JP2004267978A - 下水二次処理水のpH低下方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】下水二次処理水のpH低下の処理コストが低減し、しかもその処理作業の安全性も高まる下水二次処理水のpH低下方法を提供する。
【解決手段】下水二次処理水を、二酸化炭素を含むガスにより曝気すると、ガス中の二酸化炭素が水に溶解する。これにより、下水二次処理水の中の水素イオン(H+)濃度が高まり、下水二次処理水のpHが低下する。よって、従来法のように硫酸などのpH調整剤を使用せずとも、二酸化炭素を含むガスにより下水二次処理水のpHを低下することができる。この結果、pH低下処理の設備コストおよびランニングコストを低減可能である。しかも、その処理作業の安全性も高められる。
【選択図】 図1
【解決手段】下水二次処理水を、二酸化炭素を含むガスにより曝気すると、ガス中の二酸化炭素が水に溶解する。これにより、下水二次処理水の中の水素イオン(H+)濃度が高まり、下水二次処理水のpHが低下する。よって、従来法のように硫酸などのpH調整剤を使用せずとも、二酸化炭素を含むガスにより下水二次処理水のpHを低下することができる。この結果、pH低下処理の設備コストおよびランニングコストを低減可能である。しかも、その処理作業の安全性も高められる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は下水二次処理水のpH低下方法、詳しくは二酸化炭素を含むガスを用いて下水二次処理水を曝気し、下水二次処理水の水素イオン濃度を高め、そのpHを低下させる下水二次処理水のpH低下技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
汚水処理方法としては、大量の汚水を安定して処理することができるため、活性汚泥法が汎用されている。活性汚泥方法では、まず一次処理により汚水中の粗大固形物(SS)を除去し、その後、活性汚泥を使用して一次処理水を生物学的に処理する。これは、二次処理と呼ばれている。
【0003】
二次処理後の処理水(以下、二次処理水)は、そのまま河川に放流すると、湖沼や内湾などの閉鎖性水域で赤潮などの富栄養化現象が発生するおそれがある。そのため、近年では生物学的方法あるいは化学的方法により窒素およびリンを除去している。そのような処理法の一つである晶析脱リン法の操作pHは、9〜10程度である。このため、脱リン処理水のpHを排水基準値8.6以下に低下させる後処理が必要となっている。
従来、二次処理水のpHの低下方法として、例えば非特許文献1のようなものが知られている。従来方法は、pH自動制御方式の硫酸注入施設において、脱リン処理水に所定量の硫酸を自動的に添加し、pHを8.6以下に低下させる方法である。
【0004】
【非特許文献1】「高度処理施設設計マニュアル(案)、平成6年5月25日発行、発行者:社団法人日本下水道協会、3−2−14(その他の前処理、後処理設備容量(2))143頁」
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来法では、このように大がかりなpH自動制御方式の硫酸注入施設を必要としたため、設備コストが高騰していた。また、pH低下剤として硫酸を使用するので、ランニングコストがかかり、取り扱いの安全性からも注意を要していた。
【0006】
そこで、発明者は、鋭意研究の結果、下水二次処理水を、二酸化炭素を含むガス、例えば0.03%の二酸化炭素が含まれる空気を用いて曝気すれば、下水二次処理水の水素イオン濃度が高まってpHが低下することを知見し、この発明を完成させた。
【0007】
【発明の目的】
この発明は、下水二次処理水のpH低下の処理コストを低減することができ、しかもその処理作業の安全性を高めることができる下水二次処理水のpH低下方法を提供することを、その目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、下水二次処理水を、二酸化炭素を含むガスを用いて曝気することで、前記下水二次処理水のpHを低下させる下水二次処理水のpH低下方法である。
下水二次処理水は、脱リン処理された水でもよいし、脱リン処理されていない水でもよい。
二酸化炭素を含むガスとしては、例えば炭酸ガスを採用することができる。その他、活性汚泥を用いて生物学的に一次処理水を処理する際に使用される二重ふく蓋槽から排出されたガスを採用することができる。このガスは、空気よりもCO2濃度が高い。
【0009】
ここでいう曝気とは、下水二次処理水と二酸化炭素を含むガスとを接触させ、二酸化炭素を下水二次処理水中に供給することである。
曝気装置としては、例えば二酸化炭素を含むガスを下水二次処理水中に吹き込む散気式曝気装置、攪拌部材により攪拌して二酸化炭素を含むガスを下水二次処理水と攪拌する機械攪拌式曝気装置などを採用することができる。散気式では、多孔質の散気板または散気管を採用することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記下水二次処理水は、種結晶を接触させてリン分を除去する晶析脱リンが施された脱リン処理水である請求項1に記載の下水二次処理水のpH低下方法である。
