JP2004262765A - ナイルレッド系赤色発光化合物、その製造方法及びそれを利用した発光素子 - Google Patents

ナイルレッド系赤色発光化合物、その製造方法及びそれを利用した発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】色純度が大きく、大きな輝度で発光する、堅牢性の大きな赤色発光化合物、及び大きな輝度で発光可能な発光素子を提供すること。
【解決手段】式(1)で示されるナイルレッド系赤色発光化合物、及び、この化合物を発光層に有する発光素子。
Figure 2004262765

ただし、Xは、シアノ基、又はフッ化炭化水素基である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ナイルレッド系赤色発光化合物、その製造方法及び発光素子に関し、更に詳しくは、電気的エネルギーを印加すると深紅に近い赤色の発光が高輝度で可能なナイルレッド系赤色発光化合物、その新規な製造方法及びそれを利用した発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機電界発光素子(別に有機エレクトロルミネッセンス素子或いは有機EL素子とも称されている。)として種々の有機化合物が提案されている。
【0003】
しかしながら、赤色発光が可能で、発光輝度が高くて熱及び光等に安定な有機化合物は、未だ開発されていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、高い発光輝度であり、及び/又はCIE色度におけるX座標が0.63を超える赤色発光が可能であり、熱及び光等に安定な有機系の赤色発光化合物、その製造方法およびその有機系赤色発光化合物を使用する発光素子を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の発明は、下記一般式(1)で示される構造を有することを特徴とするナイルレッド系赤色発光化合物である。
【0006】
【化4】
Figure 2004262765
【0007】
但し、式中、Rは、炭素数1〜5の低級アルキル基、又はベンジル基を示し、また、RはRと共同して−CHCH−CR−(ただし、−CR−における炭素はベンゼン環に結合し、R及びRは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又はベンジル基を示し、RおよびRは、同一であっても相違していても良い。)を形成する。
【0008】
は、炭素数1〜5の低級アルキル基、又はベンジル基を示し、また、RはRと共同して−CHCH−CR−(ただし、−CR−における炭素はベンゼン環に結合し、R及びRは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又はベンジル基を示し、RおよびRは、同一であっても相違していても良い。)を形成する。
【0009】
は、水素原子、Rと共同して形成される前記結合(−CHCH−CR−)、又は、Rと共同して隣接するベンゼン環を含んで形成されてなるナフタレン環を示す。
【0010】
は、水素原子、又はRと共同して隣接するベンゼン環を含んで形成されてなるナフタレン環を示す。
【0011】
は、水素原子、又は前記Rと共同して形成される前記結合(−CHCH−C−)を示す。
【0012】
Xは、シアノ基、又はフッ化炭化水素基を示す。
【0013】
前記課題を解決するための他の手段は、一般式(2)で示されるナイルレッド系色素化合物とハロゲン化剤とを反応させて一般式(3)で示されるハロゲン化ナイルレッド系中間体を製造し、このハロゲン化ナイルレッド系中間体におけるハロゲン原子をフッ化炭化水素基又はシアノ基に置換することを特徴とする前記一般式(1)で示されるナイルレッド系赤色発光化合物の製造方法である。
【0014】
【化5】
Figure 2004262765
【0015】
但し、R、R、R、R及びRは前記と同様の意味を示す。
【化6】
Figure 2004262765
但し、R、R、R、R及びRは、前記請求項1におけるのと同様の意味を示す。Halは、ハロゲン原子を示す。
【0016】
前記課題を解決するためのさらに他の手段は、一対の電極間に、前記一般式(1)で示されるナイルレッド系赤色発光化合物を含有する発光層を設けてなることを特徴とする発光素子である。
【0017】
【発明の実施の形態】
この発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物は一般式(1)で示される。
【0018】
【化7】
Figure 2004262765
【0019】
一般式(1)中、Rは、炭素数1〜5の低級アルキル基、又はベンジル基であり得る。Rにて示される低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基を挙げることができる。
【0020】
前記Rは、炭素数1〜5の低級アルキル基、又はベンジル基であり得る。Rにて示される低級アルキル基としては、前記Rの場合と同様である。RとRとは、同じ低級アルキル基であっても、異なる低級アルキル基であっても良い。
