JP2004263097A - 水道資材用粉体塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を使用した水道資材用粉体塗料に関し、良好な塗膜物性を持った粉体塗料及びその粉体塗料を使用して得られた水道資材を提供する。
【解決手段】ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂含有エポキシ樹脂粉体塗料組成物100重量部に対し、硬化剤としてトリアジンアダクトイミダゾールを0.01〜5重量部配合する水道資材用粉体塗料組成物、及び、ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂含有エポキシ樹脂粉体塗料組成物100重量部に対し、触媒としてトリアジンアダクトイミダゾールを0.01〜5重量部配合する水道資材用粉体塗料組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂含有エポキシ樹脂粉体塗料組成物100重量部に対し、硬化剤としてトリアジンアダクトイミダゾールを0.01〜5重量部配合する水道資材用粉体塗料組成物、及び、ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂含有エポキシ樹脂粉体塗料組成物100重量部に対し、触媒としてトリアジンアダクトイミダゾールを0.01〜5重量部配合する水道資材用粉体塗料組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道資材用粉体塗料組成物及びその組成物が塗装された被塗物に関する。特に、本発明は、ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を使用した粉体塗料に関し、良好な塗膜物性を持った粉体塗料及びその粉体塗料を使用して得られた水道資材に関する。
【0002】
【従来の技術】
長期にわたって埋蔵される水道資材は、防食性を目的とした様々な塗装やライニング工法を経ている。粉体塗装に関しては、樹脂自体の防食性及び密着性の観点から通常エポキシ系粉体塗料を使用する。通常このような粉体塗料で膜厚を数百μm塗装する場合、予め塗装されていない水道資材を予熱しておき、粉体が被塗物に対して静電によって付着する力と被塗物に塗着するときに溶融して付着する力、または被塗物に塗着するときに溶融して付着する力のみによって目的とする膜厚になるように塗装し、室温にてそのまま放冷または必要に応じ、後加熱を行い反応硬化する条件まで加熱し硬化させる。最近では、エネルギーコスト面や作業者の環境を考慮し、低温で反応硬化するタイプのエポキシ系粉体塗料が主流となっている。そうした中、衛生性向上の理由からビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を使用した粉体塗料が採用されている。しかし、ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂はビスフェノールA型固形エポキシ樹脂と比較して、特に衝撃や変形に対する塗膜物性が悪い。そのため架橋密度を上げることにより塗膜物性を向上させる目的で反応性に優れたイミダゾールを硬化剤または触媒として使用する場合もあるが、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂を使用した粉体塗料と比較すると塗膜物性に関して劣る傾向があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明はビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を使用した水道資材用粉体塗料に関し、良好な塗膜物性を持った粉体塗料及びその粉体塗料を使用して得られた水道資材を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った結果、ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂粉体塗料組成物に対し、硬化剤または触媒としてトリアジンアダクトしたイミダゾールを使用することにより、同基本骨格のイミダゾールを使用した場合よりも衝撃や変形に対する塗膜物性が向上する効果のあることを見いだした。
【0005】
即ち、本発明の水道資材用粉体塗料組成物は、ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂含有エポキシ樹脂粉体塗料組成物100重量部に対し、硬化剤としてトリアジンアダクトイミダゾールを0.1〜5重量部配合することを特徴とする。
【0006】
また、別の態様として、本発明の水道資材用粉体塗料組成物は、ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂含有エポキシ樹脂粉体塗料組成物100重量部に対し、触媒としてトリアジンアダクトイミダゾールを0.1〜5重量部配合することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
本発明で使用されるビスフェノールF型固形エポキシ樹脂は、常温(15〜25℃)で固体状態である。軟化点は、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。下限は、通常、60℃である。このようなエポキシ樹脂としては、従来からエポキシ樹脂粉体塗料の製造に用いられているビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を特に制限無く使用することができる。具体的には、ビスフェノールFジグリシジルエーテル樹脂、若しくはこの樹脂の置換基を他のものに置き換えたもの、例えば、CTBNやエステル化等の変成を行ったもの等を制限無く使用することができる。
【0009】
