JP2017214304A - 新規化合物及びその製造方法、並びにその新規化合物を含有する医薬組成物 - Google Patents

新規化合物及びその製造方法、並びにその新規化合物を含有する医薬組成物 Download PDF

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哲平 河原
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一男 新家
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Noritaka Kagaya
紀貴 加賀谷
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聡 鈴木
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美希 西尾
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Hiroki Goto
裕樹 後藤
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Abstract

【課題】Hippo経路に作用し、抗がん剤として有用な新規化合物及びそれを含有する医薬を提供することを目的とする。【解決手段】下記式(2)で表される化合物又はその塩である。この化合物は、ストレプトマイセス エスピー(Streptomyces sp.)MSA090213JE12株(NITE P-02231)を培養し、得られた培養物から採取することにより製造される。【選択図】なし

Description

本発明は、新規化合物及びその製造方法に関する。また、該化合物を含有する医薬組成物、特に抗がん作用を有する医薬組成物に関する。さらに、該化合物産生能を有する新規菌株にも関する。
微生物の生産する化合物は、特異な生理活性を示すことがあり、その生理活性を利用した抗生剤、免疫抑制剤、抗がん剤等の医薬品の開発と臨床使用が進められてきた。このように、微生物が生産する生理活性物質は、医薬品の原料として魅力的である。しかしながら、これまでに分離培養された微生物は、土壌中に存在する微生物の1%程度といわれている。さらに、分離培養に成功したとしても、生理活性物質の生産性が低いこと等から、医薬品の開発への利用は限定的であった。
ところで、Hippo経路は、器官サイズや癌の発症・進展制御に関わるキナーゼ経路である。Hippo経路の非活性化状態では、下流の転写共役因子YAP1(YES関連タンパク質1)/TAZ(YAP1のパラログであるPDZ結合モチーフを有する転写共役因子)が主に転写因子TEAD(TEAドメインファミリー)と結合し、細胞増殖や細胞分裂に関わる標的遺伝子の発現を誘導することにより細胞増殖を促進する。一方、細胞接着やストレス刺激によりHippo経路が活性化されると、MSTキナーゼカスケードを介して、YAP1/TAZをリン酸化することにより、これを核外に排除するとともに、タンパク質崩壊に導き、細胞増殖を負に制御する。
Hippo経路の遺伝子改変マウスはがんを発症し、ヒトがん患者では高頻度にHippo経路分子の発現低下や遺伝子変異を認め、がんの悪性度と相関することが知られている(非特許文献1、非特許文献2)。例えば、マウスの肝細胞でYAP1を過剰発現させると肝細胞や未熟胆管細胞の過形成によって肝臓が腫大し、肝癌を発症する。一方、肝細胞特異的なYAP1の欠損は、肝細胞や胆管細胞の減少と肝癌の発症が抑制される。また、マウスの角化細胞でYAP1を過剰発現させると表皮幹細胞・前駆細胞数及び角化細胞の増加や分化障害を呈し、扁平上皮癌を発症する。さらに、本発明者らは、LATSキナーゼのアダプター分子でありHippo経路のコアコンポーネントMOB1(Mps1バインダー1)の全身完全欠損マウスが胎生致死となり、MOB1の全身部分欠損マウスが全例に皮膚外毛根鞘癌を発症すること、ヒト皮膚外毛根鞘癌においてもMOB1の発現消失やYAP1の活性化を認めることを報告した(非特許文献3)。
すなわち、Hippo経路は新しい癌抑制経路として注目されている。しかしながら、Hippo経路に作用する抗がん剤はこれまで得られていなかった。
Nature Reviews Cancer, 13(4), pp. 246-257 (2013) Cancer Science, 104(10), pp. 1271-1277 (2013) The Journal of Clinical Investigation, 122(12), pp.4505-4518 (2012)
