JP2004265159A - 保守情報提供システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】異常コード実績データ記憶部26、異常予知コード実績データ記憶部27、コード対応データ記憶部28、及び保守箇所情報出力部24を備える。異常コード実績データ記憶部26及び異常予知コード実績データ記憶部27は、異常コード及び異常予知コードに基づくデータを記憶する。コード対応データ記憶部28は、異常予知コードに対応する異常コードを記憶する。保守箇所情報出力部24は、異常コード実績データ記憶部26及び異常予知コード実績データ記憶部27のデータに基づいて異常予知コードに対応する空気調和装置3の異常箇所を抽出すると共に、コード対応データ記憶部28から異常予知コードに対応する異常コードを抽出して異常コードに対応する空気調和装置3の異常箇所を抽出する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、保守情報提供システム、特に設備機器の保守を行うための情報を提供する保守情報提供システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気調和装置などの設備機器に異常が生じた際に出張修理サービスを行うためには、設備機器の設置場所にサービスマンが出張して、異常箇所の確認及び異常箇所の修理を行う必要がある。しかし、同様の異常が見られる場合にも、異常箇所が異なる場合がある。このため、出張修理サービスを行う際に設備機器の異常に関する情報を全く持たない場合には、異常箇所の確認の遅れが生じたり、異常箇所の修理部品を所持していないために部品を取りに帰って再度出張したりすることにより、無駄な時間が経過するおそれがある。
【0003】
設備機器に異常が生じた場合に、設備機器の異常に関する保守情報を取得する手段としては、例えば設備機器により報知される異常コードに基づいて、設備機器の出張修理を行うサービスマンの経験から異常箇所の推察を行って設備機器の出張修理を行う手段が挙げられる。また、例えば設備機器に生じた過去の異常事例のデータベースが構築されている場合に、新規に生じた設備機器の異常箇所を過去の異常事例に対する類似度により推定することによって保守情報を提供するシステムが手段として挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−294668号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
設備機器の出張修理サービスを行うサービスマンの経験だけで異常箇所の推察を行う場合には、出張修理を行うサービスマンが類似の設備機器の異常箇所の修理経験がなければ推察ができないという問題が生じる。また、設備機器に対して一人のサービスマンが行える保守対象機器数は限定されるため、異常箇所の推測を行えるほどの経験が蓄積されないこともある。さらに、サービスマンの経験に基づくと、異常箇所の特定が大雑把になる傾向にあるため、詳細な異常箇所特定が難しい場合が多い。加えて、サービスマンの経験だけに依存すると、過去の経験と先入観とが混在することにより、定量的な評価が難しくなり、異常箇所に関する偏った見方で異常箇所の判断が行われてしまうため、その結果として設備機器の異常箇所の確認が遅れるおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、設備機器の保守をより適切に行うことを可能とする情報を提供するシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の保守情報提供システムは、設備機器の異常データ又は異常予知データに基づいて設備機器の保守情報を提供する保守情報提供システムであって、記憶部、対応データ記憶部、及び異常箇所抽出部を備える。記憶部は、異常データ及び異常予知データに基づく記憶データを記憶する。対応データ記憶部は、異常予知データに対応する異常データを記憶する。異常箇所抽出部は、記憶部の記憶データに基づいて異常予知データに対応する設備機器の異常箇所を抽出すると共に、対応データ記憶部から異常予知データに対応する異常データを抽出して異常データに対応する設備機器の異常箇所を抽出する。
【0008】
異常とは、設備機器に生じる不具合を指し、故障や不調などを含むものである。設備機器に異常が生じた場合には、サービスマンなどが出張して設備機器の修理を行う必要がある。異常データは、設備機器に異常があることを示す。また、異常予知データは、設備機器が保守されずに放置された場合に異常が生じることを示す。なお、異常データ及び異常予知データは、サービスマンなどが理解可能なように予め定められた記号(コード)などを用いてもよい。異常予知データが生じる場合には、設備機器に異常が生じる前に、サービスマンなどが出張して設備機器の保守を行うべきである。
【0009】
記憶部には、異常データと異常予知データとに基づいた記憶データが記憶されている。この記憶データは、異常データ及び異常予知データがそのまま記憶されたり、異常データと異常予知データとから導出される設備機器の異常の傾向が記憶されたり、或いは異常データと異常予知データとから異常箇所を導出するために予め導出された近似式などが記憶されていたりする。
【0010】
異常箇所抽出部は、対応データ記憶部を用いることにより、設備機器からの異常予知データに関連する異常データを抽出する。また、異常箇所抽出部は、記憶部を用いて、異常予知データおよび抽出された異常データに対応する設備機器の異常箇所を異常箇所として出力する。なお、保守時に判明した設備機器の異常箇所又は将来に異常が生じるおそれがある箇所を総称して異常箇所としている。
【0011】