晶析脱リン法とは、種結晶の表面で晶析反応によりヒドロキシアパタイト(Ca5(OH)(PO4)3)の結晶を成長させる方法である。この方法の特徴は種結晶の成長であるため、汚泥は生成せず、また成長した結晶はリン資源として回収、再利用も可能である。この晶析反応は以下の通りである。
5Ca2++OH−+3PO4→Ca5(OH)(PO4)3
【0011】
晶析反応は、過飽和下水二次処理水中のリンを難溶性のヒドロキシアパタイトとして析出させるものである。ヒドロキシアパタイトの溶解度積はきわめて小さく(Ks=10〜55.9)、低いリン濃度の処理水を得ることができる。そのため、低濃度排水への運用が多い。
晶析脱リン装置としては、不足イオン種を添加、pH調整した後、種結晶の充填塔に通水、または種結晶の流動床に通水するものの2種類が知られている。
晶析脱リンされた下水処理水のpHは9〜10である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記二酸化炭素を含むガスが空気である請求項1または請求項2に記載の下水二次処理水のpH低下方法である。
空気中には、0.03%の二酸化炭素が含まれる。
【0013】
【作用】
この発明によれば、二酸化炭素を含むガスを用いて下水二次処理水を曝気すると、ガス中の二酸化炭素が水に溶解する。
H2O+CO2→H2CO3
さらに、アルカリ側では、次式のように右方向に反応が進む。
H2CO3→H++HCO3 −
これにより、下水二次処理水の中の水素イオン(H+)濃度が高まり、下水二次処理水のpHが低下する。pH8〜8.5のとき、水中の全無機炭素の約95%がHCO3 −であるので、pHがこの領域まで低下した後は、pHの低下速度は鈍化し、酸性側までpHが低下するような不都合は生じない。例えば、pH9.5の2リットルの下水二次処理水(水温15〜30℃)に対して、5リットル/分で空気を曝気すれば、約20分間で下水二次処理水のpHが8.6まで低下する。
このように、従来の硫酸などのpH調整剤を使用しなくても、安価で取り扱いが容易な二酸化炭素を含むガスにより下水二次処理水のpHを低下させることができる。その結果、pH低下処理の設備コストおよびランニングコストを低減することができる。しかも、その処理作業の安全性を高めることができる。
【0014】
特に、請求項3に記載の発明によれば、二酸化炭素を含むガスとして空気を採用したので、下水二次処理水のpH低下の処理コストをさらに低下することができる。しかも、この処理作業の安全性もさらに高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施例に係る下水二次処理水のpH低下方法を説明する。
図1に示すように、下水処理設備から排出されたリン分を含む下水二次処理水(以下、原水)を、種結晶を収納した晶析反応槽10に供給する。このとき、晶析反応槽10内の下水二次処理水のpH値が9〜10となるように水酸化カルシウムにより調整し、脱リン材と接触させる。水酸化カルシウムの添加により晶析に必要なカルシウムイオン濃度も同時に確保される。これにより、種結晶材の表面にヒドロキシアパタイトの結晶が生成され、原水が脱リンされる。
【0016】
次に、晶析反応槽10から排出された脱リン処理水は、pH低下槽20に供給される。pH低下槽20の下部には、散気管21が設けられている。ブロアから圧送された空気は、散気管21に形成された多数の孔を通して脱リン処理水中に噴出される。送気量は、pH低下槽20の水深、および、ブロアから発生する空気泡の粒径などに依存するので、一概には定められない。これにより、曝気時間が現実的に設定可能な30分程度でpH8.6となる曝気量を求めることとなる。
空気中には、0.03%の二酸化炭素が含まれている。そのため、曝気により空気中の二酸化炭素が脱リン処理水に溶解する。こうして、脱リン処理水の水素イオン(H+)濃度が高まりpHが低下する。
【0017】
その結果、従来の硫酸などのpH調整剤を使用しなくても、安価で取り扱いが容易な二酸化炭素を含むガスにより下水二次処理水のpHを低下させることができる。よって、pH低下処理の設備コストおよびランニングコストを低減することができ、その処理作業の環境を改善し、作業の安全性を高めることができる。
また、二酸化炭素を含むガスとして空気を採用したので、下水二次処理水のpH低下の処理コストをさらに低下することができる。しかも、この処理作業の安全性がさらに高まる。
【0018】
ここで、図2および図3のグラフを参照して、実際に脱リン処理水に空気を接触させて曝気し、pHを低下する試験を行った際の結果を報告する。
