JP2004264052A - ターゲット認識素子及びターゲット認識素子を利用したバイオセンサ - Google Patents

ターゲット認識素子及びターゲット認識素子を利用したバイオセンサ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、受容体がメディエータを含む包接錯体に固定化されたターゲット認識素子を提供することを目的とする。
【解決手段】親水基19aおよび包接部位21aを有する第1ホスト分子13aと、親水基19bおよび包接部位21bを有する第2ホスト分子13bと、前記第2ホスト分子13bの親水基19bに結合され、ターゲット23と反応する受容体15と、前記第1ホスト分子13aの包接部位21aと前記第2ホスト分子13bの包接部位21bとにより包接され、前記ターゲット23と前記受容体15との反応により発生した電荷を伝達するゲスト分子13cとを含むターゲット認識素子を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定対象の物質と特異的に結合するターゲット認識素子及びそのターゲット認識素子を利用したバイオセンサ関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バイオセンサは、酵素センサ、免疫センサ、微生物センサなどのセンサがあり、医療、食品、工業の分野など多くの分野において、物質の特定や対象物質(以下、ターゲットという)の各種測定のために重要視されている。
例えば、血液中のグルコース濃度から血糖値を測定するグルコースセンサがある。グルコースセンサは、電極と電極を覆うように設けられた酵素膜とを有している。酵素膜には、グルコースと特異的に反応する受容体としてグルコースオキシダーゼ(GOD)が固定化されている。
【0003】
グルコースセンサでは、反応式(1)のようにグルコースがGODにより酸化され、グルコン酸とHに分解される。
【0004】
【化1】
Figure 2004264052
次に、反応式(1)において発生したHは、電極と酵素膜との間の溶液中を電極面まで拡散し、電極において反応式(2)のように電気分解し電子が電極に移動する。
【0005】
【化2】
Figure 2004264052
酵素膜へのグルコースの拡散及びHの溶液中での拡散とグルコース濃度とは比例関係にあり、反応式(2)の電極反応による電流値を測定することでグルコースの濃度を得ることができる。しかし、このようなグルコースセンサは、酵素膜から電極への電子の移動がHの電極への拡散速度や拡散濃度などに依存するため、高速かつ大電流での測定が困難である。
【0006】
そこで、受容体と電極との間の電荷の移動をメディエータを介して行うバイオセンサの開発が行われている。図7はメディエータ型バイオセンサの動作原理を示したものであり、メディエータM、酵素E及び酵素Eと反応する基質Sの間で次のような反応が行われている。
酸化された酵素Eoxと基質Sとの酸化還元反応により電子の授受が行われ、還元された酵素Eredと生成物Pが生成される。次に、還元された酵素Eredと酸化されたメディエータMoxとの酸化還元反応により、酸化された酵素Eoxと還元されたメディエータMredが生成される。最後に、還元されたメディエータMredと電極との酸化還元反応により、酸化されたメディエータMox生成され、電極に電子が移動する。つまりこの酵素反応で発生した電子は、メディエータを介して酵素から電極まで高速かつ大量に移動する。このとき、酵素E及びメディエータMでは、酸化・還元が繰り返し行われる。上記の酵素反応では、基質Sが酸化されて電子が電極に移動する場合であったが、基質Sが還元され電子を消費する場合には、逆のサイクルにより電子は電極から酵素へ移動する。
【0007】
図8は、非特許文献1に記載のC60フラーレンを用いたメディエータ型バイオセンサの電極部の構成を示す。メディエータであるC60フラーレン2は、−sS−(CH−NHからなる自己組織化単分子膜3を介して電極1に固定化されている。このとき、C60フラーレン2と自己組織化単分子膜3とを結合するために、C60フラーレン2の表面は、=CH−COOHで修飾されている。また、酵素4とC60フラーレン2とは結合されておらず、酵素4は液体中に浮遊している。
【0008】
非特許文献1に示すバイオセンサでは、基質5であるグルコースと酵素4であるGODとの酸化還元反応により電子が発生し、この電子がC60フラーレン2を介して電極1に伝達され、グルコース濃度が測定される。
【0009】
【非特許文献1】
Journal of Electroanalytical Chemistry 454,9−13,1998
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
非特許文献1に記載のメディエータ型バイオセンサは、電子吸引性及び電子供与性の点で優れた特性を有するC60フラーレン2を用いている。しかし、酵素4は液体中に浮遊しており、C60フラーレン2と結合されていない。そのため、酵素4と基質5との間の酸化還元反応により電子の授受が行われた場合でも、酵素4とC60フラーレン2とが結合されなければ、C60フラーレン2が酵素4から電極1に高速かつ大量に電子を移動することができない。
【0011】
