JP2004267012A - オフセット作業機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】作業部20のオフセット位置を調整自在にしたオフセット位置調整機構40と、作業部20の作業方向を回動調整自在にした作業方向調整機構50と、作業部20と作業部20によって作業がなされる基準作業線Oとの位置関係を検出する検出部60と、検出部60からの検出信号に基づいて、オフセット位置調整機構40を動作させて作業部20のオフセット位置を調整すると共に作業方向調整機構50を動作させて作業部20の作業方向を調整する制御手段とを備え、作業部20の作業位置と作業方向を基準作業線Oに沿うように制御する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行機体に装着される作業機であって、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業することができるオフセット作業機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラクタ等の走行機体に装着され、走行機体の進行方向に沿って圃場における各種の連続直進作業を行う作業機は、農業又は土木用機械としては一般的なものであり、作業の種類に応じた各種の作業機がある。このような作業機の中で、作業の特殊性から、走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業させるオフセット作業機が、畦塗り機、溝形成機、草刈り機等として知られている(特許文献1〜3参照)。
【0003】
特に、畦塗り機は、広い圃場の全周に亘って畦を成形するものであって、多大な時間と労力を要する畦塗り作業の機械化を達成したものとして近年注目されている。この畦塗り機の基本構成としては、走行機体の後部に装着され、走行機体からの動力が入力される入力軸を備える装着部と、入力軸からの動力を伝達する動力伝達機構を備えると共にオフセット位置での機体支持を行うオフセット機構部と、伝達された動力によってオフセット位置で畦塗り作業を行う作業部とを備え、この作業部は、旧畦の一部を切り崩して土盛りを行う前処理部と盛られた土を切り崩された旧畦上に塗り付ける整畦部とからなっている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−28903号公報
【特許文献2】
実開昭57−22557号公報
【特許文献3】
実用新案登録第2537586号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなオフセット作業機は、走行機体の進行に沿ってオフセット位置での直進作業を行うものであるが、矩形の圃場において圃場の辺に沿った直進作業を行う場合に、走行機体の先端部分が圃場の端に到達した時点でその後の直進作業を行うことができなくなるという共通の問題がある。
【0006】
特に、矩形圃場の周辺に沿って直線的な畦塗り作業を行う畦塗り機においては、走行機体の先端が圃場端部に達した時点でそこから先の畦塗り作業を行うことができなくなるので、矩形圃場の四隅に必ず未作業部分が残ってしまうという問題が生じる。この問題を解決するために、作業部を通常作業時とは反対側のオフセット位置に移動させると共にその前後関係を反転(反転リバース)させ、四隅の未作業部分に対して走行機体を後進させながら作業を行う、反転リバース機構を備えた畦塗り機が開発されている。
【0007】
しかしながら、このような解決策によると、作業部を反転リバースさせるための複雑な機構を装備しなければならないので、作業機の高重量化,大型化,高価格化を招くことになり、また、残りの未作業部分に対して走行機体を後進させて作業することになるので、作業の熟練性が要求され、特に走行性の悪い湿田等においては後進作業が非常に困難な状況になり、作業性の面で問題がある。
【0008】
更には、このような反転リバースによる作業では、走行機体を停止させてオフセット作業機の作業部を反転リバースさせ、走行機体の進行方向を変えて作業位置を調整した後に作業を再始動させることになるので、連続作業を一旦中止せざるを得ず、作業能率が著しく低下するという問題が生じる。
