JP2004269718A - ノルボルネン樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成型加工あるいはフィルム加工性に優れ、透明性と靭性に優れたノルボルネン樹脂の製造方法の提供。
【解決手段】ノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を、窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートニッケル化合物、並びに有機アルミニウム共存下でランダム共重合することにより製造することが出来る。
【選択図】 なし
【解決手段】ノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を、窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートニッケル化合物、並びに有機アルミニウム共存下でランダム共重合することにより製造することが出来る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を、特定のニッケル化合物と有機アルミニウム化合物の共存下でランダム共重合させ、透明性が高く加工性に優れたノルボルネン樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
汎用透明性樹脂としてポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート(pMMA)樹脂、ポリスチレン樹脂が一般的に知られているが、ポリカーボネート樹脂は耐衝撃性に優れ、連続使用可能温度が約130℃と耐熱性も高いが、加熱時使用下では黄変したり、表面硬度に乏しいといった欠点を有する。またpMMA樹脂は非常に透明性に優れ、表面硬度も高いものの、熱変形温度(以下HDTと略称する。)が約80℃と低く耐熱性に乏しい。ポリスチレン樹脂も透明性に優れ、成型加工し易い優れた樹脂であるが、耐衝撃性に乏しくHDTも約80℃と耐熱性に欠けると言える。一方こうした耐熱性、及び透明性を高いレベルで兼ね備えた樹脂としてノルボルネンの付加重合体が知られているが、その付加重合体はトリクロロベンゼン等の一部の高沸点有機溶媒以外には難溶性であること、ガラス転移温度(以下Tgと略称する。)が300℃を超えるため、成型加工が極めて困難であること、ノルボルネン連鎖が剛直であるため樹脂成型物ならびにフィルムに加工したときに靭性が低い等の欠点を有する。更に、カミンスキー型触媒に代表されるメタロセン触媒の使用においては立体規則性が発現するものがあることが教示されている(例えば非特許文献1参照。)。このように立体規則性が発現したポリノルボルネンは骨格の運動性が更に低くなることから、有機溶媒への難溶性が増すことと、Tgの更なる上昇が予想され、成型加工性は当然低下する。こうした欠点を改善する方法として、ノルボルネンにエチレンをランダム共重合する方法が教示されている(例えば特許文献1参照。)。この方法によるとTgが170℃〜190℃の加工性に優れるノルボルネン樹脂が得られているが、実質的な収率がノルボルネン仕込み量に対して約10%にとどまる。更にノルボルネンと1−デセンのランダム共重合体の製造方法や、共重合体における1−デセン含有率と数平均分子量(以下Mnと略称する)の相関について詳しく教示されている(例えば特許文献2参照。)。ここでは共重合体における1−デセンの含有率を3%にするとMnが350,000から80,000にまで低下することが示されている。したがって長鎖のα−オレフィンを共重合することによってTgを好ましい範囲に低下させるためには連鎖移動反応によるMnの顕著な低下を招くといった新たな問題が生じる。Mnの顕著な低下は力学特性の低下につながることはいうまでも無い。またノルボルネン共重合体のコモノマーとしてスチレンを使用した場合について詳細な検討が為されており、Tgをスチレンの含有率によって任意に制御可能であることが教示されている(例えば非特許文献2参照。)。適量のスチレンをポリノルボルネン主鎖に導入することは成型性や靭性向上の点で有効であると思われるが、非特許文献2の例ではノルボルネン/スチレンコポリマーの収率は高々11.5%が得られているに過ぎない。またスチレン共重合率が高い領域では1−デセンの例と同様に高分子量のポリマーが得られていない。
【0003】
上記の如く、ノルボルネン樹脂のMnの低下を招かずに適当な温度範囲のTgを有するノルボルネンとスチレンのコポリマーを収率良く得る方法は知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−171918号公報(第2〜3頁、第12〜13頁)
【0005】
【特許文献2】
米国特許第5,741,869号明細書(シート2、Fig.2)
【0006】
【非特許文献1】
Maclomol.Chem.Phys.第197巻、1996年、3907〜3945
【0007】
【非特許文献2】
Maclomol.Chem.Phys.第199巻、1998年、2221〜2227
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の如き従来の製法において実現できなかった、充分な耐熱性を備え、透明性、および耐衝撃性を両立したノルボルネン樹脂、即ちTgが300℃以下であるため成形加工性が容易であり、かつ実用上充分な分子量を持ったノルボルネン樹脂の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述の課題を達成すべく鋭意検討の結果、特定の化学構造を有するニッケル化合物と有機アルミニウム化合物の共存下、ノルボルネン系化合物とスチレン系化合物をランダム共重合させることによってTgが150℃〜300℃の範囲に低下し、実用上充分な分子量を持ったノルボルネン樹脂が高収率で得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1.ノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を重合して得られる樹脂において、下記式(1)
【0011】
【化3】
【0012】
[上記式中R1〜R6は水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、カルボン酸エステル基、水酸基、アルコキシル基、シアノ基、ハロゲン基、スルホン酸基、またはニトロ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基を示し、R1〜R6は全て同一でも、互いに別個の基でも構わない。またR1とR2とが互いに結合して単環若しくは多環の飽和脂環族基若しくは不飽和脂環族基を形成していてもよい。]
で表されるノルボルネン系化合物および下記式(2)
【0013】
【化4】
【0014】
[上記式中R7は水素原子またはメチル基を、R8〜R10は水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、ニトロ基、スルホン基、またはアミド基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基である。]
で表されるスチレン系化合物を
▲1▼窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートニッケル化合物
並びに
▲2▼有機アルミニウム化合物
の共存下でランダム共重合させることを特徴とするノルボルネン樹脂の製造方法。
2.該窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートニッケル化合物がトロポロネート系ニッケル化合物である1.記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
3.該ノルボルネン樹脂におけるノルボルネン系化合物の構造単位のR1〜R6がすべて水素原子である1.または2.に記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
4.該ノルボルネン樹脂におけるスチレン系化合物の構造単位のR7〜R10がすべて水素原子である1.〜3.のいずれか1つに記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
5.該トロポロネート系ニッケル化合物がニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)である2.〜4.のいずれか1つに記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
6.該ノルボルネン樹脂におけるノルボルネン系化合物の共重合率が55モル%〜86.6モル%である2.〜5.のいずれか1つに記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、本発明で言うノルボルネン系化合物とスチレン系化合物のランダム共重合とは、ノルボルネン樹脂におけるノルボルネン系化合物の構造単位と芳香族スチレン系化合物の構造単位の配列を無秩序たらしめ、且つノルボルネン系化合物の構造単位の連鎖は付加重合にて結合する重合様式を指すものである。
