JP2004263042A - 分解ゴムのグラフト変性ポリマー、その製造方法およびゴムとカーボンブラックとの分離方法 - Google Patents

分解ゴムのグラフト変性ポリマー、その製造方法およびゴムとカーボンブラックとの分離方法 Download PDF

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Motofumi Sai
源文 崔
Takashi Shikakubo
隆志 鹿久保
Takeshi Endo
剛 遠藤
Koki Yamazaki
弘毅 山崎
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Abstract

【課題】効率良く、連続してしかも容易に分解ゴムのグラフト変性ポリマーを得ることができる該ポリマーの製造方法、および、再利用できる分野が広い該ポリマーの提供、ならびに、上記ポリマーの特性を生かした、ゴム組成物に含まれるゴムとカーボンブラック(CB)との分離方法の提供。
【解決手段】ゴム組成物の分解工程と、前記分解されたゴムにラジカル開始剤の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物をグラフト反応させる反応工程とを含む、分解ゴムのグラフト変性ポリマーの製造方法およびそれにより得られる該ポリマー、ならびに、ゴムとCBを含有するゴム組成物の分解工程と、前記反応工程と、前記グラフト反応させたポリマーと前記CBを分離する分離工程と、を含む、前記ゴム組成物のゴムとCBとの分離方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分解ゴムのグラフト変性ポリマー、その製造方法およびゴム組成物に含まれるゴムとカーボンブラックとの分離方法に関し、特に、効率良く、連続してしかも容易に分解ゴムのグラフト変性ポリマーを得ることができる該グラフト変性ポリマーの製造方法、それにより得られる再利用できる分野が広い該ポリマー、および容易にかつ高い分離能で分離できる、ゴム組成物に含まれるゴムとカーボンブラックとの分離方法に関する。
また、該ポリマーを含有するゴム組成物または樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物、特に産業廃棄物からの原材料回収またはそれらの再利用は重要な社会的課題である。
産業廃棄物として各種ゴム廃材、例えば、排出量の多いタイヤ等のゴム廃材についても原材料回収または再利用が強く望まれており、加硫されたゴム廃材からゴム等を回収する技術が研究され、種々報告、提案等がなされている。
【0003】
これらの報告、提案例として、例えば、高温下(通常500℃以上)または高圧下(通常2MPa以上)でゴム廃材を分解する方法が知られており、該方法に用いる触媒、溶媒等も種々提案されている。(例えば、特許文献1〜5参照。)また、他の報告、提案例として、例えば、特定の再生剤もしくは脱硫剤またはこれらと少量の高沸点有機液状物を用い、ゴム廃材をロール機や密閉式混練機等を用いて素練りを施し、その際に生じる機械的せん断力や熱、あるいは外部から加えた熱によって硫黄架橋を切断させる加硫ゴムの再生方法もしくは脱硫方法が提案されている。(例えば、特許文献6〜8参照。)
これらの他にも、加硫された各種ゴム廃材からゴム等を回収する技術が報告、提案され、ゴムの回収法として知られている。
【0004】
しかし、上記した高温下または高圧下でゴム廃材を分解する方法(特許文献1〜5)では、ゴム成分はガス状の低分子炭化水素またはオイルとして回収されるにすぎず、ゴム原料としてそのまま利用し得るような高分子量のゴムとして回収することは困難である。
また、上記加硫ゴムの再生方法もしくは脱硫方法(特許文献6〜8)では、再生または脱硫されたゴムとして、ある程度の機械的特性(例えば、引張り強度、引張り応力、破断時伸び等)を有するが、これらの方法で得られる再生ゴム等は、その分子量が小さく、また分子量分布も広く、上記特性を有していても、これらの再生ゴム等を利用できる分野は限られてしまうのが現状である。特にこれらの再生ゴム等は、その分子内に置換基(官能基)等を持たないためなおさらである。該再生ゴム等に置換基を持たせるには、該官能基等を導入させる工程等を新たに行う必要がありゴムの回収、反応工程が煩雑になり、製造工程の簡素化、短縮化等の製造効率の向上、コスト削減等が求められる近年の産業界においては、到底採用しがたいものである。
【0005】
一方、上記した加硫ゴムの再生方法もしくは脱硫方法(特許文献6〜8)においては、分解処理するゴム組成物にカーボンブラックが含有されていると、回収されるゴムとカーボンブラックとの分離が効率良く行われず、得られる回収ゴムまたはそれを含むゴム組成物にカーボンブラックが含まれ着色してしまう場合がある。
回収ゴム等が着色してしまうと、回収ゴムの外観が劣り、該回収ゴムの再利用できる用途が、ゴムの外観が問題にならないような用途(分野、例えば、機械内部等)または該着色が問題とならないような用途(分野、例えば、着色剤等を配合する用途等)に限定されてしまう。
【0006】
リサイクルの実施、コスト削減等が求められる近年の産業界においては、様々の用途(分野)に用いられるバージンゴムまたはその組成物の代りに使用できる回収したゴムまたはその組成物を得る技術の確立が当面の大きな課題である。
すなわち、種々の用途に使用できるゴムおよび種々の用途に使用できカーボンブラックを含有しない(高純度の)ゴム、ならびに、それらの回収方法を提供することが切望されている。
【0007】
【特許文献1】
