JP2004263946A - 脱硫及び脱硝方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒無しで、容易にSOとNOを酸化することができる、新規な脱硫及び脱硝方法を提供する。
【解決手段】燃焼プロセスから生成する燃焼ガス中のSOの脱硫とNOの脱硝を行う脱硫及び脱硝方法において、燃焼ガス中のSOとNOを同時に酸化させるために、OHラジカルを加えることにより連鎖反応を構成してSOとNOを酸化する。燃焼プロセスの燃焼ガス中にHNO(硝酸)を加えることによりOHラジカルを発生させることができる。また、燃焼プロセスの燃焼ガス中に反応に寄与しないガスMを加えてもよい。さらに、燃焼プロセスを、大気圧下及び600Kから800Kの温度で行なえば好適である。簡便な方法で、低コストな乾式の脱硫及び脱硝方法を実現できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、脱硫及び脱硝方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭や重油などの化石燃料は、通常、不純物としてS(硫黄)を含む。これらの燃料を過剰空気下で燃焼させると、Sは殆ど完全に二酸化硫黄(SO)に酸化され、大気中に排出される。排出されたSOは、酸性雨の主な原因となり、森林破壊とそれに伴う砂漠化を引き起こすので地球環境にとって好ましくない。
【0003】
燃料ガスからSOを取り除くために、従来から種々の方法が実施され、また提案されている。その二、三の例を挙げると、伝統的な方法としては、スクラバーを使用する方法がある。
また、Vなどの触媒を使用してSOを除去する方法があり、SOは、約700Kの燃焼ガス温度域で容易にSOに酸化されることが知られている(非特許文献1参照)。
【0004】
別の方法として、HSOのような有効副生成物を得ることを期待して、SOをSOに酸化により転換することが考えられている。
直接酸化による方法の他に、連鎖担体ラジカルを燃焼ガス中に添加して反応を促進する乾式の脱硫方法が検討されている。
このような連鎖担体ラジカルとしては、HOやH(非特許文献2参照)、あるいは、メチルパーオキシラジカルによる酸化の研究がなされている(非特許文献3参照)が、いずれも反応速度定数は通常の燃焼ガス条件では小さいと考えられている。
【0005】
【非特許文献1】
G. Xu 他6名, J. Chem. Engineering of Japan, 1999, Vol.32, p.82
【非特許文献2】
大下ほか3名、「HOによる連鎖反応を用いた乾式脱硫脱硝法の開発」、化学工学会全国大会、2002年3月30日、S108
【非特許文献3】
C. S. Kan 他3名, Int. J. Chem. Kinet., 1979, Vol.11, p.921
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した中で、スクラバー法は設置費用が高額となり、SO除去効率が比較的低い。また、スクラバー法によるSOの除去には大量の水を必要とし、水資源が限られた設置場所において、この方法を適用することは困難であるという課題がある。また、触媒法は、触媒が高価であるという課題がある。
【0007】
そのため、SOをSOに、また、NOをNOに転換する方法において、大量の水や高価な触媒を必要としない乾式の脱硫及び脱硝方法の実現が望まれているが、例えば安定分子であるSOの酸化反応には、高い活性化エネルギーを必要とし、典型的な燃料ガス状態において、1秒未満の妥当な反応時間内では困難である。このように、大気圧下において、触媒無しにSOとNOを効率良く反応させ酸化させる脱硫及び脱硝方法は知られていない。
【0008】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、触媒無しで、容易にSOとNOを酸化することができる、新規な脱硫及び脱硝方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の脱硫及び脱硝方法は、燃焼プロセスから生成する燃焼ガス中のSOの脱硫とNOの脱硝を行う脱硫及び脱硝方法において、燃焼ガス中のSOとNOを同時に酸化させるためにOHラジカルを加えることにより連鎖反応を構成してSOとNOを酸化することを特徴とする。
