JP4274819B2 - バッテリの取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラゲージルーム内に収容されたスペアタイヤの前方にバッテリを配設する際の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両においては、モータジェネレータを用いた簡易ハイブリッドシステム、電動4輪駆動システム、電磁駆動弁、電動パワーステアリング、電動カーエアコン、電動ブレーキ、電動シャーシコントロール、フロントガラスの急速霜取り装置、シートヒータ等の各装備を高いクオリティで実現することを目的として、車載補機類の定格電圧を14Vから42Vへと昇圧化させることが検討されており、これに伴い、車載のバッテリ電圧を12Vから36Vへと昇圧化させることが検討されている。
【0003】
このような補機類の昇圧化への移行期間には、補機類の変更に伴うコストの高騰を抑制するため、補機類の昇圧化は、当該昇圧化によってより多くのメリットを享受可能なものから段階的に導入されることが望ましい。この場合、補機類の昇圧化によって見込まれる最も大きなメリットの1つとして、高出力なモータジェネレータを用いて簡易ハイブリッドシステムを構築することで燃費向上等を実現することが考えられる。そこで、近年では、36Vバッテリと12Vバッテリとをともに搭載し、例えばモータジェネレータ、電磁クラッチ、及びオートマチックトランスミッション用の電動オイルポンプ等を36Vバッテリで駆動するとともに、その他の補機類を12Vバッテリで駆動する技術が提案され実用化されている。
【0004】
しかしながら、上述のように36Vバッテリと12Vバッテリとを備えた車両においては、両バッテリを狭隘なエンジンルーム内に同時に搭載することが困難となる。また、車両にモータジェネレータを採用した場合には、インバータ装置を新たに搭載する必要がある。さらに、モータジェネレータによる発電電圧を降圧させて12Vバッテリ等にも給電するためには、DC−DCコンバータ等の補機類を新たに搭載する必要がある。
【0005】
これらに対処し、例えば非特許文献1には、36Vバッテリ及び12Vバッテリをラゲージルーム内のフロアパネル上に配設するとともに、各バッテリをラゲージルーム内に配設することでエンジンルーム内に確保されたスペースに、DC−DCコンバータを下部に一体的に備えたインバータ装置を配設する技術が開示されている。
【0006】
また、36Vバッテリ及び12Vバッテリの取付構造として、上記非特許文献1には、スペアタイヤの前方でラゲージルームの車幅方向に架設されたバッテリキャリヤとホールダウンパイプとの間に、36Vバッテリ及び12Vバッテリをクランプ機構を介して固設する技術が開示されている。
【0007】
【非特許文献1】
トヨタ自動車株式会社編集「クラウン、クラウンマジェスタ、クラウンエステート新型車解説書」2001年8月20日発行、P0−2、P1−2〜1−7、P1−12〜1−21、P4−4
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両においては、ラゲージルーム内にスペアタイヤを収容するスペアタイヤトレイを後突時のクラッシュストロークとして機能させることが一般的である。このため、スペアタイヤトレイの前面には、高剛性のスペアタイヤを後突時に車体前方に跳ね上げるようガイドするための傾斜部が設けられている。
【0009】
従って、上述の非特許文献1に開示された技術のようにスペアタイヤの前方にバッテリを配設する場合、バッテリ保護の観点から、バッテリは、後突時に予測されるスペアタイヤの軌跡からオフセットする位置に配設されることが望ましく、さらに、スペアタイヤから十分に離間する位置に配設されることがより望ましい。
【0010】
しかしながら、車体形状や車体に搭載される各部材のレイアウト等によっては後突時に予測されるスペアタイヤの軌跡上にバッテリを配設せざるを得ない場合があり、このような場合、後突時に跳ね上げられたスペアタイヤによってバッテリが破損される虞があった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、後突時に跳ね上げられたスペアタイヤの衝突によるバッテリの破損を防止すると共に、バッテリによりスペアタイヤの移動が阻害されるのを防ぐことができるバッテリの取付構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、車両のラゲージルーム内のフロアパネル下部に配されるスペアタイヤトレイと、該スペアタイヤトレイの前方で上記フロアパネル上に固定され