JP2004266105A - 補強板付きフレキシブルプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【目的】耐熱性、成形性、及び厚さの制約を受けずに打ち抜き性等の加工性に優れた補強板を貼り合せたフレキシブルプリント配線板を提供する。
【解決手段】ポリエーテル芳香族ケトン樹脂とガラス転移温度100℃以上の熱可塑性樹脂との少なくとも2種類以上の樹脂からなり、樹脂100重量部に対して板状フィラーを5重量部〜50重量部含有してなる樹脂組成物からなるフィルム又はシートを補強板としたフレキシブルプリント配線板である。
【解決手段】ポリエーテル芳香族ケトン樹脂とガラス転移温度100℃以上の熱可塑性樹脂との少なくとも2種類以上の樹脂からなり、樹脂100重量部に対して板状フィラーを5重量部〜50重量部含有してなる樹脂組成物からなるフィルム又はシートを補強板としたフレキシブルプリント配線板である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚さの制約を受けずに耐熱性、加工性に優れ、かつ異物の発生が少ない補強板を従来の加工条件で製造することを可能としたフレキシブルプリント配線板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の高密度化に伴い、これに用いられるプリント基板等の部品は小型化が進んできており、フレキシブルプリント配線板においても、基板の小型化及び薄型化が進んでいる。又電子機器の多機能化に伴い機器内部の使用部品点数が増加し、それらの部品同士との接続や部品搭載が可能なフレキシブルプリント配線板の需要は拡大している。
相手方部品との接続や搭載を図るにあたり、薄く、且つ柔軟性に富んでいるフレキシブルプリント配線板には、接続部分の接続強度を維持するために補強板を貼り合せる場合が多い。
【0003】
補強板付きフレキシブルプリント配線板は、絶縁基材の片面若しくは両面に銅箔を貼り合せた基材に回路を形成し、形成した回路導体を保護する為に所定の形状で開口した絶縁基材を回路導体の表面に被覆し半田メッキ等の表面処理を行った後、補強板を熱硬化性若しくは熱可塑性の接着剤にて貼り合わせを行っている。
【0004】
このときの補強板の形状はフレキシブルプリント配線板が金型で外形打ち抜きされる加工サイズよりも5〜10mm程度大きめのものである。この補強板を圧着した後、金型でフレキシブルプリント配線板の打ち抜きを実施するのと同時に補強板も打ち抜きを行い、製品外形と補強板外形を同一の加工寸法に仕上げる。
【0005】
補強板は、フレキシブルプリント配線板接続端子を相手側のコネクターに挿抜する際に製品が折れ曲がる事を防止する為や、コネクター挿入後の脱落を防止する為にコネクター挿入部の厚みとフレキシブルプリント配線板の厚みとを同一にする為に、更にはコネクター等の実装部品をフレキシブルプリント配線板に実装する際に柔軟性があるフレキシブルプリント配線板を補強する為等に使用されるのが一般的な使用方法である。
【0006】
フレキシブルプリント配線板の補強用シートに使用される材料は、その工程における耐熱温度とコストにより、一般に銅、銅合金、アルミニウム、ステンレス等の金属板の他、セラミック板、樹脂シート等が使用されている。なかでも耐熱性おもに耐リフロー特性が必要とされる工程に使用される樹脂フィルム材料としては、熱硬化型ポリイミドフィルムやガラス繊維強化エポキシ樹脂等が主に使用されている。熱硬化型ポリイミドフィルムでは耐熱性に問題は無いが、フィルムの製法上の制約によって、特に厚みが200μm以上の場合、生産コストが高くなるということと、吸湿性の点で問題がある。ガラス繊維強化エポキシ樹脂等のエポキシ系の材料については、厚さや耐熱性の制約は無くても前述の金型打ち抜き時に、基材からの粉状の打ち抜きカスが発生し、使用される電子機器によってはこれらの発塵異物が不具合を引き起こす懸念がある。
【0007】
フレキシブルプリント配線板の補強板を選定する際に、厚み・耐熱性・発塵・加工性等について、各材料単体ではそれぞれの材料に起因する問題が生じる為、これらの問題を解決するには打ち抜き加工性や耐熱性に優れ、かつ発塵の無い熱硬化性ポリイミドフィルムを使用するのが望ましい。しかし、ポリイミドフィルムの場合、必要強度を得る為に複数枚の重ね貼り合わせを行ったり、フィルム作成時に積層して厚みを合わせたものをフレキシブルプリント配線板に貼り合わせて使用していたが、材料コストが高くなるとともに材料準備工数がかかり工程設計上煩雑になる問題点があった。
【0008】
従来から、ポリエーテル芳香族ケトン樹脂や高いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂は機械的、化学的、熱的性質、加工性等に優れたエンジニアリングプラスチックとして良く知られている。さらにそれら樹脂の用途を広げる為に、例えばポリエーテル芳香族ケトン樹脂やポリエーテルイミド樹脂のようなスーパーエンプラ樹脂にフィラーを添加し、その諸物性を改良する試みがなされている。例えば、各種無機繊維フィラーを添加しその機械強度や耐熱性を向上させる試みが特許文献1に記載されている。熱可塑性樹脂に繊維状の強化繊維材を添加して用いる場合、得られた樹脂成形品の収縮率の異方性が大きく、使用環境下での雰囲気温度が上昇したときの寸法安定性が低下する。精度の高い寸法精度を必要とする用途においては使用が困難であった。また、これらの繊維状強化材は樹脂の流動性を悪化させる為、特に溶融押出加工においては、加工を困難にする欠点があった。
