JP2004265891A - 多層基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性が高く、生産性に優れた多層基板の製造方法を提供する。
【解決手段】プリプレグ1と銅箔3aの任意の部分をヒーターポンチ4a,4bで離型シート5を介して加熱加圧することでプリプレグ1に含まれる樹脂を軟化させて接着した後に、一度ヒーターポンチ4a,4bだけを開放しプリプレグ1の温度がプリプレグ1に含まれる樹脂の軟化点以下になってから離型シート5の片側から順次剥離し、さらに上から銅箔3bを積層し、ヒーターポンチ4a,4bで再度任意の部分を加熱加圧した後に、全面を熱プレスで加熱加圧する。
【選択図】 図1
【解決手段】プリプレグ1と銅箔3aの任意の部分をヒーターポンチ4a,4bで離型シート5を介して加熱加圧することでプリプレグ1に含まれる樹脂を軟化させて接着した後に、一度ヒーターポンチ4a,4bだけを開放しプリプレグ1の温度がプリプレグ1に含まれる樹脂の軟化点以下になってから離型シート5の片側から順次剥離し、さらに上から銅箔3bを積層し、ヒーターポンチ4a,4bで再度任意の部分を加熱加圧した後に、全面を熱プレスで加熱加圧する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数層の回路パターンを接続してなる多層基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化、高密度化に伴い、産業用にとどまらず民生用の分野においても多層基板が強く要望されるようになってきた。特に多層基板の高密度化は回路パターンの微細化が進み、より複数層の回路パターンの積層精度がその性能を左右するため、積層精度と同時に生産性の高い積層方法が望まれている。
【0003】
以下従来の多層基板、ここでは4層基板の製造方法について説明する。
【0004】
まず、多層基板のベースとなる両面(2層)基板の製造方法を説明する。
【0005】
図5(a)〜(f)は従来の両面基板の製造方法の工程断面図である。
【0006】
図5(a)において、51は400mm角、厚さ150μmの不織布の芳香族ポリアミド繊維に熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させた複合材からなるアラミド−エポキシシート(以下プリプレグと称する)、52はレーザーなどによって加工した貫通穴に印刷などの手段を用いて導電性ペーストを充填したビアである。
【0007】
図5(b)において、53aは銅箔、54a,54bは先端がφ10mmのヒーターポンチ、55はフッ素樹脂などを材料とした離型シート、56は位置決めステージである。
【0008】
位置決めステージ56上に静置された銅箔53aの上に、プリプレグ51を位置決め用のビア(図示せず)をCCDなどの認識装置(図示せず)で認識位置決めして積層した後、離型シート55を介して約300℃に加熱したヒーターポンチ54a,54bで任意の位置を圧力0.1Mpaにて3秒間加熱加圧してプリプレグ51の熱硬化性エポキシ樹脂を溶融させて銅箔53aに接着固定する。
【0009】
次に図5(c)に示すように、ヒーターポンチ54a,54bの加熱加圧を解除し離型シート55も剥離する。
【0010】
次に図5(d)に示すように、プリプレグ51を銅箔53aとで挟み込む様に銅箔53bを積層し、再度約100℃に熱せられたヒーターポンチ54a,54bで任意の部分を圧力0.1Mpaにて3秒間加熱加圧して接着固定することで上下の銅箔53a,53bとプリプレグ51は接着固定される。この時加圧する箇所は先に加圧した箇所とは異なるところにしないと銅箔との圧着は完成しない。
【0011】
次に、熱プレスで全面を温度200℃、圧力5Mpaで約2時間加熱加圧することでプリプレグ51に含まれた熱硬化性エポキシ樹脂を溶融硬化させて上下の銅箔をプリプレグ51の全面を接着させ端部の余分な銅箔を切り落とすことで図5(e)に示す2層の銅張積層板57が形成される。この時、プリプレグ51に配置された導電性ペーストを充填したビア52によって上下銅箔53a,53bの電気的接合が行われている。
【0012】
そして、図5(f)に示すようにエッチングなどにより銅張積層板57の表面銅箔の任意の部分を選択的に除去することで回路パターン58を形成することで基板59が完成する。
【0013】
次に多層化する場合の従来の実施例を図6(a)〜(f)を用いて説明する。
【0014】
図6は、従来の実施例である多層基板の製造方法を示す工程断面図であり、4層基板を例として示している。
【0015】
図6(a)において、図5の(a)〜(b)と同じ工程を経て位置決めステージ56上に銅箔53aとプリプレグ51aを載置する。
【0016】
その上に既述の基板59を内層用コア基板として積層する。
【0017】
プリプレグ51a上への基板59の積層にあたっては、基板59に形成された位置決め用パターン(図示せず)と、プリプレグ51aに形成した位置決め用ビア(図示せず)をCCDなどの認識装置(図示せず)などを用いて位置決めして積層を行う。
【0018】
その後、任意の部分を約300℃に加熱されたヒーターポンチ54a,54bで離型シート55を介して3秒間加熱加圧することで銅箔53a、プリプレグ51a、基板59を接着固定する。
【0019】
次に、図6(b)に示すように、プリプレグ51bの位置決め用ビア(図示せず)をCCDなどの認識装置を用いて認識し、既に位置決めステージ上に位置決め固定されている基板59の位置決め用パターンと位置決めを行い載置・積層する。
【0020】
そして任意の部分を約300℃に加熱したヒーターポンチ54a,54bで離型シート55を介して3秒間加熱加圧することで基板59とプリプレグ51bが接着固定される。
【0021】
次に図6(c)に示すように、プリプレグ51bの上から銅箔53bを積層し任意の位置を約300℃に加熱したヒーターポンチ54a,54bで3秒間加熱加圧することで下の銅箔53a、下のプリプレグ51a、基板59、上のプリプレグ51b、上の銅箔53bの接着固定を行う。
【0022】
その後に、熱プレスで温度200℃、圧力5Mpaで約2時間で全面を加熱加圧して上下プリプレグの熱硬化性エポキシ樹脂を溶融させて上下銅箔、上下プリプレグ、2層基板を熱硬化性エポキシ樹脂で接着固定させることで図6(d)に示すような4層銅張り板60ができあがる。
【0023】
さらに、図6(e)に示すように、4層銅張り板60の表面銅箔をエッチングなどで選択的に除去することで回路パターン61を形成し4層の多層基板62が完成する。
【0024】
さらに多層化する場合には4層基板をコア基板として上記工程を繰り返せばよい。
【0025】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0026】
【特許文献1】
特開平7−283534号公報
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来の技術における課題について以下説明する。
【0028】
図7は、従来の技術における課題を示す図である。
【0029】
離型シート55を介することでヒーターポンチ54を汚さずにプリプレグ51の任意の位置を加熱加圧することができプリプレグ51に含まれる樹脂を完全硬化させてプリプレグ51と銅箔等とを接着させている。
【0030】
このときプリプレグ51の加熱加圧された部分はまだ高温状態であるためプリプレグ51に含まれる熱硬化性エポキシ樹脂62は溶融状態であるため離型シート55と融着しているので剥離時に離型シート55に取られる。
【0031】
さらに高温で加熱加圧された部分63は樹脂が溶融流出して少なくなっているので凹状にへこみプリプレグ51の芯材が露出する。
【0032】