そこで本発明は、上記従来の状況に鑑み、Hippo経路に作用し、抗がん剤として有用な新規化合物及びそれを含有する医薬を提供することを目的とする。また、微生物を利用して、抗がん剤として有用な前記化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、Hippo経路に作用し抗がん活性を有する化合物を生産する微生物を同定し、当該微生物の培養物から新規化合物を単離することに成功し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)下記式(1)で表される化合物又はその塩。
Figure 2017214304
(式中、Rは炭素数16〜17の直鎖状又は分岐鎖状のアシル基である。)
(2)化合物が下記式(2)で表される上記(1)に記載の化合物又はその塩。
Figure 2017214304
(3)化合物が下記式(3)で表される上記(1)に記載の化合物又はその塩。
Figure 2017214304
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する医薬組成物。
(5)抗がん剤である上記(4)に記載の医薬組成物。
(6)ストレプトマイセス属に属し、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物の産生能を有する微生物を培養する工程と、
得られた培養物から上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物を採取する工程と
を含む上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物又はその塩の製造方法。
(7)微生物が、ストレプトマイセス エスピー(Streptomyces sp.)MSA090213JE12株(NITE P-02231)及びその変異体である上記(6)に記載の化合物又はその塩の製造方法。
(8)ストレプトマイセス エスピー(Streptomyces sp.)MSA090213JE12株(NITE P-02231)及び上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物の産生能を有するその変異体。
本発明によれば、Hippo経路に作用し、抗がん剤として有用な新規化合物及びそれを含有する医薬組成物を得ることができる。また、その化合物は、化合物の産生能を有する微生物の培養物から得ることができる。
イミュノブロッティングによるYAP1、pYAP1、TAZ及びアクチンの検出結果を示す図である。 蛍ルシフェラーゼアッセイ及びレニーラルシフェラーゼアッセイの結果を示す図である。 ビーナスアッセイの結果を示す図である。 YAP1下流標的の転写抑制効果について測定した結果を示す図である。 タモキシフェン誘導性Mob1欠損オーバル細胞のin vitro増殖抑制効果について測定した結果を示す図である。 Mob1欠損マウスのin vivo表現型改善効果について測定した結果を示す図である。 Mob1欠損マウスのin vivo表現型改善効果について測定した結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の化合物は、下記式(1)で表されるピリミジンジオン誘導体である。この化合物は、Hippo経路に作用し、YAP1タンパク質及びTAZタンパク質の発現を低下させ、これにより良好な抗がん活性を有するものである。
Figure 2017214304
上記式(1)中、Rは、炭素数16〜17、好ましくは16の直鎖状又は分岐鎖状のアシル基である。炭素鎖は飽和であっても不飽和であっても良いが、飽和であることが好ましい。このようなアシル基としては、例えば、パルミトイル基、マルガトイル基等が挙げられる。
その中でも、下記式(2)及び(3)で表される化合物は、優れた抗がん活性を示すため特に好ましい。
Figure 2017214304
Figure 2017214304
その他、本発明に係る各化合物には、それらの塩も包含される。塩は、従来知られた各種の塩であれば良く、製薬学的に許容される塩であることが好ましい。製薬学的に許容される塩としては、酸又は塩基との塩が挙げられ、塩基との塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン等の有機塩基、又はリジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩を挙げることができる。酸との塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等との無機酸塩、あるいはギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等との酸付加塩が挙げられる。これらの塩は、常法の造塩反応を利用して式(1)〜(3)の化合物から得ることができる。さらに本発明は、式(1)〜(3)に表される化合物又はその塩の各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形をも包含するものである。