水酸化カルシウムによりpH9.5に調整された2リットルの脱リン処理水を、2リットル用メスシリンダに注入し、空気を散気球により5リットル/分で脱リン処理水の中に噴出した。
図2のグラフ(水温15℃)および図3のグラフ(水温30℃)のグラフから明らかなように、何れの場合でも20分間前後の曝気によって脱リン処理水のpHは、河川への放流可能なpH8.6程度まで低下した。
また、河川への排水基準のpH8.6には、水温15℃による試験(図2のグラフ)の方が水温30℃での試験(図3のグラフ)よりも短い時間で到達した。これは、気体の溶解度が低い水温ほど高まるためと考えられる。
両グラフにおいて、初期値がpH9.5でないのは、処理水タンクへの貯留中に、脱リン処理水のpHが低下したためである。
【0019】
【発明の効果】
この発明によれば、下水二次処理水を、二酸化炭素を含むガスを用いて曝気して下水二次処理水のpHを低下させるので、下水二次処理水のpH低下処理の設備コストおよびランニングコストを低減することができる。しかも、その処理作業の安全性も高まる。
【0020】
特に、請求項3に記載の発明によれば、二酸化炭素を含むガスとして空気を採用したので、下水二次処理水のpH低下の処理コストをさらに低減することができるとともに、この処理作業の安全性もさらに高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る下水二次処理水のpH低下方法が適用された下水処理設備を示す工程図である。
【図2】水温15℃における脱リン処理水に対しての空気曝気によるpH低下試験を示すグラフである。
【図3】水温30℃における脱リン処理水に対しての空気曝気によるpH低下試験を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
この発明は下水二次処理水のpH低下方法、詳しくは二酸化炭素を含むガスを用いて下水二次処理水を曝気し、下水二次処理水の水素イオン濃度を高め、そのpHを低下させる下水二次処理水のpH低下技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
汚水処理方法としては、大量の汚水を安定して処理することができるため、活性汚泥法が汎用されている。活性汚泥方法では、まず一次処理により汚水中の粗大固形物(SS)を除去し、その後、活性汚泥を使用して一次処理水を生物学的に処理する。これは、二次処理と呼ばれている。
【0003】
二次処理後の処理水(以下、二次処理水)は、そのまま河川に放流すると、湖沼や内湾などの閉鎖性水域で赤潮などの富栄養化現象が発生するおそれがある。そのため、近年では生物学的方法あるいは化学的方法により窒素およびリンを除去している。そのような処理法の一つである晶析脱リン法の操作pHは、9〜10程度である。このため、脱リン処理水のpHを排水基準値8.6以下に低下させる後処理が必要となっている。
従来、二次処理水のpHの低下方法として、例えば非特許文献1のようなものが知られている。従来方法は、pH自動制御方式の硫酸注入施設において、脱リン処理水に所定量の硫酸を自動的に添加し、pHを8.6以下に低下させる方法である。
【0004】
【非特許文献1】「高度処理施設設計マニュアル(案)、平成6年5月25日発行、発行者:社団法人日本下水道協会、3−2−14(その他の前処理、後処理設備容量(2))143頁」
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来法では、このように大がかりなpH自動制御方式の硫酸注入施設を必要としたため、設備コストが高騰していた。また、pH低下剤として硫酸を使用するので、ランニングコストがかかり、取り扱いの安全性からも注意を要していた。
【0006】
そこで、発明者は、鋭意研究の結果、下水二次処理水を、二酸化炭素を含むガス、例えば0.03%の二酸化炭素が含まれる空気を用いて曝気すれば、下水二次処理水の水素イオン濃度が高まってpHが低下することを知見し、この発明を完成させた。
【0007】
【発明の目的】
この発明は、下水二次処理水のpH低下の処理コストを低減することができ、しかもその処理作業の安全性を高めることができる下水二次処理水のpH低下方法を提供することを、その目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、下水二次処理水を、二酸化炭素を含むガスを用いて曝気することで、前記下水二次処理水のpHを低下させる下水二次処理水のpH低下方法である。
下水二次処理水は、脱リン処理された水でもよいし、脱リン処理されていない水でもよい。
二酸化炭素を含むガスとしては、例えば炭酸ガスを採用することができる。その他、活性汚泥を用いて生物学的に一次処理水を処理する際に使用される二重ふく蓋槽から排出されたガスを採用することができる。このガスは、空気よりもCO2濃度が高い。
【0009】
ここでいう曝気とは、下水二次処理水と二酸化炭素を含むガスとを接触させ、二酸化炭素を下水二次処理水中に供給することである。