【0009】
機械強度改良や熱的性質の改善を目的として、ガラス繊維やカーボン繊維等をポリエーテル芳香族ケトン樹脂やポリエーテルイミド樹脂に添加する試みがなされているが、溶融押出シート・フィルム加工では良好な外観が得られないだけでなく、流動性の悪化により量産が困難であった。また、流動性良好な粒子状フィラーを添加した場合には、寸法安定性が向上しにくいという欠点があった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭63−22854号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、設計の自由度をもち、生産コストの低減可能な補強板付きフレキシブルプリント配線板の提供に関するものである。そのためのフレキシブルプリント配線板の補強板に生じる問題点を解決するためになされたものである。その目的は、厚さの制約を受けずに打ち抜き性等の加工性に優れ、かつ発塵異物の無い補強板を煩雑な工程を必要とせずに従来通りの加工条件で製造することを可能とした補強板付きフレキシブルプリント配線板を提供するものである。特に耐熱の必要な工程に用いる場合には、熱特性の改良を行い、熱時寸法変化を小さくする必要がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フレキシブルプリント配線板に接着剤を介して貼り合わせられる補強板がフィルム、又はシート状の熱可塑性樹脂組成物からなり、補強板に用いるフィルム、又はシート状の熱可塑性樹脂組成物が、ポリエーテル芳香族ケトン樹脂とガラス転移温度100℃以上の熱可塑性樹脂との少なくとも2種類の樹脂からなる樹脂成分100重量部に対して、板状フィラーを5重量部〜50重量部含有してなることを特徴とする補強板付きフレキシブルプリント配線板である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる絶縁基材の両面もしくは片面に導体回路が形成されたフレキシブルプリント配線板の素材は、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の絶縁基材の両面もしくは片面に圧延銅箔等の銅箔を加熱・加圧して一体成形したものである。フレキシブルプリント配線板に補強板を圧着する際に使用する接着剤は、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系等があるが、特に限定するものではない。
【0014】
フレキシブルプリント配線板と補強板の貼り合わせ方法として、熱可塑性接着剤の場合は常温下での加圧圧着。熱硬化性接着剤の場合は、加熱と加圧による圧着工程と、接着剤硬化のためのキュアリング工程からなる。
【0015】
補強板付きフレキシブルプリント配線板加工方法としては、補強板の形状をフレキシブルプリント配線板が金型で外形打ち抜きされる加工サイズより5〜10mm程度大きめとし、補強板はフレキシブルプリント配線板に圧着された後、金型で打ち抜きを行う際にこの補強板も同時に打ち抜き加工を行い、最終的に製品外形と補強板外形を同一の加工寸法に仕上げる方法が取られる。
【0016】
本発明のフレキシブルプリント配線板における熱可塑性樹脂組成物の補強板用シートの厚みは、特に限定されるものではないが100μm以上であることが望ましい。また、補強板用シートの層構成としては、は単層シートまたはその層を含む多層シートまたはそれらのシートに他の材料組成シートをラミ等の加工方法により順次多層化したものを用いても良い。いずれもその厚み、層構成、生産方法については限定されるものではない。
【0017】
本発明のフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いるポリエーテル芳香族ケトン樹脂は特に限定されるものではないが、式(1)または式(2)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする熱可塑性樹脂であることが好ましい。例えば、式(1)の構造を持つものとしてVICTREX社製PEEK(商品名)等がある。
【化1】
【化2】
尚、繰り返し単位(1)、(2)の他に以下の繰り返し単位を含ませることも可能である。
【0018】
【化3】
(また式中、Aは直接結合、O、S、SO2、COまたは二価の炭化水素基を示し、QおよびQ’はそれぞれSO2またはCOであり、Ar’は二価の芳香族基であり、mは0,1,2または3である。)
【0019】
本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いるガラス転移温度が100℃以上の樹脂としては、特に限定されるものではないが、式(4)〜(11)のいずれかで表わされる繰り返し単位を有するポリサルフォン樹脂があげられる。好ましくはガラス転移温度が170℃以上、更に好ましくは200℃以上である。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【0020】
