JP2004260905A - ハイブリッドシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充電状態SOCを精度よく演算し、過充電・過放電を防止して、確実な充放電制御を行うこと。
【解決手段】ハイブリッドシステムにおいて充放電を行うバッテリ14の端子電圧VBおよび充放電電流ICDを、電圧センサ33および電流センサ34により所定時間中に複数回、検出し、複数回分の検出結果に対して移動平均を使用して求めた傾きから内部抵抗R0の平均値を算出し、更に、これらに基づいてバッテリ開路電圧E0を演算する。次に、開路電圧E0とバッテリ液比重の関係からバッテリ液比重を演算する。そして、バッテリ液比重とバッテリ放電深度DODの関係からバッテリ14の放電深度DODを演算し、これにより、充電状態SOCを求める。
【選択図】 図1
【解決手段】ハイブリッドシステムにおいて充放電を行うバッテリ14の端子電圧VBおよび充放電電流ICDを、電圧センサ33および電流センサ34により所定時間中に複数回、検出し、複数回分の検出結果に対して移動平均を使用して求めた傾きから内部抵抗R0の平均値を算出し、更に、これらに基づいてバッテリ開路電圧E0を演算する。次に、開路電圧E0とバッテリ液比重の関係からバッテリ液比重を演算する。そして、バッテリ液比重とバッテリ放電深度DODの関係からバッテリ14の放電深度DODを演算し、これにより、充電状態SOCを求める。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッドシステムに関し、特に、エンジンを駆動源とした発電機器により発電された電力を、コンバータを介してバッテリに充電するハイブリッドシステムに関する。なお、本発明における「ハイブリッド」とは、エンジンから少なくとも機械的駆動力と電力を取り出すという意味である。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ハイブリッドシステムとして、例えば、電気自動車や船舶等の移動体にの移動体に用いられているものがあり、エンジンを駆動源とした発電機器により発電された電力をコンバータを介して、移動体に備えられたバッテリに充電する技術が知られている。そして、バッテリの充電状態(以下、「SOC」という。)を検出する装置または方法、および、このSOCに基づく充放電制御のことが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−238106号公報
【特許文献2】
特開2002−51470号公報
【特許文献3】
特開2000−166105号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のハイブリッドシステムにおけるSOCに基づく充放電制御には、次のような不具合があった。
まず、バッテリ充放電電流とバッテリ電圧とを検出して、バッテリ充放電電流の積算値(積分値)を算出することにより、バッテリのSOCを推定していた。
しかし、バッテリ充放電電流の積分する際にバッテリ充放電電流の検出誤差をも積分していたため、SOCの推定結果において誤差が大きく生じ、その精度があまりよくないものとなっていた。このため、本発明においては、バッテリ充放電電流を積分して得られたSOCを、バッテリが充放電状態にない場合のSOCにより補正することで、SOCの誤差を少なくして、正確性の高いSOCを推定することを課題とする。また、検出されたバッテリ充放電電流とバッテリ電圧に対して移動平均を使用することにより検出誤差を少なくして、バッテリのSOC推定の精度を向上させることを課題とする。
また、走行(航走)中において、バッテリの過放電を防止するために、バッテリのSOCが所定レベルまで低下した場合に、発電走行を行い、SOCがある程度回復した場合に発電を停止して走行していた。このように、バッテリSOCが所定の範囲に収まるように、目標SOCを設定し、発電機の発電を制御していた。しかし、この制御では、バッテリ使用領域を狭くするという問題があった。このため、本発明においては、通常のバッテリ制御領域とは別に充電優先制御領域を設け、この充電優先制御領域では、バッテリの充電をできるだけ確保することにより、バッテリ使用領域を広げ、かつ、バッテリの過放電を防止することを課題とする。
また、バッテリ充電電圧の上限値を設定し、この上限値よりもバッテリ電圧が上昇すると充電を終了していた。しかし、バッテリの過充電、または、充分に充電されないという問題があった。このため、本発明においては、バッテリ充電電流を段階的に減少させることにより、バッテリの過充電を防止し、バッテリのSOCを充分に確保することを課題とする。
更に、バッテリ温度が低い場合には、バッテリで電圧降下が発生するため、充分な充放電電流が確保されないことにより、エンジンの始動不良やモータの出力不足が発生するという不具合があった。そして、この際、バッテリの暖機を手動により行っていた。このため、バッテリの暖機を自動的に、かつ、効果的に行い、これにより、バッテリ電圧降下を防止し、エンジンの始動不良やモータの出力不足を解消することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、エンジン、電動機器、動力伝達装置、発電機器、およびバッテリからなり、動力伝達装置の駆動源としてエンジンまたは電動機器が用いられ、発電機器の駆動源としてエンジンが用いられ、発電された電力によりコンバータを介してバッテリを充電するハイブリッドシステムにおいて、バッテリの端子電圧を所定時間中に複数回、検出するバッテリ端子電圧検出手段と、バッテリの充放電を所定時間中に複数回、検出するバッテリ充放電電流検出手段と、これらの検出結果に基づいてバッテリの内部抵抗の平均値を演算するバッテリ内部抵抗平均値演算手段と、この内部抵抗の平均値と前記検出結果に基づいてバッテリ開路電圧を演算するバッテリ開路電圧演算手段と、予め記憶されたバッテリ開路電圧とバッテリ液の比重との関係よりバッテリ液の比重を演算するバッテリ液比重演算手段と、予め記憶されたバッテリ液の比重とバッテリの放電深度、または、バッテリ充電状態との関係よりバッテリ充電状態を演算するバッテリ充電状態演算手段とを備えるものである。
