JP2004083642A - 紫外線硬化型低弾性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
(b)フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリブタジエン/アクリロニトリルブロック共重合体 有機成分合計量の0.5重量%以上5重量%以下、
(c)無機質充填剤、
(d)光カチオン重合開始剤
を含有することを特徴とする紫外線硬化型低弾性樹脂組成物。
【効果】本発明の紫外線硬化型低弾性樹脂組成物は、非常にシール性が良好であり、これを用いたシール材は、熱履歴に曝された後でも気密シール性に優れている。
【選択図】 な し
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に電荷結合検出器(以下CCDと記す)を外部環境から保護するために好適に用いられる、優れたシール性を発現する紫外線硬化型低弾性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
昨今、デジタルカメラの普及及びこの鮮明度である画素数の増加に伴い、上記CCDの小型化及び薄型化が求められている。
【0003】
基材が薄型になると、シール材の硬化収縮のストレス及び熱履歴に伴うストレスが基材に悪影響を及ぼし、シール材と基材との界面の接着性が劣化することになる。
【0004】
一方、このCCDは、ビジュアルに関する素子であるため、その視覚部であるガラスの曇り等は、厳禁であり、ガラス、セラミック、プラスチックで構成された中空パッケージ内は、水分及び酸素等は厳禁である。しかしながら、既存のシール材では、必ずしも良好な性能を実現できていない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、シール性に優れた紫外線硬化型低弾性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(a)液状エポキシ樹脂、(b)フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリブタジエン/アクリロニトリルブロック共重合体、(c)無機質充填剤、(d)光カチオン重合開始剤を含有する紫外線硬化型樹脂組成物において、上記(a)成分を有機成分合計量の90重量%以上99.5重量%以下、(b)成分を有機成分合計量の0.5重量%以上5重量%以下、更に好ましくは上記(c)成分を組成物全体の10重量%以上40重量%以下配合することにより、この樹脂組成物は、非常にシール性が良好であり、これを用いたシール材は、低弾性で、熱履歴に曝されても気密シール性に優れていることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は、
(a)液状エポキシ樹脂 有機成分合計量の90重量%以上99.5重量%以下、
(b)フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリブタジエン/アクリロニトリルブロック共重合体 有機成分合計量の0.5重量%以上5重量%以下、
(c)無機質充填剤、
(d)光カチオン重合開始剤
を含有することを特徴とする紫外線硬化型低弾性樹脂組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の樹脂組成物は、(a)液状エポキシ樹脂を有機成分合計量の90重量%以上99.5重量%以下、(b)フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリブタジエン/アクリロニトリルブロック共重合体を有機成分合計量の0.5重量%以上5重量%以下、(c)無機質充填剤を好ましくは組成物全体の10重量%以上40重量%以下及び(d)光カチオン重合開始剤を含有するものである。
【0009】
本発明に用いられる(a)液状エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基があればいかなるものでも使用可能であるが、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが例示される。この中でも室温で液状のエポキシ樹脂が望ましい。また、下記構造のエポキシ樹脂も使用することができる。
【0010】
【化1】
【0011】
液状エポキシ樹脂の含有量は、有機成分合計量の90重量%以上99.5重量%以下、好ましくは93重量%以上97重量%以下である。90重量%未満であると、液状状態を維持できず、99.5重量%を超えると、シール性が劣化する。
【0012】
また、用いられるエポキシ樹脂の全塩素含有量は、1500ppm以下、好ましくは1000ppm以下であることが望ましい。更に、100℃で50%エポキシ樹脂濃度における20時間での抽出水塩素が10ppm以下であることが好ましい。全塩素含有量が1500ppmを超え、また抽出水塩素が10ppmを超える量ではシール材の信頼性、特に耐湿性に悪影響を与えるおそれがある。
【0013】
本発明においては、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリブタジエン/アクリロニトリルブロック共重合体(b)を用いるが、これはエラストマーの一種であり、組成物の硬化物を柔軟にし、低弾性化することができ、かつ基材に対する接着性を向上させることが可能となる。
【0014】
フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリブタジエン/アクリロニトリルブロック共重合体としては、例えば、特開2001−49082号公報記載のものを使用することができ、特に下記式
【化2】
(式中、x、y、z、u、v及びwは、それぞれ平均重合度であって、x=3〜7、y=1〜4の整数、z=5〜15の整数、w=1以上の整数、u+v=2〜200の整数を示し、v/(v+u)≧0.04である。)
で示されるものを例示することができる。なお、本発明においては、上記エラストマー以外のエラストマーを併用することもできる。
【0015】
フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリブタジエン/アクリロニトリルブロック共重合体の含有量は、有機成分合計量の0.5重量%以上5重量%以下、好ましくは1重量%以上3重量%以下である。ここで、0.5重量%未満であると、低弾性及び接着性が発現されない。また、5重量%を超えると、液状を維持することができない。
【0016】
本発明の組成物には、膨張係数を小さくする目的から、従来より知られている各種の無機質充填剤(c)を添加する。無機質充填剤としては、シリカ、タルク、アルミナ、雲母、炭酸カルシウムなどが使用される。粒子径は、平均粒子径で0.1μm以上5μm以下、好ましくは1μm以上3μm以下、かつ最大粒子径が10μm以下、好ましくは8μm以下であることが望ましい。
【0017】
無機質充填剤の含有量は、組成物全体の10重量%以上40重量%以下含まれることが好ましく、特に20重量%以上30重量%以下の範囲が好ましい。10重量%未満では、膨張係数が大きく冷熱テストにおいてクラックの発生を誘発させるおそれがあり、40重量%を超えると粘度が高くなり、作業性の低下をもたらす場合がある。
【0018】
更に、本発明においては、光カチオン重合開始剤(d)を必要とするが、これは光により樹脂の重合を開始する化合物であり、このような機能を有する化合物であれば特に限定はなく、いずれでも使用することができる。光カチオン重合開始剤の好ましい例としては、下記式(1)で表される構造を有するオニウム塩を挙げることができる。このオニウム塩は、光反応し、ルイス酸を放出する化合物である。
【0019】
{R1 aR2 bR3 cR4 dY}m+{MXn+m}m− (1)
【0020】
式(1)において、カチオンはオニウムイオンであり、Yは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl又はN2であり、R1、R2、R3、及びR4は同一又は異なる有機基であり、a,b,c及びdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はYの価数に等しい。
ここで、R1〜R4の有機基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等のアリール基、C1〜C18のアルキル基によりモノ及びポリ置換されたアリール基、フェノキシフェニル基、チオフェニルフェニル基等が例示される。
【0021】
Mは、ハロゲン化錯体{MXn+m}の中心原子を構成する金属又はメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xは、例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。
【0022】
式(1)において、オニウムイオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4−メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルフォニウム、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス{4−(ジフェニルスルフォニオ)−フェニル}スルフィド、ビス{4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルフォニオ)−フェニル}スルフィド、η5−2,4−(シクロペンタジフェニル){1,2,3,4,5,6−η−(メチルエチル)ベンゼン}−鉄(1+)等が挙げられる。
【0023】
式(1)において陰イオンの具体例としては、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサクロロアンチモネート等が挙げられる。これらの光カチオン重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
なお、これら光カチオン重合開始剤は、有機成分合計量の0.1〜10重量%、特に1〜3重量%の範囲で添加することが好適である。添加量が0.1重量%に満たないと硬化性が低下する場合があり、10重量%を超えると硬化性に優れるが、保存性が低下する傾向となる場合がある。
【0025】
本発明の樹脂組成物には、更に必要に応じ、接着向上用炭素官能性シラン、酸化防止剤、その他の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲において配合することができる。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、例えば、エポキシ樹脂、無機質充填剤、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリブタジエン/アクリロニトリルブロック共重合体及び光カチオン重合開始剤を、同時に又は別々に、必要により加熱処理を加えながら攪拌、溶解、混合、分散させることにより得ることができる。これらの混合、攪拌、分散等の装置は特に限定されないが、攪拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサー等を用いることができる。これら装置を適宜組み合わせてもよい。
