JP2004269456A - 新規発酵生産物 - Google Patents

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Abstract

【課題】血管新生の関与する癌、特に固形癌や、糖尿病血管合併症などの疾患の治療薬として有用な血管新生阻害剤を提供する。
【解決手段】ストレプトミセス属に属する放線菌の培養液から単離した下記一般式Iで示される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
Figure 2004269456

〔式中、Rは水素原子又はメチル基を、RはCO、CHO又はCHORを、R及びRは水素原子、アルキル基又はアルケニル基を示す。〕
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、殊に血管新生の関与する癌や炎症性疾患等の治療薬として有用な、血管新生作用を有する新規発酵生産物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、臨床的に使用されている抗癌剤は、その殺細胞効果により一時的な癌の退縮、消失がみられても、一方では正常細胞にも作用して重篤な副作用を引き起こすためその使用には大きな制約がある。胃癌、大腸癌、膵臓癌など、抗癌剤がほとんど無効な自然耐性癌も多く、さらには、一旦効いた抗癌剤が効かなくなる獲得耐性癌細胞の出現という深刻な問題がある。近年、固形癌において、癌組織が直径1〜2mmを越えて増殖するためには、癌細胞に栄養や酸素を供給するためのいわゆる腫瘍血管新生が必要であることが報告されており(J. Natl. Cancer Inst., 82, 4 (1990))(非特許文献1)、この血管新生を阻害することにより癌の増殖を押さえるという「腫瘍血管新生阻害療法」という概念が確立しつつある[Eur. J. Cancer, 32A, 2534−2539 (1996)](非特許文献2)。また、糖尿病血管合併症や関節リウマチなどの幾つかの疾病でも、その症状や病因と密接に関連した病的血管新生を伴うことが知られている。
血管内皮細胞は血管の最も内側の層を形成している細胞である。血管新生は血管内皮細胞が成長因子や生理活性物質または物理的損傷などの刺激を受けて、増殖することによって行われる。直接または間接的に血管内皮細胞の増殖を刺激する成長因子はいくつか知られているが、血管内皮細胞に極めて特異的に作用する点で他の成長因子と区別される因子として、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が知られている。即ち、VEGFのレセプターは、血管内皮細胞以外ではごく限られた細胞でしか発現しておらず、血管内皮選択的であることが報告されている(J. Clin. Invest., 89, 244−253 (1992))(非特許文献3)。よって、このVEGFに誘導される血管内皮細胞の増殖を阻害する薬剤は、血管新生阻害剤として有用であることが期待されている。
一方で、血管内皮細胞の癌組織へのリクルート機構は、白血球などが炎症部位にリクルートされる機構に似ている点が多く、血管内皮細胞の走化性を阻害する薬剤は、血管新生阻害剤としてだけではなく、抗炎症剤としての可能性も期待されている[Immunity, 12, 121−127 (2000)](非特許文献4)。
既に多数の化合物が抗腫瘍剤として実用化されているが、血管新生阻害剤は従来の抗癌剤にない利点をもっているため、その臨床の場での1日も早い使用が待ち望まれている。
【0003】
【先行文献】
【非特許文献1】J. Natl. Cancer Inst., 82, 4 (1990)
【非特許文献2】Eur. J. Cancer, 32A, 2534−2539 (1996)
【非特許文献3】J. Clin. Invest., 89, 244−253 (1992)
【非特許文献4】Immunity, 12, 121−127 (2000)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、血管新生の関与する癌、特に固形癌や、糖尿病血管合併症などの疾患の治療薬として有用な血管新生阻害剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ストレプトミセス属に属する放線菌の培養液から単離した化合物の薬理活性を鋭意研究したところ、意外にも下記一般式(I)で示される新規発酵生産物がVEGFに誘導される血管内皮細胞の走化性を良好に阻害することを見出し、血管新生阻害剤、殊に抗腫瘍剤として有用であることを知見して本発明を完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、下記一般式(I)で示される化合物、その製薬学的に許容される塩及びこれらのいずれか少なくとも一つを有効成分とする医薬組成物、殊にその医薬用途として血管新生阻害剤並びに抗腫瘍剤に関する。
【化3】
Figure 2004269456
Figure 2004269456