【0006】
請求項2においては、請求項1記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流の検出結果に基づき第一バッテリ充電状態を演算する第一バッテリ充電状態演算手段と、所定時間バッテリ充放電電流が停止したことを判定したときバッテリ端子電圧に基づきバッテリ開路電圧を演算するバッテリ開路電圧演算手段と、このバッテリ開路電圧に基づき前記バッテリ液比重演算手段およびバッテリ充電状態演算手段より演算される第二バッテリ充電状態と前記第一バッテリ充電状態の内分値を演算する内分値バッテリ充電状態演算手段とを備えるものである。
【0007】
請求項3においては、請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流が所定値以上のときは、内分値バッテリ充電状態における第一バッテリ充電状態の占める割合を0.5より大きくするものである。
【0008】
請求項4においては、請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流が所定値以下で、かつ、その期間が所定期間以上のときは、内分値バッテリ充電状態における第一バッテリ充電状態の占める割合を0.5より小さくするものである。
【0009】
請求項5においては、請求項1または請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定の下限値以下のときは充電のみ、所定の上限値以上のときは放電のみを行うよう制御するバッテリ充放電制御手段を備えるものである。
【0010】
請求項6においては、請求項5記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定値以下になると所定の下限値以下になるまでの間は、バッテリからの放電電流をバッテリ充電状態が所定の下限値に近づくほど減少させるバッテリ放電電流減少手段を備えるものである。
【0011】
請求項7においては、請求項5記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定値以上になると所定の上限値になるまでの間は、バッテリへの充電電流をバッテリ充電状態が所定の上限値に近づくほど減少させるバッテリ充電電流減少手段を備えるものである。
【0012】
請求項8においては、エンジン、電動機器、動力伝達装置、発電機器、およびバッテリからなり、動力伝達装置の駆動源としてエンジンまたは電動機器が用いられ、発電機器の駆動源としてエンジンが用いられ、発電された電力によりコンバータを介してバッテリを充電するハイブリッドシステムにおいて、バッテリの端子電圧を検出するバッテリ端子電圧検出手段と、バッテリ端子電圧が所定の上限値になったとき充電電流を減少させるバッテリ充電電流減少手段とを備えるものである。
【0013】
請求項9においては、請求項7記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流を所定時間中に複数回、検出するバッテリ充放電電流検出手段と、バッテリの充放電電流の検出結果に基づき第一バッテリ充電状態を演算する第一バッテリ充電状態演算手段と、第一バッテリ充電状態とバッテリ端子電圧に基づき充電電流を減少させる充電電流減少手段とを備えるものである。
【0014】
請求項10においては、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ雰囲気温度を検出するバッテリ温度検出手段と、バッテリ雰囲気温度が所定値より小さいとき目標バッテリ充電状態を大きくする目標バッテリ充電状態変更手段とを備えるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について添付の図面を用いて説明する。
図1は本発明の一つである「エンジン、発電機、モータ、コンバータ、バッテリ、および動力伝達装置」よりなるハイブリッドシステム(以下、「ハイブリッドシステムA」という。)を示す図、図2はハイブリッドシステムAの動作モードの一例を示す図、図3はバッテリの内部抵抗を算出するためのバッテリ電圧と充放電電流との関係を示す図、図4はバッテリ液の比重とバッテリ開路電圧の関係を示す図、図5はバッテリ液の比重とバッテリの放電深度(DOD)の関係を示す図、図6は内分値SOCを演算することによるバッテリのSOC推定の制御の手順を示す図、図7はバッテリの使用可能領域を示す図、図8はバッテリ充電電圧による充放電制御におけるバッテリ充電電圧と充電電流の時間変化を示す図、図9は充電優先制御領域の近傍における充放電制御の手順を示す図、図10はSOCとバッテリ端子電圧によりバッテリの充放電を制御する手順を示す図、図11はバッテリ暖機制御における現在のSOCと目標SOCの時間変化を示す図、図12はバッテリ暖機制御の手順を示す図、図13は本発明の一つである「エンジン、モータジェネレータ、コンバータ、バッテリ、および動力伝達装置」よりなるハイブリッドシステム(以下、「ハイブリッドシステムB」という。)を示す図、図14はハイブリッドシステムBの動作モードの一例を示す図、図15はハイブリッドシステムBのスタータ機能を示す図、図16はハイブリッドシステムBのモータジェネレータによる動力アシスト機能を示す図、図17はハイブリッドシステムBの電力供給(発電あり)機能を示す図、図18はハイブリッドシステムBの電力供給(発電なし)機能を示す図である。
【0016】
本発明の一つであるハイブリッドシステムAについて説明する。
