JP2004268157A - ガラス基板研磨ヘッド及びこれを用いた研磨装置、ガラス基板研磨方法、ガラス基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス基板研磨ヘッドを、研磨装置との接続部をなすヘッド基部と、ヘッド基部の下方に設けられて下端でガラス基板Bの上面を受けるサブキャリアと、ヘッド基部とサブキャリアとの間に介装されてサブキャリアを上下方向への変位を可能にして支持する支持機構とを有する構成とする。サブキャリアを、支持機構によって支持されるサブキャリア本体21と、サブキャリア本体21の下面を覆う第一の可撓性膜体23とを有する構成とする。第一の可撓性膜体23を、内部に布やシート等の補強材Rが設けられたゴム膜とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置等に用いられるガラス基板の表面を研磨する研磨装置に用いられるガラス基板研磨ヘッド及びこれを用いた研磨装置、ガラス基板研磨方法、ガラス基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置等に用いられるガラス基板は、その表面に高い平坦度が要求されるものであって、平坦化の度合いが高い化学的機械的研磨法(CMP法)を用いて研磨されることによって表面が高精度の平坦面とされる。
ガラス基板研磨ヘッドは、CMP法を用いてガラス基板表面を研磨する研磨装置において、ガラス基板を研磨に適した状態にして保持するために用いられるものであって、例えばガラス基板の上面側を保持して前記ガラス基板の研磨に供される。
【0003】
CMP法を用いる研磨装置としては、例えば後述する特許文献1に示されるものがある。
特許文献1に記載の研磨装置は、半導体ウェーハ等の基板を研磨するためのものであって、基板を研磨パッドの表面に当接させた状態で研磨パッド上にスラリーを供給しつつ基板と研磨パッドとを相対移動させることで基板の表面を研磨するものである。
この研磨装置では、研磨パッド上に基板を保持する研磨ヘッドとして、キャリアと、基板が保持される下面を有するサブキャリアと、サブキャリアの外周に設けられるリテーナリングとを有し、サブキャリアとリテーナリングとを、キャリアに対して垂直方向に変位可能にして設けた研磨ヘッドを用いている。
この研磨ヘッドにおいて、サブキャリアの基板保持面の下側には基板を受ける柔軟部が設けられている。
【0004】
【特許文献1】
WO 02/18101 A2
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、柔軟部は、シリコンやラバー等の高分子物質によって構成されており、その自重及びサブキャリアに装着する際の引張り応力をうけて痛みやすく、頻繁に交換する必要があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、部品の消耗が少ないガラス基板研磨ヘッド及び研磨装置、ガラス基板研磨方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、以下の構成を採用した。
すなわち、本発明にかかるガラス基板研磨ヘッドは、研磨装置に装着されてガラス基板の上面側を保持して前記ガラス基板の研磨に供するガラス基板研磨ヘッドであって、下端で前記ガラス基板の上面を受けるサブキャリアを有し、該サブキャリアが、サブキャリア本体と、該サブキャリア本体の下面を覆う可撓性膜体とを有し、該可撓性膜体が、補強材を設けたゴム膜、ケブラー(登録商標)製の布、ゴアテックス(登録商標)製の膜、PET膜、ポリイミド樹脂膜のうちのいずれかで構成されていることを特徴としている。
【0008】
このように構成されるガラス基板研磨ヘッドでは、サブキャリア本体の下面を覆う可撓性膜体が、補強材を設けたゴム膜、ケブラー(登録商標)製の布、ゴアテックス(登録商標)製の膜、PET(ポリエチレンテフタレート)膜、ポリイミド樹脂膜のうちのいずれかで構成されているので、可撓性膜体に、自重及びサブキャリア本体に装着する際の引張り応力に十分耐えられる強度と、長期間の使用及び着脱の繰り返しにも耐えられる耐久性とをもたせることができ、可撓性膜体の交換頻度を低減することができる。
【0009】