本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いるガラス転移温度が100℃以上の樹脂として、式(12)または式(13)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂もあげられる。好ましくはガラス転移温度が200℃以上、更に好ましくは240℃以上である。これらの構造を持つものとして米国GE社製ウルテム(商品名)等がある。
【化12】
【化13】
【0021】
本発明に用いる板状フィラーとしては、特に限定されるものではないが、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化マグネシウムを主成分とするものがあげられる。
本発明に用いる板状フィラーの添加量は樹脂成分100重量部に対して、5重量部〜50重量部であり、好ましくは10重量部〜40重量部である。
【0022】
本発明に用いる板状フィラーの添加量が樹脂成分に対して下限値未満の場合は、得られる樹脂組成物の生産性、コスト、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性の改良効果が発現しにくくなり好ましくない。また、上限値を超える場合には樹脂組成物の成形加工性が悪くなり好ましくない。
【0023】
本発明に用いる板状フィラーは、平均粒子径が0.1μm〜20μmのものを用いることが好ましい。さらに好ましくは平均粒子径が1μm〜10μmであり、最も好ましくは2μm〜8μmである。
【0024】
本発明に用いる板状フィラーの平均粒子径が下限値未満の場合には、得られる樹脂組成物に対して生産性、コスト、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性等の性能を向上させるに至らず、また、溶融加工時の流動性が悪化し加工が困難となるため好ましくない。
【0025】
板状フィラーの平均粒子径が上限値を超える場合には、得られる樹脂組成物から成形してなる成形品の外観が好ましくなく表面の平滑性が得られにくくなり、また、溶融加工時の流動性が悪化し加工が困難となり好ましくない。
【0026】
本発明に用いる板状フィラーは、樹脂組成物の寸法安定性を飛躍的に向上することができる。この板状フィラーは、使用環境温度域において樹脂固有の線膨張挙動を抑制する効果を有する為、また、樹脂の軟化を抑制する効果を有する為、機械特性と寸法安定性を向上させることができる。
【0027】
本発明に用いる板状フィラーは、基材樹脂に対する分散性に優れ、樹脂中に均一に分散させることができる為、樹脂組成物全体に均等に良好な特性を付与させることが可能となる。
【0028】
本発明に用いる板状フィラーは、アスペクト比が10以上であることが好ましい。この場合、板状フィラーのアスペクト比は、平均粒子径/板状フィラーの平均厚みで表わされる。アスペクト比が10未満であると、線膨張の低減効果が有効に発現しにくいという問題が生じるため好ましくない。
【0029】
本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いる熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と板状フィラーが均一に混合していることが望ましい。
【0030】
本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートの効果を阻害しない限り、必要に応じて繊維補強材(ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、セラミック質繊維、アラミド繊維、ボロン繊維等)、粒状または鱗片状強化材(炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、グラファイト炭素系、二硫化モリブデン等)、熱伝導性向上剤(粉末状金属酸化物等)、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑材、離型剤、染料、顔料、他の熱可塑性樹脂(ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系、PET系、PBT系、ポリアリレート系、ポリフェニレンサルファイド系、ポリイミド系、フッ素系、ポリエーテルニトリル系、液晶ポリマー系等)、熱硬化性樹脂(フェノール系、エポキシ系、ポリイミド系、シリコン系、ポリアミドイミド系等)を併用しても良い。また、各充填材に対して表面処理を行っても良い。
【0031】
本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いる熱可塑性樹脂と板状フィラーの添加混合・混錬方法は特に限定されることはなく各種混合・混錬手段が用いられる。例えば、各々別々に溶融押出し機に供給して混合しても良い、またあらかじめ紛体原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、ブレンダー、タンブラー等の混合機を利用して乾式予備混錬し、溶融混錬機にて溶融混錬することができる。成形方法としては熱可塑性樹脂組成物に適当な成形方法を適用することができる。たとえば射出成形、溶融押出し成形、注型成形、圧縮成形、焼結成形、紛体塗装等の各種成形方法である。