ハイブリッドシステムAは、図1に示すような構成である。ハイブリッドシステムAでは、水中推進用に備えられるプロペラ4の駆動をエンジン2とモータ5との両方により可能としている。なお、後述するように、図13に示すハイブリッドシステムBのような構成とすることも可能である。また、以下では、ハイブリッドシステムを船舶について適用した実施例について説明しているが、その他の移動体(例えば、自動車等)に適用することも可能である。
【0017】
図1において、システム1は、エンジン2および動力伝達装置3を有しており、該動力伝達装置3としてはセイルドライブが用いられ、その後下部にはプロペラ4が接続されている。これにより、システム1は船舶の推進システムとして利用することができる。
エンジン2からの駆動力は動力伝達装置3によりプロペラ4に伝達され、その結果プロペラ4が回転駆動される。動力伝達装置3内にはクラッチが備えられており、該クラッチによりエンジン2からの駆動力の断接と動力伝達の回転方向(プロペラ4の回転方向)の切り換えを行うようにしている。
なお、本実施例においては、システム1は動力伝達装置3がエンジン2の下方へ大きく延出し、該動力伝達装置3に直接プロペラ4が取り付けられたセイルドライブに構成されているが、動力伝達装置3の後端部に、プロペラ4のプロペラ軸が装着されるマリンギアに構成することもできる。
【0018】
また、本システムにおいては、エンジン2と動力伝達装置(セイルドライブ)3との間に、発電機器である発電機10を介装している。エンジン2により発電機10を駆動して、該発電機10により発電された電力は、後述するように電動機駆動用に用いられたり、船内電力として供給されたりするようにしている。
【0019】
発電機10は、例えば、高周波発電機に構成されており、該発電機10の出力部には、リレー(電磁開閉器)11、整流機器12、インバータ15が接続されている。
また、発電機10は前記整流機器12を介して、DC/DCコンバータ(直流/直流コンバータ)13と接続されている。
【0020】
整流機器12は、例えば、平滑用コンデンサで構成されており、発電機10により発電された交流電力を整流・平滑化して、直流に変換する。整流機器12からDC/DCコンバータ13に送られた電力は、該DC/DCコンバータ13により所定の電圧に変圧されて、リレー17を介してバッテリ14を充電する。
【0021】
一方、整流機器12からインバータ15に送られた電力は、該インバータ15により交流に変換されて、切換機器19を介して出力ソケット20から交流電力として船内供給可能とされる。切換機器19にて商用電源(外部電源)とインバータ15により変換された交流電力とを切換可能としている。このように、インバータ15を介して電気負荷(AC出力)が接続できるようにしている。なお、切換機器19を切換スイッチで構成して手動により切り換えを行ってもよく、また、電磁接触器で構成してインバータ出力と商用電源との切り換えを自動で行ってもよい。電磁接触器で構成する場合には、該電磁接触器にシステムコントローラ7からオン・オフ信号が入力されるように、システムコントローラ7と接続しておく。そして、インバータ15には、リレー15aが内蔵されており、該リレー15aはシステムコントローラ7と接続されている。
【0022】
動力伝達装置3の上端部には電動機器(モータ)5が設置されており、該モータ5の出力軸は動力伝達装置3の伝達軸と接続されている。モータ5はモータコントローラ6と接続されており、該モータコントローラ6によりモータ5を制御する構成としている。また、モータコントローラ6はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7からの指令がモータコントローラ6へ入力されるようにしている。
また、モータコントローラ6は、リレー18を介して、前記DC/DCコンバータ13とバッテリ14に接続されており、バッテリ14、またはDC/DCコンバータ13を介して発電機10から電力供給を受けて、フィールド電流(界磁電流)で発生させた磁界とアマチュア電流(電機子電流)によりモータ5を駆動する。そして、モータコントローラ6がこれらの電流または電圧を制御してモータ5の回転数およびトルクを制御する。
【0023】
船体の前後進の切り換えやエンジン2の駆動力の調節は、船舶の操作部8に配設されるレバー9等の操作具を操作することによって行われる。レバー9には、例えば、シフトレバー、レギュレータレバー、モード切換レバー等があり、それぞれシステムコントローラ7と接続されている。そして、レバー9を操作することにより、システムコントローラ7にレバー位置に対応した信号が入力される。
【0024】
例えば、操作部8のシフトレバーを操作すると、シフトレバー位置(前進・中立・後進)に対応する信号がシステムコントローラ7に入力され、該システムコントローラ7によりシフトアクチュエータ21を作動させるようにしている。シフトアクチュエータ21は動力伝達装置3のクラッチに接続されており、該シフトアクチュエータ21の作動により、動力伝達装置3の伝動軸の正転・中立・逆転を切り換えて、前進・中立・後進の切り換えを行うこととしている。このように、シフトレバーを操作することにより、船体の前後進の切り換えを行っている。
【0025】
また、操作部8のレギュレータレバーを操作すると、レギュレータレバー位置に対応する信号がシステムコントローラ7に入力され、該システムコントローラ7によりレギュレータアクチュエータ22を作動させるようにしている。レギュレータアクチュエータ22はエンジン2のレギュレータに接続されており、該レギュレータアクチュエータ22の作動により、エンジン2における燃料噴射量を調節して、エンジン2の駆動力を調節可能としている。このように、レギュレータレバーを操作することにより、エンジン2の駆動力の調整を行っている。
【0026】
また、操作部8にはモード切換レバーが配設されており、該モード切換レバーを操作することにより、本システムの動作モードを切換可能としている。この動作モードの例としては、図2に示すようなものがあり、モード切換レバーにより、「航走モード」の切り換えを行う。そして、「航走モード」の切り換えを行うと、システムコントローラ7へモード信号が入力されて、該システムコントローラ7により各「航走モード」に対応した本システムの制御が行われるようにしている。