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂としては、エポキシ当量が、好ましくは600〜4000g/eq.、より好ましくは800〜3000g/eq.のものである。トリアジンアダクトイミダゾールを触媒として使用した場合、本発明で使用される硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応し、架橋結合を形成するものであれば特に限定されることなく、従来より使用されている各種の硬化剤を使用することができる。好ましい硬化剤としては、例えば、アミン化合物(例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタン等)や、酸無水物(例えば、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)等)、トリアジンアダクト以外のイミダゾール類(例えば、2−メチルイミダゾール等)、イミダゾリン類(例えば、2−フェニルイミダゾリン)、ポリアミド化合物、フェノール性水酸基を有する化合物(例えば、フェノール樹脂等)、ジシアンジアミド化合物またはその変成物、ヒドラジン化合物(例えば、アジピン酸ジヒドラジド等)等が挙げられる。
【0010】
上記硬化剤は、エポキシ樹脂100重量部に対し、0.3〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部の量で配合される。この量が、0.3重量部よりも少ない場合は、各硬化剤の特徴を粉体塗料に反映することが難しくなる。一方、この量が、20重量部よりも多くなると、塗料製造時の熱により、反応が生じ、塗膜形成能に障害を来たすばかりか、塗料の貯蔵安定性が著しく低下することとなり、好ましくない。
【0011】
このようにして得られる樹脂組成物には、必要に応じて、例えば、従来より粉体塗料に使用されている顔料や、その他の添加剤を使用することができる。顔料としては、具体的に挙げると、二酸化チタンや、ベンガラ、酸化鉄、亜鉛末粉、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料、イソインドリノン系顔料、各種焼成顔料等の着色顔料、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ガラスフレーク等の体質顔料がある。
【0012】
その他の添加剤としては、例えば、タレ防止剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗酸化剤などが挙げられ、任意に必要に応じて配合することができる。
【0013】
本発明において、上記ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を含む水道資材用粉体塗料組成物に配合されるトリアジンアダクトイミダゾールは、例えば、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加物などを挙げることができる。
【0014】
【化1】
【0015】
これらのトリアジンアダクトイミダゾールは、水道資材用粉体塗料組成物100重量部に対し、0.01〜5重量部、好ましくは0.03〜4重量部の量を配合する。トリアジンアダクトイミダゾールの量が0.01重量部未満であると、塗膜物性に対する明確な効果が現れず、本来の目的を達成することはできない。また、5重量部を越えると、塗料製造時の熱により、反応が生じ、塗膜形成能に障害を来たすばかりか、塗料の貯蔵安定性が著しく低下する。
【0016】
更に、融点が180℃以上のトリアジンアダクトしたイミダゾールを使用することにより、同基本骨格のイミダゾールを使用した場合と比較し、高分子量すなわち高融点であることから通常の粉体塗料製造工程中の練合時に融点に達しない。したがって、練合中に液状化せず、ある程度粒子状として塗料中に存在するため、長期室温貯蔵において反応が進み難いすなわち貯蔵安定性の向上も期待できる。例えばそれぞれの融点は、2−メチルイミダゾールが約141℃に対し、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジンは約253℃であり、2−ウンデシルイミダゾールが約72℃に対し、2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジンが約191℃であり、2−メチル−4−メチルイミダゾールが約41℃に対し、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1)’ 〕−エチル−s−トリアジンが約220℃であるためである。
【0017】
本発明においては、上記ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を含む水道資材用粉体塗料組成物には、粉体塗料の特性を更に改良するために、例えば、変成剤としては、石油樹脂や、尿素アルデヒド樹脂、テルペン等を適宜使用することができる。ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を含む水道資材用粉体塗料組成物やトリアジンアダクトイミダゾールは、これらの原料をナウターミキサーやヘンシェルミキサー等の混合機によって、室温で混合した後、1軸または2軸押出し機等の粉体塗料製造に常用される溶融混練機を用い、混練する。混練して形成されたペレットをピンミルやジェットミル等の粉砕機を用い、粉砕を行い、篩い等を用いて任意の粒度分布に調整する。トリアジンアダクトイミダゾールを含有する粉体塗料の平均粒径は、好ましくは、10〜150μm、より好ましくは、20〜120μmである。
【0018】
得られた粉体塗料は、予め100〜250℃に予熱した水道資材に粉体塗料をエアー圧によって吹き付けて塗装する方法や、静電塗装機による方法、流動浸漬等によって塗装し、室温での放冷またはその後熱風炉や、赤外炉、誘導加熱炉等で100〜250℃の物温度になるように加熱し硬化させることによって塗膜を形成することができる。また、ここでいう水道資材とは、直管や異形管、バルブその他など、通常、粉体塗装可能な水道資材全般をいう。