好ましい実施形態としては本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いる熱可塑性樹脂組成物は溶融押出成形によりフィルム・シート化されるものが好ましいが、その押出方法、引き取り方法については特に限定するものではない。
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いるシートの製法は、溶融押出直後に引き取り冷却ロールにより冷却固化させる方法が好ましい。冷却ロールの表面を平滑にしておくことで、溶融樹脂が固化する際にロール表面の平滑性をシート表面へ転写させることが可能である。
【0033】
本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いるフィルムまたはシートの線膨張係数は45ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは30ppm以下である。線膨張係数が45ppmを越えると、フレキシブルプリント配線板との寸法変化の違いが大きくなり、熱硬化接着剤を用いた場合の加熱圧着工程及びキュアリング工程、若しくは部品搭載時におけるリフロー工程等の熱処理後に反りが発生するという問題が生じ、好ましくない。
【0034】
フレキシブルプリント配線板生産工程で打ち抜き性が要求される工程としては、フレキシブルプリント配線板の形状に従って所定の形状にシートを打ち抜く工程である。耐熱性が要求される工程としては、先述の熱硬化性接着剤のキュアリング工程と、リフロー工程等が挙げられる。ただし本発明の実施においては、特に限定されるものではない。
【0035】
【実施例】
以下に実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0036】
実施例にて使用した原材料は以下のとおりである。これらを原料として本発明のフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに使う熱可塑性樹脂組成物を作製した。
*1:ポリエーテル芳香族ケトン樹脂
VICTREX製 PEEK450G(商品名)
*2:ポリサルフォン樹脂
ソルベイアドバンストポリマーズ製 UDEL P−1700NT(商品名)
ガラス転移温度:190℃
*3:ポリエーテルイミド樹脂
GE製 ULTEM 1000−1000 ガラス転移温度:210℃
*4:ポリエーテルイミド樹脂
GE製 XH 6050 ガラス転移温度:248℃
*5:ガラス繊維(繊維状)
旭硝子製 RES−TP29
*6:アルミナ粒子(粒子状)
アドマテックス製 AO−502
*7:板状タルク(板状)
日本タルク製 MS−1
【0037】
表1、2に示す各材料を2軸混錬押出機を用いて溶融混錬し、ペレットを製造した。各実施例、および比較例の組成欄の数値は重量部を示す。作製したペレットを単軸押出機とT型ダイス等を用いて溶融押出加工により、また熱プレス加工によりシート状サンプルを得た。
【0038】
各種評価については下記に基づき実施した。
(1)線膨張係数:熱機械分析測定試験機を用い、補強板材料サンプルの線膨張係数を測定(JIS K 7196準拠)した。
(2)耐熱性(耐リフロー性):フレキシブルプリント配線板に所定条件で補強板を圧着したサンプルをIRリフロー機(最大温度260℃×1分)にてリフロー処理し、処理後の補強板形状変化について、変形のないものを○、変形少ないものを△、変形するものを×とした。
(3)成形性:補強板材料の加工性を評価する為に、二軸混錬機および単軸混錬機でのストランド加工およびシート加工成形を行い得られたサンプルの外観を目視で評価。外観良好なものを○、表面粗さの大きいもの、または安定した成形品が得られないものについて×とした。
(4)打ち抜き性:補強板付きフレキシブルプリント配線板サンプルを打ち抜いた時のサンプル外観にて判定した。割れ・欠け個所無いものを○、割れ・欠け個所が1〜2箇所あるものを△、割れ・欠け個所が多数あるものを×とした。
【0039】
本発明の実施例1〜6と比較例1〜3を比較すると、熱可塑性樹脂単独で用いた比較例1〜3では線膨張係数が大きく、耐熱性もあまりよくない。板状フィラーを添加することで成形性を損なわずに、耐熱性が向上することがわかる。
【0040】
本発明の比較例4、5について、板状フィラーの添加量が少ない場合には耐熱性改善の効果を発揮できず、また添加量が多すぎる場合には成形性が非常に悪い為加工が困難となることが判る。
【0041】
本発明の比較例6、7について、繊維状フィラーは加工性に難があり、特に厚みの薄いフィルムの加工が困難であった。粒子状フィラーは線膨張係数の低減効果があまり見られず、耐熱性も良好とはいえないことが分かる。比較例8のポリエーテル芳香族ケトン樹脂が無い配合では、靭性が低い為、打ち抜き時に割れが発生した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、耐熱性、成形性、打ち抜き性、生産性に優れた補強板を用いたフレキシブルプリント配線板の提供が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚さの制約を受けずに耐熱性、加工性に優れ、かつ異物の発生が少ない補強板を従来の加工条件で製造することを可能としたフレキシブルプリント配線板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の高密度化に伴い、これに用いられるプリント基板等の部品は小型化が進んできており、フレキシブルプリント配線板においても、基板の小型化及び薄型化が進んでいる。又電子機器の多機能化に伴い機器内部の使用部品点数が増加し、それらの部品同士との接続や部品搭載が可能なフレキシブルプリント配線板の需要は拡大している。