本発明の脱硫及び脱硝方法において、燃焼プロセスの燃焼ガス中にHNO(硝酸)を加えることによりOHラジカルを発生させ、連鎖反応を構成することが好適である。また、燃焼プロセスの燃焼ガス中に反応に寄与しないガスMを加えてもよい。
また、燃焼プロセスの燃焼ガス中にOHラジカルを加える連鎖反応が、化学式
OH+SO+M=HOSO+M (R1)と、
HOSO+O=HO+SO (R2)と、
HO+NO=OH+NO (R3)と、
で構成されれば好適である。
上記燃焼プロセスは、大気圧下で行うことができる。また、この燃焼プロセスは、650Kから800Kの温度で行うことができる。
【0010】
上記構成によれば、燃焼プロセスにおいて、燃焼ガス中のSOとNOへOHラジカルを加えて連鎖反応を生起させることにより、SOとNOを効率よく酸化して、燃焼ガス中の脱硫と脱硝を行うことができる。また、燃焼プロセス中に硝酸を加え、熱分解させることによりOHラジカルを発生させ連鎖反応を構成することができる。
従って、本発明によれば、燃焼ガス中にOHラジカルを添加するだけで脱硫処理及び脱硝処理を行うことができ、また大気圧で反応させることができるので、極めて簡単で、かつ、低コストである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。
本発明のSOとNOを含む燃焼ガスの酸化、即ち、脱硫及び脱硝方法は、以下の化学式により連鎖的に反応が進むように構成されている。
OH+SO+M=HOSO+M (R1)
HOSO+O=HO+SO (R2)
HO+NO=OH+NO (R3)
HNO+M=OH+NO+M (R4)
燃焼ガス中のSOとNOは、化学反応式(R1)の左式と、化学反応式(R3)の左式にある。ここで、Oは燃焼ガス中に含まれている酸素ガスである。また、Mは反応に寄与しないガスであり、例えばNや、Nと同時に添加されるCO、Hなどである。
【0012】
次に、上記の化学反応について説明する。
化学反応式(R4)に示すように、HNOよりOHを発生させる。OHは燃焼ガス中で高温のラジカル状態となっている。OHが化学反応式(R1)に供給されると、OHとSOとMが反応して、HOSO+Mとなる。
ここで、発生したHOSOが、燃焼ガス中のOと反応してHOとSOが発生する(化学反応式(R2)参照)。この際、燃料ガス中におけるO濃度は、どのラジカル種よりも極めて高い故に、(R2)の反応速度は、OH+HOSO、O+HOSO又はH+HOSOのように、ラジカル種による他のHOSOの反応よりも速く進行する。
次に、化学反応式(R2)で発生したHOは、NOと反応してOHとNOを発生させる(化学反応式(R3)参照)。このようにして、OHが加わることで、連鎖反応が構成されるようになる。
【0013】
これから、化学反応式(R1)〜(R3)を足せば、
SO+NO+O=SO+NO (R5)
となり、燃焼ガス中のSOとNOとOとが反応して、SOとNOに酸化されることが分かる。
【0014】
これにより、Oを含む燃焼ガス中のSOとNOが、化学反応式(R4)で示されるようにHNOの熱分解により生成されるOHまたはOHラジカルにより、連鎖反応的にSOとNOに酸化することができる。
したがって、HNOの蒸気圧と熱分解速度は、Hよりも高く、また、その取り扱いもHに比して簡単であるので、低コストで、Oを含む燃焼ガス中のSOとNOを酸化することができる。
【0015】
次に、上記の化学反応式によるSO酸化についてシミュレーション結果について説明する。
最初に、燃焼ガス中のSOにHNOを添加したときの、NO添加量の依存性について説明する。
図1は、HNOを一定として、NO添加量に対するSO発生濃度の温度依存性の計算結果を示す図である。図において、横軸は温度(K)、縦軸はSO濃度(ppm)である。
ここで、計算条件は、反応が断熱状態であると仮定して行い、反応時間は1秒である。この際、燃焼ガス中のSO濃度は2000ppmであり、HNO濃度は100ppmである。Mは、NとCOとHOからなり、燃焼ガス中のOを合わせた場合の圧力は、SO濃度とHNO濃度が微小であるので無視できるとして、1気圧(1atm)であり、その割合(%)は、
:CO:HO:O=71:16:8:5、である。