本発明にかかるガラス基板研磨ヘッドは、サブキャリアが、サブキャリア本体に対して着脱可能にして設けられて可撓性膜体の周縁をサブキャリア本体との間に挟みこんで固定するクランプリングを有していることが好ましい。
このように構成されるガラス基板研磨ヘッドでは、クランプリングとサブキャリア本体との間に可撓性膜体の周縁を挟み込むことで可撓性膜体をサブキャリア本体に固定しているので、クランプリングをサブキャリアに対して着脱することで、可撓性膜体の着脱を容易に行うことができ、可撓性膜体の交換や、ガラス基板研磨ヘッドの洗浄やメンテナンスが容易となる。
【0010】
このガラス基板研磨ヘッドにおいて、クランプリングは、可撓性膜体の周縁を、サブキャリア本体の外周面との間に挟み込んで固定する構成とすることが好ましい。
この場合には、可撓性膜体の周縁を全周にわたってキャリア本体に確実に密着させることができる。
【0011】
本発明にかかる研磨装置は、ガラス基板の上面側をガラス基板研磨ヘッドで保持してガラス基板の研磨を行う研磨装置であって、前記ガラス基板研磨ヘッドとして、請求項1から3のいずれかに記載のガラス基板研磨ヘッドを用いていることを特徴としている。
【0012】
この構成の研磨装置では、ガラス基板研磨ヘッドとして、サブキャリア本体の下面を覆う可撓性膜体が、自重及びサブキャリア本体に装着する際の引張り応力に十分耐えられる強度と、長期間の使用及び着脱の繰り返しにも耐えられる耐久性とを有しているものを用いてガラス基板の研磨を行うので、可撓性膜体の交換頻度を低減して、メンテナンスにかかる費用や手間を低減することができるとともに、稼働率を向上させることができる。
【0013】
本発明にかかるガラス基板研磨方法は、請求項1から3のいずれかに記載のガラス基板研磨ヘッドによってガラス基板を保持して、該ガラス基板の下面を研磨パッドの表面に当接させた状態で該研磨パッド上にスラリーを供給しつつ前記ガラス基板と前記研磨パッドとを相対移動させることで前記ガラス基板の表面を研磨することを特徴としている。
【0014】
このガラス基板研磨方法では、ガラス基板研磨ヘッドとして、サブキャリア本体の下面を覆う可撓性膜体が、自重及びサブキャリア本体に装着する際の引張り応力に十分耐えられる強度と、長期間の使用及び着脱の繰り返しにも耐えられる耐久性とを有しているものを用いてガラス基板の研磨を行うので、可撓性膜体の交換頻度を低減して、メンテナンスにかかる費用や手間を低減することができるとともに、稼働率を向上させることができる。
【0015】
本発明にかかるガラス基板は、請求項1から3のいずれかに記載のガラス基板研磨ヘッドを用いて研磨したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるガラス基板研磨ヘッド及び研磨装置の一実施の形態について、図1から図3を用いて説明する。ここで、図1は本実施形態にかかるガラス基板研磨ヘッド及び研磨装置の構成を示す側断面図、図2は図1の拡大図、図3は本実施形態にかかるガラス基板研磨ヘッドの分解図である。なお、以下では、縦680mm、横880mmのガラス基板Bの研磨に用いる研磨装置及びガラス基板研磨ヘッドについて説明する。
【0017】
本実施形態にかかる研磨装置は、例えば、水平面上で回転されるプラテンPLと、プラテンPLの上面に貼り付けられる研磨パッドPと、ガラス基板Bを下端で保持するガラス基板研磨ヘッドと、ガラス基板研磨ヘッドを研磨パッドPに対向する位置で回転駆動させつつ研磨パッドPに対して相対的に移動させる駆動機構Dとを有しており、ガラス基板研磨ヘッドとして、本実施形態にかかるガラス基板研磨ヘッド1を用いたものである。
また、本実施の形態では、駆動機構Dは、ガラス基板研磨ヘッド1を研磨パッドP上から研磨パッドP外の位置まで搬送可能な構成としている。
【0018】
ガラス基板研磨ヘッド1は、研磨装置との接続部をなすヘッド基部2と、ヘッド基部2の下方に設けられて下端でガラス基板Bの上面を受けるサブキャリア3と、ヘッド基部2とサブキャリア3との間に介装されてサブキャリア3を上下方向への変位を可能にして支持する支持機構4とを有している。
また、サブキャリア3の下端側には、サブキャリア3に受けられるガラス基板Bの外周縁を受けるテンプレート5が設けられ、サブキャリア3とテンプレート5との間には、テンプレート5をその上下方向の位置を調整可能にして支持する上下位置調整機構6が介装されている。