【0019】
【実施例】
以下、本発明について、以下の実施例及び比較例により、更に詳細に説明する。なお、実施例中、「部」、「%」は重量を基準とする。以下の実施例や比較例で使用した成分は以下の通りである。
【0020】
1.ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂
エピコートE4007P(ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂:エポキシ当量2270g/eq、軟化点108℃)
エピコートE4005P(ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂:エポキシ当量1110g/eq、軟化点92℃)
【0021】
2.硬化剤(トリアジンアダクトイミダゾールが触媒である場合の硬化剤)
(i)ADH(日本ヒドラジン工業社製:アジピン酸ジヒドラジド)
(ii)DAM(保土谷化学工業社製:4,4’−ジアミノジフェニルメタン)
(iii) 2PZL(四国化成工業社製:2−フェニルイミダゾリン)
【0022】
3.表面調整剤
アクロナール4F(BASF社製:表面調整剤)
【0023】
4.トリアジンアダクトイミダゾール
C11Z−A(四国化成工業社製:2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン)
【0024】
5.トリアジンアダクトイミダゾールと同基本骨格のイミダゾール
C11Z(四国化成工業社製:2−ウンデシルイミダゾール)
【0025】
<実施例Aの粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(C11Z−A)1.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0026】
<実施例Bの粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(ADH)4部、触媒(C11Z−A)1.0部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0027】
<実施例Cの粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(DAM)3部、触媒(C11Z−A)1.0部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0028】
<実施例Dの粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(2PZL)1.5部、触媒(C11Z−A)1.0部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0029】
<実施例Eの粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4005P)65部、硬化剤(C11Z−A)1.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0030】
<比較例a−1の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(C11Z)1.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0031】
<比較例a−2の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(C11Z)0.8部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0032】
<比較例b−1の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(ADH)4部、触媒(C11Z)1.0部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0033】
<比較例b−2の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(ADH)4部、触媒(C11Z)0.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0034】
<比較例c−1の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(DAM)3部、触媒(C11Z)1.0部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0035】
<比較例c−2の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(DAM)3部、触媒(C11Z)0.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0036】
<比較例d−1の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(2PZL)1.5部、触媒(C11Z)1.0部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0037】
<比較例d−2の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(2PZL)1.5部、触媒(C11Z)0.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0038】
<比較例e−1の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4005P)65部、硬化剤(C11Z)1.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0039】
