JP2004267110A - ペット用栄養補助食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】牛乳に添加してペットに供する栄養補助食品であり、かつ、牛乳中の乳糖を分解するラクターゼを含有するペット用栄養補助食品。更に、機能性食材として牛乳の初乳粉末、カルシウム含有食材、調整粉乳、繊維含有食材、卵黄粉末から選ばれる1種または2種以上を更に含有することもできる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、犬、猫などの愛玩動物に対し牛乳を安全に与えることができ、更に、牛乳と共に他の栄養補助食品をも与えることができるペット用栄養補助食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
乳製品は、栄養価に富み、かつ、そのバランスの良い食料である。そのため、家庭で飼育される犬、猫などの小動物向けの食品としても、乳製品を家庭で当該ペットに与えることができるならば栄養面から有利である。ところが、乳製品のうち、一般に市販され、最も入手が容易でかつ安価である牛乳に関しては、そのまま犬や猫に与えてはいけないとされている。その理由は、一般に市販されている牛乳には、成分として乳糖を多く含むところ、一般的に犬および猫類は、この乳糖を分解する酵素を体内に多くは持たないからであり、牛乳を摂取した場合には、その乳糖の分解不全により下痢などの症状を引き起こすことが知られている。
【0003】
そこで、従来からペット用として、牛乳から乳糖を除去または減少させた加工乳および粉乳が開発され、実際にペットショップなどにおいて販売されている。このような加工乳などは下痢など招くおそれがなく、犬や猫に安全に与えることができる。しかしながら、ペット用という特殊な用途に調製した加工乳などは、ペットショップ以外では入手が容易とはいえない。また、入手が容易ではないが故に、ユーザーは、まとめ買いをすることが多く、そのため、当該加工乳には、日持ちを長くするロングライフ化がされている。更に、加工乳などは、かような乳糖除去加工やロングライフ化加工を施しているために、必然的に高価になっている。これらのことから、牛乳から乳糖を除去または減少させた加工乳や粉乳は、一般的にペットの副食用食品として普及するには至っていないのが現状である。
【0004】
また、特許文献1には、ペット用粉乳に関して、ラクトースおよびラクターゼを含有する牛乳粉末を含むペット乳粉末が開示されている。しかしながら、この特表2002−524064号公報に開示されたペット用粉乳は、やはり、ペット用として特別に調製されたものであるから、高価になってしまうことは否めない。
【0005】
【特許文献1】
特表2002−524064号公報(第1頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、スーパーマーケットなどの食品売り場で容易に、かつ日常的に安価に入手できる牛乳を、犬や猫などの小動物に下痢などの心配なく安全に与えることができ、更には牛乳と同時に他の機能性食材をも与えることができるペット用栄養補助食品を、その有利な使用方法、それを用いたペット用飲料およびその製造方法とともに提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のペット用栄養補助食品は、牛乳に添加してペットに供する栄養補助食品であり、かつ、牛乳中の乳糖を分解するラクターゼを含有することを特徴とする。かかる本発明のペット用栄養補助食品は、機能性食材として牛乳の初乳粉末、カルシウム含有食材、調整粉乳、繊維含有食材、卵黄粉末から選ばれる1種または2種以上を更に含有することが可能である。
【0008】
また、本発明のペット用栄養補助食品は、粉末状または顆粒状であることが、牛乳への溶解が容易であるために好ましい。そして、当該本発明のペット用栄養補助食品は、ペットに給餌する際の便宜のために、1使用量ごとに分包されていることが望ましい。したがって、本発明のペット用栄養補助食品の製造方法においては、本発明のペット用栄養補助食品を粉末状または顆粒状とした後、1使用量ごとに分包することを特徴とする。
【0009】