[式中、Rは水素原子又はメチル基を、RはCO、CHO又はCHORを、R及びRは水素原子、アルキル基又はもしくはアルケニル基をそれぞれ意味する。]
【0007】
殊に、下式(II)で示される化合物又はその製薬学的に許容される塩が好ましい。
【化4】
Figure 2004269456
Figure 2004269456
【0008】
【発明の実施の形態】
一般式(I)の化合物をさらに説明する。
本明細書中、「アルキル」としては、好ましくは炭素数1〜6個の、より好ましくは炭素数1〜4個の直鎖状又は分枝状のアルキル基であり、特に好ましくはメチル、エチル、プロピル及びイソプロピル基である。「アルケニル」としては、好ましくは炭素数2〜6個の、より好ましくは炭素数2〜4個の直鎖状又は分枝状のアルケニル基であり、特に好ましくはビニル、アリル、1−プロペニル及びイソプロペニル基である。
一般式(I)で表される化合物は不斉炭素を有しており、不斉炭素に基づく光学異性体又はジアステレオマーなどの立体異性体が存在するが、本発明にはこれらの異性体の分離したもの、あるいは任意の異性体の混合物又はラセミ体が包含される。また、本発明の化合物は少なくとも2個のオレフィン性二重結合を有しており、それぞれの二重結合に基く幾何異性体が存在する場合があるが、本発明にはこれらの異性体の分離したもの、あるいは混合物が包含される。さらに、本発明の化合物は置換基の種類によっては互変異性体として存在する場合もあるが、任意の異性体又はそれらの混合物も本発明に包含される。
【0009】
また、本発明化合物は、塩を形成する場合がある。製薬学的に許容される塩であれば、特に制限はないが、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を含む無機塩基、あるいはメチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。さらに、本発明は、本発明化合物及びその塩の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質をも包含する。
【0010】
本発明の式(II)で表される化合物(以下、本明細書中において「RQN−18690A」と略記する場合がある)は、ストレプトミセス属に属する上記化合物の生産菌を培養し、その培養物から分離・採取することにより製造することができる。ストレプトミセス属に属する上記化合物の生産菌としては、例えば三重県員弁郡北勢町で採集した土壌より分離された放線菌QN18690株を挙げることができる。本菌株は気菌糸に胞子連鎖を形成すること及び細胞壁にLL−ジアミノピメリン酸を含むこと等からストレプトミセス属に属する放線菌であると判断し、ストレプトミセス エスピー (Streptomyces sp.) QN18690株と命名した。なお、本菌株は平成15年3月5日付けで独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19245号として寄託されている。
【0011】
培養に用いられる培地としては、ストレプトミセス エスピー QN18690株が利用する栄養源を含有する培地であればよく、合成培地、半合成培地または天然培地が用いられる。培地に添加する栄養物として公知のものを使用できる。培地の組成は、例えば炭素源としてはD−グルコース、D−マンノース、D−フルクトース、イノシトール、D−マンニトール、D−ガラクトース、トレハロース、キサンチン、デンプン、ブドウ糖、デキストリン、グリセリン、植物油等が挙げられる。窒素源としては肉エキス、ペプトン、グルテンミール、綿実粕、大豆粉、落花生粉、魚粉、コーンスチーブリカー、乾燥酵母、酵母エキス、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿酸その他の有機、無機の窒素源が用いられる。また、金属塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉄、コバルトなどの硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩などが必要に応じて添加される。さらに、必要に応じてメチオニン、システイン、シスチン、チオ硫酸塩、オレイン酸メチル、ラード油、シリコン油、界面活性剤などの生成促進化合物または消泡剤を添加することもできる。
培養条件としては好気的条件下で培養するのが一般的に有利で、培養温度は3〜32℃の範囲、好ましくは25〜30℃付近で行われる。培地のpHは約5〜9、好ましくは約6.5〜7.5の範囲に調整すると好結果が得られる。培養期間は培地の組成、温度条件に応じて適宜設定されるが、通常1〜10日程度、好ましくは4〜7日程度である。
【0012】
培養物より目的とする本発明原料化合物を単離するには、微生物が産生する代謝産物に用いる通常の抽出、精製の手段が適宣利用できる。例えば、各種イオン交換樹脂、非イオン性吸着樹脂、ゲル濾過クロマトグラフィー、または活性炭、アルミナ、シリカゲル等の吸着剤によるクロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィー、あるいは結晶化、減圧濃縮、又は凍結乾燥の手段を単独でまたは適宜組み合わせて、あるいは反復して用いることが可能である。
