JP2004265839A - バッテリの取付構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】後部の一部がスペアタイヤトレイ7の前部に露呈された状態でフロアパネル5に倒伏して配置されたバッテリ11〜13,15をバッテリホルダ16,17を介して保持する。各バッテリ11〜13,15の前部側面から前面にかけてバッテリ11〜13,15の下部に当接するバッテリ当接部21と、各バッテリ11〜13,15の前部上面を係止する係止部24とを有してバッテリホルダ16を構成するとともに、各バッテリ11〜13,15の後部上面を係止する係止部28を有してバッテリホルダ17を構成する。各係止部24,28は、スペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15の後部に下方から衝突した際には、バッテリ11〜13,15に対する係止を解放する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラゲージルーム内に収容されたスペアタイヤの前方にバッテリを配設する際の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両においては、モータジェネレータを用いた簡易ハイブリッドシステム、電動4輪駆動システム、電磁駆動弁、電動パワーステアリング、電動カーエアコン、電動ブレーキ、電動シャーシコントロール、フロントガラスの急速霜取り装置、シートヒータ等の各装備を高いクオリティで実現することを目的として、車載補機類の定格電圧を14Vから42Vへと昇圧化させることが検討されており、これに伴い、車載のバッテリ電圧を12Vから36Vへと昇圧化させることが検討されている。
【0003】
このような補機類の昇圧化への移行期間には、補機類の変更に伴うコストの高騰を抑制するため、補機類の昇圧化は、当該昇圧化によってより多くのメリットを享受可能なものから段階的に導入されることが望ましい。この場合、補機類の昇圧化によって見込まれる最も大きなメリットの1つとして、高出力なモータジェネレータを用いて簡易ハイブリッドシステムを構築することで燃費向上等を実現することが考えられる。そこで、近年では、36Vバッテリと12Vバッテリとをともに搭載し、例えばモータジェネレータ、電磁クラッチ、及びオートマチックトランスミッション用の電動オイルポンプ等を36Vバッテリで駆動するとともに、その他の補機類を12Vバッテリで駆動する技術が提案され実用化されている。
【0004】
しかしながら、上述のように36Vバッテリと12Vバッテリとを備えた車両においては、両バッテリを狭隘なエンジンルーム内に同時に搭載することが困難となる。また、車両にモータジェネレータを採用した場合には、インバータ装置を新たに搭載する必要がある。さらに、モータジェネレータによる発電電圧を電圧降下させて12Vバッテリ等にも給電するためには、DC−DCコンバータ等の補機類を新たに搭載する必要がある。
【0005】
これらに対処し、例えば非特許文献1には、36Vバッテリ及び12Vバッテリをラゲージルーム内のフロアパネル上に配設するとともに、各バッテリをラゲージルーム内に配設することでエンジンルーム内に確保されたスペースに、DC−DCコンバータを一体的に備えたインバータ装置を配設する技術が開示されている。
【0006】
また、36Vバッテリ及び12Vバッテリの取付構造として、上記非特許文献1には、スペアタイヤの前方でラゲージルームの車幅方向に架設されたバッテリキャリヤとホールダウンパイプとの間に、36Vバッテリ及び12Vバッテリをクランプ機構を介して固設する技術が開示されている。
【0007】
【非特許文献1】
トヨタ自動車株式会社編集「クラウン、クラウンマジェスタ、クラウンエステート新型車解説書」2001年8月20日発行、P0−2、P1−2〜1−7、P1−12〜1−21、P4−4
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両においては、ラゲージルーム内にスペアタイヤを収容するスペアタイヤトレイを後突時のクラッシュストロークとして機能させることが一般的である。このため、スペアタイヤトレイの前面には、高剛性のスペアタイヤを後突時に車体前方に跳ね上げるようガイドするための傾斜部が設けられている。
【0009】
従って、上述の非特許文献1に開示された技術のようにスペアタイヤの前方にバッテリを配設する場合、バッテリ保護の観点から、バッテリは、後突時に予測されるスペアタイヤの軌跡からオフセットする位置に配設されることが望ましく、さらに、スペアタイヤから十分に離間する位置に配設されることがより望ましい。
【0010】