【0009】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものであって、走行機体に装着され、走行機体の進行に沿ってオフセット位置で直進作業を行うオフセット作業機において、圃場の端までの連続的な直進作業を可能にすることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明によるオフセット作業機は、以下の各請求項に係る特徴を具備するものである。
【0011】
請求項1に係る発明は、走行機体に装着され、該走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業する作業部を備え、前記走行機体の進行に沿って直進作業を行うオフセット作業機において、前記作業部のオフセット位置を調整自在にしたオフセット位置調整機構と、前記作業部の作業方向を回動調整自在にした作業方向調整機構と、前記作業部と該作業部によって作業がなされる基準作業線との位置関係を検出する検出手段と、該検出手段からの検出信号に基づいて、少なくとも前記オフセット位置調整機構を動作させて前記作業部のオフセット位置を調整すると共に前記作業方向調整機構を動作させて前記作業部の作業方向を調整する制御手段とを備え、前記作業部の作業位置と作業方向を前記基準作業線に沿うように制御することを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、前述のオフセット作業機を前提として、前記基準作業線は、前記作業部によって既に直進作業がなされた作業跡に基づいて設定されることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、前述のオフセット作業機を前提として、前記基準作業線は、前記作業部が直進作業を行う予定線に基づいて設定されることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、前述のオフセット作業機を前提として、前記検出手段は、前記作業部の作業位置と前記基準作業線とのずれ幅と前記作業部の作業方向と前記基準作業線との角度ずれとを検出し、前記制御手段は、前記ずれ幅に基づいて前記オフセット位置調整機構を動作させ、前記角度ずれに基づいて前記作業方向調整機構を動作させることを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明は、前述のオフセット作業機を前提として、前記検出手段は、前記基準作業線に当接される基準部材と、該基準部材と前記作業部とを連結するリンク機構と、該リンク機構と前記基準部材又は前記作業部との連結角度を検出する検出器とを備えることを特徴とする。
【0016】
請求項6に係る発明は、前述のオフセット作業機を前提として、前記制御手段は、前記検出手段からの検出信号に基づいて、前記オフセット位置を調整すると共に前記作業部の作業方向を調整する自動直進モードと、前記オフセット位置と前記作業部の作業方向とを設定状態に固定する固定作業モードとを切換可能にしたことを特徴とする。
【0017】
請求項7に係る発明は、前述のオフセット作業機を前提として、前記制御手段は、操作部からの調整信号によって、前記オフセット位置の調整又は前記作業部における作業方向の調整を行う手動調整モードを有することを特徴とする。
【0018】
請求項8に係る発明は、前述のオフセット作業機において、前記オフセット作業機は、圃場の周辺に沿って畦を成形する畦塗り機であることを特徴とする。
【0019】
このような各請求項に係るオフセット作業機は、以下のような作用を有する。
【0020】
第1には、走行機体の旋回等によって、検出手段によって作業部と基準作業線との位置関係のずれが検出された場合には、この検出手段からの検出信号に基づいて、制御手段がオフセット位置調整機構と作業方向調整機構を動作させ、作業部が基準作業線に沿って作業するように制御がなされる。
【0021】
つまり、このオフセット作業機の作業部は、走行機体の方向転換に拘わらず、直進作業を維持することができ、圃場内で走行機体が旋回している間にも、作業部の直進作業を維持させ圃場の端部に至るまで直進作業を継続させることができる。したがって、前進のみの連続作業によって圃場の端部まで作業を行うことができ、作業能率が高く、作業性が良好なオフセット作業が可能になる。
【0022】
また、通常の直進作業時において走行機体が不安定な走行を行った場合にも、作業部を基準作業線に沿って直進作業させることができ、走行性の悪い圃場等においても、精度の高いオフセット位置での直進作業を行うことが可能になる。