【0019】
ヘッド基部2は、研磨装置の駆動機構Dに保持される取付軸11と、取付軸11に対して略同軸にして設けられる円形平板状の天板部12とを有している。
【0020】
図2に示すように、サブキャリア3は、支持機構4によって取付軸11と略同軸にして支持される円盤形状のサブキャリア本体21と、サブキャリア本体21の下面の少なくとも周縁部を覆ってサブキャリア本体21の周縁部との間に第一の流体室22を形成する第一の可撓性膜体23と、サブキャリア本体21に対して着脱を可能にして設けられて第一の可撓性膜体23の周縁Mをサブキャリア本体21の側面との間に挟みこんで固定するクランプリング24とを有している。
【0021】
図3に示すように、サブキャリア本体21の外周には、下端から離間した位置に、径方向外側に張り出すフランジ部Fが設けられている。このフランジ部Fには、上下に貫通するボルト挿通孔Hが設けられており、クランプリング24は、このボルト挿通孔Hの上方から下方に向けて挿通されるボルト27によって、サブキャリア本体21に対して着脱を可能にして装着されている。ここで、クランプリング24は、サブキャリア本体21に装着された状態では、下面が第一の可撓性膜体23の下面よりも上方に位置しており、ガラス基板Bの研磨時に研磨パッドPから離間するようになっている。
フランジ部Fにおいて、少なくともボルト挿通孔Hの上端は外部に露出されていて、ガラス基板研磨ヘッド1を分解することなく、ボルト27を操作してクランプリング24を着脱することが可能とされている。
また、サブキャリア本体21の外周面のうち、フランジ部Fよりも下方の領域Lは、下端から上方に向かうにつれて拡径される円錐面とされており、下端面との境界近傍は滑らかな凸曲面とされている。
【0022】
本実施の形態では、第一の可撓性膜体23は、サブキャリア本体21の下端全体を覆う構成とされており、周縁部ではサブキャリア本体21との間に第一の流体室22を形成し中央部では下面でガラス基板Bの上面を受けるようになっている。
【0023】
第一の可撓性膜体23は、その周縁Mが上方に立ち上げられた断面視略カップ形状をなしている。周縁Mは、下方から上方に向かうにつれて拡径される円錐面とされており、中央部との境界近傍は滑らかな曲面とされている。ここで、第一の可撓性膜体23の直径は1270mmとしている。
また、第一の可撓性膜体23は、例えば繊維補強ゴムなど、内部に布やシート等の補強材Rが設けられたゴム膜とされていて、その強度と耐久性が十分に確保されている。本実施の形態では、第一の可撓性膜体23は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)製のゴム膜の全面にわたって、その厚み方向の中間部に、ポリエステル製のシート状の補強材Rが設けられた構成としている。
なお、これに限らず、第一の可撓性膜体23は、通気性のない布状のもの(例えば、ケブラー(登録商標)製の布、ゴアテックス(登録商標)製の膜等)や、フィルム状のもの(例えば、PET膜、ポリイミド樹脂膜等)のうちのいずれかによって構成されていてもよい。
【0024】
クランプリング24は、内周面24aが下端から上端に向かうにつれて径方向外側に傾斜する円錐面とされている。クランプリング24は、この内周面24aとサブキャリア本体21の外周面Lとの間に第一の可撓性膜体23の周縁Mを挟み込んで固定するものであって、内周面24aには、周縁部Mに押圧力を確実に作用させるための突起28が設けられている。突起28は、例えば図3に示すように、内周面全周にわたって形成される例えば断面視山型の突条とされており、これによって、第一の可撓性膜体23の周縁Mを全周にわたって確実にサブキャリア本体21の外周面Lに密着させてこれらの間を気密、液密に封止することができるようになっている。
【0025】
テンプレート5は、中央部にガラス基板Bと同形状の開口部(縦約680mm、横約880mm)が設けられるごく薄い円形平板とされており、第一の可撓性膜体23の下面に対してサブキャリア本体21と同軸にして装着されている。図2に示すように、サブキャリア本体21の下面においてテンプレート5に対向する領域には第一の凹部21aが設けられており、第一の凹部21aと第一の可撓性膜体23とによって、第一の流体室22が形成されている。