【0016】
本発明で使用されるノルボルネン系化合物は下記式(1)
【0017】
【化5】
【0018】
[上記式中R1〜R6は水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、カルボン酸エステル基、水酸基、アルコキシル基、シアノ基、ハロゲン基、スルホン酸基、またはニトロ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基を示し、R1〜R6は全て同一でも、互いに別個の基でも構わない。またR1とR2とが互いに結合して単環若しくは多環の飽和脂環族基若しくは不飽和脂環族基を形成していてもよい。]
で表される構造であり、置換基R1〜R6の具体例としては水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等から成る炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基の群;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等から成る炭素数3〜20の脂環族炭化水素基の群;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基の群;カルボン酸エステル基;水酸基;アルコキシル基;シアノ基;フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等のハロゲン基;スルホン酸基;またはニトロ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基が選択される。ここでR1〜R6は全て同一であっても、それぞれが別個のものであっても差し支えない。またR1とR2とが互いに結合して単環若しくは多環の飽和脂環族基若しくは不飽和脂環族基を形成していてもよい。飽和脂環族基としてはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、若しくはシクロヘプチル基が挙げられ、不飽和脂環族基としてはシクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、若しくはシクロヘペチル基が挙げられる。該ノルボルネン系化合物を用いて重合を行う際には、上記式(1)で表される該ノルボルネン系化合物の構造単位のR1〜R6がすべて水素原子であることが好ましい。
【0019】
より具体的な化合物としてはノルボルネン、(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、若しくはジシクロペンタジエンなどが好ましく挙げられるが、なかでもR1〜R6がすべて水素原子であるノルボルネンがより好ましい。
【0020】
さらにこのノルボルネン系化合物のコノモマーであるスチレン系化合物は下記式(2)
【0021】
【化6】
【0022】
[上記式中R7は水素原子またはメチル基を、R8〜R10は水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、ニトロ基、スルホン基、またはアミド基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基である。]
で表される構造であり、置換基R7は水素原子またはメチル基を、R8〜R10は水素原子またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等から成る炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基の群;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等から成る炭素数3〜12の脂環族炭化水素基の群;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群、ハロゲン基、カルボキシル基、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸エステル基、ニトロ基、スルホン基、またはアミド基より選ばれる少なくとも1種の基であるが、R7〜R10が全て水素原子であるスチレンが最も好ましいスチレン系化合物として例示できる。
【0023】
本発明ではノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を有機溶媒に溶解せしめた溶液状態で重合を行うことが好ましい。該有機溶媒の種類は特に制限はないが、ノルボルネン系化合物、スチレン系化合物、ニッケル化合物および有機アルミニウム化合物、並びに生成するコポリマーを十分溶解せしめる能力があり、且つ触媒の活性種を失活させないものの中から選ばれる。そのような具体例としてはベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、若しくは1,2,4−トリクロロベンゼンが挙げられる。こうした有機溶媒は単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用する方法も好ましい。
【0024】
本発明におけるランダム共重合はノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を上記有機溶媒に溶解せしめた溶液と、触媒である窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートニッケル化合物、並びに助触媒の有機アルミニウム化合物を乾燥した不活性気体雰囲気下で接触させることによって行うことができる。このような不活性気体の例として、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。ここに挙げられた不活性気体雰囲気下であっても不活性気体中に微量の酸素を含む場合や、乾燥不十分な不活性気体を用いた場合、触媒の親酸素性、触媒と水との反応により触媒活性が失われるので好ましくない。
【0025】
また、ノルボルネン系化合物、スチレン系化合物は使用する耐熱性、光学用途を考慮して当業者が自由にその仕込みモル比を決定するものであるが、本発明においてはノルボルネン系化合物/スチレン系化合物の仕込みモル比が9/1〜1/9が好ましく、さらには必要に応じて1/1〜1/9を、さらに好ましくは1/2〜1/9を採用することもできる。
【0026】
本発明における窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートニッケル化合物(以下特定ニッケル化合物と称する。)はノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を付加重合する際の触媒として作用する。窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートとはキレート環が5つの原子および/またはイオンで形成され、そのうちの3つがそれぞれ、▲1▼窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、▲2▼酸素原子、並びに▲3▼ニッケルイオンであることを表している。したがってこの条件を満たす化合物であれば、キレート環を形成する他の原子の種類、配位子骨格の化学構造、配位子の置換基には特に限定されない。具体的にはカテコール系化合物、α−ピロン系化合物、ベンゾイン系化合物、2、2’−ビフェノール系化合物、トロポロン系化合物が配位子としてニッケルイオンに配位した化合物が挙げられる。これらの化合物の中でより好ましくはトロポロン系化合物が配位したニッケル化合物(以下トロポロネート系ニッケル化合物と称する。)である。より具体的には、カテコール系化合物としては、カテコール、3,5−ジ−t−ブチルカテコール、他の各種置換基のあるカテコールが、α−ピロン系化合物としてはα−ピロン、各種置換基のあるα−ピロンが、ベンゾイン系化合物としてはベンゾイン、各種置換基のあるベンゾインが、2、2’−ビフェノール系化合物としては2、2’−ビフェノール、各種置換基のある2、2’−ビフェノールが挙げられる。またニッケルは通常4から6までの配位数を取りうるので、該特定ニッケル化合物1分子あたりの配位子は複数であることもある。その際には少なくとも1種の配位子が先述の要件を満たす化合物であれば、本発明において使用する特定ニッケル化合物の範疇に含まれる。
【0027】