具体的には、図2に示すように「航走モード」の切り換えにより、プロペラ4の駆動を、エンジン2のみにより駆動するモード、エンジン2により駆動しつつ、モータ5により駆動をアシストするモード、モータ5のみにより駆動するモード、の3種類のパターンにより行うことを可能としている。
【0027】
エンジン2内にはエンジン2始動用のスタータモータ2aと機関付発電機であるオルタネータ2bが備えられており、該スタータモータ2aはリレー25を介してスタータバッテリ24と接続され、該スタータバッテリ24はオルタネータ2bと接続されている。また、スタータモータ2a、オルタネータ2b、スタータバッテリ24はメインリレー26を介して前記システムコントローラ7と接続されている。オルタネータ2bからの発電出力は、エンジン2のスタータモータ2aを駆動するためのスタータバッテリ24に充電され、該スタータバッテリ24に蓄積された電力をエンジン2始動の際に用いるようにしている。
【0028】
以上のように構成される本システムにおいて、メインコントローラとしてのシステムコントローラ7は次のように機能して、本システムの制御を行う。前述したように、システムコントローラ7は操作部8のレバー9(シフトレバー、レギュレータレバー、モード切換レバー)と接続されている。また、システムコントローラ7はシフトアクチュエータ21およびレギュレータアクチュエータ22と接続されている。
【0029】
また、システムコントローラ7はエンジン2と接続されており、該エンジン2からシステムコントローラ7にエンジン回転数が入力される。エンジン2の回転数は、エンジン2に付設される回転数センサ35により検出される。
また、システムコントローラ7はモータ5と接続されており、該モータ5からシステムコントローラ7にモータ回転数およびモータ5の温度が入力される。モータ5の回転数は、モータ5に付設される回転数センサ36により検出され、モータ5の温度は、サーミスタ等の温度センサ(図示せず)により検出される。
【0030】
また、システムコントローラ7はモータコントローラ6と接続されており、該システムコントローラ7はモータコントローラ6に対して回転方向信号、出力信号、モード信号等を出力する。一方、モータコントローラ6は、モータ5に異常が発生した場合には、アラーム信号をシステムコントローラ7へ送る。
また、システムコントローラ7は発電機10と接続されており、該発電機10からシステムコントローラ7に発電機10の温度が入力される。発電機10の温度は、サーミスタ等の温度センサ(図示せず)により検出される。
【0031】
また、システムコントローラ7はリレー11・15a・17・18と接続されており、該システムコントローラ7は、図2に示すように、リレー11・15a・17・18のオン・オフ(開閉)を制御する。このオン・オフ制御は、船舶の航走状態、バッテリ14の充放電状態、インバータ15に接続される電気負荷(インバータ負荷)等の状態に基づいて行われている。
また、システムコントローラ7はDC/DCコンバータ13に接続されており、該システムコントローラ7はDC/DCコンバータ13に対して充電電流指示を送る。
【0032】
また、システムコントローラ7はバッテリ14と接続されており、該バッテリ14からシステムコントローラ7にバッテリ14の充放電状態を表す電圧値・電流値が入力される。バッテリ14の電圧値および電流値はそれぞれ、バッテリ端子電圧検出手段としての電圧センサ33、バッテリ充放電電流検出手段(バッテリ充電電流検出手段)としての電流センサ34により検出される。更に、バッテリ14には、バッテリ周囲温度(バッテリ雰囲気温度)を検出するバッテリ温度検出手段としてのサーミスタ等の温度センサ37が付設されており、該温度センサ37はシステムコントローラ7と接続されている。温度センサ37により検出されたバッテリ雰囲気温度はシステムコントローラ7に入力される。
【0033】
また、システムコントローラ7はインバータ15に接続されており、該システムコントローラ7はインバータ15(リレー15a)に対してオン・オフ信号を出力する。一方、インバータ15はシステムコントローラ7に対してインバータ15に接続される電気負荷の状態を表すインバータ入力電圧値、インバータ入力電流値、アラーム信号を出力する。インバータ入力電圧値およびインバータ入力電流値は、それぞれ、電圧センサ31および電流センサ32により検出される。
【0034】
また、システムコントローラ7は表示モニタ23と接続されており、該表示モニタ23はシステムコントローラ7に入力される種々の検出値等を表示して、操船者が本システムの状態を把握できるようにしている。
【0035】
本システムでは、例えば、図2に示すようなH1からH16までの動作モードがある。以下、各モードについて説明する。
【0036】
H1およびH2は、モータ5のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するモードであり、モータ5の駆動源はバッテリ14である。これらのモードによりエンジン停止状態でも航行可能となる。
【0037】
H3およびH8は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するモードであり、モータ5の駆動源はバッテリ14である。これらのモードにより、発電機10が損傷等でその電力が使用できない場合であっても、モータ5によるエンジンアシストが可能となる。なお、本実施例で「エンジンアシスト」とは、セイルドライブ3およびプロペラ4の駆動負荷の一部をモータ5により賄うことを意味する。
【0038】
H4およびH9は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するモードであり、モータ5の駆動源は発電機10の電力である。これらのモードにより、バッテリ14が損傷等でその電力が使用できない場合であっても、モータ5によるエンジンアシストが可能となる。