<比較例e−2の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4005P)65部、硬化剤(C11Z)0.8部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0040】
上記実施例及び比較例で作製した全ての塗料を、電気炉にて物温200℃に加熱した板厚1.2mmの冷間圧延鋼板(ダル鋼板)に静電粉体塗装機(旭サナック社 PG−1型)を用い、−60KVの電圧で膜厚200〜400μm、塗装終了温度が130〜140℃になるように塗装し、その直後200℃で10分の雰囲気温度条件下にて焼き付けを行い、その後垂直方向に吊り下げ、そのまま室温になるまで放冷して塗装板を作成した。また、塩水噴霧試験用の塗装板については板厚2.3mmのサンドブラスト鋼板を使用し、その他条件は板厚1.2mmに準じて作成した。
【0041】
その後下記に記載した各種試験を行い、その結果を表1、2に示す。
【0042】
<塗膜の状態>
塗膜の状態を目視にて判定する。
【0043】
○:良好
△:やや劣る
×:不良
【0044】
<耐おもり落下性>
JIS K5600−5−3(デュポン式)に準拠
おもり落下に対する抵抗性を評価する。塗膜の割れ・はがれを生じないおもり落下高さを評価する。
【0045】
<耐カッピング性>
JIS K5600−5−2
塗膜が部分変形を受けた場合の割れまたは金属基板からのはがれに対する抵抗性を評価する。
【0046】
<塩水噴霧試験>
塗膜面に基材に達する傷を入れ、35℃で5%NaCl水溶液を1000時間連続噴霧した後の目視にて塗膜の状態、及び傷口にナイフを入れてのクリープ試験を行い、剥離幅を確認した。
【0047】
<170℃ゲルタイム>
熱板法
170℃に加温したホットプレートに、粉体塗料を2gのせて溶融させる。このとき金属棒を使用して塗料の一部を10cm引き上げ、糸引き状態を確認する。塗料が糸を引かず10cm以下で切れるようになった時間をゲルタイムとした。このゲルタイムにより170℃のおける各作製塗料の硬化速度を把握する。
【0048】
<貯蔵後の170℃ゲルタイム>
JIS C−2105に準拠(170℃/熱板法)
40℃の恒温器中に7日間保管し、同様にゲルタイムを測定した。
貯蔵前のゲルタイムと比較し、短縮した時間だけ貯蔵により硬化反応が進行したと判断した。
【0049】
<ゲルタイム保持率>
(<貯蔵後の170℃ゲルタイム>/<170℃ゲルタイム>)×100(%)から算出することにより、貯蔵前のゲルタイムが貯蔵後どの程度保持できているかを数値化した。したがって、保持率値の大きいほど貯蔵により硬化反応が進行せず、良好な貯蔵安定性を持った塗料と判断した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】
本発明の水道資材用粉体塗料組成物によって形成された塗膜は、外的な衝撃や変形に対する塗膜物性が良好で、品質的に安定した塗料及び水道資材の作製が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道資材用粉体塗料組成物及びその組成物が塗装された被塗物に関する。特に、本発明は、ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を使用した粉体塗料に関し、良好な塗膜物性を持った粉体塗料及びその粉体塗料を使用して得られた水道資材に関する。
【0002】
【従来の技術】
長期にわたって埋蔵される水道資材は、防食性を目的とした様々な塗装やライニング工法を経ている。粉体塗装に関しては、樹脂自体の防食性及び密着性の観点から通常エポキシ系粉体塗料を使用する。通常このような粉体塗料で膜厚を数百μm塗装する場合、予め塗装されていない水道資材を予熱しておき、粉体が被塗物に対して静電によって付着する力と被塗物に塗着するときに溶融して付着する力、または被塗物に塗着するときに溶融して付着する力のみによって目的とする膜厚になるように塗装し、室温にてそのまま放冷または必要に応じ、後加熱を行い反応硬化する条件まで加熱し硬化させる。最近では、エネルギーコスト面や作業者の環境を考慮し、低温で反応硬化するタイプのエポキシ系粉体塗料が主流となっている。そうした中、衛生性向上の理由からビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を使用した粉体塗料が採用されている。しかし、ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂はビスフェノールA型固形エポキシ樹脂と比較して、特に衝撃や変形に対する塗膜物性が悪い。そのため架橋密度を上げることにより塗膜物性を向上させる目的で反応性に優れたイミダゾールを硬化剤または触媒として使用する場合もあるが、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂を使用した粉体塗料と比較すると塗膜物性に関して劣る傾向があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明はビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を使用した水道資材用粉体塗料に関し、良好な塗膜物性を持った粉体塗料及びその粉体塗料を使用して得られた水道資材を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った結果、ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂粉体塗料組成物に対し、硬化剤または触媒としてトリアジンアダクトしたイミダゾールを使用することにより、同基本骨格のイミダゾールを使用した場合よりも衝撃や変形に対する塗膜物性が向上する効果のあることを見いだした。
【0005】