さらにトロポロネート系ニッケル化合物はニッケルイオンにトロポロン系化合物が配位した構造を持つ。ここでトロポロン系化合物とはトロポロンまた若しくはその誘導体、またはトロポロンのヒドロキシル基がアミノ基に置換された2−アミノシクロヘプタトリエノン構造を持つ化合物、若しくはその誘導体が含まれる。さらにトロポロン系化合物の誘導体は置換基を有していても良い。該置換基としては、炭素数1〜20までの脂肪族炭化水素基若しくはアルコキシル基、炭素数5〜30までの脂環族炭化水素基若しくはシクロアルコキシル基、炭素数6〜30までの芳香族炭化水素基若しくはアリールオキシ基、アルキルアミド基、アリールアミド基、アミド基、アルキルウレタン基、アルキル尿素基、アルキルエステル基、アリールエステル基、ヒドロキル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基、ハロゲン基である。なお炭素数1〜20までの脂肪族炭化水素基若しくはアルコキシル基、炭素数5〜30までの脂環族炭化水素基若しくはシクロアルコキシル基は、基中に1つ若しくは複数の不飽和結合があってもよい。該炭素数1〜20までの脂肪族炭化水素基若しくはアルコキシル基、炭素数5〜30までの脂環族炭化水素基若しくはシクロアルコキシル基、炭素数6〜30までの芳香族炭化水素基若しくはアリールオキシ基の水素原子の1つ若しくは複数がアルキルアミド基、アリールアミド基、アルキルウレタン基、アルキル尿素基、アルキルエステル基、アリールエステル基、ヒドロキル基、カルボキシ基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基、ハロゲン基等で置換されていてもよい。
【0028】
具体的なトロポロネート系ニッケル化合物としてはニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−アミノ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−4−イソプロピル−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−7−イソプロピル−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−3−イソプロピル−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(7−ヒドロキシ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン)が挙げられる。
【0029】
これらの中で好ましくは、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−アミノ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−7−イソプロピル−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−3−イソプロピル−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(7−ヒドロキシ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン)である。
【0030】
以上のような本発明で使用する該特定ニッケル化合物以外の遷移金属化合物を用いると、配位子とノルボルネン系化合物、あるいはスチレン系化合物との立体反発が原因となり触媒の活性が低く、本発明のような高分子量でノルボルネンの共重合率が高いノルボルネン樹脂を重合することができない。またこれらの特定ニッケル化合物の中には固体状態で水、アルコール、エーテル分子を結晶分子として1分子以上含むものがあるが、それらを使用する方法も好ましい形態である。
【0031】
助触媒として機能する有機アルミニウム化合物とは炭素−アルミニウム結合を有するアルミニウム化合物を指し、本発明においてはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、メチルアルミノキサン(MAO)、イソブチルアルミノキサン(BAO)の中から選ばれるが、安定性や取り扱い安さ、得られるノルボルネン樹脂の分子量が高いことから、メチルアルミノキサンが好ましい。また、メチルアルミノキサンのメチル基を一部イソブチル基に変換した変性メチルアルミノキサン(MMAO)も好ましく使用される。
【0032】
該特定ニッケル化合物と該有機アルミニウム化合物の比率には特に制限はないが、特定ニッケル化合物1当量に対して1当量ないし10000当量、好ましくは10当量ないし1000当量、更に好ましくは50当量ないし100当量である。該比率が1当量未満の場合は全ての特定ニッケル化合物が活性化されない為、ノルボルネン樹脂の収率が極端に低下することがある。逆に10000当量を超える場合ではノルボルネン系化合物、あるいはスチレン系化合物の有機アルミニウム化合物への連鎖移動反応が顕著化し、ノルボルネン樹脂の分子量の低下や分子量分布の増加につながるため好ましくない。
【0033】
特定ニッケル化合物に対する、ノルボルネン系化合物と芳香族スチレン系化合物の合計の比率に関しては特に制限はないが、特定ニッケル化合物1当量に対して1当量ないし100000当量、好ましくは100当量ないし50000当量である。該比率が1当量未満の場合は実質低分子量のノルボルネン樹脂しか得ることができず、100000当量を超える場合では最早溶液粘度が極端に増加して攪拌が不可能になることと、重合による反応発熱が顕著となり好ましくない。反応発熱を抑制するためには有機溶媒の増加を余儀なくされるといった新たな問題が生じる。
【0034】
上記の範囲で選ばれたノルボルネン系化合物、スチレン系化合物、特定ニッケル化合物、有機アルミニウム化合物を有機溶媒中で接触させることによってランダム共重合が進行するが、その時の温度は−80℃ないし120℃、好ましくは0℃ないし80℃である。−80℃未満の温度範囲でのランダム共重合では、重合速度が極端に低下することと、多くの有機溶媒が凍結してしまうために実用的ではなく、120℃を超える温度範囲では特定ニッケル化合物、および有機アルミニウム化合物が熱分解等により失活する恐れがあるため避けるほうが好ましい。
【0035】
以上のような手法によりノルボルネン樹脂を製造することで従来よりも高耐熱性で高分子量のノルボルネン樹脂を高収率で製造することができる。
【0036】
本発明の製造方法においては、ノルボルネン樹脂におけるノルボルネン系化合物の共重合率は、加工性と靭性を向上させるために5モル%〜90モル%の範囲内が好ましく、更に好ましくは55モル%〜86.6モル%である。ノルボルネン系化合物含有率が5モル%未満である場合はノルボルネン樹脂のTg(ガラス転移温度)を顕著に低下させるには量的に不十分であり、溶融粘度等の熱的性質はポリノルボルネンと実質変わらず、成型加工あるいはフィルムキャストは依然困難となる。逆に90モル%を超える場合では上記熱的性質は芳香族ポリオレフィンそのものと変わらず、ノルボルネン樹脂本来固有の長所を悪化させるため好ましくない。
【0037】
本発明の製造方法によってランダム共重合したノルボルネン樹脂は、使用した有機溶媒に溶解した状態にあるので、メタノール等の貧溶媒と塩酸の混合溶液と接触することによって特定ニッケル化合物と有機アルミニウム化合物を除去しつつ、ノルボルネン樹脂を固化させることが可能である。その後固化させたノルボルネン樹脂は射出成型機等によって任意の形態に成型することが出来、必要であればこの時に難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、無機充填剤、有機充填剤のような添加剤を添加することができる。また固化されたノルボルネン樹脂はシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム等の比較的低沸点の有機溶媒に溶解させ、キャストすることによってフィルムを製造することも可能である。この場合前述した難燃剤等の添加はこの溶液に直接添加する方法が好ましい。また、ランダム共重合で得たノルボルネン樹脂は加工する前に芳香族環を水素添加した構造の水素添加ノルボルネン樹脂とする方法も、耐熱性と光学特性向上の点で好ましい。水素添加反応はオートクレーブのような圧力容器中で、活性炭、シリカ、アルミナなどの多孔質な担体に担持されたパラジウム、白金、ロジウム、ニッケル等の水添触媒とノルボルネン樹脂を水素気流下で接触させる方法が、好ましい形態として例示できる。
【0038】
以上のような本発明の製造方法によって得られるノルボルネン樹脂は特に耐熱性に優れ、光学用途をはじめ各種の用途として用いるのに十分な機械物性を持っているので優れた材料である。さらにスチレン系化合物に由来する芳香族環を水素添加し脂環族基にしたノルボルネン樹脂は分子内に不飽和結合が存在しないため、より厳密な光学特性が優れていることが期待でき好ましいものである。
【0039】
【発明の効果】
以上、本発明の製造方法によってスチレン系化合物をノルボルネン系化合物にランダム共重合することにより、ノルボルネン樹脂の透明性を損ねることなくTgを適度な範囲に低下させ、且つポリマー鎖を柔軟ならしめることが可能になった。また収率も格段に向上できることがわかった。Tgはスチレン系化合物の仕込み比を変えることで任意に制御することが可能であり、成型加工性に支障がない程度の耐熱性を持ち光学特性に優れ、有機溶媒に対する溶解性が高いノルボルネン樹脂が得られるようになった。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(a)ガラス転移温度(Tg)の測定