曝気装置としては、例えば二酸化炭素を含むガスを下水二次処理水中に吹き込む散気式曝気装置、攪拌部材により攪拌して二酸化炭素を含むガスを下水二次処理水と攪拌する機械攪拌式曝気装置などを採用することができる。散気式では、多孔質の散気板または散気管を採用することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記下水二次処理水は、種結晶を接触させてリン分を除去する晶析脱リンが施された脱リン処理水である請求項1に記載の下水二次処理水のpH低下方法である。
晶析脱リン法とは、種結晶の表面で晶析反応によりヒドロキシアパタイト(Ca5(OH)(PO4)3)の結晶を成長させる方法である。この方法の特徴は種結晶の成長であるため、汚泥は生成せず、また成長した結晶はリン資源として回収、再利用も可能である。この晶析反応は以下の通りである。
5Ca2++OH−+3PO4→Ca5(OH)(PO4)3
【0011】
晶析反応は、過飽和下水二次処理水中のリンを難溶性のヒドロキシアパタイトとして析出させるものである。ヒドロキシアパタイトの溶解度積はきわめて小さく(Ks=10〜55.9)、低いリン濃度の処理水を得ることができる。そのため、低濃度排水への運用が多い。
晶析脱リン装置としては、不足イオン種を添加、pH調整した後、種結晶の充填塔に通水、または種結晶の流動床に通水するものの2種類が知られている。
晶析脱リンされた下水処理水のpHは9〜10である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記二酸化炭素を含むガスが空気である請求項1または請求項2に記載の下水二次処理水のpH低下方法である。
空気中には、0.03%の二酸化炭素が含まれる。
【0013】
【作用】
この発明によれば、二酸化炭素を含むガスを用いて下水二次処理水を曝気すると、ガス中の二酸化炭素が水に溶解する。
H2O+CO2→H2CO3
さらに、アルカリ側では、次式のように右方向に反応が進む。
H2CO3→H++HCO3 −
これにより、下水二次処理水の中の水素イオン(H+)濃度が高まり、下水二次処理水のpHが低下する。pH8〜8.5のとき、水中の全無機炭素の約95%がHCO3 −であるので、pHがこの領域まで低下した後は、pHの低下速度は鈍化し、酸性側までpHが低下するような不都合は生じない。例えば、pH9.5の2リットルの下水二次処理水(水温15〜30℃)に対して、5リットル/分で空気を曝気すれば、約20分間で下水二次処理水のpHが8.6まで低下する。
このように、従来の硫酸などのpH調整剤を使用しなくても、安価で取り扱いが容易な二酸化炭素を含むガスにより下水二次処理水のpHを低下させることができる。その結果、pH低下処理の設備コストおよびランニングコストを低減することができる。しかも、その処理作業の安全性を高めることができる。
【0014】
特に、請求項3に記載の発明によれば、二酸化炭素を含むガスとして空気を採用したので、下水二次処理水のpH低下の処理コストをさらに低下することができる。しかも、この処理作業の安全性もさらに高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施例に係る下水二次処理水のpH低下方法を説明する。
図1に示すように、下水処理設備から排出されたリン分を含む下水二次処理水(以下、原水)を、種結晶を収納した晶析反応槽10に供給する。このとき、晶析反応槽10内の下水二次処理水のpH値が9〜10となるように水酸化カルシウムにより調整し、脱リン材と接触させる。水酸化カルシウムの添加により晶析に必要なカルシウムイオン濃度も同時に確保される。これにより、種結晶材の表面にヒドロキシアパタイトの結晶が生成され、原水が脱リンされる。
【0016】
次に、晶析反応槽10から排出された脱リン処理水は、pH低下槽20に供給される。pH低下槽20の下部には、散気管21が設けられている。ブロアから圧送された空気は、散気管21に形成された多数の孔を通して脱リン処理水中に噴出される。送気量は、pH低下槽20の水深、および、ブロアから発生する空気泡の粒径などに依存するので、一概には定められない。これにより、曝気時間が現実的に設定可能な30分程度でpH8.6となる曝気量を求めることとなる。
空気中には、0.03%の二酸化炭素が含まれている。そのため、曝気により空気中の二酸化炭素が脱リン処理水に溶解する。こうして、脱リン処理水の水素イオン(H+)濃度が高まりpHが低下する。
【0017】
その結果、従来の硫酸などのpH調整剤を使用しなくても、安価で取り扱いが容易な二酸化炭素を含むガスにより下水二次処理水のpHを低下させることができる。よって、pH低下処理の設備コストおよびランニングコストを低減することができ、その処理作業の環境を改善し、作業の安全性を高めることができる。
また、二酸化炭素を含むガスとして空気を採用したので、下水二次処理水のpH低下の処理コストをさらに低下することができる。しかも、この処理作業の安全性がさらに高まる。