【0021】
前記Rは、Rと共同して−CHCH−CR−(ただし、−CR−における炭素はベンゼン環に結合し、R及びRは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又はベンジル基を示し、RおよびRは、同一であっても相違していても良い。)を形成する。
【0022】
前記R及びRが低級アルキル基である場合に、好適な−NRとして、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−i−プロピルアミノ基、ブチル基等を挙げることができる。
【0023】
前記Rは、Rと共同して−CHCH−CR−(ただし、−CR−における炭素はベンゼン環に結合し、R及びRは、水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又はベンジル基を示し、RおよびRは、同一であっても相違していても良い。)を形成する。
【0024】
前記RがRと共同して−CHCH−CR−であり、前記RがRと共同して−CHCH−CR−であるときの一般式(1)は、下記一般式(4)で示すことができる。
【0025】
【化8】
Figure 2004262765
【0026】
この一般式(4)におけるR、R、R、R、R及びXは、前記と同様の意味を示す。
【0027】
一般式(1)中、RおよびRは、共に水素原子であり、又は共同して隣接するベンゼン環を含んでナフタレン環を形成することができる。RおよびRが共同して隣接するベンゼン環を含んでナフタレン環を形成してなる赤色発光化合物は、一般式(5)で示される。
【0028】
【化9】
Figure 2004262765
【0029】
前記一般式(5)におけるR、R及びXは、前記と同様の意味を表す。
【0030】
また前記一般式(1)におけるXとして、フッ化炭化水素基又はシアノ基を挙げることができる。
前記フッ化炭化水素基としては、炭化水素基における1又は2以上の水素原子がフッ素原子で置換して成る基を挙げることができ、具体的には炭素数が1〜10の飽和又は不飽和の炭化水素基における1又は2以上の水素原子がフッ素原子で置換して成る低級フッ化炭化水素基を挙げることができる。より具体的には、前記フッ化炭化水素基の好適例として、炭素数が1〜10、好ましくは炭素数が1〜5の飽和炭化水素基における1又は2以上の水素原子がフッ素原子で置換して成るフッ化低級飽和炭化水素基を挙げることができ、さらに好ましくは炭素数が1〜5である飽和炭化水素基における全ての水素原子がフッ素原子で置換して成るパーフルオロアルキル基を挙げることができる。前記フッ化低級飽和炭化水素基として、−CHF、−CHF、−CF、−CHCF、−CHFCF、−CFCF、−CHCHCF、−CHCHFCF、−CHCFCF、−CHFCFCF等を挙げることができる。前記パーフルオロアルキル基として、−CF、−CFCF、−CF(CFCF(但し、nは1〜3の整数を示す。)を挙げることができ、−CF、−CFCFが好ましい。
シアノ基は−CNとして示される。
【0031】
一般式(1)で示されるナイルレッド系赤色発光化合物は、−NRが電子供与性基であり、Xで示されるフッ化炭化水素基又はシアノ基が電子吸引性基であるから、ナイルレッド骨格におけるπ電子雲が広がるので、僅かのエネルギーにより赤色発光が容易になるものと推察される。この発明にかかる新規ナイルレッド系赤色発光化合物は、R−N−Rという電子供与性基がナイルレッド骨格におけるπ電子雲に電子を供与すると言う構造により特徴付けられる。このナイルレッド系赤色発光化合物は、安定したナイルレッド骨格構造を有するので、化学的に安定となり、過酷な使用条件下においても、劣化しないという特異性を発揮する。
【0032】
一般式(1)で示されるナイルレッド系赤色発光化合物は、次のようにして製造することができる。
【0033】
すなわち、一般式(2)で示されるナイルレッド系化合物とハロゲン化剤とを反応させる。
【化10】
Figure 2004262765
但し、R、R、R、R及びRは、前記と同様の意味を示す。
【0034】
ハロゲン化剤としては、芳香環上の水素をハロゲンに置換することのできるものであれば特に制限がない。ハロゲン化剤の具体例として、例えば、芳香環上の水素を塩素で置換する場合には塩化スルフリル、五塩化リン等を挙げることができる。また一般的に、芳香環上の水素をハロゲンで置換する場合にはN−ハロコハク酸イミド例えばN−ブロモコハク酸イミド、及びハロマロン酸ジアルキル例えばブロモマロン酸ジアルキル等を挙げることができる。
【0035】
前記式(2)で示されるナイルレッド系化合物と前記ハロゲン化剤とは、溶媒中で加熱することにより容易に反応する。該溶媒としては、無水酢酸、酢酸、炭素数が5以下である酸無水物、ベンゼン及びトルエン等の芳香族系溶剤、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系溶剤、ジオキサン等を使用することができる。反応温度は、通常0〜250℃、好ましくは20〜170℃である。反応の終了後には、常法に従って精製操作及び分離操作をすることにより一般式(3)で示されるハロゲン化ナイルレッド系中間体を得ることができる。