相手方部品との接続や搭載を図るにあたり、薄く、且つ柔軟性に富んでいるフレキシブルプリント配線板には、接続部分の接続強度を維持するために補強板を貼り合せる場合が多い。
【0003】
補強板付きフレキシブルプリント配線板は、絶縁基材の片面若しくは両面に銅箔を貼り合せた基材に回路を形成し、形成した回路導体を保護する為に所定の形状で開口した絶縁基材を回路導体の表面に被覆し半田メッキ等の表面処理を行った後、補強板を熱硬化性若しくは熱可塑性の接着剤にて貼り合わせを行っている。
【0004】
このときの補強板の形状はフレキシブルプリント配線板が金型で外形打ち抜きされる加工サイズよりも5〜10mm程度大きめのものである。この補強板を圧着した後、金型でフレキシブルプリント配線板の打ち抜きを実施するのと同時に補強板も打ち抜きを行い、製品外形と補強板外形を同一の加工寸法に仕上げる。
【0005】
補強板は、フレキシブルプリント配線板接続端子を相手側のコネクターに挿抜する際に製品が折れ曲がる事を防止する為や、コネクター挿入後の脱落を防止する為にコネクター挿入部の厚みとフレキシブルプリント配線板の厚みとを同一にする為に、更にはコネクター等の実装部品をフレキシブルプリント配線板に実装する際に柔軟性があるフレキシブルプリント配線板を補強する為等に使用されるのが一般的な使用方法である。
【0006】
フレキシブルプリント配線板の補強用シートに使用される材料は、その工程における耐熱温度とコストにより、一般に銅、銅合金、アルミニウム、ステンレス等の金属板の他、セラミック板、樹脂シート等が使用されている。なかでも耐熱性おもに耐リフロー特性が必要とされる工程に使用される樹脂フィルム材料としては、熱硬化型ポリイミドフィルムやガラス繊維強化エポキシ樹脂等が主に使用されている。熱硬化型ポリイミドフィルムでは耐熱性に問題は無いが、フィルムの製法上の制約によって、特に厚みが200μm以上の場合、生産コストが高くなるということと、吸湿性の点で問題がある。ガラス繊維強化エポキシ樹脂等のエポキシ系の材料については、厚さや耐熱性の制約は無くても前述の金型打ち抜き時に、基材からの粉状の打ち抜きカスが発生し、使用される電子機器によってはこれらの発塵異物が不具合を引き起こす懸念がある。
【0007】
フレキシブルプリント配線板の補強板を選定する際に、厚み・耐熱性・発塵・加工性等について、各材料単体ではそれぞれの材料に起因する問題が生じる為、これらの問題を解決するには打ち抜き加工性や耐熱性に優れ、かつ発塵の無い熱硬化性ポリイミドフィルムを使用するのが望ましい。しかし、ポリイミドフィルムの場合、必要強度を得る為に複数枚の重ね貼り合わせを行ったり、フィルム作成時に積層して厚みを合わせたものをフレキシブルプリント配線板に貼り合わせて使用していたが、材料コストが高くなるとともに材料準備工数がかかり工程設計上煩雑になる問題点があった。
【0008】
従来から、ポリエーテル芳香族ケトン樹脂や高いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂は機械的、化学的、熱的性質、加工性等に優れたエンジニアリングプラスチックとして良く知られている。さらにそれら樹脂の用途を広げる為に、例えばポリエーテル芳香族ケトン樹脂やポリエーテルイミド樹脂のようなスーパーエンプラ樹脂にフィラーを添加し、その諸物性を改良する試みがなされている。例えば、各種無機繊維フィラーを添加しその機械強度や耐熱性を向上させる試みが特許文献1に記載されている。熱可塑性樹脂に繊維状の強化繊維材を添加して用いる場合、得られた樹脂成形品の収縮率の異方性が大きく、使用環境下での雰囲気温度が上昇したときの寸法安定性が低下する。精度の高い寸法精度を必要とする用途においては使用が困難であった。また、これらの繊維状強化材は樹脂の流動性を悪化させる為、特に溶融押出加工においては、加工を困難にする欠点があった。
【0009】
機械強度改良や熱的性質の改善を目的として、ガラス繊維やカーボン繊維等をポリエーテル芳香族ケトン樹脂やポリエーテルイミド樹脂に添加する試みがなされているが、溶融押出シート・フィルム加工では良好な外観が得られないだけでなく、流動性の悪化により量産が困難であった。また、流動性良好な粒子状フィラーを添加した場合には、寸法安定性が向上しにくいという欠点があった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭63−22854号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、設計の自由度をもち、生産コストの低減可能な補強板付きフレキシブルプリント配線板の提供に関するものである。そのためのフレキシブルプリント配線板の補強板に生じる問題点を解決するためになされたものである。その目的は、厚さの制約を受けずに打ち抜き性等の加工性に優れ、かつ発塵異物の無い補強板を煩雑な工程を必要とせずに従来通りの加工条件で製造することを可能とした補強板付きフレキシブルプリント配線板を提供するものである。