、保持手段により上記フロアパネル上に保持されるバッテリとを備えたバッテリの取付構造であって、上記スペアタイヤトレイは、スペアタイヤを収納する収納部と、該収納部の前方に設けられ、車両の後突時に、前方へ移動する上記スペアタイヤを跳ね上げることにより、上記スペアタイヤを車体前方にガイドする傾斜部とを有し、上記保持手段は、上記傾斜部によってガイドされる上記スペアタイヤの移動経路上に上記バッテリを保持し、上記スペアタイヤが上記傾斜部によって跳ね上げられ、上記バッテリの後部または上記保持手段に衝突した際に上記バッテリの車体前方への移動を許容する移動許容手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項1記載の発明において、上記保持手段は、車幅方向に延在し、上記バッテリの前部或いは後部の少なくとも何れか一方に連結するステーであって、上記移動許容手段は、上記ステーの前方への変形を許容する脆弱部であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項2記載の発明において、上記バッテリは、上記ステーに予め連結された状態で上記ラゲージルーム内に搬入されて上記フロアパネル上に固設されることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項1記載の発明において、上記保持手段は、上記バッテリの前後を係止する係止部を有し、上記係止部は、上記スペアタイヤが上記バッテリの後部に衝突した際に変形して上記バッテリを解放することで上記移動許容手段として機能することを特徴とする。
【0016】
また、請求項5記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項1記載の発明において、上記フロアパネルは、上記バッテリが配設され、上記バッテリを位置決めするための段差部を有し、上記段差部は、前方に傾斜した傾斜部を前縁に有することをと特徴とする。
【0017】
また、請求項6記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項1記載の発明において、上記保持手段は、上記フロアパネル上で上記バッテリを載置して保持するバッテリトレイであって、上記移動許容手段は、上記バッテリトレイの上記フロアパネルに沿った前後移動を許容するスライド機構であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項7記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項6記載の発明において、上記バッテリは、上記バッテリトレイに予め載置保持された状態で上記ラゲージルーム内に搬入されて上記フロアパネル上に固設されることを特徴とする。
【0019】
また、請求項8記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の発明において、上記バッテリは、扁平なバッテリで構成され、上記フロアパネルに対して倒伏されていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項9記載の発明によるバッテリの取付構造は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の発明において、上記バッテリはシール鉛蓄電池であることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態に係わり、図1はラゲージルームの要部を示す側面図、図2はラゲージルームの要部を示す平面図、図3はバッテリ及びステーを示す斜視図である。
【0022】
図1,2において符号1は車体を示す。本実施の形態において、車体1には、定格電圧が例えば42Vに設定されたモータジェネレータや電動オイルポンプ等の各補機類(図示せず)と、定格電圧が例えば14Vに設定されたランプバルブやオーディオ機器等の各補機類(図示せず)とが搭載されている。そして、高出力なモータジェネレータ等の補機類を搭載することにより、車体1にはアイドルストップ機能等を高いクオリティで実現可能な簡易ハイブリッドシステムが構築されている。
【0023】
また、定格電圧の異なる各補機類にそれぞれ対応して給電を行うため、車体1には、リヤシート3後部に設定されたラゲージルーム2内に、36Vバッテリ10と、12Vバッテリ15とが搭載されている。
【0024】