即ち、本発明の水道資材用粉体塗料組成物は、ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂含有エポキシ樹脂粉体塗料組成物100重量部に対し、硬化剤としてトリアジンアダクトイミダゾールを0.1〜5重量部配合することを特徴とする。
【0006】
また、別の態様として、本発明の水道資材用粉体塗料組成物は、ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂含有エポキシ樹脂粉体塗料組成物100重量部に対し、触媒としてトリアジンアダクトイミダゾールを0.1〜5重量部配合することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
本発明で使用されるビスフェノールF型固形エポキシ樹脂は、常温(15〜25℃)で固体状態である。軟化点は、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。下限は、通常、60℃である。このようなエポキシ樹脂としては、従来からエポキシ樹脂粉体塗料の製造に用いられているビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を特に制限無く使用することができる。具体的には、ビスフェノールFジグリシジルエーテル樹脂、若しくはこの樹脂の置換基を他のものに置き換えたもの、例えば、CTBNやエステル化等の変成を行ったもの等を制限無く使用することができる。
【0009】
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂としては、エポキシ当量が、好ましくは600〜4000g/eq.、より好ましくは800〜3000g/eq.のものである。トリアジンアダクトイミダゾールを触媒として使用した場合、本発明で使用される硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応し、架橋結合を形成するものであれば特に限定されることなく、従来より使用されている各種の硬化剤を使用することができる。好ましい硬化剤としては、例えば、アミン化合物(例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタン等)や、酸無水物(例えば、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)等)、トリアジンアダクト以外のイミダゾール類(例えば、2−メチルイミダゾール等)、イミダゾリン類(例えば、2−フェニルイミダゾリン)、ポリアミド化合物、フェノール性水酸基を有する化合物(例えば、フェノール樹脂等)、ジシアンジアミド化合物またはその変成物、ヒドラジン化合物(例えば、アジピン酸ジヒドラジド等)等が挙げられる。
【0010】
上記硬化剤は、エポキシ樹脂100重量部に対し、0.3〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部の量で配合される。この量が、0.3重量部よりも少ない場合は、各硬化剤の特徴を粉体塗料に反映することが難しくなる。一方、この量が、20重量部よりも多くなると、塗料製造時の熱により、反応が生じ、塗膜形成能に障害を来たすばかりか、塗料の貯蔵安定性が著しく低下することとなり、好ましくない。
【0011】
このようにして得られる樹脂組成物には、必要に応じて、例えば、従来より粉体塗料に使用されている顔料や、その他の添加剤を使用することができる。顔料としては、具体的に挙げると、二酸化チタンや、ベンガラ、酸化鉄、亜鉛末粉、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料、イソインドリノン系顔料、各種焼成顔料等の着色顔料、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ガラスフレーク等の体質顔料がある。
【0012】
その他の添加剤としては、例えば、タレ防止剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗酸化剤などが挙げられ、任意に必要に応じて配合することができる。
【0013】
本発明において、上記ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を含む水道資材用粉体塗料組成物に配合されるトリアジンアダクトイミダゾールは、例えば、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加物などを挙げることができる。
【0014】
【化1】
【0015】
これらのトリアジンアダクトイミダゾールは、水道資材用粉体塗料組成物100重量部に対し、0.01〜5重量部、好ましくは0.03〜4重量部の量を配合する。トリアジンアダクトイミダゾールの量が0.01重量部未満であると、塗膜物性に対する明確な効果が現れず、本来の目的を達成することはできない。また、5重量部を越えると、塗料製造時の熱により、反応が生じ、塗膜形成能に障害を来たすばかりか、塗料の貯蔵安定性が著しく低下する。
【0016】
更に、融点が180℃以上のトリアジンアダクトしたイミダゾールを使用することにより、同基本骨格のイミダゾールを使用した場合と比較し、高分子量すなわち高融点であることから通常の粉体塗料製造工程中の練合時に融点に達しない。したがって、練合中に液状化せず、ある程度粒子状として塗料中に存在するため、長期室温貯蔵において反応が進み難いすなわち貯蔵安定性の向上も期待できる。例えばそれぞれの融点は、2−メチルイミダゾールが約141℃に対し、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジンは約253℃であり、2−ウンデシルイミダゾールが約72℃に対し、2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジンが約191℃であり、2−メチル−4−メチルイミダゾールが約41℃に対し、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1)’ 〕−エチル−s−トリアジンが約220℃であるためである。