つまり、この場合ヒーターポンチ54で加熱加圧された部分63は高熱で樹脂が溶融し加圧されたことで樹脂が押し出され樹脂がほとんどなくなっている。
【0033】
また押し出された樹脂は離型シート55に付着した状態で樹脂62が除去されるためヒーターポンチ54で加熱加圧された部分63は樹脂不足になりかつ残りの樹脂も完全に硬化しているため、この後の熱プレス工程で周囲からの樹脂流れもなく基板になってもヒーターポンチ54で加熱加圧された部分63はポーラスな状態になりエッチング液などが浸入しやすい状態にあった。
【0034】
すなわち従来の製造方法においては、プリプレグ51を銅箔やコア基板に積層し接着固定する場合に高温でプリプレグ51を加熱加圧していたため加圧された部分の樹脂は流出し完全硬化するためプリプレグ51の芯材が露出しポーラスな状態になる。
【0035】
その部分に回路パターンの形成工程でエッチング液が入り込み、エッチング液の残渣が次工程に持ち出され工程汚染の要因になるという問題点を有していた。
【0036】
本発明は上記従来の問題を解決するもので、積層時にプリプレグ樹脂を完全硬化させることなく精度が高く、生産性に優れた多層基板を実現するための多層基板の製造方法を提供するものである。
【0037】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、金属箔上にプリプレグを積層する工程と、プリプレグの任意の部位を加熱加圧して金属箔とプリプレグを固定する工程と、前記プリプレグの上に回路パターンを有する基板を積層する工程と、基板の任意の部位を加熱加圧してプリプレグと基板を固定する工程と、前記基板上にさらにプリプレグを積層する工程と、プリプレグの任意の部位を加熱加圧してプリプレグと基板を固定する工程と、その上にさらに金属箔を積層する工程と、金属箔の任意の部位を加熱加圧して金属箔とプリプレグを固定する工程と、これらの全面を加熱加圧する工程を備え、プリプレグの任意の部位を加熱加圧する方法は、プリプレグの任意の部位を離型シートを介して加熱加圧手段にて加熱加圧する工程と、前記加熱加圧手段の加熱加圧を解除する工程と、前記プリプレグを冷却した後前記離型シートを剥離する工程で構成されていることを特徴とした多層基板の製造方法を用いて、多層基板を提供するものである。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明は、加熱したヒーターポンチで離型シートを介して前記プリプレグの任意の部位を加熱加圧する事で前記プリプレグに含浸されたBステージ状態の樹脂を軟化もしくは溶融させて接着剤として利用し構成材料どうしを固定し、さらに加熱加圧が完了し前記ヒーターポンチが加熱加圧を解除しかつ、前記プリプレグの温度が冷えてから前記プリプレグより前記離型シートを剥離する構成を有しており、これにより多層基板を高精度に積層できるという効果を有する。
【0039】
また本発明は、特にヒーターポンチの温度をプリプレグに含浸されたBステージ樹脂の軟化点以上でかつBステージ状態を維持できる温度であり、これにより接着固定後もプリプレグに含浸された樹脂がBステージ状態を保つことができるという効果を有する。
【0040】
また、本発明は、特にヒーターポンチとプリプレグ間に介在させる離型シートが耐熱性と離型性を兼ね備える構成を有しており、これによりヒーターポンチの熱によって溶けることなくさらにプリプレグに接着しないという効果を有する。
【0041】
また本発明は、耐熱性と離型性を兼ね備えている離型シートがフッ素樹脂とする構成を有しており、これにより耐熱性と離型性を兼ね備え、かつヒーターポンチの熱によって溶けることなくさらにプリプレグに接着しないという効果を有する。
【0042】
また本発明は、特に耐熱性と離型性を兼ね備えている離型シートが離型処理を施したポリフェニレンサルファイドからなる構成を有しており、これにより安価に耐熱性と離型性を備え、かつヒーターポンチの熱によって溶けることなくさらにプリプレグに接着しないという効果を有する。
【0043】
また本発明は、特に耐熱性と離型性を兼ね備えている離型シートが離型処理を施したポリエチレン樹脂からなる構成を有しており、これにより安価に耐熱性と離型性を備え、かつヒーターポンチの熱によって溶けることなくさらにプリプレグに接着しないという効果を有する。
【0044】
また本発明は、特に離型処理が離型シートにシリコンコーティングする構成を有しており安価に離型性を付加し、かつヒーターポンチの熱によって溶けることなくさらにプリプレグに接着しないという効果を有する。
【0045】
また本発明は、特に離型処理が離型シートに熱硬化性樹脂をコーティングし完全硬化する構成を有しており、これにより安価で被接着物にコーティング材を転写する可能性を抑制でき、かつヒーターポンチの熱によって溶けることなくさらにプリプレグに接着しないという効果を有する。
【0046】
また本発明は、特に請求項1記載のプリプレグから離型シートを剥離する方法を離型シートの片側より残る片側に向かって順次剥離する構成を有しており、これによりスムーズにプリプレグより離型シートを剥離できるという効果を有する。
【0047】
また本発明は、多層基板の製造方法とする構成を有しており、これにより高品質な多層基板を得ることができる。
【0048】
また本発明は、特にプリプレグおよび、もしくは少なくとも2層以上の回路パターンを有する多層基板が織布あるいは不織布と熱硬化性樹脂との複合材である構成を有しており、これにより完成した基板は高強度を得ることができる。
【0049】
また本発明は、特に任意の部分を加熱加圧する加熱手段は常時加熱ヒーターとする構成を有しており、これにより安価な加熱手段を手に入れることができるという効果を有する。
【0050】
また本発明は、特に任意の一部を部分的に加熱加圧する加熱手段はパルスヒーターあるいは超音波である構成を有しており、これにより加熱後の冷却が速やかに行えるという効果を有する。
【0051】
以下本発明の実施の形態における多層基板の製造方法について説明する。
【0052】
(実施の形態1)
まず、多層基板のベースとなる2層基板の製造方法について説明を行う。
【0053】
図1(a)〜(g)は、本発明の第1の実施の形態である多層基板の内層用コア基板となる両面の(2層)基板の製造方法を示す工程断面図である。
【0054】
図1(a)において、1は400mm角、厚さ150μmの不織布の芳香族ポリアミド(アラミド)繊維に熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させた複合材からなるアラミド−エポキシシート(以下プリプレグと称する)であり、2はレーザーなどによって加工した貫通穴に印刷などの手段を用いて導電性ペーストを充填したビアである。
【0055】
図1(b)において、3aは銅箔、4a,4bは先端がφ10mmの加熱手段としてのヒーターポンチ、5は離型シートである。
【0056】
離型シート5は、厚さ75μmのポリフェニレンサルファイドにシリコンを塗布して離型性を高めており、圧着時には離型処理側がプリプレグ1と接触するようにしてある。
【0057】
6は位置決めステージであり、位置決めステージ6上に静置された銅箔3aの上に、プリプレグ1を位置決め用のビア(図示せず)をCCDなどの認識装置(図示せず)で認識位置決めして銅箔3a上に積層した後、離型シート5を介して約100℃に加熱したヒーターポンチ4a,4bで任意の位置を圧力0.1Mpaにて3秒間加熱加圧してプリプレグ1の熱硬化性エポキシ樹脂を軟化もしくは溶融させて銅箔3aに接着固定する。
【0058】
次に図1(c)に示すように、一旦ヒーターポンチ4a,4bの加熱加圧の解除だけを行い、離型シート5はプリプレグ1上に静置した状態にしておく。
【0059】
このときプリプレグ1の軟化点より僅かに高い程度の温度で加熱加圧されていたため、プリプレグ1に含浸された熱硬化性エポキシ樹脂は加圧されても押し出されず流出や硬化することなくBステージ状態を保持している。