Tgの測定はセイコーインスツルメンツ製SSC5100−DSC22Cを用いて測定した。試料量は細かく粉砕した粉末状のものの5mgを測り取り、アルミニウム製の専用パンに入れて行った。リファレンスにはアルミニウム製の専用パンにアルミナ粉末9.5mgを入れたものを使用した。測定温度範囲は20℃〜400℃であり、この範囲を昇降温するサイクルを2サイクルスキャンした。この時の昇温速度は20℃毎分、降温速度は50℃毎分とし、Tgは2回目のサイクルで得られたDSC曲線から求めた。
(b)数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、並びに分子量分布Mw/Mnの測定
Mn、Mw、Mw/Mnは東ソー製SC8010型ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定し、ポリスチレン基準試料により求めた校正曲線から算出した。試料は粉末1mgをクロロホルム1mLに溶解させ、12μmのシリンジフィルターを通過した溶液を使用した。測定は全て上記試料を40℃のクロロホルムを1.0mL毎分の流量で展開させて行った。試料の溶出は屈折率計によって検出した。
(c)NMRによる組成解析(共重合率の算出)
NMRによるランダムコポリマーの組成解析は日本電子製JNM−LA 400MHzを使用して50℃で測定した。測定試料は、得られたノルボルネン樹脂の3mgを重水素化クロロホルム0.7mLに溶解させて調整した。ランダムコポリマー中のノルボルネン、およびスチレン含有率の算出はプロトン積算比を用い、下記数式(3)、(4)に従って行った。
【0041】
【数1】
【0042】
[ここでAは1H−NMRにおけるスチレンの芳香環由来のピーク面積を1とした場合の化学シフト0〜3ppmに現れる脂肪族基由来のピークの積算値(ピーク面積)を指す。]
【0043】
[参考例1] ノルボルネンストック溶液の調製
アクロス製ノルボルネン50gをアルゴン気流下で蒸留したクロロベンゼン140mLに溶かし、4モル/Lに調整した。この溶液をアルゴン充填したフラスコに移し、カルシウムハイドライドを加えて24時間予備乾燥を行った。これをアルゴン気流下でろ過し、ノルボルネンストック溶液としてシュレンク管に保存した。
【0044】
[参考例2] スチレンモノマーの調整
関東化学社製スチレンと無水硫酸マグネシウムをアルゴン気流下で二口フラスコに加えて24時間予備乾燥を行った後、40℃、1.87kPa(14mmHg)で減圧蒸留したものをシュレンク管に入れ−24℃にて保存した。
【0045】
[参考例3] ニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)の合成
2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン(アルドリッチ社製)0.01モルと酢酸ニッケル四水和物0.005モルをメタノール30mL中に加えて70℃にて加熱還流する。反応を開始後約1時間経過すると、黄褐色の沈殿が析出し始める。反応をそのまま12時間続けた後、この沈殿をろ過してジエチルエーテルで洗浄すると、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)・(メタノール)2(ニッケル錯体1分子にメタノール2分子を単位とする錯体)が収率78.1%で得られた。元素分析結果はC%:52.70(52.65)、H%:6.18(5.76)であった。括弧内は理論値を示す。得られた錯体のX線結晶構造解析結果を図1に示す。
【0046】
[参考例4] ニッケル(N,N’,N”,N”’−テトラメチル−1,5,8、12−テトラアザシクロテトラデカン)二過塩素酸塩の合成
(N,N’,N”,N”’−テトラメチル−1,5,8、12−テトラアザシクロテトラデカン)(アルドリッチ社製)と等モルの過塩素酸ニッケルをメタノール中で混合し加熱還流する。反応溶液をエバポレーターで留去した後、得られた固体をジエチルエーテルで洗浄するとニッケル(N,N’,N”,N”’−テトラメチル−1,5,8,12−テトラアザシクロテトラデカン)二過塩素酸塩が得られた。
【0047】
[参考例5] ニッケル[N,N,N−トリス(2−ピリジル−2−エチル)アミン]二過塩素酸塩の合成
N,N,N−トリス(2−ピリジル−2−エチル)アミン(アルドリッチ社製)を等モルの過塩素酸ニッケルをメタノール中で混合し加熱還流する。反応溶液をエバポレーターで留去した後、得られた固体をジエチルエーテルで洗浄するとニッケル[N,N,N−トリス(2−ピリジル−2−エチル)アミン]二過塩素酸塩が得られた。
【0048】
[実施例1]
100mLのシュレンク管の内部を入念にアルゴン置換した。次いで参考例3にて得られたニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)の6.0mgとクロロベンゼン5mLをアルゴンガス気流下にてシュレンク管に加え、これを激しく攪拌した。この触媒のけん濁液に変性メチルアルミノキサン(MMAO)(東ソー・ファインケム社製)のトルエン5.8%溶液1.1mLをシリンジで添加して攪拌を続けると、溶液が除々に赤褐色を呈した。MMAO添加後30分経過した時点で触媒の活性種が十分に発生したと判断した。これとは別に4モル/Lのノルボルネンストック溶液1mLとスチレン0.46mL、即ちノルボルネン/スチレンを仕込みモル比50/50で混合しておき、シリンジで触媒の赤褐色溶液に添加し、ランダム共重合を開始した。反応溶液の攪拌を25℃で12時間継続したあと、1Nの塩酸を5vol%含んだ50mLのメタノールに注いで重合を停止させた。得られた白い粉末状のポリマーを遠心分離器で分離し、80℃で12時間乾燥させたところ、収率57.5%でノルボルネン樹脂が得られた。1H−NMRスペクトルによるノルボルネン樹脂の組成解析により、ノルボルネン含有率は86.6モル%、スチレン含有率は14.0モル%であり、ガラス転移温度は263.1℃であった。GPCで求めたMnは15,300、Mwは29,220、Mw/Mnは1.91であった。またこのノルボルネン樹脂は室温のジクロロメタン、クロロホルム、シクロヘキサン、デカリン、クロロベンゼンに完全に溶解した。
【0049】
[実施例2]
ノルボルネンとスチレンの仕込み比を1:3にした以外は実施例1と同様の方法でランダム共重合を行ったところ、収率36.9%でノルボルネン樹脂が得られた。1H−NMRスペクトルによるノルボルネン樹脂の組成解析により、ノルボルネン含有率は73.4モル%、スチレン含有率は26.6モル%であり、ガラス転移温度は215.9℃であった。GPCで求めたMnは10,100、Mwは17,680、Mw/Mnは1.75であった。またこのノルボルネン樹脂は室温のジクロロメタン、クロロホルム、シクロヘキサン、デカリン、クロロベンゼンに完全に溶解した。
【0050】
[実施例3]
ノルボルネンとスチレンの仕込み比を1:7にした以外は実施例1と同様の方法でランダム共重合を行ったところ、収率23.1%でノルボルネン樹脂が得られた。1H−NMRスペクトルによるノルボルネン樹脂の組成解析により、ノルボルネン含有率は57.8モル%、スチレン含有率は42.2モル%であり、ガラス転移温度は151.3℃であった。GPCで求めたMnは9,470、Mwは16,670、Mw/Mnは1.76であった。またこのノルボルネン樹脂は室温のジクロロメタン、クロロホルム、シクロヘキサン、デカリン、クロロベンゼンに完全に溶解した。
【0051】
[比較例1]
触媒として、ニッケル(N,N’,N”,N”’−テトラメチル−1,5,8、12−テトラアザシクロテトラデカン)二過塩素酸塩(参考例4にて合成)10.3mgに変えた以外は実施例1と同様の方法でランダム共重合を行ったところ、収率11.6%でノルボルネンのホモポリマーしか得られなかった。即ちこのノルボルネン樹脂におけるノルボルネン含有率は100モル%、スチレン含有率は0モル%であった。ガラス転移温度Tgの測定を行ったものの明瞭なTgは確認できなかった。
【0052】
[比較例2]
触媒として、ニッケル[N,N,N−トリス(2−ピリジル−2−エチル)アミン]二過塩素酸塩(参考例5にて合成)10.2mgに変えた以外は実施例1と同様の方法でランダム共重合を行ったところ、収率4.4%でノルボルネンのホモポリマーしか得られなかった。即ちこのノルボルネン樹脂におけるノルボルネン含有率は100モル%、スチレン含有率は0モル%であった。ガラス転移温度Tgの測定を行ったものの明瞭なTgは確認できなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例3で得られたニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)に溶媒のメタノールが2分子配位したニッケル化合物のX線結晶構造解析結果である。
【発明の属する技術分野】
本発明はノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を、特定のニッケル化合物と有機アルミニウム化合物の共存下でランダム共重合させ、透明性が高く加工性に優れたノルボルネン樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