ここでは、異常箇所抽出部が、記憶部と対応データ記憶部とを用いることにより、異常予知データから異常箇所を抽出する。これにより、異常予知データから、記憶データに基づいて異常予知データに対応する異常箇所を抽出可能であると共に、対応データ記憶部においてその異常予知データに対応づけられている異常データに関連する異常箇所も抽出可能となる。よって、本保守情報提供システムでは、設備機器の異常予知データから異常箇所を抽出するため、設備機器に対して出張保守を行う際の情報とすることが可能となり、設備機器の維持をさらに適切に行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の保守情報提供システムは、請求項1に記載の保守情報提供システムであって、記憶部が異常データ実績記憶部と異常予知データ実績記憶部とを有する。異常データ実績記憶部は、過去における異常データと設備機器の異常箇所との対応付けを記憶する。異常予知データ実績記憶部は、過去における異常予知データと設備機器の異常箇所との対応付けを記憶する。
【0013】
ここでは、記憶部が異常データ実績記憶部と異常予知データ実績記憶部とを有している。
異常データ実績記憶部には、設備機器の異常データが報知されてサービスマンなどが設備機器を出張修理した際に、修理によって判明した設備機器の異常箇所と修理を行う端緒となった異常データとが対応づけて記憶される。また、異常予知データ実績記憶部には、過去において設備機器の異常予知データが報知され且つ設備機器の異常データが報知される前にサービスマンなどが設備機器を出張保守した際に、異常箇所と保守を行う端緒となった異常予知データとが対応づけて記憶される。
【0014】
さらに、対応データ記憶部に記憶される対応付けは、異常予知データが報知されたが設備機器の保守を行わなかったときに出力される異常データと、その異常予知データとの対応関係を記録したデータである。異常予知データ実績記憶部に蓄積されるデータは、異常予知の際に保守を行って判明したデータに限定される。一方、異常データ実績記憶部に蓄積されるデータは、異常予知データが報知された際にそのまま放置されて異常データが報知された場合を含む。
【0015】
これらにより、異常予知データから、異常予知データ実績記憶部に記憶される異常箇所だけではなく、対応データ記憶部においてその異常予知データに対応づけられている異常データに関連する異常箇所についても異常データ実績記憶部に基づくことにより併せて異常箇所として出力することが可能となる。よって、設備機器の異常予知データから異常予知データ実績記憶部及び異常データ実績記憶部に基づいて抽出された異常箇所を提供することができる。
【0016】
請求項3に記載の保守情報提供システムは、請求項1または2に記載の保守情報提供システムであって、異常箇所抽出部は、異常データ実績記憶部から異常データに対応する設備機器の異常箇所を抽出可能である。
ここでは、設備機器の異常データに基づいて、異常箇所抽出部が設備機器の異常箇所を抽出する。これにより、設備機器に現在生じている異常に対する保守及び修理を適切に行うための情報を提供することが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の保守情報提供システムは、請求項1から3のいずれかに記載の保守情報提供システムであって、異常箇所抽出部が抽出した異常箇所を保守箇所としてさらに出力可能である。
ここでは、抽出された異常箇所を保守のための保守箇所として出力可能となっている。よって、抽出された異常箇所を保守箇所とすることにより出張保守を行う際の詳細な情報とできるため、設備機器の維持をさらに適切に行うことができる。
【0018】
請求項5に記載の保守情報提供システムは、請求項1から4のいずれかに記載の保守情報提供システムであって、異常箇所抽出部は、設備機器の保守に要する物品について出力可能である。
保守に要する物品としては、設備機器の異常箇所の確認に必要な確認部材や、設備機器の異常箇所に対する保守部品などが挙げられる。
【0019】
ここでは、異常箇所を出力する際に、併せて出張保守及び出張修理の際に必要となる物品を出力する。異常に対応する異常箇所と保守及び修理対応の際に必要となる物品とを出力することができるので、設備機器に対する適切な対応を容易且つ確実に行うことが可能となる。また、保守及び修理に必要な物品を出張時に持参できるので、異常箇所の確認と共に出張保守及び出張修理を行うことが可能となる。よって、設備機器の保守及び修理を迅速に行うことができる。
【0020】
例えば、設備機器が故障した際に、出力された保守部品を持参することにより、故障箇所の確認と共に修理を併せて行うことができる。よって、設備機器の修理のための出張回数を減らして、保守及び修理を迅速に行うことができる。
請求項6に記載の保守情報提供システムは、請求項1から5のいずれかに記載の保守情報提供システムであって、異常箇所が異常箇所抽出部において複数抽出される。また、異常予知データ実績記憶部及び異常データ実績記憶部から抽出されたそれぞれの異常箇所の頻度を確信度として算出する確信度算出部をさらに備える。さらに、異常箇所抽出部は、異常箇所及び確信度を確信度の大小に従って出力する。
【0021】
異常データ又は異常予知データの確信度は、記憶部に記憶されている異常データ又は異常予知データに対する設備機器の異常箇所(保守箇所)の頻度である。すなわち、確信度は、記憶部に記憶される異常データ又は異常予知データの数量又はそれらの数量データに対する各異常箇所(保守箇所)の数量の比を表す。
ここでは、異常箇所及び確信度を確信度の大小順に並べて出力する。これにより、確信度に基づいて設備機器の保守及び修理を行うことができる。よって、設備機器の保守及び修理をより効率的に行うことが可能となる。
【0022】
請求項7に記載の保守情報提供システムは、請求項1から6のいずれかに記載の保守情報提供システムであって、異常データ、異常予知データ、及び設備機器の特徴である特徴情報の入力を受け付ける入力受付部をさらに備える。また、特徴情報は、設備機器の機種番号又はこれに類する情報を含む。異常箇所抽出部は、特徴情報に適合する設備機器に限定して、記憶部から設備機器の異常箇所を抽出する。
【0023】