【0023】
第2には、前述の作用に併せて、前述した基準作業線を作業部によって既に直進作業がなされた作業跡に基づいて設定することで、精度の高い位置関係の検出が可能になる。すなわち、直進作業を行う作業部は直線状の作業跡を残すので、これに基づいて作業部の位置を検出して、前述した制御を行うことで、作業部を作業跡の延長線上に沿って作業させることが可能になる。畦塗り機等においては、作業跡は整地された面になるので、基準作業線が安定した線になり、制御精度を向上させることができる。
【0024】
第3には、前述した基準作業線を、作業機が直進作業を行う予定線に基づいて設定することもできる。これは畦塗り作業における旧畦のように作業予定線が明確に存在する場合に有効である。前述した作業跡に基づく基準作業線の設定と併用することも可能である。
【0025】
第4には、前述した作用と併せて、検出手段は、作業部の作業位置と基準作業線とのずれ幅と作業部の作業方向と基準作業線との角度ずれとを検出し、制御手段は、検出されたずれ幅に基づいてオフセット位置調整機構を動作させ、検出された角度ずれに基づいて作業方向調整機構を動作させる。これによって、作業部が基準作業線から離れようとすると、オフセット位置調整機構によって作業部を基準作業線に近づける制御がなされ、旋回等によって作業部の作業方向が変えられようとすると、作業方向調整機構によって作業部の作業方向を基準作業線の方向に合わせる制御がなされる。したがって、前述したような直進作業を自動継続させることができる。
【0026】
第5には、前述した検出手段は、基準作業線に当接される基準部材と、この基準部材と作業部とを連結するリンク機構と、このリンク機構と基準部材又は作業部との連結角度を検出する検出器とによって構成できる。これによると、リンク機構と基準部材又は作業部との連結角度を枢着角度センサ又はリミットスイッチ等によって検出し、この検出角度に基づいて、作業部と基準作業線とのずれ幅及び角度ずれを検出することができる。
【0027】
第6には、前述した制御手段は、これまで説明した制御を行う自動直進モードに加えて、このような制御を行わないで、作業部のオフセット位置と作業方向とを設定状態に固定する固定作業モードを選択することができる。これによると、安定した基準作業線が取れない作業状況下においては、固定作業モードを選択して、走行機体の進行方向に沿った直進作業を行わせることができる。また、通常の直進作業においては固定作業モードによって作業を行い、走行機体が圃場の端部に近づいて旋回をはじめる前に自動直進モードを選択して、圃場端部に至るまでの直進作業を行わせることができる。
【0028】
第7には、また前述した制御手段は、これに加えて、例えば走行機体側に設けた操作部からの調整信号によって、オフセット位置の調整又は作業部における作業方向の調整を行う手動調整モードを有するので、操作部からの遠隔操作によって作業部のオフセット位置又は作業方向を微調整することが可能になる。
【0029】
第8には、このようなオフセット作業機を圃場の周辺に沿って畦を成形する畦塗り機に適用することによって、これまで作業部を反転リバースさせた後に後進作業によって行っていた矩形圃場の四隅塗り残し作業を、連続した直進のみの作業によって行うことができるようになる。これによると、畦塗り作業の作業容易性と作業能率を著しく向上させることができると共に、反転リバース機構を設ける必要がないので、作業機の軽量化と小型化が可能になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るオフセット作業機の主要構成を示す説明図である。オフセット作業機1は、トラクタ等の走行機体2における3点リンク等の連結手段3に装着される装着部10と、走行機体2の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業する作業部20と、装着部10に一端が軸部31において回動自在に軸支され、作業部20に他端が軸部32において回動自在に軸支されて、装着部10に対して作業部20をオフセット位置に支持するオフセットリンク機構部30とを備えるものである。
【0031】
ここで、各作業機の特性に応じて、装着部10には走行機体2からの動力が入力される入力軸が設けられ、オフセットリンク機構30にはこの入力軸からの動力を作業部に伝達する動力伝達機構が設けられ、また、作業部20には、各種作業を行うための駆動部とそれを駆動させるための伝動部が設けられている。