汎用透明性樹脂としてポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート(pMMA)樹脂、ポリスチレン樹脂が一般的に知られているが、ポリカーボネート樹脂は耐衝撃性に優れ、連続使用可能温度が約130℃と耐熱性も高いが、加熱時使用下では黄変したり、表面硬度に乏しいといった欠点を有する。またpMMA樹脂は非常に透明性に優れ、表面硬度も高いものの、熱変形温度(以下HDTと略称する。)が約80℃と低く耐熱性に乏しい。ポリスチレン樹脂も透明性に優れ、成型加工し易い優れた樹脂であるが、耐衝撃性に乏しくHDTも約80℃と耐熱性に欠けると言える。一方こうした耐熱性、及び透明性を高いレベルで兼ね備えた樹脂としてノルボルネンの付加重合体が知られているが、その付加重合体はトリクロロベンゼン等の一部の高沸点有機溶媒以外には難溶性であること、ガラス転移温度(以下Tgと略称する。)が300℃を超えるため、成型加工が極めて困難であること、ノルボルネン連鎖が剛直であるため樹脂成型物ならびにフィルムに加工したときに靭性が低い等の欠点を有する。更に、カミンスキー型触媒に代表されるメタロセン触媒の使用においては立体規則性が発現するものがあることが教示されている(例えば非特許文献1参照。)。このように立体規則性が発現したポリノルボルネンは骨格の運動性が更に低くなることから、有機溶媒への難溶性が増すことと、Tgの更なる上昇が予想され、成型加工性は当然低下する。こうした欠点を改善する方法として、ノルボルネンにエチレンをランダム共重合する方法が教示されている(例えば特許文献1参照。)。この方法によるとTgが170℃〜190℃の加工性に優れるノルボルネン樹脂が得られているが、実質的な収率がノルボルネン仕込み量に対して約10%にとどまる。更にノルボルネンと1−デセンのランダム共重合体の製造方法や、共重合体における1−デセン含有率と数平均分子量(以下Mnと略称する)の相関について詳しく教示されている(例えば特許文献2参照。)。ここでは共重合体における1−デセンの含有率を3%にするとMnが350,000から80,000にまで低下することが示されている。したがって長鎖のα−オレフィンを共重合することによってTgを好ましい範囲に低下させるためには連鎖移動反応によるMnの顕著な低下を招くといった新たな問題が生じる。Mnの顕著な低下は力学特性の低下につながることはいうまでも無い。またノルボルネン共重合体のコモノマーとしてスチレンを使用した場合について詳細な検討が為されており、Tgをスチレンの含有率によって任意に制御可能であることが教示されている(例えば非特許文献2参照。)。適量のスチレンをポリノルボルネン主鎖に導入することは成型性や靭性向上の点で有効であると思われるが、非特許文献2の例ではノルボルネン/スチレンコポリマーの収率は高々11.5%が得られているに過ぎない。またスチレン共重合率が高い領域では1−デセンの例と同様に高分子量のポリマーが得られていない。
【0003】
上記の如く、ノルボルネン樹脂のMnの低下を招かずに適当な温度範囲のTgを有するノルボルネンとスチレンのコポリマーを収率良く得る方法は知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−171918号公報(第2〜3頁、第12〜13頁)
【0005】
【特許文献2】
米国特許第5,741,869号明細書(シート2、Fig.2)
【0006】
【非特許文献1】
Maclomol.Chem.Phys.第197巻、1996年、3907〜3945
【0007】
【非特許文献2】
Maclomol.Chem.Phys.第199巻、1998年、2221〜2227
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の如き従来の製法において実現できなかった、充分な耐熱性を備え、透明性、および耐衝撃性を両立したノルボルネン樹脂、即ちTgが300℃以下であるため成形加工性が容易であり、かつ実用上充分な分子量を持ったノルボルネン樹脂の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述の課題を達成すべく鋭意検討の結果、特定の化学構造を有するニッケル化合物と有機アルミニウム化合物の共存下、ノルボルネン系化合物とスチレン系化合物をランダム共重合させることによってTgが150℃〜300℃の範囲に低下し、実用上充分な分子量を持ったノルボルネン樹脂が高収率で得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1.ノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を重合して得られる樹脂において、下記式(1)
【0011】
【化3】
【0012】
[上記式中R1〜R6は水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、カルボン酸エステル基、水酸基、アルコキシル基、シアノ基、ハロゲン基、スルホン酸基、またはニトロ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基を示し、R1〜R6は全て同一でも、互いに別個の基でも構わない。またR1とR2とが互いに結合して単環若しくは多環の飽和脂環族基若しくは不飽和脂環族基を形成していてもよい。]
で表されるノルボルネン系化合物および下記式(2)
【0013】
【化4】
【0014】
[上記式中R7は水素原子またはメチル基を、R8〜R10は水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、ニトロ基、スルホン基、またはアミド基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基である。]
で表されるスチレン系化合物を
▲1▼窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートニッケル化合物
並びに
▲2▼有機アルミニウム化合物
の共存下でランダム共重合させることを特徴とするノルボルネン樹脂の製造方法。
2.該窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートニッケル化合物がトロポロネート系ニッケル化合物である1.記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
3.該ノルボルネン樹脂におけるノルボルネン系化合物の構造単位のR1〜R6がすべて水素原子である1.または2.に記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
4.該ノルボルネン樹脂におけるスチレン系化合物の構造単位のR7〜R10がすべて水素原子である1.〜3.のいずれか1つに記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
5.該トロポロネート系ニッケル化合物がニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)である2.〜4.のいずれか1つに記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
6.該ノルボルネン樹脂におけるノルボルネン系化合物の共重合率が55モル%〜86.6モル%である2.〜5.のいずれか1つに記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、本発明で言うノルボルネン系化合物とスチレン系化合物のランダム共重合とは、ノルボルネン樹脂におけるノルボルネン系化合物の構造単位と芳香族スチレン系化合物の構造単位の配列を無秩序たらしめ、且つノルボルネン系化合物の構造単位の連鎖は付加重合にて結合する重合様式を指すものである。
【0016】
本発明で使用されるノルボルネン系化合物は下記式(1)
【0017】
【化5】
【0018】
[上記式中R1〜R6は水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、カルボン酸エステル基、水酸基、アルコキシル基、シアノ基、ハロゲン基、スルホン酸基、またはニトロ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基を示し、R1〜R6は全て同一でも、互いに別個の基でも構わない。またR1とR2とが互いに結合して単環若しくは多環の飽和脂環族基若しくは不飽和脂環族基を形成していてもよい。]
で表される構造であり、置換基R1〜R6の具体例としては水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等から成る炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基の群;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等から成る炭素数3〜20の脂環族炭化水素基の群;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基の群;カルボン酸エステル基;水酸基;アルコキシル基;シアノ基;フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等のハロゲン基;スルホン酸基;またはニトロ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基が選択される。ここでR1〜R6は全て同一であっても、それぞれが別個のものであっても差し支えない。またR1とR2とが互いに結合して単環若しくは多環の飽和脂環族基若しくは不飽和脂環族基を形成していてもよい。飽和脂環族基としてはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、若しくはシクロヘプチル基が挙げられ、不飽和脂環族基としてはシクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、若しくはシクロヘペチル基が挙げられる。該ノルボルネン系化合物を用いて重合を行う際には、上記式(1)で表される該ノルボルネン系化合物の構造単位のR1〜R6がすべて水素原子であることが好ましい。