【化11】
Figure 2004262765
但し、R、R、R、R及びRは、前記と同様の意味を示す。Halは、ハロゲン原子を示す。
【0036】
前記一般式(3)で示されるハロゲン化ナイルレッド系中間体は、そのハロゲン原子がハロゲン化炭化水素基又はシアノ基に置換されることにより、前記一般式(1)で示されるナイルレッド系赤色発光化合物に変換される。
前記一般式(3)で示されるハロゲン化ナイルレッド系中間体へのハロゲン化炭化水素基の導入は、反応系内で発生するハロゲン化炭化水素金属試薬例えばパーフルオロアルキル銅試薬を反応させる方法、パーフルオロアルキルラジカルを発生させ、前記ハロゲン化ナイルレッド系中間体に反応させる方法、パーフルオロアルキル金属試薬例えばグリニャール試薬、リチウム試薬、アルミニウム試薬等をカルボニル化合物に付加させて脱水する方法等を挙げることができる。なお、ハロゲン化ナイルレッド系中間体へのハロゲン化炭化水素の導入にあたり、ハロゲン化ナイルレッド系中間体におけるハロゲン原子Halはヨウ素、臭素、フッ素及び塩素のいずれであってもよいのであるが、ヨウ素、及び臭素が取り扱い上好ましく、収率も高いので推奨される。
ハロゲン化ナイルレッド系中間体へのハロゲン化炭化水素の導入に際し、原料の価格及び入手の容易性、並びに反応生成物の収率及び経済性という観点からすると、ヨウ化パーフルオロアルカン(C2m+1I、但し、mは1〜20、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5の整数である。)と銅の粉末とにより反応系内でパーフルオロアルキル銅試薬を発生させ、このパーフルオロアルキル銅試薬と前記式(3)で示されるハロゲン化ナイルレッド系中間体とを反応させる方法が、取り扱い上及び良好な収率という観点で、好ましい。
前記一般式(3)で示されるハロゲン化ナイルレッド系中間体へのシアノ基の導入は、遷移金属シアン化物をハロゲン化ナイルレッド系中間体と反応させる方法により好適に行うことができる。シアノ化反応は、通常、ピリジン、キノリン等の芳香族アミン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)等の極性非プロトン溶媒中で、好適に行われる。
このハロゲン化ナイルレッド系中間体は、単にナイルレッド系化合物と前記ハロゲン化剤とを加熱するだけで容易に製造することができる。しかもこのハロゲン化ナイルレッド系中間体にシアノ基又はフッ化炭化水素基を導入する反応は、加熱により速やかに進行する。したがって、このような簡便なナイルレッド系赤色発光化合物の製造方法は、工業的に良好な製造方法である。
【0037】
以下にこの発明に係る発光素子について説明する。
【0038】
図1は、一層型有機EL素子でもある発光素子の断面構造を示す説明図である。図1に示されるように、この発光素子Aは、透明電極2を形成した基板1上に、発光材料を含有する発光層3及び電極層4をこの順に積層して成る。
【0039】
図1に示される発光素子は、その発光層3にこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物、青色発光化合物、及び緑色発光化合物をバランス良く含有していると、透明電極2及び電極層4に電流を通電すると、白色に発光する。白色発光させるためにこの発光層3に含有されるところの、この発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物、青色発光化合物、及び緑色発光化合物の全含有量及び各含有量比は、各発光化合物の種類に応じて相違し、具体的には各発光化合物の種類に応じて適宜に決定される。またこの発光素子を赤色に発光させることを企図するのであれば、この発光層3にはこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物を含有させるのがよい。また、この発光素子で白色及び赤色以外の任意の色の光を発光させることを企図するのであれば、この発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物、青色発光化合物、及び緑色発光化合物の全含有量及び各含有量比を適宜に変更するのがよい。例えば、この発明に係る発光素子を白色に発光させるには、発光層におけるナイルレッド系赤色発光化合物と青色発光化合物と緑色発光化合物との配合割合は、通常、重量比で、5〜200:10〜100:50〜20000であり、好ましくは10〜100:50〜500:100〜10000である。
【0040】
前記青色発光化合物としては、ジフェニルビニルビフェノール系青色発光化合物、スチルベン系青色発光化合物等を挙げることができる。好適なジフェニルビニルビフェノール系青色発光化合物としては、一般式(10)で示されるDPVBi等を挙げることができる。
【0041】
【化12】
Figure 2004262765
【0042】
前記緑色発光化合物としては、クマリン系緑色発光化合物、インドフェノール系緑色発光化合物及びインジゴ系緑色発光化合物を挙げることができ、一般式(11)で示されるクマリン系緑色発光化合物が好適である。