【0039】
H5およびH10は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動し、モータ5を駆動するに当たって発電機10の電力が不足するときはバッテリ14の放電により不足電力を補い、発電機10の電力に余裕があるときはバッテリ14を充電するモードである。これらのモードにより、モータ5の所要駆動力を確保してバッテリ14の充電が可能となる。
【0040】
H6およびH11は、エンジン2および発電機10の電力により駆動されるモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、インバータ15を介して発電機10の電力を供給するモードである。これらのモードにより、インバータ15の電気負荷への電力供給とモータ5によるエンジンアシストの両立が可能となる。
【0041】
H7およびH12は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、インバータ15を介して発電機10の電力を供給し、モータ5を駆動するに当たって発電機10の電力が不足するときはバッテリ14の放電により不足電力を補い、モータ5の駆動およびインバータ15を介しての電力供給に当たって発電機10の電力に余裕があるときはバッテリ14を充電するモードである。これらのモードにより、インバータ15を介しての電力供給を安定化できるとともに、モータ5の所要駆動力を確保してエンジンアシストが可能となる。
【0042】
H13はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するのみであり発電機10はエンジン2と同期回転するが実質停止しているモードである。このモードにより、インバータ15を介しての電力供給およびモータ5の駆動が不要またはこれらの機器の損傷等により不能の場合にあってもエンジン航行が可能となる。
【0043】
H14はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、発電機10の電力でバッテリ14を充電するモードである。このモードにより、航行しながらバッテリ14の充電が可能となる。
【0044】
H15はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、発電機10の電力でバッテリ14を充電およびインバータ15を介して電力供給を行うモードである。このモードにより、航行、インバータ15を介しての電力供給およびバッテリ14の充電を並立できる。
【0045】
H16はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、インバータ15を介して発電機10の電力を供給するモードである。このモードにより、航行およびインバータ15を介しての電力供給を並立できる。
【0046】
なお、H1とH2との違いは、本システムを搭載した船舶が定常(=定速)航行状態か加速航行状態かの違いである。H3とH8との違い、H4とH9との違い、H5とH10との違い、H6とH11との違い、およびH7とH12との違いについても同様である。
また、モータ5によるエンジンアシストによりエンジン2を燃費の良い回転域で使用することができ、かつ、モータ5の駆動源もバッテリ14またはエンジン2により駆動される発電機10の電力であるので本システムの燃費性を向上できる。
一方、エンジン2により駆動される発電機10の電力をインバータ15を介して電気負荷へ供給できるので別個の発電機が不要とでき、本システムを搭載した船舶の空間利用性を向上できる。
【0047】
次に、本システムにおける充放電制御について説明する。
まず、バッテリ端子電圧およびバッテリ充放電電流を計測することによるバッテリ14の充電状態(以下、「SOC(State of Charge)」という)を演算する制御について、図3、図4、図5を用いて説明する。前述したように、エンジン2の駆動により発電機10にて発電された交流電力を整流機器12にて整流・平滑化した後、DC/DCコンバータ13により所定の電圧に変圧されて、リレー17を介してバッテリ14に充電される(図1)。また、バッテリ14からの放電電力によりモータコントローラ6へ電力供給を行って、モータ5を駆動可能としている(図1)。
【0048】
充放電中のバッテリ電圧(バッテリ14の端子電圧)VBは、次式(1)により表され、この式を用いてバッテリ14のSOCを算出する。
VB=E0±ICD・R0 ・・・(1)
式(1)において、E0はバッテリ14の起電力(バッテリ開路電圧)、ICDはバッテリ14の充放電電流、R0はバッテリ14の内部抵抗である。バッテリ14の充放電電流ICDは電流の向きによって、充電電流ICまたは放電電流IDとなり、式(1)においては、+(プラス)の場合には充電電流であり、−(マイナス)の場合には放電電流である。
【0049】
まず、バッテリ電圧VBおよび充放電電流ICDが、電圧センサ33および電流センサ34により所定時間中に複数回、検出されて、検出されたバッテリ電圧VBおよび充放電電流ICDがシステムコントローラ7に送られる。システムコントローラ7はバッテリ内部抵抗平均値演算手段として機能して、入力されたバッテリ電圧VBおよび充放電電流ICDに基づいてバッテリ14の内部抵抗R0を演算する。
図3には、複数回分(図3では10回分)のバッテリ電圧VBと充放電電流ICDの検出結果を示している。図3中の直線は、バッテリ電圧VBと充放電電流ICDとの関係を示す直線であり、複数回分の検出結果に対して、検出誤差を少なくするために、移動平均を使用することにより求められる。このとき、直線の傾きがバッテリ14の内部抵抗R0の平均値であり、この傾きを算出することにより、バッテリ14の内部抵抗R0の平均値が求められる。
【0050】
次に、算出された内部抵抗R0の平均値に基づき、式(1)からバッテリ開路電圧E0を演算する。このとき、システムコントローラ7はバッテリ開路電圧演算手段として機能する。
