JP2004263279A - 廃木材の吹き込み高炉操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃木材を粉砕後、高炉の羽口から吹き込みながら行なう高炉操業方法において、特別の粉砕装置を用いずに効率的に微粉砕および廃木材中の揮発分や水分を低減でき、コークスとの置換率を高め、円滑に高炉羽口から吹き込むことができる方法を提供する。
【解決手段】揮発分を10%以下に予備処理した廃木材を石炭と混合し、10mm以下、好ましくは0.1mm以下の大きさに破砕し、た後、高炉羽口から吹き込むことを特徴とする廃木材の吹き込み高炉操業方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉の操業方法に関し、特に、高炉羽口から微粉炭と共に予備処理した廃木材を吹き込みながら行なう高炉操業方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉で使用されるコークスは、国内ではその殆どが室式コークス炉で製造されているが、この室式コークス炉は建設に莫大な設備費が必要となる。現存する室式コークス炉は稼働期間が30年を超えるものが多く、設備寿命の点で稼働を停止せざるを得ないものが増加しつつある。また、コークスの使用量を最低限に抑えて、生産負荷を低減することによりコークス炉の寿命を延長することが指向されている。従って、今後の高炉操業の最大の課題としては、コークスの使用比率(コークス比)、特に塊コークスの使用比率を低減する技術の確立が求められている。
【0003】
上述のコークス比を低減するための手段として、コークスの一部を他の固体燃料に置き換えることが考えられ、固体燃料として廃プラスチックや廃木材の高炉での使用が検討されている。従来、主として廃棄または焼却処理をしていた一般廃棄物または産業廃棄物である、廃プラスチックや廃木材などを製鉄プロセスにおける高炉用原料として有効活用できればエネルギーや環境面からも好ましい。
【0004】
従来から廃木材を高炉用原料として使用するための技術として以下の方法が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、微粉砕した石炭に木材を0.2〜30重量%配合し粘結材を添加して加圧成型した成型炭を乾留する活性コークスの製造方法が、また、特許文献2には、微粉砕した石炭に木材を5〜50重量%配合し、加圧成型した成型炭を乾留する活性コークスの製造方法が提案されている。更に、特許文献3には、原料炭に廃木材等の有機系廃棄物を0.05〜1質量%配合してコークス炉の炭化室に装入し、原料炭および有機系廃棄物を乾留、または有機系廃棄物を予め脱水・濾過後、有機系廃棄物のみをコークス炭化室に装入して熱分解させ、高炉用高強度コークスを製造する方法が提案されている。
【0006】
特許文献1〜3の技術は木材、廃木材などを石炭に配合してコークスを製造した後、高炉原料として使用する方法である。
【0007】
また、特許文献4には、竪型シャフト炉等に木材類等を投入してコークス・石炭等の固体燃料と混合させて装入する溶融炉法が提案されている。更に、特許文献5には、コークス製造に際し、石炭装入口の形状より小さい形状にした木材・パルプ等をコークス炉炭化室内容積1m 当たり50〜1000cm 石炭に混合して乾留する高炉用コークスの製造方法が提案されている。また、特許文献5では、廃木材を平均粒度0.5〜10mmの粉砕粒度の大きさに粉砕し、粒状の廃プラスチックを10/90〜90/10の範囲の混合比で混合し、燃焼カロリー、比表面積によって表される燃焼性、通気を高め高炉に装入する方法が提案されている。
【0008】
また、特許文献1の方法は木材などを高炉などの竪型シャフト炉の炉頂から装入し、特許文献5の方法は廃木材を粉砕し、廃プラスチックまたはタールなどと混合、或いは、炭化処理して高炉の羽口から吹き込む方法であるが、以下の問題があった。
【0009】
即ち、特許文献4の方法のように、廃木材をそのまま高炉炉頂から装入すると、廃木材中には水分が15%前後、揮発分が80%程度含まれているため、これらが高炉操業に悪影響を及ぼす。廃木材中の15%前後の水分は高炉内で他の原料の昇温に悪影響を及ぼし還元を阻害する。また、廃木材中の80%程度の揮発分は、高炉シャフト部においてこの殆どは400℃から600℃の間で揮発するものの、常温でガス状のものは1/3程度あり、残りは油分として液化し、高炉排ガス処理系統で付着したり、湿式除塵機の集塵水に油として混入したりしてトラブルの原因となる。
【0010】