上記式(1)〜(3)で表される化合物は、ストレプトマイセス属に属する当該化合物の産生能を有する微生物を栄養培地にて培養し、当該化合物を蓄積させた培養物から常法により採取・分離することによって容易に入手することができる。式(1)〜(3)で表される化合物を製造するに当たって使用する微生物は、ストレプトマイセス属に属し、当該化合物の産生能を有する微生物であればいずれも用いることができる。このような微生物としては、例えば、沖縄県石垣市で採集された土壌より分離されたストレプトマイセス属に属する放線菌であるストレプトマイセス エスピー(Streptomyces sp.)MSA090213JE12株を挙げることができる。
本菌株については、採取した土壌から放線菌を分離し、分離した放線菌よりゲノムDNAを抽出した。PCRにより16Sリポソーム遺伝子を増幅し、塩基配列を決定した。そして、上記配列について、BLAST検索を行った結果、多くのストレプトマイセス属の16Sリポソーム遺伝子と非常に高い相動性を示した。以上の結果、本菌株をストレプトマイセス属と決定し、ストレプトマイセス エスピー(Streptomyces sp.)MSA090213JE12株と命名した。なお、本菌株は独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託番号NITE P-02231として寄託されている。
また、微生物は人工的に又は自然に変異を起こすため、本発明には、天然から分離された微生物(ストレプトマイセス エスピーMSA090213JE12株)の他に、これを紫外線、X線、化学薬剤等で人工的に変異させたもの及びそれらの天然変異株についても包含される。
培養に用いられる培地は、使用する微生物が生育可能な培地であれば良く、合成培地、半合成培地又は天然培地を用いることができる。
培養に必要な栄養物としては、本菌株が資化する栄養源を使用すれば良い。例えば、窒素源として、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー、酵母エキス、きな粉、脱脂大豆粉、綿実粉、落花生粉、大豆粉、乾燥酵母、NZ-アミン、カゼインの水解物、魚粉、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の無機又は有機の窒素源が挙げられる。炭素源としては、ポテトスターチ、コーンスターチ等のデンプン、糖蜜、デキストリン、ショ糖、グルコース、マルトース、トレハロース、フラクトース、キシロース、マンニトール、グリセリン等の炭水化物又は脂肪等を用いることができる。
また、金属塩として、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉄等の硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩等を必要に応じて添加することができる。さらに、必要に応じて、種々のアミノ酸類や、オレイン酸メチル、ラード油、シリコーン油、界面活性剤等の化合物又は消泡剤等を適宜使用することができる。その他、該微生物が利用し、本発明に係る化合物の生産に役立つものであれば必要に応じて使用することができる。
培養は、一般的な抗生物質製造における培養と同様に行えば良く、その培養方法は固体培養でも液体培養でも良い。液体培養の場合は、静置培養、振とう培養、攪拌培養のいずれを実施しても良く、あるいは、通気攪拌培養で実施しても良い。培養温度は、微生物が発育し、本発明に係る化合物を生産し得る温度、すなわち15〜42℃の範囲内であれば良いが、約20〜30℃の範囲内が好ましく、23〜27℃の範囲内がより好ましい。pHは4〜9の範囲で適宜適用できるが、6〜8であることが好ましい。培養時間は種々の条件によって異なり、通常1日〜30日の範囲内とすることができるが、2〜10日が好ましい。
得られた培養物から目的とする化合物を採取するには、微生物の代謝産物の単離に通常用いられる抽出、分離、精製の各手段を適宜利用することができる。培養物中の該化合物は、培養物をそのままか、又は遠心分離あるいは培養物にろ過助剤を加えた後、ろ過によってろ液を得る。この際、培養物にアセトン、メタノール、エタノール、アセトニトリル等の有機溶剤を加えても良く、必要に応じてpH調節のため塩酸等を加えても良い。また、ろ液を種々の担体に接触させ、ろ液中の化合物を吸着させ、次いで適当な溶媒で溶出することにより該化合物を分離することができる。例えば、アンバーライト(登録商標)XAD2、ダイヤイオン(登録商標)HP20、ダイヤイオンCHP20P、又はダイヤイオンSP850等の多孔性吸着樹脂にろ液を接触させて該化合物を吸着させることができる。続いて、アセトン、メタノール、エタノール、アセトニトリル等の有機溶媒と水との混合液を用いて該化合物を溶出させる。必要に応じて、pH調節のため塩酸等を加えても良い。このとき、有機溶媒の混合比率を低濃度から段階的に又は連続的に高濃度まで上げていくことによって、該化合物を含む画分を効率良く得ることができる。