特に耐熱の必要な工程に用いる場合には、熱特性の改良を行い、熱時寸法変化を小さくする必要がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フレキシブルプリント配線板に接着剤を介して貼り合わせられる補強板がフィルム、又はシート状の熱可塑性樹脂組成物からなり、補強板に用いるフィルム、又はシート状の熱可塑性樹脂組成物が、ポリエーテル芳香族ケトン樹脂とガラス転移温度100℃以上の熱可塑性樹脂との少なくとも2種類の樹脂からなる樹脂成分100重量部に対して、板状フィラーを5重量部〜50重量部含有してなることを特徴とする補強板付きフレキシブルプリント配線板である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる絶縁基材の両面もしくは片面に導体回路が形成されたフレキシブルプリント配線板の素材は、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の絶縁基材の両面もしくは片面に圧延銅箔等の銅箔を加熱・加圧して一体成形したものである。フレキシブルプリント配線板に補強板を圧着する際に使用する接着剤は、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系等があるが、特に限定するものではない。
【0014】
フレキシブルプリント配線板と補強板の貼り合わせ方法として、熱可塑性接着剤の場合は常温下での加圧圧着。熱硬化性接着剤の場合は、加熱と加圧による圧着工程と、接着剤硬化のためのキュアリング工程からなる。
【0015】
補強板付きフレキシブルプリント配線板加工方法としては、補強板の形状をフレキシブルプリント配線板が金型で外形打ち抜きされる加工サイズより5〜10mm程度大きめとし、補強板はフレキシブルプリント配線板に圧着された後、金型で打ち抜きを行う際にこの補強板も同時に打ち抜き加工を行い、最終的に製品外形と補強板外形を同一の加工寸法に仕上げる方法が取られる。
【0016】
本発明のフレキシブルプリント配線板における熱可塑性樹脂組成物の補強板用シートの厚みは、特に限定されるものではないが100μm以上であることが望ましい。また、補強板用シートの層構成としては、は単層シートまたはその層を含む多層シートまたはそれらのシートに他の材料組成シートをラミ等の加工方法により順次多層化したものを用いても良い。いずれもその厚み、層構成、生産方法については限定されるものではない。
【0017】
本発明のフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いるポリエーテル芳香族ケトン樹脂は特に限定されるものではないが、式(1)または式(2)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする熱可塑性樹脂であることが好ましい。例えば、式(1)の構造を持つものとしてVICTREX社製PEEK(商品名)等がある。
【化1】
【化2】
尚、繰り返し単位(1)、(2)の他に以下の繰り返し単位を含ませることも可能である。
【0018】
【化3】
(また式中、Aは直接結合、O、S、SO2、COまたは二価の炭化水素基を示し、QおよびQ’はそれぞれSO2またはCOであり、Ar’は二価の芳香族基であり、mは0,1,2または3である。)
【0019】
本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いるガラス転移温度が100℃以上の樹脂としては、特に限定されるものではないが、式(4)〜(11)のいずれかで表わされる繰り返し単位を有するポリサルフォン樹脂があげられる。好ましくはガラス転移温度が170℃以上、更に好ましくは200℃以上である。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【0020】
本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いるガラス転移温度が100℃以上の樹脂として、式(12)または式(13)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂もあげられる。好ましくはガラス転移温度が200℃以上、更に好ましくは240℃以上である。これらの構造を持つものとして米国GE社製ウルテム(商品名)等がある。
【化12】
【化13】
【0021】
本発明に用いる板状フィラーとしては、特に限定されるものではないが、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化マグネシウムを主成分とするものがあげられる。
本発明に用いる板状フィラーの添加量は樹脂成分100重量部に対して、5重量部〜50重量部であり、好ましくは10重量部〜40重量部である。
【0022】
本発明に用いる板状フィラーの添加量が樹脂成分に対して下限値未満の場合は、得られる樹脂組成物の生産性、コスト、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性の改良効果が発現しにくくなり好ましくない。また、上限値を超える場合には樹脂組成物の成形加工性が悪くなり好ましくない。