さらに、C60フラーレンを電極1上に固定するために、C60フラーレン2の表面に修飾基が必要である。そのため、電気伝導に寄与するπ結合の電子分布が不均一となり、C60フラーレン2が有する、電子吸引性、電子供与性などの特性を損なうという問題がある。
そこで、本発明は、受容体がメディエータを含む包接錯体に固定化されたターゲット認識素子を提供することを目的とする。
また、メディエータの表面に修飾基を用いることなく、電極に対するメディエータの位置を安定化することのできるバイオセンサを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願第1発明は、親水基および包接部位を有する第1ホスト分子と、親水基および包接部位を有する第2ホスト分子と、前記第2ホスト分子の親水基に結合され、ターゲットと反応する受容体と、前記第1ホスト分子の包接部位と前記第2ホスト分子の包接部位とにより包接され、前記ターゲットと前記受容体との反応により発生した電荷を伝達するゲスト分子とを含むターゲット認識素子を提供する。
【0013】
第2ホスト分子と受容体とが結合され受容体が固定化されているので、受容体とターゲットとの反応を、常に第1ホスト分子と第2ホスト分子とにより包接されたゲスト分子の近くで行わせることができる。よって、この反応により生じる電荷を、ゲスト分子によって高速かつ大量に移動させることができる。また、第1及び第2ホスト分子は親水基を有しているので、ゲスト分子が不溶性であっても、ターゲット認識素子を溶液中で取り扱うことができ、例えば基板上にターゲット認識素子を容易に配列することができる。
【0014】
本願第2発明は、前記第1発明において、前記第1ホスト分子は第1カリックスアレーンであり、前記第2ホスト分子は第2カリックスアレーンであり、前記ゲスト分子はフラーレンであるターゲット認識素子を提供する。
第1及び第2カリックスアレーンの包接部位が疎水性相互作用およびπ−π相互作用によりフラーレンを包接することで、メディエータである水不溶性のフラーレンを特別の修飾基を用いずに水溶性に変えることができる。よって、電気伝導に関与するπ電子の分布が均一に保たれるため、電子親和力が大きくイオン化エネルギーが小さいというフラーレンの有する特性が損なわれない。そのため、フラーレンによって高速かつ大量に電荷を移動させることができる。
【0015】
本願第3発明は、前記第1発明において、前記受容体は、酵素、抗体、DNA(deoxyribonucleic acid)及びペプチドからなるグループから選ばれる1または複数の組み合わせであるターゲット認識素子を提供する。
酵素、抗体、DNAまたはペプチドにより、生体物質を特異的に捕捉することができる。
本願第4発明は、前記第1または第2発明において、前記第2ホスト分子と前記受容体との間に、少なくとも1層の高分子膜をさらに含むターゲット認識素子を提供する。
【0016】
高分子膜が第2ホスト分子と受容体との接着界面に平坦性を与え受容体の立体構造を壊すことがないので、受容体の失活を防ぐことができる。また、接着面積を増加させることができるので、第2ホスト分子と受容体とをより強く接着することができる。
本願第5発明は、前記第4発明において、前記高分子膜はポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム層とポリビニル硫酸カリウム層とを含むターゲット認識素子を提供する。
【0017】
本願第6発明は、前記第1発明において、前記受容体を覆うポリイオンコンプレックス膜をさらに含むターゲット認識素子を提供する。
ポリイオンコンプレックス膜により受容体と第2ホスト分子との結合を強化することができるので、ターゲット認識素子の耐久性を高めることができる。
本願第7発明は、前記第1発明において、前記受容体は、pH4〜8かつ温度が15〜45℃の条件下で前記第2ホスト分子の親水基に結合されているターゲット認識素子を提供する。
【0018】
前記条件下で受容体と第2ホスト分子を結合させることで、受容体の失活を防ぐことができる。
本願第8発明は、親水基および包接部位を有する第1ホスト分子と、親水基および包接部位を有する第2ホスト分子と、前記第1ホスト分子の親水基が結合された電極と、前記第2ホスト分子の親水基に結合され、ターゲットと反応する受容体と、前記第1ホスト分子の包接部位と前記第2ホスト分子の包接部位とにより包接され、前記ターゲットと前記受容体との反応により発生した電荷を、前記電極に伝達するゲスト分子とを含むバイオセンサを提供する。
【0019】
受容体が第2ホスト分子に固定化されているので、常にゲスト分子の近くで受容体とターゲットとの反応を行わせることができる。よって、この反応により生じる電荷を、ゲスト分子によって受容体から電極へ高速かつ大量に移動させることができる。さらに、ゲスト分子を第1及び第2ホスト分子により包接して電極に安定に固定するので、電極に固定するための修飾基がゲスト分子に必要でない。よって、ゲスト分子が有する、電荷を高速かつ大量に移動させる性質が損なわれない。また、第1及び第2ホスト分子は親水基を有しているので、ゲスト分子が不溶性であっても、バイオセンサを溶液中で容易に取り扱うことができる。
【0020】
本願第9発明は、前記第8発明において、前記電極に接続された検出手段をさらに含むバイオセンサを提供する。
電極に移動した電荷を検出手段により測定することができる。
