JP2004264058A - 回路検査装置、回路検査方法、抵抗測定装置および抵抗測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】検査対象と検査装置を非接触状態に維持して、導電パターンの検査をする回路検査装置、回路検査方法、抵抗検査装置および抵抗測定方法を提供する。
【解決手段】インピーダンスブリッジ41の第1の枝に検査対象50を接続し、第2の枝に抵抗成分とリアクタンス成分とからなる回路素子を配し、第1および第2の枝それぞれに対向する第3および第4の枝各々に純抵抗を配して、そのインピーダンスブリッジへ高周波信号を印加する。そして、検査対象における高周波信号と回路素子における高周波信号とについて検出した電圧、電流のレベル差、位相差をもとに、検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分の値に基づく導電パターンの良否識別を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】インピーダンスブリッジ41の第1の枝に検査対象50を接続し、第2の枝に抵抗成分とリアクタンス成分とからなる回路素子を配し、第1および第2の枝それぞれに対向する第3および第4の枝各々に純抵抗を配して、そのインピーダンスブリッジへ高周波信号を印加する。そして、検査対象における高周波信号と回路素子における高周波信号とについて検出した電圧、電流のレベル差、位相差をもとに、検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分の値に基づく導電パターンの良否識別を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、回路基板の導電パターンの良否を識別する回路検査装置、回路検査方法、抵抗測定装置および抵抗測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年における装置の小型、軽量化に伴ない、その装置に内蔵される回路基板等に形成される導電パターンは、益々細線化、複雑化の傾向にある。同時に、回路基板等の製造の際、導電パターンに断線や短絡がないかを検査することが、装置の信頼性を維持する上で重要、かつ必須の事項である。
【0003】
従来より行われている導電パターンの検査手法として、検査しようとする導電パターンの両端にピンを接触させて、その一端側のピンから導電パターンへ電気信号を送り、他端側のピンより、その電気信号を受けることで、その導電パターンの導通テスト等を行う、接触式の検査方法(ピンコンタクト方式)が一般的である(例えば、特許文献1)。
【0004】
このピンコンタクト方式は、全端子に金属性のピンプローブを立てて、このプローブを経由して導電パターンへ電気信号を送り込んでいる。つまり、ピンコンタクト方式には、検査対象に直接、ピンプローブを接触させているため、検査信号について良好なS/N比(信号対雑音比)が得られるという利点がある。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−269075号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の検査方法は、基板上のパターンが互いに近接していたり、配線ピッチが細密化している場合には、その使用が困難であるという問題がある。すなわち、検査対象となる回路基板の導電パターンが密に配されている場合、ピンプローブを立てるための物理的な領域が確保できず、プローブ同士の接触等の問題が生じ、基板によっては検査できないか、あるいは部分的な検査しかできないことがある。
【0007】
また、検査対象の導電パターンに合わせて、高い精度でピンプローブの位置決めをした検査治具を作製する必要があり、検査のための費用が高額化するという問題もある。さらに、従来の方法は、検査治具を検査対象に直接、接触させる方式であることから、製品自体やそのパターンを傷つけるおそれがある。
【0008】
一方、検査対象における電圧、電流を直接、測定する方法では、低抵抗から高抵抗までをリニアに網羅できないため測定誤差が生じ、この方法で高精度の測定を行おうとすると、装置が高価になり、かつ、装置が大型化するという問題がある。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、検査対象と検査装置とを非接触状態に維持したまま、その検査対象を検査する回路検査装置、回路検査方法、抵抗測定装置および抵抗測定方法を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、回路基板等の導電パターンの良否を簡易な構成で判定可能な回路検査装置、回路検査方法、抵抗測定装置および抵抗測定方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として、本発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、回路基板を検査する回路検査装置であって、上記回路基板の検査対象の一方に高周波信号を供給する上記検査対象と所定距離離間して位置決めされた第1の電極と、上記回路基板の検査対象の他方に上記検査対象と所定距離離間して位置決めされた第2の電極と、上記第1の電極と第2の電極を介してインピーダンスブリッジの第1の枝に接続された上記検査対象に印加された第1の高周波信号を検出する手段と、上記第1の枝に隣接する第2の枝に配した回路素子に印加された第2の高周波信号を検出する手段と、上記検出された第1の高周波信号と第2の高周波信号の電圧および電流についてのレベル差と位相差をもとに上記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得る手段と、上記得られた抵抗成分とリアクタンス成分に基づいて上記検査対象の良否を識別する手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
例えば、上記レベル差と位相差がゼロになるまで上記回路素子の回路定数を調整して、上記インピーダンスブリッジを平衡状態にする手段を備え、上記調整された量をもとに上記検査対象の抵抗値を求めることを特徴とする。
【0013】
また、例えば、上記検査対象は、高誘電体薄膜によって上記所定距離離間されており、上記第1の高周波信号は、上記第1の電極と上記第2の電極と上記検査対象と上記高誘電体薄膜とで構成される信号経路を通過することを特徴とする。
【0014】
上述した課題を解決する他の手段として、本発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、回路基板を検査する回路検査方法であって、上記回路基板の検査対象の一方に高周波信号を供給する上記検査対象と所定距離離間して位置決めされた第1の電極と、上記回路基板の検査対象の他方に上記検査対象と所定距離離間して位置決めされた第2の電極を介してインピーダンスブリッジの第1の枝に上記検査対象を接続するステップと、上記検査対象に印加された第1の高周波信号を検出する第1の検出ステップと、上記第1の枝に隣接する第2の枝に配した回路素子に印加された第2の高周波信号を検出する第2の検出ステップと、上記検出された第1の高周波信号と第2の高周波信号の電圧および電流についてのレベル差と位相差をもとに上記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得るステップと、上記抵抗成分とリアクタンス成分の値に基づいて上記検査対象の良否を識別するステップとを備えることを特徴とする。
【0015】
例えば、さらに、上記レベル差と位相差がゼロになるまで上記回路素子の回路定数を調整して、上記インピーダンスブリッジを平衡状態にするステップと、上記調整された量をもとに上記検査対象の抵抗値を求めるステップとを備えることを特徴とする。
【0016】
例えば、上記検査対象は、高誘電体薄膜によって上記所定距離離間されており、第1の検出ステップは、上記第1の電極と上記第2の電極と上記検査対象と上記高誘電体薄膜とで構成される信号経路を通過した上記第1の高周波信号を検出することを特徴とする。
【0017】