【0060】
次に図1(d)に示すように、プリプレグ1の加熱加圧された部分の温度が下がってから離型シート5の片側より残る片側に向かって順次、徐々に剥離することで、離型シート5はプリプレグ1から軽く剥がすことができる(プリプレグ1に含浸された熱硬化性エポキシ樹脂の軟化点以下になるとさらに剥がし易くなる。)。
【0061】
離型シート5の材質としてはポリエチレン樹脂表面にエポキシ樹脂を塗布し硬化させて耐熱性と離型性を向上させたものや、フッ素樹脂などを用いても同様の効果が得られる。
【0062】
次に図1(e)に示すように、プリプレグ1を銅箔3aとで挟み込む様に銅箔3bを積層し再度約100℃に熱せられたヒーターポンチ4a,4bで任意の部分を圧力0.1Mpaにて3秒間加熱加圧して接着固定することで上下銅箔3a,3bとプリプレグ1は接着固定される。
【0063】
次に、熱プレスで全面を温度200℃、圧力5Mpaで約2時間加熱加圧することでプリプレグ1に含まれた熱硬化性エポキシ樹脂を溶融硬化させて上下の銅箔3a,3bをプリプレグ1の全面に接着させ端部の余分な銅箔を切り落とすことで図1(f)に示す2層銅張積層板7が形成される。この工程により、プリプレグ1に配置された導電性ペーストを充填したビア2によって上下銅箔3a,3bの電気的接合が行われている。
【0064】
そして、図1(g)に示すようにエッチングなどにより2層の銅張積層板7の銅箔を選択的に除去し回路パターン8を形成することで2層の基板9が完成する。
【0065】
この時、ヒーターポンチ4a,4bによって加熱加圧されていた部分はBステージ状態であるにもかかわらず、プレス時の流動による基板の芯材が露出状態とならず、エッチング液の染み込みもないので次工程へのエッチング液残渣の持ち出しを抑制することができる。
【0066】
図2(a)〜(f)は、本発明の第1の実施の形態である多層基板の製造方法を示す工程断面図であり、4層の基板を例として示している。
【0067】
図2(a)において、図1の(a)〜(d)と同じ工程を経て位置決めステージ6上に銅箔3aとプリプレグ1aを載置する。
【0068】
その上に前述の2層の基板9を内層用コア基板として積層する。
【0069】
プリプレグ1a上への基板9の積層にあたっては、基板9に形成された位置決め用パターン(図示せず)と、プリプレグ1aに形成した位置決め用ビア(図示せず)をCCDなどの認識装置(図示せず)などを用いて位置決めをして積層を行う。
【0070】
その後、任意の部分を約100℃に加熱されたヒーターポンチ4a,4bで離型シート5を介して3秒間加熱加圧することで銅箔3a、プリプレグ1a、2層基板9を接着固定する。
【0071】
この場合の離型シート5の使用目的はヒーターポンチ4a,4bで直接内層基板を加圧しない様に内層基板の汚染防止を目的としており離型シート5と2層基板9は溶着することはないので加熱加圧完了後は速やかに離型シート5を剥離しても問題ない。
【0072】
次に、図2(b)に示すように、位置決めステージ6上に位置決め固定されている基板9の位置決め用パターンと、プリプレグ1bの位置決め用ビア(図示せず)をCCDなどの認識装置を用いて認識して位置決めを行い積層する。
【0073】
そして、任意の部分を約100℃に加熱したヒーターポンチ4a,4bで離型シート5を介して3秒間加熱加圧することで2層基板9とプリプレグ1bが接着固定される。
【0074】
次に図2(c)に示すように、ヒーターポンチ4a,4bの加熱加圧完了後、プリプレグ1bの加熱された部分が冷えてから離型シート5を片側より残る片側に向かって順次、徐々に剥離を行うことで積層した基板のずれが抑制できる(プリプレグ1bに含浸された熱硬化性エポキシ樹脂の軟化点以下になるとさらに剥がし易くなりずれも抑制できる。)。
【0075】
次に、図2(d)に示すように、プリプレグ1bの上から銅箔3bを積層し任意の位置を約100℃に加熱したヒーターポンチ4a,4bで3秒間加熱加圧することで、その下に位置する銅箔3a、プリプレグ1a、基板9、プリプレグ1b、及び銅箔3bの接着固定を行う。
【0076】
その後、熱プレスで温度200℃、圧力5Mpaで約2時間で全面を加熱加圧して上下プリプレグ1a,1bの熱硬化性エポキシ樹脂を溶融させて銅箔3a,3b、プリプレグ1a,1b、及び基板9を熱硬化性エポキシ樹脂で接着固定させることで図2(e)に示すような4層の銅張積層板10を形成する。
【0077】
さらに、図2(f)に示すように、4層の銅張積層板10の表面銅箔をエッチングなどで選択的に除去することで回路パターン11を形成し4層の多層基板12が完成する。
【0078】
完成した多層基板のヒーターポンチ4a,4bで加熱加圧された部分は、熱プレス前にBステージ状態を保てていたため熱プレスによって樹脂流動が発生し基板表面は平坦性を保ち基板芯材であるアラミドが表面に露出しておらず良好な状態になっている。
【0079】
4層以上の多層基板を得ようとすれば上記の製造方法で製造した多層基板を基板9の代わりに内層用のコア基板に用い、図2で説明した工程を同様に繰り返せばよい。
【0080】
なお本実施の形態においては、位置決めステージ上にまず銅箔を載置し、プリプレグ、コア基板、プリプレグ、銅箔と順次積層する工程について述べたが、コア基板を中心にその両側にプリプレグを配置した状態で上下同時に接着固定を行う方法や、最外層がプリプレグになるように複数枚のコア基板とプリプレグを交互に重ね合わせる積層方法においても応用することができる。
【0081】
すなわち、本発明の製造方法であるプリプレグとヒーターポンチの間に離型シートを介在させて固着し、離型シートを剥離した後に、銅箔を張り合わせ熱プレスで加熱し一括にて多層基板を得る場合も同様の効果が得られている。
【0082】
また、今回は芯材をアラミド不織布にて説明を行ったが芯材がガラスエポキシの織布でも同様の効果が得られている。
【0083】
従来の積層工程においては、熱プレス前の銅箔とプリプレグと多層基板との位置決め・固定の方法は、プリプレグの樹脂を高温で完全硬化させて固着させていた。
【0084】
このとき加熱加圧部の樹脂が流動・流出してプリプレグの芯材が露出しないようにするため、ヒーターポンチの温度を比較的低温(軟化点以上)として接着固定し、プリプレグ中の樹脂がBステージ状態を保ちつつ、かつ一定の接着(固着)強度を得る必要があった。
【0085】
しかしながら従来の製造方法においては、ヒーターポンチの温度を低温に設定しても圧着直後は、プリプレグ中の樹脂は溶融状態になっていた。
【0086】
したがって離型シートはプリプレグと溶着しており、離型シートを剥離する際に、離型シートに樹脂が付着してプリプレグ中の樹脂が取られるため、プリプレグは樹脂不足になる恐れがあった。
【0087】
また2次的な不具合としては、離型シートと密着したプリプレグが引っ張られ、これにより積層した材料どうし位置がずれる可能性もあった。
【0088】
本発明は以上の従来の製造方法における課題に着目し、離型シートの剥離性と剥離の条件を実験の結果見出した。
【0089】
これにより、ヒーターポンチを高温に設定することはないので、プリプレグ中の樹脂が流動・流出せず、さらに硬化することもないので、離型シートの剥離の際に離型シートへ樹脂が取られるという不具合が解消した。
【0090】
また、離型シートにプリプレグが引っ張られることも無くなったので積層位置がずれることも無くなり接着強度を確保することができた。
【0091】
本発明の製造方法と従来の製造方法で製造された基板の表面の凹凸状態を(表1)に示し、比較しながら説明する。
【0092】
【表1】
【0093】
まず本発明および従来の製造方法ともに、加熱加圧前はプリプレグの芯材形状が表面に顕れ、約Ra=2.0μm程度の表面粗さになっている。
【0094】