【0026】
第一の流体室22には、その内圧を調整して第一の可撓性膜体23を弾性変形させる第一の圧力調整機構25が接続されている。本実施の形態では、ガラス基板研磨ヘッド1には、第一の流体室22からサブキャリア本体21、天板部12を通じて取付軸11まで通じる第一の管路26が設けられており、取付軸11には、第一の管路26が接続されるロータリージョイント(図示せず)が設けられている。第一の圧力調整機構25は、このロータリージョイントを介して、駆動装置Dによる取付軸11の回転駆動を許容しつつ第一の管路26に接続されている。
【0027】
第一の圧力調整機構25は、例えば流体の送出、吸引を行うポンプによって構成されるものであって、第一の管路26を通じて第一の流体室22内に流体を送り込むことで第一の流体室22の内圧を上昇させて第一の可撓性膜体23において第一の流体室22を形成する領域(すなわちテンプレート5が装着される領域)を下方に向けて変位させ、第一の管路26を通じて第一の流体室22内の流体を吸い出すことで、第一の流体室22の内圧を低下させて第一の可撓性膜体23において第一の流体室22を形成する領域を上方に向けて変位させるものである。
本実施の形態では、上記第一の流体室22、第一の可撓性膜体23、及び第一の圧力調整機構25とが、前記上下位置調整機構6を構成している。
【0028】
サブキャリア本体21と第一の可撓性膜体23との間には、第一の流体室22よりも中央側に、第一の流体室22とは独立した第二の流体室31が形成されている。
本実施の形態では、図2に示すように、サブキャリア本体21の下面において第一の凹部21aよりも径方向内側に第二の凹部21bが設けられており、第二の凹部21bと第一の可撓性膜体23とによって第二の流体室31が形成されている。ここで、サブキャリア本体21の下面において第一の凹部21aと第二の凹部21bとの間に位置する領域21cは、第一の可撓性膜体23の上面に当接されて第一の流体室22と第二の流体室31とを隔てる仕切りとして作用する。
【0029】
第二の流体室31には、その内圧を、第一の流体室22の内圧とは独立して調整する第二の圧力調整機構32が接続されている。本実施の形態では、ガラス基板研磨ヘッド1には、第二の流体室31からサブキャリア本体21、天板部12を通じて取付軸11まで通じる第二の管路33が設けられており、第二の圧力調整機構32は、取付軸11に設けられる前記ロータリージョイントを介して、駆動装置Dによる取付軸11の回転駆動を許容しつつ第二の管路33に接続されている。
第二の圧力調整機構32は、例えば流体の送出、吸引を行うポンプによって構成されるものであって、第二の管路33を通じて第二の流体室31内に流体を送り込むことで第二の流体室31の内圧を上昇させ、第二の管路33を通じて第二の流体室31内の流体を吸い出すことで、第二の流体室31の内圧を低下させるものである。
【0030】
図2に示すように、第一の可撓性膜体23においてガラス基板Bを受ける領域には、第二の流体室31側から下面まで通じる貫通孔23aが設けられており、この貫通孔23aによって第二の流体室31と第一の可撓性膜体23の下面側との間での流体の通過が許容されており、第二の流体室31内の流体圧力を、第一の可撓性膜体23に受けられるガラス基板Bの研磨パッドPに対する押圧力として作用させることができるようになっている。
本実施の形態では、この貫通孔23aは直径1mmとされており、第一の可撓性膜体23においてガラス基板Bを受ける領域に、例えば等間隔をあけて複数設けられている。
【0031】
サブキャリア3には、下端に受けられるガラス基板Bの上面を押圧してサブキャリア3から剥離させる剥離機構41が設けられている。
【0032】
また、ガラス基板研磨ヘッド1には、第二の流体室31内に流体を供給するパージ機構51が設けられている。本実施の形態ではパージ用の気体または液体を供給する流体供給源52を第二の管路33に接続しており、第二の管路33を通じてパージ用の気体または液体を第二の流体室31内に供給することができるようになっている。
【0033】