ここでは、記憶部から特徴情報(設備機器の機種名、商品名等)に限定されるデータのみを対象として、異常箇所抽出部が異常箇所を出力する。これにより、異常箇所抽出部が特定の特徴を有する設備機器に特有の異常箇所の傾向などを考慮した異常箇所の抽出を行えるので、設備機器の保守対応のためにさらに適切な情報を提供することが可能となる。
【0024】
請求項8に記載の保守情報提供システムは、請求項7に記載の保守情報提供システムであって、特徴情報は、設備機器の設置年数又はこれらに類する情報を含む。
ここでは、設備機器の設置年数など経年変化による限定を行って異常箇所抽出部が異常箇所を出力する。これにより、経年変化によって生じる異常箇所の傾向を考慮することが可能となる。
【0025】
請求項9に記載の保守情報提供システムは、請求項7又は8に記載の保守情報提供システムであって、特徴情報は、設備機器の設置場所の業種、地域又はこれらに類する情報を含む。
ここでは、設備機器の設置場所や職種業種に関連した情報による限定を行って異常箇所抽出部が異常箇所を出力する。これにより、設備機器の使用状況に応じた傾向を考慮することが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の保守情報提供システムに係る空気調和装置の管理システム1を図1に示す。管理システム1は、物件2の内部を空気調和する空気調和装置3を制御装置4で制御すると共に、空気調和装置3を遠隔監視センタ5に設置される管理装置6で遠隔管理するシステムである。
【0027】
なお、管理システム1による管理の対象は、物件2に設けられる空気調和装置3に限られず、給湯装置や照明など他の設備機器を含んでいても良い。
<全体の構成>
管理システム1は、主として空気調和装置3、制御装置4、及び管理装置6から構成される。
【0028】
空気調和装置3は、ビルや工場などの物件2に複数配置され、室内の空気調和を行う。また、空気調和装置3は、作動状態や環境状態を検知するセンサ11が複数設けられている。それぞれの空気調和装置3は、自己チェック機能を有しており、センサ11の検知結果に基づいて自己の作動状況に異常があるか否かをチェックすることができる。空気調和装置3に異常があると確認された(異常状態である)場合、空気調和装置3は、制御装置4に異常コードを送信する。異常コードは、設備機器に異常があることを知らせるものであり、コードの種類によって異常の種類を示している。
【0029】
制御装置4は、複数の空気調和装置3と通信線により接続されており、それぞれの空気調和装置3に対して集中制御を行う。制御装置4は、空気調和装置3が配置される物件2の管理室などに配置される。また、制御装置4は、空気調和装置3からの異常コードを受信する。制御装置4は、通信網7を介して管理装置6に接続されており、それぞれの空気調和装置3の運転データ及び異常コードを管理装置6へと送信する。
【0030】
この運転データには、空気調和装置3が有するセンサ11で検出された状態検出値、空気調和装置3で実行された制御内容、空気調和装置3の消費電力などが含まれる。これらの運転データは、所定時間毎、例えば1分ごとに検出され、制御装置4に蓄積される。
制御装置4は、蓄積された運転データ、空気調和装置3から随時受信する異常コードを例えば1時間毎に纏めて管理装置6へと送信する。また、制御装置4は、空気調和装置3の運転データに基づいて、空気調和装置3が異常状態か否か、また異常前兆状態か否かをチェックし、異常予知コードを出力する。制御装置4は、運転データ及び異常コードと同様に、出力した異常予知コードを管理装置6へと送信する。
【0031】
管理装置6は、複数の物件2に設置されている制御装置4に接続された複数の空気調和装置3の管理を行う装置であり、空気調和装置3が配置された物件2から離れた遠隔監視センタ5内に配置される。また、管理装置6は、空気調和装置3を特定する特徴情報(例えば空気調和装置3の機種名、商品名等や、設置年数、設置場所の業種、設置地域など)を記憶する。特徴情報は、空気調和装置3が設置された当初に制御装置4から送信される、又は管理装置6のオペレータなどにより入力される等の手段により管理装置6に記憶される。
【0032】
管理装置6が行う管理の内容としては、異常診断、省エネ自動制御、報告書自動作成等がある。
異常診断は、以下のような管理内容である。管理装置6が異常診断を行う場合には、制御装置4から送られる空気調和装置3の運転データ、異常コード、及び異常予知コードを参照して、物件2に設置されるそれぞれの空気調和装置3が異常状態や異常前兆状態になっていないか確認する。なお、制御装置4から異常予知コードが出力されない場合にも、管理装置6は、空気調和装置3の運転データに基づいて、空気調和装置3が異常前兆状態か否かをチェックする。その結果、管理装置6は、空気調和装置3が異常前兆状態であると判断すると異常予知コードを出力する。異常状態や異常前兆状態であると判断した場合、管理装置6は、物件2の管理者等に通知し、さらに異常コード及び異常予知コードに基づいて保守及び修理を行うべき箇所(保守箇所)を抽出した後にサービスセンタ8の端末31に連絡する。端末31への連絡内容には、保守箇所が含まれている。この後に、サービスセンタ8に所属するサービスマンに、連絡内容に基づいて空気調和装置3の出張保守及び出張修理(点検、修理など)を行わせるために物件2へと出動させる。
【0033】
省エネ自動制御は、所定期間で一定量の消費電力が削減されるように所定期間に省エネルギー制御を自動的に行うという管理内容である。
報告書自動作成とは省エネルギー制御の運用効果などをまとめた報告書を自動的に作成し定期的に物件2の所有者や管理者等に送るという管理内容である。
以下では、管理装置6の機能のうち、上記した異常診断に関する説明を主に行う。
【0034】
<管理装置の構成>
図2に、管理装置6が有する構成部分のうちの異常診断に係る部分を示す。
管理装置6は、通信部21、処理部22、及び記憶部23を主に有する。
(通信部)
