JP7305732B2 - 無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材 - Google Patents

無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材 Download PDF

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Description

本発明は、無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材に関し、更に詳しくは、銀により鉛を代替する無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材に関する。
周知のように、鉛は有毒物質であると同時に重金属であり、一旦人体に進入すると体外に排出することが難しく、鉛は肝臓、腎臓の中毒を引き起こし、さらにはがんを発症することが医学的に実証されており、鉛中毒の事例は絶えず聞かれる。しかしながら、高速鉄道に大量に使用される消耗品中の集電用パンタグラフの長短のすり板自体にも有毒の鉛が含まれている。
集電用パンタグラフすり板(以下、すり板と略称する)の主要な機能は、25~32kVの高圧のトロリー線の大電流(500~1000A)を効果的に集電し、高速鉄道が時速300kmに達しても安全に運行可能にしている。集電用パンタグラフすり板は主にモリブデン、チタン、タングステン等の元素を含むFe基焼結合金、及び潤滑性に必要な化合物を添加した耐摩耗性のある高硬度粒子であり、且つ列車が高速走行する際の以下の特性に適合している。
(1)良好な導電性(high electric conductivity)。大電流(500~1000A)を効果的に集電してシステムに必要な電力を供給する。
(2)良好な耐摩耗性(high wear resistance)。集電用パンタグラフすり板が高圧ケーブルに直接接触して摩耗し、この特性が耐用年数及び安全性に直接影響を与える。
(3)良好な潤滑性(high lubricating ability)。集電用パンタグラフすり板はそれ自体に耐摩耗性が必要であるのみならず、高圧ケーブルと相互に摩擦するため、潤滑性を高めて銅ケーブルの耐用年数を延長する必要がある。また、潤滑性が高まると高速走行時に集電用パンタグラフすり板とケーブルとが摩擦することにより発生する騒音も低減する。
(4)十分な機械強度(enough mechanical strength)。集電用パンタグラフすり板の使用環境は時速300kmの高速走行にとって重要な外部部材であるため、一定の機械強度を備え、事故の衝突に対する安全性の要求を満たしている。
また、集電用パンタグラフすり板はトロリー線に接触するため、随時25~32kVの高電圧及び500~1000Aの大電流を受けるため、軟化及び溶融現象を引き起こさないように大電流に耐える能力を考慮する必要があった。
上述の機能的要求を満たすため、従来のFe基集電用パンタグラフすり板材料は、主に以下の複数種の異なる粉末により構成されている。前記複数種の粉末は高融点金属粉末と、高硬度耐摩耗粒子と、高性能潤滑性粉末と、Fe基金属粉末と、を含む。
高融点金属粉末はW、Mo、Cr、V、或いはTiのうちの何れか1種類又は1種類以上から選択している。高硬度耐摩耗粒子はCr、CrV、或いはFe-Cr、Fe-Mo、Fe-V、Fe-W、Fe-Ti合金のうちの何れか1種類又は1種類以上(JPH05-105995A)、或いはTaB、NbB、ZrB、TiB、ZrN、CrN、TaC、又はWCのうちの何れか1種類又は1種類以上(JPH08-109453A)、若しくはFe-Mo-Si-Cr、Fe-Mo-Si等の金属間化合物のうちの何れか1種類又は1種類以上(JPH05-230603A)を含む。
Fe基金属粉末はFe以外、部分的にCuにより本来のFeを代替してもよく(JPH06-158219A)、Fe基底の硬度を高めるため0.01~0.5wt%の炭素、0.05~0.4wt%の窒素、或いは2~5wt%のSn及び0.01~0.5wt%のリンを添加してもよい(JPH08-246110A及びJP2013-241629A)。NiやMnを添加して基底の靭性を改善してもよい。