【0016】
このシミュレーションは、Muellerらによって提案されているSOの反応機構により上記化学反応式(R1)〜(R4)を計算し、さらに、HNO及びNOを含むいくつかの素反応を追加して行った(M. A. Mueller, R. A. Yetter, and F. L. Dryer, Int. J. Chem.Kinet., 32, 317 (2000) 参照)。
【0017】
図2は、追加した素反応の速度定数を示す表である。付け加えた素反応は、例えば、化学反応式(R4)を阻害する以下の化学反応式などである。
OH+HNO=HO+NO (R6)
OH+NO=NO+HO (R7)
【0018】
図1において、NO=0ppmでもSOから、SOの反応は進むが、NOを添加すると反応は、著しく増大することが分かる。
NO濃度が50ppmの場合には、T=750K近辺でSOからSOへの転換率(以下、SO転換率と呼ぶ)は最大となり、約4%である。NO濃度が200ppmの場合には、750K〜770Kで転換率は最大となり、約6.3%である。さらに、NO濃度を増加させ400ppmとした場合には、200ppmよりもSO転換率は低下し、T=700K〜820Kで1.5%から4.3%までに徐々に増大する。
これから、燃焼ガスにSOと共にNOを添加したほうが、SO転換率が向上し、しかも、最適なNO濃度が存在することが分かる。
【0019】
図1において、HNO濃度が、400pm以外は、おおよそ750K近辺でSOへの転換率が最大になっている理由について説明する。
図3は硫黄化合物の400K〜1000Kまでのモル分率の計算値を示す図である。図において、縦軸が硫黄化合物のモル分率であり、横軸が温度(K)である。これから、SOは、600K〜850Kにおいて、HSOとSOよりも安定であり、特に650K〜800Kでモル分率が最大値となっていることがわかる。従って、650K〜800Kにおいて、SOが酸化され易いと推定できる。
【0020】
図4は、T=750KにおけるNO添加濃度に対するSO生成依存性の計算結果を示す図である。図において、縦軸がSO濃度であり、横軸がNO濃度(ppm)である。HNO濃度が100ppmであること以外は、図1の条件と同じである。転換率は、NO濃度が約200ppmまでは増大し、それ以上のNO濃度では、逆に低下することが分かる。
【0021】
次に、燃焼ガス中にNOを200ppm添加したときのHNO濃度に対するSO転換依存性を示す。
図5は、T=750Kにおける、SO生成率のHNO添加濃度依存性の計算結果を示す図である。図において、縦軸はSO濃度であり、横軸はHNO濃度(ppm)である。ここで、SO濃度が1000ppmであり、NO濃度が200ppmである以外の条件は、図1と同じである。
SO転換率は、HNO濃度が200ppm、300ppm、400ppmにおいて、それぞれ、約15%、約16%、約17%となることが分かる。HNO濃度がおおよそ100ppmまでは、HNO濃度の増大に伴いSOの発生が増加する。HNO濃度が約200ppmより高い場合には、SO転換率は、HNO濃度に対して飽和する傾向にある。この転換率は、図1に示したNO添加をしない場合に比べると著しく増大することが分かる。この際、NOからNOヘの転換率(以下、NO転換率と呼ぶ) は、80%から90%となる。
【0022】
図6は、図5のSOとNOの酸化反応における種々の化学種の時間変化の計算結果を示す図である。図において、縦軸はモル分率であり、横軸は時間(秒)である。ここで温度は750K、NO濃度は200ppmであり、SO濃度が1000ppmである以外の条件は、図1と同じである。
図から、HNOの熱分解によりSOとNOが酸化し、SOとNOが、約0.2秒で生成していることが分かる。これから、主要な酸化生成物はSOとNOであり、NOはほとんど生成せず、添加したNOは、ほぼ完全にNOに酸化されていることが分かる。
【0023】
図7は、図6の計算条件におけるSO濃度に対する主要な素反応の感度係数の計算結果を示す図である。初期状態は図6と同様である。図において、縦軸はSO生成の主要な反応の感度係数で、横軸は時間(秒)である。
化学種jに対する素反応iの感度係数Sijは、Sij=∂C/∂kで与えられる。ここで、Cは化学種jの濃度、kは素反応iの速度定数である。