更に、本発明のペット用栄養補助食品の使用方法においては、牛乳中の乳糖を分解するラクターゼを含有するペット用栄養補助食品を、牛乳100cm3に対してラクターゼが0.02〜0.5gとなる割合で牛乳に添加し、しかる後にペットに供することを特徴とする。かくして、本発明のペット用栄養補助食品を牛乳に添加したものは、栄養価に富むペット用飲料である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のペット用栄養補助食品では、スーパーマーケットなどの食品売り場で安価に入手可能である人間の食品用の牛乳をそのまま、すなわち、粉乳などの形態加工を施すことなく、犬・猫等に与えることを可能にするために、牛乳に含まれる乳糖等を調整する作用を有するラクターゼを含有させた。ラクターゼは、牛乳内に含まれる乳糖を小動物の体内で消化吸収させるために必要な消化酵素である。また、本発明のペット用栄養補助食品では、更に、必要に応じて、犬・猫等の小動物の体調維持に、より効果的な成分を補填するための機能性食材を含有させた。機能性食材としては、例えば、小動物の免疫を向上させるための初乳粉末や乳成分の濃度を高めるための調整粉乳などがある。本発明のペット用栄養補助食品は、代表的には粉末状の製品とされ、かかる製品を人間向け食品として販売される牛乳に添加することにより、小動物の飼育者は、下痢等の心配なく安全に、飼育している小動物に牛乳を与えることが可能となる。
【0011】
以下、本発明のペット用栄養補助食品について、より具体的に説明する。
本発明の製品は、1種または2種以上の機能性材料を効果的に配合させたものである。その機能性材料として以下に説明する成分を含有させる。
【0012】
a: 乳糖分解酵素「ラクターゼ」
牛乳内の乳糖は、D−ガラクトースとD−グルコースの1分子ずつが、β−1,4結合した二糖類である。この乳糖が小動物らの体内において消化管から吸収されるためには、その構成糖であるグルコースとガラクトースとのそれぞれに分解される必要がある。ここに、消化器管内でのラクトースの分解は、小腸粘膜上皮に存在するβ−ガラクトシーゼ(ラクターゼ)によってなされる。しかし、犬・猫らの小動物は、母乳を摂取する乳幼児期においてはラクターゼ活性が、ある程度高く見られるけれども、成長するに従ってラクターゼ活性が低下する。そのため、ラクターゼ活性が低下している小動物が、乳糖を含む食物を摂取すると、分解されなかったラクトースが消化管下部にたまり、腸内の浸透圧を高めたり、腸内細菌によって分解されたりして、腹痛・下痢・鼓腸などの不調を招く。それが故に、母乳摂取時期を過ぎた犬・猫等小動物らは、乳糖の調整を行っていない人間用食品としての牛乳を摂取すると、下痢等の症状を起こす場合が多く見られるのである。
【0013】
これらの症状を防ぐためには、牛乳に予め乳糖消化酵素であるラクターゼを添加し、小腸内におけるラクターゼの活性を高めてやればよい。しかし、ラクターゼの活性には、特定の温度条件とpHの条件が必要であることが知られている。一般に、ラクターゼの活性には、雰囲気温度35〜55℃、pH3.5前後の環境条件が必要である。そのため、例えば、人間の例を挙げると、冷蔵庫から出したばかりの5℃前後の約200cm3の牛乳を一気に飲み干してしまった場合、空腹時には所定のラクターゼ活性条件まで牛乳の温度上昇が見られぬまま、小腸に達してしまう場合がある。したがって、犬・猫等小動物らにラクターゼを添加した牛乳を与える場合にも、牛乳を予め35〜55℃に加熱することが必要であると想定された。このような予熱は、余計な手間がかかるし、また、加熱後は適度な温度にまで十分に冷まさなければ犬や猫などに供することができないので実用化には不利である。
【0014】
ところが、発明者らの研究によれば、予想外にも、ラクターゼを添加した牛乳を犬・猫等小動物らに与える場合には、牛乳を予熱しなくても十分に、下痢等の症状を防止することができることが判明したのである。これは、次の理由によるものと考えられる。犬・猫等小動物らは、牛乳など液状の物質を摂取する際には、舌ですくい取るように口内に取り込む特徴がある。このとき、一度に口内に取り込む量は、小型の猫等においては約2cm3ほど、大型犬の場合でも約10cm3前後と少量になる。このようにして少量ずつ摂取された牛乳は、咽頭部、食道、胃と通過する過程で体温(38℃)と同等の温度まで昇温、保温される。その結果、小腸に達するときにはラクターゼの活性に最適な温度条件が得られる。また、pH条件については、体内に取り込まれた牛乳が胃部において酸性の胃液と少量ずつ混合撹拌されることにより、小腸に達するときにはラクターゼの活性に最適なpH条件を確保することが可能となる。
【0015】
