摩耗性を著しく
向上させる作用を持つが、その含有量が５重量％未満で
は前記作用に所望の効果が得られず、一方、その含有量
が２５重量％を越えると所望の強度が得られなくなるこ
とから、その含有量は５〜２５重量％に定めた。この範
囲よりも一層好ましい範囲は、１０〜２０重量％であ
る。
【０００８】（ｂ） Ｃｒ この成分は、ビッカース硬さ（Ｈｖ）で１６０〜２３０
の硬さを有し、素地のＦｅと強固に結合し、摺動面直下
にあっては、摺動による塑性変形を抑制して摩耗を防止
する作用があるので、必要に応じて含有されるが、その
含有量が３重量％未満では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方、その含有量が７重量％を越えると摺動面に
露出した場合は相手材であるＣｕ製トロリ線に対して高
いアブレイシブ性を示すので、その含有量を３〜７重量
％に定めた。この範囲よりも一層好ましい範囲は、４〜
６重量％である。
の硬さを有し、素地のＦｅと強固に結合し、摺動面直下
にあっては、摺動による塑性変形を抑制して摩耗を防止
する作用があるので、必要に応じて含有されるが、その
含有量が３重量％未満では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方、その含有量が７重量％を越えると摺動面に
露出した場合は相手材であるＣｕ製トロリ線に対して高
いアブレイシブ性を示すので、その含有量を３〜７重量
％に定めた。この範囲よりも一層好ましい範囲は、４〜
６重量％である。
【０００９】（ｃ） Ｃｕ Ｃｕ成分には、Ｆｅと共に素地を形成して、これを強化
するほか、電気伝導性および耐アーク性を向上させる作
用があるが、その含有量が３０重量％未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方、その含有量が５０重量
％を越えると、相手材であるＣｕ製トロリ線との凝着性
が増大し、耐摩耗性低下の原因となることから、その含
有量は３０〜５０重量％に定めた。一層好ましい範囲
は、３５〜４５重量％である。
するほか、電気伝導性および耐アーク性を向上させる作
用があるが、その含有量が３０重量％未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方、その含有量が５０重量
％を越えると、相手材であるＣｕ製トロリ線との凝着性
が増大し、耐摩耗性低下の原因となることから、その含
有量は３０〜５０重量％に定めた。一層好ましい範囲
は、３５〜４５重量％である。
【００１０】（ｄ） Ｓｎ Ｓｎ成分には、素地に固溶して、これを強化する作用が
あるので、Ｐ成分と共に必要に応じて含有されるが、そ
の含有量が２重量％未満では前記作用に所望の効果が得
られず、一方、その含有量が５重量％を越えると脆化す
るようになることから、その含有量は２〜５重量％に定
めた。一層好ましい範囲は、３〜４重量％である。
あるので、Ｐ成分と共に必要に応じて含有されるが、そ
の含有量が２重量％未満では前記作用に所望の効果が得
られず、一方、その含有量が５重量％を越えると脆化す
るようになることから、その含有量は２〜５重量％に定
めた。一層好ましい範囲は、３〜４重量％である。
【００１１】（ｅ） Ｐ Ｐ成分には、Ｓｎ成分と共に素地に固溶して、これを強
化するとともに耐蝕性を向上せしめる作用があるので、
必要に応じて含有されるが、その含有量が０．０１重量
％未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方、そ
の含有量が０．５重量％を越えると脆化するようにな
り、さらに電気伝導性を著しく劣化させることから、そ
の含有量は０．０１〜０．５重量％に定めた。一層好ま
しい範囲は、０．１〜０．４重量％である。
化するとともに耐蝕性を向上せしめる作用があるので、
必要に応じて含有されるが、その含有量が０．０１重量
％未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方、そ
の含有量が０．５重量％を越えると脆化するようにな
り、さらに電気伝導性を著しく劣化させることから、そ
の含有量は０．０１〜０．５重量％に定めた。一層好ま
しい範囲は、０．１〜０．４重量％である。
【００１２】（ｆ） Ｃ Ｃ成分には素地に固溶して、これを強化および硬化する
作用があるので必要に応じて含有させるが、Ｃ：０．０
１重量％未満では前記作用に所望の効果が得られず、一
方、Ｃの含有量が０．５重量％を越えると素地にパーラ
イト相が多量に形成されるようになって硬くなり、相手
材のトロリ線の摩耗を著しく促進させることから、Ｃ：
０．０２〜０．４重量％に定めた。一層好ましい範囲は
Ｃ：０．１〜０．４重量％である。
作用があるので必要に応じて含有させるが、Ｃ：０．０