また、廃木材を高炉羽口から吹き込むためには、事前に廃木材の粉砕処理が必要となるが、特許文献5に示されるような廃木材をそのまま粉砕処理方法では、木材は繊維質であるため微粉砕は困難であり、粉砕を強化するための特別な装置を必要としその処理エネルギーおよび設備コスト面で問題が生じる。
【0011】
更に、廃木材の燃焼時の発熱量は4000cal/g 程度(石炭の約60%)と低く、しかも水分や揮発分を多く含むため、コークスに対する単位重量当たりの置換率は微粉炭の1/2程度と低くコークス比削減効果小さい。特許文献5では廃木材を破砕した後、炭化することにより単位重量当たりの発熱量を増加さる方法を採用している。しかし、廃木材の微粉砕後に加熱処理し炭化する場合は熱ガスに直接晒すことはできず、外部から粉砕物を間接的に加熱する方式を採用せざるを得ないため効率的な処理方法ではない。
【0012】
【特許文献1】
特開平2−48409号公報
【特許文献2】
特開平2−97412号公報
【特許文献3】
特開2001−200259号公報
【特許文献4】
特開2001−152215号公報
【特許文献5】
特開2002−20771号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑み、廃木材を粉砕後、高炉の羽口から吹き込みながら行なう高炉操業方法において、特別の粉砕装置を用いずに効率的に微粉砕および廃木材中の揮発分や水分を低減させ、高炉羽口からの円滑な吹き込みと燃焼性を維持しつつコークスとの置換率を高め、よって燃料比の低減および生産性の向上を実現できる高炉操業方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)揮発分を10%以下に予備処理した廃木材を石炭と混合し、破砕した後、高炉羽口から吹き込むことを特徴とする廃木材の吹き込み高炉操業方法。
(2)前記予備処理を乾留炉を用いて行なうことを特徴とする上記(1)記載の廃木材の吹き込み高炉操業方法。
(3)前記予備処理混合物を10mm以下の大きさに破砕することを特徴とする上記(1)または(2)記載の廃木材の吹き込み高炉操業方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、廃木材を粉砕して、高炉の羽口からに吹き込みながら高炉操業を行なう際に、特別の粉砕装置を用いずに効率的に微粉砕し、かつ廃木材中の揮発分や水分を低減する方法について鋭意検討した。その結果、廃木材に対して予備処理を施してその揮発分を10%以下に低減した後、石炭と混合し、粉砕処理することにより特別の粉砕装置を用いずに効率的に微粉砕ができ、高炉羽口からの円滑な吹き込みと燃焼性を維持できる微粉補助燃料として使用可能であることを知見した。
【0016】
本発明において、廃木材を予備処理する際に揮発分を10以下に低減することを要件とする。これは、廃木材の揮発分が10%超では、廃木材中に繊維質部分が多く残存しているため、この後に行なわれる通常の石炭用粉砕機を用いた粉砕処理において、廃木材の繊維により目詰まりが起こり粉砕できないからである。
【0017】
また、廃木材中の揮発分が10超では、廃木材中に残存する水分量も多く、高炉羽口から廃木材を吹き込む際の発熱量が低減し、燃料比の低減効果が充分に得られなくなる。
【0018】
廃木材の揮発分を10%以下とするための予備処理としては、通常使用されている乾留炉で乾留することが好ましい。
【0019】
通常、乾留炉では、ガスもしくは液体の収率を向上し、残渣(揮発分が少なくなった炭素を主成分とする固体)を低減することを目的とした操業を行なうが、本発明では、残渣を利用するために乾留炉を用いるため、廃木材中の揮発分が10%以下に低減される程度の乾留処理で充分である。
【0020】
本発明において、予備処理により廃木材中の揮発分を10%以下になるまで低減することにより以下の効果が得られる。
【0021】
1)廃木材中の水分および揮発分が除去されることで、廃木材の発熱量が石炭並み、もしくはそれ以上に上昇させることができる。また、廃木材の粉砕前に乾留などの予備処理をおこなうため、粉砕後に予備処理する場合(外部からの間接加熱方式)に比べてその処理が簡便になり、装入物や乾留物のハンドリングも容易となる。
【0022】
2)乾留などの予備処理をおこなうことで木材が炭化しその繊維質部分が減少するため、破砕処理を容易かつ効率的に行なえる。本発明における廃木材中の揮発分を10%以下まで低減させる乾留処理をおこなうことにより、特別の粉砕機を用いずとも、通常の石炭用粉砕機での粉砕が可能になる。
【0023】