予めシステムコントローラ7には、図4に示すような、バッテリ開路電圧E0とバッテリ14のバッテリ液(電解液)の比重との関係と、図5に示すような、バッテリ液の比重とバッテリ14の放電深度(DOD)との関係が記憶されている。このDODとSOCとは、ともにバッテリの充電状態を表す量であり、両者間には、DOD+SOC=100%という関係がある。
【0051】
バッテリ開路電圧E0が分かると、システムコントローラ7は、バッテリ液比重演算手段として機能して、バッテリ開路電圧E0とのバッテリ液の比重との関係により、あるバッテリ温度(周囲温度)に対するバッテリ液の比重が算出される。そして、算出されたバッテリ液の比重から、バッテリ液の比重とDODとの関係により、バッテリ14のDODが演算される。また、このDODに対するバッテリ14のSOCも演算される。このとき、システムコントローラ7はSOC演算手段(DOD演算手段)として機能している。なお、システムコントローラ7には、バッテリ液とDODとの関係に替えて、バッテリ液とSOCとの関係を予め記憶させておいてもよい。
【0052】
このように、バッテリ14の端子電圧VBおよび充放電電流ICDを所定時間中に複数回検出して、バッテリ14の内部抵抗R0の平均値を求め、この内部抵抗R0の平均値に基づいてSOCを演算することにより、バッテリ14の端子電圧VBまたは充放電電流ICDの検出誤差を吸収してSOCの正確性を高めることができる。そして、検出誤差の少ないSOCを推定することにより、確実な充放電制御が可能となり、過充電および過放電の防止が図れ、更には、バッテリ14の寿命を延ばすことにもつながる。
【0053】
次に、内分値SOCを演算することによるバッテリ14のSOCを推定する制御について、図6を用いて説明する。この充放電制御は、バッテリ充放電電流ICDを積分して充電量SOC1(第一SOC)を推定し、更にバッテリ14が充放電状態にない(充放電電流検出値がほぼ0)時のバッテリ端子電圧VBを検出し、バッテリ14の充電量SOC2(第二SOC)を推定する。そして、SOC1をSOC2により補正し、正確性の高い充電量SOCを算出しようというものである。
【0054】
具体的な制御について、図6を参照しながら説明する。
まず、システムコントローラ7からの指示により、バッテリ14の充放電電流ICDを電流センサ34により検出する(ステップS1)。このとき、検出された充放電電流ICDはシステムコントローラ7に入力される。次に、システムコントローラ7は、バッテリ14の充放電電流ICDを積分(電流積算)することにより、ICD・Δtを求める(ステップS2)。ここで、Δtは、充放電電流ICDの検出時間である。
【0055】
そして、SOC1を、次式(2)により推定する(ステップS3)。
SOC1=SOC±ICD・Δt ・・・(2)
式(2)の右辺のSOCは、前述したように、バッテリ端子電圧VBおよびバッテリ充放電電流ICDを検出することにより算出されるSOCである。また、右辺の±(プラスマイナス)の符号は、前述の式(1)の場合と同様に、バッテリ14の充放電電流の向きによって定まり、充電電流のときは、+(プラス)となり、放電電流のときは、−(マイナス)となる。そして、式(2)によれば、バッテリ14にて充放電が行われている場合には、SOCに変動があることを示しており、その変動後の充電量をSOC1として表している。このSOC1はバッテリ14が充電状態の場合には増加し、放電状態の場合には減少するため、このSOC1からバッテリ14の状態の変化を知ることができる。なお、このとき、システムコントローラ7は、SOC1演算手段として機能する。
【0056】
次に、バッテリ充放電電流ICDが0であるかどうかの判定を行う(ステップS4)。0である場合には、つまり、バッテリ14が充放電を行っておらず、充放電電流ICDが停止している場合には、次のステップS5へ移行する。ステップS5では、所定時間以上待機したか否かの判定が行われ、待機時間が所定時間以上である場合には、システムコントローラ7が、バッテリ開路電圧演算手段として機能して、バッテリ開路電圧E0を算出する(ステップS6)。すなわち、ICDが0である場合には、バッテリ14の内部抵抗R0を考慮する必要がなく、式(1)は、E0=VBとなるため、電圧センサ33でバッテリ14の端子電圧VBを検出することによって、バッテリ開路電圧E0を算出できる。なお、充放電電流ICDが0であるとは、バッテリ14が充放電を行っていない、待機状態にあることを意味しており、この待機状態のSOC(SOC2)を求めることによって、バッテリ状態をより正確に把握できるようにしている。また、ステップS5においては、バッテリ14が待機状態にあることを確認するために、所定時間の経過を判定している。
一方、ステップS4において、充放電電流ICDが0ではない場合、および、ステップS5において、待機時間が所定時間以下の場合には、前記ステップS1へ移行する。
【0057】
バッテリ開路電圧E0を算出した後、システムコントローラ7に予め記憶されているバッテリ開路電圧E0とSOCとの関係から、算出された開路電圧E0に対する充電量SOC2を推定する(ステップS7)。このとき推定されるSOC2は、前述したように、バッテリ14が充放電を行っていない静的状態(待機状態)にある場合のバッテリ14の状態を示す量である。
次に、SOC2によりSOC1を、次式(3)を用いて補正係数をK(0<K<1)として、補正する(ステップS8)。
内分値SOC=K・SOC1+(1−K)・SOC2 ・・・(3)
この式(3)により求められる内分値SOCは、バッテリ14の充放電電流ICDに基づくSOC1と、バッテリ開路電圧E0により算出したSOC2とを、(1−K):Kの割合で内分した値である。つまり、内分値SOCは、バッテリ14が充放電を行っている動的状態と、充放電を行っていない静的状態とを加味した値となっている。このとき、システムコントローラ7は、内分値SOC演算手段として機能する。そして、システムコントローラ7は、算出されたSOC(内分値SOC)を出力する(ステップS9)。