式(1)〜(3)の化合物は、遊離化合物、その塩、水和物、溶媒和物、あるいは結晶多形の物質として単離され、精製される。式(1)〜(3)の化合物の塩は、常法の造塩反応に付すことにより製造することもできる。単離、精製は、抽出、分別結晶化、各種分画クロマトグラフィー等、通常の化学操作を適用して行うことができる。
各種の異性体は、原料化合物から種々の方法を用いて製造でき、あるいは異性体間の物理化学的性質の差を利用して分離することができる。例えば、光学異性体は、ラセミ体の一般的な光学分割法(例えば、光学活性な塩基又は酸とのジアステレオマー塩に導く分別結晶化や、キラルカラム等を用いたクロマトグラフィー等)により得ることもできる。
式(1)〜式(3)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する医薬組成物は、該化合物又はその塩の1種又は2種以上を、当分野において通常用いられている薬剤用賦形剤や薬剤用担体等とともに、通常適用される方法に従って調製することができる。
医薬組成物の投与は、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、関節内、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であっても良い。また、投与対象には、例えばヒト、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ等が含まれ、特にヒトに対して好適に用いられる。
経口投与のための固体の医薬組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が挙げられる。このような固体の医薬組成物においては、1種又は2種以上の有効成分を、少なくとも1種の不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン及び/又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合して得ることができる。この組成物は、さらに、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤等を必要に応じて含有しても良い。錠剤又は丸剤は、必要に応じて糖衣又は胃溶性もしくは腸溶性物質のフィルムで被膜することができる。
経口投与のための液体の医薬組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等を含み、さらに、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水又はエタノールを含むことができる。このような液体の医薬組成物は、不活性な希釈剤以外に、可溶化剤、湿潤剤、懸濁剤等の補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤等を適宜含有していても良い。
非経口投与のための注射剤は、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤又は乳濁剤を含有する。水性の溶剤としては、例えば、注射用蒸留水又は生理食塩液が挙げられる。非水性の溶剤としては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール又はオリーブ油等の植物油、エタノール等のアルコール類、又はポリソルベート80等が挙げられる。このような医薬組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、安定化剤又は溶解補助剤等を含んでも良い。これらは、例えばバクテリア保留フィルターによるろ過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、無菌の固体の医薬組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解又は懸濁して使用することも可能である。
外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を挙げることができる。一般的に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有することができる。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノーステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