高性能潤滑性粉末は主に鉛、金属硫化物、BN、或いはJPH08-109453Aに記載のTiSi、WSi、及びMoSi等の金属ケイ化物を採用し、同時に高い硬度と耐摩耗性の粒子特性を兼ね備え、その中でも鉛の潤滑性能が最も高い。鉛はすり板と銅ケーブルとの間の潤滑性を高め、摩擦係数を効果的に低下させ、両者の摩耗量を大幅に減少させ、非常に高い保護を形成する。このため、鉛は有毒であると分かっていても、Fe基集電用パンタグラフすり板材料は鉛を使用しない訳にはいかなかった。従来の特許文献では、例えば、下記特許文献1の「Fe基焼結集電摺動材料」という記載には2~20wt%の鉛を含んでいる。
Fe基集電用パンタグラフすり板材料中の鉛は、高性能潤滑性粉末中の鉛とすると共に他の高融点金属粉末、高硬度耐摩耗粒子、及びFe基金属粉末と一緒に均等に混合し、圧縮成形して直接焼結する以外、焼結後のすり板材料は一般的に5~15%の孔隙を含むため、溶融した液体鉛を、鉛を含まないすり板に実行後に鉛含(鉛溶浸)処理を施す。例えば、下記特許文献2には「耐摩耗性のすぐれた鉛含Fe基焼結合金製集電用パンタグラフすり板材」という記載がある。
日本の東海道新幹線が1964年付で正式に営業を開始し、商機が訪れて以来、高速鉄道はその高い輸送能力及び高速で便利であるという利点があるため、多くの国家で急速に建設が進められた。台湾高速鉄道は西暦2007年1月付で試営業を開始して以来、連絡道路及び乗り換え手段を徐々に整備してゆき、西暦2008年からは毎年3,000万人以上の乗降客数を誇り、過去最高を更新し続けている。また、便利で快適な都市間輸送手段を提供し、旧来の島内航空市場を徐々に代替し、多くの人の仕事及びレジャー生活形態を変え、旅客の多様な需要を満たし、「西部回廊日常生活圏域」という念願を叶えている。
日本特許出願公開第2743105B2号公報 日本特許出願公開第2853563B2号公報
しかしながら、快適で便利である以外、高速鉄道に大量に使用される消耗品である集電用パンタグラフの長短のすり板自体が有毒な鉛を含んでいる。集電用パンタグラフすり板は高圧ケーブルに直接接触して摩耗するため、高速鉄道で高速走行する際に、摩耗した鉛を含む粉末が高速鉄道路の沿線に散乱してしまった。
周知のように鉛は有毒物質であると同時に重金属であるため、一旦人体に進入した後には体外に排出することが難しく、鉛は肝臓、腎臓の中毒を引き起こし、さらにはがんを発症することが医学的に実証されており、鉛中毒の事例は絶えない。高速鉄道沿線は人口密度が高くはないが、食糧生産の主要な産地であり、鉛が土地の農作物に吸収されると、食物が全国民に食べられて体内に侵入し、人々の健康に無視できない被害を与える。人口が密集した都市部では、鉄道は地下化されているが、しかしながら高速鉄道の集電用パンタグラフすり板は、走行中に銅ケーブルと磨擦して鉛を含んだ粉塵を発生するため、密閉された地下空間内では、駅で電車を待つ旅客及びプラットホームの従業員が、呼吸により人体の肺に吸い込み易くなっている。
集電用パンタグラフすり板が開発されて以来、すり板の配合も不断で進歩しているが、鉛はすり板中で独自の機能を果たし、毒性の鉛からは逃れられなかった。
以上を総合すると、Fe基集電用パンタグラフすり板材料は製造プロセスに欠点が存在すると言える。職業上、本発明人は試験及び研究を進め、すり板の性能を損なわずに、受け入れ可能な価格の無鉛集電用パンタグラフすり板を有している無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材を提出した。
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、その目的は、鉛を完全不使用であり、且つすり板の性能を損なわず、同時に受け入れ可能な価格の無鉛集電用パンタグラフすり板を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材であって、前記無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材を製造するための複数種の粉末を含み、前記複数種の粉末は銀粉末により従来の鉛粉末を代替しており、すなわち、前記複数種の粉末中には銀粉末を含むが鉛粉末は含まない。