【0058】
このように、動的変化の結果である、バッテリ14の充放電電流ICDの検出結果に基づくSOC1と、静的状態の結果である、バッテリ開路電圧E0に基づくSOC2との内分値によりSOCを演算することにより、充放電中および待機状態のいずれのSOCについてもその正確性を高めることができる。従来は、検出されたバッテリ充放電電流ICDを積分してSOCを推定してしたため、その測定誤差をも積分することとなり、SOCの推定結果における誤差が大きく生じてしまうという不具合があったが、以上のような制御を行うことにより、検出誤差の少ないバッテリ14のSOCの推定が可能となり、航走中においても、時間変化するSOCを正確に求めることができる。
【0059】
そして、バッテリ14の充放電電流ICDが所定値以上のときは、式(3)における補正係数Kを0.5より大きく設定して、内分値SOCを算出する。つまり、内分値SOCにおけるSOC1の占める割合を0.5よりも大きくする。充放電電流ICDが所定値以上の場合には、バッテリ14の動的変化の観点から求められるSOC1を重視して、内分値SOCにおけるその割合(補正係数)Kを大きくしている。
【0060】
このように、バッテリ14の充放電電流ICDが大きい場合には、バッテリ14における電流の流出・流入が多く、充放電電流ICDによる影響が大きいものとして、その動的な状態をより反映させるため、内分値SOCにおけるSOC1の占める割合を、SOC2の占める割合よりも大きく設定して、充放電中のSOCの正確性を高めることを可能としている。
【0061】
また、バッテリ14の充放電電流ICDが所定値以下で、かつ、この所定値以下となっている期間が所定時間以上の場合には、式(3)における補正係数Kを0.5より小さく設定して、内分値SOCを算出する。つまり、内分値SOCにおけるSOC2の占める割合を0.5よりも大きくする。充放電電流ICDが所定値以下の場合には、バッテリ14の静的状態の観点から求められるSOC2を重視して、内分値SOCにおけるその割合(1−K)を大きくしている。
【0062】
このように、バッテリ14の充放電電流ICDが小さく、その期間が長い場合には、バッテリ14における電流の流出・流入が少なく、充放電電流ICDによる影響が小さいものとして、その待機状態または待機状態に近い状態をより反映させるため、内分値SOCにおけるSOC2の占める割合を、SOC1の占める割合よりも大きく設定して、待機状態または待機状態に近い状態のSOCの正確性を高めることを可能としている。
【0063】
次に、本システムにおいてバッテリ14の使用領域を広げる充放電制御について、図7、図9を用いて説明する。図7では、横軸をSOCとし、縦軸を放電電流および充電電流としている。縦軸が放電電流である場合には、図7の下の方向(矢印の方向)に向かって、放電電流が小さくなる向きとしており、SOCが所定の下限値(図7では、50%)以下では、放電電流は0となり、この場合には、バッテリ14は充電のみを行うようにしている。また、縦軸が充電電流である場合には、上の方向(矢印の方向)に向かって、充電電流が小さくなる向きとしていおり、SOCが所定の上限値(図7では100%)以上では、充電電流は0となり、この場合には、バッテリ14は放電のみを行うようにしている。
図7においては、バッテリ使用可能領域が示されている。このバッテリ使用可能領域には、横軸のSOCの値に応じて、通常制御領域と充電優先制御領域とが設けられている。通常制御領域として、EV用の通常制御領域とHV用の通常制御領域とがあり、EV用通常制御領域では、「モータ単独」モードにて充放電制御が行われており、HV用通常制御領域では、「エンジンおよびモータ」モードにて充放電制御が行われている。SOCが小さくなる充電優先制御領域では、放電電流を徐々に減少させる制御(モータ出力制限)を行い、充電を極力確保することで、過放電境界でバッテリ14を使用せず、バッテリ使用領域を広げるとともに、過放電を可能な限り防いでいる。一方、SOCが大きくなる領域では、バッテリ14の容量密度を高めるために徐々に充電電流を減少させる制御を行っている。
【0064】
充電優先制御領域の近傍における具体的な制御について、図9を参照しながら説明する。
まず、システムコントローラ7からの指示により、バッテリ14の端子電圧VBを電圧センサ33により検出する(ステップT1)。このとき、検出されたバッテリ端子電圧VBはシステムコントローラ7に入力され、該システムコントローラ7は、前述したSOCを演算する制御の場合と同様にして、バッテリ14のSOCを算出する(ステップT2)。次に、システムコントローラ7は、モータ出力PMおよび発電機出力PGを算出する(ステップT3)。PMおよびPGは、次式(4)、(5)により求められる値である。
PM=NM・TM・ηM ・・・(4)
PG=VG・IG・ηG ・・・(5)
ここで、NMはモータ5の回転数、TMはモータ5のトルク、VGは発電機10の出力電圧、IGは発電機10の出力電流、ηM、ηGは所定の係数である。
【0065】
次に、システムコントローラ7は、算出されたPGとPMとの大小を比較する(ステップT4)。つまり、充放電の出力の収支(PG−PM)により、バッテリ14が充電状態か放電状態かが判定される。ステップT4の判定において、PG>PMの場合には、バッテリ14は充電状態にあると判定され、PG≦PMの場合には、バッテリ14は放電状態にあると判定される。そして、充電状態(PG>PM)と判定された場合には、SOCが所定値(図9では、60%)以上であるかどうかの判定が行われ(ステップT5)、SOCが60%以上である場合には、後述するような充電制御を行う(ステップT6)。一方、SOCが60%以上ではない場合には、更に、SOCが所定の下限値(図9では、50%)より小さいかどうかの判定が行われる(ステップT8)。なお、後述するハイブリッドシステムBにあっては、充放電の判定は、昇降圧チョッパ44(図13)の動作状態、または昇降圧チョッパ44とバッテリ14の間を流れる電流の向きにより判定する。