この状態のものを加熱加圧した場合、従来の製造方法においては、ヒーターポンチで押し出された樹脂がヒーターポンチの周囲に樹脂溜まりを形成し、加熱加圧された部分はプリプレグの芯材が露出して表面粗さRa=8.1μmになっている。
【0095】
これに対し本発明の製造方法では、表面粗さRa=4.2μmと大きくなっているが樹脂の状態はまだBステージを保っている。
【0096】
以上の状態のプリプレグを熱プレスで加熱加圧すると、従来の製造方法では樹脂が既に硬化しかけているので十分に樹脂が流れず先に形成された凹凸がプレス後にも影響を及ぼしており、表面粗さRa=2.2μmとはっきりプリプレグの芯材が露出していることが分かる。
【0097】
一方本発明の製造方法では、加熱加圧時には若干面が荒れているように見えていたが樹脂がBステージ状態でプリプレグ表面に残っていたためプレス後には表面粗さRa=0.9μmと平坦にすることができている。
【0098】
この結果、エッチング液の次工程への持ち出しも抑制でき、さらに基板として使用できる範囲が従来より広がるので材料の使用効率も向上させることができる。
【0099】
そして、従来での加熱温度300℃と異なり、比較的低温で行えるので、ヒーターポンチの使用電力の節電、およびヒーターポンチの寿命の向上を図ることができ、基板の品質、生産性が向上した。
【0100】
(実施の形態2)
図3は、本発明の基板を製造するために用いる製造装置を示す斜視図である。
【0101】
4a,4bは加熱手段としてのヒーターポンチ、6は位置決めステージでありヒーターポンチ4aが下から基板の下面を押さえられるように任意の位置に加圧用穴24が配置されている。
【0102】
22は位置決めステージ6の一辺の任意の位置に配置されたテープ状の離型シートをプラスチックのコアなどに巻き付けたものが取り付けられる離型シート5の供給リールであり、供給リール22から巻き出された離型シート5はガイドロール25aを通過して位置決めステージ6上の任意の位置に配置された加圧用穴の上をヒーターポンチ4a,4bを上下に分けるように通過させ対面に配置したガイドロール25bを通過後、離型シートの巻き取りリール23で離型シート5を巻き取る構造となっている。
【0103】
また離型シート5の配置を図3のようにすれば一度に4箇所の接着固定が可能となる。
【0104】
また離型シート5が通過している任意の部分に加圧用穴を増設することで下層用プリプレグと上層用プリプレグの加圧を分けることができる。
【0105】
これによりプリプレグの同じ場所を複数回加圧することを避けることができる。この場合ヒーターポンチを増設するか、もしくはスライドベアリングなどで位置移動させて使用することも可能である。
【0106】
以上述べたように、本発明で使用する製造装置は、効率よく基板を製造するための装置であり、これにより生産性に優れ安定して基板を提供することができるものである。
【0107】
(実施の形態3)
次に本発明である基板の製造に用いるために製造装置の詳細な動きを図4を用いて説明する。
【0108】
図4は、本発明である多層基板の製造装置の動作を示した模式図である。
【0109】
本実施の形態では、銅箔上にプリプレグ1を積層してからの圧着動作、及び離型シート5の剥離動作について説明する。
【0110】
図4(a)は、位置決めステージ6の上に銅箔3aを載せさらにその上にプリプレグ1を位置決めして静置した状態となっている。
【0111】
その上に離型シート5があり、離型シート5の供給リール22から巻き出されガイドロール25aを通過してさらにガイドロール25bを通過して離型シート5の巻き取りリール23に巻き取られるようになっている。
【0112】
離型シート5の供給リール22及び離型シート5の巻き取りリール23は、テンション調整機能が備わっている。
【0113】
図4(b)では、ヒーターポンチ4a,4bによる加熱加圧の手順を示している。ヒーターポンチ4a,4bが加圧するときに、ほぼ同時に供給リール22、ガイドロール25a,25b、離型シート5、巻き取りリール23(以上をまとめて離型シートユニットと称する。)が降下し、さらに供給リール22、巻き取りリール23間にかかっていたテンションが解除され、それぞれ離型シート5がガイドロール25a,25bから外れ、弛んだ状態で銅箔3aとプリプレグ1の圧着を行う。
【0114】
次に図4(c)に示すように、ヒーターポンチ4a,4bが加圧を解除した時に同時に離型シートユニットも上昇する。このとき離型シート5は弛ませていたのでプリプレグ1の上に接着された状態になっている。
【0115】
したがって図4(b)において、離型シート5を弛ませる量は、離型シートユニットが上昇してもまだテンションがかからない状態になるようにしておく必要がある。
【0116】
その後プリプレグ1が軟化点まで冷えてから、供給リール22はそのままの状態とし、巻き取りリール23だけを巻き取り動作を行うと、離型シート5は片側からのみ巻き上げられ、同時に片側から残る片側に向かって順次、徐々に剥離され、スムーズに剥離をすることができる。
【0117】
さらに巻き上げることで図4(d)に示すように巻き出し側に近い圧着部分も順次剥離していくことが可能である。
【0118】
図4(e)は銅箔とプリプレグの圧着と離型シート5の剥離が完了した状態である。
【0119】
【発明の効果】
以上のように本発明は、プリプレグ表面をヒーターポンチで離型シートを介して加熱加圧して銅箔やコア基板と接着する場合に、加熱温度をプリプレグに含まれる樹脂の軟化点以上でかつ樹脂のBステージ状態を保つ温度にすることができる。
【0120】
さらに離型シートをプリプレグ表面から剥がす際には離型シートの一方から順次、徐々に剥離することで離型シートへプリプレグ中の樹脂が取られていくことを防止できる。
【0121】
これにより基板として成型されたときに圧着した部分のプリプレグ芯材が露出することがなくなるので回路形成の際におけるエッチング液の染み込みも防止できるため、基板の品質向上を図ることができ、積層工程の安定化も実現でき、さらに生産性に優れた多層基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における基板の製造方法を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態1における多層基板の製造方法を示す断面図
【図3】本発明の実施の形態2における多層基板の製造装置を示す斜視図
【図4】本発明の実施の形態3における多層基板の製造装置の動作を示す図
【図5】従来の基板の製造方法を示す断面図
【図6】従来の多層基板の製造方法を示す断面図
【図7】従来の基板の製造方法における課題を示す図
【符号の説明】
1,1a,1b プリプレグ
2 ビア
3a,3b 銅箔
4a,4b ヒーターポンチ
5 離型シート
6 位置決めステージ
7 2層銅張積層板
8 回路パターン
9 2層基板
10 4層銅張積層板
11 回路パターン
12 4層基板
22 供給リール
23 巻き取りリール
24 加圧用穴
25a,25b ガイドロール
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数層の回路パターンを接続してなる多層基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化、高密度化に伴い、産業用にとどまらず民生用の分野においても多層基板が強く要望されるようになってきた。特に多層基板の高密度化は回路パターンの微細化が進み、より複数層の回路パターンの積層精度がその性能を左右するため、積層精度と同時に生産性の高い積層方法が望まれている。
【0003】
以下従来の多層基板、ここでは4層基板の製造方法について説明する。
【0004】
まず、多層基板のベースとなる両面(2層)基板の製造方法を説明する。
【0005】