また、上述した課題を解決する他の手段として、本発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、回路基板の導電パターンの抵抗を測定する抵抗測定装置であって、第1の枝に検査対象を接続し、上記第1の枝に隣接する第2の枝に抵抗成分とリアクタンス成分とからなる回路素子を配し、上記第1および第2の枝それぞれに対向する第3および第4の枝各々に純抵抗を配してなるインピーダンスブリッジと、上記インピーダンスブリッジへ高周波信号を供給する高周波信号源と、上記高周波信号のうち上記検査対象に印加された第1の高周波信号と、上記回路素子に印加された第2の高周波信号の電圧および電流についてのレベル差と位相差を検出する手段と、上記検出されたレベル差と位相差をもとに上記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得る手段とを備え、上記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分の値に基づいて上記導電パターンの良否を識別可能にすることを特徴とする。
【0018】
例えば、さらに、上記レベル差と位相差に基づいて上記回路素子の抵抗成分とリアクタンス成分を調整する手段を備え、この調整によって上記インピーダンスブリッジが平衡状態になったときの上記抵抗成分を上記導電パターンの抵抗値とすることを特徴とする。
【0019】
例えば、さらに、上記検査対象の導電パターンに応じて配置された複数の電極と、これらの電極を覆う高誘電体薄膜とを介して、上記高周波信号を上記導電パターンの一方へ供給する第1のセンサと、上記導電パターンの他端を、高誘電体薄膜を介して接地レベルに維持する第2のセンサとを備え、上記検査対象は、上記第1のセンサと第2のセンサの間に挟持されて上記第1の枝に接続され、上記第1の高周波信号は、上記検査対象と上記高誘電体薄膜とで構成される信号経路を通過する構成を有することを特徴とする。
【0020】
上述した課題を解決する他の手段として、本発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、回路基板の導電パターンの抵抗を測定する抵抗測定方法であって、第1の枝に隣接する第2の枝に抵抗成分とリアクタンス成分とからなる回路素子が配され、上記第1および第2の枝それぞれに対向する第3および第4の枝各々に純抵抗が配されたインピーダンスブリッジの上記第1の枝に検査対象を接続するステップと、上記インピーダンスブリッジへ高周波信号を供給するステップと、上記高周波信号のうち上記検査対象に印加された第1の高周波信号と、上記回路素子に印加された第2の高周波信号の電圧および電流についてのレベル差と位相差を検出するステップと、上記検出されたレベル差と位相差をもとに上記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得るステップと、上記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分の値に基づいて上記導電パターンの良否を識別するステップとを備えることを特徴とする。
【0021】
例えば、さらに、上記レベル差と位相差に基づいて上記回路素子の抵抗成分とリアクタンス成分を調整するステップを備え、この調整によって上記インピーダンスブリッジが平衡状態になったときの上記抵抗成分を上記導電パターンの抵抗値とすることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施の形態例を詳細に説明する。本実施の形態例に係る回路検査装置は、インピーダンスブリッジ回路を用いて、検査対象である回路基板の回路(導電パターン)を、その検査対象と検査装置とを非接触にしたまま検査して、その結果をもとに導電パターンの良否を識別可能にする。図1は、本実施の形態例に係る回路検査装置を用いて回路検査を行う際の様子を示す外観斜視図であり、図2は、回路検査(抵抗測定)時における検査装置と検査対象の相互の位置関係を示す断面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態例に係る回路検査装置は、上部センサ3と下部センサ2、それらのセンサに電気的に接続されるブリッジ回路1とによって構成される。抵抗値の測定を開始する際には、検査対象50(例えば、導電パターンが配された回路基板)を、図中の矢印方向へ移動させて、下部センサ2上の所定位置に載置(より詳しくは、後述する電極に対して位置決めする)した後、検査対象50の上側に上部センサ3を重ね、密着させる。その結果、検査対象50は、その上下方向において、これらのセンサ2,3により挟まれ、センサ2,3と密着した状態となる。
【0024】
上部センサ3は、例えば、検査対象50に合わせた大きさの銅板4に高誘電体薄膜5を貼り合わせてなり、全体として直方体状の形状を有する、いわゆるGND(接地)ベタセンサである。この上部センサ3と対向する位置に配される下部センサ2は、絶縁基板9の上面に複数の電極11〜17(これらの電極は、例えば、銅からなる)を配した構成を有し、全体として直方体状の形状を有する。さらに、下部センサ2の上面には、電極11〜17各々の一部を残したまま、他の部分全体を覆うように高誘電体薄膜8(図1において、二点鎖線で示す)が被せられている。
【0025】
なお、上部センサ3と下部センサ2は、対向する面の大きさを同一サイズとしてもよいし、下部センサ2の面積を上部センサ3の面積よりも大きくしてもよい(例えば、図1、図2参照)。また、高誘電体薄膜5,8として、ここでは、例えば、誘電率の高いポリイミド(絶縁薄膜)を使用する。
【0026】
図1に示すように、下部センサ2上に配された各電極11〜17は、例えば、全体が“おたまじゃくし”、あるいは“スプーン”形状となっており、その一部の面積が広くなった円状部21〜27を有している。これらの円状部21〜27は、抵抗測定時に検査対象50を下部センサ2上に位置決めしたときに、回路基板に形成された突起電極(バンプ)が乗る部分であり、それらのバンプの位置に合わせて下部センサ2上に配されている。よって、電極11〜17の円状部21〜27は、下部センサ2上において、検査対象50のスルーホールの形成位置に応じて配置されたバンプと同位置にあることになる。
【0027】
また、電極11〜17のうち、高誘電体薄膜8で覆われていない部分は、測定端子として機能し、それらの部分にリード線20を介してブリッジ回路1が接続される。リード線20は、検査対象となる導電パターン(スルーホール)に対応する電極11〜17に適宜、切り替えて接続される。なお、リード線20として、必要に応じて同軸ケーブルやシールド線を使用し、外来ノイズ等の影響を回避する構成としてもよい。
【0028】
抵抗測定時において、図2に示すように、下部および上部の両センサ2,3に挟まれ、それらに密着した状態にある検査対象50に形成されたスルーホール35,36は、その一端が高誘電体薄膜5を介して銅板4との近接状態を維持し、他端は、スルーホール35,36に電気的に接続されたバンプ31,32と、高誘電体薄膜8とを介して、電極11〜17との近接状態を維持している。ここでの近接状態とは、印加される電気信号に対して、直流的には絶縁状態(非接触)であるが、交流的(特に高周波信号)には導通状態であることを意味している。
【0029】
ブリッジ回路1は、後述するように高周波信号の供給源を有し、その高周波信号が、上部センサ3の銅板4と下部センサ2上の電極11〜17との間に供給(印加)される。そのため、これらのセンサ2,3間に密着して配された検査対象50のスルーホール35,36にも、抵抗測定時に、この高周波信号が印加される。このとき、検査対象50は、ブリッジ回路1を構成するインピーダンスブリッジの一辺に接続されており、検査対象50そのものは、後述するように、等価的に回路基板のスルーホール35,36の抵抗成分、容量成分等からなる回路構成を有する。
【0030】
次に、本実施の形態例に係る回路検査装置における回路検査(抵抗値測定)の原理、および回路検査装置の構成について説明する。図3は、本実施の形態例に係る回路検査装置(上述したブリッジ回路1を含む)の具体的な回路構成を示す図である。図3に示すように、この回路検査装置は、高周波信号発振器(OSC)51からの高周波信号を受けて、ブリッジとしての平衡状態/不平衡状態をとるインピーダンスブリッジ41を有する。このインピーダンスブリッジ41の四辺(4つの枝)それぞれには、純抵抗R1,R3(ここでは、それらの抵抗値は等しい(R1=R3)とする)と、可変抵抗R2および可変容量C1が直列接続されてなる回路素子と、未知のインピーダンスZxを持つ検査対象とが配される構成をとる。
【0031】