通信部21は、通信網7を介して制御装置4から送られてくる空気調和装置3の運転データ、異常コード、及び異常予知コードを受信する。また、通信部21は、物件2の空気調和装置3に対する省エネ自動制御の手順や自動作成された報告書の内容などを制御装置4へ送信する。さらに、通信部21は、空気調和装置3が異常状態や異常前兆状態である場合に、空気調和装置3の出張保守及び出張修理を行うサービスマンを物件2へ派遣するようサービスセンタ8の端末31へ派遣情報を送信すると共に、制御装置4へ異常が発生している/生じるおそれがあるとの情報を送信する。これにより、制御装置4が報知機能を有している場合に、この報知機能を用いて物件2の利用者に対して、空気調和装置3に異常がある旨を報知することができる。なお、空気調和装置3の異常状態及び異常前兆状態における情報送信は、通信網7を介する手段に限られず、例えばFAXなどによって情報伝達を行っても良い。
【0035】
(処理部)
処理部22は、通信部21で受信された空気調和装置3の運転データを記憶部23に記憶させると共に、運転データに基づいて空気調和装置3の異常診断を行う。また、処理部22は、省エネ自動制御の手順作成や報告書の自動作成等を行う。
【0036】
処理部22は、保守箇所情報出力部24を有する。保守箇所情報出力部24は、空気調和装置3に対する異常コード及び異常予知コードを元に、過去における空気調和装置3の保守対応の実績データを記憶する実績データ記憶部25(記憶部23に含まれる)から空気調和装置3の異常箇所を複数抽出し、保守箇所として出力する。また、それぞれの保守箇所には、実績データ記憶部25から抽出された異常コード及び異常予知コードに対する異常箇所の頻度に基づいて確信度が算出される。出力された保守箇所は、それぞれの確信度と併せて、通信部21を介してサービスセンタ8の端末31へ送信される。
【0037】
なお、制御装置4から異常予知コードが出力されない場合にも、保守箇所情報出力部24は、空気調和装置3の運転データに基づいて、空気調和装置3が異常前兆状態であるか否かをダブルチェックする。その結果、保守箇所情報出力部24は、空気調和装置3が異常前兆状態であると判断すると異常予知コードを出力し、その後に上記と同様の処理を行う。
【0038】
(記憶部)
記憶部23は、空気調和装置3の特徴情報、また通信部21を介して受信した空気調和装置3の運転データ、異常コード、及び異常予知コードを記憶する。また、記憶部23は、管理システム1に必要な管理情報などを記憶する。
さらに記憶部23は、過去における空気調和装置3の保守対応の実績データを記憶する実績データ記憶部25を含む。実績データは、過去において空気調和装置3の異常コード及び異常予知コードが出力された際に、空気調和装置3の実際の異常箇所が記録されるデータである。実績データは、対象となる空気調和装置3に対してサービスマンの行った出張修理に関する情報(異常コード又は異常予知コード、空気調和装置3の異常箇所、空気調和装置3の特徴情報など)を元にしてサービスセンタ8の端末31などで入力される。
【0039】
実績データ記憶部25は、異常コードが出力された場合における実績データを記憶する異常コード実績データ記憶部26、異常予知コードが出力された場合における実績データを記憶する異常予知コード実績データ記憶部27、及び、異常予知コードが出力されたが保守が行われずに放置されたために異常コードがさらに出力された場合における異常予知コードと異常コードとの対応関係を記憶するコード対応データ記憶部28から構成される。
【0040】
異常コード実績データ記憶部26は、過去において空気調和装置3の異常コードが出力された場合における実際の異常箇所を記録した実績データを記憶する。
異常予知コード実績データ記憶部27は、過去において空気調和装置3の異常予知コードが出力された場合における実際の異常箇所(異常が生じるおそれがある箇所を含む)を記録した実績データを記憶する。
【0041】
コード対応データ記憶部28は、過去において空気調和装置3の異常予知コードが出力されたが保守を行わなかったときに出力される異常コードと、その異常予知コードとの対応関係を記録したデータを記憶する。なお、実績データのうち、異常予知コードが出力されたが保守されずに放置されたために異常コードが出力され、その際に修理を行った場合における実績データは、異常予知コード実績データ記憶部27には記録されず、異常コード実績データ記憶部26に記録される。
【0042】
<異常診断手順>
以下では、管理装置6による空気調和装置3の異常診断の手順について、図3に示される処理部22の保守箇所情報出力部24の行うフローに従って説明する。なお、それぞれの異常コード/異常予知コードによって、実績データ量が十分に蓄積されたと言える数量が異なるため、以下での数量は一例とする。さらに、異常コード実績データ記憶部26及び異常予知コード実績データ記憶部27に記憶され抽出される実績データ量が不十分な場合、処理部22は、従来から用いられている経験則による異常診断をさらに併用する。また、異常診断の手法が選択可能であっても良い。
【0043】
まず、ステップS1では、異常コード又は異常予知コードを通信部21が受信する。なお、保守箇所情報出力部24が空気調和装置3の運転データに基づいて異常予知コードを出力する場合もステップS1に含まれる。
続いて、ステップS2では、受信したコードが異常コードであるか異常予知コードであるか判別する。異常コードである場合にはステップS3へ移行し、異常予知コードである場合にはステップS5へ移行する。
【0044】
ステップS3では、ステップS1で受信した異常コードに対応するデータを異常コード実績データ記憶部26から抽出する。なお、抽出データは、異常コード実績データ記憶部26に記憶される実績データのうち、ステップS1で受信された異常コードが出力された空気調和装置3の特徴情報に関連する実績データに限定して抽出を行う。抽出を終えた後に、ステップS4へ移行する。
【0045】
ステップS4では、ステップS3で抽出されたデータの異常箇所を抽出すると共に、それぞれの異常箇所の確信度を算出する。ここにおける確信度は、異常コードに対応する各異常箇所の発生頻度を表す。異常箇所の確信度は、抽出したデータのうちそれぞれの異常箇所での異常回数を抽出したデータの全数で除算することにより算出する。確信度の算出を終えるとステップS16へ移行する。