しかしながら、車体形状や車体に搭載される各部材のレイアウト等によっては後突時に予測されるスペアタイヤの軌跡上にバッテリを配設せざるを得ない場合がある。特に、バッテリの後部の一部がスペアタイヤトレイに臨まされる場合、後突時に跳ね上げられたスペアタイヤがバッテリの後部に下方から衝突してバッテリが破損される虞があった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、後突時に跳ね上げられたスペアタイヤの衝突によるバッテリの破損を防止すると共に、バッテリによりスペアタイヤの移動が阻害されるのを防ぐことができるバッテリの取付構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、後突時にスペアタイヤを跳ね上げて車体前方にガイドする傾斜部が形成されたスペアタイヤトレイをラゲージルーム内のフロアパネル下部に有し、上記スペアタイヤトレイの前方で保持手段により上記フロアパネル上に保持されるバッテリを有し、少なくとも該バッテリの後部が上記スペアタイヤトレイに臨まされるバッテリの取付構造であって、上記保持手段に、上記スペアタイヤが上記バッテリの後部に下方から衝突した際に上記バッテリが前部下方を支点として回転移動するようガイドするガイド手段を設けたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項1記載の発明において、上記保持手段は、上記バッテリの上面を下方から係止する係止部と、上記バッテリの前面に当接する当接部とを有し、上記スペアタイヤが上記バッテリの後部に下方から衝突した際に、上記係止部が上記バッテリ上面の係止を解放するとともに上記当接部が上記バッテリの車体前方への移動を規制することで、上記係止部及び上記当接部は上記ガイド手段として機能することを特徴とする。
【0014】
また、請求項3記載の発明によるバッテリの取付構造は請求項1記載の発明において、上記保持手段は、車幅方向に延在し、上記スペアタイヤトレイの上方に掛け渡され、上記バッテリの底面後部に連結するステーであって、上記ガイド手段は、上記ステーの上方への変形を許容する脆弱部であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項3記載の発明において、上記バッテリは、上記ステーに予め連結された状態で上記ラゲージルーム内に搬入されて上記フロアパネル上に固設されることを特徴とする。
【0016】
また、請求項5記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項1記載の発明において、上記保持手段は、上記バッテリの底面前部に連結するステーであって、上記ガイド手段は、上記ステーに一体的に設けられて上記バッテリの前面下部に当接する段部であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項5記載の発明において、上記バッテリは、上記ステーに予め連結された状態で上記ラゲージルーム内に搬入されて上記フロアパネル上に固設されることを特徴とする。
【0018】
また、請求項7記載の発明は、後突時にスペアタイヤを跳ね上げて車体前方にガイドする傾斜部が形成されたスペアタイヤトレイをラゲージルーム内のフロアパネル下部に有し、上記スペアタイヤトレイの前方で保持手段により上記フロアパネル上に保持されるバッテリを有し、少なくとも該バッテリの後部が上記スペアタイヤトレイに臨まされるバッテリの取付構造であって、上記保持手段を上記フロアパネル上に連結する連結手段を有し、上記連結手段は、上記スペアタイヤが上記バッテリの後部に下方から衝突した際に上記保持手段の連結を解放することを特徴とする。
【0019】
また、請求項8記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項7記載の発明において、上記連結手段は上方に開口するスリットを有し、上記保持手段に設けられた爪部が上記スリットに上方から挿入されることによって上記保持手段を上記フロアパネル上に連結することを特徴とする。
【0020】
また、請求項9記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項8記載の発明において、上記連結手段は、上記スリットに挿入された上記爪部の揺動を規制する係止部を有することを特徴とする。
【0021】
また、請求項10記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項1乃至請求項9の何れかに記載の発明において、上記バッテリはシール鉛蓄電池であることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1乃至図4は本発明の第1の実施の一形態に係わり、図1はラゲージルームの要部を示す平面図、図2はスペアタイヤ衝突時のバッテリの挙動を示す説明図、図3はバッテリ及びバッテリホルダを示す分解斜視図、図4はバッテリホルダの変形例を示す説明図である。