この回路検査装置では、高周波信号発振器51からの高周波信号が、インピーダンスブリッジ41のA−D間に印加され、そのときのブリッジ41の平衡状態に応じて得られる、ブリッジの枝電流(分流した電流)と電圧についての位相差とレベル差に基づいて、検査対象の抵抗値を求める。このとき、上述したように、検査対象50と、測定信号の入力部である電極11〜17、およびグランド(GND)プレーンとしての上部センサ3は、高誘電体薄膜8,5を介することで、相互に直流的に非接触状態となり、高周波の信号に対しては電気的に導通状態となるように維持されている。
【0032】
高周波信号発振器51からブリッジ41へは、例えば、数10MHz〜数100MHzの高周波信号を供給しているため、このような高周波の信号を受ける対象のインピーダンス低下が生じることになる。つまり、高周波信号は、発振源より、検査対象に介在する高誘電体薄膜を通過して、その検査対象を構成するスルーホールを流れ、回路グランドに至る経路を辿る。よって、ブリッジ41が平衡状態になっていない場合には、ブリッジ41の点A−点C−Zx−点Dの経路と点A−点B−点Dの経路それぞれに、位相とレベルの異なる高周波電流i1,i2が流れる。なお、この高周波信号は、位相差を判定しやすい波形であれば、正弦波信号でも、矩形波信号でもよい。
【0033】
よって、ブリッジ41の不平衡時には、ブリッジ41の点C、点Bに位相とレベルの異なる高周波電流i1,i2が流れることによる、電流i1,i2のレベル差と、電圧v1,v2のレベル差が生じる。これらの信号レベルの差分のうち、電圧の差分は、点C、点Bに接続された差動アンプ42によって直接、増幅され、電圧のレベル差ΔVとして出力される。
【0034】
一方、電流についての差分は、点C、点Bに接続された電圧−電流変換部40において、電圧成分をもとに電流成分に変換された後、次段の差動アンプ53で増幅される。従って、ブリッジ41における電流の差分は、ブリッジ41の点C,Bでの電流のレベル差ΔIとして、差動アンプ53より出力される。
【0035】
なお、これらの差動アンプ42,53の入力インピーダンスは、極めて高い(通常、数メガ〜数100メガオーム)ため、その入力端に流れ込む電流は無視できる。また、差動アンプ42,53は、数メガHz以上の広帯域増幅特性を有し、差動入力には高い利得を持つとともに、同相成分を除去する機能を有する。
【0036】
アナログ信号である電流レベル差ΔI、および電圧レベル差ΔVのうち、電流レベル差ΔIは、A/D変換部54において、その値を示すデジタル信号に変換され、電圧レベル差ΔVは、A/D変換部43でレベル差に応じたデジタル信号に変換される。
【0037】
また、ブリッジ41が不平衡状態にあるときには、ブリッジの枝を流れる高周波電流i1,i2の位相も異なる(つまり、両電流に位相差が生じる)。ここでは、ブリッジ41の隣接する2つの枝(A−B,A−C)に配した抵抗R1,R3の抵抗値が等しくなるように調整されているため、枝電流に位相差が生じる不平衡状態とは、ブリッジ41のB−Dで示す枝に配された回路素子のインピーダンスZBD(ZBD=R2+1/jωC1)と、C−Dで示す枝に接続された未知のインピーダンスZxとが電気的に等価でないことを意味する。
【0038】
そこで、判定部55は、A/D変換後のデジタル値が所定の範囲内にあるか否かを判定する。すなわち、A/D変換部43,54からの出力は、それぞれブリッジの回路要素(インピーダンス)に応じて枝分かれした高周波信号についての電圧レベル差、および電流レベル差をデジタル値に変換した値であり、判定部55は、それらの値が、あらかじめ設定した閾値内にあるか否かを判定する。
【0039】
具体的には、判定部55は、ブリッジ41の枝電流に位相差がないときにおける、検査対象(回路基板のスルーホール)の有する抵抗成分の良否判定を行う。そのため、判定部55は、抵抗成分の値があらかじめ設定した閾値内にあれば、検査対象の抵抗成分の値(測定した回路基板のスルーホールの抵抗値)が正常である旨の判定結果Rを出力する。
【0040】
本実施の形態例に係る回路検査装置では、ブリッジ41の点Cと点Bに、上記の差動アンプ42,53に加えて、位相比較部47が接続されている。この位相比較部47は、不平衡状態にあるブリッジ41を流れる電流i1,i2の各位相θ0,θ1を比較して、その差分θ0−θ1をΔθとして出力する。
【0041】
また、位相差−リアクタンス変換部48は、位相比較部47が検出した位相差Δθをもとに、リアクタンスの値Xを出力する。つまり、位相比較部47で検出された位相差Δθをリアクタンス成分の差分として出力する。ここでは、この値Xを判定基準(0Ω)とすることにより、測定した抵抗値が正常(適正)な範囲内にあるか否かを判断できる。(例えば、その値が判定基準0(Ω)を大幅に外れているときは、抵抗値が適正な測定値ではないと分かる。)
【0042】
図4は、ブリッジ41の枝C−Dに接続された未知のインピーダンスZx(46)の等価回路である。本実施の形態例に係る回路検査装置が測定の対象とするのは、上述した検査対象50(回路基板)内に配された、例えば、銅からなるスルーホール35,36である。このスルーホールを電気的な等価回路で表すと、図4に示すように、例えば、経路の長さ分に相当する抵抗成分Rと、それと直列に接続される寄生誘導(インダクタンス)成分Lと、寄生容量成分Cとからなる回路構成61を有すると考えることができる。
【0043】
また、本実施の形態例に係る回路検査装置では、上述したように高周波信号を測定信号として使用することで、検査対象50が、高誘電体薄膜8,5を介して上部センサ3と下部センサ2とに電気的に接続されている(高周波信号のもとで導通状態にある)。そのため、これらのセンサ2,3と検査対象50との間には、高誘電体薄膜8,5による容量成分が直列接続されて存在することになる。この容量成分が、図4に示す2つのコンデンサCgである。
【0044】
ブリッジ41の枝C−Dに端子a,bを設け、これらの端子a,bに接続されたZx(測定しようとする未知インピーダンス)は、ブリッジ41に印加された高周波信号が通過する測定パスのインピーダンスである。従って、Zxの等価回路は、図4に示すように、上記の回路構成61の両端に高誘電体薄膜8,5による容量成分Cgが直列に接続された構成となる。
【0045】
このように、本実施の形態例に係る回路検査装置において、ブリッジにおける電流および電圧測定の結果として得られたリアクタンスの差分(位相差)を容量変換した値、および、信号レベルの差分を抵抗値に変換した値は、回路基板のスルーホール等で構成される測定パスのインピーダンス成分(スルーホールの抵抗成分とリアクタンス成分等からなる)に相当することになる。
【0046】
このとき、測定パス中の高誘電体薄膜8,5による容量成分は既知であるため、その容量成分についてのリアクタンス補正を行うことで、スルーホールの寄生誘導成分Lと寄生容量成分Cによるリアクタンス成分を正確に検出できる。
【0047】
一方、ブリッジ41が平衡状態にあれば、検査対象50の未知インピーダンスをZx=R+jXとすると、
R3・(R2+1/jωC1)=R1・(R+jX) …(1)
より、その平衡条件は、
R2・R3=R・R1、かつ、X・R1=−R3/ωC1 …(2)
である。
【0048】
また、ここでは、R1=R3であるから、ZBD=Zxの関係が成立しており、
R=R2,X=−1/ωC1 …(3)
となる。結局、ブリッジ41の枝B−Dに配された回路素子の抵抗成分とリアクタンス成分がそのまま、測定の対象としているスルーホールの抵抗成分とリアクタンス成分になる。
【0049】
よって、平衡状態にあるブリッジ41の点C,Bには、位相と信号レベルが一致した電流が流れる。そのため、点C,B間において電圧レベル差は生じず、電流のレベル差も発生しないので、差動アンプ42,53の各出力である電圧、電流レベル差ΔV,ΔIは、ともにゼロになる。このとき、位相比較部47は、同相信号に対して位相差を検出しないため、位相比較部47の出力(位相の差分Δθ)もゼロとなる。
【0050】
さらに、本実施の形態例に係る回路検査装置では、差動アンプ42の出力である電圧レベル差ΔVと、位相比較部47で検出した位相差ΔθをCR調整部52へ帰還し、そのフィードバック量に基づいて、インピーダンスブリッジ41の枝B−Dにある可変抵抗R2と可変容量C1を調整している。この調整は、電圧レベル差と位相差がともにゼロになるまで(位相差−リアクタンス変換部48からの出力である、リアクタンスの値Xがゼロになるまで)、繰り返される。つまり、回路素子R2とC1が構成するインピーダンスZBDと、測定しようとするインピーダンスZxとが等しくなり、電圧v1,v2の位相とレベルが合うまで(位相差とレベル差がなくなるまで)、その調整を繰り返す。
【0051】