【0046】
図4(a)では、異常コード1において抽出した異常箇所、及び各異常箇所における確信度を示す。異常コード1における抽出したデータの全数が50であり、電動弁での異常回数が20であるため、異常コード1において電動弁が異常箇所である確信度として20/50=0.4が算出される。
ステップS5では、ステップS1で受信した異常予知コードに対応するデータを異常予知コード実績データ記憶部27から抽出し、データの異常箇所を抽出すると共に、それぞれの異常箇所の予知確信度を算出する。ここにおける予知確信度は、異常予知コードに対応する各異常箇所の発生頻度を表す。なお、抽出されるデータの対象は、異常予知コード実績データ記憶部27に記憶される実績データのうち、ステップS1で受信された異常コードが出力された空気調和装置3の特徴情報に関連する実績データに限定する。抽出を終えた後に、ステップS6へ移行する。
【0047】
異常箇所の予知確信度は、抽出データのうちそれぞれの異常箇所での異常回数を抽出データの全数で除算することにより算出する。
図4(b)では、異常予知コードAにおける抽出したデータを示す。抽出したデータ数の数量が異なる3種類の例を示す。図4(b)▲1▼は抽出したデータが少ない場合、▲2▼はデータが程々にある場合、▲3▼はデータが十分ある場合である。
【0048】
ステップS6では、ステップS5で抽出したデータの数量が十分であるか否かを判断する。なお、上記したように、異常予知コードによって、データの数量が十分であると言える数量は異なっている。図4(b)▲3▼では、抽出したデータの数量が100である場合を十分であるとしている。数量が十分である場合には、ステップS7へ移行する。不十分な場合には、ステップS8へ移行する。
【0049】
ステップS7では、ステップS5で算出した異常箇所の予知確信度を確信度とする。この後にステップS16へ移行する。
抽出したデータの数量が十分である図4(b)▲3▼の例を示す。ここでは、異常予知コードAにおける抽出したデータの全数が100であり、圧縮機での異常回数が60であることから、異常予知コードAにおける圧縮機の確信度として60/100=0.6が算出される。
【0050】
ステップS8では、コード対応データ記憶部28から異常予知コードに対応する異常コードを抽出する。なお、1個の異常予知コードに対して複数の異常コードが存在する場合もある。図4(c)では、異常予知コードAに対して異常コード1と異常コード2とが対応する例を示す。抽出を終えた後にステップS9へ移行する。
【0051】
ステップS9では、異常予知コードに対応するとして抽出した異常コードが複数あるか否か、複数ある場合にはそれぞれの異常コードに対する重み付けがあるか否かを判断する。重み付けがある場合には、ステップS10へ移行する。重み付けがない場合には、ステップS11へ移行する。また、異常予知コードに対応する異常コードが1個である(異常予知コードと異常コードとが1対1対応している)場合には、ステップS12へ移行する。
【0052】
ステップS10では、異常予知コードに対応するとして抽出した異常コードに対応するデータを異常コード実績データ記憶部26から抽出し、異常箇所を抽出すると共にそれぞれの異常箇所の異常確信度を算出する。この後に、ステップS13へ移行する。
異常確信度は、各異常箇所の発生頻度を表す。異常コード実績データ記憶部26に記憶される実績データのうち、異常予知コードが出力された空気調和装置3の特徴情報に関連する実績データに限定してデータの抽出を行う。
【0053】
なおここで、異常箇所の異常確信度は、抽出したデータのそれぞれの異常箇所の頻度を重み付け平均を行うことにより算出する。
異常予知コードAに対応する異常コードとして異常コード1と異常コード2とが対応しており、異常コード1と異常コード2との重み付けが1:2となっている場合の例を図4(d)に示す。例えば、電動弁の異常確信度を算出する。異常コード1における電動弁における異常発生頻度は20/50(=0.4)であり、異常コード2における電動弁における異常発生頻度は2/10(=0.2)である。重み付け平均を行うことにより、電動弁の異常確信度は
と算出される。電磁弁や圧縮機などにおける異常確信度も同様に算出される。
【0054】
ステップS11では、異常予知コードに対応するとして抽出した異常コードに対応するデータを異常コード実績データ記憶部26から抽出し、異常箇所を抽出すると共に、それぞれの異常箇所の異常確信度を算出する。この後に、ステップS13へ移行する。
異常コード実績データ記憶部26に記憶される実績データのうち、異常予知コードが出力された空気調和装置3の特徴情報に関連する実績データに限定してデータの抽出を行う。
【0055】
なおここで、異常箇所の異常確信度は、抽出したデータの異常箇所のそれぞれにおける異常の回数の総計値を、異常コードの抽出したデータの全数で除算することにより算出する。
異常予知コードAに対応する異常コードとして異常コード1と異常コード2とが対応しており、異常コード1と異常コード2との重み付けが無い場合の例を図4(e)に示す。例えば、電動弁の異常確信度を算出する。異常コード1において電動弁に生じた異常の回数は20であり、異常コード2において電動弁に生じた異常の回数は2であることから、異常予知コードAにおいて電動弁に生じた異常の回数の総計値は20+2=22となる。また、異常コードの抽出データの全数は50+10=60となる。これから、電動弁の異常確信度は
異常確信度=22/60(≒0.367)
と算出される。電磁弁や圧縮機などにおける異常確信度も同様に算出される。
【0056】
ステップS12では、異常予知コードに1対1対応する異常コードに対応するデータを異常コード実績データ記憶部26から抽出し、異常箇所を抽出すると共に、それぞれの異常箇所の異常確信度を算出する。この後に、ステップS13へ移行する。
異常コード実績データ記憶部26に記憶される実績データのうち、異常予知コードに1対1対応する異常コードが出力された空気調和装置3の特徴情報に関連する実績データに限定してデータの抽出を行う。