好ましくは、複数種の粉末は高融点金属粉末と、高硬度耐摩耗粒子と、高性能潤滑性粉末と、Fe基金属粉末と、を含む。
好ましくは、高性能潤滑性粉末は2~10wt%の前記銀粉末を含む。
本発明の他の目的は、従来の鉛の含有量を極力減らしてもすり板の性能を損なわず、同時に受け入れ可能な価格の低鉛配合集電用パンタグラフすり板を提供することである。
また、上記目的を達成するため、本発明に係る低鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材は、前記無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材を製造するための複数種の粉末を含み、前記複数種の粉末は銀粉末により従来の鉛粉末を代替しており、すなわち、前記複数種の粉末は銀粉末及び0wt%~1wt%の含有量の鉛粉末を含む。
本発明は、無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材を提供することができる。
従来の鉛含有集電用パンタグラフすり板材の製造のフローチャートである。
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
まず、他のすり板で使用している元素と比較すると、鉛は相対的に融点が低い金属であり、良好な導電性を有しているため、高温で焼結する際に、液体の鉛が数nmの穴に充填され、すり板の電気抵抗率を低下させ、列車の走行時の電食を減少させる。
また、金属材料にとって、鉛の硬度は非常に低く、材質が柔軟であるため、すり板の固体潤滑剤として摩擦係数を低下させ、トライボロジー効果を高めている。このため、鉛を代替する元素も以上の3つの特徴を備えている必要がある。
周期表での選別により、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、及び錫等の元素の硬度及び融点がFe未満であることを発見し、鉛を代替する高い潜在性を有している。但し、金は高価であるため、最初に除外する。また、先行実験において、亜鉛の硬度が高く、特に摩耗試験では摩擦する部材(銅ケーブル)を傷付けることが判明したため除外する。アルミニウムは硬度が高くないが、アルミニウム及びFeは極めて高い親和性があるため、高温焼結時に高硬度の金属間化合物を生成し、摩擦する部材(銅ケーブル)を容易に傷付けるため、これも除外する。残りの三者(銀、銅、及び錫)に関しては、無鉛集電用パンタグラフすり板の開発において、上述の三者を異なる用量で添加し、タグチ法により最良の組成配分を探し出し、最後に摩耗実験を行って検証した。
図1は従来の鉛含有集電用パンタグラフすり板材の製造のフローチャートである。従来の鉛含有集電用パンタグラフすり板材料は主に2つの異なる方法により製造されている。1つは鉛粉末及び他の粉末原料を一緒に直接混合した後、圧縮して圧粉体を形成し、一次焼結を行って製造する(図1参照)。もう1つの方式は、まず鉛を含まない配合を焼結し、鉛を含まないすり板に鉛含(鉛溶浸)処理を施す。
具体的に、図1を参照すれば、従来の鉛含有集電用パンタグラフすり板材料の製造のフローチャートは、例えば、Fe基金属粉末1と、高融点金属粉末2と、高硬度耐摩耗粒子3と、含鉛の高性能潤滑性粉末4とを含む複数種の粉末を一緒に混合する(例えば、ステップS1)。次いで、ステップS2を実行し、6.3~8.0t/cmの圧力で冷圧方式により成形した後、ステップS3の離型を実行する。取り出した圧粉体をステップS4の水素又は還元雰囲気で1150℃以上の高温で焼結を行い、冷却した後にステップS5の後加工を実行して標準的なすり板として成形する。最後にステップS6を実行し、各項目の性能を分析する。
上述の原理に基づいて、従来の鉛含有すり板と完全に同じ組成の配合及び製造方式により、まず銅及び錫により鉛を代替したすり板をそれぞれ比較例とする。Cu-380及びCu-400はFe以外の重量パーセントの組成がCr:14.0%、Cu:3.5%、Mo:2.1%、W:0.2%、S:1.3%、C:0.12%、及び0.1%未満のSi、N、P、Mn、及び残りの不可避の不純物となっている。Cu-380の成形圧力は7.6t/cm2とし、Cu-400の成形圧力は8.0t/cm2とする。また、Sn-380及びSn-400はFe以外の重量パーセントの組成はCr:15.6%、Sn:3.0%、Mo:2.1%、V:0.2%、S:1.3%、C:0.12%、及び0.1%未満のSi、N、P、Mn、及び残りは不可避の不純物となっている。Sn-380の成形圧力は7.6t/cm2とし、Sn-400の成形圧力は8.0t/cm2とする。それぞれ試験を経て下記の結果を得た。硬度にはブリネル硬さ試験を採用し、試験機器はFB-3000LCとし、試験方法はASTM E10-18規格に準拠して行い、各データを表1に示す。