次に、上述した構成を備える回路検査装置における回路の検査方法について説明する。図5は、本実施の形態例に係る回路検査装置における検査(抵抗測定)手順を示すフローチャートである。最初に、図5のステップS1において、検査対象(測定対象)である回路基板を検査装置の所定位置に載置する。ここでの所定位置とは、図1等に示す下部センサ2上に配された電極11〜17の円状部21〜27の位置を意味しており、それらの位置に、検査対象である回路基板のスルーホールに直結されたバンプを位置合わせする。
【0052】
なお、検査対象の載置は、不図示の搬送ロボットにより行っても、あるいは、測定者(操作者)自身が直接、載置作業を行ってもよい。
【0053】
ステップS2では、検査対象を含むインピーダンスブリッジへ高周波信号(測定信号)を供給する。このとき、ブリッジの平衡状態に応じて、印加された高周波信号による電流の一部は検査対象へ分流し、残りの電流は、上述した可変抵抗R2と可変容量C1とが直列接続してなる回路素子へ分流する。
【0054】
ステップS3において、検査対象を流れる高周波信号と、あらかじめ設定されている回路素子へ流れる高周波信号の電圧、電流のレベル差と位相差を検出する。そして、ステップS5では、上記のステップS3で検出されたレベル差と位相差をもとに、検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得て、それらの値が、あらかじめ設定した閾値内にあるか否かを判定する。
【0055】
ステップS5での判定結果がNOであれば、検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分が、あらかじめ設定した閾値内になく、それを外れた値を示していることから、ステップS7において、検査対象の導電パターンが、例えば、それと隣接するパターンと短絡しているか、あるいは途中で断線していると判断して、その導電パターンの状態を不良と判定する。しかし、検査対象からの検出値が、あらかじめ設定した閾値内にあれば、ステップS8で、導電パターンは正常と判定する。そして、処理をステップS10へ進める。
【0056】
ステップS10では、すべての導電パターンの測定が終了したか否かを判断し、測定が未終了であれば、ステップS11において、検査対象導電パターンを変更する。具体的には、図1に示す測定信号を入力する電極11〜17の入れ替え(リード線の接続変更を含む)を行い、次の検査対象の導電パターンに対して高周波信号が供給されるようにしてから、再度、ステップS3以降の処理を繰り返す。
【0057】
一方、すべての導電パターンの測定が終了した場合には、ステップS15において、高周波信号の供給を停止し、検査対象を検査装置より外して、本測定処理を終える。本実施の形態例では、位相差−リアクタンス変換部48が、位相比較部47で検出した位相差Δθに基づいて出力するリアクタンスの値Xがゼロであれば、高周波信号発振器51は、このXを発振停止信号として受信し、測定終了であるとして高周波信号の発振を停止する。
【0058】
以上説明したように、インピーダンスブリッジ回路のブリッジの一辺に検査対象を接続し、そのブリッジの平衡状態に基づいて検査(抵抗値測定)を行う際に、測定信号として高周波信号を使用することで、その検査対象とブリッジ回路とを、高誘電体薄膜を介して電気的に接続した測定信号の信号経路を構成でき、検査対象である回路基板上の導電パターンの抵抗値を、検査装置と非接触状態を維持して測定できる。
【0059】
また、検査の際、検査対象と検査装置を非接触の状態に維持できることから、導電パターンが混み合った、複雑な回路パターン構成の回路基板の抵抗測定にも適用できる。
【0060】
さらに、インピーダンスブリッジ回路の構成素子として周波数に依存しない抵抗を使用し、ブリッジを流れる電流の位相とレベルが合うように平衡状態を維持しながら、そのブリッジの構成素子の容量値、および抵抗値を調整することで、外来ノイズ等の外乱からの耐性を保持した抵抗測定が可能となるだけでなく、同じばらつきをすべての素子に等価に緩和でき、測定精度を向上できる。また、得られたリアクタンス成分の位相差を検出することで、広い測定レンジを確保できる。
【0061】
なお、本発明は、上述した実施の形態例に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、上述した可変抵抗R2と可変容量C1の調整に代えて、位相比較部47で検出した位相差Δθをもとに位相シフトを行い(移相処理)、移相された信号と、高周波信号発振器51からの信号(原信号)とを乗算器で乗算する構成を設けてもよい。
【0062】
このような乗算により、ブリッジ41へ印加される高周波信号の周波数が、位相シフト量に応じて変換されることになり、かかる高周波信号のもと、位相差−リアクタンス変換部48の出力であるリアクタンスの値Xがゼロになった時点で、周波数に依存しない抵抗成分についての測定が可能となる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、検査対象と検査装置を非接触状態に維持したまま、検査対象の導電パターンの抵抗を精度良く測定できる。
【0064】
また、本発明によれば、回路基板等の導電パターンの良否を簡易な構成で判定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態例に係る回路検査装置を用いて回路検査を行う際の様子を示す外観斜視図である。
【図2】回路検査時における検査装置と検査対象の相互の位置関係を示す断面図である。
【図3】実施の形態例に係る回路検査装置の具体的な回路構成を示す図である。
【図4】未知のインピーダンスZxをもつ検査対象の等価回路を示す図である。
【図5】実施の形態例に係る回路検査装置における検査手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ブリッジ回路
2 下部センサ
3 上部センサ
4 銅板
5,8 高誘電体薄膜
9 絶縁基板
11〜17 電極
20 リード線
21〜27 円状部
31,32 バンプ
35,36 スルーホール
40 電圧−電流変換部
41 インピーダンスブリッジ
42,53 差動アンプ
43,54 A/D変換部
47 位相比較器
48 位相差―リアクタンス変換部
50 検査対象
51 高周波信号発振器(OSC)
52 CR調整部
55 判定部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、回路基板の導電パターンの良否を識別する回路検査装置、回路検査方法、抵抗測定装置および抵抗測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年における装置の小型、軽量化に伴ない、その装置に内蔵される回路基板等に形成される導電パターンは、益々細線化、複雑化の傾向にある。同時に、回路基板等の製造の際、導電パターンに断線や短絡がないかを検査することが、装置の信頼性を維持する上で重要、かつ必須の事項である。
【0003】
従来より行われている導電パターンの検査手法として、検査しようとする導電パターンの両端にピンを接触させて、その一端側のピンから導電パターンへ電気信号を送り、他端側のピンより、その電気信号を受けることで、その導電パターンの導通テスト等を行う、接触式の検査方法(ピンコンタクト方式)が一般的である(例えば、特許文献1)。
【0004】
このピンコンタクト方式は、全端子に金属性のピンプローブを立てて、このプローブを経由して導電パターンへ電気信号を送り込んでいる。つまり、ピンコンタクト方式には、検査対象に直接、ピンプローブを接触させているため、検査信号について良好なS/N比(信号対雑音比)が得られるという利点がある。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−269075号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の検査方法は、基板上のパターンが互いに近接していたり、配線ピッチが細密化している場合には、その使用が困難であるという問題がある。すなわち、検査対象となる回路基板の導電パターンが密に配されている場合、ピンプローブを立てるための物理的な領域が確保できず、プローブ同士の接触等の問題が生じ、基板によっては検査できないか、あるいは部分的な検査しかできないことがある。
【0007】
また、検査対象の導電パターンに合わせて、高い精度でピンプローブの位置決めをした検査治具を作製する必要があり、検査のための費用が高額化するという問題もある。さらに、従来の方法は、検査治具を検査対象に直接、接触させる方式であることから、製品自体やそのパターンを傷つけるおそれがある。