【0019】
より具体的な化合物としてはノルボルネン、(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、若しくはジシクロペンタジエンなどが好ましく挙げられるが、なかでもR1〜R6がすべて水素原子であるノルボルネンがより好ましい。
【0020】
さらにこのノルボルネン系化合物のコノモマーであるスチレン系化合物は下記式(2)
【0021】
【化6】
【0022】
[上記式中R7は水素原子またはメチル基を、R8〜R10は水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の脂環族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、ハロゲン基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、ニトロ基、スルホン基、またはアミド基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基である。]
で表される構造であり、置換基R7は水素原子またはメチル基を、R8〜R10は水素原子またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等から成る炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基の群;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等から成る炭素数3〜12の脂環族炭化水素基の群;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群、ハロゲン基、カルボキシル基、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸エステル基、ニトロ基、スルホン基、またはアミド基より選ばれる少なくとも1種の基であるが、R7〜R10が全て水素原子であるスチレンが最も好ましいスチレン系化合物として例示できる。
【0023】
本発明ではノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を有機溶媒に溶解せしめた溶液状態で重合を行うことが好ましい。該有機溶媒の種類は特に制限はないが、ノルボルネン系化合物、スチレン系化合物、ニッケル化合物および有機アルミニウム化合物、並びに生成するコポリマーを十分溶解せしめる能力があり、且つ触媒の活性種を失活させないものの中から選ばれる。そのような具体例としてはベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、若しくは1,2,4−トリクロロベンゼンが挙げられる。こうした有機溶媒は単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用する方法も好ましい。
【0024】
本発明におけるランダム共重合はノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を上記有機溶媒に溶解せしめた溶液と、触媒である窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートニッケル化合物、並びに助触媒の有機アルミニウム化合物を乾燥した不活性気体雰囲気下で接触させることによって行うことができる。このような不活性気体の例として、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。ここに挙げられた不活性気体雰囲気下であっても不活性気体中に微量の酸素を含む場合や、乾燥不十分な不活性気体を用いた場合、触媒の親酸素性、触媒と水との反応により触媒活性が失われるので好ましくない。
【0025】
また、ノルボルネン系化合物、スチレン系化合物は使用する耐熱性、光学用途を考慮して当業者が自由にその仕込みモル比を決定するものであるが、本発明においてはノルボルネン系化合物/スチレン系化合物の仕込みモル比が9/1〜1/9が好ましく、さらには必要に応じて1/1〜1/9を、さらに好ましくは1/2〜1/9を採用することもできる。
【0026】
本発明における窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートニッケル化合物(以下特定ニッケル化合物と称する。)はノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を付加重合する際の触媒として作用する。窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートとはキレート環が5つの原子および/またはイオンで形成され、そのうちの3つがそれぞれ、▲1▼窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、▲2▼酸素原子、並びに▲3▼ニッケルイオンであることを表している。したがってこの条件を満たす化合物であれば、キレート環を形成する他の原子の種類、配位子骨格の化学構造、配位子の置換基には特に限定されない。具体的にはカテコール系化合物、α−ピロン系化合物、ベンゾイン系化合物、2、2’−ビフェノール系化合物、トロポロン系化合物が配位子としてニッケルイオンに配位した化合物が挙げられる。これらの化合物の中でより好ましくはトロポロン系化合物が配位したニッケル化合物(以下トロポロネート系ニッケル化合物と称する。)である。より具体的には、カテコール系化合物としては、カテコール、3,5−ジ−t−ブチルカテコール、他の各種置換基のあるカテコールが、α−ピロン系化合物としてはα−ピロン、各種置換基のあるα−ピロンが、ベンゾイン系化合物としてはベンゾイン、各種置換基のあるベンゾインが、2、2’−ビフェノール系化合物としては2、2’−ビフェノール、各種置換基のある2、2’−ビフェノールが挙げられる。またニッケルは通常4から6までの配位数を取りうるので、該特定ニッケル化合物1分子あたりの配位子は複数であることもある。その際には少なくとも1種の配位子が先述の要件を満たす化合物であれば、本発明において使用する特定ニッケル化合物の範疇に含まれる。
【0027】
さらにトロポロネート系ニッケル化合物はニッケルイオンにトロポロン系化合物が配位した構造を持つ。ここでトロポロン系化合物とはトロポロンまた若しくはその誘導体、またはトロポロンのヒドロキシル基がアミノ基に置換された2−アミノシクロヘプタトリエノン構造を持つ化合物、若しくはその誘導体が含まれる。さらにトロポロン系化合物の誘導体は置換基を有していても良い。該置換基としては、炭素数1〜20までの脂肪族炭化水素基若しくはアルコキシル基、炭素数5〜30までの脂環族炭化水素基若しくはシクロアルコキシル基、炭素数6〜30までの芳香族炭化水素基若しくはアリールオキシ基、アルキルアミド基、アリールアミド基、アミド基、アルキルウレタン基、アルキル尿素基、アルキルエステル基、アリールエステル基、ヒドロキル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基、ハロゲン基である。なお炭素数1〜20までの脂肪族炭化水素基若しくはアルコキシル基、炭素数5〜30までの脂環族炭化水素基若しくはシクロアルコキシル基は、基中に1つ若しくは複数の不飽和結合があってもよい。該炭素数1〜20までの脂肪族炭化水素基若しくはアルコキシル基、炭素数5〜30までの脂環族炭化水素基若しくはシクロアルコキシル基、炭素数6〜30までの芳香族炭化水素基若しくはアリールオキシ基の水素原子の1つ若しくは複数がアルキルアミド基、アリールアミド基、アルキルウレタン基、アルキル尿素基、アルキルエステル基、アリールエステル基、ヒドロキル基、カルボキシ基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基、ハロゲン基等で置換されていてもよい。
【0028】