【0023】
図1において符号1は車体を示す。本実施の形態において、車体1には、定格電圧が例えば42Vに設定されたモータジェネレータや電動オイルポンプ等の各補機類(図示せず)と、定格電圧が例えば14Vに設定されたランプバルブやオーディオ機器等の各補機類(図示せず)とが搭載されている。そして、高出力なモータジェネレータ等の補機類を搭載することにより、車体1にはアイドルストップ機能等を高いクオリティで実現可能な簡易ハイブリッドシステムが構築されている。
【0024】
また、定格電圧の異なる各補機類にそれぞれ対応して給電を行うため、車体1には、リヤシート3後部に設定されたラゲージルーム2内に、36Vバッテリ10と、12Vバッテリ15とが搭載されている。
【0025】
ラゲージルーム2を構成するフロアパネル5は略平坦なパネル部材で構成され、フロアパネル5の下部には、スペアタイヤ6を収容するためのスペアタイヤトレイ7が設けられている。本実施の形態において、スペアタイヤトレイ7は、フロアパネル5に一体形成されるもので、ラゲージルーム2内の右側かつ後方に偏倚した位置でフロアパネル5に凹設されている。また、図2に示すように、スペアタイヤトレイ7の前側壁面には、所定角度の傾斜部8が設けられている。傾斜部8は後突時にスペアタイヤ6を車体前方に跳ね上げるようガイドするためのもので(図2中2点鎖線参照)、スペアタイヤ6が車体前方に跳ね上げられて放出されることにより、スペアタイヤトレイ7は後突時のクラッシュストロークとして機能するようになっている。
【0026】
36Vバッテリ10は、扁平な略直方体形状をなす3個のバッテリ(12Vバッテリ)11〜13を有して構成されている。各バッテリ11〜13の端子面は最小面積を有する一面に設定され、この端子面から露呈された各端子(図示せず)が直列接続されることにより36Vの出力電圧を実現する。また、12Vバッテリ15は、バッテリ11〜13と略同型の扁平な略直方体形状をなす単一のバッテリで構成され、最小面積を有する一面が端子面として設定されている。ここで、各バッテリ11〜13及び12Vバッテリ15は、例えば、周知のシール鉛蓄電池で構成されている。
【0027】
36Vバッテリ10を構成するバッテリ11〜13、及び、12Vバッテリ15は、スペアタイヤトレイ7の前方で車幅方向に沿ってフロアパネル5上に配列され、これらの前後に連設された保持手段としてのバッテリホルダ16,17を介してフロアパネル5上に保持されている。
【0028】
ここで、各バッテリ11〜13,15は、各端子面が車体前方にそれぞれ臨まされた状態であって、且つ、後部の一部がスペアタイヤトレイ7の前部に露呈された状態で、フロアパネル5に倒伏して配置されている。そして、このように各バッテリ11〜13,15を倒伏してフロアパネル5上に配列することにより、バッテリ11〜13,15をラゲージルーム2内に配設した際にも良好なスペースユーティリティが確保される。この場合、各バッテリ11〜13,15をシール鉛蓄電池で構成することにより、バッテリ11〜13,15の各端子を上方に露呈させる必要がなくなり、バッテリ11〜13,15の配設方向に自由度を持たせることができる。
【0029】
図1〜図3に示すように、バッテリホルダ16は、例えば板金部材で構成されるもので、細長のバンド部20を有して構成されている。バンド部20には、各バッテリ11〜13,15の前部側面から前面にかけて各バッテリ11〜13,15の下部にそれぞれ当接するバッテリ当接部21が折曲形成されており、さらに、バンド部20の両端及び中途にはフロアパネル5に当接するフロア当接部22が形成されている。そして、バッテリホルダ16は、バンド部20に形成されたフロア当接部22を介してボルト締結されることでフロアパネル5上に強固に固定され、各バッテリ11〜13,15の車体前方への移動を規制するようになっている。また、バンド部20には、各バッテリ11〜13,15の左右側面に沿って上方にそれぞれ延出する腕部23が設けられている。これら各腕部23の先端部は対応する各バッテリ11〜13,15の上部でそれぞれ内側に指向して折曲されており、これにより、各腕部23の先端部は、各バッテリ11〜13,15の前部上面をそれぞれ係止する係止部24として構成されている。そして、各バッテリ11〜13,15は、各係止部24に係止されることによって、前部の上下方向への移動が規制されている。また、係止部24は、所定の衝撃によって変形可能に構成されており、これにより、係止部24は、スペアタイヤ6の衝突時に変形してバッテリ11〜13,15の前部上面に対する係止を解放するようになっている。