吸入剤や経鼻剤等の経粘膜剤としては、固体状、液体状又は半固体状のものが用いられ、従来公知の方法に従って製造することができる。この経粘膜剤には、公知の賦形剤や、さらに、pH調製剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、安定剤、増粘剤等が適宜添加されていても良い。投与は、適当な吸入又は吹送のためのデバイスを使用することができる。例えば、計量投与吸入デバイス等の公知のデバイスや噴霧器を使用して、化合物を単独で又は処方された混合物の粉末として、もしくは医薬的に許容し得る担体と組み合わせて溶液又は懸濁液として投与することができる。乾燥粉末吸入器等は、単回又は多数回の投与用のものであっても良く、乾燥粉末又は粉末含有カプセルを利用することができる。あるいは、適当な駆出剤、例えば、クロロフルオロアルカン、ヒドロフルオロアルカン又は二酸化炭素等の好適な気体を使用した加圧エアゾールスプレー等の形態であっても良い。
経口投与の場合、1日の投与量は、ヒトに投与する場合、体重当たり約0.01〜100 mg/kg、好ましくは0.1〜10 mg/kgが適当であり、この量を1回で又は2回〜4回に分けて投与することができる。また、経粘膜剤の場合、体重当たり約0.001〜100 mg/kgを1日1回〜複数回に分けて投与することができる。投与量は、症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜設定することができる。
本発明の医薬組成物はHippo経路に作用し、抗がん剤として用いることができる。本発明に係る抗がん剤が使用されるがんは、特に制限されるものではなく、例えば大腸がん、胃がん、食道がん、乳がん、白血病、肺がん、前立腺がん、肝臓がん、胆道がん、脾臓がん、腎がん、膀胱がん、子宮がん、卵巣がん、精巣がん、甲状腺がん、膵臓がん、脳腫瘍、造血器腫瘍、悪性黒色腫等を挙げることができる。また、がんは、原発性がん又は転移性がんであり得る。
式(1)〜(3)で表される化合物は、必要に応じて、該化合物が有効性を示す疾患についての種々の治療剤及び/又は予防剤と併用することができる。例えば、本発明に係る抗がん剤を、他の抗がん剤と組み合わせて用いることができる。他の抗がん剤としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、抗生物質抗がん剤、トポイソメラーゼ阻害剤、白金製剤、分子標的薬、ホルモン剤、生物製剤等を挙げることができる。当該併用は、同時投与、あるいは別個に連続して、もしくは所望の時間間隔をおいて投与しても良い。同時投与製剤は、配合剤であっても別個に製剤化されていても良い。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ストレプトマイセス属MSA090213JE12株の培養>
まず、以下の組成の前培養培地15mlを、50mlの大型試験管に分注し、殺菌後に本菌株を培養スラント上より接種し、27℃で2日間、培養したものを種母とした。
Figure 2017214304
次に、500ml容コブ付き三角フラスコに、以下に示す組成の生産培地を100mlずつ分注し、殺菌した。各フラスコに上記種母を2mlずつ添加し、27℃、5日間、ロータリーシェーカー上で培養した。
Figure 2017214304
<新規化合物JBIR-146、JBIR-147の分離・精製>
培養菌体をアセトンで抽出した後にろ過し、抽出ろ液を濃縮した。抽出物をクロロホルムと水で分画し、クロロホルムに溶解する画分をシリカゲルクロマトグラフィーにより分離した。さらに、高速液体クロマトグラフィーとODSカラムを用いて75%メタノール水溶液で分離、精製した。
<JBIR-146の物理学的性質>
物質の性状:白色粉末
質量分析:ESIMS:m/z 453 [M + H]+
高分解能質量分析:実測値 m/z 453.3436 (M + H)+、計算値 453.3441 (C24H45N4O4
紫外線吸収スペクトル:エンド吸収
赤外線吸収スペクトル(全反射測定法):1752, 1671, 1643 cm-1
核磁気共鳴シグナルは以下のとおりである。
1H NMR (CD3OD : CDCl3 = 5:1, 500 MHz): δ ppm 0.83 (6H, d, J = 6.5 Hz), 1.12 (2H, m), 1.23 (16H, m), 1.27 (2H, m), 1.48 (1H, m), 1.57 (2H, m), 2.15 (2H, t, J = 7.0 Hz), 2.45 (2H, t, J = 6.5 Hz), 3.13 (3H, s), 3.22 (1H, dd, J = 12.0, 12.0 Hz), 3.44 (2H, m), 3.45 (1H, m), 4.65 (1H, dd, J = 7.0, 12.5 Hz).
13C NMR (CD3OD : CDCl3 = 5:1, 125 MHz): δ ppm 22.9 (CH3, ×2), 26.3 (CH2), 27.9 (CH3), 28.5 (CH), 29.7-30.4 (CH2, ×9), 36.0 (CH2), 36.2 (CH2), 36.9 (CH2), 39.6 (CH2), 39.9 (CH2), 48.7 (CH), 155.0 (C), 170.0 (C), 173.5 (C), 175.8 (C).