【0008】
一方、検査対象における電圧、電流を直接、測定する方法では、低抵抗から高抵抗までをリニアに網羅できないため測定誤差が生じ、この方法で高精度の測定を行おうとすると、装置が高価になり、かつ、装置が大型化するという問題がある。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、検査対象と検査装置とを非接触状態に維持したまま、その検査対象を検査する回路検査装置、回路検査方法、抵抗測定装置および抵抗測定方法を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、回路基板等の導電パターンの良否を簡易な構成で判定可能な回路検査装置、回路検査方法、抵抗測定装置および抵抗測定方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として、本発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、回路基板を検査する回路検査装置であって、上記回路基板の検査対象の一方に高周波信号を供給する上記検査対象と所定距離離間して位置決めされた第1の電極と、上記回路基板の検査対象の他方に上記検査対象と所定距離離間して位置決めされた第2の電極と、上記第1の電極と第2の電極を介してインピーダンスブリッジの第1の枝に接続された上記検査対象に印加された第1の高周波信号を検出する手段と、上記第1の枝に隣接する第2の枝に配した回路素子に印加された第2の高周波信号を検出する手段と、上記検出された第1の高周波信号と第2の高周波信号の電圧および電流についてのレベル差と位相差をもとに上記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得る手段と、上記得られた抵抗成分とリアクタンス成分に基づいて上記検査対象の良否を識別する手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
例えば、上記レベル差と位相差がゼロになるまで上記回路素子の回路定数を調整して、上記インピーダンスブリッジを平衡状態にする手段を備え、上記調整された量をもとに上記検査対象の抵抗値を求めることを特徴とする。
【0013】
また、例えば、上記検査対象は、高誘電体薄膜によって上記所定距離離間されており、上記第1の高周波信号は、上記第1の電極と上記第2の電極と上記検査対象と上記高誘電体薄膜とで構成される信号経路を通過することを特徴とする。
【0014】
上述した課題を解決する他の手段として、本発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、回路基板を検査する回路検査方法であって、上記回路基板の検査対象の一方に高周波信号を供給する上記検査対象と所定距離離間して位置決めされた第1の電極と、上記回路基板の検査対象の他方に上記検査対象と所定距離離間して位置決めされた第2の電極を介してインピーダンスブリッジの第1の枝に上記検査対象を接続するステップと、上記検査対象に印加された第1の高周波信号を検出する第1の検出ステップと、上記第1の枝に隣接する第2の枝に配した回路素子に印加された第2の高周波信号を検出する第2の検出ステップと、上記検出された第1の高周波信号と第2の高周波信号の電圧および電流についてのレベル差と位相差をもとに上記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得るステップと、上記抵抗成分とリアクタンス成分の値に基づいて上記検査対象の良否を識別するステップとを備えることを特徴とする。
【0015】
例えば、さらに、上記レベル差と位相差がゼロになるまで上記回路素子の回路定数を調整して、上記インピーダンスブリッジを平衡状態にするステップと、上記調整された量をもとに上記検査対象の抵抗値を求めるステップとを備えることを特徴とする。
【0016】
例えば、上記検査対象は、高誘電体薄膜によって上記所定距離離間されており、第1の検出ステップは、上記第1の電極と上記第2の電極と上記検査対象と上記高誘電体薄膜とで構成される信号経路を通過した上記第1の高周波信号を検出することを特徴とする。
【0017】
また、上述した課題を解決する他の手段として、本発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、回路基板の導電パターンの抵抗を測定する抵抗測定装置であって、第1の枝に検査対象を接続し、上記第1の枝に隣接する第2の枝に抵抗成分とリアクタンス成分とからなる回路素子を配し、上記第1および第2の枝それぞれに対向する第3および第4の枝各々に純抵抗を配してなるインピーダンスブリッジと、上記インピーダンスブリッジへ高周波信号を供給する高周波信号源と、上記高周波信号のうち上記検査対象に印加された第1の高周波信号と、上記回路素子に印加された第2の高周波信号の電圧および電流についてのレベル差と位相差を検出する手段と、上記検出されたレベル差と位相差をもとに上記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得る手段とを備え、上記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分の値に基づいて上記導電パターンの良否を識別可能にすることを特徴とする。
【0018】
例えば、さらに、上記レベル差と位相差に基づいて上記回路素子の抵抗成分とリアクタンス成分を調整する手段を備え、この調整によって上記インピーダンスブリッジが平衡状態になったときの上記抵抗成分を上記導電パターンの抵抗値とすることを特徴とする。
【0019】
例えば、さらに、上記検査対象の導電パターンに応じて配置された複数の電極と、これらの電極を覆う高誘電体薄膜とを介して、上記高周波信号を上記導電パターンの一方へ供給する第1のセンサと、上記導電パターンの他端を、高誘電体薄膜を介して接地レベルに維持する第2のセンサとを備え、上記検査対象は、上記第1のセンサと第2のセンサの間に挟持されて上記第1の枝に接続され、上記第1の高周波信号は、上記検査対象と上記高誘電体薄膜とで構成される信号経路を通過する構成を有することを特徴とする。
【0020】
上述した課題を解決する他の手段として、本発明は、例えば、以下の構成を備える。すなわち、回路基板の導電パターンの抵抗を測定する抵抗測定方法であって、第1の枝に隣接する第2の枝に抵抗成分とリアクタンス成分とからなる回路素子が配され、上記第1および第2の枝それぞれに対向する第3および第4の枝各々に純抵抗が配されたインピーダンスブリッジの上記第1の枝に検査対象を接続するステップと、上記インピーダンスブリッジへ高周波信号を供給するステップと、上記高周波信号のうち上記検査対象に印加された第1の高周波信号と、上記回路素子に印加された第2の高周波信号の電圧および電流についてのレベル差と位相差を検出するステップと、上記検出されたレベル差と位相差をもとに上記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得るステップと、上記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分の値に基づいて上記導電パターンの良否を識別するステップとを備えることを特徴とする。
【0021】
例えば、さらに、上記レベル差と位相差に基づいて上記回路素子の抵抗成分とリアクタンス成分を調整するステップを備え、この調整によって上記インピーダンスブリッジが平衡状態になったときの上記抵抗成分を上記導電パターンの抵抗値とすることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施の形態例を詳細に説明する。本実施の形態例に係る回路検査装置は、インピーダンスブリッジ回路を用いて、検査対象である回路基板の回路(導電パターン)を、その検査対象と検査装置とを非接触にしたまま検査して、その結果をもとに導電パターンの良否を識別可能にする。図1は、本実施の形態例に係る回路検査装置を用いて回路検査を行う際の様子を示す外観斜視図であり、図2は、回路検査(抵抗測定)時における検査装置と検査対象の相互の位置関係を示す断面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態例に係る回路検査装置は、上部センサ3と下部センサ2、それらのセンサに電気的に接続されるブリッジ回路1とによって構成される。抵抗値の測定を開始する際には、検査対象50(例えば、導電パターンが配された回路基板)を、図中の矢印方向へ移動させて、下部センサ2上の所定位置に載置(より詳しくは、後述する電極に対して位置決めする)した後、検査対象50の上側に上部センサ3を重ね、密着させる。その結果、検査対象50は、その上下方向において、これらのセンサ2,3により挟まれ、センサ2,3と密着した状態となる。