Figure 0007305732000001
表1の実験結果は、各すり板の平均硬度が120HBSを超えず、規格で要求される硬度値80~120HBSの間の範囲を満たすことを示している。但し、4つの比較例には均しく120HBSを超える個別データがあり、且つ平均値も従来の鉛含有すり板の100HBSよりも明らかに高く、これでは材質が硬すぎて銅ケーブルを傷付ける懸念がある。電気的性質試験方法はJIS R 7222電圧降下法に基づいて計測を行い、衝撃試験はJIS Z2242-05規格を参照し、Tinius Olsen 64 Impacterを使用し、振子式衝撃速度=5.12m/s、振子式衝撃エネルギー=264ft-lbf(358Joule)、試験片はVノッチ無方式で実行する。
電気的性質及び衝撃試験結果はそれぞれ表2に示す。
Figure 0007305732000002
表2の性能試験結果は、4つの比較例の電気的性質が全て0.8μΩ・m未満であるというJRIS E 6301規格の要求を満たしていることを示す。衝撃エネルギーについて、Sn-380が規格よりも低い以外、他は9.8Joule超という規格の要求を満たしている。引張試験機器はZwick/Roell Z100 UTMであり、試験方法はASTM E8/E8M-16a規格に準拠して実行し、4つの比較例の引張試験結果はそれぞれ表3に示す。
Figure 0007305732000003
引張試験結果は、4つの比較例の引張抵抗強度が170Mpa超という規格の要求を満たしているが、降伏強度及び伸長率全体の性能を鑑みると、銅又は錫により鉛を代替した後、すり板材質が非常に脆くなり、降伏せずに断裂し、且つ伸長率が1.3%以下という低さになったことを示す。硬度、電気的性質、引張及び衝撃試験結果を総合すると、すり板で銅又は錫により鉛を直接代替した後、各性能が明らかに鉛含有すり板よりも劣っている。
他の1組の比較例では、従来の鉛含有すり板の組成範囲内で、部分的な組成の配合条件を変更し、これは金属硫化物を減らし、同じパラメーター条件で銅により鉛を代替した無鉛すり板を製造することを含む。Cu-80及びCu-90のFe以外の重量パーセントの組成はCr:18.0%、Cu:2.6%、Mo:2.0%、Ni:0.2%、S:1.2%、C:0.05%、及び0.1%未満のSi、N、P、Mn、及び残りは不可避の不純物となっている。Cu-80の成形圧力は7.6t/cm2とし、Cu-90の成形圧力は8.0t/cm2とする。また、Cu-8W及びCu-9WのFe以外の重量パーセントの組成はCr:19.2%、Cu:2.6%、Mo:2.0%、V:0.2%、S:1.2%、C:0.05%、及び0.1%未満のSi、N、P、Mn、及び残りは不可避の不純物となっており、Cu-8Wの成形圧力は7.6t/cm2とし、Cu-9Wの成形圧力は8.0t/cm2とする。上述の4つの比較例の硬度、引張、電気的性質及び衝撃等の試験結果は表4に示し、硬度に関しては下記の通りである。
Figure 0007305732000004
表4の実験結果は4組のすり板の平均硬度が全て120HBSを超えておらず、規格の要求を満たし、且つCu-8W及びSn-9Wの個別の硬度データは共に120HBS以下となっていることを示す。衝撃及び電気的性質に関しては、試験結果を表5に示す。
Figure 0007305732000005
表5の電気的性質の結果は全て0.8μΩ・m未満という規格の要求を満たし、衝撃値についても全て9.8Joule超という規格の要求を満たしていることを示す。引張試験の結果は表6に示す。
Figure 0007305732000006
引張試験結果は、4つの比較例の引張抵抗強度が全て170Mpa超という規格の要求を満たしていることを示す。降伏強度及び伸長率は、第1組の比較例(Cu-380、Cu-400、Sn-380、Sn-400)よりも優れている。