米国特許3,704,108号明細書
【特許文献2】
米国特許3,996,022号明細書
【特許文献3】
欧州特許71789号明細書
【特許文献4】
特開昭60−40193号公報
【特許文献5】
特開平7−310076号公報
【特許文献6】
特開平8−337603号公報
【特許文献7】
特開平11−323004号公報
【特許文献8】
特開昭54−117594号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、種々の用途に使用し得る分解ゴムおよびその組成物、ならびに、それらの製造方法を提供することを目的とする。
具体的には、本発明は、効率良く、連続してしかも容易に分解ゴムのグラフト変性ポリマーを得ることができる該グラフト変性ポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
また、該方法により得られる、再利用できる分野が広い、分解ゴムのグラフト変性ポリマーを提供することを目的とする。
さらに、該分解ゴムのグラフト変性ポリマーの特性を生かして、容易かつ分離能が高い、ゴム組成物に含まれるゴムとカーボンブラックとの分離方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ゴム廃材(ゴム組成物)を分解して得られるゴムまたはゴム組成物(本発明において、「分解ゴム等」という。)の物性、製造方法等について鋭意検討したところ、該ゴム廃材(ゴム組成物)から効率良く連続してしかも容易に分解ゴムのグラフト変性したポリマーを製造でき、かつ得られるグラフト変性ポリマーが広い分野に再利用し得ることを知見した。また、本発明者らは、該グラフト変性ポリマーが、分解されるゴム組成物に含まれていたカーボンブラックとの高い分離能を有することを知見しこれに着目して分解されるゴム組成物に含まれるゴムとカーボンブラックとを容易にかつ高い分離能で分離できることを知見した。
本発明は、上記知見を基になされたものであって、以下の(1)〜(8)を提供する。
【0010】
すなわち、(1)ゴム組成物を分解する分解工程と、前記工程により得られる分解ゴムに、ラジカル開始剤の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物をグラフト反応させる反応工程とを含む、分解ゴムのグラフト変性ポリマーの製造方法。
ここで、前記ゴム組成物は、ゴム単独であってもよく、各種添加剤等を含有する組成物であってもよい。また、前記炭素−炭素二重結合を有する化合物は、単量体(モノマー)、オリゴマーおよびポリマーのいずれであってもよく、単量体であるのが好ましい。該単量体としては、ビニル型単量体、ビニリデン型単量体が好ましい。前記ラジカル開始剤は、過酸化物系化合物、脂肪族アゾ化合物等が用いられる。
【0011】
(2)前記分解工程が、加熱処理による分解工程または過酸化物処理による分解工程である上記(1)に記載の分解ゴムのグラフト変性ポリマーの製造方法。ここで、前記加熱処理による分解工程は、低温熱分解方法、有機溶媒中での加熱方法(例えば、キシレン等の高沸点溶媒中での加熱処理)等が挙げられる。
分解工程は、低温熱分解方法、過酸化物処理による分解工程であるのが好ましい。
上記低温熱分解方法とは、ゴム組成物(ゴム成形品)に、220〜400℃の温度で実質的に加熱前の外形を保持しうる熱処理を加える方法である。
【0012】
(3)上記(1)または(2)に記載の分解ゴムのグラフト変性ポリマーの製造方法により得られる分解ゴムのグラフト変性ポリマー。
【0013】
(4)上記(3)に記載の分解ゴムのグラフト変性ポリマーを含有する組成物。
ここで、前記組成物は、前記分解ゴムのグラフト変性ポリマーを含有するゴム組成物または樹脂組成物である。
【0014】
(5)ゴムとカーボンブラックを含有するゴム組成物を分解する分解工程と、前記工程により得られる分解ゴムにラジカル開始剤の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物をグラフト反応させる反応工程と、前記グラフト反応させたグラフト変性ポリマーと前記カーボンブラックを分離する分離工程とを含む、前記ゴム組成物に含まれる、ゴムとカーボンブラックとの分離方法。
【0015】
(6)前記分解工程が、加熱処理による分解工程または過酸化物処理による分解工程である上記(5)に記載のゴムとカーボンブラックとの分離方法。
【0016】
(7)上記(5)または(6)に記載のゴムとカーボンブラックとの分離方法により得られる分解ゴムのグラフト変性ポリマー。
【0017】
(8)上記(7)に記載の分解ゴムのグラフト変性ポリマーを含有する組成物。
ここで、前記組成物は、前記分解ゴムのグラフト変性ポリマーを含有するゴム組成物または樹脂組成物である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、ゴムまたはゴム組成物(以下、単に「ゴム等」という。)を分解処理して得られる分解ゴム等に、ラジカル開始剤の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物をグラフト反応させて得られる分解ゴムのグラフト変性ポリマー(以下、「本発明のポリマー」という。)およびそれを含むゴム組成物または樹脂組成物ならびにそれらの製造方法である。
分解ゴムのグラフト変性ポリマーの製造方法(以下、「本発明の方法」という。)により得られる本発明のポリマーは、上記炭素−炭素二重結合を有する化合物が分解ゴムにグラフト重合したポリマーであるため、その特性を生かして、該ポリマー単独でまたはゴム組成物もしくは樹脂組成物として種々の用途に再利用できる。