【0017】
本発明においては、上記ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を含む水道資材用粉体塗料組成物には、粉体塗料の特性を更に改良するために、例えば、変成剤としては、石油樹脂や、尿素アルデヒド樹脂、テルペン等を適宜使用することができる。ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂を含む水道資材用粉体塗料組成物やトリアジンアダクトイミダゾールは、これらの原料をナウターミキサーやヘンシェルミキサー等の混合機によって、室温で混合した後、1軸または2軸押出し機等の粉体塗料製造に常用される溶融混練機を用い、混練する。混練して形成されたペレットをピンミルやジェットミル等の粉砕機を用い、粉砕を行い、篩い等を用いて任意の粒度分布に調整する。トリアジンアダクトイミダゾールを含有する粉体塗料の平均粒径は、好ましくは、10〜150μm、より好ましくは、20〜120μmである。
【0018】
得られた粉体塗料は、予め100〜250℃に予熱した水道資材に粉体塗料をエアー圧によって吹き付けて塗装する方法や、静電塗装機による方法、流動浸漬等によって塗装し、室温での放冷またはその後熱風炉や、赤外炉、誘導加熱炉等で100〜250℃の物温度になるように加熱し硬化させることによって塗膜を形成することができる。また、ここでいう水道資材とは、直管や異形管、バルブその他など、通常、粉体塗装可能な水道資材全般をいう。
【0019】
【実施例】
以下、本発明について、以下の実施例及び比較例により、更に詳細に説明する。なお、実施例中、「部」、「%」は重量を基準とする。以下の実施例や比較例で使用した成分は以下の通りである。
【0020】
1.ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂
エピコートE4007P(ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂:エポキシ当量2270g/eq、軟化点108℃)
エピコートE4005P(ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂:エポキシ当量1110g/eq、軟化点92℃)
【0021】
2.硬化剤(トリアジンアダクトイミダゾールが触媒である場合の硬化剤)
(i)ADH(日本ヒドラジン工業社製:アジピン酸ジヒドラジド)
(ii)DAM(保土谷化学工業社製:4,4’−ジアミノジフェニルメタン)
(iii) 2PZL(四国化成工業社製:2−フェニルイミダゾリン)
【0022】
3.表面調整剤
アクロナール4F(BASF社製:表面調整剤)
【0023】
4.トリアジンアダクトイミダゾール
C11Z−A(四国化成工業社製:2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン)
【0024】
5.トリアジンアダクトイミダゾールと同基本骨格のイミダゾール
C11Z(四国化成工業社製:2−ウンデシルイミダゾール)
【0025】
<実施例Aの粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(C11Z−A)1.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0026】
<実施例Bの粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(ADH)4部、触媒(C11Z−A)1.0部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0027】
<実施例Cの粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(DAM)3部、触媒(C11Z−A)1.0部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0028】
<実施例Dの粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(2PZL)1.5部、触媒(C11Z−A)1.0部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0029】
<実施例Eの粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4005P)65部、硬化剤(C11Z−A)1.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0030】
<比較例a−1の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(C11Z)1.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0031】
<比較例a−2の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(C11Z)0.8部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0032】
<比較例b−1の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(ADH)4部、触媒(C11Z)1.0部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0033】
<比較例b−2の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(ADH)4部、触媒(C11Z)0.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0034】
