JP2004269781A - 水性分散液及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イソシアネート基及びカルボキシル基を有するウレタンプレポリマーと、イソシアネート基と反応可能な官能基、及び加水分解性シリル基を有する化合物との反応生成物の存在下、水性媒体中で、ビニル基を有する単量体を重合して得られる水性分散液。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、水性分散液に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン水性分散液は、一般に、塗料用や接着剤用等の各用途に使用されているが、このポリウレタン水性分散液から形成される皮膜は、耐溶剤性が不十分である場合が多い。
【0003】
これを改良する方法として、ポリウレタン水性分散液と水性ビニル重合体とを混合する方法が知られているが、得られる混合分散液は、相分離が生じやすく、また、形成される皮膜の耐溶剤性が十分でないという問題を有する。
【0004】
このポリウレタン水性分散液の性質を改善する方法として、ウレタンプレポリマーとビニル系単量体を混合して重合及び/又は鎖延長反応して水性分散液を得る方法が特許文献1や特許文献2に記載されている。また、ウレタンプレポリマーにアルコキシシラン誘導体を添加して重合する方法が特許文献3に記載されている。これらの方法によって、耐溶剤性に優れた水性分散液を得ることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−140149号公報
【特許文献2】
特開平1−104651号公報
【特許文献3】
特開平7−138469号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1や特許文献2の方法で得られる水性分散液の耐溶剤性は、ビニル系重合体によりある程度向上するものの、必ずしも十分とはいえなかった。
【0007】
また、上記の特許文献3の方法は、有機溶媒中で重合反応を行い、重合完了後、水を加えて水性分散液を得る方法であり、分散の方法によっては、分散が不十分となり、得られる皮膜の耐溶剤性が十分でない場合があった。
【0008】
そこで、この発明は、安定で、かつ、耐溶剤性の優れた塗膜を形成可能な水性ウレタン分散液を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、イソシアネート基及びカルボキシル基を有するウレタンプレポリマー((a1)成分)と、イソシアネート基と反応可能な官能基、及び加水分解性シリル基を有する化合物((a2)成分)との反応生成物の存在下、水性媒体中で、ビニル基を有する単量体((a3)成分)と、必要に応じて、重合性二重結合及び加水分解性シリル基を有する化合物((a4)成分)とを重合することにより、上記課題を解決したものである。
【0010】
また、イソシアネート基及びカルボキシル基を有するウレタンプレポリマー((a1)成分)の存在下、水性媒体中で、ビニル基を有する単量体((a3)成分)と、重合性二重結合及び加水分解性シリル基を有する化合物((a4)成分)とを重合することによっても、上記課題を解決することができる。
【0011】
所定のウレタンプレポリマーの存在下、又は所定のウレタンポリマー及び所定のシリル基含有化合物から得られる反応生成物の存在下、水性媒体中で、ビニル基含有単量体、及び必要に応じて、所定のシリル基含有化合物を重合するので、安定的に水性分散液が得られ、この水性分散液から得られる皮膜の耐溶剤性が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を説明する。
この発明にかかる水性分散液は、所定のウレタンプレポリマー(以下、「(a1)成分」と略する。)と所定のシリル基を有する化合物(以下、「(a2)成分」と略する。)から得られる反応生成物の存在下、水性媒体中で、ビニル基を有する単量体(以下、「(a3)成分」と略する。)を重合することによって得られるものである。
【0013】
上記(a1)成分は、イソシアネート基及びカルボキシル基を有するウレタンプレポリマーである。このウレタンプレポリマーは、ジオール成分とジイソシアネート成分とを、ジオール成分に対してジイソシアネート成分が化学量論的に過剰となる割合で反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーである。
【0014】
上記のジオール成分とジイソシアネート成分との使用割合は、当量比で、ジオール成分:ジイソシアネート成分=1:1.1〜2.5がよく、1:1.2〜2.0が好ましい。
【0015】
上記ジイソシアネート成分としては、通常のウレタンポリマーの製造に用いられる各種の脂肪族、脂環式、芳香族等の有機系のジイソシアネート化合物を用いることができる。このジイソシアネート化合物の具体例としては、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。これらの内で、脂肪族又は脂環式のイソシアネートは、黄変が少ない点で好適である。
【0016】
上記ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の比較的低分子量のジオールの他、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール等を用いることができる。
