JP2004269554A - 紫外線硬化型樹脂接着剤 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に電荷結合検出器(以下CCDと記す)を外部環境から保護するために好適に用いられる、優れたシール性を発現する紫外線硬化型樹脂接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
昨今、デジタルカメラの普及及びこの鮮明度である画素数の増加に伴い、上記CCDの小型化及び薄型化が求められている。
【0003】
基材が薄型になると、シール材の硬化収縮のストレス及び熱履歴に伴うストレスが基材に悪影響を及ぼし、シール材と基材との界面の接着性が劣化することになる。
【0004】
一方、このCCDは、ビジュアルに関する素子であるため、その視覚部であるガラスの曇り等は、厳禁であり、ガラス、セラミック、プラスチックで構成された中空パッケージ内は、水分及び酸素等は厳禁である。しかしながら、市販のシール材では、必ずしも良好な性能を実現できていない。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−265560号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、CCDのシール用として有用なシール性に優れた紫外線硬化型樹脂接着剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(a)下記一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂を有機成分合計量の10重量%以上、(b)無機質充填剤、(c)光カチオン重合開始剤を含有し、更に好ましくは(b)成分を組成物全体の10重量%以上50重量%以下配合した紫外線硬化型樹脂接着剤とすることにより、この樹脂接着剤は、非常にシール性が良好であり、接着性に優れていることを見出した。
【化2】
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、Pは炭素数1〜10のアルキレン基であり、a,bは1〜4の整数、nは0〜10の整数である。)
【0008】
なお、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂に光カチオン重合触媒を使用し、硬化させることが可能な組成物が、既に特許文献1(特開2002−265560号公報)に記載されている。しかし、該組成物をCCD等のシール材に使用した場合、膨張係数が大きく、温度サイクル等でシール部にクラックが入ったり、場合によっては、ガラスが破壊するといった問題が生ずる。また、上記特許文献1には、接着性についても記述されているが、高信頼性のCCD等の用途に使用される場合の接着性(特に湿熱環境下及び冷熱試験)や、シール性を鑑みると、無機質充填剤を含有しなければならず、これらを検討することにより、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
従って、本発明は、
(a)下記一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂 有機成分合計量の10重量%以上、
(b)無機質充填剤、
(c)光カチオン重合開始剤
を含有することを特徴とする紫外線硬化型樹脂接着剤を提供する。
【化3】
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、Pは炭素数1〜10のアルキレン基であり、a,bは1〜4の整数、nは0〜10の整数である。)
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤は、(a)一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂を有機成分合計量の10重量%以上、(b)無機質充填剤、(c)光カチオン重合開始剤を含有するものであって、好ましくは(b)成分を組成物全体の10重量%以上50重量%以下配合するものである。
【0011】
本発明に用いられる(a)液状エポキシ樹脂は、下記一般式(1)で表されるものである。
【化4】
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、Pは炭素数1〜10のアルキレン基であり、a,bは1〜4の整数、nは0〜10の整数である。)
【0012】
上記式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。また、Pは炭素数1〜10、特に1〜3のアルキレン基であり、具体的には、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ペンテン基、ヘキセン基等が挙げられる。また、a,bはそれぞれ1〜4の整数であり、特に1〜2が好ましい。nは0〜10、好ましくは0〜2の整数である。
【0013】
上記一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂として、具体的には、下記のものが例示される。
【化5】
【0014】
本発明に用いられる(a)一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂は、紫外線硬化型樹脂接着剤中に有機成分合計量の10重量%以上含有するものであるが、好ましくは50〜97重量%含有するものである。10重量%未満であると、高粘度化するとともに、パッケージとガラスとのシール部に剥離が生ずる。
【0015】
本発明においては、上記一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂を用いるが、これにより組成物を低粘度化し、作業性を向上させることができ、かつ基材に対する接着性を向上させることが可能となる。
【0016】
また、本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤に配合する上記一般式(1)以外の液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基があればいかなるものでも使用可能であるが、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが例示される。これらの中でも室温で液状のエポキシ樹脂が望ましい。また、下記構造のエポキシ樹脂も使用することができる。
【0017】