同様に、従来の鉛含有すり板の組成範囲内で、部分的な組成の配合条件を変更し、これは金属硫化物を減らし、同じパラメーター条件で錫により鉛を代替した無鉛すり板を製造することを含む。Sn-10及びSn-20のFe基以外の重量パーセントの組成はCr:18.0%、Sn:1.92%、Mo:2.0%、S:1.0%、C:0.05%、及び0.1%未満のSi、N、P、Mn、及び残りは不可避の不純物となっている。Sn-10の成形圧力は7.6t/cm2とし、Sn-20の成形圧力は8.0t/cm2とする。また、Sn-1W及びSn-2WのFe以外の重量パーセントの組成はCr:19.2%、Sn:1.92%、Mo:2.0%、V:0.2%、S:1.0%、C:0.05%、及び0.1%未満のSi、N、P、Mn、及び残りは不可避の不純物となっている。Sn-1Wの成形圧力は7.6t/cm2とし、Sn-2Wの成形圧力は8.0t/cm2とする。上述の4つの比較例の硬度、引張、電気的性質及び衝撃等の試験結果はまとめて表7に示し、硬度に関しては以下の通りである。
Figure 0007305732000007
表7の実験結果は4つの比較例のすり板の平均硬度は略120HBSを超えていることを示し、衝撃及び電気的性質に関しては、試験結果は表8に示す。
Figure 0007305732000008
表8の電気的性質の結果は4つの比較例中の1つの比較例が0.8μΩ・m未満という規格の要求を満たしておらず、衝撃値に関しては2つの比較例が9.8Joule超という規格の要求を満たしていないことを示す。引張試験結果は表9に示す。
Figure 0007305732000009
引張試験結果は、全ての試験片が引張抵抗強度が170Mpa超という規格の要求を満たしているが、部分的な比較例では降伏せず断裂した状況が発生し、且つ4つの比較例の伸長率が全て低すぎることを示す。よって、硬度、衝撃及び電気的性質等の総合性能を判定すると、錫により鉛を代替した場合、特性が銅により鉛を代替したものに大きく劣る。
以上、上述の比較例は銅又は錫により鉛を代替したすり板が、部分的に鉛を配合していないすり板の規格の要求を満たしているが、但し、材質が硬く脆いため摩擦する銅ケーブルを損壊してしまい、且つすり板の耐摩耗性能も鉛を配合したものに及ばない。よって、上述の銅或いは錫により鉛を代替したすり板の比較例は好適ではないと言える。
続いて、図1を参照して、同じすり板の製造条件の下、本願は複数種の粉末で銀又は銀合金粉末により従来の鉛又は鉛合金粉末を代替した配合を提供し、複数種の粉末はFe基金属粉末1と、高融点金属粉末2と、高硬度耐摩耗粒子3と、高性能潤滑性粉末4とを一緒に混合し、無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材を製造する。本実施例では、高性能潤滑性粉末4中に2~10wt%の銀又は銀合金粉末を含み、すり板の従来の鉛粉末の含有量を0wt%~1wt%とするか、無鉛粉末とする。
前述と同じ方式により、従来の鉛含有すり板と完全に同じ組成配合及び製造方式で、銀により鉛を代替したすり板を実施例とし、Pbfree-3のFe以外の重量パーセントの組成はCr:19.0%、Ag:3.0%、Mo:1.9%、S:1.0%、C:0.05%、及び0.1%未満のSi、N、P、Mn、及び残りは不可避の不純物となっている。Pbfree-5のFe以外の重量パーセントの組成はそれぞれCr:17.0%、Ag:5.0%、Mo:1.9%、S:1.0%、及び0.1%未満のSi、C、N、P、Mn、及び残りは不可避の不純物となっている。Pbfree-8のFe以外の重量パーセントの組成はCr:15.0%、Ag:8.0%、Mo:2.0%、S:1.1%、及び0.1%未満のSi、C、N、P、Mn、及び残りは不可避の不純物となっている。3つの実施例の成形圧力は全て7.6t/cm2とする。銀粉末により従来の鉛粉末を代替した実験結果において、硬度、引張、衝撃、電気的性質等の性能は規格の要求を満たすのみならず、本来の鉛含有すり板の性能と一致し、衝撃及び電気的性質に至っては鉛含有すり板よりも優れている。3つの実施例の硬度、引張、衝撃及び電気的性質試験結果は表10及び表11にそれぞれ示す。
Figure 0007305732000010