【0023】
本発明に用いる板状フィラーは、平均粒子径が0.1μm〜20μmのものを用いることが好ましい。さらに好ましくは平均粒子径が1μm〜10μmであり、最も好ましくは2μm〜8μmである。
【0024】
本発明に用いる板状フィラーの平均粒子径が下限値未満の場合には、得られる樹脂組成物に対して生産性、コスト、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性等の性能を向上させるに至らず、また、溶融加工時の流動性が悪化し加工が困難となるため好ましくない。
【0025】
板状フィラーの平均粒子径が上限値を超える場合には、得られる樹脂組成物から成形してなる成形品の外観が好ましくなく表面の平滑性が得られにくくなり、また、溶融加工時の流動性が悪化し加工が困難となり好ましくない。
【0026】
本発明に用いる板状フィラーは、樹脂組成物の寸法安定性を飛躍的に向上することができる。この板状フィラーは、使用環境温度域において樹脂固有の線膨張挙動を抑制する効果を有する為、また、樹脂の軟化を抑制する効果を有する為、機械特性と寸法安定性を向上させることができる。
【0027】
本発明に用いる板状フィラーは、基材樹脂に対する分散性に優れ、樹脂中に均一に分散させることができる為、樹脂組成物全体に均等に良好な特性を付与させることが可能となる。
【0028】
本発明に用いる板状フィラーは、アスペクト比が10以上であることが好ましい。この場合、板状フィラーのアスペクト比は、平均粒子径/板状フィラーの平均厚みで表わされる。アスペクト比が10未満であると、線膨張の低減効果が有効に発現しにくいという問題が生じるため好ましくない。
【0029】
本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いる熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と板状フィラーが均一に混合していることが望ましい。
【0030】
本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートの効果を阻害しない限り、必要に応じて繊維補強材(ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、セラミック質繊維、アラミド繊維、ボロン繊維等)、粒状または鱗片状強化材(炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、グラファイト炭素系、二硫化モリブデン等)、熱伝導性向上剤(粉末状金属酸化物等)、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑材、離型剤、染料、顔料、他の熱可塑性樹脂(ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系、PET系、PBT系、ポリアリレート系、ポリフェニレンサルファイド系、ポリイミド系、フッ素系、ポリエーテルニトリル系、液晶ポリマー系等)、熱硬化性樹脂(フェノール系、エポキシ系、ポリイミド系、シリコン系、ポリアミドイミド系等)を併用しても良い。また、各充填材に対して表面処理を行っても良い。
【0031】
本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いる熱可塑性樹脂と板状フィラーの添加混合・混錬方法は特に限定されることはなく各種混合・混錬手段が用いられる。例えば、各々別々に溶融押出し機に供給して混合しても良い、またあらかじめ紛体原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、ブレンダー、タンブラー等の混合機を利用して乾式予備混錬し、溶融混錬機にて溶融混錬することができる。成形方法としては熱可塑性樹脂組成物に適当な成形方法を適用することができる。たとえば射出成形、溶融押出し成形、注型成形、圧縮成形、焼結成形、紛体塗装等の各種成形方法である。
好ましい実施形態としては本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いる熱可塑性樹脂組成物は溶融押出成形によりフィルム・シート化されるものが好ましいが、その押出方法、引き取り方法については特に限定するものではない。
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いるシートの製法は、溶融押出直後に引き取り冷却ロールにより冷却固化させる方法が好ましい。冷却ロールの表面を平滑にしておくことで、溶融樹脂が固化する際にロール表面の平滑性をシート表面へ転写させることが可能である。
【0033】
本発明におけるフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに用いるフィルムまたはシートの線膨張係数は45ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは30ppm以下である。線膨張係数が45ppmを越えると、フレキシブルプリント配線板との寸法変化の違いが大きくなり、熱硬化接着剤を用いた場合の加熱圧着工程及びキュアリング工程、若しくは部品搭載時におけるリフロー工程等の熱処理後に反りが発生するという問題が生じ、好ましくない。