１重量％未満では前記作用に所望の効果が得られず、一
方、Ｃの含有量が０．５重量％を越えると素地にパーラ
イト相が多量に形成されるようになって硬くなり、相手
材のトロリ線の摩耗を著しく促進させることから、Ｃ：
０．０２〜０．４重量％に定めた。一層好ましい範囲は
Ｃ：０．１〜０．４重量％である。
【００１３】Ｂ．気孔率 その割合が５％未満では、Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金に含浸
されるＺｎまたはＺｎ合金の割合が少なすぎて、Ｚｎま
たはＺｎ合金によってもたらされる優れた潤滑性を確保
することができず、一方、その割合が１５％を越える
と、Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金の強度、すなわち、すり板材
の強度が低下するばかりでなく、耐アーク性も低下する
ようになって摩耗が急激に進行するようになることか
ら、その割合を５〜１５％と定めた。この気孔率の一層
好ましい範囲は、７〜１０％である。
されるＺｎまたはＺｎ合金の割合が少なすぎて、Ｚｎま
たはＺｎ合金によってもたらされる優れた潤滑性を確保
することができず、一方、その割合が１５％を越える
と、Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金の強度、すなわち、すり板材
の強度が低下するばかりでなく、耐アーク性も低下する
ようになって摩耗が急激に進行するようになることか
ら、その割合を５〜１５％と定めた。この気孔率の一層
好ましい範囲は、７〜１０％である。
【００１４】
【実施例】原料粉末として、粒度：−８０メッシュのア
トマイズ鉄粉、粒度：−１００メッシュの電気銅粉、Ｓ
ｎ：１０重量％含有の粒度：−１００メッシュのアトマ
イズ青銅粉、粒度：−６０〜＋２００メッシュのＦｅ−
Ｗ（Ｆｅ−７５重量％Ｗ）金属間化合物粉、粒度：−３
５０メッシュの炭素粉末、粒度：−６０〜＋２００メッ
シュのＣｒ粉末、およびＰ：８重量％含有の粒度：−１
００メッシュの銅燐粉を用意し、これら原料粉末を表１
に示される成分組成に配合し、ダブルコーンミキサーを
用い、０．５時間混合した後、３００〜６００ＭＰａの
範囲内の所定の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉
体をアンモニア分解ガス雰囲気中、１０４０〜１０８０
℃の範囲内の所定温度に１時間保持の条件で焼結して実
質的に配合組成と同一の成分組成を有し、かつ表１に示
される気孔率を持ったＦｅ−Ｃｕ系焼結合金本体を成形
し、このＦｅ−Ｃｕ系焼結合金本体に同じく表１に示さ
れる組合せで純ＺｎまたはＺｎ−０．４重量％Ｃｕ−
０．１重量％Ｔｉの組成のＺｎ合金を含浸させることに
より、幅：２５mm、長さ：８０mm、厚さ：１０mmの寸法
を持った本発明亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電
用パンタグラフすり板材（以下、本発明亜鉛含浸すり板
材という）１〜１３をそれぞれ製造し、さらに比較の目
的で原料粉末として粒度：−３０〜＋２００メッシュの
Ｆｅ−Ｍｏ（Ｍｏ：３０重量％含有）合金粉末、−１０
０メッシュのＭｏ粉末とＮｉ粉末を加え、Ｆｅ基焼結合
金本体の組成および気孔率を表１に示される通りの配合
組成（上記した特開昭６２−５０４４５号公報記載の組
成に相当）および気孔率とし、これに純Ｐｂを含浸する
以外は同一の条件で従来鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製の集電
用パンタグラフすり板材（以下、従来鉛含浸すり板材と
いう）を製造した。
トマイズ鉄粉、粒度：−１００メッシュの電気銅粉、Ｓ
ｎ：１０重量％含有の粒度：−１００メッシュのアトマ
イズ青銅粉、粒度：−６０〜＋２００メッシュのＦｅ−
Ｗ（Ｆｅ−７５重量％Ｗ）金属間化合物粉、粒度：−３
５０メッシュの炭素粉末、粒度：−６０〜＋２００メッ
シュのＣｒ粉末、およびＰ：８重量％含有の粒度：−１
００メッシュの銅燐粉を用意し、これら原料粉末を表１
に示される成分組成に配合し、ダブルコーンミキサーを
用い、０．５時間混合した後、３００〜６００ＭＰａの
範囲内の所定の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉
体をアンモニア分解ガス雰囲気中、１０４０〜１０８０
℃の範囲内の所定温度に１時間保持の条件で焼結して実
質的に配合組成と同一の成分組成を有し、かつ表１に示
される気孔率を持ったＦｅ−Ｃｕ系焼結合金本体を成形
し、このＦｅ−Ｃｕ系焼結合金本体に同じく表１に示さ
れる組合せで純ＺｎまたはＺｎ−０．４重量％Ｃｕ−
０．１重量％Ｔｉの組成のＺｎ合金を含浸させることに
より、幅：２５mm、長さ：８０mm、厚さ：１０mmの寸法