支持機構4は、ヘッド基部2に対してサブキャリア3を吊り下げ支持するとともにヘッド基部2とサブキャリア3との間に第三の流体室61を形成する第二の可撓性膜体62とを有している。
【0034】
本実施の形態では、サブキャリア3は、取付基部63を介して第二の可撓性膜体62に接続されている。取付基部63は、中央に開口部が設けられた円盤状をなしており、上面に第二の可撓性膜体62が取り付けられるとともに、下面にサブキャリア3が同軸にして取り付けられている。ここで、取付基部63の開口部には、第一、第二の管路26、33が挿通されている。
【0035】
第二の可撓性膜体62は、例えば補強材が設けられたゴム膜等からなる円環状の部材であって、その内周縁または外周縁のうちの一方を、ヘッド基部2の天板部12の下面と第一のクランプ部材64との間に挟み込まれ、他方を取付基部63の上面と第二のクランプ部材65との間に挟み込まれることで、ヘッド基部2に対するサブキャリア3の上下方向の変位を許容しつつ、ヘッド基部2とサブキャリア3との間を気密、液密に封止して第三の流体室61を形成するものである。本実施の形態では、第二の可撓性膜体62は、内周縁を天板部12に取り付けられ、外周縁を取付基部63に取り付けられている。
【0036】
また、第三の流体室61には、その内圧を、第一、第二の流体室22、31の内圧とは独立して調整する第三の圧力調整機構66が接続されている。本実施の形態では、ガラス基板研磨ヘッド1には、天板部12下面から天板部12を通じて取付軸11まで通じる第三の管路67が設けられており、第三の圧力調整機構66は、取付軸11に設けられる前記ロータリージョイントを介して、駆動装置Dによる取付軸11の回転駆動を許容しつつ第三の管路67に接続されている。
【0037】
第三の圧力調整機構66は、例えば流体の送出、吸引を行うポンプによって構成されるものであって、第三の管路67を通じて第三の流体室61内に流体を送り込むことで第三の流体室61の内圧を上昇させ、第三の管路67を通じて第三の流体室61内の流体を吸い出すことで、第三の流体室61の内圧を低下させるものである。
ここで、第三の流体室61の内圧は、サブキャリア3の上面を押圧してサブキャリア3の研磨パッドPに対する押圧力として作用して、第二の流体室31の内圧とともにガラス基板Bの研磨圧力に関係するものであって、ガラス基板Bに加えたい研磨圧力の大きさに応じて適宜の圧力に調整される。
【0038】
また、ガラス基板研磨ヘッド1には、前記支持機構4に加えて、サブキャリア3の上下方向への移動を許容しつつヘッド基部2に対するサブキャリア3の回転を規制する駆動力伝達機構68が設けられている。
【0039】
以下、このように構成される研磨装置によるガラス基板の研磨方法について説明する。
まず、駆動装置Dによってガラス基板研磨ヘッド1を研磨パッドP外にあるガラス基板装着位置に搬送する。ガラス基板装着位置には、これから研磨する面を下向きにしてガラス基板Bを配置しておく。
次いで、このガラス基板Bを、ガラス基板研磨ヘッド1によって保持する。
具体的には、ガラス基板Bの上面をガラス基板研磨ヘッド1の第一の可撓性膜体23の下面中央部によって受け、ガラス基板Bの外周縁をテンプレート5の内周縁によって受け、この状態で、第二の圧力調整機構32によって第二の流体室31の内圧を負圧にすることで、第一の可撓性膜体23の貫通孔23aを通じてガラス基板Bの上面に負圧を加えてガラス基板Bを吸着保持する。
【0040】
続いて、駆動装置Dによってガラス基板研磨ヘッド1を研磨パッドP上に搬送し、保持するガラス基板Bの下面を研磨パッドPの表面に当接させたのちに、第二の圧力調整機構32によって第二の流体室31の内圧を適宜の正圧にしてガラス基板Bの吸着を解除する。この状態では、ガラス基板Bは、外周縁をテンプレート5に受けられることによってガラス基板研磨ヘッド1に保持されている。
【0041】
このようにガラス基板Bの下面を研磨パッドPの表面に当接させた状態で、研磨パッドP上にスラリーを供給しながら、駆動機構Dによってガラス基板研磨ヘッド1を軸線回りに回転駆動させつつ研磨パッドPに対して相対的に移動させることで、ガラス基板研磨ヘッド1に保持されるガラス基板Bの下面の研磨を行う。
【0042】