【0019】
また、該ポリマーは、カーボンブラックとの分離能が特に優れるという特性を持ち、該ポリマーとカーボンブラックとの分離が容易かつ高い分離能でその製造中に行えるという特徴を有する。
すなわち、本発明は、ゴムとカーボンブラックを含有するゴム組成物を分解する分解工程と、該工程により得られる分解ゴムに、ラジカル開始剤の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物をグラフト反応させる反応工程と、該グラフト反応させたグラフト変性ポリマーと上記カーボンブラックを分離する分離工程と、を含む、上記ゴム組成物に含まれる、ゴムとカーボンブラックとの分離方法およびそれにより得られるポリマーならびにそれを含有するゴム組成物または樹脂組成物である。
【0020】
これにより、カーボンブラックを含有しない分解ゴムのグラフト変性ポリマーが得られ、該ポリマー単独でまたはそれを含むゴム組成物もしくは樹脂組成物として、外観に優れ種々の用途に再利用できる。
なお、上記ゴムとカーボンブラックとの分離方法は、分解ゴムとカーボンブラックとの分離方法、または分解ゴムのグラフト変性ポリマーとカーボンブラックとの分離方法と言うこともできる。
【0021】
まず、本発明の方法を説明する。
本発明の方法は、上記したように、まずゴム組成物を分解する分解工程を行う。
該ゴム組成物は、ゴム単独であってもよく、各種添加剤等を含有する組成物であってもよい。
該ゴム組成物またはゴムは、特に制限されず、加硫されていても、加硫されていなくてもよく、部分的に加硫されているもの、加硫度が充分でないものも含まれる。また、該ゴム組成物は成形されたものであってもよい。
【0022】
該ゴム組成物に含有されるゴムまたは単独で用いられるゴムとしては、ジエン系ゴムが好ましく、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR、NIR、NBIR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が挙げられる。上記ゴムは、1種を用いても、2種以上を併用して用いても、また、これらをブレンドして用いてもよい。
【0023】
該ゴム組成物は、上記ゴムの他に、充填剤、加硫剤、公知の樹脂、他のエラストマー、各種配合剤、ゴム副資材を広く含有していてもよく、各種配合剤として、例えば、活性剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、粘着剤、粘着付与剤、硬化剤、発泡剤、発泡助剤、補強剤、老化防止剤、着色剤、顔料、難燃剤、離型剤等が挙げられる。
上記ゴム副資材としては、例えば、スチールコード等の鋼材、ポリエステルカーカスコード等の繊維等が挙げられる。
これらの各成分の含有量も特に限定されない。
【0024】
本発明においては、ゴム組成物として、カーボンブラックを含有しているゴム組成物を用いることができる。
今日普及している工業用ゴムにカーボンブラック等の充填剤が配合されているという現実を考慮すると、カーボンブラックを含有するゴム組成物を使用できることは、産業上の利用価値が絶大なものであるということが理解できる。
また、本発明のポリマーは、その製造工程において、カーボンブラックと容易にかつ高い分離能で分離できるため(つまり、分解されるゴム組成物に含まれるゴムまたは分解ゴムとカーボンブラックが容易にかつ高い分離能で分離できるため)、本発明のポリマーにはカーボンブラックが含まれずその再利用できる用途(例えば、優れた外観性が要求される分野、カーボンブラックを含有しないゴム組成物を用いる分野等)が広がり、カーボンブラックを含有するゴム組成物から回収したゴムの再利用方法として、産業上非常に有益である。
該分解されるゴム組成物中のカーボンブラックの含量は、特に限定されないが、上記ゴム100質量部に対して、20質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましい。
【0025】
上記ゴム組成物が成形されたものとしては、具体的に、例えば、天然ゴムタイヤ、合成ゴムタイヤ、ブラダー、ライナー等の自動車用ゴム部品;ケーブル、ベルト、ホース、シート、パッキン等のゴム製品;および精錬屑、加工屑等の成形屑ゴム等を挙げることができる。これらは、必ずしも使用されたものでなくてもよいが、ゴム廃材であることが望ましい。
未使用のゴム廃材としては、例えば、タイヤ等のゴム製品を製造する際に、混練り、成形工程等で排出される早期加硫、加硫むら(焼け、スコーチ)を起こしたゴム破材、加硫工程で排出されるいわゆるだれ等を起こした不良ゴム製品、加硫部分と未加硫部分とが混在したもの、全体的に架橋の程度が低いもの、鋼材、有機繊維等の他部材が付着したもの等の様々な形態の成形屑を挙げることができる。
これらのうちでも、タイヤあるいはその成形屑ゴムは、天然ゴムおよびイソプレンを高純度で回収しうるゴム廃材であり、好ましい。またブチルゴム原料の自動車用ゴム部品廃材等も好ましい。
【0026】
上記分解されるゴム等の形状は、特に限定されないが、分解処理による分解効率等を考慮して適当な大きさに切断し細分化するのが好ましい。
【0027】