本願第10発明は、前記第8発明において、前記第1ホスト分子は第1カリックスアレーンであり、前記第2ホスト分子は第2カリックスアレーンであり、前記ゲスト分子はフラーレンであるバイオセンサを提供する。前記第2発明と同様の効果を有する。
【0021】
本願第11発明は、前記第8発明において、前記受容体は、酵素、抗体、DNA及びペプチドからなるグループから選ばれる1または複数の組み合わせであるバイオセンサを提供する。前記第3発明と同様の効果を有する。
本願第12発明は、前記第8から第10発明のいずれかにおいて、前記第2ホスト分子と前記受容体との間に、少なくとも1層の高分子膜をさらに含むバイオセンサを提供する。前記第4発明と同様の効果を有する。
本願第13発明は、前記第12発明において、前記高分子膜はポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム層とポリビニル硫酸カリウム層とを含むバイオセンサを提供する。前記第5発明と同様の効果を有する。
【0022】
本願第14発明は、前記第8発明において、前記受容体を覆うポリイオンコンプレックス膜をさらに含むバイオセンサを提供する。前記第6発明と同様の効果を有する。
本願第15発明は、前記第8発明において、前記受容体は、pH4〜8かつ温度が15〜45℃において前記第2ホスト分子の親水基に結合されているバイオセンサを提供する。前記第7発明と同様の効果を有する。
本願第16発明は、請求項9に記載のバイオセンサを用い、前記ターゲットと前記受容体との反応により生じる電荷を検出する検出方法を提供する。
【0023】
第9発明のバイオセンサを用いて効率よく電荷を検出することができる。
本願第17発明は、前記第16発明において、前記ゲスト分子がフラーレンであって、前記フラーレンを光励起する励起ステップをさらに含む検出方法を提供する。
フラーレンに光を照射することによりフラーレンが光励起されるので、電子親和力が大きくイオン化エネルギーが小さいというフラーレンの性質を高めることができる。よって、バイオセンサとしての反応速度を速くし、反応感度を高めることができる。
【0024】
本願第18発明は、請求項8に記載のバイオセンサの製造方法であって、前記第1ホスト分子及び前記第2ホスト分子を含む溶液と前記ゲスト分子を含む溶液とを混合及び攪拌し、前記第1ホスト分子、前記第2ホスト分子及び前記ゲスト分子を含む包接錯体を生成する包接錯体生成ステップと、電極の表面にアニオン性またはカチオン性の分子を結合させる電極形成ステップと、前記電極形成ステップで形成された電極と、前記包接錯体内の前記第1ホスト分子の親水基とを結合させる包接錯体結合ステップと、前記包接錯体内の前記第2ホスト分子の親水基と前記受容体とを結合させる受容体結合ステップとを含み、前記包接錯体生成ステップで生成される包接錯体では、前記第1ホスト分子の包接部位と前記第2ホスト分子の包接部位とにより前記ゲスト分子が包接されている、バイオセンサの製造方法を提供する。
【0025】
前記第8発明と同様の効果を有するバイオセンサを製造することができる。
本願第19発明は、前記第18発明において、前記受容体結合ステップにおいて、pH4〜8かつ温度が15〜45℃の条件下で、前記第2ホスト分子の親水基と前記受容体とを結合するバイオセンサの製造方法を提供する。前記第7発明と同様の効果を有する。
【0026】
【発明の実施の形態】
<基本構成>
図1(a)は本発明に係るメディエータ型バイオセンサの電極部の基本構成を示す。メディエータ型バイオセンサは、電極11及び電極11に固定されたターゲット認識素子10を有している。ターゲット認識素子10は、包接錯体13と、包接錯体13に固定された受容体15とを有している。包接錯体13は、第1ホスト分子13a、第2ホスト分子13b及びゲスト分子13cを有している。第1ホスト分子13aは親水基19aと包接部位21aを有しており、同様に第2ホスト分子13bも親水基19bと包接部位21bを有している。包接錯体13は、第1ホスト分子13aの包接部位21aと第2ホスト分子13bの包接部位21bとによりゲスト分子13cを包接するように構成されており、全体として親水基19a及び19bとに取り囲まれている。ここで、包接されたゲスト分子13cは、受容体15から電極へ電荷を伝達するメディエータとして働く。例えば、ゲスト分子13cとしてはフラーレン、第1及び第2ホスト分子13a、13bとしてはカリックスアレーンが挙げられる。また、第1及び第2ホスト分子13a、13bは、異なる物質であっても良い。なお、同一の物質であると、包接錯体13の作成が容易であり好ましい。例えば、第1及び第2ホスト分子13a、13bの材料としてA、Bの2種類の物質を用いて包接錯体13を作成する場合、調製中に3種類の複合体(AA、AB、BB)が生成される。そのため、これらの複合体を分離する必要があり包接錯体13の作成が困難となる。一方、同一物質を用いる場合は分離する必要はないため、作成が容易である。さらに、同一物質であると、電極11側の第1ホスト分子13aの物質と電極11の反対側の第2ホスト分子13bの物質とを区別する必要がなく、包接錯体13の固定化の制御が容易である。
【0027】
電極11は、第1ホスト分子13aの親水基19aと静電相互作用によりイオン結合している。電極11と包接錯体13との結合は、イオン結合に限定されず、共有結合、配位結合など種々の結合が考えられる。電極11としては、不活性な電極であれば良く、Au、Ag、Pt、ITO、カーボンなどの電極が使用される。カーボンを使用すると、安価、加工が容易、比較的安定な電極を得ることができるので好ましい。