ラゲージルーム2を構成するフロアパネル5は略平坦なパネル部材で構成され、フロアパネル5の下部には、スペアタイヤ6を収容するためのスペアタイヤトレイ7が設けられている。本実施の形態において、スペアタイヤトレイ7は、フロアパネル5に一体形成されるもので、ラゲージルーム2内の右側かつ後方に偏倚した位置でフロアパネル5に凹設されている。また、スペアタイヤトレイ7の前側壁面には、所定角度の傾斜部8が設けられている。傾斜部8は後突時にスペアタイヤ6を車体前方に跳ね上げるようガイドするためのもので(図1中2点鎖線参照)、スペアタイヤ6が車体前方に跳ね上げられて放出されることにより、スペアタイヤトレイ7は後突時のクラッシュストロークとして機能するようになっている。
【0025】
36Vバッテリ10は、扁平な略直方体形状をなす3個のバッテリ(12Vバッテリ)11〜13を有して構成されている。各バッテリ11〜13の端子面は最小面積を有する一面に設定され、この端子面から露呈された各端子(図示せず)が直列接続されることにより36Vの出力電圧を実現する。また、12Vバッテリ15は、バッテリ11〜13と略同型の扁平な略直方体形状をなす単一のバッテリで構成され、最小面積を有する一面が端子面として設定されている。ここで、各バッテリ11〜13及び12Vバッテリ15は、例えば、周知のシール鉛蓄電池で構成されている。
【0026】
36Vバッテリ10を構成するバッテリ11〜13、及び、12Vバッテリ15は、スペアタイヤトレイ7の前方で車幅方向に沿ってフロアパネル5上に配列され、これらを一体的に連結する保持手段としてのステー16,17を介してフロアパネル5上に保持されている。
【0027】
具体的に説明すると、各バッテリ11〜13,15は各端子面が車体前方にそれぞれ臨まされた状態でフロアパネル5に倒伏して配置されている。各バッテリ11〜13,15は、前部(本実施の形態においては端子面)がステー16に対して一体的に連結されているとともに、後部がステー17に対して一体的に連結されており(図3参照)、これらステー16,17が車幅方向に沿ってフロアパネル5上に架設された状態で、図示しない係止部材等を介してフロアパネル5上に固定されている。そして、このように各バッテリ11〜13,15を倒伏してフロアパネル5上に固設することにより、バッテリ11〜13,15をラゲージルーム2内に配設した際にも良好なスペースユーティリティが確保されるとともに、後突時にスペアタイヤ6が車体前方に放出される際の軌跡に対して各バッテリ11〜13,15が可能な限りオフセットされる。この場合、各バッテリ11〜13,15をシール鉛蓄電池で構成することにより、バッテリ11〜13,15の各端子を上方に露呈させる必要がなくなり、バッテリ11〜13,15の配設方向等に自由度を持たせることができる。
【0028】
図3に示すように、ステー16,17は、例えば底部が開放された断面略”コ”の字状の板金部材で構成され、ステー16,17の上面には、バッテリ11〜13,15の連結位置に略対応して、複数の長孔18が開口されている。そして、このように各ステー16,17の上面に長孔18が開口されることによって、各ステー16,17は、上下方向の強度が維持されたまま、前後方向の強度のみが所定に脆弱な構成となっている。すなわち、上面に長孔18を設けることによって各ステー16,17には脆弱部19,20が設定され、この脆弱部19,20は、バッテリ11〜13,15にスペアタイヤ6が衝突された際に車体前方に変形されることによって、バッテリ11〜13,15の車体前方への移動を許容する移動許容手段としての機能を実現する。
【0029】
ここで、本実施の形態において、各バッテリ11〜13,15は、車外において予めステー16,17に組み付けられた状態で、ラゲージルーム2内に搬入されて固設される。
【0030】
このような実施の形態によれば、後突時に傾斜部8にガイドされて車体前方に跳ね上げられたスペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15の後部に衝突した場合には脆弱部19,20でステー16,17が変形されるため、万が一スペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15に衝突された際にも、当該衝突によるバッテリへの衝撃がバッテリ11〜13,15に影響することを防止でき、各バッテリ11〜13,15の破損を的確に防止することができる。また、バッテリ11〜13,15の車体前方への移動が許容されるため、スペアタイヤ6の移動が阻害されるのを防ぐことができる。
【0031】