ゴム組成物を分解する分解工程は、ゴム組成物または該ゴム組成物に含まれるゴムを分解できる方法であれば特に限定されず、公知の方法を選択できる。この場合において、分解工程により得られる分解ゴムの分子量等の特性も特に限定されず、分解ゴム等に要求される特性に応じて分解工程を選択することができる。分解工程としては、分解作業が容易で、回収率が高く、得られる回収ポリマーの分子量が大きくなるため、加熱処理による分解工程(低温熱分解方法、有機溶媒中での加熱方法(例えば、キシレン等の高沸点溶媒中での加熱処理)等)、過酸化物処理による分解工程のいずれか1種以上であるのが好ましく、後述するグラフト反応への移行が容易である点で、低温熱分解方法または過酸化物処理による分解工程(以下、「過酸化物処理方法」という。)がより好ましい。また、過酸化物処理方法では、該方法に用いる過酸化物が本発明の方法におけるラジカル開始剤にもなり得るため好ましい。
【0028】
上記低温熱分解法は、簡単に説明すると、ゴム組成物(ゴム成形品)に、220〜400℃の温度で実質的に加熱前の外形を保持しうる熱処理を加える方法であり、その後、後述する本発明の反応工程に付される。
【0029】
該熱処理は、ゴム成形品に220〜400℃での熱処理を加えるが、この熱処理は、実質的に加熱前の外形を保持しうるように行われる。
なお、本明細書において、実質的に加熱前の外形を保持するとは、外見上の分解変形を生じないことを意味し、例えば、立方体形状のゴム成形品は熱処理しても略立方体形状を保持していることを意味する。
【0030】
加熱装置としては、オーブン、管状炉等を用いることができる。
加熱は、ゴムの変性(酸化)を避ける必要がある場合には不活性雰囲気で行うことが好ましい。加熱条件は、加熱原料(ゴム成形品)、処理雰囲気等によっても異なるが、220〜400℃の温度範囲で、回収ゴムの所望分子量、収率等により適宜選択される。回収されるゴムの分子量および収率は、加熱時間よりも温度の影響を受ける傾向があり、具体的に上記温度範囲のうちでも低温側ではより高分子量のゴムを回収可能であるが収率は低下し、高温側では高収率であるが分子量は低下する傾向がある。
【0031】
上記熱処理温度は常圧下での温度である。熱処理は、通常、常圧下で行われるが、これに限られない。
熱処理時間は加熱環境にもよるが、通常10分程度であればよく、好ましくは15分程度である。
その他の方法、条件等は、特開2002−265664号公報に詳しく記載されている。
なお、本発明においては、上記熱処理後に、特開2002−265664号公報に記載の方法に従って有機溶媒で分解ゴムを抽出後、本発明の反応工程を行ってもよい。
【0032】
上記過酸化物処理方法は、簡単に説明すると、過酸化物を0.01〜100%含有する有機溶剤に、加硫ゴムと少なくとも充填剤とを含有する加硫ゴム組成物を、加硫ゴム組成物(mg)/有機溶剤(ml)比が30以下となるように浸せきまたは浸せき撹はんし、加硫ゴム組成物を液状化させる方法である。
【0033】
ここで、加硫ゴムは、これらのゴムに適した公知の加硫剤で加硫されていればよく、加硫剤としては、例えば、非元素イオウ加硫剤、ビスモルホリンジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、有機過酸化物、キノンジオキシム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、過酸化亜鉛等が挙げられる。
【0034】
該方法において、処理液として過酸化物を含有する有機溶剤を用いる。
有機溶剤としては、常圧常温下で液状であって、過酸化物を溶解しうるものであれば公知のものを広く用いることができる。具体的には炭化水素、アルコール等を挙げることができ、炭化水素は、飽和または不飽和いずれであってもよく、芳香族、脂肪族、脂環族等に特に限定されない。
上記アルコール類は、市販品のように水を含むものであってもよく、またこれをさらに水で希釈したものであってもよい。
上記のうちでも、加硫ゴム組成物を常温で膨潤しうるものが好ましく、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましく用いられる。
【0035】
過酸化物としては、公知の有機過酸化物を広く用いることができるが、具体的には、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(商品名パークミルP(日本油脂社製)等)、t−ブチルハイドロパーオキサイド(80%ジ−t−ブチルパーオキサイド溶液等)、p−メタンハイドロパーオキサイド(商品名パーメンタH(日本油脂社製)等)、クメンハイドロパーオキサイド(商品名パークミルH−80(日本油脂社製)等)等の有機過酸化物;t−ブチルハイドロパーオキサイドとテトラエチレンペンタミン等とのレドックス系触媒;過硫酸アンモニウム;アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル発生剤等も挙げることができる。これら過酸化物は、爆発防止のために水等を含んでいてもよい。
これらのうちでも特に過酸化ベンゾイルが好ましい。
【0036】
本発明において加硫ゴム組成物を液状化させる処理液は、上記の有機溶剤に過酸化物を0. 01〜100%、好ましくは0.1〜25%、さらに好ましくは0.5〜10%の濃度で含有するものを用いる。この範囲であると、反応が効率的に進むという利点がある。該処理液は、有機溶剤および/または過酸化物を2種以上含有していてもよい。
【0037】
本発明においては、処理液として、好ましくは過酸化ベンゾイルを0.01〜100%含有するトルエン溶液を用いることができる。また処理液は、上記過酸化物を含む有機溶剤をベースとして、本発明の目的を損なわない範囲であれば必要に応じて他の成分を含有していてもよい。
【0038】