受容体15は、第2ホスト分子13bの親水基19bにより包接錯体13に固定されている。受容体15と親水基19bとの結合は、イオン結合、共有結合などにより結合されている。受容体15は酵素、抗体、DNA、細胞またはペプチドのいずれか、あるいはそれらの組み合わせであると、生体物質を特異的に捕捉することができるので好ましい。
【0028】
図1(b)は、図1(a)のバイオセンサの動作を説明する模式図である。ターゲット23は、受容体15により捕捉される物質である。このバイオセンサは、次のように動作する。ターゲット23は受容体15により捕捉され、ターゲット23と受容体15との間で酸化還元反応が生じる。この酸化還元反応により電子eが発生し、この発生した電子eは例えば、第1及び第2ホスト分子13a、13bにより包接されたゲスト分子により電極11に伝達される。電極11での電荷の変化を測定することによりターゲット23の存在、含有量等を測定することができる。図1(b)では、マイナスの電荷が移動する場合を説明しているが、プラスの電荷が移動しても良い。
【0029】
このようなバイオセンサは、第2ホスト分子13bと受容体15とが結合することにより、受容体15が包接錯体13に固定されている。よって、受容体15とターゲット23との反応を、常に第1ホスト分子13aと第2ホスト分子13bとにより包接されたゲスト分子13cの近傍において行わせることができる。よって、この反応により生じる電荷を、ゲスト分子13cによって受容体15から電極11へ高速かつ大量に移動させることができる。また、第1及び第2ホスト分子13a、13bは親水基19a、19bを有しているので、ゲスト分子13cが不溶性であっても、溶液中のターゲット23を測定するなど溶液中でゲスト分子13cを取り扱うことができる。また、例えば基板上にターゲット認識素子10を容易に配列することができる。
<第1実施形態例>
図2は、第1実施形態例に係るバイオセンサの構成を示している。前記図1及び図2を参照して第1実施形態例のバイオセンサを説明する。
[バイオセンサの構成]
第1実施形態例に係るバイオセンサでは、包接錯体13に受容体15が固定化されたターゲット認識素子10が電極11に固定されている。ここで、ゲスト分子13cがC60フラーレンであり、第1及び第2ホスト分子13a、13bがカリックス[3]アレーンを含んでいる。カリックス[3]アレーンは、3つのフェノール誘導体をメタ位で環状に接続した構造であり、フェノール部分の酸素原子側が親水基で構成され、フェノール部分と反対のベンゼン環側の包接部位でC60フラーレンを包接する。ここで、包接部位は疎水基で構成されている。図2に示すカリックス[3]アレーンの親水基は、カチオン性の4級アミンにより修飾されプラスに帯電している。また、電極11には金が使用され、アニオン性のカルボン酸により修飾されマイナスに帯電している。よって、電極11とカリックス[3]アレーンの親水基とが静電相互作用により結合している。受容体15には、例えば血液中のピルビン酸をターゲットとして反応する酵素である乳酸デヒドロゲナーゼが使用されている。酸性の等電点を有する乳酸デヒドロゲナーゼは中性の水溶液中ではマイナスに帯電しており、カリックス[3]アレーンの親水基と静電相互作用により結合している。
【0030】
上記では、カリックス[3]アレーンの親水基がプラスに、酵素の表面及び電極11の表面がマイナスに帯電しているが、カリックス[3]アレーンの親水基をマイナスに帯電させ、酵素の表面及び電極11の表面をプラスに帯電させても構わない。また、受容体15と包接錯体13との結合及び包接錯体13と電極11との結合は静電相互作用ではなく、共有結合などその他の結合であっても良い。
メディエータであるゲスト分子13cは、C60フラーレン以外の例えば、C70、C76、C78、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96などの高次フラーレンでもよい。また、La原子などを内包したフラーレンであると、電子が内包原子からフラーレンに供給されフラーレンが電子過剰の状態になるので、フラーレンの電気伝導度が向上するばかりではなく、初期応答速度が速くなり好ましい。
【0031】
また、図2においては、第1及び第2ホスト分子13a、13bは、同一のカリックス[3]アレーンであるが、第1ホスト分子13aはカリックス[4]アレーンで、第2ホスト分子13bはカリックス[3]アレーンのように異なるカリックスアレーンを使用しても良い。なお、同一のカリックスアレーンを使用すると、前述のように包接錯体13を調製し易いので好ましい。
上記では、ピルビン酸を検出するために、受容体15として酵素である乳酸デヒドロゲナーゼを使用したが、検出するターゲットに応じて他の酵素を使い分けることができる。他の酵素として、例えばオキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ)、デヒドロゲナーゼ(例えばアルコールデヒドロゲナーゼ)、レダクターゼ(例えばアドレノイドキシン)、オキシゲナーゼ、ヒドロペルオキシダーゼ(例えばカタラーゼ)、ウレアーゼ、クレアチニンデアミナーゼなどを使用しても良い。酵素としてウレアーゼを使用した場合には血中尿素窒素BUN(Blood Urea Nitrogen)を、クレアチニンデアミナーゼを使用した場合にはクレアチニンを測定することができ、腎疾患の判定などをすることができる。