また、各バッテリ11〜13,15を予めステー16,17に組み付けた状態(図3参照)でラゲージルーム2内に搬入することにより、狭隘なラゲージルーム2内での各バッテリ11〜13,15のステー16,17への連結作業を廃止して組み付け性を向上することができる。この場合において、ステー16,17は上下方向の強度が十分に確保されている構成であるため、各ステー16,17を各バッテリ11〜13,15の搬送時のキャリヤとして利用することができる。
【0032】
なお、本実施の形態においては、各バッテリ11〜13,15の前後部をステー16,17に連結してフロアパネル5上に固定する一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、各バッテリ11〜13,15の前部のみをステー16に連結した構成でもよく、逆に、各バッテリ11〜13,15の後部のみをステー17に連結した構成でもよいことは勿論である。
【0033】
また、各ステー16,17に脆弱部19,20を設けるための構成は、上述のものに限定されるものではなく、例えば、ステー16,17の側面に切り欠きを設けることによって実現されるものであってもよい。さらに、ステー16,17に断面形状はコの字でなくてロ状でもよく、その形状は特に限定されない。
【0034】
次に、図4乃至図9は本発明の第2の実施の形態に係わり、図4はラゲージルームの要部を示す側面図、図5はラゲージルームの要部を示す平面図、図6はバッテリ及びバッテリホルダを示す斜視図、図7はフロアパネルの要部を示す側面図、図8はバッテリホルダの変形例を示す背面図、図9は図8のバッテリホルダによってバッテリを保持した状態を示す背面図である。なお、本実施の形態においては、ステー16,17に代えて、バッテリ11〜13,15に冠設するバッテリホルダ25を介して各バッテリ11〜13,15をフロアパネル5上に保持した点が上述の第1の実施の形態と主として異なる。その他、同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0035】
図4乃至図6に示すように、各バッテリ11〜13,15は、保持手段としてのバッテリホルダ25を介してフロアパネル5上に保持されている。バッテリホルダ25は、例えば板金部材で構成されるもので、細長のバンド部26を有して構成されている。バンド部26は車幅方向に沿って各バッテリ11〜13,15の側面から上面にかけて当接するよう折曲形成されており、その両端及び中途にはフロアパネル5に対する当接部27が形成されている。そして、バッテリホルダ25は、バンド部26に形成された当接部27を介してボルト締結されることによってフロアパネル5上に強固に固定され、各バッテリ11〜13,15の車幅方向への移動を規制するようになっている。
【0036】
また、バンド部26からは、各バッテリ11〜13,15の上面にそれぞれ対応する腕部28,29が前後に延設され、これら各腕部28,29の先端が下方に折曲されて、各バッテリ11〜13,15の前面及び後面をそれぞれ係止する係止部30,31が形成されている。そして、各バッテリ11〜13,15は、各係止部30,31に係止されることによって、前後方向への移動が規制されている。これら係止部30,31は所定の衝撃によって変形可能に構成されており、これにより、係止部30,31は、スペアタイヤ6のバッテリへの衝突時に変形してバッテリ11〜13,15の係止を解放することで、バッテリ11〜13,15の車体前方への移動を許容する移動許容手段としての機能を実現する。
【0037】
このような実施の形態によれば、後突時に傾斜部8にガイドされて車体前方に跳ね上げられたスペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15の後部に衝突した場合には係止部30,31が変形してバッテリ11〜13,15の係止を解放する構成であるため、万が一スペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15に衝突された際にも、当該衝突による衝撃がバッテリ11〜13,15に影響することを防止でき、各バッテリ11〜13,15の破損を的確に防止することができる。また、バッテリ11〜13,15の車体前方への移動が許容されるため、スペアタイヤ6の移動が阻害されるのを防ぐことができる。
【0038】
ここで、本実施の形態においては、図7に示すように、フロアパネル5上に各バッテリ11〜13,15の底面形状に沿った段差部33を設けることにより、フロアパネル5上での各バッテリ11〜13,15の位置決め精度を向上することができる。その際、段差部33の前縁を前方に傾斜した傾斜部34で構成すれば、スペアタイヤ6が衝突した際に、各バッテリ11〜13,15の車体前方への移動を確実に行わせることができる。
【0039】