本発明の分離工程において、過酸化物を含有した上記有機溶剤中にゴム組成物を浸せき又は浸せき撹はんするが、この際、ゴム組成物と有機溶剤との比、ゴム組成物(mg)/有機溶剤(ml)が30以下、好ましくは15以下、さらに好ましくは5以下となるように浸せき又は浸せき撹はんする。この比が100を超えると、ゴム等の分解速度が遅くなる場合があり好ましくない。
その他の方法、条件等は、国際公開第00/69953号パンフレットに詳しく記載されている。
なお、該過酸化物処理方法では、上記有機溶媒に浸せきしたまま、本発明の反応工程に付してもよく、過酸化物を処理してから、または有機溶媒を濃縮してから本発明の反応工程に付してもよい。
【0039】
次に、本発明の方法では、このようにして得られる分解ゴムに、ラジカル開始剤の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物をグラフト反応させる反応工程を行う。
【0040】
本発明の方法で用いられる炭素−炭素二重結合を有する化合物は、単量体(モノマー)、オリゴマーおよびポリマーのいずれであってもよく、取り扱い性およびグラフト反応性が高い点で、単量体であるのが好ましい。
該単量体としては、特に制限されないが、ビニル型単量体、ビニリデン型単量体、ビニレン型単量体、フッ素原子を置換基として有するビニレン型単量体または他置換エチレンであるのがより好ましく、グラフト反応性がより高い点で、ビニル型単量体、ビニリデン型単量体が特に好ましい。
これらの単量体としては、ラジカル重合に通常用いられるものを特に制限なく使用することができる。
【0041】
ビニル型単量体としては、好ましくは、例えば、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、アクロレイン、塩化ビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。
ビニリデン型単量体としては、好ましくは、例えば、α−置換スチレン、α−置換アクリル酸エステル、α−置換アクリロニトリル等が挙げられ、その他の単量体としてメタクリル酸等も好ましく挙げられる。
これらの中でも、反応性に優れる点で、α−置換アクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン等がより好ましい。
【0042】
該炭素−炭素二重結合を有する化合物は、単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
該化合物は、グラフト反応の溶媒となりうる点で、グラフト反応条件下で液状であるのが好ましい。
【0043】
該炭素−炭素二重結合を有する化合物はグラフト反応の溶媒として用いることができるため、その使用量は特に限定されないが、一般に、上記分解する前のゴムまたはゴム組成物100質量部に対して、10質量部以上であるのが好ましく、100質量部以上であるのが特に好ましい。その上限も特に制限されないが、コスト低減および作業効率の点で、同様に20000質量部以下であるのが好ましく、1000質量部以下であるのが特に好ましい。
【0044】
ラジカル開始剤としては、ラジカル重合に通常用いられるものを特に制限なく使用することができるが、過酸化物系化合物または脂肪族アゾ化合物等が好ましい。
過酸化物系化合物としては、例えば、ジアシルペルオキシド、過酸エステル、ヒドロキシペルオキシド(過酸化ベンゾイル)、ジアルキルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等の各化合物等が挙げられる。
脂肪族アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)等が挙げられる。
これらの中でも、より低い温度でも開始剤として機能する点で、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルがより好ましい。
該ラジカル開始剤は、単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
該ラジカル開始剤の使用量は、特に制限されず通常用いられる使用量でよい。一般的には、上記分解する前のゴムまたはゴム組成物と上記炭素−炭素二重結合を有する化合物の合計100質量部に対して、0.1〜100質量部であるのが好ましく、1〜20質量部であるのがより好ましい。
【0045】
グラフト反応は、上記ラジカル開始剤の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物と上記分解ゴムとを反応させることにより行われる。
【0046】
反応温度、反応時間は、上記ラジカル開始剤、炭素−炭素二重結合を有する化合物に大きく依存するため、適宜条件を選択するのが好ましい。一般的には、反応温度は、20〜200℃であるのが好ましく、20〜150℃であるのがより好ましい。同様に、反応時間は、1分〜24時間であるのが好ましく、10分〜12時間であるのがより好ましい。
グラフト反応においては、反応系内を均一にするため、撹はんするのが好ましく、また、ゴムの変性(酸化)を避ける必要がある場合等には窒素ガス中等の不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
なお、必要に応じて、系内を加圧または減圧してもよい。
【0047】
該グラフト反応において、反応溶媒は、用いても用いなくてもよく、上記炭素−炭素二重結合を有する化合物で代用してもよい。この場合は、グラフト反応条件(温度、圧力等)下において、液状である該化合物を用いるのが好ましい。
【0048】