【0017】
ところで、得られる(a1)成分は、カルボキシル基を含むことが必要である。また、上記(a1)成分の酸価は、15〜60(単位:mgKOH/g、以下同じ。)の範囲にあることが好ましく、15〜50がより好ましく、18〜50が更に好ましい。上記(a1)成分の酸価が低すぎると、後工程における水への分散状態が悪くなって水性分散液が得られなくなる場合があり、一方、酸価が高すぎると、十分な耐溶剤性が得られない場合があるので好ましくない。
【0018】
上記(a1)成分にカルボキシル基を導入する方法としては、上記ジオール成分の一部として、カルボキシル基を有するジオール化合物を用いることが好ましい。このカルボキシル基を有するジオール化合物としては、下記式(1)で表されるジメチロールアルカン酸等があげられる。
【0019】
【化1】
(式中、Rは、メチル基又はエチル基である。)
【0020】
このジメチロールアルカン酸の具体例としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等をあげることができる。また、ジメチロールアルカン酸の使用量は、形成されるウレタンプレポリマーの酸価が上記した範囲となる量とすればよい。
【0021】
この発明においては、ジイソシアネート成分として、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを用いることがより好ましく、これによって、より耐溶剤性に優れた水性分散液を得ることができる。ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを用いる場合には、その使用量は、形成されるウレタンプレポリマー1kg当たり、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートに由来するシクロヘキサン環構造が5モル以上含まれる量とすることが好ましく、5〜6.7モル含まれる量とすることがより好ましい。シクロヘキサン環構造がこの範囲にあることによって、特に優れた耐溶剤性が発揮される。シクロヘキサン環構造が上記範囲にあれば、前述した各種の有機ジイソシアネート成分を、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートと混合して用いても、良好な耐溶剤性を発揮できる。
【0022】
特に、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを必須成分とするジイソシアネート成分と、上記式(1)で表されるジメチロールアルカン酸及びその他のジオール化合物からなるジオール成分とを反応させて得られ、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートに由来するシクロヘキサン環を1kg中に5モル以上含有し、酸価が15〜35の範囲にあるウレタンプレポリマーを用いる場合には、安定性、耐溶剤性等が良好な重合体の水性分散液を得ることができる。
【0023】
(a1)成分の製造は、無溶剤下でも行い得るが、反応を均一に行わせるために、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のイソシアネート基に対して不活性で水との親和性の大きい有機溶剤を使用してもよい。また、イソシアネート基に対して反応性のないビニルモノマーの存在下にウレタンプレポリマーを製造する場合にも、反応系が希釈されて反応を均一に行うことができる。
【0024】
(a1)成分の反応は、通常、30〜120℃で0.1〜20時間、好ましくは、50〜100℃で0.5〜10時間行なえばよい。これにより、通常、末端にイソシアネート基を有し、数平均分子量が800〜10,000の(a1)成分が得られる。
【0025】
上記(a2)成分は、イソシアネート基と反応可能な官能基、及び加水分解性シリル基を有する化合物である。上記加水分解性シリル基を有する化合物としては、アルコキシシラン化合物があげられる。このアルコキシシラン化合物は、イソシアネート基と反応可能な官能基を有することが必要である。このような官能基としては、メルカプト基、アミノ基等があげられる。
【0026】
このような官能基を有するアルコキシシラン化合物の具体例としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、p−[N−(2−アミノエチル)アミノメチル]フェネチルトリメトキシシラン等があげられる。これらの化合物は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
【0027】
上記(a2)成分の使用量は、この(a2)成分中に含まれるイソシアネート基と反応可能な官能基の当量が、上記(a1)成分が有するイソシアネート基1当量に対し、0.05〜1倍の場合がよく、0.1〜0.8倍の場合が好ましい。0.05倍より少ないと、得られる塗膜の耐溶剤性が不十分となることがある。一方、1倍より多いと、均一で貯蔵安定性が良好な水分散性樹脂組成物を得ることが困難となる。
【0028】
上記(a1)成分と(a2)成分とは、両者を混合して重合反応させることにより、反応生成物であるポリウレタンが得られる。このときの重合条件は、例えば、温度0〜100℃で、0.01〜10時間程度がよく、10〜60℃で0.1〜5時間が程度が好ましい。
【0029】