図7から、SO生成に対してもっとも重要な反応は、化学反応式(R1)〜(R3)であることが分かる(図7の(R1)、(R2)、(R3)参照)。
【0024】
一方、下記の化学反応式(R8)と(R9)は、HNOの熱分解により発生したOHが反応する化学反応式(R1)と共に生起する競合連鎖反応であり、SOの生成を阻害する方向の化学反応式である(図7の(R8)、(R9)参照)。
NO+OH+M=HONO+M (R8)
HONO+OH=HO+NO (R9)
【0025】
また、下記の化学反応式(R10)は、HNOの熱分解により発生したOHと反応してHOとOになり、ラジカルを生成しなくなる連鎖停止反応であり、この反応も、SOの生成を停止させる方向に作用する(図7の(R10)参照。)
HO+OH=HO+O (R10)
【0026】
次に、比較のために、燃焼ガスにNOを添加しないでSOだけの条件におけるHNO添加効果について説明する。
図8は、HNO添加量に対するSO発生濃度の温度依存性の計算結果を示す図である。図において、横軸は温度(K)で、縦軸がSO濃度(ppm)である。この際、燃焼ガス中のSO濃度は2000ppmであり、HNO濃度を、100ppm、200ppm、1000ppmと変化させている以外の条件は、図1と同じである。
SO転換率はHNO濃度の増加とともに増加し、100ppmのHNOを添加した場合の転換率はT=750K付近で最大となり、2%である。次に、HNO濃度として500ppmの場合の転換率は、T=760K付近で最大となり6.5%である。さらに、HNO濃度として1000ppmの場合、転換率は、T=750K付近で最大となり8%が得られることが分かる。
【0027】
このように、燃焼ガス中にNOを添加しないでHNOのみによるSO酸化反応は効率が低いが、これはHNOの熱分解により生成したOHの大部分がHNOとNOと反応してしまい、連鎖反応が機能しないからであると推定される(化学反応式(R6)、(R7)参照) 。
【0028】
次に、本発明の燃焼ガス中のSONOの処理方法の実施例を示す。
図9は、HNO添加によるSOとNOガスを含む燃焼ガスの脱硫及び脱硝方法に使用する減圧処理装置の構成を示す図である。図9において、減圧処理装置10は、真空槽11と、真空槽11を貫通するように配設され燃焼ガスが供給される反応管12と、反応管12の加熱用のヒーター13と、燃焼ガス供給部15と、燃焼ガス排気部16と、質量分析装置20と、から構成されている。
【0029】
反応管12は、真空槽11を貫通するように配設されている。真空槽11外部の反応管の端部12aには燃焼ガス供給部15が接続され、真空槽11外部の反応管の他端部12bには燃焼ガス排気部16が接続され、さらに、その中央部には、燃焼ガスを真空槽11に流出させるためのピンホール部12cが設けられている。反応管12は、リボンヒーターなどによるヒーター13により反応温度である600K〜800Kまでに加熱される。
反応管12の温度は反応管12内部を移動可能に設置される熱電対14により測温され、ヒーター13が図示しない温調器により温度制御される。ここで、反応管12としては、内壁にボロンガラス(B)をコーティングした内径1.5cm、長さ60cmの石英ガラス製の反応管を使用し、ピンポールの直径は、0.1mmである。また、反応管の中央の温度分布は、±5Kの範囲で15cmの均熱領域が確保されている。
【0030】
燃焼ガス供給部15において、SO,O,NO, HNO,N,Hは、質量流量コントローラにより流量が制御されて反応管に供給される。HNOは、HNOの61%水溶液に、Nをバブリングして反応管12に供給されるが、それ以外のガスはガスボンベから、質量流量コントローラを介して反応管12に供給される。
典型的な全流量は、100sccmである。ここで、sccmは、standard cubic cm per minuteは、cm/分で、0℃において、1013hPaに換算した場合の流量を表す単位である。高温反応部における滞留時間は、0.1秒〜0.5秒である。
【0031】
燃焼ガス排気部16は、反応管12に供給される燃焼ガスを排気すると共に、反応管の圧力を、例えば、10Torr〜80Torrr (1Torr=133.3Pa)程度になるように制御している。ここで、燃焼ガスの圧力は、真空圧力計17で測定し、例えば容量型圧力計(商品名:バラトロン)が使用できる。