【0032】
装着部10とオフセットリンク機構部30との間には、オフセット位置調整機構を構成する駆動装置40が設けられている。この駆動装置40は、油圧シリンダ,電動シリンダ等のアクチュエータによって構成され、その動作によってオフセットリンク機構30を軸部31の周りに回動させ、オフセットリンク角θY(O1,O1’はオフセットリンク軸を示している。)を調整することによって、作業部20のオフセット位置を調整するものである。この実施形態におけるオフセット位置調整機構は、オフセットリンク角θYのみによってオフセット位置を調整しているが、これに加えて或いはこれに換えて、オフセットリンク機構部30のリンク長さを伸縮調整させることによって、オフセット位置を調整させることもできる。
【0033】
また、オフセットリンク機構30と作業部20との間には作業方向調整機構を構成する駆動装置50が設けられている。この駆動装置50も前述の駆動装置40と同様に油圧シリンダ,電動シリンダ等のアクチュエータによって構成され、その動作によって作業部20を軸部32の周りに回転駆動させ、作業部方向角θX(O2,O2’は作業部の作業方向軸を示している。)を調整することによって、作業部20の作業方向を調整するものである。
【0034】
そして、本発明の実施形態に係るオフセット作業機1は、走行機体2の進行に沿って直進作業を行うものであるが、基準作業線Oを設定して、作業部20の作業位置と作業方向とをこの基準作業線Oに沿うように制御する制御部と、この制御を行うために、作業部20と基準作業線Oとの位置関係を検出する検出部60とを備えている。
【0035】
基準作業線Oは、作業部20によって直進作業がなされる基準線であって、例えば、作業部20によって既に直進作業がなされた作業跡に基づいて設定することができる。これは、例えば畦塗り機であれば新しく形成された畦形成面によって設定することができるし、溝形成機であれば掘削された溝の側面等によって設定することができる。また、作業部20の進行すべき予定線が存在する場合には、その予定線を基準作業線Oに設定することもできる。これは、例えば畦塗り機であれば、旧畦の側面又は上面等によって設定することができるし、他の作業機の場合には、前作業の作業跡や刈り取り作物の刈り跡等によって設定することができる。何も基準線が存在しない場合には、圃場の端に目印を設けて目印までの仮想直線を基準作業線Oに設定することもできる。
【0036】
検出部60は、作業部20と基準作業線Oとの位置関係を検出するものであって、作業部20の作業位置と基準作業線Oとのずれ幅と作業部20の作業方向と基準作業線Oとの角度ずれとを検出できるものであればよい。
【0037】
この検出部60の例を示すと、この実施形態では、板状の基準部材61とこれを基準作業面Oに当接付勢させるリンク機構62とを備え、作業部20の機体とリンク機構62の一端との枢支軸部に第1検出器S1を設け、リンク機構62の他端と基準部材61との枢支軸部に第2検出器S2を設けている。
【0038】
この実施形態に係る検出部60の作用を図2によって説明する(同図(a)は作業部20が基準作業線Oに沿っている状態、同図(b)は基準作業線Oに対して作業部20がずれた状態を示している。)。ここで、第1,第2検出器S1,S2は、枢支軸部の枢支角度状態を検出できるものであって、設定された角度に応じてスイッチをオンオフするリミットスイッチ,枢支角度を信号量に変換するポテンショメータ等の角度センサ等が用いられる。
【0039】
この実施形態では、第1検出器S1が作業部20の作業方向軸O2とリンク機構62との角度θA1を検出し、第2検出部S2が基準作業線Oに当接された基準部材61の当接面方向とリンク機構62との角度θB1を検出している。ここで、θA1=θB1が設定値θsになっている状態を検出することによって、作業部20が基準作業線Oに沿って直進作業を行っていることを認識することができる(図2(a)参照)。そして、作業部20の作業位置及び作業方向が基準作業線Oに対してずれた場合(作業方向軸O2’の回転及び横ずれ)には、第1検出器S1の検出角度差(θA1−θA1’)によって、作業方向の角度ずれを検出することができ、第2検出器S2の検出角度差(θB1−θB1’)によって、作業位置のずれ幅を検出することができる(図2(b)参照)。