【0032】
前述のバイオセンサでは、第1及び第2ホスト分子13a、13bであるカリックス[3]アレーンの包接部位の疎水性相互作用およびπ−π相互作用によりC60フラーレンを包接し、電極11に安定に固定している。このとき、C60フラーレンは、カリックス[3]アレーンにより浮遊した状態で包接されており、修飾基は結合されていない。よって、電気伝導に関与するπ電子の分布が均一に保たれるため、電子親和力が大きくイオン化エネルギーが小さいというフラーレンの有する特性が損なわれない。そのため、受容体からC60フラーレン及び電極へ高速かつ大量に電荷を移動させることができる。また、カリックス[3]アレーンの包接部位と反対側が、親水基のフェノールで構成されているため、水不溶性のC60フラーレンをカリックス[3]アレーンで包接することで、修飾基を用いずに水溶性に変えることができる。よって、バイオセンサを溶液中で容易に取り扱うことができる。
[バイオセンサを用いた検出方法]
図3(a)、(b)は、検出部が設けられたバイオセンサの一例を示す。図3(a)では、前記図2のターゲット認識素子42が電極40に固定され、電極40が検出部45に接続されている。ターゲット認識素子42が固定化された電極40の部分に試料を滴下し、電流を検出部45により測定し、試料内のターゲットの濃度等に換算する。
【0033】
一方、図3(b)ではターゲット認識素子42が固定された電極40の先端を試料溶液に浸漬し、検出部45により電流の測定を行う。
なお、測定の際に、外部からターゲット認識素子42に光を照射すると、C60フラーレンが光励起されるので、電子親和力が大きくイオン化エネルギーが小さいというフラーレンの性質を高めることができる。よって、ターゲット認識素子としての反応速度を速くし、反応感度を高めることができる。フラーレンが光励起される波長は広いが、特に620nm以下の波長に対して効率良く励起される。このような波長を有する光源として、赤色LEDやArレーザーが用いられる。
[バイオセンサの製造方法]
第1実施形態例のバイオセンサは次のように製造される。カリックス[3]アレーンとC60フラーレンとを水溶液中に混合し、この混合液を攪拌する。攪拌に超音波処理を用いると好ましい。この処理により、C60フラーレンがカリックス[3]アレーンの包接部位である疎水基に包接され、包接錯体13が生成される。電極11、カリックス[3]アレーンの親水基をアニオン性またはカチオン性の分子で修飾する。このとき、電極11とカリックス[3]アレーンとの結合およびカリックス[3]アレーンと乳酸デヒドロゲナーゼとの結合が静電相互作用で結合するように修飾する。修飾された包接錯体13、電極11及び乳酸デヒドロゲナーゼを結合し、ターゲットであるピルビン酸を測定可能なバイオセンサを得る。このとき、乳酸デヒドロゲナーゼと包接錯体13との結合を、pH4〜8かつ温度が15〜45℃の条件下で行うと、酵素の失活を防ぐことができるので好ましい。
<実験例1>
60フラーレンを、カリックス[3]アレーンで包接した包接錯体を作成し、包接錯体に受容体として乳酸デヒドロゲナーゼを固定化する場合の実験例を以下に示す。
(1)カリックス[3]アレーンの合成
まず、カリックス[3]アレーンのトリエステル体を原料として、N,N−ジメチルプロパンジアミンを過剰に添加し、アミノリシスによりカリックス[3]アレーンの前駆体を合成した。この前駆体をジメチル硫酸を用いてN−メチル化することにより、4級アミンを末端に持つカリックス[3]アレーンを合成した。
(2)カリックス[3]アレーン及びC60フラーレンの調製
上記のように合成したカリックス[3]アレーンの水溶液(10ml、0.5mmol/dm)とC60フラーレン(72mg、0.1mmol)を混合して、攪拌と超音波処理を繰り返し、溶け残ったフラーレンを遠心分離により取り除き、カリックス[3]アレーン及びC60フラーレンの錯体である包接錯体水溶液を調製した。このとき生成された包接錯体の横幅は約1nm、高さは約2nmであった。
(3)電極の準備
一方、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを含有するエタノール溶液に金電極を浸して表面にアニオン性の分子がついた電極11を作成した。
(4)包接錯体の固定
前記(3)で準備した電極を包接錯体の水溶液(0.25mmol/dm)に浸すことで、包接錯体を電極上に緻密に配列し、バイオセンサを製造した。このとき包接錯体は電極と静電相互作用によって接続した。
(5)受容体の固定
その後、乳酸デヒドロゲナーゼ(0.2mg/ml)を含有するHEPES(2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid)緩衝液(pH=7.0)に、包接錯体が配列された電極を室温で20分間浸して酵素を静電相互作用により包接錯体上に固定化した。
【0034】
上記の製造方法によって得られた第1実施形態例のバイオセンサのサイクリックボルタンメトリー測定法で得られた電気特性を図6に示す。125μMの還元型ニコチンアミドアデニンヌクレオチド(NADH)と0〜250μMのピルビン酸とを混合した溶液に、乳酸脱水酵素(LDH)を固定化したバイオセンサチップを浸漬したときの特性図である。微量なピルビン酸を感度良く測定できるバイオセンサチップを得ることができた。