<JBIR-146の構造決定>
新規化合物JBIR-146の各種NMRスペクトル(1H NMR、13C NMR、 DQF-COSY、HSQC、HMBC)及びマススペクトルから下図の化学構造が導かれた。COSY相関を太線で、HMBC相関(1H → 13C)を矢印で示す。数値はNMRケミカルシフト値(上段:1H、下段:13C)を示す。
Figure 2017214304
<JBIR-147の物理学的性質>
物質の性状:白色粉末
質量分析:ESIMS:m/z 453 [M + H]+
高分解能質量分析:実測値 m/z 453.3448 (M + H)+、計算値 453.3441 (C24H45N4O4
紫外線吸収スペクトル:エンド吸収
赤外線吸収スペクトル(全反射測定法):1752, 1670, 1641 cm-1
核磁気共鳴シグナルは以下のとおりである。
1H NMR (CDCl3, 600 MHz): δ ppm 0.87 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.24 (22H, m), 1.27 (2H, m), 1.60 (2H, m), 2.15 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.51 (2H, dd, J = 4.8, 10.8 Hz), 3.20 (3H, s), 3.16 (1H, dd, J = 12.6, 12.6 Hz), 3.52 (2H, m), 3.86 (1H, ddd, J = 6.0, 6.0, 12.0 Hz), 4.58 (1H, ddd, J = 4.2, 6.0, 12.6 Hz), 5.55 (1H, d, J = 4.2 Hz), 6.16 (br s), 6.53 (1H, d, J = 4.2 Hz).
13C NMR (CDCl3, 150 MHz): δ ppm 14.1 (CH3), 22.7 (CH2), 25.7 (CH2), 28.0 (CH3), 29.3-29.6 (CH2, ×10), 31.9 (CH2), 35.2 (CH2), 35.7 (CH2), 36.8 (CH2), 40.2 (CH2), 49.2 (CH), 153.4 (C), 168.9 (C), 172.5 (C), 173.6 (C).
<JBIR-147の構造決定>
新規化合物JBIR-147の各種NMRスペクトル(1H NMR、13C NMR、 DQF-COSY、HSQC、HMBC)及びマススペクトルから下図の化学構造が導かれた。COSY相関を太線で、HMBC相関(1H → 13C)を矢印で示す。数値はNMRケミカルシフト値(上段:1H、下段:13C)を示す。
Figure 2017214304
なお、質量分析等の結果から、JBIR-146及びJBIR-147以外にも、培養物には、式(1)におけるRが炭素数16〜17の直鎖状又は分岐鎖状のアシル基である類縁体が含まれていることを確認した。
<JBIR-146及びJBIR-147のがん細胞増殖阻害活性の確認>
次に、分離・精製を行ったJBIR-146及びJBIR-147化合物について、がん細胞増殖阻害活性の有無を調べた。
(イミュノブロッティング)
まず、H1299細胞を、ビヒクル(DMSO)、ポジティブコントロールとしてのダサチニブ(dasatinib、抗がん剤)、JBIR-146又はJBIR-147で24時間処理した。ディッシュ当たりの接着細胞密度が30%の時に、終濃度5μMとなるようにダサチニブを、終濃度が2μMとなるようにJBIR-146及びJBIR-147をそれぞれ添加した。その後、イミュノブロッティングによりYAP1タンパク質、pYAP1タンパク質(リン酸化されたYAP1)、TAZタンパク質を検出した。アクチンはローディングコントロールである。結果を図1に示す。図1の結果より、JBIR-146又はJBIR-147によってYAP1、pYAP1及びTAZタンパク質の発現が低下することが確認された。また、発現の低下は、ポジティブコントロールであるダサチニブと同程度であることが分かった。
(ルシフェラーゼアッセイ及びビーナスアッセイ)