また、図8,9に示すように、各バッテリ11〜13,15の上面に対応するバンド部26の各部位を下方にやや折曲形成して各バッテリ11〜13,15に弾性的に当接させる構成とすれば、スペアタイヤ6が衝突した際に、各バッテリ11〜13,15の車体前方への解放をより確実なものとすることができる。
【0040】
次に、図10乃至図15は本発明の第3の実施の形態に係わり、図10はラゲージルームの要部を示す平面図、図11はバッテリ及びバッテリトレイを示す斜視図、図12はバッテリトレイの締結部を示す要部断面図、図13はバッテリトレイの変形例を示す説明図、図14はバッテリトレイの他の変形例を示す説明図、図15はスライド機構の変形例を示す説明図である。なお、本実施の形態においては、ステー16,17に代えて、バッテリ11〜13,15を載置して保持するバッテリトレイ40を介して各バッテリ11〜13,15をフロアパネル5上に保持した点が上述の第1の実施の形態と主として異なる。その他、同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0041】
図10〜図12に示すように、各バッテリ11〜13,15は、保持手段としてのバッテリトレイ40を介してフロアパネル5上に保持されている。バッテリトレイ40は例えば板金部材で構成されるもので、各バッテリ11〜13,15は、バッテリトレイ40上に倒伏して配列された状態で、図示しないバンド等を介して固設されている。
【0042】
また、バッテリトレイ40の左右両端にはフランジ41が一体形成されている。各フランジ41には車体前後方向に沿う一対の長孔42がそれぞれ設けられており、バッテリトレイ40は、各長孔42にそれぞれ挿通されたボルト43を介してフロアパネル5上に固設されている。
【0043】
この場合、各ボルト43は、長孔42の前方寄りで、バッテリトレイ40をフロアパネル5上に締結固定するようになっている。また、各ボルト43とフランジ41との間には所定の弾性を有するワッシャ44が介装されている。そして、これらによって、各フランジ41には、スペアタイヤ6の後突時にバッテリトレイ40を各バッテリ11〜13,15とともに車体前方にスライドさせる移動許容手段としてのスライド機構46が構成されている。
【0044】
ここで、本実施の形態において、各バッテリ11〜13,15は、車外において予めバッテリトレイ40に組み付けられた状態で、ラゲージルーム2内に搬入されて固設される。
【0045】
このような実施の形態によれば、後突時に傾斜部8にガイドされて車体前方に跳ね上げられたスペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15の後部に衝突した場合にはスライド機構46によってバッテリ11〜13,15をバッテリトレイ40と一体的に車体前方にスライドさせる構成であるため、万が一スペアタイヤ6がバッテリ11〜13,15に衝突した際にも、当該衝突による衝撃がバッテリ11〜13,15に影響することを防止でき、各バッテリ11〜13,15の破損を的確に防止することができる。また、バッテリ11〜13,15の車体前方への移動が許容されるため、スペアタイヤ6の移動が阻害されるのを防ぐことができる。
【0046】
また、各バッテリ11〜13,15を予めバッテリトレイ40に組み付けた状態でラゲージルーム2内に搬入することにより、狭隘なラゲージルーム2内での各バッテリ11〜13,15のバッテリトレイ40への組付作業を防止しして組み付け性を向上することができる。この場合において、バッテリトレイ40を各バッテリ11〜13,15の搬送時のキャリヤとして利用することができる。
【0047】
ここで、本実施の形態においては、図13に示すように、長孔42に代えて、後端が開放された長孔47をフランジ41に設けてスライド機構46を構成してもよい。
【0048】
また、図14,15に示すように、フランジ41をボルトで締結することなく、ボルト43を介してフロアパネル5に形成した突起部51に締結される各押圧部材52と各突起部51とで各フランジ41を挟持することによってスライド機構46を構成してもよい。
【0049】
なお、上述の各実施の形態においては、3個のバッテリ11〜13で分割形成された36Vバッテリ10と12Vバッテリ15とをラゲージルーム2内のフロアパネル5上に取り付ける際の取付構造について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、バッテリの電圧及び個数等は適宜変更可能であることは勿論である。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、後突時に跳ね上げられたスペアタイヤの衝突によるバッテリの破損を防止することができる。また、バッテリ11〜13,15の車体前方への移動が許容されるため、スペアタイヤ6の移動が阻害されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わり、ラゲージルームの要部を示す側面図