【0018】
ここで、図2および図3のグラフを参照して、実際に脱リン処理水に空気を接触させて曝気し、pHを低下する試験を行った際の結果を報告する。
水酸化カルシウムによりpH9.5に調整された2リットルの脱リン処理水を、2リットル用メスシリンダに注入し、空気を散気球により5リットル/分で脱リン処理水の中に噴出した。
図2のグラフ(水温15℃)および図3のグラフ(水温30℃)のグラフから明らかなように、何れの場合でも20分間前後の曝気によって脱リン処理水のpHは、河川への放流可能なpH8.6程度まで低下した。
また、河川への排水基準のpH8.6には、水温15℃による試験(図2のグラフ)の方が水温30℃での試験(図3のグラフ)よりも短い時間で到達した。これは、気体の溶解度が低い水温ほど高まるためと考えられる。
両グラフにおいて、初期値がpH9.5でないのは、処理水タンクへの貯留中に、脱リン処理水のpHが低下したためである。
【0019】
【発明の効果】
この発明によれば、下水二次処理水を、二酸化炭素を含むガスを用いて曝気して下水二次処理水のpHを低下させるので、下水二次処理水のpH低下処理の設備コストおよびランニングコストを低減することができる。しかも、その処理作業の安全性も高まる。
【0020】
特に、請求項3に記載の発明によれば、二酸化炭素を含むガスとして空気を採用したので、下水二次処理水のpH低下の処理コストをさらに低減することができるとともに、この処理作業の安全性もさらに高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る下水二次処理水のpH低下方法が適用された下水処理設備を示す工程図である。
【図2】水温15℃における脱リン処理水に対しての空気曝気によるpH低下試験を示すグラフである。
【図3】水温30℃における脱リン処理水に対しての空気曝気によるpH低下試験を示すグラフである。
Claims (3)
- 下水二次処理水を、二酸化炭素を含むガスを用いて曝気することで、前記下水二次処理水のpHを低下させる下水二次処理水のpH低下方法。
- 前記下水二次処理水は、種結晶を接触させてリン分を除去する晶析脱リンが施された脱リン処理水である請求項1に記載の下水二次処理水のpH低下方法。
- 前記二酸化炭素を含むガスが空気である請求項1または請求項2に記載の下水二次処理水のpH低下方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003065542A JP2004267978A (ja) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | 下水二次処理水のpH低下方法 |
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JP2003065542A JP2004267978A (ja) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | 下水二次処理水のpH低下方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2003065542A Withdrawn JP2004267978A (ja) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | 下水二次処理水のpH低下方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008207166A (ja) * | 2007-01-31 | 2008-09-11 | Tokyo Gas Co Ltd | 排水リサイクル方法 |
JP2009136862A (ja) * | 2007-11-14 | 2009-06-25 | Hokkaido Univ | 高アルカリ水処理方法および処理装置 |
-
2003
- 2003-03-11 JP JP2003065542A patent/JP2004267978A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008207166A (ja) * | 2007-01-31 | 2008-09-11 | Tokyo Gas Co Ltd | 排水リサイクル方法 |
JP4651642B2 (ja) * | 2007-01-31 | 2011-03-16 | 東京瓦斯株式会社 | 排水リサイクル方法 |
JP2009136862A (ja) * | 2007-11-14 | 2009-06-25 | Hokkaido Univ | 高アルカリ水処理方法および処理装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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