その他、グラフト反応の条件、後処理等は、用いるラジカル開始剤および炭素−炭素二重結合を有する化合物に応じて、通常用いられる条件・手段を選択できる。
本発明の方法において、上記グラフト反応終了後は、得られるグラフト変性ポリマーを有機溶媒等を用いて再沈殿等して得るのが好ましい。具体的な再沈殿等の方法は後述する濃縮、再結晶化、再沈殿化方法等が挙げられる。
【0049】
本発明の好ましい方法は、具体的には、
1)ゴム組成物を分解する分解工程と、
2)該分解工程により得られる分解ゴムに、ラジカル開始剤の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物をグラフト反応させる反応工程と、
3)該グラフト反応させたグラフト変性ポリマーを有機溶媒に溶解し、不溶物(例えば、分解されずに残ったゴム組成物)と固液分離する分離工程と、
4)該有機溶媒相を、静置して、または、上記グラフト変性ポリマーを溶解しない有機溶媒に混合して、上記グラフト変性ポリマーを析出させる工程と、
5)該析出したグラフト変性ポリマーを固液分離する分離工程と、を含む、分解ゴムのグラフト変性ポリマーの製造方法である。
【0050】
本発明の方法では、上記ゴム組成物の分解工程と、上記分解ゴムのグラフト反応工程を行うが、これら以外の工程を行ってもよい。
該処理としては、例えば、上記分解処理前に、ゴム副資材を取り除く工程、上記分解処理後に得られる分解ゴムの精製工程(再沈殿等)または乾燥工程、上記グラフト反応後のグラフト変性ポリマーの精製工程(不溶物のろ去、再結晶化等)または乾燥工程等が挙げられる。
これらの精製工程、乾燥工程等は、通常行われる方法、条件を選択することができる。
【0051】
上記本発明の方法により、本発明のポリマーは、分解処理されるゴム等に含まれるゴムを主鎖とし、上記炭素−炭素二重結合を有する化合物が側鎖としてグラフト重合されたポリマー、または上記ゴムが側鎖となり、上記炭素−炭素二重結合を有する化合物がグラフト重合して主鎖となるポリマーである。
該ポリマーは、分解処理されるゴムに由来するゴム部分の他に、グラフト重合された部分(置換基)を有するため、これを有さない従来の分解ゴムに比して、その用途が広くなる。また、このような種々の用途に使用できる分解ゴムのグラフト変性ポリマーを、効率よく、連続して容易に得られる本発明の方法は、産業上非常に有用である。
【0052】
特に、該グラフト変性ポリマーは、分解処理されるゴム組成物に含まれるカーボンブラックとの分離能に極めて優れるという特徴を有する。
したがって、分解されるゴム組成物としてカーボンブラックを含有しているゴム組成物を用いても、本発明の方法により、該カーボンブラックと得られるグラフト変性ポリマー(つまり、分解されるゴム組成物に含まれるゴムまたは分解ゴム)との分離を効率よく、連続して容易に行うことができる。
すなわち、本発明は、ゴムとカーボンブラックを含有するゴム組成物を分解する分解工程と、該工程により得られる分解ゴムに、ラジカル開始剤の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物をグラフト反応させる反応工程と、該グラフト反応させたグラフト変性ポリマーと上記カーボンブラックを分離する分離工程とを含む、上記ゴム組成物に含まれるゴムとカーボンブラックとの分離方法(以下、単に「分離方法」という。」)を提供する。
【0053】
該分離方法において、ゴム組成物の分解工程およびグラフト反応工程は上記した本発明の方法における各工程と同様である。
分解方法においては、上記反応工程後に、グラフト反応させたグラフト変性ポリマーとカーボンブラックを分離する分離工程を行う。
該工程は、一般に用いられる方法を特に限定されずに行うことができる。
例えば、該グラフト変性ポリマーを溶解させ、不溶物(カーボンブラック、分解されずに残存するゴムまたはゴム組成物等)をろ過等の固液分離手段により分離する方法を挙げることができる。
【0054】
該固液分離に用いられる溶媒としては、グラフト変性ポリマーを溶解しカーボンブラックを溶解しない溶媒であれば、特に限定されず、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等の有機溶媒が挙げられる。
固液分離は、例えば、傾斜法(デカンテーション)、常圧下、減圧下または加圧下におけるろ過処理等が挙げられる。
【0055】
こうして得られたグラフト変性ポリマーを溶解する有機溶媒相は、濃縮、再結晶化、再沈殿化等が行われ、グラフト変性ポリマーを沈殿(結晶化)させる。これを固液分離することにより、カーボンブラックを含まないグラフト変性ポリマーを得ることができる。
【0056】
ここで、濃縮は、一般的な方法、例えば、減圧濃縮等を選択できる。また、再結晶化、再沈殿化は、上記有機溶媒相を室温下または冷却下静置する方法、グラフト変性ポリマーを溶解しない(有機)溶媒、例えば、アルコール系溶媒等を上記有機溶媒相に加える方法、または上記有機溶媒相をグラフト変性ポリマーを溶解しない(有機)溶媒に加える方法等が挙げられる。
上記有機溶媒、上記グラフト変性ポリマーを溶解しない(有機)溶媒の使用量、および使用比率等は、特に限定されない。
【0057】
該分離工程は、再結晶化または再沈殿化が、得られるグラフト変性ポリマーの純度が高くなる点で、好ましい。
【0058】
該分離方法は、上記した各工程を行う方法であれば、その他の工程を行ってもよい。
他の工程としては、上記本発明の方法で挙げた工程、上記有機溶媒相の洗浄工程、グラフト変性ポリマーの精製工程、カーボンブラックの回収工程等を挙げることができる。
【0059】