【0024】
上部センサ3は、例えば、検査対象50に合わせた大きさの銅板4に高誘電体薄膜5を貼り合わせてなり、全体として直方体状の形状を有する、いわゆるGND(接地)ベタセンサである。この上部センサ3と対向する位置に配される下部センサ2は、絶縁基板9の上面に複数の電極11〜17(これらの電極は、例えば、銅からなる)を配した構成を有し、全体として直方体状の形状を有する。さらに、下部センサ2の上面には、電極11〜17各々の一部を残したまま、他の部分全体を覆うように高誘電体薄膜8(図1において、二点鎖線で示す)が被せられている。
【0025】
なお、上部センサ3と下部センサ2は、対向する面の大きさを同一サイズとしてもよいし、下部センサ2の面積を上部センサ3の面積よりも大きくしてもよい(例えば、図1、図2参照)。また、高誘電体薄膜5,8として、ここでは、例えば、誘電率の高いポリイミド(絶縁薄膜)を使用する。
【0026】
図1に示すように、下部センサ2上に配された各電極11〜17は、例えば、全体が“おたまじゃくし”、あるいは“スプーン”形状となっており、その一部の面積が広くなった円状部21〜27を有している。これらの円状部21〜27は、抵抗測定時に検査対象50を下部センサ2上に位置決めしたときに、回路基板に形成された突起電極(バンプ)が乗る部分であり、それらのバンプの位置に合わせて下部センサ2上に配されている。よって、電極11〜17の円状部21〜27は、下部センサ2上において、検査対象50のスルーホールの形成位置に応じて配置されたバンプと同位置にあることになる。
【0027】
また、電極11〜17のうち、高誘電体薄膜8で覆われていない部分は、測定端子として機能し、それらの部分にリード線20を介してブリッジ回路1が接続される。リード線20は、検査対象となる導電パターン(スルーホール)に対応する電極11〜17に適宜、切り替えて接続される。なお、リード線20として、必要に応じて同軸ケーブルやシールド線を使用し、外来ノイズ等の影響を回避する構成としてもよい。
【0028】
抵抗測定時において、図2に示すように、下部および上部の両センサ2,3に挟まれ、それらに密着した状態にある検査対象50に形成されたスルーホール35,36は、その一端が高誘電体薄膜5を介して銅板4との近接状態を維持し、他端は、スルーホール35,36に電気的に接続されたバンプ31,32と、高誘電体薄膜8とを介して、電極11〜17との近接状態を維持している。ここでの近接状態とは、印加される電気信号に対して、直流的には絶縁状態(非接触)であるが、交流的(特に高周波信号)には導通状態であることを意味している。
【0029】
ブリッジ回路1は、後述するように高周波信号の供給源を有し、その高周波信号が、上部センサ3の銅板4と下部センサ2上の電極11〜17との間に供給(印加)される。そのため、これらのセンサ2,3間に密着して配された検査対象50のスルーホール35,36にも、抵抗測定時に、この高周波信号が印加される。このとき、検査対象50は、ブリッジ回路1を構成するインピーダンスブリッジの一辺に接続されており、検査対象50そのものは、後述するように、等価的に回路基板のスルーホール35,36の抵抗成分、容量成分等からなる回路構成を有する。
【0030】
次に、本実施の形態例に係る回路検査装置における回路検査(抵抗値測定)の原理、および回路検査装置の構成について説明する。図3は、本実施の形態例に係る回路検査装置(上述したブリッジ回路1を含む)の具体的な回路構成を示す図である。図3に示すように、この回路検査装置は、高周波信号発振器(OSC)51からの高周波信号を受けて、ブリッジとしての平衡状態/不平衡状態をとるインピーダンスブリッジ41を有する。このインピーダンスブリッジ41の四辺(4つの枝)それぞれには、純抵抗R1,R3(ここでは、それらの抵抗値は等しい(R1=R3)とする)と、可変抵抗R2および可変容量C1が直列接続されてなる回路素子と、未知のインピーダンスZxを持つ検査対象とが配される構成をとる。
【0031】
この回路検査装置では、高周波信号発振器51からの高周波信号が、インピーダンスブリッジ41のA−D間に印加され、そのときのブリッジ41の平衡状態に応じて得られる、ブリッジの枝電流(分流した電流)と電圧についての位相差とレベル差に基づいて、検査対象の抵抗値を求める。このとき、上述したように、検査対象50と、測定信号の入力部である電極11〜17、およびグランド(GND)プレーンとしての上部センサ3は、高誘電体薄膜8,5を介することで、相互に直流的に非接触状態となり、高周波の信号に対しては電気的に導通状態となるように維持されている。
【0032】
高周波信号発振器51からブリッジ41へは、例えば、数10MHz〜数100MHzの高周波信号を供給しているため、このような高周波の信号を受ける対象のインピーダンス低下が生じることになる。つまり、高周波信号は、発振源より、検査対象に介在する高誘電体薄膜を通過して、その検査対象を構成するスルーホールを流れ、回路グランドに至る経路を辿る。よって、ブリッジ41が平衡状態になっていない場合には、ブリッジ41の点A−点C−Zx−点Dの経路と点A−点B−点Dの経路それぞれに、位相とレベルの異なる高周波電流i1,i2が流れる。なお、この高周波信号は、位相差を判定しやすい波形であれば、正弦波信号でも、矩形波信号でもよい。
【0033】
よって、ブリッジ41の不平衡時には、ブリッジ41の点C、点Bに位相とレベルの異なる高周波電流i1,i2が流れることによる、電流i1,i2のレベル差と、電圧v1,v2のレベル差が生じる。これらの信号レベルの差分のうち、電圧の差分は、点C、点Bに接続された差動アンプ42によって直接、増幅され、電圧のレベル差ΔVとして出力される。
【0034】
一方、電流についての差分は、点C、点Bに接続された電圧−電流変換部40において、電圧成分をもとに電流成分に変換された後、次段の差動アンプ53で増幅される。従って、ブリッジ41における電流の差分は、ブリッジ41の点C,Bでの電流のレベル差ΔIとして、差動アンプ53より出力される。
【0035】
なお、これらの差動アンプ42,53の入力インピーダンスは、極めて高い(通常、数メガ〜数100メガオーム)ため、その入力端に流れ込む電流は無視できる。また、差動アンプ42,53は、数メガHz以上の広帯域増幅特性を有し、差動入力には高い利得を持つとともに、同相成分を除去する機能を有する。
【0036】
アナログ信号である電流レベル差ΔI、および電圧レベル差ΔVのうち、電流レベル差ΔIは、A/D変換部54において、その値を示すデジタル信号に変換され、電圧レベル差ΔVは、A/D変換部43でレベル差に応じたデジタル信号に変換される。
【0037】
また、ブリッジ41が不平衡状態にあるときには、ブリッジの枝を流れる高周波電流i1,i2の位相も異なる(つまり、両電流に位相差が生じる)。ここでは、ブリッジ41の隣接する2つの枝(A−B,A−C)に配した抵抗R1,R3の抵抗値が等しくなるように調整されているため、枝電流に位相差が生じる不平衡状態とは、ブリッジ41のB−Dで示す枝に配された回路素子のインピーダンスZBD(ZBD=R2+1/jωC1)と、C−Dで示す枝に接続された未知のインピーダンスZxとが電気的に等価でないことを意味する。
【0038】
そこで、判定部55は、A/D変換後のデジタル値が所定の範囲内にあるか否かを判定する。すなわち、A/D変換部43,54からの出力は、それぞれブリッジの回路要素(インピーダンス)に応じて枝分かれした高周波信号についての電圧レベル差、および電流レベル差をデジタル値に変換した値であり、判定部55は、それらの値が、あらかじめ設定した閾値内にあるか否かを判定する。
【0039】
具体的には、判定部55は、ブリッジ41の枝電流に位相差がないときにおける、検査対象(回路基板のスルーホール)の有する抵抗成分の良否判定を行う。そのため、判定部55は、抵抗成分の値があらかじめ設定した閾値内にあれば、検査対象の抵抗成分の値(測定した回路基板のスルーホールの抵抗値)が正常である旨の判定結果Rを出力する。
【0040】
本実施の形態例に係る回路検査装置では、ブリッジ41の点Cと点Bに、上記の差動アンプ42,53に加えて、位相比較部47が接続されている。この位相比較部47は、不平衡状態にあるブリッジ41を流れる電流i1,i2の各位相θ0,θ1を比較して、その差分θ0−θ1をΔθとして出力する。