上記(a3)成分は、ビニル基を有する単量体をいう。このビニル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル系単量体や、その他、酢酸ビニル等があげられる。
【0030】
また、上記(メタ)アクリル系単量体とは、(メタ)アクリル酸又はそのエステル化合物等をいい、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等があげられ、重合に際しては、その1種を用いても、2種以上を用いてもよい。
【0031】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等があげられる。
【0032】
上記シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート等があげられる。
上記(メタ)アクリル酸系単量体としては、アクリル酸又はメタクリル酸があげられる。
【0033】
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル等があげられる。
なお、この明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
【0034】
上記(a3)成分の重合は、(a1)成分と(a2)成分との反応生成物の存在下、水性媒体中で乳化重合法により行うのが好ましい。
【0035】
上記水性媒体としては、水や、水にメタノール、エタノール、プロパノール等の水溶性溶媒を混合した水−水溶性溶媒混合液等があげられる。この中でも、水が、排水処理の簡便性や環境負荷の点で特に好ましい。
【0036】
上記乳化重合において使用される重合開始剤としては、通常の乳化重合で使用される重合開始剤を使用することができる。この重合開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物等のラジカル重合開始剤があげられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、これらラジカル重合開始剤と、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸等の還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤として用いることもできる。
【0037】
上記乳化重合の際には、エマルジョンの安定性を向上させるために、乳化剤を用いることができる。この乳化剤としては、通常乳化重合に用いられるものであればとくに限定がなく、例えば、アニオン性、カチオン性、両イオン性等のイオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等があげられる。
また、上記乳化重合の反応温度は、通常30〜100℃程度、反応時間は、通常2〜16時間程度とすることが好ましい。
【0038】
上記(a3)成分の使用量は、上記(a1)成分100重量部に対して、10〜900重量部がよく、20〜400重量部が好ましい。10重量部より少ないと、得られる塗膜の耐溶剤性が不十分となることがある。一方、900重量部より多いと、得られる分散液が不安定になったり、貯蔵中に分離しやすくなったりする。
【0039】
上記の乳化重合においては、上記の(a3)成分に加えて、必要に応じて、重合性二重結合及び加水分解性シリル基を有する化合物(以下、「(a4)成分」と略する。)を加えて乳化重合してもよい。
【0040】
上記加水分解性シリル基を有する化合物としては、上記の通り、アルコキシシラン化合物があげられる。このアルコキシシラン化合物は、重合性二重結合を有することが必要である。
【0041】
この重合性二重結合を有するアルコキシシラン化合物の具体例としては、ビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等があげられる。
【0042】
上記(a4)成分の使用量は、上記(a3)成分100重量部に対して、0.1〜35重量部がよく、0.5〜25重量部が好ましい。0.1重量部より少ないと、得られる塗膜の耐溶剤性が不十分となることがある。一方、35重量部より多いと、得られる分散液が不安定になったり、貯蔵中に分離しやすくなったりする。
【0043】
この発明にかかる水性分散液を得る方法としては、上記の方法以外に、上記(a1)成分の存在下、上記水性媒体中で、上記の(a3)成分及び(a4)成分を重合することによっても、得ることができる。
【0044】
この重合の条件は、上記の乳化重合における条件と同様の条件を採用することができる。
【0045】
上記の乳化重合によって、上記の(a3)成分及び(a4)成分の乳化重合時において、(a1)成分の重合が生じ、ポリウレタンが生成する。このため、(a3)成分及び(a4)成分からなる重合体と上記(a1)成分からなるポリウレタンとは、均一に分散することができる。
【0046】
次に、この発明にかかる水性分散液の製造方法の一態様について、より具体的に説明する。
まず、反応容器に、上記のジオール成分、(a3)成分を加え、30〜60℃にする。次いで、ジイソシアネート成分及び、必要に応じてウレタン重合触媒を加えて50〜100℃に昇温し、ウレタン重合させることにより、ウレタンプレポリマーを得る。
上記ウレタン重合触媒としては、通常、ウレタン重合に使用される触媒が用いられ、例えば、ジブチルチンジラウリレート等があげられる。
【0047】