【0057】
なおここで、異常箇所の異常確信度は、抽出したデータのうちそれぞれの異常箇所での異常回数を抽出したデータの全数で除算することにより算出する。
異常予知コードAに異常コード1が1対1対応する場合を図4(c)▲1▼に示す。ここでは、電動弁の異常確信度が20/50(=0.4)となる。電磁弁や熱交などの異常確信度も同様に算出される。
【0058】
ステップS13では、異常予知コードに対応するデータ(ステップS5で抽出)の数量が少ないか程々であるかを判断する。なお、異常予知コードによって、データの数量の判断基準は異なっている。図4(b)では、抽出したデータの数量が50である場合を程々であるとし、抽出したデータの数量が20である場合を少ないとしている。データの数量が程々である場合には、ステップS14へ移行する。データの数量が少ない場合には、ステップS15に移行する。
【0059】
ステップS14では、ステップS5で算出された異常箇所の予知確信度と、ステップS10〜12のいずれかで算出された異常箇所の異常確信度とから、それぞれの異常箇所における確信度を算出する。確信度を算出した後に、ステップS16へ移行する。
異常箇所の確信度は、異常箇所の予知確信度と異常確信度とを、異常予知コード及び異常コードによる貢献度に基づいて、重み付け平均を行うことにより算出される。
【0060】
電動弁に対する確信度について図4(f)を例として説明する。図4(f)では、異常予知コードと異常コードとの貢献度が2:1となる場合を示す。異常予知コードにおける電動弁の予知確信度が20/50(図4(b)▲2▼参照)であり、ステップS10で算出された異常コードにおける電動弁の異常確信度が40/150(図4(d)参照)であるため、電動弁の確信度は、重み付け平均により
と算出される。圧縮機や熱交などの確信度も同様に算出される。
【0061】
ステップS15では、ステップS5で算出された異常箇所の予知確信度と、ステップS10〜12のいずれかで算出された異常箇所の異常確信度とから、それぞれの異常箇所における確信度を算出する。確信度を算出した後に、ステップS16へ移行する。
異常箇所の確信度は、異常箇所において生じた異常の回数の総計値を、異常箇所の予知確信度と異常確信度とにおけるデータの全数で除算することにより算出する。
【0062】
電動弁に対する確信度について図4(g)を例として説明する。異常予知コードにおける電動弁の予知確信度が6/20(図4(b)▲1▼参照)であり、ステップS10で算出された異常コードにおける電動弁の異常確信度が40/150(図4(d)参照)であることから、電動弁に生じた異常の回数は6+40=46であり、異常予知コード及び異常コードのデータの全数は20+150=170となる。これから、電動弁の確信度は、
確信度=46/170(≒0.271)
と算出される。圧縮機や熱交などの確信度も同様に算出される。
【0063】
ステップS16では、ステップS3或いはS5及びS8で抽出された異常箇所、並びに異常箇所に対応してステップS4、S7、S14又はS15で算出された確信度を、確信度が大きい順番に出力して、通信部21からサービスセンタ8の端末31へ送信する。この際に、異常箇所を保守箇所として取り扱う。
以上の手順により送信された保守箇所及び確信度は、サービスセンタ8の端末31において例えば図5に示されるように表示される。図5では、異常コードE0が出力された空気調和装置3(機種:コンビニパックZEAS−AC、運転時間:18765時間、業種:他店舗・飲食店)の保守箇所が確信度の大きい順に並べて出力情報に出力される。この際に「絞込情報」の運転時間にチェックが付けられていることにより、過去1年の実績データから、商品情報が「ビル用マルチ」であり且つ運転時間が18765時間である実績データに絞り込んだ上で出力がなされている。この出力情報などに基づいて、サービスセンタ8に所属するサービスマンが空気調和装置3の出張修理を行うために物件2へと出動する。
【0064】
<特徴>
(1)
本発明の保守情報提供システムに係る空気調和装置の管理システム1は、空気調和装置3の異常状態において異常コードが出力された際に、管理装置6の処理部22の保守箇所情報出力部24が、実績データ記憶部25の異常コード実績データ記憶部26から異常コードに対応する異常箇所を抽出して空気調和装置3の保守箇所として出力する。
【0065】
保守箇所情報出力部24は、異常コード実績データ記憶部26に記憶される実績データに基づいて、異常コードから保守箇所を導き出すことができる。実績データには、過去において異常コードが出力された際における空気調和装置3の実際の異常箇所が記録されている。これにより、過去において異常コードが出力された際の実績に基づいて、今回異常コードが出力された原因となる空気調和装置3の異常箇所を推測して保守箇所として出力することができる。よって、出力された保守箇所を保守することにより、空気調和装置3の保守を迅速且つ的確に行うことが可能となる。
【0066】
(2)
本発明の保守情報提供システムに係る空気調和装置の管理システム1は、空気調和装置3の異常前兆状態において異常予知コードが出力された際に、保守箇所情報出力部24が実績データ記憶部25の異常予知コード実績データ記憶部27から異常予知コードに対応する異常箇所を抽出して空気調和装置3の保守箇所として出力する。
【0067】
保守箇所情報出力部24は、異常予知コード実績データ記憶部27に記憶される実績データに基づいて、異常予知コードから保守箇所を導き出すことができる。実績データ記憶部25には、異常コードと同様に、過去において異常予知コードが出力された際における空気調和装置3の実際の異常箇所(異常が生じるおそれがある箇所を含む)が記録されている。これにより、過去において異常予知コードが出力された際の実績に基づいて、今回異常予知コードが出力された原因となる空気調和装置3の異常箇所を推測して保守箇所として出力することができる。
【0068】
(3)