このガラス基板研磨ヘッド1では、サブキャリア3は、支持機構4によってヘッド基部2に対して上下方向の変位及び傾斜を可能にして支持されているので、サブキャリア3に保持されるガラス基板Bは、研磨パッドPに対して常に面接触することとなり、全面にわたって均一に研磨圧力が加えられる。
また、このガラス基板研磨ヘッド1には、サブキャリア3の上下方向への移動を許容しつつヘッド基部2に対するサブキャリア3の回転を規制する駆動力伝達機構68が設けられているので、ヘッド基部2に対して支持機構4によるサブキャリア3のフローティング支持を許容しつつ、研磨装置からヘッド基部2を介してサブキャリア3に駆動力を確実に伝達することができ、研磨効率が高い。
【0043】
このガラス基板研磨ヘッド1では、サブキャリア3を介して加わる第三の流体室61の内圧と、第二の流体室31から第一の可撓性膜体23の貫通孔23aを通じてガラス基板Bの上面に加えられる流体の圧力とによってガラス基板Bの上面を押圧して、ガラス基板Bを研磨パッドPに押し付けており、研磨にあたっては、第二、第三の流体室31、61の内圧を調整することで、ガラス基板Bに加える研磨圧力を適正にする。
そして、このガラス基板研磨ヘッド1では、第二の流体室31内から貫通孔23aを通じて第一の可撓性膜体23とガラス基板Bとの間に流入した流体によって直接ガラス基板Bを押圧しているので、第一の可撓性膜体23を介してガラス基板Bに第二の流体室31の内圧を加える場合とは異なり、第一の可撓性膜体23の表面の凹凸の影響を受けることなしに、ガラス基板B全体に均等に研磨圧力を加えることができ、ガラス基板Bを高精度な平坦面とすることができる。
【0044】
このガラス基板研磨ヘッド1は、前記のように、テンプレート5の上下方向の位置を調整する上下方向位置調整機構6を有している。
上下位置調整機構6は、第一の流体室22と第一の可撓性膜体23と第一の圧力調整機構25とによって構成されており、第一の圧力調整機構25によって第一の流体室22の内圧を調整して第一の可撓性膜体23に加わる圧力を調整することで、第一の可撓性膜体23の変形量(上下方向の変位量)を調整して、第一の可撓性膜体23に装着されるテンプレート5の上下方向の位置を調整することができる。
【0045】
そして、ガラス基板Bの研磨中は、前記のようにガラス基板Bに適正な研磨圧力を加えて研磨を良好に行いつつ、上下位置調整機構6によって、サブキャリア3とは独立してテンプレート5の上下方向の位置を調整し、研磨パッドPに対するテンプレート5の当接圧力を低減させるか、もしくはテンプレート5を研磨パッドPから離間させることで、テンプレート5の摩耗を防止することができ、研磨作業に伴う部品の消耗を少なくすることができる。
【0046】
上記のようにしてガラス基板Bの研磨を終えたのちは、ガラス基板研磨ヘッド1によって再びガラス基板Bを吸着して保持し、研磨済みのガラス基板Bをガラス基板研磨ヘッド1ごと研磨パッドP外に設けられるガラス基板取り外し位置まで搬送したのちに、ガラス基板研磨ヘッド1によるガラス基板Bの保持を解除してガラス基板Bを取り外す。
この後は、研磨作業を終了するか、上記の手順に従って新たなガラス基板Bの研磨作業を行う。
【0047】
このように構成される研磨装置では、ガラス基板研磨ヘッド1に用いられる第一の可撓性膜体23が、補強材Rが設けられたゴム膜とされているので、第一の可撓性膜体23に、自重及びサブキャリア本体21に装着する際の引張り応力に十分耐えられる強度と、長期間の使用及び着脱の繰り返しにも耐えられる耐久性とをもたせることができ、第一の可撓性膜体23の消耗を少なくしてその交換頻度を低減することができる。
これにより、研磨装置のメンテナンスにかかる費用や手間を低減することができるとともに、稼働率を向上させて、ガラス基板の製造コストを低減することができる。
【0048】
ここで、CMP法では、スラリーを用いてガラス基板Bの研磨を行うため、ガラス基板研磨ヘッド1にスラリーが付着する。ガラス基板研磨ヘッド1内にスラリーが侵入すると、ガラス基板研磨ヘッド1の性能が低下するので、適宜時期にガラス基板研磨ヘッド1の洗浄を行う。
【0049】
本実施の形態にかかるガラス基板研磨ヘッド1では、サブキャリア本体21の下端が第一の可撓性膜体23によって覆われており、テンプレート5が第一の可撓性膜体23の下面に装着されていて、ガラス基板研磨ヘッド1の下端においてスラリーの侵入する隙間がなくなるので、ガラス基板研磨ヘッド1の洗浄頻度を少なくすることができ、また洗浄も容易となる。