【0043】
【化13】
Figure 2004262765
【0044】
発光は、前記透明電極2と前記電極層4との間に電界が印加されると、電極層4側から電子が注入され、透明電極2から正孔が注入され、更に電子が発光層3において正孔と再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
【0045】
図1に示される発光素子Aは、その全体形状を大面積の平面形状にすると、例えば壁面、あるいは天井に装着して、大面積壁面白色発光素子、及び大面積天井面白色発光素子等の面状発光照明装置とすることができる。つまり、この発光素子は、従来の蛍光灯のような線光源あるいは電球と言った点光源に代えて面光源として利用されることができる。特に、居住のための室内、事務用の室内、車両室内等の壁面、天井面、あるいは床面を、この発明に係る発光素子を使用して面光源として発光ないし照明することができる。さらに、この発光素子Aをコンピュータにおける表示画面、携帯電話における表示画面、金銭登録機における数字表示画面等のバックライトに使用することができる。その他、この発光素子Aは、直接照明、間接照明等の様々の光源として使用されることができ、また、夜間に発光させることができて視認性が良好である広告装置、道路標識装置、及び発光掲示板、更には自動車等の車両におけるブレーキランプ等の光源に使用されることもできる。しかも、この発光素子Aは、特定の化学構造を有する赤色発光化合物を発光層に有するので、発光寿命が長い。したがって、この発光素子Aにより発光が長寿命である光源とすることができる。
【0046】
上述したことから理解されるように、発光素子Aにおける発光層に、この発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物が含有されていて、青色発光化合物及び緑色発光化合物が含有されていないときには、この発光素子Aは鮮やかな赤色に発光する。
【0047】
また、この発光素子Aを、筒状に形成された基板1と、その基板1の内面側に透明電極2、発光層3及び電極層4をこの順に積層してなる管状発光体とすることができる。この発光素子Aは、水銀を使用していないので、従来の水銀を使用する蛍光灯に代替して環境に優しい光源とすることができる。
【0048】
基板1としては、透明電極2をその表面に形成することができる限り、公知の基板を採用することができる。この基板1として、例えばガラス基板、プラスチックシート、セラミック、表面に絶縁塗料層を形成する等の、表面を絶縁性に加工してなる金属板等を挙げることができる。
【0049】
この基板1が不透明であるときには、発光層に、青色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物を含有する発光素子は、基板1とは反対側に白色光を照射することができる片面照明装置である。また、この基板1が透明であるときには、発光素子の基板1側及びその反対側の面から、白色光を照射することができる両面照明装置である。
【0050】
前記透明電極2としては、仕事関数が大きくて透明であり、電圧を印加することにより陽極として作用して前記発光層3にホールを注入することができる限り様々の素材を採用することができる。具体的には、透明電極2は、ITO、In、SnO、ZnO、CdO等、及びそれらの化合物等の無機透明導電材料、及びポリアニリン等の導電性高分子材料等で形成することができる。
【0051】
この透明電極2は、前記基板1上に、化学気相成長法、スプレーパイロリシス、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、イオンビームスパッタ法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着法、その他の方法により形成されることができる。
【0052】
なお、基板が不透明部材で形成されるときには、基板上に形成される電極は透明電極である必要はない。
【0053】
発光層3は、赤色を発光させるときにはこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物を含有し、また、白色を発光させるときには青色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物を含有する層である。この発光層3は、この発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物、又はナイルレッド系赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物を高分子中に分散してなる高分子膜として形成することができ、また、この発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物、又は青色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物を前記透明電極2上に蒸着してなる蒸着膜として形成することができる。