【0040】
図3は、検出部60の他の実施形態を示すものである(同図(a)は作業部20が基準作業線Oに沿っている状態、同図(b)は基準作業線Oに対して作業部20がずれた状態を示している。)。この実施形態では、作業部20に近い位置に設けられるローラ状の基準部材63A及び作業部20から遠い位置に設けられるローラ状の基準部材63Bとこれらを基準作業面Oに当接付勢させるリンク機構62A,62Bとを備え、作業部20の機体とリンク機構62A,62Bの一端との枢支軸部に第1及び第2検出器S1,S2を設けている。そして、第1検出器S1が作業部20の作業方向軸O2とリンク機構62Aとの角度θA2を検出し、第2検出部S2がリンク機構62Aとリンク機構62Bとの角度θB2を検出している。
【0041】
ここでは、θA2,θB2がそれぞれ設定値になっている状態を検出することによって、作業部20が基準作業線Oに沿って直進作業を行っていることを認識することができる(図3(a)参照)。そして、作業部20の作業位置及び作業方向が基準作業線Oに対してずれた場合(作業方向軸O2’の回転及び横ずれ)には、第1検出器S1の検出角度差(θA2−θA2’)によって、作業方向の角度ずれを検出することができ、第2検出器S2の検出角度差(θB2−θB2’)によって、作業位置のずれ幅を検出することができる(図3(b)参照)。
【0042】
前述した検出部60の実施形態によると、作業部20の後方に検出部60を設けているので、作業部20による作業跡を基準作業線Oに設定することができる。特に畦塗り機の場合には、作業部20によって形成される作業跡(新畦)は安定した平面になるので、これを基準作業線Oにすることで安定した作業部20の変位を検出することが可能になる。
【0043】
図4は、検出部60の他の実施形態を示す説明図である(同図(a)は作業部20が基準作業線Oに沿っている状態、同図(b)は基準作業線Oに対して作業部20がずれた状態を示している。)。この実施形態では、作業部20の前方に設けられるローラ状の基準部材64A及び作業部20の後方に設けられるローラ状の基準部材64Bとこれらを基準作業面Oに当接付勢させるリンク機構62A,62Bとを備え、作業部20の機体とリンク機構62A,62Bの一端との枢支軸部に第1及び第2検出器S1,S2を設けている。そして、第1検出器S1が作業部20の作業方向軸O2とリンク機構62Aとの角度θA3を検出し、第2検出部S2が作業部20の作業方向軸O2とリンク機構62Bとの角度θB3を検出している。
【0044】
これによっても、前述の実施形態と同様に検出角度の変化(θA3→θA3’,θB3→θB3’)によって、作業部20のずれ幅と角度ずれとを検出することができる。この実施形態では、作業部20の後方に設けた基準部材64Bは、作業機20の作業跡によって設定された基準作業線Oに当接させることができ、作業部20の前方に設けた基準部材64Aは、作業機20の作業予定線によって設定された基準作業線Oに当接させることができる。
【0045】
前述した各実施形態では、基準作業線Oに基準部材(61,63A,63B,64A,64B)を当接させる形態の検出部60について説明したが、これに限定されるものではなく、他の接触型検出手段、或いは光,磁気,音等を用いた非接触型の検出手段を用いることも可能である。
【0046】
図5は、実施形態に係るオフセット作業機1の制御部を説明する説明図である。前述した検出部60によって作業部20と基準作業線Oとの位置関係がずれ幅αと角度ずれβによって検出され、この検出信号が制御部70に送られる。制御部70では、この検出信号に基づいて、作業部20の作業方向と作業位置が基準作業線Oに沿うような制御信号が出力される。すなわち、ずれ幅αに基づいたオフセットリンク角の制御量ΔθYに応じて、オフセット位置調整機構である駆動装置40を動作させて、作業部20のオフセット位置を調整する。また、角度ずれβに基づいた作業部方向角の制御量ΔθXに応じて、作業方向調整機構である駆動装置50を動作させて、作業部20の作業方向を調整する。この実施形態では、オフセットリンク角ΔθYと作業部方向角ΔθXによって制御しているが、これに限らず、例えば、オフセットリンク機構部30を伸縮自在に駆動できるようにして、必要に応じてこの伸縮程度を調整するようにしてもよい。
【0047】