【0041】
また、位相差−リアクタンス変換部48は、位相比較部47が検出した位相差Δθをもとに、リアクタンスの値Xを出力する。つまり、位相比較部47で検出された位相差Δθをリアクタンス成分の差分として出力する。ここでは、この値Xを判定基準(0Ω)とすることにより、測定した抵抗値が正常(適正)な範囲内にあるか否かを判断できる。(例えば、その値が判定基準0(Ω)を大幅に外れているときは、抵抗値が適正な測定値ではないと分かる。)
【0042】
図4は、ブリッジ41の枝C−Dに接続された未知のインピーダンスZx(46)の等価回路である。本実施の形態例に係る回路検査装置が測定の対象とするのは、上述した検査対象50(回路基板)内に配された、例えば、銅からなるスルーホール35,36である。このスルーホールを電気的な等価回路で表すと、図4に示すように、例えば、経路の長さ分に相当する抵抗成分Rと、それと直列に接続される寄生誘導(インダクタンス)成分Lと、寄生容量成分Cとからなる回路構成61を有すると考えることができる。
【0043】
また、本実施の形態例に係る回路検査装置では、上述したように高周波信号を測定信号として使用することで、検査対象50が、高誘電体薄膜8,5を介して上部センサ3と下部センサ2とに電気的に接続されている(高周波信号のもとで導通状態にある)。そのため、これらのセンサ2,3と検査対象50との間には、高誘電体薄膜8,5による容量成分が直列接続されて存在することになる。この容量成分が、図4に示す2つのコンデンサCgである。
【0044】
ブリッジ41の枝C−Dに端子a,bを設け、これらの端子a,bに接続されたZx(測定しようとする未知インピーダンス)は、ブリッジ41に印加された高周波信号が通過する測定パスのインピーダンスである。従って、Zxの等価回路は、図4に示すように、上記の回路構成61の両端に高誘電体薄膜8,5による容量成分Cgが直列に接続された構成となる。
【0045】
このように、本実施の形態例に係る回路検査装置において、ブリッジにおける電流および電圧測定の結果として得られたリアクタンスの差分(位相差)を容量変換した値、および、信号レベルの差分を抵抗値に変換した値は、回路基板のスルーホール等で構成される測定パスのインピーダンス成分(スルーホールの抵抗成分とリアクタンス成分等からなる)に相当することになる。
【0046】
このとき、測定パス中の高誘電体薄膜8,5による容量成分は既知であるため、その容量成分についてのリアクタンス補正を行うことで、スルーホールの寄生誘導成分Lと寄生容量成分Cによるリアクタンス成分を正確に検出できる。
【0047】
一方、ブリッジ41が平衡状態にあれば、検査対象50の未知インピーダンスをZx=R+jXとすると、
R3・(R2+1/jωC1)=R1・(R+jX) …(1)
より、その平衡条件は、
R2・R3=R・R1、かつ、X・R1=−R3/ωC1 …(2)
である。
【0048】
また、ここでは、R1=R3であるから、ZBD=Zxの関係が成立しており、
R=R2,X=−1/ωC1 …(3)
となる。結局、ブリッジ41の枝B−Dに配された回路素子の抵抗成分とリアクタンス成分がそのまま、測定の対象としているスルーホールの抵抗成分とリアクタンス成分になる。
【0049】
よって、平衡状態にあるブリッジ41の点C,Bには、位相と信号レベルが一致した電流が流れる。そのため、点C,B間において電圧レベル差は生じず、電流のレベル差も発生しないので、差動アンプ42,53の各出力である電圧、電流レベル差ΔV,ΔIは、ともにゼロになる。このとき、位相比較部47は、同相信号に対して位相差を検出しないため、位相比較部47の出力(位相の差分Δθ)もゼロとなる。
【0050】
さらに、本実施の形態例に係る回路検査装置では、差動アンプ42の出力である電圧レベル差ΔVと、位相比較部47で検出した位相差ΔθをCR調整部52へ帰還し、そのフィードバック量に基づいて、インピーダンスブリッジ41の枝B−Dにある可変抵抗R2と可変容量C1を調整している。この調整は、電圧レベル差と位相差がともにゼロになるまで(位相差−リアクタンス変換部48からの出力である、リアクタンスの値Xがゼロになるまで)、繰り返される。つまり、回路素子R2とC1が構成するインピーダンスZBDと、測定しようとするインピーダンスZxとが等しくなり、電圧v1,v2の位相とレベルが合うまで(位相差とレベル差がなくなるまで)、その調整を繰り返す。
【0051】
次に、上述した構成を備える回路検査装置における回路の検査方法について説明する。図5は、本実施の形態例に係る回路検査装置における検査(抵抗測定)手順を示すフローチャートである。最初に、図5のステップS1において、検査対象(測定対象)である回路基板を検査装置の所定位置に載置する。ここでの所定位置とは、図1等に示す下部センサ2上に配された電極11〜17の円状部21〜27の位置を意味しており、それらの位置に、検査対象である回路基板のスルーホールに直結されたバンプを位置合わせする。
【0052】
なお、検査対象の載置は、不図示の搬送ロボットにより行っても、あるいは、測定者(操作者)自身が直接、載置作業を行ってもよい。
【0053】
ステップS2では、検査対象を含むインピーダンスブリッジへ高周波信号(測定信号)を供給する。このとき、ブリッジの平衡状態に応じて、印加された高周波信号による電流の一部は検査対象へ分流し、残りの電流は、上述した可変抵抗R2と可変容量C1とが直列接続してなる回路素子へ分流する。
【0054】
ステップS3において、検査対象を流れる高周波信号と、あらかじめ設定されている回路素子へ流れる高周波信号の電圧、電流のレベル差と位相差を検出する。そして、ステップS5では、上記のステップS3で検出されたレベル差と位相差をもとに、検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得て、それらの値が、あらかじめ設定した閾値内にあるか否かを判定する。
【0055】
ステップS5での判定結果がNOであれば、検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分が、あらかじめ設定した閾値内になく、それを外れた値を示していることから、ステップS7において、検査対象の導電パターンが、例えば、それと隣接するパターンと短絡しているか、あるいは途中で断線していると判断して、その導電パターンの状態を不良と判定する。しかし、検査対象からの検出値が、あらかじめ設定した閾値内にあれば、ステップS8で、導電パターンは正常と判定する。そして、処理をステップS10へ進める。
【0056】
ステップS10では、すべての導電パターンの測定が終了したか否かを判断し、測定が未終了であれば、ステップS11において、検査対象導電パターンを変更する。具体的には、図1に示す測定信号を入力する電極11〜17の入れ替え(リード線の接続変更を含む)を行い、次の検査対象の導電パターンに対して高周波信号が供給されるようにしてから、再度、ステップS3以降の処理を繰り返す。
【0057】
一方、すべての導電パターンの測定が終了した場合には、ステップS15において、高周波信号の供給を停止し、検査対象を検査装置より外して、本測定処理を終える。本実施の形態例では、位相差−リアクタンス変換部48が、位相比較部47で検出した位相差Δθに基づいて出力するリアクタンスの値Xがゼロであれば、高周波信号発振器51は、このXを発振停止信号として受信し、測定終了であるとして高周波信号の発振を停止する。
【0058】
以上説明したように、インピーダンスブリッジ回路のブリッジの一辺に検査対象を接続し、そのブリッジの平衡状態に基づいて検査(抵抗値測定)を行う際に、測定信号として高周波信号を使用することで、その検査対象とブリッジ回路とを、高誘電体薄膜を介して電気的に接続した測定信号の信号経路を構成でき、検査対象である回路基板上の導電パターンの抵抗値を、検査装置と非接触状態を維持して測定できる。
【0059】
また、検査の際、検査対象と検査装置を非接触の状態に維持できることから、導電パターンが混み合った、複雑な回路パターン構成の回路基板の抵抗測定にも適用できる。
【0060】
さらに、インピーダンスブリッジ回路の構成素子として周波数に依存しない抵抗を使用し、ブリッジを流れる電流の位相とレベルが合うように平衡状態を維持しながら、そのブリッジの構成素子の容量値、および抵抗値を調整することで、外来ノイズ等の外乱からの耐性を保持した抵抗測定が可能となるだけでなく、同じばらつきをすべての素子に等価に緩和でき、測定精度を向上できる。また、得られたリアクタンス成分の位相差を検出することで、広い測定レンジを確保できる。