得られたウレタンプレポリマーを30〜60℃に調整し、(a2)成分及び/又は(a4)成分を加え、次いで、上記ウレタンプレポリマー中のカルボキシル基を中和剤で中和し、蒸留水を加えて分散液とする。
【0048】
次に、この分散液を30〜80℃に保温し、ビニル重合触媒を添加してビニル重合させることにより、ポリウレタンとビニル重合体を含む水性分散液が製造される。
【0049】
上記ビニル重合触媒としては、レドックス系開始剤等があげられる。このレドックス系開始剤は、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の酸化剤と、アスコルビン酸等の還元剤との組合せからなる。
【0050】
上記のビニル重合後、反応を十分進めるため、30〜80℃で30分〜3時間の熟成反応を行う。このとき、ウレタンの鎖延長反応が同時に生じるので、ウレタン反応を完結させる。
【0051】
上記の方法で得られる水性分散液は、他の成分を混合させることにより、水性塗料や水性接着剤として使用することができる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。まず、原材料及び試験方法を下記に示す。
【0053】
(原材料)
<(a1)成分>
[ジオール成分]
・メチルペンタンジオールアジペート…(株)クラレ製:クラレポリオールP−2010、OHV56.1mgKOH/g(以下、「P2010」と略する。)(なお、「OHV」は、水酸基価(単位:mgKOH/g)を意味する。)
【0054】
[ジイソシアネート成分]
・イソホロンジイソシアネート…デグサジャパン(株)製:ベスタナートIPDI(以下、「IPDI」と略する。)
[カルボキシル基含有ジオール化合物]
・ジメチロールプロピオン酸…マリンクロットケミカル・インコーポレイテッド社製(以下、「DMPA」と略する。)
[溶媒]
・メチルエチルケトン…関東化学(株)製:試薬(以下、「MEK」と略する。)
・アセトン…関東化学(株)製:試薬1級
【0055】
[重合触媒]
・ジブチルチンジラウリレート…和光純薬工業(株)製:試薬
[重合安定剤]
・ハイドロキノンモノメチルエーテル…和光純薬工業(株)製:試薬(以下、「HQ」と略する。)
【0056】
<(a2)成分>
・3−アミノプロピルトリエトキシシラン…日本ユニカー(株)製:A−1100(以下、「A1100」と略する。)
【0057】
<(a3)成分>
[ビニル系単量体]
・ブチルアクリレート…三菱化学(株)製(以下、「BA」と略する。)
[レドックス系開始剤]
・7重量%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液12重量部と1重量%アスコルビン酸水溶液41重量部からなる触媒。
【0058】
<(a4)成分>
・γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン…日本ユニカー(株)製:A−174(以下、「A174」と略する。)
【0059】
(試験方法)
[粘度]
重合終了後の水性分散液を、JIS K 6833に記載の規定に準じて、BM型粘度計を用いて、25℃、12rpm、#2ロータにて測定した(単位:mPa・s)。
【0060】
[平均粒子径]
大塚電子(株)製のレーザー光散乱式粒度測定装置(ELS−8000)を用いて、ピンホールセレクターφ0.2、フィルター25%にて、25℃で測定した。
【0061】
[不揮発分]
重合終了後の水性分散液を、JIS K 6833に記載の規定に従って測定した。
【0062】
[耐溶剤試験]
(1)測定用被膜の作成
得られた水性分散液を、テフロン板にウェットで0.3mm厚に塗布し50℃にて5時間乾燥後、60℃減圧下で3時間乾燥した後、剥離して、被膜サンプルを得た。
【0063】
(2)耐メチルエチルケトン(MEK)試験
(1)で得た被膜を2.0×3.0cm2に切り、MEKに23℃、24時間浸漬し、取り出して面積膨潤率を算出した。また、これを105℃、3時間乾燥した後、重量を測定して溶出率を算出した。さらに、乾燥後の被膜サンプルの外観を下記の基準で評価した。
○:被膜は、透明性を保っていた。
×:被膜に白化が見られた。
【0064】
(3)耐エタノール試験
(1)で得た被膜を2.0×3.0cm2に切り、エタノールに23℃、24時間浸漬し、取り出して面積膨潤率を算出した。また、これを105℃、3時間乾燥した後、重量を測定して溶出率を算出した。さらに、乾燥後の被膜サンプルの外観を上記(2)と同様の基準で評価した。
【0065】
(実施例1)
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4ツ口フラスコに、ジオール成分としてP2010を90重量部、DMPAを14.1重量部、BAを164重量部、及びHQを0.1重量部加え、内温50℃とし、IPDIを60重量部、及びジブチルチンジラウリレート0.1重量部を加え90℃に加温し、この温度で5時間反応させてウレタンプレポリマー((a1)成分)を得た。
【0066】
得られたウレタンプレポリマー溶液に、(a2)成分としてA1100 9重量部を40℃にて20分かけて滴下して(a1)成分と(a2)成分との反応生成物を得た。次いで40℃にてトリエチルアミン10.8重量部を加えて、この反応生成物中のカルボキシル基を中和した。
次いで、この溶液に蒸留水330重量部を40℃で30分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
【0067】