図5(a)〜(f)は従来の両面基板の製造方法の工程断面図である。
【0006】
図5(a)において、51は400mm角、厚さ150μmの不織布の芳香族ポリアミド繊維に熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させた複合材からなるアラミド−エポキシシート(以下プリプレグと称する)、52はレーザーなどによって加工した貫通穴に印刷などの手段を用いて導電性ペーストを充填したビアである。
【0007】
図5(b)において、53aは銅箔、54a,54bは先端がφ10mmのヒーターポンチ、55はフッ素樹脂などを材料とした離型シート、56は位置決めステージである。
【0008】
位置決めステージ56上に静置された銅箔53aの上に、プリプレグ51を位置決め用のビア(図示せず)をCCDなどの認識装置(図示せず)で認識位置決めして積層した後、離型シート55を介して約300℃に加熱したヒーターポンチ54a,54bで任意の位置を圧力0.1Mpaにて3秒間加熱加圧してプリプレグ51の熱硬化性エポキシ樹脂を溶融させて銅箔53aに接着固定する。
【0009】
次に図5(c)に示すように、ヒーターポンチ54a,54bの加熱加圧を解除し離型シート55も剥離する。
【0010】
次に図5(d)に示すように、プリプレグ51を銅箔53aとで挟み込む様に銅箔53bを積層し、再度約100℃に熱せられたヒーターポンチ54a,54bで任意の部分を圧力0.1Mpaにて3秒間加熱加圧して接着固定することで上下の銅箔53a,53bとプリプレグ51は接着固定される。この時加圧する箇所は先に加圧した箇所とは異なるところにしないと銅箔との圧着は完成しない。
【0011】
次に、熱プレスで全面を温度200℃、圧力5Mpaで約2時間加熱加圧することでプリプレグ51に含まれた熱硬化性エポキシ樹脂を溶融硬化させて上下の銅箔をプリプレグ51の全面を接着させ端部の余分な銅箔を切り落とすことで図5(e)に示す2層の銅張積層板57が形成される。この時、プリプレグ51に配置された導電性ペーストを充填したビア52によって上下銅箔53a,53bの電気的接合が行われている。
【0012】
そして、図5(f)に示すようにエッチングなどにより銅張積層板57の表面銅箔の任意の部分を選択的に除去することで回路パターン58を形成することで基板59が完成する。
【0013】
次に多層化する場合の従来の実施例を図6(a)〜(f)を用いて説明する。
【0014】
図6は、従来の実施例である多層基板の製造方法を示す工程断面図であり、4層基板を例として示している。
【0015】
図6(a)において、図5の(a)〜(b)と同じ工程を経て位置決めステージ56上に銅箔53aとプリプレグ51aを載置する。
【0016】
その上に既述の基板59を内層用コア基板として積層する。
【0017】
プリプレグ51a上への基板59の積層にあたっては、基板59に形成された位置決め用パターン(図示せず)と、プリプレグ51aに形成した位置決め用ビア(図示せず)をCCDなどの認識装置(図示せず)などを用いて位置決めして積層を行う。
【0018】
その後、任意の部分を約300℃に加熱されたヒーターポンチ54a,54bで離型シート55を介して3秒間加熱加圧することで銅箔53a、プリプレグ51a、基板59を接着固定する。
【0019】
次に、図6(b)に示すように、プリプレグ51bの位置決め用ビア(図示せず)をCCDなどの認識装置を用いて認識し、既に位置決めステージ上に位置決め固定されている基板59の位置決め用パターンと位置決めを行い載置・積層する。
【0020】
そして任意の部分を約300℃に加熱したヒーターポンチ54a,54bで離型シート55を介して3秒間加熱加圧することで基板59とプリプレグ51bが接着固定される。
【0021】
次に図6(c)に示すように、プリプレグ51bの上から銅箔53bを積層し任意の位置を約300℃に加熱したヒーターポンチ54a,54bで3秒間加熱加圧することで下の銅箔53a、下のプリプレグ51a、基板59、上のプリプレグ51b、上の銅箔53bの接着固定を行う。
【0022】
その後に、熱プレスで温度200℃、圧力5Mpaで約2時間で全面を加熱加圧して上下プリプレグの熱硬化性エポキシ樹脂を溶融させて上下銅箔、上下プリプレグ、2層基板を熱硬化性エポキシ樹脂で接着固定させることで図6(d)に示すような4層銅張り板60ができあがる。
【0023】
さらに、図6(e)に示すように、4層銅張り板60の表面銅箔をエッチングなどで選択的に除去することで回路パターン61を形成し4層の多層基板62が完成する。
【0024】
さらに多層化する場合には4層基板をコア基板として上記工程を繰り返せばよい。
【0025】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0026】
【特許文献1】
特開平7−283534号公報
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来の技術における課題について以下説明する。
【0028】
図7は、従来の技術における課題を示す図である。
【0029】
離型シート55を介することでヒーターポンチ54を汚さずにプリプレグ51の任意の位置を加熱加圧することができプリプレグ51に含まれる樹脂を完全硬化させてプリプレグ51と銅箔等とを接着させている。
【0030】
このときプリプレグ51の加熱加圧された部分はまだ高温状態であるためプリプレグ51に含まれる熱硬化性エポキシ樹脂62は溶融状態であるため離型シート55と融着しているので剥離時に離型シート55に取られる。
【0031】
さらに高温で加熱加圧された部分63は樹脂が溶融流出して少なくなっているので凹状にへこみプリプレグ51の芯材が露出する。
【0032】
つまり、この場合ヒーターポンチ54で加熱加圧された部分63は高熱で樹脂が溶融し加圧されたことで樹脂が押し出され樹脂がほとんどなくなっている。
【0033】
また押し出された樹脂は離型シート55に付着した状態で樹脂62が除去されるためヒーターポンチ54で加熱加圧された部分63は樹脂不足になりかつ残りの樹脂も完全に硬化しているため、この後の熱プレス工程で周囲からの樹脂流れもなく基板になってもヒーターポンチ54で加熱加圧された部分63はポーラスな状態になりエッチング液などが浸入しやすい状態にあった。
【0034】
すなわち従来の製造方法においては、プリプレグ51を銅箔やコア基板に積層し接着固定する場合に高温でプリプレグ51を加熱加圧していたため加圧された部分の樹脂は流出し完全硬化するためプリプレグ51の芯材が露出しポーラスな状態になる。
【0035】
その部分に回路パターンの形成工程でエッチング液が入り込み、エッチング液の残渣が次工程に持ち出され工程汚染の要因になるという問題点を有していた。
【0036】
本発明は上記従来の問題を解決するもので、積層時にプリプレグ樹脂を完全硬化させることなく精度が高く、生産性に優れた多層基板を実現するための多層基板の製造方法を提供するものである。
【0037】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、金属箔上にプリプレグを積層する工程と、プリプレグの任意の部位を加熱加圧して金属箔とプリプレグを固定する工程と、前記プリプレグの上に回路パターンを有する基板を積層する工程と、基板の任意の部位を加熱加圧してプリプレグと基板を固定する工程と、前記基板上にさらにプリプレグを積層する工程と、プリプレグの任意の部位を加熱加圧してプリプレグと基板を固定する工程と、その上にさらに金属箔を積層する工程と、金属箔の任意の部位を加熱加圧して金属箔とプリプレグを固定する工程と、これらの全面を加熱加圧する工程を備え、プリプレグの任意の部位を加熱加圧する方法は、プリプレグの任意の部位を離型シートを介して加熱加圧手段にて加熱加圧する工程と、前記加熱加圧手段の加熱加圧を解除する工程と、前記プリプレグを冷却した後前記離型シートを剥離する工程で構成されていることを特徴とした多層基板の製造方法を用いて、多層基板を提供するものである。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明は、加熱したヒーターポンチで離型シートを介して前記プリプレグの任意の部位を加熱加圧する事で前記プリプレグに含浸されたBステージ状態の樹脂を軟化もしくは溶融させて接着剤として利用し構成材料どうしを固定し、さらに加熱加圧が完了し前記ヒーターポンチが加熱加圧を解除しかつ、前記プリプレグの温度が冷えてから前記プリプレグより前記離型シートを剥離する構成を有しており、これにより多層基板を高精度に積層できるという効果を有する。