【0030】
バッテリホルダ17は、例えば板金部材で構成されるもので、バッテリ11〜13,15の後面に当接する細長のバンド部25を有して構成されている。バンド部25には下方に屈曲して延出する脚部26が設けられ、バッテリホルダ17は、脚部26を介してボルト締結されることで傾斜部8上に強固に固定されている。また、バンド部25には、各バッテリ11〜13,15の後面に沿って上方にそれぞれ延出する腕部27が設けられている。これら各腕部27の先端部は対応する各バッテリ11〜13,15の上部でそれぞれ前方に指向して折曲されており、これにより、各腕部27の先端部は、各バッテリ11〜13,15の後部上面をそれぞれ係止する係止部28として構成されている。そして、各バッテリ11〜13,15は、各係止部28に係止されることによって、後部の上下方向への移動が規制されている。また、係止部28は、所定の衝撃によって変形可能に構成されており、これにより、係止部24は、スペアタイヤ6の衝突時に変形してバッテリ11〜13,15の後部上面に対する係止を解放するようになっている。
【0031】
そして、これらの構成において、後突時に傾斜部8にガイドされて車体前方に跳ね上げられたスペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15の後部に下方から衝突した際には、各係止部24,28がバッテリ11〜13,15上面の係止を解放する(図2中2点鎖線参照)とともにバッテリ当接部21がバッテリ11〜13,15の車体前方への移動を規制することにより、各係止部24,28及びバッテリ当接部21は、バッテリ11〜13,15が前部下方を支点として回転移動するようガイドするガイド手段としての機能を実現する。
【0032】
このような実施の形態によれば、後突時に傾斜部8にガイドされて車体前方に跳ね上げられたスペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15の後部に下方から衝突した際には、バッテリホルダ16,17はバッテリ11〜13,15が前部下方を支点として回転移動するようガイドするので、スペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15に衝突した際にも、当該衝突による衝撃がバッテリ11〜13,15に影響することを防止でき、各バッテリ11〜13,15の破損を的確に防止することができると共に、バッテリによりスペアタイヤの移動が阻害されることを防ぐことができる。
【0033】
ここで、本実施の形態においては、図4に示すように、スペアタイヤ6に対向する凸部29を脚部26に形成してもよい。このような凸部29を脚部26に設けることにより、スペアタイヤ6の衝突時に、バッテリホルダ17の変形を促進することができ、係止部28によるバッテリ11〜13,15上面の係止をスムーズに解放することができる。
【0034】
なお、上述の実施の形態においては、係止部24,28によってバッテリ11〜13,15の上面を下方から係止する一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、係止部24或いは係止部28の何れか一方によってバッテリ11〜13,15の上面を係止するものであってもよい。
【0035】
次に、図5乃至図7は本発明の第2の実施の形態に係わり、図5はラゲージルームの要部を示す側面図、図6はラゲージルームの要部を示す平面図、図7はバッテリ及びステーを示す分解斜視図である。なお、本実施の形態においては、バッテリホルダ16,17に代えて、ステー35を介して各バッテリ11〜13,15の底面後部をフロアパネル5上に保持した点が上述の第1の実施の形態と主として異なる。その他、同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0036】
図示のように、各バッテリ11〜13,15は、その後部底面が、車幅方向に延在し、スペアタイヤトレイの上方に掛け渡された保持手段としてのステー35を介して一体的に連結されている。
【0037】
具体的に説明すると、ステー35は、例えば前後にフランジ36を有する断面略”ハット”形状の板金部材で構成され、左右両端がフランジ36を介してフロアパネル5上にボルト締結されている。また、ステー35の上面には、各バッテリ11〜13,15の後部底面が連結されているとともに、バッテリ11〜13,15の連結位置に略対応する位置に、複数の切り欠き37が設けられている。そして、このようにステー35の上面に切り欠き37が設けられることによって、ステー35は、下方への撓み強度が維持されたまま、上方への強度のみが所定に脆弱な構成となっている。すなわち、上面に切り欠き37を設けることによってステー35には車体上方への変形を許容する脆弱部38が設定され、この脆弱部38は、バッテリ11〜13,15の後部に下方からスペアタイヤ6が衝突した際に変形されることによって、バッテリ11〜13,15が前部下方を支点として回転移動するようガイドするガイド手段としての機能を実現する。