該分離方法は、具体的には、
1)ゴムとカーボンブラックを含有するゴム組成物を分解する分解工程と、
2)該分解工程により得られる分解ゴムに、ラジカル開始剤の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物をグラフト反応させる反応工程と、
3)該グラフト反応させたグラフト変性ポリマーを有機溶媒に溶解し、不溶物(カーボンブラック、分解されずに残ったゴム組成物等)と固液分離する分離工程と、
4)該有機溶媒相を、静置して、または、上記グラフト変性ポリマーを溶解しない有機溶媒に混合して、上記グラフト変性ポリマーを析出させる工程と、
5)該析出したグラフト変性ポリマーを固液分離する分離工程と、を含む、上記ゴム組成物に含まれる、ゴムとカーボンブラックとの分離方法である。
【0060】
該分離方法により得られるグラフト変性ポリマーは、カーボンブラックを含まないため、カーボンブラックによる着色が認められず、外観に優れ、従来の回収ゴム(再生ゴム)等が、用いられなかった用途、例えば、優れた外観が要求される機械外部等の用途または該着色あるいは残存カーボンブラックが問題となる用途に好適に再利用でき、回収ゴム(再生ゴム)の再利用分野が広くなり、産業上非常に有益である。
【0061】
次に、上記本発明の方法および分離方法により得られた分解ゴムのグラフト変性ポリマーを含有するゴム組成物または樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」という。)について説明する。
本発明の組成物は、上記の分解ゴムのグラフト変性ポリマーを1種以上含有する組成物であれば、それ以外の添加剤等は特に限定されない。
該添加剤として、例えば、上記分解ゴムおよびそのグラフト変性ポリマー以外のゴム、充填剤、加硫剤、公知の樹脂、他のエラストマー、活性剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、粘着剤、粘着付与剤、硬化剤、発泡剤、発泡助剤、補強剤、老化防止剤、着色剤、顔料、難燃剤、離型剤等が挙げられる。
これらの添加剤の配合量は、特に限定されず、該組成物が用いられる用途、または該組成物に要求される特性等を考慮して一般的な配合量とすることができる。
【0062】
本発明の組成物は、上記分解ゴムのグラフト変性ポリマー1種以上と、所望により上記添加剤とを混合し通常の方法、例えば、2軸押出機、バンバリミキサー、ニーダー等を用いて、50℃〜180℃程度に加熱下、混練して製造することができる。
【0063】
本発明で得られる分解ゴムのグラフト変性ポリマーは上記した特性を有するため、それを含有する本発明の組成物は、例えば、自動車等のタイヤ、ケーブル、シート、パッキン、成形屑ゴム、ホース、ベルト等の各種ゴム製品等として利用できる。
該ポリマーに有する置換基(グラフト重合された側鎖)の特性を生かして、自動車等のタイヤに用いられる高性能ゴム、シーリング材、ホース等の分野に、また、カーボンブラックを含有しないゴムの特性を生かして、接着剤、相溶化剤等の分野に好ましく利用できる。
これらの用途で用いられる際には、さらに他の構成材料と複合化されていてもよい。
なお、本発明の組成物の用途は、上記した用途に限定されないのはもちろんである。
【0064】
【実施例】
本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<ゴム組成物の調製>
天然ゴムおよび第1表に示す添加剤を、第1表に示す配合(質量部)で混合し、160℃で20分間加熱し、加硫されたゴム組成物1および2を得た。
【0065】
【表1】
Figure 2004263042
【0066】
上記ゴム組成物に用いた成分を以下に示す。
天然ゴムはRSS#1、カーボンブラックはショウブラックS118(昭和キャボット社製)、亜鉛華は酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)、ステアリン酸はビーズステアリン酸(日本油脂社製)、老化防止剤はサントフレックス6PPD(フレキシス社製)、硫黄は油処理硫黄(軽井沢精錬所製)および加硫促進剤はノクセラーNS−P(大内新興化学工業社製)であった。
【0067】
<ゴム組成物の分解処理>
<実施例1および2>
上記で得られたゴム組成物1、3.0gを2mm角に切断してサイコロ状とし、これを耐熱性チューブ1cmあたり7〜15mg充填した。石英ガラス管状炉を用いて、窒素雰囲気下、300℃の温度で15分間加熱し、分解工程を行った。
上記分解工程で得られた分解ゴムに、スチレン5mL(4.5g)と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(第2表において「AIBN」と表記する)を第2表に示す量(上記ゴム組成物1とスチレンとの合計100質量部に対する質量部)で混合し、80℃に加熱し、第2表に示す反応時間、80℃に保持して撹はんし、反応工程を行った。
その後、室温まで冷却し、得られた反応物をトルエン10mLに溶解し、(不溶物をろ去して)、該ろ液をヘキサン/メタノール(20mL/20mL)の混合溶媒に投入して20℃で10分間撹はんした。析出物を固液分離し、80℃で6時間減圧乾燥して、分解ゴムのグラフト変性ポリマーを得た。
【0068】
<実施例3>
ゴム組成物1の代わりにゴム組成物2を用いて、実施例1と同様に分解工程および反応工程を行った。
その後、室温まで冷却し、得られた反応物をトルエン10mLに溶解し、不溶物を常圧下ろ別し、カーボンブラックおよび分解されずに残存するゴムを除去した。