【0039】
また本発明は、特にヒーターポンチの温度をプリプレグに含浸されたBステージ樹脂の軟化点以上でかつBステージ状態を維持できる温度であり、これにより接着固定後もプリプレグに含浸された樹脂がBステージ状態を保つことができるという効果を有する。
【0040】
また、本発明は、特にヒーターポンチとプリプレグ間に介在させる離型シートが耐熱性と離型性を兼ね備える構成を有しており、これによりヒーターポンチの熱によって溶けることなくさらにプリプレグに接着しないという効果を有する。
【0041】
また本発明は、耐熱性と離型性を兼ね備えている離型シートがフッ素樹脂とする構成を有しており、これにより耐熱性と離型性を兼ね備え、かつヒーターポンチの熱によって溶けることなくさらにプリプレグに接着しないという効果を有する。
【0042】
また本発明は、特に耐熱性と離型性を兼ね備えている離型シートが離型処理を施したポリフェニレンサルファイドからなる構成を有しており、これにより安価に耐熱性と離型性を備え、かつヒーターポンチの熱によって溶けることなくさらにプリプレグに接着しないという効果を有する。
【0043】
また本発明は、特に耐熱性と離型性を兼ね備えている離型シートが離型処理を施したポリエチレン樹脂からなる構成を有しており、これにより安価に耐熱性と離型性を備え、かつヒーターポンチの熱によって溶けることなくさらにプリプレグに接着しないという効果を有する。
【0044】
また本発明は、特に離型処理が離型シートにシリコンコーティングする構成を有しており安価に離型性を付加し、かつヒーターポンチの熱によって溶けることなくさらにプリプレグに接着しないという効果を有する。
【0045】
また本発明は、特に離型処理が離型シートに熱硬化性樹脂をコーティングし完全硬化する構成を有しており、これにより安価で被接着物にコーティング材を転写する可能性を抑制でき、かつヒーターポンチの熱によって溶けることなくさらにプリプレグに接着しないという効果を有する。
【0046】
また本発明は、特に請求項1記載のプリプレグから離型シートを剥離する方法を離型シートの片側より残る片側に向かって順次剥離する構成を有しており、これによりスムーズにプリプレグより離型シートを剥離できるという効果を有する。
【0047】
また本発明は、多層基板の製造方法とする構成を有しており、これにより高品質な多層基板を得ることができる。
【0048】
また本発明は、特にプリプレグおよび、もしくは少なくとも2層以上の回路パターンを有する多層基板が織布あるいは不織布と熱硬化性樹脂との複合材である構成を有しており、これにより完成した基板は高強度を得ることができる。
【0049】
また本発明は、特に任意の部分を加熱加圧する加熱手段は常時加熱ヒーターとする構成を有しており、これにより安価な加熱手段を手に入れることができるという効果を有する。
【0050】
また本発明は、特に任意の一部を部分的に加熱加圧する加熱手段はパルスヒーターあるいは超音波である構成を有しており、これにより加熱後の冷却が速やかに行えるという効果を有する。
【0051】
以下本発明の実施の形態における多層基板の製造方法について説明する。
【0052】
(実施の形態1)
まず、多層基板のベースとなる2層基板の製造方法について説明を行う。
【0053】
図1(a)〜(g)は、本発明の第1の実施の形態である多層基板の内層用コア基板となる両面の(2層)基板の製造方法を示す工程断面図である。
【0054】
図1(a)において、1は400mm角、厚さ150μmの不織布の芳香族ポリアミド(アラミド)繊維に熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させた複合材からなるアラミド−エポキシシート(以下プリプレグと称する)であり、2はレーザーなどによって加工した貫通穴に印刷などの手段を用いて導電性ペーストを充填したビアである。
【0055】
図1(b)において、3aは銅箔、4a,4bは先端がφ10mmの加熱手段としてのヒーターポンチ、5は離型シートである。
【0056】
離型シート5は、厚さ75μmのポリフェニレンサルファイドにシリコンを塗布して離型性を高めており、圧着時には離型処理側がプリプレグ1と接触するようにしてある。
【0057】
6は位置決めステージであり、位置決めステージ6上に静置された銅箔3aの上に、プリプレグ1を位置決め用のビア(図示せず)をCCDなどの認識装置(図示せず)で認識位置決めして銅箔3a上に積層した後、離型シート5を介して約100℃に加熱したヒーターポンチ4a,4bで任意の位置を圧力0.1Mpaにて3秒間加熱加圧してプリプレグ1の熱硬化性エポキシ樹脂を軟化もしくは溶融させて銅箔3aに接着固定する。
【0058】
次に図1(c)に示すように、一旦ヒーターポンチ4a,4bの加熱加圧の解除だけを行い、離型シート5はプリプレグ1上に静置した状態にしておく。
【0059】
このときプリプレグ1の軟化点より僅かに高い程度の温度で加熱加圧されていたため、プリプレグ1に含浸された熱硬化性エポキシ樹脂は加圧されても押し出されず流出や硬化することなくBステージ状態を保持している。
【0060】
次に図1(d)に示すように、プリプレグ1の加熱加圧された部分の温度が下がってから離型シート5の片側より残る片側に向かって順次、徐々に剥離することで、離型シート5はプリプレグ1から軽く剥がすことができる(プリプレグ1に含浸された熱硬化性エポキシ樹脂の軟化点以下になるとさらに剥がし易くなる。)。
【0061】
離型シート5の材質としてはポリエチレン樹脂表面にエポキシ樹脂を塗布し硬化させて耐熱性と離型性を向上させたものや、フッ素樹脂などを用いても同様の効果が得られる。
【0062】
次に図1(e)に示すように、プリプレグ1を銅箔3aとで挟み込む様に銅箔3bを積層し再度約100℃に熱せられたヒーターポンチ4a,4bで任意の部分を圧力0.1Mpaにて3秒間加熱加圧して接着固定することで上下銅箔3a,3bとプリプレグ1は接着固定される。
【0063】
次に、熱プレスで全面を温度200℃、圧力5Mpaで約2時間加熱加圧することでプリプレグ1に含まれた熱硬化性エポキシ樹脂を溶融硬化させて上下の銅箔3a,3bをプリプレグ1の全面に接着させ端部の余分な銅箔を切り落とすことで図1(f)に示す2層銅張積層板7が形成される。この工程により、プリプレグ1に配置された導電性ペーストを充填したビア2によって上下銅箔3a,3bの電気的接合が行われている。
【0064】
そして、図1(g)に示すようにエッチングなどにより2層の銅張積層板7の銅箔を選択的に除去し回路パターン8を形成することで2層の基板9が完成する。
【0065】
この時、ヒーターポンチ4a,4bによって加熱加圧されていた部分はBステージ状態であるにもかかわらず、プレス時の流動による基板の芯材が露出状態とならず、エッチング液の染み込みもないので次工程へのエッチング液残渣の持ち出しを抑制することができる。
【0066】
図2(a)〜(f)は、本発明の第1の実施の形態である多層基板の製造方法を示す工程断面図であり、4層の基板を例として示している。