【0054】
前記高分子膜における高分子としては、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3−アルキレンチオフェン)、アリールアミンを含有するポリイミド、ポリフルオレイン、ポリフェニレンビニレン、ポリ−α−メチルスチレン、ビニルカルバゾール/α−メチルスチレン共重合体等を挙げることができる。これらの中でも好ましいのは、ポリビニルカルバゾールである。
【0055】
前記高分子膜中におけるこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物の含有量、又は青色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物の総含有量は、通常、0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0056】
前記高分子膜の厚みは、通常30〜500nm、好ましくは100〜300nmである。高分子膜の厚みが薄すぎると発光光量が不足することがあり、高分子膜の厚みが大きすぎると、駆動電圧が高くなりすぎて好ましくないことがあり、また、面状体、管状体、湾曲体、環状体とするときの柔軟性に欠けることがある。
【0057】
前記高分子膜は、前記高分子とこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物、又は青色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物とを適宜の溶媒に溶解してなる溶液を用いて、塗布法例えばスピンキャスト法、コート法、及びディップ法等により形成することができる。
【0058】
前記発光層3が蒸着膜であるとき、その蒸着膜の厚みは、発光層における層構成等により相違するが、一般的には0.1〜100nmである。蒸着膜の厚みが小さすぎるとき、あるいは大きすぎるときには、前述した高分子膜と同様の問題を生じることがある。
【0059】
前記電極層4は、仕事関数の小さな物質が採用され、例えば、MgAg、アルミニウム合金、金属カルシウム等の、金属単体又は金属の合金で形成されることができる。好適な電極層4はアルミニウムと少量のリチウムとの合金電極である。この電極層4は、例えば基板1の上に形成された前記発光層3を含む表面に、蒸着技術により、容易に形成することができる。
【0060】
塗布法及び蒸着法のいずれを採用して発光層を形成するにしても、電極層と発光層との間に、バッファ層を介装するのが好ましい。
【0061】
前記バッファ層を形成することのできる材料として、例えば、フッ化リチウム等のアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、酸化アルミニウム等の酸化物、4,4’−ビスカルバゾールビフェニル(Cz−TPD)を挙げることができる。また、例えばITO等の陽極と有機層との間に形成されるバッファ層を形成する材料として、例えばm−MTDATA(4,4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、フタロシアニン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体、無機酸化物例えば酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化バナジウム、フッ化リチウムを挙げることができる。これらのバッファ層は、その材料を適切に選択することにより、発光素子である有機EL素子の駆動電圧を低下させることができ、発光の量子効率を改善することができ、発光輝度の向上を達成することができる。
【0062】
次にこの発明に係る発光素子の第2の例を図に示す。図2は、発光素子である多層型有機EL素子の断面を示す説明図である。
【0063】
図2に示すように、この発光素子Bは、基板1の表面に、透明電極2、ホール輸送層5、発光層3a,3b、電子輸送層6及び電極層4をこの順に積層してなる。
【0064】
基板1、透明電極2、及び電極層4については、図1に示された発光素子Aにおけるのと、同様である。
【0065】
図2に示される発光素子Bにおける発光層は発光層3a及び発光層3bよりなり、発光層3aは発光化合物を蒸着してなる蒸着膜である。発光層3bは、DPVBi層である。このDPVBi層は、ホスト材料的な機能を有する層である。
【0066】
前記ホール輸送層5に含まれるホール輸送物質としては、トリフェニルアミン系化合物例えばN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)−ベンジジン(TPD)、及びα−NPD等、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、複素環系化合物、π電子系スターバースト正孔輸送物質等を挙げることができる。
【0067】