【0038】
ここで、本実施の形態において、各バッテリ11〜13,15は、車外において予めステー35に組み付けられた状態で、ラゲージルーム2内に搬入されて固設される。
【0039】
このような実施の形態によれば、後突時に傾斜部8にガイドされて車体前方に跳ね上げられたスペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15の後部に下方から衝突した際には、脆弱部38での変形によって、ステー35は各バッテリ11〜13,15が前部下方を支点として回転移動するようガイドするので、スペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15に衝突した際にも、当該衝突による衝撃がバッテリ11〜13,15に影響することを防止でき、各バッテリ11〜13,15の破損を的確に防止することができると共に、バッテリによりスペアタイヤの移動が阻害されることを防ぐことができる。
【0040】
次に、図8乃至図10は本発明の第3の実施の形態に係わり、図8はラゲージルームの要部を示す側面図、図9はラゲージルームの要部を示す平面図、図10はバッテリ及びステーを示す分解斜視図である。なお、本実施の形態においては、バッテリホルダ16,17に代えて、ステー40を介して各バッテリ11〜13,15の底面前部をフロアパネル5上に保持した点が上述の第1の実施の形態と主として異なる。その他、同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0041】
図示のように、各バッテリ11〜13,15は、その前部底面が、フロアパネル5上に架設された保持手段としてのステー40を介して一体的に連結されている。
【0042】
具体的に説明すると、ステー40は、例えば前後にフランジ41を有する断面略”ハット”形状の板金部材で構成され、左右両端がフランジ41を介してフロアパネル5上にボルト締結されている。また、ステー40の後部側フランジ41上には、各バッテリ11〜13,15の前部底面が連結されている。また、ステー40の後面には、車体前方に傾斜された傾斜面42と、この傾斜面42の下部に連設する段部43とが一体形成され、この段部43にはバッテリ11〜13,15の前面下部が当接されている。そして、段部43は、バッテリ11〜13,15の後部に下方からスペアタイヤ6が衝突された際に、バッテリ11〜13,15の車体前方への移動を規制することにより、バッテリ11〜13,15が前部下方を支点として回転移動するようガイドするガイド手段としての機能を実現する。その際、段部43の上部に傾斜面42を形成することにより、各バッテリ11〜13,15は良好な回転移動が許容される。
【0043】
このような実施の形態によれば、後突時に傾斜部8にガイドされて車体前方に跳ね上げられたスペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15の後部に下方から衝突した際には、ステー40は、段部43によってバッテリ11〜13,15が前部下方を支点として回転移動するようガイドするので、スペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15に衝突した際にも、当該衝突による衝撃がバッテリ11〜13,15に影響することを防止でき、各バッテリ11〜13,15の破損を的確に防止することができると共に、バッテリによりスペアタイヤの移動が阻害されることを防ぐことができる。
【0044】
次に、図11乃至図16は本発明の第4の実施の形態に係わり、図11はラゲージルームの要部を示す平面図、図12はバッテリ及びバッテリトレイを示す分解斜視図、図13はバッテリトレイの連結状態を示す説明図、図14はバッテリトレイの他の連結状態を示す説明図、図15はバッテリ及びバッテリトレイを示す平面図、図16はバッテリトレイの変形例を示す分解斜視図である。なお、本実施の形態においては、バッテリホルダ16,17に代えて、バッテリトレイ50を介して各バッテリ11〜13,15をフロアパネル5上に保持した点が上述の第1の実施の形態と主として異なる。その他、同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0045】
図11,12に示すように、各バッテリ11〜13,15は、保持手段としてのバッテリトレイ50を介してフロアパネル5上に保持されている。バッテリトレイ50は、例えば板金部材で構成されるもので、各バッテリ11〜13,15は、バッテリトレイ50上に倒伏して配列された状態で、図示しないバンド等を介して固定されている。