【0013】
本発明の一般式(I)で示される化合物のうち、RQN−18690A以外の化合物は、RQN−18690Aを通常の置換基の修飾反応に付して製造することができる。例えば日本化学会編「実験化学講座」(丸善)、グリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著,「Protective Groups in Organic Synthesis」第2版に記載されている方法を用いることができるが、反応の条件は、本発明化合物の他の構造部分と反応しない範囲で適宜設定されるべきである。例えば、RQN−18690Aを任意のエステル化反応に付すことで対応するエステル体を得る事ができる。また、RQN−18690Aのカルボキシル基部分をアルコールに還元後、任意のアルキル化、エステル化を行うことで対応する誘導体を容易に得る事ができる。さらに、RQN−18690Aのカルボキシル基部分をアルコールに還元後、アルデヒドに酸化することで対応するアルデヒド体を得ることができる。
【0014】
本発明の化合物及びその製薬学的に許容される塩のいずれか少なくとも一つを有効成分として含有する医薬組成物は、当分野において通常用いられている薬剤用担体、賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、吸入剤等による経口投与、又は、静注、筋注等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が挙げられる。このような固体組成物においては、ひとつ又はそれ以上の活性物質が、少なくともひとつの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤や繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エタノールを含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を含有する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩液が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤のような補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
【0015】
通常、経口投与の場合、1日の有効成分の投与量は、体重当たり約0.0001から50mg/kg、好ましくは0.001〜5mg/kgが、静脈投与される場合、1日の有効成分の投与量は、体重当たり約0.00001から5mg/kg、好ましくは0.0001〜0.1mg/kgがそれぞれ適当であり、これを1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。また、必要により上記範囲外の量を用いることもできる。
【0016】
また、本発明の化合物を試薬として使用する場合には、有機溶剤又は含水有機溶剤に溶解して用いることができる。例えば、各種培養細胞系へ直接投与すると細胞成長を抑制することができる。使用可能な有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノールやジメチルスルホキシド等を挙げることができる。剤型としては、例えば、粉末などの固形剤、又は有機溶剤若しくは含水有機溶剤に溶解した液体剤などを挙げることができる。通常、上記の化合物を試薬として用いて細胞成長抑制作用を発揮させるための効果的な使用量は、0.001〜10 μg/mlであるが、適切な使用量は培養細胞系の種類や使用目的により異なり、適宜選択可能である。また、必要により上記範囲外の量を用いることができる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例により何等限定されることはない。
【0018】
実施例1
グルコース10g、ポテトスターチ20g、ポリペプトン5g、酵母エキス5g、炭酸カルシウム4g、蒸留水1Lを含む培地 (pH7.0)を100mlずつ500ml容の三角フラスコに分注し、120℃で20分間滅菌した。ベネット寒天培地に良く生育させたストレプトミセス エスピー QN18690株を掻き取って接種し、28℃、220回転/分の条件で6日間振とう培養し、種培養液とした。次に同じ組成の培地を100mlずつ500ml容の三角フラスコに分注し、120℃で20分間滅菌した。この培地25本に前記種培養液を3mlずつ接種し、28℃、220回転/分の条件で6日間、振とう培養を行った。