【化6】
【0018】
また、用いられるエポキシ樹脂の全塩素含有量は、5000ppm未満、好ましくは1000ppm以下であることが望ましい。更に、100℃で50%エポキシ樹脂濃度における20時間での抽出水塩素が10ppm以下であることが好ましい。全塩素含有量が5000ppmを超え、また抽出水塩素が10ppmを超える量ではシール材の信頼性、特に耐湿性に悪影響を与えるおそれがある。
【0019】
本発明の接着剤には、膨張係数を小さくする目的から、従来より知られている各種の無機質充填剤(b)を添加する。無機質充填剤としては、シリカ、タルク、アルミナ、雲母、炭酸カルシウムなどが使用されるが、光透過性を考慮すると、タルクが好ましい。また、粒子径は、平均粒子径が1μm以上50μm以下、好ましくは5μm以上20μm以下、かつ最大粒子径が100μm以下、好ましくは50μm以下であることが望ましい。平均粒子径が1μm未満であると、粘度が上昇し、作業性に支障を来すおそれがあるし、また50μmを超えると、シールの厚みにアンバランスが生じ、シール性に支障を来すおそれがある。更に、硬化物の強度を強靭にする意味で、シランカップリング剤等で表面処理することが好ましい。
【0020】
無機質充填剤の含有量は、組成物全体の10重量%以上50重量%以下含まれることが好ましく、特に20重量%以上30重量%以下の範囲が好ましい。10重量%未満では、膨張係数が大きく、冷熱テストにおいてクラックの発生を誘発させるおそれがあり、50重量%を超えると粘度が高くなり、作業性の低下をもたらす場合がある。
【0021】
更に、本発明においては、光カチオン重合開始剤(c)を必要とするが、これは光により樹脂の重合を開始する化合物であり、このような機能を有する化合物であれば特に限定はなく、いずれでも使用することができる。光カチオン重合開始剤の好ましい例としては、下記式(2)で表される構造を有するオニウム塩を挙げることができる。このオニウム塩は、光反応し、ルイス酸を放出する化合物である。
【0022】
{R1 aR2 bR3 cR4 dY}m+{MXn+m}m− (2)
【0023】
式(2)において、カチオンはオニウムイオンであり、Yは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl又はN2であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なる有機基であり、a,b,c及びdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はYの価数に等しい。
ここで、R1〜R4の有機基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等のアリール基、C1〜C18のアルキル基によりモノ及びポリ置換されたアリール基、フェノキシフェニル基、チオフェニルフェニル基等が例示される。
【0024】
Mは、ハロゲン化物錯体{MXn+m}の中心原子を構成する金属又はメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xは、例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。
【0025】
式(2)において、オニウムイオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4−メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルフォニウム、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス{4−(ジフェニルスルフォニオ)−フェニル}スルフィド、ビス{4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルフォニオ)−フェニル}スルフィド、η5−2,4−(シクロペンタジフェニル){1,2,3,4,5,6−η−(メチルエチル)ベンゼン}−鉄(1+)等が挙げられる。
【0026】
式(2)において、陰イオンの具体例としては、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサクロロアンチモネート等が挙げられる。これらの光カチオン重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
なお、これら光カチオン重合開始剤は、有機成分合計量の0.1〜10重量%、特に1〜3重量%の範囲で添加することが好適である。添加量が0.1重量%に満たないと硬化性が低下する場合があり、10重量%を超えると硬化性に優れるが、保存性が低下する場合がある。
【0028】
本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤には、更に必要に応じ、接着向上用炭素官能性シラン、酸化防止剤、その他の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲において配合することができる。
【0029】
本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤は、例えば、エポキシ樹脂、無機質充填剤及び光カチオン重合開始剤を、同時に又は別々に、必要により加熱処理を加えながら攪拌、溶解、混合、分散させることにより得ることができる。これらの混合、攪拌、分散等の装置は特に限定されないが、攪拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサー等を用いることができる。これら装置を適宜組み合わせてもよい。
【0030】
なお、本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤は、25℃における粘度が1〜100Pa・s、特に10〜100Pa・sであることが好ましい。
【0031】
本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤は、紫外線を照射することにより硬化し、シール材等として好適に使用されるものであり、上記樹脂接着剤の成形硬化方法、硬化条件などは、公知の方法、条件を採用することができるが、硬化条件としてより具体的には、高圧水銀ランプによるUV照射(500〜15000mJ/cm2)とすることが好ましい。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0033】