<第2実施形態例>
受容体15が抗体、DNA、細胞及びまたはペプチドである第1実施形態例に示す構成のバイオセンサについて説明する。
[抗体]
受容体15が抗体である場合、受容体15が特異的に反応する抗原をターゲットとし、その存在、濃度などを測定することができる。抗原の種類は、ウィルス、細菌、花粉、カビ、ダ二などが挙げられる。例えば、抗体が「マウスIgG」、抗原が「プロテインA」である場合を説明する。
【0035】
まず、マウスに抗原である「プロテインA」を注射し、マウス生来の免疫応答を利用して「マウスIgG」抗体を作る。この抗体「マウスIgG」を抽出,精製して、包接錯体13に固定化する。静電相互作用や共有結合によって固定化するためには、マウスIgGのFc部をカルボキシル基やアミノ基などで修飾しておく。ここにプロテインAを注入すると、プロテインAとマウスIgGは特異的に結合する。極性分子からなるプロテインAから発生した電荷は、抗体、包接錯体13を介して電極11に至る。この電極11に流れる電流を測定することで、抗原であるプロテインAの定量を行うことができる。
[DNA]
受容体15がターゲットであるDNAと特異的に反応するプローブDNAの場合、ターゲットDNAを検知する方法を説明する。
【0036】
DNAは二重らせん構造をとるが、バイオセンサの受容体15として使用するときは1本鎖にして用いる。まず、ターゲットDNAの塩基配列と相補性を持つDNA1本鎖を人工的に有機合成し、プローブDNAを生成する。このプローブDNAを包接錯体13上に固定化する。次に、所望のDNAを生体試料から抽出・精製した後、例えば95度で加熱して1本鎖にする。このDNAとプローブDNAの塩基配列が相補的である場合、つまり試料内のDNAが検知したいDNA塩基配列を持つ場合、両者は結合して二重らせん構造をとる。ここで、二重らせん構造に対して特異的に結合し、電荷発生源となるインターカレータを二重らせん構造の間隙挿入する。これにより二重らせん構造の有無、すなわち試料内のDNAが目的の塩基配列を持つかどうかを、電極11に流れる電流の変化により判定する。
[細胞]
受容体15が細胞である場合、ターゲットである抗原を検知する方法を説明する。NK細胞やB細胞などの免疫細胞を生体から抽出・精製し、包接錯体13に固定化する。細胞表面に結合しているタンパク質分子の末端基を利用して包接錯体13に固定化すると、容易に固定化でき好ましい。抗原は、ウィルス、細菌、花粉、カビ、ダ二などが挙げられる。試料内に細胞を固定化したバイオセンサを導入すると、受容体15である細胞が抗原を取り込み、細胞内部の酵素によって抗原を分解する。この分解過程で生じた電荷が、包接錯体13を介して電極11に移動する。このときの電極11に流れる電流を測定することで、抗原の定量を行うことができる。
[ペプチド]
受容体15がペプチドである場合、ターゲットであるペプチドを検知する方法を説明する。所望するターゲットと特異的に反応するプローブペプチドを遺伝子工学の手法を用いてファージに作らせる。それを抽出・精製し、包接錯体13に固定化する。この包接錯体13を有するバイオセンサを試料に注入すると、プローブペプチドを構成するアミノ酸の側鎖が有する荷電状態に対応したペプチドとプローブペプチドとが結合する。このとき、電極11に流れる電流を測定することができ、目的とするターゲットペプチドを検知、定量することができる。
<第3実施形態例>
図4(a)、(b)は、第3実施形態例に係るバイオセンサの構成を示している。図1と同一の符号番号は第1実施形態例と同様の構成要素を表す。図4(a)のバイオセンサには、図1のターゲット認識素子10にさらに高分子膜50が設けられている。高分子膜50は、第2ホスト分子13bと受容体15との間に設けられている。このような高分子膜50は、第2ホスト分子13bと受容体15との接着界面に平坦性を与え受容体15の立体構造を壊すことがないので、受容体15の失活を防ぐことができる。また、接着面積を増加させることができるので、第2ホスト分子13bと受容体15とをより強く接着することができる。
【0037】
図4(b)に示すように、高分子膜50は、2層構造の高分子膜52,54であっても良い。例えば、包接錯体13上にカチオン性高分子膜であるPDDA(ボリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム)52を形成し、その上にアニオン性高分子膜であるPVS(ポリビニル硫酸カリウム)54を形成して、酵素を包接錯体13に固定化する。このように、高分子膜50をアニオン性とカチオン性の2層構造とすることで、マイナスに帯電した酵素の代わりにプラスに帯電した酵素も固定化することができる。また、高分子膜50は2層以上であっても良い。
<実験例2>
60フラーレンを、カリックス[3]アレーンで包接した包接錯体を作成し、包接錯体に高分子膜及び受容体として乳酸デヒドロゲナーゼを固定した場合の実験例を以下に示す。
(1)カリックス[3]アレーンの合成
まず、カリックス[3]アレーンのトリエステル体を原料として、N,N−ジメチルプロパンジアミンを過剰に添加し、アミノリシスによりカリックス[3]アレーンの前駆体を合成した。この前駆体をジメチル硫酸を用いてN−メチル化することにより、4級アミンを末端に持つカリックス[3]アレーンを合成した。