【0050】
さらに、このガラス基板研磨ヘッド1では、第一の可撓性膜体23はサブキャリア本体21に対してクランプリング24によって固定しており、クランプリング24はガラス基板研磨ヘッド1を分解することなしにサブキャリア本体21に対して着脱が可能とされている。
これにより、クランプリング24をサブキャリア本体21に対して着脱することで容易に第一の可撓性膜体23を着脱することができ、第一の可撓性膜体23の交換や、ガラス基板研磨ヘッド1の洗浄やメンテナンスが容易となる。
【0051】
【発明の効果】
本発明にかかるガラス基板研磨ヘッド及びこれを用いた研磨装置によれば、ガラス基板研磨ヘッドは、サブキャリア本体の下面を覆う可撓性膜体が、補強材を設けたゴム膜、ケブラー(登録商標)製の布、ゴアテックス(登録商標)製の膜、PET(ポリエチレンテフタレート)膜、ポリイミド樹脂膜のうちのいずれかで構成されているので、可撓性膜体に、自重及びサブキャリア本体に装着する際の引張り応力に十分耐えられる強度と、長期間の使用及び着脱の繰り返しにも耐えられる耐久性とをもたせることができ、可撓性膜体の消耗を少なくしてその交換頻度を低減することができる。
これにより、研磨装置のメンテナンスにかかる費用や手間を低減することができるとともに、稼働率を向上させて、ガラス基板の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる研磨装置及びガラス基板研磨ヘッドの構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】本実施形態にかかるガラス基板研磨ヘッドの分解図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板研磨ヘッド 3 サブキャリア
21 サブキャリア本体 23 第一の可撓性膜体
B ガラス基板
Claims (6)
- 研磨装置に装着されてガラス基板の上面側を保持して前記ガラス基板の研磨に供するガラス基板研磨ヘッドであって、
下端で前記ガラス基板の上面を受けるサブキャリアを有し、
該サブキャリアが、サブキャリア本体と、
該サブキャリア本体の下面を覆う可撓性膜体とを有し、
該可撓性膜体が、補強材を設けたゴム膜、ケブラー(登録商標)製の布、ゴアテックス(登録商標)製の膜、PET膜、ポリイミド樹脂膜のうちのいずれかで構成されていることを特徴とするガラス基板研磨ヘッド。 - 前記サブキャリアが、前記サブキャリア本体に対して着脱可能にして設けられて前記可撓性膜体の周縁を前記サブキャリア本体との間に挟みこんで固定するクランプリングを有していることを特徴とする請求項1記載のガラス基板研磨ヘッド。
- 前記クランプリングが、前記可撓性膜体の周縁を、前記サブキャリア本体の外周面との間に挟み込んで固定することを特徴とする請求項2記載のガラス基板研磨ヘッド。
- ガラス基板の上面側をガラス基板研磨ヘッドで保持してガラス基板の研磨を行う研磨装置であって、
前記ガラス基板研磨ヘッドとして、請求項1から3のいずれかに記載のガラス基板研磨ヘッドを用いていることを特徴とする研磨装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載のガラス基板研磨ヘッドによってガラス基板を保持して、
該ガラス基板の下面を研磨パッドの表面に当接させた状態で該研磨パッド上にスラリーを供給しつつ前記ガラス基板と前記研磨パッドとを相対移動させることで前記ガラス基板の表面を研磨することを特徴とするガラス基板研磨方法。 - 請求項1から3のいずれかに記載のガラス基板研磨ヘッドを用いて研磨したガラス基板。
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JP2009131920A (ja) * | 2007-11-29 | 2009-06-18 | Ebara Corp | 研磨装置及び方法 |
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2003
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