前記電子輸送層6に含まれる電子輸送物質としては、前記電子輸送性物質としては、例えば、2−(4−tert−ブチルフェニル)−5−(4−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体及び2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、並びに2,5−ビス(5’−tert−ブチル−2’−ベンゾキサゾリル)チオフェン等を挙げることができる。また、電子輸送性物質として、例えばキノリノールアルミ錯体(Alq3)、ベンゾキノリノールベリリウム錯体(Bebq2)等の金属錯体系材料を好適に使用することもできる。
【0068】
図2における発光素子Bでは、電子輸送層6はAlq3を含有する。
【0069】
各層の厚みは、従来から公知の多層型有機EL素子におけるのと同様である。
【0070】
図2に示される発光素子Bは、図1に示される発光素子Aと同様に作用し、発光する。したがって、図2に示される発光素子Bは、図1に示される発光素子Aと同様の用途を有する。
【0071】
図3に、この発明に係る発光素子の第3の例を示す。図3は、多層型有機EL素子である発光素子の断面を示す説明図である。
【0072】
図3に示される発光素子Cは、基板1の表面に、透明電極2、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層8及び電極層4をこの順に積層してなる。
【0073】
この図3に示す発光素子Cは前記発光素子Bと同様である。
【0074】
図4に発光素子の他の例を示す。この図4に示す発光素子Dは、基板1、電極2、ホール輸送層5、発光層3及び電極層4をこの順に積層してなる。
【0075】
前記図1〜4に示される発光素子の外に、基板上に形成された透明電極である陽極と電極層である陰極との間に、ホール輸送性物質を含有するホール輸送層と、この発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物含有の電子輸送性発光層とを積層して成る二層型有機低分子発光素子(例えば、陽極と陰極との間に、ホール輸送層と、ゲスト色素としてこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物及びホスト色素を含有する発光層とを積層して成る二層型色素ドープ型発光素子)、陽極と陰極との間に、ホール輸送性物質を含有するホール輸送層と、この発明における赤色発光化合物と電子輸送性物質とを共蒸着してなる電子輸送性発光層とを積層して成る二層型有機発光素子(例えば、陽極と陰極との間に、ホール輸送層と、ゲスト色素としてこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物及びホスト色素とを含有する電子輸送性発光層とを積層して成る二層型色素ドープ型有機発光素子)、陽極と陰極との間に、ホール輸送層、この発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物含有の発光層及び電子輸送層を積層して成る三層型有機発光素子を挙げることができる。
【0076】
この発光素子における電子輸送性発光層は、通常の場合、50〜80%のポリビニルカルバゾール(PVK)と、電子輸送性発光剤5〜40%と、この発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物0.01〜20%(重量)とで形成されていると、青色発光が高輝度で起こる。
【0077】
また、前記発光層中には、増感剤としてルブレンが含有されているのが好ましく、特に、ルブレンとAlq3とが含有されているのが好ましい。
【0078】
この発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物を利用した赤色発光素子、又は青色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係るナイルレッド系赤色発光化合物を利用した白色発光素子は、例えば一般に直流駆動型の有機EL素子として使用することができ、また、パルス駆動型の有機EL素子及び交流駆動型の有機EL素子としても使用することができる。
【0079】
【実施例】
(実施例1)
<ブロム化ナイルレッド系中間体の合成>
500mlのナスフラスコに、ナイルレッド5.0g(15.7mmol)、ブロモマロン酸ジエチル5.63g(23.6mmol)及び無水酢酸250mlを入れた。このナスフラスコ内の溶液を、シリコンオイルバスで135℃に加熱し、2.5時間かけて反応させた。エバポレータを用いて無水酢酸を溜去した。得られた固体を、シリカゲルを充填したカラムに装填し、ベンゼンを展開液として精製し、濃緑固体200mgを得た。収率は3.2%であった。この濃緑固体の融点は204〜205℃であった。この濃緑固体のIRチャートを図5に、NMRチャートを図6に示す。この濃緑固体の元素分析結果を以下に示す。
Figure 2004262765
これらのデータから、この濃緑固体を以下の式(6)で示される構造を有するブロム化ナイルレッド系中間体と同定した。
【0080】
【化14】
Figure 2004262765
【0081】