よって、本発明のペット用栄養補助食品では、牛乳にラクターゼを添加する際には、牛乳を予め予熱させる必要はなく、冷蔵庫から出した状態の低い温度(5〜10℃)でも十分に乳糖の分解が可能となっている。
【0016】
かくして、本発明のペット用栄養補助食品は、ラクターゼを含有させることにより、牛乳内に含まれる乳糖の分解という効果が得られる。
【0017】
上述のラクターゼの他に、本発明のペット用栄養補助食品では、機能性食材として牛乳の初乳粉末、カルシウム含有食材、調整粉乳、繊維含有食材、卵黄粉末から選ばれる1種または2種以上を含有させることができる。
【0018】
b: 初乳粉末
乳牛が出産をした直後に得られる乳を粉末加工した材料である。初乳には、免疫機能を調節する作用のある成分が多く含まれていることが知られている。特に、初乳に多く含まれるラクトフェリンは、抗菌作用、免疫機能調整作用、鉄吸収調節作用、細胞増殖促進作用、酸化抑制作用等があることが知られており、犬・猫等小動物らの健康維持に有益な作用をもたらす。かくして、本発明のペット用栄養補助食品に初乳粉末を含有させることにより、免疫調節作用、抗菌作用等小動物らの健康維持という効果が得られる。
【0019】
c: カルシウム含有食材
軽質炭酸カルシウムなどのカルシウム含有食材は、カルシウムの供給源となり得る材料である。また、溶解性の改善に役立つ作用もある。したがって、本発明のペット用栄養補助食品に、軽質炭酸カルシウムなどを含有させることにより、当該ペット用栄養補助食品の溶解性・分散性の向上という効果が得られるとともに、カルシウムという栄養の補助になるという効果が得られる。
【0020】
d: 調整粉乳
牛乳それ自体、非常に良くバランスされた栄養成分を有している。しかし、犬・猫等の小動物らの場合、それらの母乳は、牛の母乳(牛乳)よりもはるかに濃い成分を含有している。したがって、母乳を摂取する幼少時において牛の母乳(牛乳)よりもはるかに濃い成分の母乳を摂取しており、また、新陳代謝が早い等の特徴からも、犬・猫等の小動物らには、牛乳よりたんぱく質や脂質等を多く含む乳が栄養素としてのバランス上適当である。したがって、牛乳に、予め調合された調整粉乳を添加して乳の成分構成をより濃くすることは有益である。そこで、本発明のペット用栄養補助食品においては、調整粉乳を含有させることができ、これにより、乳の成分を濃くすることができるという栄養補助の観点からの効果が得られる。
【0021】
e: 繊維含有食材
繊維含有食材は、特に、猫の毛玉対策に有効である。かかる繊維含有食材としては、例えば麦芽玄米粉がある。この麦芽玄米粉は、食物繊維が豊富で、しかも、γ−アミノ酪酸が豊富である。更に、強力で豊富な抗酸化物質でもあるので有利である。アルファ化度が95%以上ある麦芽玄米粉は、消化吸収率が高い。そこで、本発明のペット用栄養補助食品は、麦芽玄米粉を代表例とする繊維含有食材を含有させることができる。
【0022】
f: 卵黄粉末
卵黄は、免疫機能を向上させる効果がある。したがって、本発明のペット用栄養補助食品は、卵黄粉末を含有させることができる。
【0023】
なお、本発明のペット用栄養補助食品では、ビタミン類、ミネラル類をさらに含有させることもできる。
【0024】
以上述べた成分を含有するペット用栄養補助食品は、粉末状または顆粒状であることが好ましい。これは、牛乳に添加するときに、容易に溶解することができるようにするためである。
【0025】
このように粉末状または顆粒状としたペット用栄養補助食品は、犬や猫などに牛乳を供する1回の使用量ごとに分包されることが、使い勝手を向上させるために好ましい。一例を挙げると、牛乳100cm3に対して、本発明のペット用栄養補助食品を3g程度添加することとして、その3gの分量をスティック状に分包する。こうすれば、ペットの飼育者は、牛乳を与える度に栄養補助食品を秤量する必要がなくなり、過不足なく簡便に当該栄養補助食品を与えることが可能となる。
【0026】
本発明のペット用栄養補助食品において、ラクターゼの好適含有量は、牛乳を与えるペットの大きさ、ペットが有するラクターゼ活性の多少などの個体差があるため、一概にはいえないが、例えば、牛乳100cm3に対してペット用栄養補助食品を3g添加する場合に、ラクターゼが0.02〜0.5gとなる割合で牛乳に添加することができる。ラクターゼの量が0.02gより少ないと、十分な下痢防止効果を得るのが難しく、一方、0.5gよりも多くても、所期した効果は飽和する。その他の機能性食材は、所望の効果を発揮させる量で適宜含有させる。