(2)カリックス[3]アレーン及びC60フラーレンの調製
上記のように合成したカリックス[3]アレーンの水溶液(10ml、0.5mmol/dm)とC60フラーレン(72mg、0.1mmol)を混合して、攪拌と超音波処理を繰り返し、溶け残ったフラーレンを遠心分離により取り除き、カリックス[3]アレーン及びC60フラーレンの錯体である包接錯体水溶液を調製した。このとき生成された包接錯体の横幅は約1nm、高さは約2nmであった。
(3)電極の準備
一方、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを含有するエタノール溶液に金電極を浸して表面にアニオン性の分子がついた電極11を作成した。
(4)包接錯体の固定
前記(3)で準備した電極を包接錯体の水溶液(0.25mmol/dm)に浸すことで、包接錯体を電極上に緻密に配列し、バイオセンサを製造した。このとき包接錯体は電極と静電相互作用によって接続した。
(5)高分子膜の固定
電極に固定した包接錯体を、PDDA(6mg/ml)を含有するHEPES緩衝液(pH=7.0)に室温で20分間浸し、PDDA層を静電相互作用により包接錯体上に成膜した。超純水で洗浄した後、PVS(4mg/ml)を含有するHEPES緩衝液(pH=7.0)に電極を室温で20分間浸し、PVS層を静電相互作用によりPDDA層上に成膜した。
(6)受容体の固定
その後、PVS層の上に乳酸デヒドロゲナーゼ(0.2mg/ml)を含有するHEPES(2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid)緩衝液(pH=7.0)に、包接錯体が配列された電極を室温で20分間浸して酵素を静電相互作用により包接錯体上に固定化した。
<第4実施形態例>
図5は、第4実施形態例に係るバイオセンサの構成を示している。図1と同一の符号番号は第1実施形態例と同様の構成要素を表す。図5のバイオセンサには、図1のターゲット認識素子10にさらにポリイオンコンプレックス膜56が設けられている。ポリイオンコンプレックス膜56は受容体15の上部に設けられており、受容体15と第2ホスト分子13bとの結合を強化する。よって、バイオセンサの耐久性を高めることができる。ポリイオンコンプレックス膜56としては、例えばカチオン性の調ポリ−L−リジンやアニオン性のグルタミン酸やアクリル酸などのポリイオンコンプレックス膜が挙げられる。
<実験例3>
60フラーレンを、カリックス[3]アレーンで包接した包接錯体を作成し、包接錯体に受容体として乳酸デヒドロゲナーゼを固定し、ポリイオンコンプレックス膜さらに固定する場合の実験例を以下に示す。
(1)カリックス[3]アレーンの合成
まず、カリックス[3]アレーンのトリエステル体を原料として、N,N−ジメチルプロパンジアミンを過剰に添加し、アミノリシスによりカリックス[3]アレーンの前駆体を合成した。この前駆体をジメチル硫酸を用いてN−メチル化することにより、4級アミンを末端に持つカリックス[3]アレーンを合成した。
(2)カリックス[3]アレーン及びC60フラーレンの調製
上記のように合成したカリックス[3]アレーンの水溶液(10ml、0.5mmol/dm)とC60フラーレン(72mg、0.1mmol)を混合して、攪拌と超音波処理を繰り返し、溶け残ったフラーレンを遠心分離により取り除き、カリックス[3]アレーン及びC60フラーレンの錯体である包接錯体水溶液を調製した。このとき生成された包接錯体の横幅は約1nm、高さは約2nmであった。
(3)電極の準備
一方、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを含有するエタノール溶液に金電極を浸して表面にアニオン性の分子がついた電極11を作成した。
(4)包接錯体の固定
前記(3)で準備した電極を包接錯体の水溶液(0.25mmol/dm)に浸すことで、包接錯体を電極上に緻密に配列し、バイオセンサを製造した。このとき包接錯体は電極と静電相互作用によって接続した。
(5)受容体の固定
その後、乳酸デヒドロゲナーゼ(0.2mg/ml)を含有するHEPES(2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid)緩衝液(pH=7.0)に、包接錯体が配列された電極を室温で20分間浸して酵素を静電相互作用により包接錯体上に固定化した。
(6)ポリイオンコンプレックス膜の固定
包接錯体に酵素を固定化した後、ポリイオンコンプレックス膜を、酵素の表面に1mM溶液のPo1y−L−lysineをキャスト法を用いて形成した。
【0038】
【発明の効果】
本発明を用いれば、受容体がメディエータを含む包接錯体に固定化されたターゲット認識素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に係るメディエータ型バイオセンサの電極部の基本構成を示す図。
(b)(a)のバイオセンサの動作を説明する説明図。
【図2】第1実施形態例に係るバイオセンサの構成。
【図3】(a)検出部が設けられたバイオセンサの一例(1)。
(b)検出部が設けられたバイオセンサの一例(2)。
【図4】(a)第3実施形態例に係るバイオセンサの構成(1)。
(b)第3実施形態例に係るバイオセンサの構成(2)。
【図5】第4実施形態例に係るバイオセンサの構成。