ここで、上記の反応管圧力の下限は反応管のピンホール部12cから、質量分析装置20へのサンプリングが分子線となるための条件で決まり、反応管圧力の上限は質量分析部の排気系性能により決まっている。これらの制限のため、反応生成物測定装置10の測定条件は、実際の燃焼器からの排ガス条件より大幅に圧力が低いものである。
【0032】
質量分析装置20は、4重極質量分析計(Anelva AQA400)を使用し、その先端部に設けた直径1mmの燃焼ガス導入孔20aが、真空槽11内部に挿入され、反応管12のピンホール部12aに対向している。
反応管12のピンホール部12aから、燃焼ガス導入孔20aへ流入する燃焼応ガスは、ターボ分子ポンプなどを用いた差動排気装置21により差動排気され、質量分析装置20のイオン化室へ導入される。
【0033】
イオン化室へ導かれた燃焼ガスは、電子衝撃によりイオン化される。そして、質量選別されたイオンは、2次電子増倍管により検出されて、データ処理装置により計算やデータ表示が行われる。この際、イオン化による燃焼ガスの分解、即ち、フラグメンテーションが発生すると燃焼ガスの分析が正確に行うことができなくなる。従って、フラグメンテーションを抑えるために、イオン化エネルギーは、反応ガスを分解しないように必要最低限の10eV〜30eVとした。
【0034】
真空槽11は、開閉用のゲートバルブ、油回転ポンプ、ターボ分子ポンプなどから構成される真空ポンプ、真空計、真空排気のための制御装置などからなる真空排気装置18により真空排気される。
【0035】
次に、HNO添加によるSOとNOガスの脱硫及び脱硝方法を説明する。
減圧処理装置10の真空槽11を所定の真空度になるように排気を行い、反応管をヒーター4により600K〜800Kに加熱した。SOとNOを含む燃焼ガスとして、SO,O,NO,HNO,N,Hを全圧力として、10Torr〜80Torrr となるように燃焼ガス供給部から反応管に流した。
上記の燃焼ガスのO過剰条件下で、反応温度が600〜800Kにおいて、質量分析装置によりSOの生成が認められた。SOとNOの信号はSOとOとHNOの三種類の反応物が存在するときのみに観測され、反応管内の滞留時間の増大と共に、その信号強度が増大することが分かった。これにより、SOとNOを含む燃焼ガス中のSOとNOが、HNO添加により酸化されることが分かった。
【0036】
図10は、図9の減圧処理装置において750KでのSO生成量のHNO添加量依存性を示す図である。図において、縦軸はSOのモル分率(×1000の任意目盛り)であり、横軸は反応管に添加されるHNO圧力(Torr)である。黒丸印が測定値であり、実線が後述するシミュレーションによる計算値である。
燃焼ガスであるSO、O、NO、H、Nの圧力は、それぞれ、1.0Torr、50.0Torr、0.2Torr、0.051Torr、約29Torrであった。この際、Nガスの圧力は、HNOの導入の際のキャリアガスであり、HNOの圧力により変動する。全圧力は81Torrである。
これから、HNO圧力を約0.08Torrから約0.87Torrに増大させると、それに伴いSOの発生量が増加することが分かる。また、この際、導入した反応ガスが反応管を通過する時間、即ち、滞留時間は、0.49秒であるので、HNO添加によるSOからSOへの反応時間は、極めて短時間であることが分かった。
【0037】
次に、シミュレーションの結果について説明する。
シミュレーションは、SOの濃度が、実験におけるHNOの最大圧力の0.87Torrで一致するように、規格化して測定値と一致するようにした。
図示するように、測定値とシミュレーションは、必ずしも一致は十分ではないが、HNOの添加量と共にSOの発生量が増加する傾向は一致することが分かった。
【0038】
上記実施例は、反応ガス圧力が大気圧の約1/10の低圧力であるので、このような低圧におけるSOからSOへの転換率は、シミュレーションを行った大気圧よりも低下すると考えられる。これは、反応(R1)が、Pressure Fall−off領域にある3分子反応であるために、圧力の低下とともに反応速度も低下するためである。