【図2】同上、ラゲージルームの要部を示す平面図
【図3】同上、バッテリ及びステーを示す斜視図
【図4】本発明の第2の実施の形態に係わり、ラゲージルームの要部を示す側面図
【図5】同上、ラゲージルームの要部を示す平面図
【図6】同上、バッテリ及びバッテリホルダを示す斜視図
【図7】同上、フロアパネルの要部を示す側面図
【図8】同上、バッテリホルダの変形例を示す背面図
【図9】同上、図8のバッテリホルダによってバッテリを保持した状態を示す背面図
【図10】本発明の第3の実施の形態に係わり、ラゲージルームの要部を示す平面図
【図11】同上、バッテリ及びバッテリトレイを示す斜視図
【図12】同上、バッテリトレイの締結部を示す要部断面図
【図13】同上、バッテリトレイの変形例を示す説明図
【図14】同上、バッテリトレイの他の変形例を示す説明図
【図15】同上、スライド機構の変形例を示す説明図
【符号の説明】
1 … 車体
2 … ラゲージルーム
5 … フロアパネル
6 … スペアタイヤ
7 … スペアタイヤトレイ
8 … 傾斜部
11〜13,15 … バッテリ
16,17 … ステー(保持手段)
19,20 … 脆弱部(移動許容手段)
25 … バッテリホルダ(保持手段)
30,31 … 係止部(移動許容手段)
33 … 段差部
34 … 傾斜部
40 … バッテリトレイ(保持手段)
46 … スライド機構(移動許容手段)
Claims (9)
- 車両のラゲージルーム内のフロアパネル下部に配されるスペアタイヤトレイと、該スペアタイヤトレイの前方で上記フロアパネル上に固定され、保持手段により上記フロアパネル上に保持されるバッテリとを備えたバッテリの取付構造であって、
上記スペアタイヤトレイは、スペアタイヤを収納する収納部と、該収納部の前方に設けられ、車両の後突時に、前方へ移動する上記スペアタイヤを跳ね上げることにより、上記スペアタイヤを車体前方にガイドする傾斜部とを有し、
上記保持手段は、上記傾斜部によってガイドされる上記スペアタイヤの移動経路上に上記バッテリを保持し、上記スペアタイヤが上記傾斜部によって跳ね上げられ、上記バッテリの後部または上記保持手段に衝突した際に上記バッテリの車体前方への移動を許容する移動許容手段を備えたことを特徴とするバッテリの取付構造。 - 上記保持手段は、車幅方向に延在し、上記バッテリの前部或いは後部の少なくとも何れか一方に連結するステーであって、
上記移動許容手段は、上記ステーの前方への変形を許容する脆弱部であることを特徴とする請求項1記載のバッテリの取付構造。 - 上記バッテリは、上記ステーに予め連結された状態で上記ラゲージルーム内に搬入されて上記フロアパネル上に固設されることを特徴とする請求項2記載のバッテリの取付構造。
- 上記保持手段は、上記バッテリの前後を係止する係止部を有し、
上記係止部は、上記スペアタイヤが上記バッテリの後部に衝突した際に変形して上記バッテリを解放することで上記移動許容手段として機能することを特徴とする請求項1記載のバッテリの取付構造。 - 上記フロアパネルは、上記バッテリが配設され、上記バッテリを位置決めするための段差部を有し、
上記段差部は、前方に傾斜した傾斜部を前縁に有することを特徴とする請求項1記載のバッテリの取付構造。 - 上記保持手段は、上記フロアパネル上で上記バッテリを載置して保持するバッテリトレイであって、
上記移動許容手段は、上記バッテリトレイの上記フロアパネルに沿った前後移動を許容するスライド機構であることを特徴とする請求項1記載のバッテリの取付構造。 - 上記バッテリは、上記バッテリトレイに予め載置保持された状態で上記ラゲージルーム内に搬入されて上記フロアパネル上に固設されることを特徴とする請求項6記載のバッテリの取付構造。
- 上記バッテリは、扁平なバッテリで構成され、上記フロアパネルに対して倒伏されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載のバッテリの取付構造。
- 上記バッテリはシール鉛蓄電池であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載のバッテリの取付構造。
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