また、実施形態の制御部70においては、例えば走行機体側に設けられた操作部80から入力されるモード選択信号Mによって、制御部70の動作を、作業部20のオフセット位置と作業方向とを自動調整する自動直進モード、オフセット位置と作業方向とを設定状態に固定する固定作業モードとに切り換えることができる。自動直進モードが選択された場合には、検出部60からの検出信号(α,β)に基づいた制御信号(ΔθX,ΔθY)に応じて駆動装置40,50を動作させ、作業部20を基準作業線Oに沿わせる制御がなされる。固定作業モードが選択された場合には、制御部を停止させて(常に、ΔθX,ΔθY=0を出力させて)、作業部20を設定状態に固定する。
【0048】
更に、実施形態の制御部70においては、例えば走行機体側に設けられた操作部80からの調整信号(θMX,θMY)に応じた制御信号(ΔθX,ΔθY)を出力させる手動調整モードを選択することもできる。モード選択信号Mによって手動調整モードが選択された場合には、操作者は作業部20の変位を目視しながら、遠隔操作によって作業部20のオフセット位置又は作業方向を調整することができる。
【0049】
このような特徴を有するオフセット作業機1の作用を図6に基づいて説明する(前述の説明と同一の箇所には同一の符号を付して一部説明を省略する。)。オフセット作業機1は走行機体2に装着部10で装着され、走行機体2の進行に沿って直進作業を行うものである。ここでは、矩形圃場Fの一辺を基準作業線Oに設定して、圃場の端に沿って作業部20による直進作業を行う場合を示している。
【0050】
走行機体2が直進走行可能な状況では、走行機体2を圃場F端辺の内側に沿って走行させることによって、圃場Fの端辺に沿って作業部20による直進作業を行わせることができる。このような状況では、安定した直進走行が可能な場合には、前述した固定作業モードを選択しても良好な直進作業が可能であるが、走行性が不安定な場合には、自動直進モードを選択することによって基準作業線Oに沿った直進作業を容易に行うことが可能になる。
【0051】
そして、走行機体が圃場Fの前端に近づいた時点(符号2a参照)で前述の自動直進モードを選択する。これによって、走行機体を圃場Fの前端に沿って旋回させた場合(符号2b〜2d)にも、作業部を圃場Fの端辺に沿って圃場の端まで連続的に作業させることができる(符号20a〜符号20d参照)。また、作業部20の位置又は方向を微調整したい場合等には、手動調整モードを選択して、走行機体側に設けた操作部80からの調整信号に応じた調整を行うこともできる。
【0052】
前述したオフセット作業機1は畦塗り機に適用することによって特に有効に機能させることができる。畦塗り機に適用した場合の作業部20の一例を図7に示す。この作業部20はオフセットリンク機構部30の端部に設けられた軸部32の周りに回動自在に装着されるものである。そして、オフセットリンク機構部30は動力伝達機構を具備しており、軸部32が作業部20への入力軸を兼ねている。そして、旧畦の一部を切り崩して土盛り作業を行うロータリ爪駆動装置21Aからなる前処理部21、その前段で旧畦の上面を掘削処理するロータリ爪駆動装置22Aからなる天場処理部22、前処理部21によって前方に盛られた土を切り崩された旧畦上に塗り付ける整畦ドラム23Aを備える整畦部23を備えると共に、軸部32から前述の各部へ動力を伝達する動力伝達機構24A〜24Eを備えている。25は、コールタを兼ね、上下調整可能に設けられるゲージホイールであって、このゲージホイール25により前処理部21及び整畦部23の作業深さを調節して、成形される新畦の高さを調節すると共に、オフセット位置における作業部20の安定性を確保している。
【0053】
このような作業部20を前述したオフセット作業機1に採用することで圃場の周辺に沿って自動直進による畦成形を行う畦塗り機を構成することができる。この畦塗り機によると、従来技術では作業部を反転リバースさせた後に後進作業によって行っていた矩形圃場の四隅塗り残し作業を、連続した直進のみの作業によって行うことができる。したがって、畦塗り作業の作業容易性と作業能率を著しく向上させることができると共に、反転リバース機構を設ける必要がないので、作業機の軽量化と小型化が可能になる。
【0054】
【発明の効果】
本発明はこのように構成されるので、走行機体に装着され、走行機体の進行に沿って走行機体からのオフセット位置で直進作業を行うオフセット作業機において、圃場の端に至るまで連続的に直進作業を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るオフセット作業機の主要構成を示す説明図である。