得られたろ液を、ヘキサン/メタノール(20mL/20mL)の混合溶媒に投入して20℃で10分間撹はんした。析出物を固液分離し、80℃で6時間減圧乾燥して、分解ゴムのグラフト変性ポリマーを得た。
【0069】
<比較例1>
ゴム組成物2を用いて、実施例1と同様に分解工程を行った。
その後、分解ゴムをトルエン10mLに投入し、不溶物をろ去して、該ろ液をヘキサン/メタノール(20mL/20mL)の混合溶媒に投入して20℃で10分間撹はんした。析出物を固液分離し、80℃で6時間減圧乾燥して、分解ゴムを得た。
【0070】
<回収量(g)>
各実施例および比較例におけるゴムの回収量を、乾燥後の質量で測定した。その結果を第2表に示す。
【0071】
<分子量等の測定>
各実施例および比較例で得られた分解ゴムをテトラヒドロフランに溶解し、均一な0.5質量%濃度のTHF溶液を調製した。得られた各THF溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析した。別途作成した検量線と比較して、各THFに含有される分解ゴムの分子量および分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)を求めた。その結果を第2表に示す。
【0072】
<カーボンブラックとの分離能>
カーボンブラックを含有するゴム組成物2を用いた実施例3および比較例1について、カーボンブラックとの分離能を、実施例3で得られた分解ゴムのグラフト変性ポリマーまたは比較例1で得られた分解ゴムの色(着色度)により評価した。その結果を第2表に示す。
なお、実施例3では上記ろ過後のトルエン溶液の着色も認められなかったのに対し、比較例1では上記ろ過後のトルエン溶液に茶色の着色が認められた。
【0073】
【表2】
Figure 2004263042
【0074】
第2表から分かるように、本発明の方法は、各工程を容易に、かつ連続的に行うことができ、しかも、効率よく(回収量が多く)、分解ゴムのグラフト変性ポリマーを得ることができた(実施例1〜3)。
該分解ゴムのグラフト変性ポリマーは、スチレングラフト重合部を置換基として有し、その特徴を生かして、広い用途に利用できる(実施例1〜3)。
また、分解ゴムのグラフト変性ポリマーは、分解されるゴム組成物に含まれていたカーボンブラックとの分離能が高く、該ポリマーの製造工程中に容易にカーボンブラックと分離でき、かつ、カーボンブラックを含まず無色のゴムとして得られた(実施例3)。
これに対して、比較例1では、得られた分解ゴムに置換基等を有しないため、該ゴムは上記した限られた分野に再利用され得るのみである。また、カーボンブラックとの分離能は、高くなく、また、得られた分解ゴムには、カーボンブラック由来の着色が認められた。
【0075】
【発明の効果】
本発明により、効率良く、連続してしかも容易に分解ゴムのグラフト変性ポリマーを得ることができる該グラフト変性ポリマーの製造方法を提供できる。また、該方法により得られる、再利用できる分野が広い、分解ゴムのグラフト変性ポリマーを提供できる。
すなわち、該方法は、効率良く、連続してしかも容易に行うことができ、該方法により得られる分解ゴムのグラフト変性ポリマーは、再利用できる用途が広く、産業上、非常に有用である。
【0076】
また、本発明により、分解ゴムのグラフト変性ポリマーの特性を生かした、ゴムとカーボンブラックとの分離方法を提供できる。
今日普及している工業用ゴムにカーボンブラック等の充填剤が配合されているという現実を考慮すると、カーボンブラックを含有するゴム組成物に使用できることは、該分離方法は産業上の利用価値は大きく、しかも、得られる分解ゴムのグラフト変性ポリマーが該カーボンブラックを含有しないということは、該ポリマーの再利用できる用途がさらに広がり、産業上の利用価値は絶大である。

Claims (8)

  1. ゴム組成物を分解する分解工程と、
    前記工程により得られる分解ゴムに、ラジカル開始剤の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物をグラフト反応させる反応工程と、
    を含む、分解ゴムのグラフト変性ポリマーの製造方法。
  2. 前記分解工程が、加熱処理による分解工程または過酸化物処理による分解工程である請求項1に記載の分解ゴムのグラフト変性ポリマーの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の分解ゴムのグラフト変性ポリマーの製造方法により得られる分解ゴムのグラフト変性ポリマー。
  4. 請求項3に記載の分解ゴムのグラフト変性ポリマーを含有する組成物。
  5. ゴムとカーボンブラックを含有するゴム組成物を分解する分解工程と、
    前記工程により得られる分解ゴムに、ラジカル開始剤の存在下、炭素−炭素二重結合を有する化合物をグラフト反応させる反応工程と、
    前記グラフト反応させたグラフト変性ポリマーと前記カーボンブラックを分離する分離工程と、
    を含む、前記ゴム組成物に含まれる、ゴムとカーボンブラックとの分離方法。
  6. 前記分解工程が、加熱処理による分解工程または過酸化物処理による分解工程である請求項5に記載のゴムとカーボンブラックとの分離方法。
  7. 請求項5または6に記載のゴムとカーボンブラックとの分離方法により得られる分解ゴムのグラフト変性ポリマー。
  8. 請求項7に記載の分解ゴムのグラフト変性ポリマーを含有する組成物。
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