YAP1活性を調べるため、H1299細胞に、レポーターDNAコンストラクトをトランスフェクトした。このコンストラクトは、CTGF遺伝子から10コピーのTEAD結合エレメント、蛍ルシフェラーゼ、ビーナス(Venus)及びHygr遺伝子を含んでいる。また、YAP1活性の阻害能について化合物の高感度スクリーニングを容易にするため、レニーラルシフェラーゼ及びNeor遺伝子を細胞にコトランスフェクトした。続いて、レポーター細胞を、384-ウェルマイクロプレートに播種し(1000細胞/ウェル)、CO2インキュベータ内で一晩中培養した。ポジティブコントロールとしてのダサチニブ、JBIR-146又はJBIR-147で細胞を処理し、Hippoシグナル伝達の阻害能について調べた。その結果を図2及び図3に示す。
図2及び図3から明らかなように、上述のレポータージーンを用いて、転写因子YAP1/TAZの下流で働く遺伝子の発現がJBIR-146及びJBIR-147によって抑制されることが示された。
(YAP1下流標的の転写抑制)
H1299細胞に、ビヒクル(DMSO)及びJBIR-146又はJBIR-147を図4に記載の濃度で添加後24時間で、RNA抽出、cDNA合成を行い、転写標的遺伝子(SPP1、Areg、Cyr61)の発現を定量PCRにて検討した。発現の補正にはGAPDHを用いた。
図4に示すように、YAP1の下流で働くSPP1、Areg及びCyr61の発現が、JBIR-146及びJBIR-147によって抑制されることが示された。
(タモキシフェン誘導性Mob1欠損マウスオーバル細胞のin vitro増殖抑制)
タモキシフェン誘導性Mob1欠損マウスオーバル細胞を、ビヒクル(DMSO)、ダサチニブ(5μM)、JBIR-146(2μM)又はJBIR-147(2μM)で3日間処理し、処理後の細胞数を計測した。タモキシフェンは、それぞれの化合物による処理の5日前に投与した。その結果を図5に示す。
図5の結果から、タモキシフェンの誘導の有無にかかわらず、JBIR-146又はJBIR-147の処理によりオーバル細胞の増殖が抑制されることが明らかとなった。
(Mob1欠損マウスのin vivo表現型改善)
ビヒクル(DMSO)を投与したコントロールマウス(cont)、ビヒクル(DMSO)を投与したMob1欠損マウス(DKO)及びJBIR-146又はJBIR-147を投与したMob1欠損マウス(DKO+J146、DKO+J147)(投与期間は5日間)の肝重量(%体重)を調べた。その結果を図6及び図7に示す。
図6及び図7の結果から、JBIR-146又はJBIR-147による処理によって肝重量が減少し、細胞増殖が抑制されることが明らかとなった。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される化合物又はその塩。
    Figure 2017214304
    (式中、Rは炭素数16〜17の直鎖状又は分岐鎖状のアシル基である。)
  2. 化合物が下記式(2)で表される請求項1に記載の化合物又はその塩。
    Figure 2017214304
  3. 化合物が下記式(3)で表される請求項1に記載の化合物又はその塩。
    Figure 2017214304
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する医薬組成物。
  5. 抗がん剤である請求項4に記載の医薬組成物。
  6. ストレプトマイセス属に属し、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物の産生能を有する微生物を培養する工程と、
    得られた培養物から請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を採取する工程と
    を含む請求項1〜3のいずれかに記載の化合物又はその塩の製造方法。
  7. 微生物が、ストレプトマイセス エスピー(Streptomyces sp.)MSA090213JE12株(NITE P-02231)及びその変異体である請求項6に記載の化合物又はその塩の製造方法。
  8. ストレプトマイセス エスピー(Streptomyces sp.)MSA090213JE12株(NITE P-02231)及び請求項1〜3のいずれかに記載の化合物の産生能を有するその変異体。
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