Figure 0007305732000011
表10の硬度データ結果から分かるように、平均データか個別データによらず、上述の3つの実施例は全て120HBS未満であり、複数の個別データに至っては100HBS以下である。上述の3つの実施例の引張抵抗強度も170Mpa超というr規格の要求を満たし、且つ降伏せず断裂した状況が発生せず、伸長率も高い。また、衝撃エネルギーも9.8Joule超という規格の要求を大きく上回っている。よって、硬度、衝撃及び電気的性質等の総合性能の判定では、銀により鉛を代替した場合の特性が全て銅又は錫により鉛を代替したものよりも優れている。電食(arc erosion)に影響を与える最大の鍵となるPbfree-3、Pbfree-5、Pbfree-8の電気抵抗率はそれぞれ0.410μΩ・m、0.403μΩ・m、及び0.395μΩ・mであり、全て従来の鉛含有すり板の0.453μΩ・m及び0.438μΩ・mよりも優れており、さらには銅又は錫により鉛を代替した各比較例(約0.6~0.8 μΩ・m)よりも優れている。以上を総合すると、本発明は従来のFe基集電用パンタグラフすり板中の従来の有害な元素である鉛を完全に代替し、電食抵抗の部分においては従来の鉛含有すり板よりも優れている。
しかしながら、特殊な要因により鉛を使用しなければならない場合、本実施例は低鉛すり板の配合を提共し、鉛の含有量は0wt%~1.0wt%超とする。本実施例は鉛を配合しない実施例と同様に、同じ発明の効果を有している。以下の実施例について説明する。
lowPb-2及びlowPb-9の2つの試験片は共に1.0wt%の鉛を含み、且つlowPb-2及びlowPb-9は2wt%及び9wt%の銀をそれぞれ含む。また、lowPb-2及びlowPb-9の2つの試験片中の他の元素のFe以外の重量パーセントの組成はそれぞれCr:19.2%、Mo:2.0%、V:0.2%、S:1.2%、及び0.1%未満のSi、N、P、Mn、及び残りは不可避の不純物となっており、且つlowPb-2及びlowPb-9の2つの試験片の成形圧力は共に8.0t/cmとする。その硬度、引張、衝撃及び電気的性質試験結果は表12及び表13にそれぞれ示す。
Figure 0007305732000012
Figure 0007305732000013
表12の硬度データ結果から分かるように、平均データか個別データかによらず、上述の2つの実施例は共に120HBS未満であり、複数の個別データは100HBS以下である。上述の2つの実施例の引張抵抗強度も全て170Mpa超という規格の要求を満たし、且つ降伏せず断裂した状況が発生せず、伸長率も高い。また、衝撃エネルギーも全て9.8Joule超という規格の要求を大きく上回っている。よって、硬度、衝撃、及び電気的性質等の総合性能の判定は、低鉛(0wt%~1.0wt%超)のすり板の配合も銀により鉛を代替したすり板の効果を達成している。lowPb-2及びlowPb-9の電気抵抗率はそれぞれ0.418μΩ・m及び0.375μΩ・mであり、同様に従来の3wt%の鉛を含むすり板よりも優れており、さらには銅又は錫により鉛を代替した各比較例の約0.6~0.8 μΩ・mよりも優れている。このように、本発明は特殊な要因により、鉛が0wt%~1.0wt%超の低鉛であっても、電食性能が従来の鉛含有すり板よりも優れている。
また、摩耗実験ではpin-on-disk形式のBruker UMT TriboLabの摩耗試験機を採用して実施し、pinは銅ケーブルであり、diskは本願が開発した各実施例のすり板である。Pinの直径は3mmであり、diskの直径は38mmであり、厚さは10mmである。摩耗速度は1500rpm及び3000rpmとし、荷重は7~10Nとする。異なる表面粗度が実験の誤差を発生するのを排除するため、全ての試験片(pin及びdiskを含む)は実験前に、1000番のサンドペーパーで磨く。Pbfree-3、Pbfree-5、Pbfree-8、lowPb-2、及びlowPb-9等の5つの無鉛/低鉛配合のすり板試験片の全摩耗実験過程は非常にスムーズに行われ、摩擦係数を安定的に計測し、機器も比較例の鉛無添加のすり板と同様に、不断で振動したり、鋭い騒音を発生することがなく、上述の5つの実施例の摩耗された外観は従来の鉛含有すり板と同じであることを示す。