上記培養液を遠心分離器で菌体と上清に分離し、菌体をアセトンで溶菌後、アセトンを減圧下、除去した。その後、得られた水層をpH3.0に調整し、1リットルの酢酸エチルで2回抽出した。抽出後、すべての酢酸エチルを合わせて減圧濃縮し、褐色のシロップ820 mgを得た。このシロップをクロロホルム1 mlに溶解し、クロロホルムで充填したシリカゲルカラムに浸潤させた。最初に、クロロホルム100mlで溶出した後、割合配合を順次変えたクロロホルム−メタノール溶液(100:1, 50:1, 20:1, 10:1, 5:1, 1:1)各100 mlずつで溶出した。本発明化合物RQN−18690Aは、クロロホルム−メタノール溶液(100:2)の画分に溶出した。この分画を減圧濃縮することにより活性画分を得た。次に、この活性画分をメタノールに溶解し、数回に分けて逆相ODSカラム(直径2 cm、長さ 25 cm、PEGASIL ODS、株式会社センシュー科学社製)を用いて、高速液体クロマトグラフィーによる分取(アセトニトリル:水=2:8→アセトニトリル:水=10:0;直線的グラジエント、流速9.0 ml/分)を行いRQN−18690Aを高純度に含む画分を得た。最後に、シリカゲル薄層カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム−メタノール溶液(3:1))により、無色アモルファス状のRQN−18690A(0.5 mg)を得た。
【0019】
以下にRQN−18690Aの物理化学的性質を示す。
(1)性状:無色アモルファス状
(2)分子式:C2542
(3)比旋光度:+12.2 (c=0.033, MeOH, 22℃)
(4)高分解能質量分析 (HR−FABMS) : (M−H)
実験値 (m/z): 421.2969
理論値 (m/z):421.2954
(5)UV λmax nm (メタノール) (ε):236 (25300)
(6)IR λmax (neat) cm−1:3550, 2950, 1700, 1650, 1545, 1505, 1455, 1420, 1100
(7)Rf値(シリカゲル60 F254、メルク社製):0.42 (solvent; CHCl:メタノール=10:1)
(8)呈色反応(陽性):10%硫酸(熱処理)
(9)H−NMR(溶媒:重アセトン−d、δppm、内部標準: TMS、H:500 MHz):表1に示す
【0020】
Figure 2004269456
Figure 2004269456
【0021】
実施例2:正常ヒトさい帯静脈血管内皮細胞の走化性の阻害試験
HuMedia−EG2 (KURABO)培地を用いて培養維持された正常ヒトさい帯静脈血管内皮細胞(HUVECs)をケモタキセルチャンバーを用いた3次元培養の上層にまいた。下層に内皮細胞増殖因子(VEGF)を含むHuMedia−EG2を充填させることでHUVECs細胞の走化性を誘導した。VEGF充填後及び18時間後のHUVECsの走化性に与える影響を検討した。一連の希釈系列(0.001−1 μg/mlの濃度域)のRQN−18690Aを試験した結果、RQN−18690Aは、0.08 μg/mlの濃度で、VEGFによって誘導されるHUVEC細胞の走化性を50%抑制した。なお、同条件下で治験細胞をトリパンブルー染色を行い、死細胞の割合を計測したが、RQN−18690Aは細胞毒性を示すことなくHUVECsの遊走を阻害することが確認された。
この結果は、本発明のRQN−18690AがVEGF刺激による血管内皮細胞の走化性を阻害し、血管新生阻害剤として有用であることを示しており、本発明のRQN−18690Aが癌や炎症性疾患の治療剤として有効であることが示唆される。
【発明の効果】
本発明によって提供される化合物は、VEGFによって誘導される血管内皮細胞の走化性を抑制し、血管新生阻害剤として有用である。よって、本発明からなる医薬組成物は、癌、特に固形癌や、糖尿病血管合併症、関節リウマチ等の病的血管新生を伴う疾患の治療剤として有用である。また、本発明によって提供される化合物は、血管内皮細胞の走化性を阻害することから抗炎症作用を有することが期待され、本発明からなる医薬組成物は、B型肝炎およびC型肝炎等のウイルス感染に伴う肝炎、劇症肝炎、糖尿病、心筋梗塞、潰瘍性大腸炎、慢性腎炎、脱毛症、アルツハイマー病、およびパーキンソン氏病などの神経変性疾患、虚血性脳障害、後天性免疫不全症候群、拡張性心筋などの治療剤としても有用であると考えられる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で示される化合物又はその製薬学的に許容される塩。
    Figure 2004269456
    Figure 2004269456
    [式中、Rは水素原子又はメチル基を、RはCO、CHO又はCHORを、R及びRは水素原子、アルキル基又はアルケニル基をそれぞれ意味する。]
  2. 下式(II)で示される請求項1記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
    Figure 2004269456
    Figure 2004269456
  3. 請求項1又は2に記載の化合物及びその製薬学的に許容される塩のいずれか少なくとも一つを有効成分として含有する医薬組成物。
  4. 血管新生阻害剤である請求項3の医薬組成物。
  5. 抗腫瘍剤である請求項4の医薬組成物。
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