【0034】
フレキシブルプリント配線板生産工程で打ち抜き性が要求される工程としては、フレキシブルプリント配線板の形状に従って所定の形状にシートを打ち抜く工程である。耐熱性が要求される工程としては、先述の熱硬化性接着剤のキュアリング工程と、リフロー工程等が挙げられる。ただし本発明の実施においては、特に限定されるものではない。
【0035】
【実施例】
以下に実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0036】
実施例にて使用した原材料は以下のとおりである。これらを原料として本発明のフレキシブルプリント配線板の補強板用シートに使う熱可塑性樹脂組成物を作製した。
*1:ポリエーテル芳香族ケトン樹脂
VICTREX製 PEEK450G(商品名)
*2:ポリサルフォン樹脂
ソルベイアドバンストポリマーズ製 UDEL P−1700NT(商品名)
ガラス転移温度:190℃
*3:ポリエーテルイミド樹脂
GE製 ULTEM 1000−1000 ガラス転移温度:210℃
*4:ポリエーテルイミド樹脂
GE製 XH 6050 ガラス転移温度:248℃
*5:ガラス繊維(繊維状)
旭硝子製 RES−TP29
*6:アルミナ粒子(粒子状)
アドマテックス製 AO−502
*7:板状タルク(板状)
日本タルク製 MS−1
【0037】
表1、2に示す各材料を2軸混錬押出機を用いて溶融混錬し、ペレットを製造した。各実施例、および比較例の組成欄の数値は重量部を示す。作製したペレットを単軸押出機とT型ダイス等を用いて溶融押出加工により、また熱プレス加工によりシート状サンプルを得た。
【0038】
各種評価については下記に基づき実施した。
(1)線膨張係数:熱機械分析測定試験機を用い、補強板材料サンプルの線膨張係数を測定(JIS K 7196準拠)した。
(2)耐熱性(耐リフロー性):フレキシブルプリント配線板に所定条件で補強板を圧着したサンプルをIRリフロー機(最大温度260℃×1分)にてリフロー処理し、処理後の補強板形状変化について、変形のないものを○、変形少ないものを△、変形するものを×とした。
(3)成形性:補強板材料の加工性を評価する為に、二軸混錬機および単軸混錬機でのストランド加工およびシート加工成形を行い得られたサンプルの外観を目視で評価。外観良好なものを○、表面粗さの大きいもの、または安定した成形品が得られないものについて×とした。
(4)打ち抜き性:補強板付きフレキシブルプリント配線板サンプルを打ち抜いた時のサンプル外観にて判定した。割れ・欠け個所無いものを○、割れ・欠け個所が1〜2箇所あるものを△、割れ・欠け個所が多数あるものを×とした。
【0039】
本発明の実施例1〜6と比較例1〜3を比較すると、熱可塑性樹脂単独で用いた比較例1〜3では線膨張係数が大きく、耐熱性もあまりよくない。板状フィラーを添加することで成形性を損なわずに、耐熱性が向上することがわかる。
【0040】
本発明の比較例4、5について、板状フィラーの添加量が少ない場合には耐熱性改善の効果を発揮できず、また添加量が多すぎる場合には成形性が非常に悪い為加工が困難となることが判る。
【0041】
本発明の比較例6、7について、繊維状フィラーは加工性に難があり、特に厚みの薄いフィルムの加工が困難であった。粒子状フィラーは線膨張係数の低減効果があまり見られず、耐熱性も良好とはいえないことが分かる。比較例8のポリエーテル芳香族ケトン樹脂が無い配合では、靭性が低い為、打ち抜き時に割れが発生した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、耐熱性、成形性、打ち抜き性、生産性に優れた補強板を用いたフレキシブルプリント配線板の提供が可能となる。
Claims (1)
- フレキシブルプリント配線板に接着剤を介して貼り合わせられる補強板がフィルム、又はシート状の熱可塑性樹脂組成物からなり、
補強板に用いるフィルム、又はシート状の熱可塑性樹脂組成物が、ポリエーテル芳香族ケトン樹脂とガラス転移温度100℃以上の熱可塑性樹脂との少なくとも2種類の樹脂からなる樹脂成分100重量部に対して、板状フィラーを5重量部〜50重量部含有してなることを特徴とする補強板付きフレキシブルプリント配線板。
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JP2007223205A (ja) * | 2006-02-24 | 2007-09-06 | Shin Etsu Chem Co Ltd | フレキシブル積層板及びその製造方法 |
JP2008210891A (ja) * | 2007-02-23 | 2008-09-11 | Fujikura Ltd | フレキシブルプリント基板 |
CN110933848A (zh) * | 2019-12-02 | 2020-03-27 | 昆山圆裕电子科技有限公司 | Fpc排线贴片工艺 |
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-
2003
- 2003-03-03 JP JP2003055069A patent/JP2004266105A/ja active Pending
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