【0027】
本発明のペット用栄養補助食品は、使用に当たり1スティック(3g入り)の製品を、100cm3の牛乳に添加し、よく撹拌して犬・猫等小動物らに与えることができる。本発明のペット用栄養補助食品を牛乳に添加したものは、ペット用飲料として用いることができるし、他の用途としては、ペット用氷菓の原料とすることもできる。すなわち、本発明のペット用栄養補助食品を予め添加した牛乳を民生用冷蔵庫で凍結せしめ、氷菓としてペットに与えることが可能である。この場合、調整粉乳などを含有させた本発明のペット用栄養補助食品は、氷菓の乳成分の濃度を向上させる手段として、非常に有効である。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を、具体的な実施例により詳細に説明する。
(実施例1)
ペット用栄養補助食品としてラクターゼ粉末を単独で、牛乳100cm3に対してラクターゼが0.02〜0.5gの範囲となる割合となるように、0.03gを牛乳に添加した。このラクターゼを含有させた牛乳100cm3を犬15匹(1〜7歳)にそれぞれ供したところ、いずれの犬も特に嫌うことなく全量を食した。そして、食後には特に下痢などの症状を起こすことはなかった。
【0029】
一方、比較のために、ラクターゼ粉末を添加しない牛乳100cm3を同じ犬に供したところ、15匹中、9匹には下痢の症状がみられた。
【0030】
(実施例2)
ラクターゼ粉末を、牛乳100cm3に対してラクターゼが0.02〜0.5gの範囲となる割合となるように0.03gの量を用意した。また、初乳粉末を0.06g、軽質炭酸カルシウム粉末を0.9g、調整粉乳を2.01g用意した。これらのラクターゼ粉末、初乳粉末、軽質炭酸カルシウム粉末および調整粉乳を混合して得られたペット用栄養補助食品3gを、牛乳100cm3に添加した。このペット用栄養補助食品を含有させた牛乳100cm3を犬15匹(1〜7歳)にそれぞれ供したところ、いずれの犬も特に嫌うことなく全量を食した。そして、食後には特に下痢などの症状を起こすことはなかった。
【0031】
【発明の効果】
本発明のペット用栄養補助食品は、牛乳中の乳糖を分解するラクターゼを含有することから、入手が容易な人間用の牛乳に添加してペットに与えても、下痢等の不具合を生じることがない。また、ラクターゼの他に牛乳の初乳粉末、カルシウム含有食材、調整粉乳、繊維含有食材、卵黄粉末などの機能性食材を含有させることができるので、ペットの健康管理に最適な栄養補助食品である。
Claims (6)
- 牛乳に添加してペットに供する栄養補助食品であり、かつ、牛乳中の乳糖を分解するラクターゼを含有するペット用栄養補助食品。
- 機能性食材として牛乳の初乳粉末、カルシウム含有食材、調整粉乳、繊維含有食材、卵黄粉末から選ばれる1種または2種以上を更に含有する請求項1記載のペット用栄養補助食品。
- 粉末状または顆粒状である請求項1または2記載のペット用栄養補助食品。
- 請求項1または2記載のペット用栄養補助食品を粉末状または顆粒状とした後、1使用量ごとに分包することを特徴とするペット用栄養補助食品の製造方法。
- 牛乳中の乳糖を分解するラクターゼを含有するペット用栄養補助食品を、牛乳100cm3に対してラクターゼが0.02〜0.5gとなる割合で牛乳に添加し、しかる後にペットに供することを特徴とするペット用栄養補助食品の使用方法。
- 請求項1または2記載のペット用栄養補助食品を、牛乳に添加したペット用飲料。
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EP3081221A4 (en) * | 2013-12-13 | 2017-08-09 | Saisei Pharma Co., Ltd. | Bovine colostrum enzyme processed product, production method therefor, composition, and food or beverage |
CN114343054A (zh) * | 2022-01-12 | 2022-04-15 | 安徽爱不停蛋白质饲料有限公司 | 一种能够提高动物泌乳能力的复合预混料 |
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2003
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