予備処理した廃木材を粉砕する場合、石炭と混合後、粉砕機で粉砕しても、廃木材と石炭をそれぞれ単独で粉砕機で粉砕した後、それらを混合してもよいが、前者の方が処理効率の点からより好ましい。
【0024】
また、本発明において、上述のように予備処理した廃木材を高炉羽口から微粉炭と一緒に吹き込むためには、搬送性および燃焼性の点から予備処理した廃木材の大きさが、10mm以下とするのが好ましい。廃木材の大きさが、10mmを超えるとが低下する。燃焼性の点から廃木材の大きさが、0.1mm以下とするのがより好ましい。
【0025】
ここで、大きさとは、廃木材の最大長さの平均である。
【0026】
次に、本発明の実施形態の一例を、図1を用いて詳細に説明する。
【0027】
廃木材Wは乾留炉1に装入され、約350℃の温度で数分間、揮発分が10%以下になるまで乾留され、予備処理される。この予備処理された廃木材Wは予備処理廃木材ホッパー2に貯蔵後、切り出されてコンベヤー4−1で、また、隣接して設けた石炭ホッパー3に貯蔵されている石炭Cを切り出してコンベヤー4−2で搬送され、予備処理された廃木材Wと石炭Cとはコンベヤー4−3上で混合されて、石炭バンカー5に搬送されて貯蔵される。
【0028】
石炭バンカー5に貯蔵された予備処理された廃木材Wと石炭Cの混合物は、随時切り出され、破砕機6で大きさ10mm以下、好ましくは0.1mm以下の大きさに微粉砕され、コンベヤー4−5でリザーブタンク7に貯蔵し、必要量のみ No.1〜No.4 のフィードタンク8に備蓄され、それぞれに連結するデストリビューター9−1、9−2、9−3、9−4を経由して、羽口ラインより高炉10の羽口11より吹き込まれる。
【0029】
【実施例】
高炉内容積:3273m 、炉床径:12mの実機高炉で予備処理した廃木材を用い使用試験を行った。その試験結果を表1に示した。
【0030】
表1から分かるように、揮発分を10%以下にした予備処理廃木材を微粉炭と一緒に10mm以下に粉砕・混合した混合物を高炉羽口から吹き込んだ本発明例1〜4と、廃木材を使用せず微粉炭のみを高炉羽口から吹き込んだ比較例1および予備処理なしの廃木材を粉砕して高炉羽口から吹き込んだ比較例2とを比較すると、本発明例では何れも木材原単位、微粉炭原単位、コークス原単位、総燃料比、化石燃料比および生産量の何れの結果も優れた値を示している。
【0031】
【表1】
Figure 2004263279
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の適用により、特別の粉砕装置を用いずに効率的に微粉砕および廃木材中の揮発分や水分を低減させ、搬送性及び燃焼性を良好に保ちつつ高炉羽口から微粉炭と共に予備処理した廃木材を吹き込むことができる。そして、高炉操業における燃料比を低減し、化石燃料比への依存割合を低減することが可能とし、かつ安定した高炉操業が可能となるという顕著な効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための設備構成の概略を示す図である。
【符号の説明】
1…乾留炉
2…予備処理廃木材ホッパー
3…石炭ホッパー
4−1,4−2,4−3,4−4…コンベヤー
5…石炭バンカー
6…粉砕機
7…リザーブタンク
8…フィードタンク
9−1,9−2,9−3,9−4…デストリビューター
10…高炉
11…羽口
W…廃木材
C…石炭

Claims (3)

  1. 揮発分を10%以下に予備処理した廃木材を石炭と混合し、破砕した後、高炉羽口から吹き込むことを特徴とする廃木材の吹き込み高炉操業方法。
  2. 前記予備処理を乾留炉を用いて行なうことを特徴とする請求項1記載の廃木材の吹き込み高炉操業方法。
  3. 前記予備処理混合物を10mm以下の大きさに破砕することを特徴とする請求項1または2記載の廃木材の吹き込み高炉操業方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008024984A (ja) * 2006-07-20 2008-02-07 Jfe Steel Kk 木質バイオマスを原料とした高炉操業方法
JP2012017528A (ja) * 2011-09-27 2012-01-26 Jfe Steel Corp 木質バイオマスを原料とした高炉操業方法およびコークスの製造方法
JP2014043605A (ja) * 2012-08-25 2014-03-13 Nippon Steel & Sumitomo Metal アブラ椰子核殻炭による高炉操業方法

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