前記一般式(6)で示されるブロム化ナイルレッド系中間体は、ナイルレッドとN−ブロモコハク酸イミドと反応させることにより合成することもできる。N−ブロモコハク酸イミドは、アリル位の水素を臭素で大きな収率をもって置換することのできる好適なブロム化剤である。
【0082】
以下に、N−ブロモコハク酸イミドを用いて一般式(6)で示されるブロム化ナイルレッド系中間体を製造する例を示す。
【0083】
2000mlのフラスコ中に、ナイルレッド10.0g(31.4mmol)、N−ブロモコハク酸イミド6.20g(34.8mmol)、AIBN0.10g、及び四塩化炭素780mlを入れた。この溶液を、シリコンオイルバスで100℃に加熱し、2.0時間かけて反応させた。エバポレータを用いて四塩化炭素を溜去した。得られた固体を、シリカゲルを充填したカラムに装填し、クロロホルムを展開液として精製し、その後トルエンを用いて再結晶を行い、濃緑固体5.1gを得た。収率は41%であった。この濃緑固体の融点は204〜205℃であった。N−ブロモコハク酸イミドをブロム化剤として採用すると、大きな収率でナイルレッド系中間体を製造することができる。
【0084】
<トリフルオロメチル基の導入>
加熱浴、攪拌器及び温度計を備えたステンレス製の、50mlのオートクレーブに、窒素雰囲気下に、硫酸銅と亜鉛とから調製した銅粉末1.0g(16.0mmol)とジメチルホルムアミド(DMF、脱水品、水分量0.3重量%以下)10mlと前記一般式(6)で示されるブロム化ナイルレッド系中間体1.98g(5.0mmol)とを、装入し、次いで−35℃に冷却してヨウ化トリフルオロメタン1.37g(7.0mmol)を添加した。オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら130〜140℃に加熱して20時間反応させた。反応終了後に、室温に冷却してから反応生成液に水20mlとトルエン15mlとを添加した。得られた混合物を減圧下に濾過し、臭化銅などの不溶物を濾別した後に、有機相を分取し、30mlの水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾別した後に、エバポレータで濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、トリフルオロメチル化生成物1.39gを得た。収率は72%であった。
【0085】
得られたこの固体を昇華精製法(アルバック理工(株)製、TRS−1SS、高温部190℃、低温部125℃、0.5Pa)により精製し、深緑色結晶を得た。この結晶の融点は234〜236℃であった。この生成物の蛍光スペクトル(F−45000形分光蛍光光度計、励起波長365nm、溶媒ジオキサン、濃度0.05重量%)を測定したところ、最大発光波長が607.2nmであった。蛍光スペクトルチャートを図7に示した。この生成物のNMRチャート及びIRチャートを図8及び図9に示した。
【0086】
得られた前記深緑色結晶の元素分析値は、以下のとおりであった。
計算値 C:65.28 H:4.43 N:7.25 O:8.28 F:14.75
測定値 C:64.98 H:4.36 N:7.35 O:8.33 F:14.80
【0087】
以上の結果から、得られた深緑色結晶は、以下の一般式(7)で示される構造を有するナイルレッド系赤色発光化合物であると、同定した。
【化15】
Figure 2004262765
【0088】
図7から判るように、この実施例で得られたナイルレッド系赤色発光化合物は、600〜700nmに蛍光発光が見られる。
【0089】
(実施例2)
<シアノ基の導入>
コンデンサーを備えた50mlのナスフラスコに、シアン化銅0.27g(3.0mmol)とジメチルホルムアミド(DMF、脱水品、水分量0.3重量%以下)10mlと前記一般式(6)で示されるブロム化ナイルレッド系中間体1g(2.52mmol)とを添加した。ナスフラスコ内の混合物を撹拌しながら4時間加熱還流した。薄層クロマトグラフィーで反応終了を確認した後に、反応生成液を10mlの水と3mlのエチレンジアミンとの混合物に注ぎ入れ、ジクロロメタンで2回(10ml/回)抽出した。有機相を飽和食塩水で2回(10ml/回)洗浄した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾別してエバポレータで溶媒を減圧溜去した。濃縮された粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、0.76gのシアン化生成物を粗結晶として得た。収率は88%であった。
【0090】
この粗結晶を昇華精製法(アルバック理工(株)製、TRS−1SS、高温部250℃、低温部150℃、0.5Pa)により精製し、深緑色結晶を得た。この結晶の融点は263〜265℃であった。この深緑色結晶の蛍光スペクトル(F−45000形分光蛍光光度計、励起波長365nm、溶媒ジオキサン、濃度0.05重量%)を測定したところ、最大発光波長が629.8nmであった。蛍光スペクトルチャートを図10に示した。この生成物のNMRチャート及びIRチャートを図11及び図12に示した。
【0091】
得られた前記深緑色結晶の元素分析値は、以下のとおりであった。