【0067】
図2(a)において、図1の(a)〜(d)と同じ工程を経て位置決めステージ6上に銅箔3aとプリプレグ1aを載置する。
【0068】
その上に前述の2層の基板9を内層用コア基板として積層する。
【0069】
プリプレグ1a上への基板9の積層にあたっては、基板9に形成された位置決め用パターン(図示せず)と、プリプレグ1aに形成した位置決め用ビア(図示せず)をCCDなどの認識装置(図示せず)などを用いて位置決めをして積層を行う。
【0070】
その後、任意の部分を約100℃に加熱されたヒーターポンチ4a,4bで離型シート5を介して3秒間加熱加圧することで銅箔3a、プリプレグ1a、2層基板9を接着固定する。
【0071】
この場合の離型シート5の使用目的はヒーターポンチ4a,4bで直接内層基板を加圧しない様に内層基板の汚染防止を目的としており離型シート5と2層基板9は溶着することはないので加熱加圧完了後は速やかに離型シート5を剥離しても問題ない。
【0072】
次に、図2(b)に示すように、位置決めステージ6上に位置決め固定されている基板9の位置決め用パターンと、プリプレグ1bの位置決め用ビア(図示せず)をCCDなどの認識装置を用いて認識して位置決めを行い積層する。
【0073】
そして、任意の部分を約100℃に加熱したヒーターポンチ4a,4bで離型シート5を介して3秒間加熱加圧することで2層基板9とプリプレグ1bが接着固定される。
【0074】
次に図2(c)に示すように、ヒーターポンチ4a,4bの加熱加圧完了後、プリプレグ1bの加熱された部分が冷えてから離型シート5を片側より残る片側に向かって順次、徐々に剥離を行うことで積層した基板のずれが抑制できる(プリプレグ1bに含浸された熱硬化性エポキシ樹脂の軟化点以下になるとさらに剥がし易くなりずれも抑制できる。)。
【0075】
次に、図2(d)に示すように、プリプレグ1bの上から銅箔3bを積層し任意の位置を約100℃に加熱したヒーターポンチ4a,4bで3秒間加熱加圧することで、その下に位置する銅箔3a、プリプレグ1a、基板9、プリプレグ1b、及び銅箔3bの接着固定を行う。
【0076】
その後、熱プレスで温度200℃、圧力5Mpaで約2時間で全面を加熱加圧して上下プリプレグ1a,1bの熱硬化性エポキシ樹脂を溶融させて銅箔3a,3b、プリプレグ1a,1b、及び基板9を熱硬化性エポキシ樹脂で接着固定させることで図2(e)に示すような4層の銅張積層板10を形成する。
【0077】
さらに、図2(f)に示すように、4層の銅張積層板10の表面銅箔をエッチングなどで選択的に除去することで回路パターン11を形成し4層の多層基板12が完成する。
【0078】
完成した多層基板のヒーターポンチ4a,4bで加熱加圧された部分は、熱プレス前にBステージ状態を保てていたため熱プレスによって樹脂流動が発生し基板表面は平坦性を保ち基板芯材であるアラミドが表面に露出しておらず良好な状態になっている。
【0079】
4層以上の多層基板を得ようとすれば上記の製造方法で製造した多層基板を基板9の代わりに内層用のコア基板に用い、図2で説明した工程を同様に繰り返せばよい。
【0080】
なお本実施の形態においては、位置決めステージ上にまず銅箔を載置し、プリプレグ、コア基板、プリプレグ、銅箔と順次積層する工程について述べたが、コア基板を中心にその両側にプリプレグを配置した状態で上下同時に接着固定を行う方法や、最外層がプリプレグになるように複数枚のコア基板とプリプレグを交互に重ね合わせる積層方法においても応用することができる。
【0081】
すなわち、本発明の製造方法であるプリプレグとヒーターポンチの間に離型シートを介在させて固着し、離型シートを剥離した後に、銅箔を張り合わせ熱プレスで加熱し一括にて多層基板を得る場合も同様の効果が得られている。
【0082】
また、今回は芯材をアラミド不織布にて説明を行ったが芯材がガラスエポキシの織布でも同様の効果が得られている。
【0083】
従来の積層工程においては、熱プレス前の銅箔とプリプレグと多層基板との位置決め・固定の方法は、プリプレグの樹脂を高温で完全硬化させて固着させていた。
【0084】
このとき加熱加圧部の樹脂が流動・流出してプリプレグの芯材が露出しないようにするため、ヒーターポンチの温度を比較的低温(軟化点以上)として接着固定し、プリプレグ中の樹脂がBステージ状態を保ちつつ、かつ一定の接着(固着)強度を得る必要があった。
【0085】
しかしながら従来の製造方法においては、ヒーターポンチの温度を低温に設定しても圧着直後は、プリプレグ中の樹脂は溶融状態になっていた。
【0086】
したがって離型シートはプリプレグと溶着しており、離型シートを剥離する際に、離型シートに樹脂が付着してプリプレグ中の樹脂が取られるため、プリプレグは樹脂不足になる恐れがあった。
【0087】
また2次的な不具合としては、離型シートと密着したプリプレグが引っ張られ、これにより積層した材料どうし位置がずれる可能性もあった。
【0088】
本発明は以上の従来の製造方法における課題に着目し、離型シートの剥離性と剥離の条件を実験の結果見出した。
【0089】
これにより、ヒーターポンチを高温に設定することはないので、プリプレグ中の樹脂が流動・流出せず、さらに硬化することもないので、離型シートの剥離の際に離型シートへ樹脂が取られるという不具合が解消した。
【0090】
また、離型シートにプリプレグが引っ張られることも無くなったので積層位置がずれることも無くなり接着強度を確保することができた。
【0091】
本発明の製造方法と従来の製造方法で製造された基板の表面の凹凸状態を(表1)に示し、比較しながら説明する。
【0092】
【表1】
【0093】
まず本発明および従来の製造方法ともに、加熱加圧前はプリプレグの芯材形状が表面に顕れ、約Ra=2.0μm程度の表面粗さになっている。
【0094】
この状態のものを加熱加圧した場合、従来の製造方法においては、ヒーターポンチで押し出された樹脂がヒーターポンチの周囲に樹脂溜まりを形成し、加熱加圧された部分はプリプレグの芯材が露出して表面粗さRa=8.1μmになっている。
【0095】
これに対し本発明の製造方法では、表面粗さRa=4.2μmと大きくなっているが樹脂の状態はまだBステージを保っている。
【0096】
以上の状態のプリプレグを熱プレスで加熱加圧すると、従来の製造方法では樹脂が既に硬化しかけているので十分に樹脂が流れず先に形成された凹凸がプレス後にも影響を及ぼしており、表面粗さRa=2.2μmとはっきりプリプレグの芯材が露出していることが分かる。
【0097】
一方本発明の製造方法では、加熱加圧時には若干面が荒れているように見えていたが樹脂がBステージ状態でプリプレグ表面に残っていたためプレス後には表面粗さRa=0.9μmと平坦にすることができている。
【0098】
この結果、エッチング液の次工程への持ち出しも抑制でき、さらに基板として使用できる範囲が従来より広がるので材料の使用効率も向上させることができる。
【0099】
そして、従来での加熱温度300℃と異なり、比較的低温で行えるので、ヒーターポンチの使用電力の節電、およびヒーターポンチの寿命の向上を図ることができ、基板の品質、生産性が向上した。
【0100】
(実施の形態2)
図3は、本発明の基板を製造するために用いる製造装置を示す斜視図である。
【0101】
4a,4bは加熱手段としてのヒーターポンチ、6は位置決めステージでありヒーターポンチ4aが下から基板の下面を押さえられるように任意の位置に加圧用穴24が配置されている。
【0102】
22は位置決めステージ6の一辺の任意の位置に配置されたテープ状の離型シートをプラスチックのコアなどに巻き付けたものが取り付けられる離型シート5の供給リールであり、供給リール22から巻き出された離型シート5はガイドロール25aを通過して位置決めステージ6上の任意の位置に配置された加圧用穴の上をヒーターポンチ4a,4bを上下に分けるように通過させ対面に配置したガイドロール25bを通過後、離型シートの巻き取りリール23で離型シート5を巻き取る構造となっている。