さらに分析を進め、この5つの実施例のすり板試験片は摩擦係数が0.17~0.31の間の範囲であり、従来の鉛含有すり板と一致し、良好なトライボロジー特性を有していることを証明している。摩耗実験後にすり板(disk)及び銅ケーブル(pin)の外観を検視すると、両者は共に重大な摩耗がなく、凹凸のある非平坦な擦過痕もなく、且つ両者が相互に接触した表面が非常に滑らかであることが分かる。
以上を総合すると、本発明の無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材は、銀粉末により従来の鉛粉末を代替し、鉛を完全に不使用であり、且つすり板の性能を損なっておらず、同時に受け入れ可能な価格の無鉛集電用パンタグラフすり板を製造している。
同様に、この技術に習熟している者ならば従来の鉛含(鉛溶浸)処理方式により、まず銀を含まない配合で焼結を行い、銀を含まないすり板の銀含(銀溶浸)処理を実行し、無鉛すり板を得ることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1 Fe基金属粉末
2 高融点金属粉末
3 高硬度耐摩耗粒子
4 高性能潤滑性粉末
S1 ステップ
S2 ステップ
S3 ステップ
S4 ステップ
S5 ステップ
S6 ステップ

Claims (4)

  1. 無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材であって、
    前記無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材を製造するための複数種の粉末を含み、
    前記複数種の粉末には高融点金属粉末と、高硬度耐摩耗粒子と、高性能潤滑性粉末と、Fe基金属粉末と、を含み、
    前記高性能潤滑性粉末は銀粉末を含み
    記無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材は鉛粉末を含まなく、前記無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材を100wt%とした場合に、2~10wt%の前記銀粉末と14.0~19.2wt%のCrを含むことを特徴とする、無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材。
  2. 前記無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材は1.9~2.1wt%のMoと、1.0~1.2wt%のSを含むことを特徴とする、請求項1に記載の無鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材。
  3. 低鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材であって、
    前記低鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材を製造するための複数種の粉末を含み、
    前記複数種の粉末には高融点金属粉末と、高硬度耐摩耗粒子と、高性能潤滑性粉末と、Fe基金属粉末と、を含み、
    前記高性能潤滑性粉末は銀末を含み、
    前記低鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材は、前記低鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材を100wt%とした場合に、0wt%超~1wt%の含有量の鉛粉末を含み、2~10wt%の前記銀粉末と14.0~19.2wt%のCrを含むことを特徴とする、低鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材。
  4. 前記低鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材は1.9~2.1wt%のMoと、1.0~1.2wt%のSを含むことを特徴とする、請求項3に記載の低鉛Fe基集電用パンタグラフすり板材。
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