具体的なトロポロネート系ニッケル化合物としてはニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−アミノ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−4−イソプロピル−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−7−イソプロピル−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−3−イソプロピル−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(7−ヒドロキシ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン)が挙げられる。
【0029】
これらの中で好ましくは、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−アミノ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−7−イソプロピル−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−3−イソプロピル−2,4,6−シクロへプタトリエノン)、ニッケルビス(7−ヒドロキシ−ベンゾシクロヘプテン−6−オン)である。
【0030】
以上のような本発明で使用する該特定ニッケル化合物以外の遷移金属化合物を用いると、配位子とノルボルネン系化合物、あるいはスチレン系化合物との立体反発が原因となり触媒の活性が低く、本発明のような高分子量でノルボルネンの共重合率が高いノルボルネン樹脂を重合することができない。またこれらの特定ニッケル化合物の中には固体状態で水、アルコール、エーテル分子を結晶分子として1分子以上含むものがあるが、それらを使用する方法も好ましい形態である。
【0031】
助触媒として機能する有機アルミニウム化合物とは炭素−アルミニウム結合を有するアルミニウム化合物を指し、本発明においてはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、メチルアルミノキサン(MAO)、イソブチルアルミノキサン(BAO)の中から選ばれるが、安定性や取り扱い安さ、得られるノルボルネン樹脂の分子量が高いことから、メチルアルミノキサンが好ましい。また、メチルアルミノキサンのメチル基を一部イソブチル基に変換した変性メチルアルミノキサン(MMAO)も好ましく使用される。
【0032】
該特定ニッケル化合物と該有機アルミニウム化合物の比率には特に制限はないが、特定ニッケル化合物1当量に対して1当量ないし10000当量、好ましくは10当量ないし1000当量、更に好ましくは50当量ないし100当量である。該比率が1当量未満の場合は全ての特定ニッケル化合物が活性化されない為、ノルボルネン樹脂の収率が極端に低下することがある。逆に10000当量を超える場合ではノルボルネン系化合物、あるいはスチレン系化合物の有機アルミニウム化合物への連鎖移動反応が顕著化し、ノルボルネン樹脂の分子量の低下や分子量分布の増加につながるため好ましくない。
【0033】
特定ニッケル化合物に対する、ノルボルネン系化合物と芳香族スチレン系化合物の合計の比率に関しては特に制限はないが、特定ニッケル化合物1当量に対して1当量ないし100000当量、好ましくは100当量ないし50000当量である。該比率が1当量未満の場合は実質低分子量のノルボルネン樹脂しか得ることができず、100000当量を超える場合では最早溶液粘度が極端に増加して攪拌が不可能になることと、重合による反応発熱が顕著となり好ましくない。反応発熱を抑制するためには有機溶媒の増加を余儀なくされるといった新たな問題が生じる。
【0034】
上記の範囲で選ばれたノルボルネン系化合物、スチレン系化合物、特定ニッケル化合物、有機アルミニウム化合物を有機溶媒中で接触させることによってランダム共重合が進行するが、その時の温度は−80℃ないし120℃、好ましくは0℃ないし80℃である。−80℃未満の温度範囲でのランダム共重合では、重合速度が極端に低下することと、多くの有機溶媒が凍結してしまうために実用的ではなく、120℃を超える温度範囲では特定ニッケル化合物、および有機アルミニウム化合物が熱分解等により失活する恐れがあるため避けるほうが好ましい。
【0035】
以上のような手法によりノルボルネン樹脂を製造することで従来よりも高耐熱性で高分子量のノルボルネン樹脂を高収率で製造することができる。
【0036】
本発明の製造方法においては、ノルボルネン樹脂におけるノルボルネン系化合物の共重合率は、加工性と靭性を向上させるために5モル%〜90モル%の範囲内が好ましく、更に好ましくは55モル%〜86.6モル%である。ノルボルネン系化合物含有率が5モル%未満である場合はノルボルネン樹脂のTg(ガラス転移温度)を顕著に低下させるには量的に不十分であり、溶融粘度等の熱的性質はポリノルボルネンと実質変わらず、成型加工あるいはフィルムキャストは依然困難となる。逆に90モル%を超える場合では上記熱的性質は芳香族ポリオレフィンそのものと変わらず、ノルボルネン樹脂本来固有の長所を悪化させるため好ましくない。
【0037】
本発明の製造方法によってランダム共重合したノルボルネン樹脂は、使用した有機溶媒に溶解した状態にあるので、メタノール等の貧溶媒と塩酸の混合溶液と接触することによって特定ニッケル化合物と有機アルミニウム化合物を除去しつつ、ノルボルネン樹脂を固化させることが可能である。その後固化させたノルボルネン樹脂は射出成型機等によって任意の形態に成型することが出来、必要であればこの時に難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、無機充填剤、有機充填剤のような添加剤を添加することができる。また固化されたノルボルネン樹脂はシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム等の比較的低沸点の有機溶媒に溶解させ、キャストすることによってフィルムを製造することも可能である。この場合前述した難燃剤等の添加はこの溶液に直接添加する方法が好ましい。また、ランダム共重合で得たノルボルネン樹脂は加工する前に芳香族環を水素添加した構造の水素添加ノルボルネン樹脂とする方法も、耐熱性と光学特性向上の点で好ましい。水素添加反応はオートクレーブのような圧力容器中で、活性炭、シリカ、アルミナなどの多孔質な担体に担持されたパラジウム、白金、ロジウム、ニッケル等の水添触媒とノルボルネン樹脂を水素気流下で接触させる方法が、好ましい形態として例示できる。
【0038】
以上のような本発明の製造方法によって得られるノルボルネン樹脂は特に耐熱性に優れ、光学用途をはじめ各種の用途として用いるのに十分な機械物性を持っているので優れた材料である。さらにスチレン系化合物に由来する芳香族環を水素添加し脂環族基にしたノルボルネン樹脂は分子内に不飽和結合が存在しないため、より厳密な光学特性が優れていることが期待でき好ましいものである。
【0039】
【発明の効果】
以上、本発明の製造方法によってスチレン系化合物をノルボルネン系化合物にランダム共重合することにより、ノルボルネン樹脂の透明性を損ねることなくTgを適度な範囲に低下させ、且つポリマー鎖を柔軟ならしめることが可能になった。また収率も格段に向上できることがわかった。Tgはスチレン系化合物の仕込み比を変えることで任意に制御することが可能であり、成型加工性に支障がない程度の耐熱性を持ち光学特性に優れ、有機溶媒に対する溶解性が高いノルボルネン樹脂が得られるようになった。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(a)ガラス転移温度(Tg)の測定
Tgの測定はセイコーインスツルメンツ製SSC5100−DSC22Cを用いて測定した。試料量は細かく粉砕した粉末状のものの5mgを測り取り、アルミニウム製の専用パンに入れて行った。リファレンスにはアルミニウム製の専用パンにアルミナ粉末9.5mgを入れたものを使用した。測定温度範囲は20℃〜400℃であり、この範囲を昇降温するサイクルを2サイクルスキャンした。この時の昇温速度は20℃毎分、降温速度は50℃毎分とし、Tgは2回目のサイクルで得られたDSC曲線から求めた。
(b)数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、並びに分子量分布Mw/Mnの測定
Mn、Mw、Mw/Mnは東ソー製SC8010型ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定し、ポリスチレン基準試料により求めた校正曲線から算出した。試料は粉末1mgをクロロホルム1mLに溶解させ、12μmのシリンジフィルターを通過した溶液を使用した。測定は全て上記試料を40℃のクロロホルムを1.0mL毎分の流量で展開させて行った。試料の溶出は屈折率計によって検出した。
(c)NMRによる組成解析(共重合率の算出)
NMRによるランダムコポリマーの組成解析は日本電子製JNM−LA 400MHzを使用して50℃で測定した。測定試料は、得られたノルボルネン樹脂の3mgを重水素化クロロホルム0.7mLに溶解させて調整した。ランダムコポリマー中のノルボルネン、およびスチレン含有率の算出はプロトン積算比を用い、下記数式(3)、(4)に従って行った。
【0041】
【数1】
【0042】
[ここでAは1H−NMRにおけるスチレンの芳香環由来のピーク面積を1とした場合の化学シフト0〜3ppmに現れる脂肪族基由来のピークの積算値(ピーク面積)を指す。]