【0061】
なお、本発明は、上述した実施の形態例に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、上述した可変抵抗R2と可変容量C1の調整に代えて、位相比較部47で検出した位相差Δθをもとに位相シフトを行い(移相処理)、移相された信号と、高周波信号発振器51からの信号(原信号)とを乗算器で乗算する構成を設けてもよい。
【0062】
このような乗算により、ブリッジ41へ印加される高周波信号の周波数が、位相シフト量に応じて変換されることになり、かかる高周波信号のもと、位相差−リアクタンス変換部48の出力であるリアクタンスの値Xがゼロになった時点で、周波数に依存しない抵抗成分についての測定が可能となる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、検査対象と検査装置を非接触状態に維持したまま、検査対象の導電パターンの抵抗を精度良く測定できる。
【0064】
また、本発明によれば、回路基板等の導電パターンの良否を簡易な構成で判定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態例に係る回路検査装置を用いて回路検査を行う際の様子を示す外観斜視図である。
【図2】回路検査時における検査装置と検査対象の相互の位置関係を示す断面図である。
【図3】実施の形態例に係る回路検査装置の具体的な回路構成を示す図である。
【図4】未知のインピーダンスZxをもつ検査対象の等価回路を示す図である。
【図5】実施の形態例に係る回路検査装置における検査手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ブリッジ回路
2 下部センサ
3 上部センサ
4 銅板
5,8 高誘電体薄膜
9 絶縁基板
11〜17 電極
20 リード線
21〜27 円状部
31,32 バンプ
35,36 スルーホール
40 電圧−電流変換部
41 インピーダンスブリッジ
42,53 差動アンプ
43,54 A/D変換部
47 位相比較器
48 位相差―リアクタンス変換部
50 検査対象
51 高周波信号発振器(OSC)
52 CR調整部
55 判定部
Claims (11)
- 回路基板を検査する回路検査装置であって、
前記回路基板の検査対象の一方に高周波信号を供給する前記検査対象と所定距離離間して位置決めされた第1の電極と、
前記回路基板の検査対象の他方に前記検査対象と所定距離離間して位置決めされた第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極を介してインピーダンスブリッジの第1の枝に接続された前記検査対象に印加された第1の高周波信号を検出する手段と、
前記第1の枝に隣接する第2の枝に配した回路素子に印加された第2の高周波信号を検出する手段と、
前記検出された第1の高周波信号と第2の高周波信号の電圧および電流についてのレベル差と位相差をもとに前記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得る手段と、
前記得られた抵抗成分とリアクタンス成分に基づいて前記検査対象の良否を識別する手段とを備えることを特徴とする回路検査装置。 - さらに、前記レベル差と位相差がゼロになるまで前記回路素子の回路定数を調整して前記インピーダンスブリッジを平衡状態にする手段を備え、前記調整された量をもとに前記検査対象の抵抗値を求めることを特徴とする請求項1記載の回路検査装置。
- 前記検査対象は、高誘電体薄膜によって前記所定距離離間されており、前記第1の高周波信号は、前記第1の電極と前記第2の電極と前記検査対象と前記高誘電体薄膜とで構成される信号経路を通過することを特徴とする請求項2記載の回路検査装置。
- 回路基板を検査する回路検査方法であって、
前記回路基板の検査対象の一方に高周波信号を供給する前記検査対象と所定距離離間して位置決めされた第1の電極と、前記回路基板の検査対象の他方に前記検査対象と所定距離離間して位置決めされた第2の電極を介してインピーダンスブリッジの第1の枝に前記検査対象を接続するステップと、
前記検査対象に印加された第1の高周波信号を検出する第1の検出ステップと、
前記第1の枝に隣接する第2の枝に配した回路素子に印加された第2の高周波信号を検出する第2の検出ステップと、
前記検出された第1の高周波信号と第2の高周波信号の電圧および電流についてのレベル差と位相差をもとに前記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得るステップと、
前記抵抗成分とリアクタンス成分の値に基づいて前記検査対象の良否を識別するステップとを備えることを特徴とする回路検査方法。 - さらに、前記レベル差と位相差がゼロになるまで前記回路素子の回路定数を調整して前記インピーダンスブリッジを平衡状態にするステップと、
前記調整された量をもとに前記検査対象の抵抗値を求めるステップとを備えることを特徴とする請求項4記載の回路検査方法。 - 前記検査対象は、高誘電体薄膜によって前記所定距離離間されており、前記第1の検出ステップは、前記第1の電極と前記第2の電極と前記検査対象と前記高誘電体薄膜とで構成される信号経路を通過した前記第1の高周波信号を検出することを特徴とする請求項5記載の回路検査方法。
- 回路基板の導電パターンの抵抗を測定する抵抗測定装置であって、
第1の枝に検査対象を接続し、前記第1の枝に隣接する第2の枝に抵抗成分とリアクタンス成分とからなる回路素子を配し、前記第1および第2の枝それぞれに対向する第3および第4の枝各々に純抵抗を配してなるインピーダンスブリッジと、
前記インピーダンスブリッジへ高周波信号を供給する高周波信号源と、
前記高周波信号のうち前記検査対象に印加された第1の高周波信号と、前記回路素子に印加された第2の高周波信号の電圧および電流についてのレベル差と位相差を検出する手段と、
前記検出されたレベル差と位相差をもとに前記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得る手段とを備え、
前記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分の値に基づいて前記導電パターンの良否を識別可能にすることを特徴とする抵抗測定装置。 - さらに、前記レベル差と位相差に基づいて前記回路素子の抵抗成分とリアクタンス成分を調整する手段を備え、前記調整によって前記インピーダンスブリッジが平衡状態になったときの前記抵抗成分を前記導電パターンの抵抗値とすることを特徴とする請求項7記載の抵抗測定装置。
- 前記検査対象の導電パターンに応じて配置された複数の電極と、これらの電極を覆う高誘電体薄膜とを介して、前記高周波信号を前記導電パターンの一方へ供給する第1のセンサと、
前記導電パターンの他端を、高誘電体薄膜を介して接地レベルに維持する第2のセンサとを備え、
前記検査対象は、前記第1のセンサと第2のセンサの間に挟持されて前記第1の枝に接続され、前記第1の高周波信号は、前記検査対象と前記高誘電体薄膜とで構成される信号経路を通過する構成を有することを特徴とする請求項8記載の抵抗測定装置。 - 回路基板の導電パターンの抵抗を測定する抵抗測定方法であって、
第1の枝に隣接する第2の枝に抵抗成分とリアクタンス成分とからなる回路素子が配され、前記第1および第2の枝それぞれに対向する第3および第4の枝各々に純抵抗が配されたインピーダンスブリッジの前記第1の枝に検査対象を接続するステップと、
前記インピーダンスブリッジへ高周波信号を供給するステップと、
前記高周波信号のうち前記検査対象に印加された第1の高周波信号と、前記回路素子に印加された第2の高周波信号の電圧および電流についてのレベル差と位相差を検出するステップと、
前記検出されたレベル差と位相差をもとに前記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分を得るステップと、
前記検査対象の抵抗成分とリアクタンス成分の値に基づいて前記導電パターンの良否を識別するステップとを備えることを特徴とする抵抗測定方法。 - さらに、前記レベル差と位相差に基づいて前記回路素子の抵抗成分とリアクタンス成分を調整するステップを備え、前記調整によって前記インピーダンスブリッジが平衡状態になったときの前記抵抗成分を前記導電パターンの抵抗値とすることを特徴とする請求項10記載の抵抗測定方法。
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