【図2】実施形態のオフセット作業機における検出部の作用を説明する説明図である。
【図3】実施形態のオフセット作業機における検出部(他の実施形態)の作用を説明する説明図である。
【図4】実施形態のオフセット作業機における検出部(他の実施形態)の作用を説明する説明図である。
【図5】実施形態に係るオフセット作業機の制御部を説明する説明図である。
【図6】実施形態のオフセット作業機の作用を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態を畦塗り機に適用した場合の作業部の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 オフセット作業機
2 走行機体
3 連結手段
10 装着部
20 作業部
30 オフセットリンク機構部
40 駆動装置(オフセット位置調整機構)
50 駆動装置(作業方向調整機構)
60 検出部
61,63A,63B,64A,64B 基準部材
62,62A,62B リンク機構
70 制御部
80 操作部
O 基準作業線 O1 オフセットリンク軸 O2 作業方向軸
S1,S2 検出器
Claims (8)
- 走行機体に装着され、該走行機体の走行位置に対して側方にオフセットした位置を作業する作業部を備え、前記走行機体の進行に沿って直進作業を行うオフセット作業機において、
前記作業部のオフセット位置を調整自在にしたオフセット位置調整機構と、前記作業部の作業方向を回動調整自在にした作業方向調整機構と、
前記作業部と該作業部によって作業がなされる基準作業線との位置関係を検出する検出手段と、
該検出手段からの検出信号に基づいて、少なくとも前記オフセット位置調整機構を動作させて前記作業部のオフセット位置を調整すると共に前記作業方向調整機構を動作させて前記作業部の作業方向を調整する制御手段とを備え、
前記作業部の作業位置と作業方向を前記基準作業線に沿うように制御することを特徴とするオフセット作業機。 - 前記基準作業線は、前記作業部によって既に直進作業がなされた作業跡に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載のオフセット作業機。
- 前記基準作業線は、前記作業部が直進作業を行う予定線に基づいて設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のオフセット作業機。
- 前記検出手段は、前記作業部の作業位置と前記基準作業線とのずれ幅と前記作業部の作業方向と前記基準作業線との角度ずれとを検出し、前記制御手段は、前記ずれ幅に基づいて前記オフセット位置調整機構を動作させ、前記角度ずれに基づいて前記作業方向調整機構を動作させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオフセット作業機。
- 前記検出手段は、前記基準作業線に当接される基準部材と、該基準部材と前記作業部とを連結するリンク機構と、該リンク機構と前記基準部材又は前記作業部との連結角度を検出する検出器とを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオフセット作業機。
- 前記制御手段は、前記検出手段からの検出信号に基づいて、前記オフセット位置の調整又は前記作業部の作業方向の調整を行う自動直進モードと、前記オフセット位置と前記作業部の作業方向とを設定状態に固定する固定作業モードとを切換可能にしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオフセット作業機。
- 前記制御手段は、操作部からの調整信号によって、前記オフセット位置の調整又は前記作業部の作業方向の調整を行う手動調整モードを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のオフセット作業機。
- 前記オフセット作業機は、圃場の周辺に沿って畦を成形する畦塗り機であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のオフセット作業機。
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