【0027】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、紫外線を照射することにより硬化し、シール材等として好適に使用されるものであり、上記樹脂組成物の成形硬化方法、硬化条件などは、公知の方法、条件を採用することができるが、硬化条件としてより具体的には、高圧水銀ランプによるUV照射(5000〜15000mJ/cm2)とすることが好ましい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0029】
[実施例1〜4]
液状エポキシ樹脂としてナフタレン型エポキシ樹脂(HP4032D:大日本インキ化学工業社製)及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(RE310:日本化薬社製)、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリブタジエン/アクリロニトリルブロック共重合体(NK−エラストマー:日本化薬社製)、無機質充填剤としてタルク(LMS−300:富士タルク社製)を表1に基づく配合で、更にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越化学工業社製)を有機成分合計量の1重量%、光カチオン重合開始剤(SP−170:旭電化工業社製)を有機成分合計量の2重量%添加し、均一に混練することによりエポキシ樹脂組成物を得た。
【0030】
得られたエポキシ樹脂組成物は、0.1mmの厚さにスキージし、これを12000mJ/cm2により、UV照射することにより、各種硬化物を得た。得られた硬化物は、透湿度測定器にて40℃/90%RHの条件で透湿度を測定し、粘弾性率は、粘弾性測定機にて測定した。また、接着強度は図1に示すように、二枚のガラス板1を組成物2を介して配置し、UV照射を2500mJ/cm2の条件で行って組成物を硬化させ、プレッシャークッカーテスト72Hr後、プッシュプル法(図1に示す矢印方向に1mm/sec)にて測定した。結果を表1に併記する。
【0031】
[比較例1〜3]
組成比が表1のように異なる他は、実施例と同じようにエポキシ樹脂組成物を調製し、この硬化物の透湿度、粘弾性率、接着強度を測定した。結果を表1に併記する。
【0032】
【表1】
*1:有機成分合計量に対する割合。
*2:組成物合計量に対する割合。
*3:硬化せず。
*4:液状にならず。
【0033】
【発明の効果】
本発明の紫外線硬化型低弾性樹脂組成物は、非常にシール性が良好であり、これを用いたシール材は、熱履歴に曝された後でも気密シール性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における接着強度測定の説明図である。
【符号の説明】
1 ガラス板
2 シール材(紫外線硬化型樹脂組成物)
Claims (2)
- (a)液状エポキシ樹脂 有機成分合計量の90重量%以上99.5重量%以下、
(b)フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド−ポリブタジエン/アクリロニトリルブロック共重合体 有機成分合計量の0.5重量%以上5重量%以下、
(c)無機質充填剤、
(d)光カチオン重合開始剤
を含有することを特徴とする紫外線硬化型低弾性樹脂組成物。 - 上記(c)無機質充填剤の含有量が、組成物全体の10重量%以上40重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の紫外線硬化型低弾性樹脂組成物。
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JP2002243276A JP2004083642A (ja) | 2002-08-23 | 2002-08-23 | 紫外線硬化型低弾性樹脂組成物 |
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Publications (1)
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ID=32052076
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007204598A (ja) * | 2006-02-01 | 2007-08-16 | Nippon Kayaku Co Ltd | 樹脂組成物およびその硬化物 |
EP1939150A1 (en) * | 2006-12-27 | 2008-07-02 | Varioptic | Sol-gel sealants for liquid-based optical devices |
JP2012153891A (ja) * | 2012-02-28 | 2012-08-16 | Kyoritsu Kagaku Sangyo Kk | 密封中空構造体製造用の光硬化性接着樹脂組成物及びそれを用いる密封中空構造体の製造方法 |
-
2002
- 2002-08-23 JP JP2002243276A patent/JP2004083642A/ja active Pending
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