【0046】
また、バッテリトレイ50の左右両端に設けられたフランジ51からは先端が下方に指向する一対の爪部52がそれぞれ延設されており、これら爪部52が連結手段としてのブラケット55に係合されることで、バッテリトレイ50はフロアパネル5上に連結されている。
【0047】
具体的に説明すると、ブラケット55は、例えば板金部材で構成されるもので、バッテリトレイ50が係合される係合面56を有して構成されている。この係合面56からはフロアパネル5に連結する脚部57が延設されており、ブラケット55は、脚部57を介したボルト締結によってフロアパネル5上に強固に固定されている。
【0048】
また、係合面56には爪部52に対応して上方に開口するスリット58が設けられており、このスリット58に爪部52が上方から挿入されることによって、バッテリトレイ50はフロアパネル5上に固設されている。
【0049】
ここで、本実施の形態において、バッテリトレイ50は車外において予めブラケット55に連結されるようになっており、各バッテリ11〜13,15は、このバッテリトレイ50に車外において予め組み付けられた状態で、ラゲージルーム2内に搬入されて固定される。その際の搬送を容易なものとするため、ブラケット55の係合面56には長孔59が設けられ、この長孔59は搬送時の把持部として機能するようになっている。また、図13に示すように、係合面56には、スリット58に沿って下方に延出する係止部60が設けられており、この係止部60によって、スリット58に挿入された爪部52の揺動が規制されるようになっている。なお、図14に示すように、係止部60は、係合面56を折曲することによって構成されるものであってもよい。さらに、図12に示すように、車両横転時においてバッテリトレイ50とブラケット55との連結が解放されるのを防止するため、バッテリトレイ50とブラケット55とをスチール製のワイヤー62等で連結している。
【0050】
このような実施の形態によれば、後突時に傾斜部8にガイドされて車体前方に跳ね上げられたスペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15(バッテリトレイ50)の後部に下方から衝突した際には、ブラケット55は爪部52によるバッテリトレイ50との連結を解放するので、スペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15に衝突した際にも、当該衝突による衝撃がバッテリ11〜13,15に影響することを防止でき、各バッテリ11〜13,15の破損を的確に防止することができると共に、バッテリによりスペアタイヤの移動が阻害されることを防ぐことができる。
【0051】
また、各バッテリ11〜13,15を予めバッテリトレイ50に組み付けるとともに、バッテリトレイ50を予めブラケット55に連結した状態でラゲージルーム2内に搬入することにより、狭隘なラゲージルーム2内での各バッテリ11〜13,15のバッテリトレイ50への組付作業等を防止しして組み付け性を向上することができる。この場合において、ブラケット55を各バッテリ11〜13,15の搬送時のキャリヤとして利用することができる。
【0052】
ここで、本実施の形態においては、図15,16に示すように、スペアタイヤ6に衝突される可能性が高いバッテリ(例えばバッテリ12,13)のみを保持手段としてのバッテリトレイ50に載置保持し、他のバッテリ(例えばバッテリ11,15)を連結手段としてのバッテリトレイ61に載置保持する構成としてもよい。このように構成することによって、バッテリトレイを小型なものとすることができ、バッテリトレイの製造を容易なものとすることができる。
【0053】
なお、上述の各実施の形態においては、3個のバッテリ11〜13で分割形成された36Vバッテリ10と12Vバッテリ15とをラゲージルーム2内のフロアパネル5上に取り付ける際の取付構造について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、バッテリの電圧及び個数等は適宜変更可能であることは勿論である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、後突時に跳ね上げられたスペアタイヤの衝突によるバッテリの破損を的確に防止することができると共に、バッテリによりスペアタイヤの移動が阻害されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の一形態に係わり、ラゲージルームの要部を示す平面図
【図2】同上、スペアタイヤ衝突時のバッテリの挙動を示す説明図
【図3】同上、バッテリ及びバッテリホルダを示す分解斜視図
