JP2004266816A - 移動体通信用レンズアンテナ装置 - Google Patents

移動体通信用レンズアンテナ装置 Download PDF

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昌利 黒田
Tetsuo Kishimoto
哲夫 岸本
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Abstract

【課題】ルーネベルグレンズを用いた簡易な構造のアンテナ装置を移動体に搭載して静止衛星などからの電波を高感度に受信することを可能ならしめる。
【解決手段】反射板3aを有する半球状のルーネベルグレンズ3、支持アーム4及び一次放射器5から成るアンテナ2を水平化機構16のジンバル機構12で2軸方向揺動自在に支えてアンテナ2を自然の力で水平に保つ。また、自己位置確認手段からの位置情報と、方位確認手段8aからの方位情報に基づいてアンテナの方位を方位調整機構8で初期姿勢が維持されるように修正し、移動体の位置、進行方向が変化しても常に同じ位置にある静止衛星等からの電波を捕捉できるようにした。
【選択図】図3

Description

この発明は、車両、船舶、飛行機等の移動体に搭載し、静止衛星などからの電波を受信する移動体通信用レンズアンテナ装置に関する。
ルーネベルグレンズを用いた衛星通信用アンテナとして、例えば、下記特許文献に示されるものがある。
その特許文献に記載されたアンテナは、いずれも静止衛星や周回衛星を通信相手にした地上設置用のアンテナであり、設置面の傾きや揺れ動きは全く考慮されていない。従って、設置面の位置、方位が変化し、しかも設置面が揺れ動く移動体用としては適さない。
ルーネベルグレンズを用いたアンテナは、従来の移動体通信用アンテナ(パラボラアンテナ)と違ってひとつのコンパクトなアンテナで同時に複数の電波に対応でき、かつ、どの方向からも指向性の高い高ゲインの電波を受信できるなどの利点があることから、移動体用としても大きな期待が寄せられているが、移動体は位置、方位が刻々と変化し、また、船舶は特に、揺れも著しく、このため、従来の地上固定用のレンズアンテナでは移動による焦点の変動が起こり、電波を安定して捕捉することができない。
なお、アクティブ方式のアンテナは、通信相手の衛星に対するアンテナの位置、方位を計算し、一次放射器を変動した焦点位置に移動させることができるが、頻繁に起こる焦点変動に対して一次放射器の位置を変えて対応しようとすると、制御機構がかなり複雑になり、アンテナ装置が高価なものになってしまう。また、この方法は位置変更の応答遅れが考えられ、実用性のあるアンテナ装置を得るのも難しい。
特開2000−25732号公報 特開2000−165131号公報 特開2001−352211号公報 特開2000−83645号公報 特開2001−44746号公報 特開2001−102857号公報
この発明は、ルーネベルグレンズを用いたアンテナを機構の複雑化やコストアップを抑えて移動体用として使用できるようにすることを課題としている。
上記の課題を解決するため、この発明においては、球状又は反射板を有する半球状のルーネベルグレンズ、一次放射器及び一次放射器の支持アームを備えるアンテナと、そのアンテナを覆うカバーと、アンテナの水平化機構を有する水平調整機構と、アンテナの自己位置確認手段と、方位確認手段を含むアンテナの方位調整機構とを具備し、移動体の移動中に前記水平化機構による水平化および、自己位置情報、方位情報に基づく自動方位修正がなされてアンテナの初期姿勢が保たれるようにした移動体通信用レンズアンテナ装置を提供する。
アンテナの水平化機構は、以下に列挙するものが特に好ましい。
(1) アンテナを容器内の液体に浮かばせて構成されるもの(液体浮遊方式:使用する液体は、粘性流体が好ましい)。
(2) 半球状ルーネベルグレンズアンテナの反射板下にアンテナの重心を下げるウエイトを取り付け、このウエイトを有するアンテナをジンバル機構などを用いて揺動可能に受け支えるもの(起き上がりこぼし方式1)。
(3) 上半分を軽量材で、下半分を重量材で各々形成し、上半分と下半分の比誘電率を略同一にした全球型ルーネベルグレンズの下部外面、または、外面が球面のウエイトを下部に取り付けて重心を下げた全球型ルーネベルグレンズの前記ウエイトの外面を揺動可能に支えるもの(起き上がりこぼし方式2)。
これらの水平化機構はいずれも地球の重力を利用したパッシブな機構であり、簡素である反面、激しい揺れが想定される場合には問題があるので、必要に応じてアンテナ設置面の傾きを修正するアクティブな傾き修正機構等を併用してもよい。傾き修正で必要になるアンテナの水平確認はエンコーダや水平センサなどで行える。
前記自己位置確認手段は、GPS(汎世界測位システム)装置が最適であるが、ジャイロコンパスでもよい。