【図6】第1実施形態のバイオセンサにおける電気特性。
【図7】メディエータ型バイオセンサの動作原理を説明する説明図。
【図8】従来のC60フラーレンを用いたメディエータ型バイオセンサの電極部の構成。
【符号の説明】
1 電極
2 C60フラーレン
3 自己組織化単分子膜
4 酵素
5 基質
10、42 ターゲット認識素子
11、40 電極
13 包接錯体
13a 第1ホスト分子
13b 第2ホスト分子
13c ゲスト分子
15 受容体
19a、19b 親水基
21a、21b 包接部位
23 ターゲット
45 検出部
50、52、54 高分子膜
56 ポリイオンコンプレックス膜

Claims (19)

  1. 親水基および包接部位を有する第1ホスト分子と、
    親水基および包接部位を有する第2ホスト分子と、
    前記第2ホスト分子の親水基に結合され、ターゲットと反応する受容体と、
    前記第1ホスト分子の包接部位と前記第2ホスト分子の包接部位とにより包接され、前記ターゲットと前記受容体との反応により発生した電荷を伝達するゲスト分子と、
    を含むターゲット認識素子。
  2. 前記第1ホスト分子は第1カリックスアレーンであり、前記第2ホスト分子は第2カリックスアレーンであり、前記ゲスト分子はフラーレンである、請求項1に記載のターゲット認識素子。
  3. 前記受容体は、酵素、抗体、DNA(deoxyribonucleic acid)及びペプチドからなるグループから選ばれる1または複数の組み合わせである、請求項1に記載のターゲット認識素子。
  4. 前記第2ホスト分子と前記受容体との間に、少なくとも1層の高分子膜をさらに含む、請求項1または2に記載のターゲット認識素子。
  5. 前記高分子膜はポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム層とポリビニル硫酸カリウム層とを含む、請求項4に記載のターゲット認識素子。
  6. 前記受容体を覆うポリイオンコンプレックス膜をさらに含む、請求項1に記載のターゲット認識素子。
  7. 前記受容体は、pH4〜8かつ温度が15〜45℃の条件下で前記第2ホスト分子の親水基に結合されている、請求項1に記載のターゲット認識素子。
  8. 親水基および包接部位を有する第1ホスト分子と、
    親水基および包接部位を有する第2ホスト分子と、
    前記第1ホスト分子の親水基が結合された電極と、
    前記第2ホスト分子の親水基に結合され、ターゲットと反応する受容体と、
    前記第1ホスト分子の包接部位と前記第2ホスト分子の包接部位とにより包接され、前記ターゲットと前記受容体との反応により発生した電荷を、前記電極に伝達するゲスト分子と、
    を含むバイオセンサ。
  9. 前記電極に接続された検出手段をさらに含む、請求項8に記載のバイオセンサ。
  10. 前記第1ホスト分子は第1カリックスアレーンであり、前記第2ホスト分子は第2カリックスアレーンであり、前記ゲスト分子はフラーレンである、請求項8に記載のバイオセンサ。
  11. 前記受容体は、酵素、抗体、DNA及びペプチドからなるグループから選ばれる1または複数の組み合わせである、請求項8に記載のバイオセンサ。
  12. 前記第2ホスト分子と前記受容体との間に、少なくとも1層の高分子膜をさらに含む、請求項8〜10のいずれかに記載のバイオセンサ。
  13. 前記高分子膜はポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム層とポリビニル硫酸カリウム層とを含む、請求項12に記載のバイオセンサ。
  14. 前記受容体を覆うポリイオンコンプレックス膜をさらに含む、請求項8に記載のバイオセンサ。
  15. 前記受容体は、pH4〜8かつ温度が15〜45℃において前記第2ホスト分子の親水基に結合されている、請求項8に記載のバイオセンサ。
  16. 請求項9に記載のバイオセンサを用い、前記ターゲットと前記受容体との反応により生じる電荷を検出する、検出方法。
  17. 前記ゲスト分子がフラーレンであって、前記フラーレンを光励起する励起ステップをさらに含む、請求項16に記載の検出方法。
  18. 請求項8に記載のバイオセンサの製造方法であって、
    前記第1ホスト分子及び前記第2ホスト分子を含む溶液と前記ゲスト分子を含む溶液とを混合及び攪拌し、前記第1ホスト分子、前記第2ホスト分子及び前記ゲスト分子を含む包接錯体を生成する包接錯体生成ステップと、
    電極の表面にアニオン性またはカチオン性の分子を結合させる電極形成ステップと、
    前記電極形成ステップで形成された電極と、前記包接錯体内の前記第1ホスト分子の親水基とを結合させる包接錯体結合ステップと、
    前記包接錯体内の前記第2ホスト分子の親水基と前記受容体とを結合させる受容体結合ステップとを含み、
    前記包接錯体生成ステップで生成される包接錯体では、前記第1ホスト分子の包接部位と前記第2ホスト分子の包接部位とにより前記ゲスト分子が包接されている、バイオセンサの製造方法。
  19. 前記受容体結合ステップにおいて、pH4〜8かつ温度が15〜45℃の条件下で、前記第2ホスト分子の親水基と前記受容体とを結合する、請求項18に記載のバイオセンサの製造方法。
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