【図4】同上、バッテリホルダの変形例を示す説明図
【図5】本発明の第2の実施の形態に係わり、ラゲージルームの要部を示す側面図
【図6】同上、ラゲージルームの要部を示す平面図
【図7】同上、バッテリ及びステーを示す分解斜視図
【図8】本発明の第3の実施の形態に係わり、ラゲージルームの要部を示す側面図
【図9】同上、ラゲージルームの要部を示す平面図
【図10】同上、バッテリ及びステーを示す分解斜視図
【図11】本発明の第4の実施の形態に係わり、ラゲージルームの要部を示す平面図
【図12】同上、バッテリ及びバッテリトレイを示す分解斜視図
【図13】同上、バッテリトレイの連結状態を示す説明図
【図14】同上、バッテリトレイの他の連結状態を示す説明図
【図15】同上、バッテリ及びバッテリトレイを示す平面図
【図16】同上、バッテリトレイの変形例を示す分解斜視図
【符号の説明】
1 … 車体
2 … ラゲージルーム
5 … フロアパネル
6 … スペアタイヤ
7 … スペアタイヤトレイ
11〜13,15 … バッテリ
16,17 … バッテリホルダ(保持手段)
21 … バッテリ当接部(当接部;保持手段、ガイド手段)
24,28 … 係止部(保持手段、ガイド手段)
35 … ステー(保持手段)
38 … 脆弱部(ガイド手段)
40 … ステー(保持手段)
43 … 段部(ガイド手段)
50 … バッテリトレイ(保持手段)
52 … 爪部
55 … ブラケット(連結手段)
58 … スリット
60 … 係止部
Claims (10)
- 後突時にスペアタイヤを跳ね上げて車体前方にガイドする傾斜部が形成されたスペアタイヤトレイをラゲージルーム内のフロアパネル下部に有し、上記スペアタイヤトレイの前方で保持手段により上記フロアパネル上に保持されるバッテリを有し、少なくとも該バッテリの後部が上記スペアタイヤトレイに臨まされるバッテリの取付構造であって、
上記保持手段に、上記スペアタイヤが上記バッテリの後部に下方から衝突した際に上記バッテリが前部下方を支点として回転移動するようガイドするガイド手段を設けたことを特徴とするバッテリの取付構造。 - 上記保持手段は、上記バッテリの上面を下方から係止する係止部と、上記バッテリの前面に当接する当接部とを有し、
上記スペアタイヤが上記バッテリの後部に下方から衝突した際に、上記係止部が上記バッテリ上面の係止を解放するとともに上記当接部が上記バッテリの車体前方への移動を規制することで、上記係止部及び上記当接部は上記ガイド手段として機能することを特徴とする請求項1記載のバッテリの取付構造。 - 上記保持手段は、車幅方向に延在し、上記スペアタイヤトレイの上方に掛け渡され、上記バッテリの底面後部に連結するステーであって、
上記ガイド手段は、上記ステーの上方への変形を許容する脆弱部であることを特徴とする請求項1記載のバッテリの取付構造。 - 上記バッテリは、上記ステーに予め連結された状態で上記ラゲージルーム内に搬入されて上記フロアパネル上に固設されることを特徴とする請求項3記載のバッテリの取付構造。
- 上記保持手段は、上記バッテリの底面前部に連結するステーであって、
上記ガイド手段は、上記ステーに一体的に設けられて上記バッテリの前面下部に当接する段部であることを特徴とする請求項1記載のバッテリの取付構造。 - 上記バッテリは、上記ステーに予め連結された状態で上記ラゲージルーム内に搬入されて上記フロアパネル上に固設されることを特徴とする請求項5記載のバッテリの取付構造。
- 後突時にスペアタイヤを跳ね上げて車体前方にガイドする傾斜部が形成されたスペアタイヤトレイをラゲージルーム内のフロアパネル下部に有し、上記スペアタイヤトレイの前方で保持手段により上記フロアパネル上に保持されるバッテリを有し、少なくとも該バッテリの後部が上記スペアタイヤトレイに臨まされるバッテリの取付構造であって、
上記保持手段を上記フロアパネル上に連結する連結手段を有し、
上記連結手段は、上記スペアタイヤが上記バッテリの後部に下方から衝突した際に上記保持手段の連結を解放することを特徴とするバッテリの取付構造。 - 上記連結手段は上方に開口するスリットを有し、
上記保持手段に設けられた爪部が上記スリットに上方から挿入されることによって上記保持手段を上記フロアパネル上に連結することを特徴とする請求項7記載のバッテリの取付構造。 - 上記連結手段は、上記スリットに挿入された上記爪部の揺動を規制する係止部を有することを特徴とする請求項8記載のバッテリの取付構造。
- 上記バッテリはシール鉛蓄電池であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れかに記載のバッテリの取付構造。
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