方位調整機構に付属させる方位確認手段は、地磁気方位計、方位センサなどのほか、複数GPSの位置の差を利用して方位を検知するものでもよい。この方位調整機構によるアンテナの方位修正は、適当な駆動系、例えば、モータとギヤを組み合わせたものなどを用いて行える。
このアンテナ装置は、車、船舶、飛行機などの移動体に搭載して静止衛星からの電波を受信するのに適している。
この発明では、水平化機構を設けてアンテナを常時水平に保つので、振動や揺れによる影響を受けない。これに加えて自己位置確認手段および方位確認手段によって得られる位置情報と方位情報に基づく自動方位修正がなされるため、移動体の向きや位置が変化してもアンテナの初期姿勢が維持される。
従って、限られた移動エリア内では、常に同じ方向にある静止衛星に対しては最初に設定した一次放射器の位置を変えずに電波を捕捉することができ、複雑な動きを必要とせず、機構の簡素化が図れる。なお、受信位置によっては(例えば大阪と北海道では)同一通信相手に対する焦点位置が変化することがあるが、方位調整機構を備えているので、受信位置が大きく変化して初期設定の方位で対応できなくなったときには修正する方位(基準方位)を通信相手に合ったものに切り換えることができる。
また、簡易な機構でルーネベルグレンズの特徴が生かされるため、パラボラアンテナのように複数のアンテナを使用しなくても複数の静止衛星と通信することができ、コスト、スペース面でも有利になる。
なお、水平化機構として、地球の重力を利用した液体浮遊方式や起き上がりこぼし方式の機構を採用したものは、機構の簡素化や低コスト化の効果がより顕著に現れる。
また、水平化機構と傾き修正機構を併用するものは、アンテナの水平保持がより確実になされ、電波の捕捉性能がさらに向上する。
この発明のレンズアンテナ装置は、水平化機構によってアンテナが常時水平に保たれ、さらに、自己位置確認手段及び方位確認手段からの位置情報、方位情報に基づいてアンテナの方位が自動的に修正されてアンテナの初期姿勢が維持されるようにしたので、位置及び進行方向の変化と揺れが不可避の移動体に搭載して静止衛星などからの電波を安定して高感度に受信することができる。
また、ルーネベルグレンズを使用しているので、複数の電波に対応でき、アンテナ装置の簡素化や低コスト化も図れる。
さらに、アンテナの水平維持を自然の力を利用する液面浮遊方式や起き上がりこぼし方式の水平化機構によって行うので、機構が複雑にならず、コスト面でさらに有利になる。
このほか、アンテナの上部に電波の妨げとなる部材が存在しないので、アンテナの電気性能が安定する。また、アンテナを揺動可能に下から受け支えているので、支持構造物の小型化や軽量化なども図れ、使い勝手のよいアンテナを提供できる。
なお、アンテナに伝達される振動を減衰させる機能やアクティブな傾き修正機能を付加したものは、アンテナの水平維持がより安定してなされ、きつい揺れが想定される移動体に採用しても通信相手からの電波を確実に捕捉することができる。
図1に、この発明の移動体通信用レンズアンテナ装置の実施形態を示す。このアンテナ装置1は、図1、図2に示すアンテナ2、即ち、反射板3aを有する半球状のルーネベルグレンズ3、レンズ3を跨ぐアーチ状の支持アーム4、この支持アーム4で支えてレンズの焦点部に配置する一次放射器5とから成るアンテナ2と、水平化機構6を有するアンテナの水平調整機構と、アンテナの自己位置確認手段7と、方位確認手段を含む方位調整機構8と、電波を透過させるカバー9とで構成される。
水平化機構6は、容器6aに入れた液体6b上にアンテナ2を容器内での揺れが許容されるように浮かべた液面浮遊方式の機構を用いている。容器6aが傾いても液体6bの液面は水平に保たれ、このために液面に浮かべたアンテナ2が常に水平に保たれる。
液体6bは、粘度が比較的高く高周波数の振動に反応し難い(液面が波立ち難い)ものが好ましい。この液体6bとしてER流体(電気粘性流体)を使用し、振幅や振動数に合わせて液体の粘度を電気的に制御して液面の動きを抑えるようにしてもよい。
また、容器6aとアンテナ設置面との間に制振材、制振マウントなどの制振体10を介在して、アンテナ設置面から容器6aに伝わる振動を吸収するようにしてもよい。また、アンテナ2と容器6aとの間の摩擦を制御する機構を備えてもよい。
さらに、振動、傾きを積極的に吸収してアンテナ設置面Aの動きを抑えるアクティブな傾き修正機構を備えてもよい。その傾き修正機構は、アンテナ設置面Aを傾けようとする力や、エンコーダ、水平センサ(ジャイロ水平儀、水準器など)で人工的に得た水平面に対するアンテナ設置面Aの傾きを検知し、フィードバック制御を行って駆動系でカバー設置面Bを水平に保つもの等でよく、そのような機能を持つ市販の水平ステージ(多軸自由度位置決め機構)などを利用できる。この傾き修正機構と水平化機構6を併用した水平調整機構を用いるとアンテナ2の水平維持がより確実になる。