計算値 C:73.45 H:4.99 N:12.24 O:9.32
測定値 C:73.22 H:4.95 N:12.31 O:9.44
【0092】
以上の結果から、得られた深緑色結晶は、以下の一般式(8)で示される構造を有するナイルレッド系赤色発光化合物であると、同定した。
【化16】
Figure 2004262765
【0093】
【発明の効果】
この発明によると、従来得ることのできなかった、より深紅に近いピーク波長を有する赤色の発光が高輝度で可能な、新規物質であるところの、熱及び光に安定なナイルレッド系赤色発光化合物を提供することができる。
【0094】
この発明によると、白色に発光可能な素子を製造することのできる新規なナイルレッド系赤色発光化合物を提供することができる。
【0095】
この発明によると前記新規なナイルレッド系赤色発光化合物を製造する工業的な製造方法を提供することができる。
【0096】
この発明によると、前記新規なナイルレッド系赤色発光化合物を含有する発光層を有することにより、深紅に発光する発光素子、また前記新規なナイルレッド系赤色発光化合物と緑色発光化合物と青色発光化合物とを含有する発光層を有することにより、白色に発光する発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明に係る一例としての発光素子を示す説明図である。
【図2】図2は、この発明に係る他の例としての発光素子を示す説明図である。
【図3】図3は、この発明に係るその他の例としての発光素子を示す説明図である。
【図4】図4は、この発明に係る更に他の例としての発光素子を示す説明図である。
【図5】図5は、実施例1において合成されたブロム化ナイルレッド系中間体のIRチャートを示すチャート図である。
【図6】図6は、実施例1において合成されたブロム化ナイルレッド系中間体のNMRチャートを示すチャート図である。
【図7】図7は、実施例1において合成されたところの、トリフルオロメチル基を導入したナイルレッド系赤色発光化合物の蛍光スペクトルチャートである。
【図8】図8は、実施例1で合成されたナイルレッド系赤色発光化合物のNMRチャートである。
【図9】図9は、実施例1で合成されたナイルレッド系赤色発光化合物のIRチャートである。
【図10】図10は、実施例2において合成されたところの、シアノ基を導入したナイルレッド系赤色発光化合物の蛍光スペクトルチャートである。
【図11】図11は、実施例2で合成されたナイルレッド系赤色発光化合物のNMRチャートである。
【図12】図12は、実施例2で合成されたナイルレッド系赤色発光化合物のIRチャートである。
【符号の説明】
A,B,C・・・白色発光素子、1・・・基板、2・・・透明電極、3・・・発光層、4・・・電極層。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で示される構造を有することを特徴とするナイルレッド系赤色発光化合物。
    Figure 2004262765
    (但し、式中、Rは、炭素数1〜5の低級アルキル基、又はベンジル基を示し、また、RはRと共同して−CHCH−CR−(ただし、−CR−における炭素はベンゼン環に結合し、R及びRは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又はベンジル基を示し、RおよびRは、同一であっても相違していても良い。)を形成する。
    は、炭素数1〜5の低級アルキル基、又はベンジル基を示し、また、RはRと共同して−CHCH−CR−(ただし、−CR−における炭素はベンゼン環に結合し、R及びRは水素原子、炭素数1〜5の低級アルキル基、又はベンジル基を示し、RおよびRは、同一であっても相違していても良い。)を形成する。
    は、水素原子、前記Rと共同して形成される前記結合、又は、Rと共同して隣接するベンゼン環を含んで形成されてなるナフタレン環を示す。
    は、水素原子、又はRと共同して隣接するベンゼン環を含んで形成されてなるナフタレン環を示す。
    は、水素原子、又は前記Rと共同して形成される前記結合を示す。
    Xはシアノ基又はフッ素化炭化水素基を示す。)
  2. 下記一般式(2)で示されるナイルレッド系色素化合物とハロゲン化剤とを反応させて一般式(3)で示されるハロゲン化ナイルレッド系中間体を製造し、このハロゲン化ナイルレッド系中間体におけるハロゲン原子をフッ化炭化水素基又はシアノ基に置換することを特徴とする前記一般式(1)で示されるナイルレッド系赤色発光化合物の製造方法。
    Figure 2004262765
    (但し、R、R、R、R及びRは、前記請求項1におけるのと同様の意味を示す。)
    Figure 2004262765
    (但し、R、R、R、R及びRは、前記請求項1におけるのと同様の意味を示す。Halは、ハロゲン原子を示す。)
  3. 一対の電極間に、前記一般式(1)で示されるナイルレッド系赤色発光化合物を含有する発光層を設けてなることを特徴とする発光素子。
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