【0103】
また離型シート5の配置を図3のようにすれば一度に4箇所の接着固定が可能となる。
【0104】
また離型シート5が通過している任意の部分に加圧用穴を増設することで下層用プリプレグと上層用プリプレグの加圧を分けることができる。
【0105】
これによりプリプレグの同じ場所を複数回加圧することを避けることができる。この場合ヒーターポンチを増設するか、もしくはスライドベアリングなどで位置移動させて使用することも可能である。
【0106】
以上述べたように、本発明で使用する製造装置は、効率よく基板を製造するための装置であり、これにより生産性に優れ安定して基板を提供することができるものである。
【0107】
(実施の形態3)
次に本発明である基板の製造に用いるために製造装置の詳細な動きを図4を用いて説明する。
【0108】
図4は、本発明である多層基板の製造装置の動作を示した模式図である。
【0109】
本実施の形態では、銅箔上にプリプレグ1を積層してからの圧着動作、及び離型シート5の剥離動作について説明する。
【0110】
図4(a)は、位置決めステージ6の上に銅箔3aを載せさらにその上にプリプレグ1を位置決めして静置した状態となっている。
【0111】
その上に離型シート5があり、離型シート5の供給リール22から巻き出されガイドロール25aを通過してさらにガイドロール25bを通過して離型シート5の巻き取りリール23に巻き取られるようになっている。
【0112】
離型シート5の供給リール22及び離型シート5の巻き取りリール23は、テンション調整機能が備わっている。
【0113】
図4(b)では、ヒーターポンチ4a,4bによる加熱加圧の手順を示している。ヒーターポンチ4a,4bが加圧するときに、ほぼ同時に供給リール22、ガイドロール25a,25b、離型シート5、巻き取りリール23(以上をまとめて離型シートユニットと称する。)が降下し、さらに供給リール22、巻き取りリール23間にかかっていたテンションが解除され、それぞれ離型シート5がガイドロール25a,25bから外れ、弛んだ状態で銅箔3aとプリプレグ1の圧着を行う。
【0114】
次に図4(c)に示すように、ヒーターポンチ4a,4bが加圧を解除した時に同時に離型シートユニットも上昇する。このとき離型シート5は弛ませていたのでプリプレグ1の上に接着された状態になっている。
【0115】
したがって図4(b)において、離型シート5を弛ませる量は、離型シートユニットが上昇してもまだテンションがかからない状態になるようにしておく必要がある。
【0116】
その後プリプレグ1が軟化点まで冷えてから、供給リール22はそのままの状態とし、巻き取りリール23だけを巻き取り動作を行うと、離型シート5は片側からのみ巻き上げられ、同時に片側から残る片側に向かって順次、徐々に剥離され、スムーズに剥離をすることができる。
【0117】
さらに巻き上げることで図4(d)に示すように巻き出し側に近い圧着部分も順次剥離していくことが可能である。
【0118】
図4(e)は銅箔とプリプレグの圧着と離型シート5の剥離が完了した状態である。
【0119】
【発明の効果】
以上のように本発明は、プリプレグ表面をヒーターポンチで離型シートを介して加熱加圧して銅箔やコア基板と接着する場合に、加熱温度をプリプレグに含まれる樹脂の軟化点以上でかつ樹脂のBステージ状態を保つ温度にすることができる。
【0120】
さらに離型シートをプリプレグ表面から剥がす際には離型シートの一方から順次、徐々に剥離することで離型シートへプリプレグ中の樹脂が取られていくことを防止できる。
【0121】
これにより基板として成型されたときに圧着した部分のプリプレグ芯材が露出することがなくなるので回路形成の際におけるエッチング液の染み込みも防止できるため、基板の品質向上を図ることができ、積層工程の安定化も実現でき、さらに生産性に優れた多層基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における基板の製造方法を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態1における多層基板の製造方法を示す断面図
【図3】本発明の実施の形態2における多層基板の製造装置を示す斜視図
【図4】本発明の実施の形態3における多層基板の製造装置の動作を示す図
【図5】従来の基板の製造方法を示す断面図
【図6】従来の多層基板の製造方法を示す断面図
【図7】従来の基板の製造方法における課題を示す図
【符号の説明】
1,1a,1b プリプレグ
2 ビア
3a,3b 銅箔
4a,4b ヒーターポンチ
5 離型シート
6 位置決めステージ
7 2層銅張積層板
8 回路パターン
9 2層基板
10 4層銅張積層板
11 回路パターン
12 4層基板
22 供給リール
23 巻き取りリール
24 加圧用穴
25a,25b ガイドロール
Claims (13)
- 金属箔上にプリプレグを積層する工程と、プリプレグの任意の部位を加熱加圧して金属箔とプリプレグを固定する工程と、前記プリプレグの上に回路パターンを有する基板を積層する工程と、基板の任意の部位を加熱加圧してプリプレグと基板を固定する工程と、前記基板上にさらにプリプレグを積層する工程と、プリプレグの任意の部位を加熱加圧してプリプレグと基板を固定する工程と、その上にさらに金属箔を積層する工程と、金属箔の任意の部位を加熱加圧して金属箔とプリプレグを固定する工程と、これらの全面を加熱加圧する工程を備え、プリプレグの任意の部位を加熱加圧する方法は、プリプレグの任意の部位を離型シートを介して加熱加圧手段にて加熱加圧する工程と、前記加熱加圧手段の加熱加圧を解除する工程と、前記プリプレグを冷却した後前記離型シートを剥離する工程で構成されていることを特徴とした多層基板の製造方法。
- プリプレグは基材に樹脂が含浸されたものであり、前記樹脂はBステージ状態であることを特徴とする請求項1に記載の多層基板の製造方法。
- 回路パターンを有する基板は、織布あるいは不織布と熱硬化性樹脂との複合材であることを特徴とする請求項1記載の多層基板の製造方法。
- 加熱加圧手段は、プリプレグに含浸された樹脂の軟化点以上で、かつBステージ状態を維持できる温度に設定されていることを特徴とする請求項3記載の多層基板の製造方法。
- 離型シートは、耐熱性と離型性を兼ね備えていることを特徴とする請求項1記載の多層基板の製造方法。
- 離型シートは、フッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の多層基板の製造方法。
- 離型シートは、離型処理を施したポリフェニレンサルファイドからなることを特徴とする請求項1記載の多層基板の製造方法。
- 離型シートは、離型処理を施したポリエチレン樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の多層基板の製造方法。
- 離型処理は、シリコンコーティング処理であることを特徴とする請求項7、または請求項8に記載の多層基板の製造方法。
- 離型処理は、熱硬化性樹脂をコーティングする処理であることを特徴とする請求項7、または請求項8に記載の多層基板の製造方法。
- 離型シートを剥離する工程は、離型シートの片側より残る片側に向かって順次剥離することを特徴とする請求項1に記載の多層基板の製造方法。
- 加熱加圧手段は、常時加熱ヒーターであることを特徴とする請求項1に記載の多層基板の製造方法。
- 加熱加圧手段は、パルスヒーターあるいは超音波であることを特徴とする請求項1に記載の多層基板の製造方法。
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