[実施例1〜3]
液状エポキシ樹脂として下記式(3)で表されるエポキシ樹脂(YX8000:油化シェル社製)及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(RE310:日本化薬社製)、無機質充填剤としてタルク(LMP−100:富士タルク社製)を表1に基づく配合で、更にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越化学工業社製)を有機成分合計量の1重量%、光カチオン重合開始剤(SP−170:旭電化工業社製)を有機成分合計量の2重量%添加し、均一に混練することによりエポキシ樹脂接着剤を得た。
【0034】
【化7】
【0035】
得られたエポキシ樹脂接着剤の25℃における粘度を測定し、更に下記に示す方法により、この硬化物の接着強度の測定及びシール性の観察を行った。
【0036】
接着強度は、図1に示すように、二枚のガラス板1を組成物2を介して配置し、UV照射を2500mJ/cm2の条件で行って接着剤を硬化させ、プレッシャークッカーテスト72Hr後(121℃/2atm)、プッシュプル法(図1に示す矢印方向に1mm/sec)にて測定した。
【0037】
また、シール性は、得られたエポキシ樹脂接着剤を、ディスペンサーを用いてセラミックパッケージ周辺部に塗布し、ガラスを貼り合わせた後、上記と同様のUV照射条件にて、シールを行った。得られたデバイスは、図2で示されるものであり、図2中の1はガラス板、2はエポキシ樹脂接着剤、3はパッケージである。このデバイスを用いて−40℃〜100℃の耐熱衝撃試験を行い、10サイクル毎の剥離状況を100サイクルまで観察し、剥離したサイクルを確認した。これらの結果を表1に併記する。
【0038】
[比較例1、2]
組成比が表1のように異なる他は、実施例と同じようにエポキシ樹脂接着剤を調製し、このエポキシ樹脂接着剤の25℃における粘度の測定、更にこの硬化物の接着強度の測定及びシール性の観察をした。これらの結果を表1に併記する。
【0039】
【表1】
*1:有機成分合計量に対する割合。
*2:組成物合計量に対する割合。
【0040】
【発明の効果】
本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤は、非常にシール性が良好であり、これを用いたシール材は、気密シール性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における接着強度測定の説明図である。
【図2】本発明の実施例におけるシール性評価に用いたデバイスの概略斜視図である。
【符号の説明】
1 ガラス板
2 シール材(紫外線硬化型樹脂接着剤)
3 パッケージ
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に電荷結合検出器(以下CCDと記す)を外部環境から保護するために好適に用いられる、優れたシール性を発現する紫外線硬化型樹脂接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
昨今、デジタルカメラの普及及びこの鮮明度である画素数の増加に伴い、上記CCDの小型化及び薄型化が求められている。
【0003】
基材が薄型になると、シール材の硬化収縮のストレス及び熱履歴に伴うストレスが基材に悪影響を及ぼし、シール材と基材との界面の接着性が劣化することになる。
【0004】
一方、このCCDは、ビジュアルに関する素子であるため、その視覚部であるガラスの曇り等は、厳禁であり、ガラス、セラミック、プラスチックで構成された中空パッケージ内は、水分及び酸素等は厳禁である。しかしながら、市販のシール材では、必ずしも良好な性能を実現できていない。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−265560号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、CCDのシール用として有用なシール性に優れた紫外線硬化型樹脂接着剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(a)下記一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂を有機成分合計量の10重量%以上、(b)無機質充填剤、(c)光カチオン重合開始剤を含有し、更に好ましくは(b)成分を組成物全体の10重量%以上50重量%以下配合した紫外線硬化型樹脂接着剤とすることにより、この樹脂接着剤は、非常にシール性が良好であり、接着性に優れていることを見出した。
【化2】
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、Pは炭素数1〜10のアルキレン基であり、a,bは1〜4の整数、nは0〜10の整数である。)
【0008】
なお、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂に光カチオン重合触媒を使用し、硬化させることが可能な組成物が、既に特許文献1(特開2002−265560号公報)に記載されている。しかし、該組成物をCCD等のシール材に使用した場合、膨張係数が大きく、温度サイクル等でシール部にクラックが入ったり、場合によっては、ガラスが破壊するといった問題が生ずる。また、上記特許文献1には、接着性についても記述されているが、高信頼性のCCD等の用途に使用される場合の接着性(特に湿熱環境下及び冷熱試験)や、シール性を鑑みると、無機質充填剤を含有しなければならず、これらを検討することにより、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
従って、本発明は、
(a)下記一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂 有機成分合計量の10重量%以上、
(b)無機質充填剤、
(c)光カチオン重合開始剤
を含有することを特徴とする紫外線硬化型樹脂接着剤を提供する。
【化3】
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、Pは炭素数1〜10のアルキレン基であり、a,bは1〜4の整数、nは0〜10の整数である。)