【0043】
[参考例1] ノルボルネンストック溶液の調製
アクロス製ノルボルネン50gをアルゴン気流下で蒸留したクロロベンゼン140mLに溶かし、4モル/Lに調整した。この溶液をアルゴン充填したフラスコに移し、カルシウムハイドライドを加えて24時間予備乾燥を行った。これをアルゴン気流下でろ過し、ノルボルネンストック溶液としてシュレンク管に保存した。
【0044】
[参考例2] スチレンモノマーの調整
関東化学社製スチレンと無水硫酸マグネシウムをアルゴン気流下で二口フラスコに加えて24時間予備乾燥を行った後、40℃、1.87kPa(14mmHg)で減圧蒸留したものをシュレンク管に入れ−24℃にて保存した。
【0045】
[参考例3] ニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)の合成
2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン(アルドリッチ社製)0.01モルと酢酸ニッケル四水和物0.005モルをメタノール30mL中に加えて70℃にて加熱還流する。反応を開始後約1時間経過すると、黄褐色の沈殿が析出し始める。反応をそのまま12時間続けた後、この沈殿をろ過してジエチルエーテルで洗浄すると、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)・(メタノール)2(ニッケル錯体1分子にメタノール2分子を単位とする錯体)が収率78.1%で得られた。元素分析結果はC%:52.70(52.65)、H%:6.18(5.76)であった。括弧内は理論値を示す。得られた錯体のX線結晶構造解析結果を図1に示す。
【0046】
[参考例4] ニッケル(N,N’,N”,N”’−テトラメチル−1,5,8、12−テトラアザシクロテトラデカン)二過塩素酸塩の合成
(N,N’,N”,N”’−テトラメチル−1,5,8、12−テトラアザシクロテトラデカン)(アルドリッチ社製)と等モルの過塩素酸ニッケルをメタノール中で混合し加熱還流する。反応溶液をエバポレーターで留去した後、得られた固体をジエチルエーテルで洗浄するとニッケル(N,N’,N”,N”’−テトラメチル−1,5,8,12−テトラアザシクロテトラデカン)二過塩素酸塩が得られた。
【0047】
[参考例5] ニッケル[N,N,N−トリス(2−ピリジル−2−エチル)アミン]二過塩素酸塩の合成
N,N,N−トリス(2−ピリジル−2−エチル)アミン(アルドリッチ社製)を等モルの過塩素酸ニッケルをメタノール中で混合し加熱還流する。反応溶液をエバポレーターで留去した後、得られた固体をジエチルエーテルで洗浄するとニッケル[N,N,N−トリス(2−ピリジル−2−エチル)アミン]二過塩素酸塩が得られた。
【0048】
[実施例1]
100mLのシュレンク管の内部を入念にアルゴン置換した。次いで参考例3にて得られたニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)の6.0mgとクロロベンゼン5mLをアルゴンガス気流下にてシュレンク管に加え、これを激しく攪拌した。この触媒のけん濁液に変性メチルアルミノキサン(MMAO)(東ソー・ファインケム社製)のトルエン5.8%溶液1.1mLをシリンジで添加して攪拌を続けると、溶液が除々に赤褐色を呈した。MMAO添加後30分経過した時点で触媒の活性種が十分に発生したと判断した。これとは別に4モル/Lのノルボルネンストック溶液1mLとスチレン0.46mL、即ちノルボルネン/スチレンを仕込みモル比50/50で混合しておき、シリンジで触媒の赤褐色溶液に添加し、ランダム共重合を開始した。反応溶液の攪拌を25℃で12時間継続したあと、1Nの塩酸を5vol%含んだ50mLのメタノールに注いで重合を停止させた。得られた白い粉末状のポリマーを遠心分離器で分離し、80℃で12時間乾燥させたところ、収率57.5%でノルボルネン樹脂が得られた。1H−NMRスペクトルによるノルボルネン樹脂の組成解析により、ノルボルネン含有率は86.6モル%、スチレン含有率は14.0モル%であり、ガラス転移温度は263.1℃であった。GPCで求めたMnは15,300、Mwは29,220、Mw/Mnは1.91であった。またこのノルボルネン樹脂は室温のジクロロメタン、クロロホルム、シクロヘキサン、デカリン、クロロベンゼンに完全に溶解した。
【0049】
[実施例2]
ノルボルネンとスチレンの仕込み比を1:3にした以外は実施例1と同様の方法でランダム共重合を行ったところ、収率36.9%でノルボルネン樹脂が得られた。1H−NMRスペクトルによるノルボルネン樹脂の組成解析により、ノルボルネン含有率は73.4モル%、スチレン含有率は26.6モル%であり、ガラス転移温度は215.9℃であった。GPCで求めたMnは10,100、Mwは17,680、Mw/Mnは1.75であった。またこのノルボルネン樹脂は室温のジクロロメタン、クロロホルム、シクロヘキサン、デカリン、クロロベンゼンに完全に溶解した。
【0050】
[実施例3]
ノルボルネンとスチレンの仕込み比を1:7にした以外は実施例1と同様の方法でランダム共重合を行ったところ、収率23.1%でノルボルネン樹脂が得られた。1H−NMRスペクトルによるノルボルネン樹脂の組成解析により、ノルボルネン含有率は57.8モル%、スチレン含有率は42.2モル%であり、ガラス転移温度は151.3℃であった。GPCで求めたMnは9,470、Mwは16,670、Mw/Mnは1.76であった。またこのノルボルネン樹脂は室温のジクロロメタン、クロロホルム、シクロヘキサン、デカリン、クロロベンゼンに完全に溶解した。
【0051】
[比較例1]
触媒として、ニッケル(N,N’,N”,N”’−テトラメチル−1,5,8、12−テトラアザシクロテトラデカン)二過塩素酸塩(参考例4にて合成)10.3mgに変えた以外は実施例1と同様の方法でランダム共重合を行ったところ、収率11.6%でノルボルネンのホモポリマーしか得られなかった。即ちこのノルボルネン樹脂におけるノルボルネン含有率は100モル%、スチレン含有率は0モル%であった。ガラス転移温度Tgの測定を行ったものの明瞭なTgは確認できなかった。
【0052】
[比較例2]
触媒として、ニッケル[N,N,N−トリス(2−ピリジル−2−エチル)アミン]二過塩素酸塩(参考例5にて合成)10.2mgに変えた以外は実施例1と同様の方法でランダム共重合を行ったところ、収率4.4%でノルボルネンのホモポリマーしか得られなかった。即ちこのノルボルネン樹脂におけるノルボルネン含有率は100モル%、スチレン含有率は0モル%であった。ガラス転移温度Tgの測定を行ったものの明瞭なTgは確認できなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例3で得られたニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)に溶媒のメタノールが2分子配位したニッケル化合物のX線結晶構造解析結果である。
Claims (6)
- ノルボルネン系化合物とスチレン系化合物を重合して得られる樹脂において、下記式(1)
で表されるノルボルネン系化合物および下記式(2)
で表されるスチレン系化合物を、
▲1▼窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートニッケル化合物
並びに
▲2▼有機アルミニウム化合物
の共存下でランダム共重合させることを特徴とするノルボルネン樹脂の製造方法。 - 該窒素原子、硫黄原子、燐原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子、酸素原子、およびニッケルイオンを含む5員環のキレートニッケル化合物がトロポロネート系ニッケル化合物である請求項1記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
- 該ノルボルネン樹脂におけるノルボルネン系化合物の構造単位のR1〜R6がすべて水素原子である請求項1または2に記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
- 該ノルボルネン樹脂におけるスチレン系化合物の構造単位のR7〜R10がすべて水素原子である請求項1〜3のいずれか1項に記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
- 該トロポロネート系ニッケル化合物がニッケルビス(2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロへプタトリエノン)である請求項2〜4のいずれか1項に記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
- 該ノルボルネン樹脂におけるノルボルネン系化合物の共重合率が55モル%〜86.6モル%である請求項1〜5のいずれか1項に記載のノルボルネン樹脂の製造方法。
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-
2003
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