アンテナ2はバランスウエイト6cを用いて重心を調節し、液体6bに浮かべたときの姿勢が水平になるようにしている。このアンテナ2は、支持アーム4の仰角と支持アーム4上での一次放射器5の位置を変えられるようにしており、目的の通信相手(これは常に同じ方向にある)に合うように支持アーム4の仰角と一次放射器5の位置の初期設定がなされている。
アンテナの自己位置確認手段7はGPS装置を使用しているが、ジャイロコンパスを用いてもよい。
方位調整機構8は、地磁気方位計、方位センサ、複数のGPS装置、あるいはこれ等を組合わた方位確認手段8aを備えており、移動体の進行方向や位置が変わってアンテナの向きが目的の通信相手からずれたときにずれに基づくフィードバック制御を行ってアンテナ2をカバー9と共に水平面内で回転させて通信相手の方向に向ける。アンテナの回転は、方位制御モータ8bとギヤを組み合わせた方位修正機構によってなされる。
以上のように構成したアンテナ装置1は、液面浮遊方式の水平化機構6により浮遊したアンテナの傾きが防止されてアンテナ2が常に水平に保たれる。
また、アンテナ装置1を搭載した移動体の進行方向や位置が変わると、自己位置確認手段7によって検出される現在位置、方位確認手段8aによって検知されるアンテナ方位の情報を取り込んだ制御部(図示せず)から方位修正機構に作動指令が流れてアンテナを初期姿勢に保つための方位修正が自動的に実行され、アンテナ2が通信相手からの電波を受ける姿勢を維持する。また、基準方位を切り換える必要が生じたときにはその切り換えがなされる。従って、通信相手が例えば静止衛星である場合には、移動体の移動方向や位置の変化、さらには揺れがあっても一次放射器5が電波の焦点部から大きくずれることがなく、静止衛星からの電波を安定して捕捉することができる。
図3〜図5は、水平化機構の他の実施形態である(いずれも起き上がりこぼし方式)。
図3の水平化機構16は、半球状ルーネベルグレンズアンテナの反射板3aの裏面に、方位制御モータ8bとギヤ8cを組み合わせた方位調整機構8で回転させる垂直な回転軸16aと、アンテナの重心を下げるウエイト16bを取り付け、架台11と回転軸16aとの間に設けたジンバル機構12でアンテナ2を2軸方向揺動自在に受け支えている。
また、図4の水平化機構26は、全球型ルーネベルグレンズ3の上半分を軽量材で、下半分を高質量材で各々形成し、上半分と下半分の比誘電率を略同一にし、この全球型ルーネベルグレンズの下部外面を受け具26bで揺動自在に受け支えている。なお、ルーネベルグレンズ3の下半分との全面接触は、すべり性が良くないので、受け具26bはコロ13と併用するのがよい。
さらに、図5の水平化機構36は、全球型ルーネベルグレンズ3の下部にアンテナの重心を下げる外面が球面のウエイト36aを固定し、このウエイト36aの外面を受け具36bおよびすべり用コロ13で揺動自在に受け支えている。図5のレンズ3は必ずしも上半分と下半分の重さに差をつける必要はないが、図4のレンズと同様、上半分を軽量材で、下半分を高質量材で各々形成するとウエイト36aを小型化できて好ましい。図4、図5の一次放射器5は、レンズ3に固定されており、レンズの動きに伴って動く。
なお、図4の受け具26bはレンズ3との相対回転が、また、図5のアンテナの受け具36bはウェイト36aとの相対回転が阻止されるようにしておく必要がある。
また、図1のバランスウエイト6c、図3、図5の重心下げ用のウエイト16b、36aは、体積削減のために高質量体を用いるのが好ましい。
図3〜図5の水平化機構を採用するアンテナ装置も、アンテナの傾き吸収部の摩擦を制御する機構や、受け具に伝わる振動を減衰させる制振体、あるいはアクティブな傾き修正機構などを併用することができる。
この発明のレンズアンテナ装置の実施形態を示す断面図 図1のレンズアンテナ装置に採用したアンテナの平面図 (a)この発明のレンズアンテナ装置の他の例を示す断面図、(b)同上のアンテナ装置の90°回転した位置の簡略断面図、(c)同上のアンテナ装置の方位修正機構を示す図 この発明のレンズアンテナ装置のさらに他の例を示す断面図 この発明のレンズアンテナ装置のさらに他の例を示す断面図
符号の説明
1 レンズアンテナ装置
2 アンテナ
3 ルーネベルグレンズ
3a 反射板
4 支持アーム
5 一次放射器
6、16、26、36 水平化機構
6a 容器
6b 液体
6c バランスウエイト
7 自己位置確認手段
8 方位調整機構
8a 方位確認手段
8b 方位制御モータ
8c ギヤ
9 カバー
10 制振体
11 架台
12 ジンバル機構
13 すべり用コロ
16a 回転軸
16b、36a ウエイト
26b、36b 受け具
A アンテナ設置面
B カバー設置面