<比較例c−1の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(DAM)3部、触媒(C11Z)1.0部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0035】
<比較例c−2の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(DAM)3部、触媒(C11Z)0.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0036】
<比較例d−1の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(2PZL)1.5部、触媒(C11Z)1.0部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0037】
<比較例d−2の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4007P)65部、硬化剤(2PZL)1.5部、触媒(C11Z)0.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0038】
<比較例e−1の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4005P)65部、硬化剤(C11Z)1.5部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0039】
<比較例e−2の粉体塗料作製>
ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(E4005P)65部、硬化剤(C11Z)0.8部、表面調整剤1部、体質顔料(硫酸バリウム)25部、着色顔料(二酸化チタン及びカーボンブラック)5部及び0.5部の成分を室温混合、溶融混練、粉砕、分級を行い、平均粒径80μmの粉体塗料を作製した。
【0040】
上記実施例及び比較例で作製した全ての塗料を、電気炉にて物温200℃に加熱した板厚1.2mmの冷間圧延鋼板(ダル鋼板)に静電粉体塗装機(旭サナック社 PG−1型)を用い、−60KVの電圧で膜厚200〜400μm、塗装終了温度が130〜140℃になるように塗装し、その直後200℃で10分の雰囲気温度条件下にて焼き付けを行い、その後垂直方向に吊り下げ、そのまま室温になるまで放冷して塗装板を作成した。また、塩水噴霧試験用の塗装板については板厚2.3mmのサンドブラスト鋼板を使用し、その他条件は板厚1.2mmに準じて作成した。
【0041】
その後下記に記載した各種試験を行い、その結果を表1、2に示す。
【0042】
<塗膜の状態>
塗膜の状態を目視にて判定する。
【0043】
○:良好
△:やや劣る
×:不良
【0044】
<耐おもり落下性>
JIS K5600−5−3(デュポン式)に準拠
おもり落下に対する抵抗性を評価する。塗膜の割れ・はがれを生じないおもり落下高さを評価する。
【0045】
<耐カッピング性>
JIS K5600−5−2
塗膜が部分変形を受けた場合の割れまたは金属基板からのはがれに対する抵抗性を評価する。
【0046】
<塩水噴霧試験>
塗膜面に基材に達する傷を入れ、35℃で5%NaCl水溶液を1000時間連続噴霧した後の目視にて塗膜の状態、及び傷口にナイフを入れてのクリープ試験を行い、剥離幅を確認した。
【0047】
<170℃ゲルタイム>
熱板法
170℃に加温したホットプレートに、粉体塗料を2gのせて溶融させる。このとき金属棒を使用して塗料の一部を10cm引き上げ、糸引き状態を確認する。塗料が糸を引かず10cm以下で切れるようになった時間をゲルタイムとした。このゲルタイムにより170℃のおける各作製塗料の硬化速度を把握する。
【0048】
<貯蔵後の170℃ゲルタイム>
JIS C−2105に準拠(170℃/熱板法)
40℃の恒温器中に7日間保管し、同様にゲルタイムを測定した。
貯蔵前のゲルタイムと比較し、短縮した時間だけ貯蔵により硬化反応が進行したと判断した。
【0049】
<ゲルタイム保持率>
(<貯蔵後の170℃ゲルタイム>/<170℃ゲルタイム>)×100(%)から算出することにより、貯蔵前のゲルタイムが貯蔵後どの程度保持できているかを数値化した。したがって、保持率値の大きいほど貯蔵により硬化反応が進行せず、良好な貯蔵安定性を持った塗料と判断した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】
本発明の水道資材用粉体塗料組成物によって形成された塗膜は、外的な衝撃や変形に対する塗膜物性が良好で、品質的に安定した塗料及び水道資材の作製が可能となる。
Claims (4)
- ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂含有エポキシ樹脂粉体塗料組成物100重量部に対し、硬化剤としてトリアジンアダクトイミダゾールを0.01〜5重量部配合する水道資材用粉体塗料組成物。
- ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂含有エポキシ樹脂粉体塗料組成物100重量部に対し、触媒としてトリアジンアダクトイミダゾールを0.01〜5重量部配合する水道資材用粉体塗料組成物。
- トリアジンアダクトイミダゾールが、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の水道資材用粉体塗料組成物。
- 請求項1から3のいずれかに記載の水道資材用粉体塗料組成物を塗装したことを特徴とする水道資材。
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2003
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