を持った本発明亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電
用パンタグラフすり板材（以下、本発明亜鉛含浸すり板
材という）１〜１３をそれぞれ製造し、さらに比較の目
的で原料粉末として粒度：−３０〜＋２００メッシュの
Ｆｅ−Ｍｏ（Ｍｏ：３０重量％含有）合金粉末、−１０
０メッシュのＭｏ粉末とＮｉ粉末を加え、Ｆｅ基焼結合
金本体の組成および気孔率を表１に示される通りの配合
組成（上記した特開昭６２−５０４４５号公報記載の組
成に相当）および気孔率とし、これに純Ｐｂを含浸する
以外は同一の条件で従来鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製の集電
用パンタグラフすり板材（以下、従来鉛含浸すり板材と
いう）を製造した。
【００１５】
【表１】
【００１６】次に、これら各種のすり板材について、加
速摩耗試験を行った。加速摩耗試験は、モータの水平回
転軸に中心を固定することにより直立支持させた外径：
２．２ｍの円板の片側面に、模擬トロリ線として外径：
２ｍ、幅：１５mm、厚さ：５mmの寸法をを持った硬銅リ
ング（ＪＩＳ Ｃ１１００ ＢＢ−Ｈ）を５０mm偏心し
て取り付けた装置を用い、前記硬銅リングに、直径線上
の２か所ですり板材を６０Ｎの押付け力で長さ：８０mm
×幅：２５mmの寸法面を面接触させながら、前記模擬ト
ロリ線とすり板材の間に１００Ｖ、１５０Ａの直流電流
を流し、前記円板を５．５分で２５０km／ｈの回転速度
にあげ、この速度に５分間保持した後、５．５分かけて
停止させ、これを１サイクルとし、このサイクルを７回
繰り返すことにより行い、すり板材の摩耗重量および相
手材である模擬トロリ線の摩耗深さを測定した。これら
の測定結果からすり板材の比摩耗量を算出し、また模擬
トロリ線の摩耗深さは５０００回転当たりの値に換算
し、表２に示した。
速摩耗試験を行った。加速摩耗試験は、モータの水平回
転軸に中心を固定することにより直立支持させた外径：
２．２ｍの円板の片側面に、模擬トロリ線として外径：
２ｍ、幅：１５mm、厚さ：５mmの寸法をを持った硬銅リ
ング（ＪＩＳ Ｃ１１００ ＢＢ−Ｈ）を５０mm偏心し
て取り付けた装置を用い、前記硬銅リングに、直径線上
の２か所ですり板材を６０Ｎの押付け力で長さ：８０mm
×幅：２５mmの寸法面を面接触させながら、前記模擬ト
ロリ線とすり板材の間に１００Ｖ、１５０Ａの直流電流
を流し、前記円板を５．５分で２５０km／ｈの回転速度
にあげ、この速度に５分間保持した後、５．５分かけて
停止させ、これを１サイクルとし、このサイクルを７回
繰り返すことにより行い、すり板材の摩耗重量および相
手材である模擬トロリ線の摩耗深さを測定した。これら
の測定結果からすり板材の比摩耗量を算出し、また模擬
トロリ線の摩耗深さは５０００回転当たりの値に換算
し、表２に示した。
【００１７】
【表２】
【００１８】
【発明の効果】表１および表２に示される結果から、本
発明亜鉛含浸すり板材１〜１３は、いずれも従来鉛含浸
すり板材と同等の低い相手攻撃性を示した状態で、これ
より一段と優れた耐摩耗性を示すことが明らかである。
上述のように、この発明の亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合
金製の集電用パンタグラフすり板材は、実用に際し、通
常の走行は勿論のこと、速度が２５０km／ｈ以上の高速
走行の電気車に用いた場合にも特に優れた耐摩耗性を発
揮し、使用寿命の一段の延命化を可能とするものであ
る。
発明亜鉛含浸すり板材１〜１３は、いずれも従来鉛含浸
すり板材と同等の低い相手攻撃性を示した状態で、これ
より一段と優れた耐摩耗性を示すことが明らかである。
上述のように、この発明の亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合
金製の集電用パンタグラフすり板材は、実用に際し、通
常の走行は勿論のこと、速度が２５０km／ｈ以上の高速
走行の電気車に用いた場合にも特に優れた耐摩耗性を発
揮し、使用寿命の一段の延命化を可能とするものであ
る。
Claims (4)
- 【請求項１】 分散相としてＦｅとＷの金属間化合物：
５〜２５重量％を含有し、さらに素地形成成分として、 Ｃｕ：３０〜５０重量％、を含有し、残りがＦｅおよび
不可避不純物からなる組成を有する気孔率：５〜１５％
のＦｅ−Ｃｕ系焼結合金に、ＺｎまたはＺｎ合金を含浸
してなる亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金で構成されてい
ることを特徴とする耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃ
ｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材。 - 【請求項２】 分散相としてＦｅとＷの金属間化合物：
５〜２５重量％を含有し、さらに素地形成成分として、 Ｃｕ：３０〜５０重量％、 Ｓｎ：２〜５重量％、 Ｐ：０．０１〜０．５重量％、を含有し、残りがＦｅお
よび不可避不純物からなる組成を有する気孔率：５〜１
５％のＦｅ−Ｃｕ系焼結合金に、ＺｎまたはＺｎ合金を
含浸してなる亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金で構成され
ていることを特徴とする耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ
−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材。 - 【請求項３】 いずれも分散相としてＦｅとＷの金属間
化合物：５〜２５重量％およびＣｒ：３〜７重量％を含
有し、さらに素地形成成分として、 Ｃｕ：３０〜５０重量％、 Ｃ：０．０１〜０．５重量％、を含有し、残りがＦｅお
よび不可避不純物からなる組成を有する気孔率：５〜１
５％のＦｅ−Ｃｕ系焼結合金に、ＺｎまたはＺｎ合金を
含浸してなる亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金で構成され
ていることを特徴とする耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ
−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材。 - 【請求項４】 いずれも分散相としてＦｅとＷの金属間
化合物：５〜２５重量％およびＣｒ：３〜７重量％を含
有し、さらに素地形成成分として、 Ｃｕ：３０〜５０重量％、 Ｓｎ：２〜５重量％、 Ｐ：０．０１〜０．５重量％、 Ｃ：０．０１〜０．５重量％、を含有し、残りがＦｅお
よび不可避不純物からなる組成を有する気孔率：５〜１
５％のＦｅ−Ｃｕ系焼結合金に、ＺｎまたはＺｎ合金を
含浸してなる亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金で構成され
ていることを特徴とする耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ
−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7826395A JPH08246110A (ja) | 1995-03-09 | 1995-03-09 | 耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7826395A JPH08246110A (ja) | 1995-03-09 | 1995-03-09 | 耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08246110A true JPH08246110A (ja) | 1996-09-24 |
Family
ID=13657104
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7826395A Withdrawn JPH08246110A (ja) | 1995-03-09 | 1995-03-09 | 耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Ｆｅ−Ｃｕ系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08246110A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN111360243A (zh) * | 2020-04-24 | 2020-07-03 | 长沙迈特锐新材料有限公司 | 一种高性能的自润滑铜基受电弓滑板材料及其制备方法 |
-
1995
- 1995-03-09 JP JP7826395A patent/JPH08246110A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN111360243A (zh) * | 2020-04-24 | 2020-07-03 | 长沙迈特锐新材料有限公司 | 一种高性能的自润滑铜基受电弓滑板材料及其制备方法 |
| CN111360243B (zh) * | 2020-04-24 | 2022-04-01 | 长沙迈特锐新材料有限公司 | 一种高性能的自润滑铜基受电弓滑板材料及其制备方法 |
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