その後、この分散液を40℃に保温し、この温度で上記のレドックス系開始剤を添加して、ビニルモノマーの重合を開始した。発熱終了後、更に80℃に昇温して2時間維持することによって、ポリウレタンとビニル重合体を含む水性分散液を得た。
得られた水性分散液を用いて、上記の各試験を行った。その結果を表1に示す。
【0068】
(実施例2)
(a2)成分のかわりに、(a4)成分として、A174 9重量部を40℃にて添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタンとビニル重合体を含む水性分散液を得た。得られた水性分散液を用いて、上記の各試験を行った。その結果を表1に示す。
【0069】
(実施例3)
(a2)成分を添加する直前に、(a4)成分として、A174 9重量部を40℃にて添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタンとビニル重合体を含む水性分散液を得た。得られた水性分散液を用いて、上記の各試験を行った。その結果を表1に示す。
【0070】
(比較例1)
(a2)成分を添加しない以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタンとビニル重合体を含む水性分散液を得た。得られた水性分散液を用いて、上記の各試験を行った。その結果を表1に示す。
【0071】
(比較例2)
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4ツ口フラスコに、ジオール成分としてP2010を90重量部、DMPAを14.1重量部、及びMEKを45重量部加え、内温50℃とし、IPDIを60重量部、及びジブチルチンジラウリレート0.1重量部を加え80℃に加温し、この温度で5時間反応させてウレタンプレポリマーを得た。
次いで、アセトン120重量部にてウレタンプレポリマーを希釈した。
【0072】
得られたウレタンプレポリマー溶液に、(a2)成分として、A1100 9重量部を40℃にて20分かけて滴下した。次いで40℃にてトリエチルアミン10.8重量部を加えてウレタンプレポリマー中のカルボキシル基を中和した。次いで、この溶液に蒸留水170重量部を40℃で30分間かけて滴下して、乳白色で透明性のある分散液を得た。
【0073】
この分散液を100℃程度まで徐々に加熱し、アセトン及びMEKを除去して乳白色で透明性のある水性分散液を得た。得られた水性分散液を用いて、上記の各試験を行った。その結果を表1に示す。
【0074】
(比較例3)
(a2)成分を添加しない以外は、比較例2と同様にして、乳白色で透明性のある水性分散液を得た。得られた水性分散液を用いて、上記の各試験を行った。その結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【発明の効果】
この発明は、所定のウレタンプレポリマーの存在下、又は所定のウレタンポリマー及び所定のシリル基含有化合物から得られる反応生成物の存在下、水性媒体中で、ビニル基含有単量体、及び必要に応じて、所定のシリル基含有化合物を重合するので、安定な水性分散液が得られ、かつ、この水性分散液から得られる皮膜の耐溶剤性が向上する。
Claims (6)
- イソシアネート基及びカルボキシル基を有するウレタンプレポリマー((a1)成分)と、イソシアネート基と反応可能な官能基、及び加水分解性シリル基を有する化合物((a2)成分)との反応生成物の存在下、水性媒体中で、ビニル基を有する単量体((a3)成分)を重合して得られる水性分散液。
- イソシアネート基及びカルボキシル基を有するウレタンプレポリマー((a1)成分)と、イソシアネート基と反応可能な官能基及び加水分解性シリル基を有する化合物((a2)成分)との反応生成物の存在下、水性媒体中で、ビニル基を有する単量体((a3)成分)と、重合性二重結合及び加水分解性シリル基を有する化合物((a4)成分)とを重合して得られる水性分散液。
- イソシアネート基及びカルボキシル基を有するウレタンプレポリマー((a1)成分)の存在下、水性媒体中で、ビニル基を有する単量体((a3)成分)と、重合性二重結合及び加水分解性シリル基を有する化合物((a4)成分)とを重合して得られる水性分散液。
- 反応容器に、ジオール成分、カルボキシル基を含有するジオール化合物、ビニル基を有する単量体((a3)成分)を加え、次いで、ジイソシアネート成分を加えて重合反応させることにより、ウレタンプレポリマー((a1)成分)を得、
得られた(a1)成分に、イソシアネート基と反応可能な官能基及び加水分解性シリル基を有する化合物((a2)成分)及び/又は重合性二重結合及び加水分解性シリル基を有する化合物((a4)成分)を加えて、上記(a1)成分と(a2)成分との反応生成物を得、
次いで、上記反応生成物中のカルボキシル基を中和し、そして、蒸留水を加えて分散液とし、
次に、この分散液にビニル重合触媒を添加して、(a3)成分及び/又は(a4)成分を重合反応させることにより、ポリウレタンとビニル重合体を含む水性分散液の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の水性分散液を含有する水性塗料。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の水性分散液を含有する水性接着剤。
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