さらに、燃焼ガスにHを添加した場合には、HNOの熱分解により発生するOHと添加するHの反応により、ラジカルプールを形成し、低圧下において反応が促進されることが期待される。しかしながら、H添加は、SOからSOの生成に関して全く影響を与えないことが分かった。
【0039】
本発明による燃焼ガス中のSOとNOの脱硫及び脱硝方法は、以上のように構成されており、上述したように、酸素を含む燃焼ガス中のSOとNOを、600K〜800Kの比較的低温で、OHラジカルを加えることにより、連鎖反応を生起させて、SOとNOに同時に酸化することで処理できる。また、OHラジカルは、硝酸により発生させることができる。
【0040】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。例えば、上記実施の形態で説明したSOとNOを含む燃焼ガスの圧力は、大気圧で行ない得ることや、各種の燃焼装置に付加できるように適宜に設計製作し適用し得ることは勿論である。
【0041】
【発明の効果】
上記説明から理解されるように、本発明は、以上のように構成することにより、OHラジカル添加による簡便なSOの脱硫とNOの脱硝ができる脱硫及び脱硝方法を実現できる。この方法は、構成が容易で、かつ、低コストである。
【図面の簡単な説明】
【図1】HNOを一定として、NO添加量に対するSO発生濃度の温度依存性の計算結果を示す図である。
【図2】追加した素反応の速度定数を示す表である。
【図3】硫黄化合物の400K〜1000Kまでのモル分率の計算値を示す図である。
【図4】T=750Kにおける、NO添加濃度に対するSO生成依存性の計算結果を示す図である。
【図5】T=750Kにおける、SO生成率のHNO添加濃度依存性の計算結果を示す図である。
【図6】図4のSOとNOの酸化反応における、さまざまな化学種の時間変化の計算結果を示す図である。
【図7】図6の計算条件における、SO濃度に対する主要な素反応の感度係数の計算結果を示す図である。
【図8】HNO添加量に対するSO発生濃度の温度依存性の計算結果を示す図である。
【図9】HNO添加によるSOとNOガスを含む燃焼ガスの処理をする減圧処理装置の構成を示す図である。
【図10】図9の減圧処理装置において、750KでのSO生成量のHNO添加量依存性を示す図である。
【符号の説明】
10 減圧処理装置
11 真空槽
12 反応管
12a,12b 反応管端部
12c ピンホール部
13 ヒーター
14 熱電対
15 燃焼ガス供給部
16 燃焼ガス排気部
17 圧力計
18 真空排気装置
20 質量分析装置
20a 燃焼ガス導入孔
21 差動排気装置

Claims (6)

  1. 燃焼プロセスから生成する燃焼ガス中のSOの脱硫とNOの脱硝を行う脱硫及び脱硝方法において、
    上記燃焼ガス中のSOとNOを同時に酸化させるために、OHラジカルを加えることにより連鎖反応を構成してSOとNOを酸化することを特徴とする、脱硫及び脱硝方法。
  2. 前記燃焼プロセスの燃焼ガス中にHNO(硝酸)を加えることによりOHラジカルを発生させ、連鎖反応を構成することを特徴とする、請求項1に記載の脱硫及び脱硝方法。
  3. 前記燃焼プロセスの燃焼ガス中に反応に寄与しないガスMを加えることを特徴とする、請求項1または2に記載の脱硫及び脱硝方法。
  4. 前記燃焼プロセスの燃焼ガス中に前記OHラジカルを加える連鎖反応が、化学式
    OH+SO+M=HOSO+M (R1)と、
    HOSO+O=HO+SO (R2)と、
    HO+NO=OH+NO (R3)と、
    で構成されることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の脱硫及び脱硝方法。
  5. 前記燃焼プロセスが、大気圧下で行われることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の脱硫及び脱硝方法。
  6. 前記燃焼プロセスが、650Kから800Kの温度で行われることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の脱硫及び脱硝方法。
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