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤は、(a)一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂を有機成分合計量の10重量%以上、(b)無機質充填剤、(c)光カチオン重合開始剤を含有するものであって、好ましくは(b)成分を組成物全体の10重量%以上50重量%以下配合するものである。
【0011】
本発明に用いられる(a)液状エポキシ樹脂は、下記一般式(1)で表されるものである。
【化4】
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、Pは炭素数1〜10のアルキレン基であり、a,bは1〜4の整数、nは0〜10の整数である。)
【0012】
上記式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。また、Pは炭素数1〜10、特に1〜3のアルキレン基であり、具体的には、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ペンテン基、ヘキセン基等が挙げられる。また、a,bはそれぞれ1〜4の整数であり、特に1〜2が好ましい。nは0〜10、好ましくは0〜2の整数である。
【0013】
上記一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂として、具体的には、下記のものが例示される。
【化5】
【0014】
本発明に用いられる(a)一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂は、紫外線硬化型樹脂接着剤中に有機成分合計量の10重量%以上含有するものであるが、好ましくは50〜97重量%含有するものである。10重量%未満であると、高粘度化するとともに、パッケージとガラスとのシール部に剥離が生ずる。
【0015】
本発明においては、上記一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂を用いるが、これにより組成物を低粘度化し、作業性を向上させることができ、かつ基材に対する接着性を向上させることが可能となる。
【0016】
また、本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤に配合する上記一般式(1)以外の液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基があればいかなるものでも使用可能であるが、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが例示される。これらの中でも室温で液状のエポキシ樹脂が望ましい。また、下記構造のエポキシ樹脂も使用することができる。
【0017】
【化6】
【0018】
また、用いられるエポキシ樹脂の全塩素含有量は、5000ppm未満、好ましくは1000ppm以下であることが望ましい。更に、100℃で50%エポキシ樹脂濃度における20時間での抽出水塩素が10ppm以下であることが好ましい。全塩素含有量が5000ppmを超え、また抽出水塩素が10ppmを超える量ではシール材の信頼性、特に耐湿性に悪影響を与えるおそれがある。
【0019】
本発明の接着剤には、膨張係数を小さくする目的から、従来より知られている各種の無機質充填剤(b)を添加する。無機質充填剤としては、シリカ、タルク、アルミナ、雲母、炭酸カルシウムなどが使用されるが、光透過性を考慮すると、タルクが好ましい。また、粒子径は、平均粒子径が1μm以上50μm以下、好ましくは5μm以上20μm以下、かつ最大粒子径が100μm以下、好ましくは50μm以下であることが望ましい。平均粒子径が1μm未満であると、粘度が上昇し、作業性に支障を来すおそれがあるし、また50μmを超えると、シールの厚みにアンバランスが生じ、シール性に支障を来すおそれがある。更に、硬化物の強度を強靭にする意味で、シランカップリング剤等で表面処理することが好ましい。
【0020】
無機質充填剤の含有量は、組成物全体の10重量%以上50重量%以下含まれることが好ましく、特に20重量%以上30重量%以下の範囲が好ましい。10重量%未満では、膨張係数が大きく、冷熱テストにおいてクラックの発生を誘発させるおそれがあり、50重量%を超えると粘度が高くなり、作業性の低下をもたらす場合がある。
【0021】
更に、本発明においては、光カチオン重合開始剤(c)を必要とするが、これは光により樹脂の重合を開始する化合物であり、このような機能を有する化合物であれば特に限定はなく、いずれでも使用することができる。光カチオン重合開始剤の好ましい例としては、下記式(2)で表される構造を有するオニウム塩を挙げることができる。このオニウム塩は、光反応し、ルイス酸を放出する化合物である。
【0022】
{R1 aR2 bR3 cR4 dY}m+{MXn+m}m− (2)
【0023】
式(2)において、カチオンはオニウムイオンであり、Yは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl又はN2であり、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なる有機基であり、a,b,c及びdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はYの価数に等しい。
ここで、R1〜R4の有機基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等のアリール基、C1〜C18のアルキル基によりモノ及びポリ置換されたアリール基、フェノキシフェニル基、チオフェニルフェニル基等が例示される。
【0024】
Mは、ハロゲン化物錯体{MXn+m}の中心原子を構成する金属又はメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xは、例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。
【0025】
式(2)において、オニウムイオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4−メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルフォニウム、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス{4−(ジフェニルスルフォニオ)−フェニル}スルフィド、ビス{4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルフォニオ)−フェニル}スルフィド、η5−2,4−(シクロペンタジフェニル){1,2,3,4,5,6−η−(メチルエチル)ベンゼン}−鉄(1+)等が挙げられる。