本発明の保守情報提供システムに係る空気調和装置の管理システム1は、空気調和装置3の異常前兆状態において異常予知コードが出力された際に、保守箇所情報出力部24が実績データ記憶部25のコード対応データ記憶部28に基づいて、異常予知コードが出力された際に修理されずに放置されると出力されると推測される異常コードを抽出する。保守箇所情報出力部24は、抽出された異常コードに対応する異常箇所を実績データ記憶部25の異常コード実績データ記憶部26から抽出して空気調和装置3の保守箇所として出力する。
【0069】
異常予知コード実績データ記憶部27には、異常予知された際に保守が行われた場合に判明した異常箇所に関するデータのみが記憶されている。
そこで、保守箇所情報出力部24は、異常予知コード実績データ記憶部27から異常予知コードに対応する異常箇所を抽出して空気調和装置3の保守箇所として出力すると共に、コード対応データ記憶部28に基づいて、異常予知コードに対応する異常コードを抽出し、抽出された異常コードに対応する異常箇所を異常コード実績データ記憶部26から抽出し、保守箇所として出力する。これにより、さらに多量の実績データに基づいて保守箇所を出力することが可能となる。この出力された保守箇所を保守することにより、空気調和装置3の保守を迅速且つ的確に行うことが可能となる。
【0070】
(4)
本発明の保守情報提供システムに係る空気調和装置の管理システム1は、保守箇所情報出力部24は、確信度の大小順に並べて保守箇所及び確信度を出力する。確信度は、実績データ記憶部25から抽出された異常コード及び異常予知コードに対する異常箇所の頻度に基づいて算出される。この確信度が大きい保守箇所は、過去の実績から、空気調和装置3から今回出力された異常コード及び異常予知コードに対して優先的に保守及び修理を行うべき(確認すべき)箇所であると考えられる。よって、確信度に従って保守及び修理を行うことにより、効率的に保守することが可能となる。
【0071】
(5)
本発明の保守情報提供システムに係る空気調和装置の管理システム1は、保守箇所情報出力部24は、空気調和装置3の特徴情報に基づいて、実績データ記憶部25の抽出の対象を限定する。特徴情報には、例えば空気調和装置3の機種名、商品名等や、設置年数、設置場所の業種、設置地域などの情報が含まれる。実績データ記憶部25に含まれる実績データから、特徴情報により限定を行うことにより、過去の実績データから今回の異常コード及び異常予知コードが出力された空気調和装置3により類似した実績データを対象として保守箇所を抽出することが可能となる。すなわち、保守箇所情報出力部24は、空気調和装置3の機種、経年変化による傾向変化、設置地域や業種による使用状況に応じた変化傾向などの情報を考慮して、それぞれの空気調和装置3に適した保守箇所を抽出することが可能となる。よって、特徴情報による限定を行うことにより、さらに適切な保守及び修理を行うことが可能となる。
【0072】
<他の実施例>
(a)
本発明の保守情報提供システムに係る空気調和装置の管理システム1では、管理装置6の処理部22の保守箇所情報出力部24が実績データ記憶部25の実績データを元にして異常コード又は異常予知コードから保守箇所及び確信度を確信度の大小順に出力し、サービスセンタ8の端末31が例えば図5のように表示する。ここで、保守箇所情報出力部24がさらに保守箇所の対応に必要な物品を出力する。これにより、サービスセンタ8のサービスマンが出張保守及び出張修理を適切且つ容易に行うことが可能となる。また、サービスセンタ8のサービスマンが必要な物品を予め持参して物件2の保守及び修理に向かうため、異常箇所の確認を行うと共に保守及び修理を行うことが可能となる。これにより、物件2へのサービスマンの出張回数を少なくすることができるため、空気調和装置3の保守及び修理を迅速に行うことが可能となり、よって空気調和装置3の異常状態及び異常前兆状態の期間を短くすることが可能となる。
【0073】
(b)
本発明の保守情報提供システムに係る空気調和装置の管理システム1では、空気調和装置3の異常コード又は異常予知コードが出力されると、管理装置6の処理部22の保守箇所情報出力部24が、特徴情報により実績データ記憶部25の実績データの限定を行い、限定された実績データに基づいて異常コード及び異常予知コードに対応する異常箇所を抽出して保守箇所としてサービスセンタ8の端末31などへ出力する。ここで、サービスセンタ8の端末31で保守箇所及び確信度が表示(出力)されている際に、機種や業種などの特徴情報が選択入力されて、通信網7を介して管理装置6の通信部21に入力されることにより、保守箇所情報出力部24が実績データ記憶部25の実績データの限定を再度行い、限定された実績データに基づいて異常コード及び異常予知コードに対応する異常箇所を抽出して保守箇所としてサービスセンタ8の端末31などへ出力するようにしてもよい。これにより、例えば管理装置6が特徴情報(例えば設置年数)を記憶しておらず、サービスセンタ8で空気調和装置3の特徴情報を把握している場合に、特徴情報による実績データの限定を行うことが可能となる。また、特徴情報をより適切な情報に変更する方がよい場合に端末31にて修正することが可能となる。これらにより、保守箇所及び確信度をより適切に出力させることが可能となる。
【0074】
なお、入力された特徴情報を満足する実績データが少ない場合には、入力された特徴情報に対応する限定範囲を緩めて実績データの数量を確保するようにしても良い。
例えば、図5に示された場合では、空気調和装置3の運転時間が18765時間となっている。通常であれば運転時間が18765時間である特徴情報を有する空気調和装置3の実績データに基づく結果を出力情報に出力する。しかし、これに適合する実績データが少ない場合には、運転時間を例えば15000〜20000時間に広げる。
【0075】
また、他の例として、所在地が青森県である空気調和装置3を対象とするときに、青森県が所在地である実績データが少ない場合がありうる。このような場合には、所在地が例えば東北地方である空気調和装置3の実績データに範囲を広げる。また、青森県と気候的に類似する地域(例えば北海道南部、青森県、秋田県、及び岩手県)の空気調和装置3の実績データに範囲を広げる。