Claims (7)

  1. 球状又は反射板を有する半球状のルーネベルグレンズ、一次放射器及び一次放射器の支持アームを備えるアンテナと、そのアンテナを覆うカバーと、アンテナの水平化機構を有する水平調整機構と、アンテナの自己位置確認手段と、方位確認手段を含むアンテナの方位調整機構とを具備し、移動体の移動中に前記水平化機構による水平化および、自己位置情報、方位情報に基づく自動方位修正がなされてアンテナの初期姿勢が維持されるようにした移動体通信用レンズアンテナ装置。
  2. 前記自己位置確認手段としてGPS装置及び/若しくはジャイロコンパスを用いた請求項1に記載の移動体通信用レンズアンテナ装置。
  3. アンテナを容器内の液体に浮かばせたものを前記水平化機構として用いた請求項1または2に記載の移動体通信用レンズアンテナ装置。
  4. 前記液体として粘性流体を用いた請求項3に記載の移動体通信用レンズアンテナ装置。
  5. 半球状ルーネベルグレンズアンテナの反射板下にアンテナの重心を下げるウエイトを取り付け、このウエイトを有するアンテナを揺動可能に受け支えたものを前記水平化機構として用いた請求項1または2に記載の移動体通信用レンズアンテナ装置。
  6. ジンバル機構を用いてアンテナを2軸方向揺動可能に受け支えた請求項5に記載の移動体通信用レンズアンテナ装置。
  7. 上半分を軽量材で、下半分を重量材で各々形成し、上半分と下半分の比誘電率を略同一にした全球型ルーネベルグレンズの下部外面、または、外面が球面のウエイトを下部に取り付けて重心を下げた全球型ルーネベルグレンズの前記ウエイトの外面を揺動可能に支えたものを前記水平化機構として用いた請求項1、2または6に記載の移動体通信用レンズアンテナ装置。
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