【0026】
式(2)において、陰イオンの具体例としては、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサクロロアンチモネート等が挙げられる。これらの光カチオン重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
なお、これら光カチオン重合開始剤は、有機成分合計量の0.1〜10重量%、特に1〜3重量%の範囲で添加することが好適である。添加量が0.1重量%に満たないと硬化性が低下する場合があり、10重量%を超えると硬化性に優れるが、保存性が低下する場合がある。
【0028】
本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤には、更に必要に応じ、接着向上用炭素官能性シラン、酸化防止剤、その他の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲において配合することができる。
【0029】
本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤は、例えば、エポキシ樹脂、無機質充填剤及び光カチオン重合開始剤を、同時に又は別々に、必要により加熱処理を加えながら攪拌、溶解、混合、分散させることにより得ることができる。これらの混合、攪拌、分散等の装置は特に限定されないが、攪拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサー等を用いることができる。これら装置を適宜組み合わせてもよい。
【0030】
なお、本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤は、25℃における粘度が1〜100Pa・s、特に10〜100Pa・sであることが好ましい。
【0031】
本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤は、紫外線を照射することにより硬化し、シール材等として好適に使用されるものであり、上記樹脂接着剤の成形硬化方法、硬化条件などは、公知の方法、条件を採用することができるが、硬化条件としてより具体的には、高圧水銀ランプによるUV照射(500〜15000mJ/cm2)とすることが好ましい。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0033】
[実施例1〜3]
液状エポキシ樹脂として下記式(3)で表されるエポキシ樹脂(YX8000:油化シェル社製)及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(RE310:日本化薬社製)、無機質充填剤としてタルク(LMP−100:富士タルク社製)を表1に基づく配合で、更にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越化学工業社製)を有機成分合計量の1重量%、光カチオン重合開始剤(SP−170:旭電化工業社製)を有機成分合計量の2重量%添加し、均一に混練することによりエポキシ樹脂接着剤を得た。
【0034】
【化7】
【0035】
得られたエポキシ樹脂接着剤の25℃における粘度を測定し、更に下記に示す方法により、この硬化物の接着強度の測定及びシール性の観察を行った。
【0036】
接着強度は、図1に示すように、二枚のガラス板1を組成物2を介して配置し、UV照射を2500mJ/cm2の条件で行って接着剤を硬化させ、プレッシャークッカーテスト72Hr後(121℃/2atm)、プッシュプル法(図1に示す矢印方向に1mm/sec)にて測定した。
【0037】
また、シール性は、得られたエポキシ樹脂接着剤を、ディスペンサーを用いてセラミックパッケージ周辺部に塗布し、ガラスを貼り合わせた後、上記と同様のUV照射条件にて、シールを行った。得られたデバイスは、図2で示されるものであり、図2中の1はガラス板、2はエポキシ樹脂接着剤、3はパッケージである。このデバイスを用いて−40℃〜100℃の耐熱衝撃試験を行い、10サイクル毎の剥離状況を100サイクルまで観察し、剥離したサイクルを確認した。これらの結果を表1に併記する。
【0038】
[比較例1、2]
組成比が表1のように異なる他は、実施例と同じようにエポキシ樹脂接着剤を調製し、このエポキシ樹脂接着剤の25℃における粘度の測定、更にこの硬化物の接着強度の測定及びシール性の観察をした。これらの結果を表1に併記する。
【0039】
【表1】
*1:有機成分合計量に対する割合。
*2:組成物合計量に対する割合。
【0040】
【発明の効果】
本発明の紫外線硬化型樹脂接着剤は、非常にシール性が良好であり、これを用いたシール材は、気密シール性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における接着強度測定の説明図である。
【図2】本発明の実施例におけるシール性評価に用いたデバイスの概略斜視図である。
【符号の説明】
1 ガラス板
2 シール材(紫外線硬化型樹脂接着剤)
3 パッケージ
Claims (3)
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---|---|---|---|
JP2003058046A JP2004269554A (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 紫外線硬化型樹脂接着剤 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010032766A (ja) * | 2008-07-29 | 2010-02-12 | Dic Corp | 偏光子と保護フィルムとの接着用カチオン重合性接着剤及びそれを用いて得られた偏光板 |
JP2010229392A (ja) * | 2009-03-05 | 2010-10-14 | Dic Corp | カチオン重合性接着剤及びそれを用いて得られた偏光板 |
-
2003
- 2003-03-05 JP JP2003058046A patent/JP2004269554A/ja active Pending
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