【0076】
このように限定範囲の変更を行うことにより、実績データを十分な数量に確保することができる。
(c)
本発明の保守情報提供システムに係る空気調和装置の管理システム1では、空気調和装置3の特徴情報として設置年数が含まれており、この設置年数により経年変化による傾向変化などを把握する。ここで、空気調和装置3が運転データに運転時間を含めることができる場合には、特徴情報として設置年数の代わりに運転時間を用いて実績データ記憶部25の抽出の対象を限定してもよい。設置年数では空気調和装置3の設置後の非運転時間を考慮できないが、運転時間に基づく場合には経年変化が生じる期間をより適切に考慮することができる。これにより、さらに実績データの限定をより適切にすることができる。
【0077】
【発明の効果】
請求項1に記載の保守情報提供システムでは、設備機器の異常予知データから異常箇所を抽出するため、設備機器に対して出張保守を行う際の情報とすることが可能となり、設備機器の維持をさらに適切に行うことができる。
請求項2に記載の保守情報提供システムでは、設備機器の異常予知データから異常予知データ実績記憶部及び異常データ実績記憶部に基づいて抽出された異常箇所を提供することができる。
【0078】
請求項3に記載の保守情報提供システムでは、異常予知に限られず、設備機器に現在生じている異常に関する保守を適切に行うための情報を提供することが可能となる。
請求項4に記載の保守情報提供システムでは、抽出された異常箇所を保守箇所とすることにより出張保守を行う際の詳細な情報とできるため、設備機器の維持をさらに適切に行うことができる。
【0079】
請求項5に記載の保守情報提供システムでは、設備機器の修理のための出張回数を減らして、保守及び修理を迅速に行うことができる。 請求項6に記載の保守情報提供システムでは、設備機器の保守をより効率的に行うことが可能となる。
請求項7に記載の保守情報提供システムでは、設備機器の保守対応のためにさらに適切な情報を提供することが可能となる。
【0080】
請求項8に記載の保守情報提供システムでは、経年変化によって生じる異常箇所の傾向を考慮することが可能となる。
請求項9に記載の保守情報提供システムでは、設備機器の使用状況に応じた傾向を考慮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気調和装置の管理システムの概要図。
【図2】空気調和装置の管理システムの管理装置のブロック図。
【図3】空気調和装置の異常診断手順を示すフローチャート。
【図4】空気調和装置の異常箇所と(異常/予知/)確信度との関係。
【図5】端末に表示出力される保守情報の一例。
【符号の説明】
1 管理システム
3 空気調和装置
4 制御装置
6 管理装置
8 サービスセンタ
21 通信部
22 処理部
23 記憶部
24 保守箇所情報出力手段
25 実績データ記憶部
26 異常コード実績データ記憶部
27 異常予知コード実績データ記憶部
28 コード対応データ記憶部
31 端末
Claims (9)
- 設備機器(3)の異常データ又は異常予知データに基づいて前記設備機器(3)の保守情報を提供する保守情報提供システム(1)であって、
前記異常データ及び異常予知データに基づく記憶データを記憶する記憶部(26、27)と、
前記異常予知データに対応する前記異常データを記憶する対応データ記憶部(28)と、
前記記憶部(26、27)の前記記憶データに基づいて前記異常予知データに対応する前記設備機器(3)の異常箇所を抽出すると共に、前記対応データ記憶部(28)から前記異常予知データに対応する前記異常データを抽出して前記異常データに対応する前記設備機器(3)の異常箇所を抽出する異常箇所抽出部(24)と、
を備える保守情報提供システム(1)。 - 前記記憶部は、過去における前記異常データと前記設備機器(3)の異常箇所との対応付けを記憶する異常データ実績記憶部(26)と、過去における前記異常予知データと前記設備機器(3)の異常箇所との対応付けを記憶する異常予知データ実績記憶部(27)とを有する、
請求項1に記載の保守情報提供システム(1)。 - 前記異常箇所抽出部(24)は、前記異常データ実績記憶部(26)から前記異常データに対応する前記設備機器(3)の異常箇所を抽出可能である、
請求項1または2に記載の保守情報提供システム(1)。 - 前記異常箇所抽出部は、抽出した前記異常箇所を保守箇所としてさらに出力可能である、請求項1から3のいずれかに記載の保守情報提供システム(1)。
- 前記異常箇所抽出部(24)は、前記設備機器(3)の保守に要する物品について出力可能である、
請求項1から4のいずれかに記載の保守情報提供システム(1)。 - 前記異常箇所は、前記異常箇所抽出部(24)において複数抽出され、
前記異常予知データ実績記憶部(27)及び前記異常データ実績記憶部(26)から抽出されたそれぞれの前記異常箇所の頻度を確信度として算出する確信度算出部(24)をさらに備え、
前記異常箇所抽出部(24)は、前記異常箇所及び前記確信度を前記確信度の大小に従って出力する、
請求項1から5のいずれかに記載の保守情報提供システム(1)。 - 前記異常データ、前記異常予知データ、及び前記設備機器(3)の特徴である特徴情報の入力を受け付ける入力受付部(21)をさらに備え、
前記特徴情報は、前記設備機器(3)の機種番号又はこれに類する情報を含み、
前記異常箇所抽出部(24)は、前記特徴情報に適合する前記設備機器(3)に限定して、前記記憶部(26、27)から前記設備機器(3)の異常箇所を抽出する、
請求項1から6のいずれかに記載の保守情報提供システム(1)。 - 前記特徴情報は、前記設備機器(3)の設置年数又はこれらに類する情報を含む、
請求項7に記載の保守情報提供システム(1)。 - 前記特徴情報は、前記設備機器(3)の設置場所の業種、地域又はこれらに類する情報を含む、
請求項7または8に記載の保守情報提供システム(1)。
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