【0066】
そして、SOCが50%より小さい場合には、システムコントローラ7はモータコントローラ6に対して発電機作動信号を出力して、強制的な発電によりバッテリ14を充電状態とする強制充電モードとし、また、操船者へアラームにて強制発電機始動を知らせる(ステップT9)。
強制充電モードに切り換わると、エンジン2が駆動し、発電機10が作動する(ステップT10)。このとき、充電電流ICは最大となっており(ステップT11)、モータ5は停止状態にある(ステップT12)。このように、強制充電モードでは、発電機10を作動させて、バッテリ14への充電のみを行い、モータ5(モータコントローラ6)へ電力供給を行わず、バッテリ14からの放電を行わないこととしている。このとき、システムコントローラ7はバッテリ充放電制御手段として機能する。
その結果、SOCが所定値(図9では、60%)以上となったか否かが判定され(ステップT13)、SOCが60%以上になっていない場合には、前記ステップT11へ移行し、SOCが60%以上となるまで強制充電モードを引き続き行う。
一方、60%以上である場合には、強制充電モードを終了し、SOCとモータ5による発電制御に切り換える(ステップT14)。この制御は、警報や強制充電なしのSOCによる制御であって、常時発電可能でモータ5は一時的な出力となっており、このため細かな制御を必要としない。
【0067】
前記(ステップT8)において、SOCが50%より小さくない場合には、再度、SOCが60%以下である否かを判定し(ステップT15)、60%以下ではない場合には、前記ステップT14へ移行し、SOCとモータ5による発電制御を行う。一方、SOCが60%以下である場合には、SOCは充電優先制御領域にあり、操船者に対してバッテリ14への充電を行うように警告し(ステップT16)、モータ5の出力制御を行った後(ステップT17)、前記ステップT14へ移行する。このモータ出力制御では、図7に示すように、SOCが充電優先制御領域にある場合に、SOCが所定の下限値(50%)に近づくにつれてバッテリ14からの放電電流を徐々に減少させることにより、バッテリ14への充電を極力確保する制御を行っており、このとき、システムコントローラ7はバッテリ放電電流減少手段として機能する。
【0068】
前記ステップT5において、バッテリ14が放電状態(PG≦PM)と判定された場合には、航走モードが「モータ単独」となっているかどうかの判定が行われ(ステップT7)、「モータ単独」モードである場合には前記ステップT8へ移行し、「モータ単独」モードではない場合にはステップT14へ移行する。
この「モータ単独」モードとなっているバッテリ14が放電状態の場合においても、SOCが50%以下であれば、モータ5を停止して、強制充電モードにて充放電制御が行われ(ステップT9〜ステップT13)、SOCが50%以上60%以下の充電優先制御領域では、モータ5への放電電流を徐々に減少させるモータ出力制限による充放電制御が行われる(ステップT16、T17)。
【0069】
このように、バッテリ14のSOCが所定の下限値以下の場合には、強制充電モードに切り換えて、充電のみを行う制御とすることにより、SOCにてバッテリ14の充放電を制御しているため、バッテリ14のSOC管理の制度が向上する。
また、バッテリ14のSOCが充電優先制御領域にある場合には、モータ出力制御に切り換えて、SOCが所定の下限値に近づくにつれて、バッテリ14からの放電電流を徐々に減少させる制御を行うことにより、バッテリ14が過放電状態になるのを防止するとともに、バッテリ14の放電可能範囲を広げて、電気負荷への電力供給能力の向上が図れる。
【0070】
次に、本システムにおいてバッテリ14の充電電圧を検出することによる充放電制御について、図8を用いて説明する。図8には、この充放電制御におけるバッテリ端子電圧VBとバッテリ充電電流ICとの時間変化を表している。バッテリ端子電圧VBとバッテリ充電電流ICとは、システムコントローラ7の指示により、電圧センサ33および電流センサ34にて検出される。
【0071】
図8に示すように、予めバッテリ充電電圧(バッテリ端子電圧)の上限値VBMAX(図8の破線)を設定しておく。バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXを超えるまでは、バッテリ充電電流ICを最大電流として、バッテリ14の充電を行う。バッテリ14の充電により、バッテリ14のSOCは徐々に大きくなる。そして、バッテリ端子電圧VBが上昇して、上限値VBMAXとなったとき、バッテリ充電電流ICを減少させる制御を行う。図8においては、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXに達したとき、バッテリ充電電流ICを半減させている。このとき、システムコントローラ7がバッテリ充電電流減少手段として機能している。バッテリ充電電流ICを減少させると、バッテリ端子電圧VBも一旦降下し、この分だけの電位差が生ずるため、バッテリ14への充電を行い易い状態になる。
【0072】
次に、半減したバッテリ充電電流ICにて充電を続けると、バッテリ端子電圧VBが上昇して、再び、上限値VBMAXに達する。上限値VBMAXに達すると、再び、バッテリ充電電流ICを減少させる制御を行う。図8においては、このとき減少された充電電流ICは最大電流の1/4となっている。そして、バッテリ充電電流ICを減少させると、バッテリ端子電圧VBも再び降下する。
このような制御を繰り返すことにより、SOCが、充電末期となる100%に近づくため、バッテリ充電電流ICを減少させてもバッテリ端子電圧VBが変化せず、バッテリ充電電流ICも微小電流となる。図8では、バッテリ充電電流ICを減少させる制御を三度繰り返した後に、最小電流にて長時間、バッテリ14の充電を行っている。充電終了時には、徐々に電流が流れなくなり、バッテリ端子電圧VBが一定となるため、特別な制御を必要としない。この場合、充電時間が長くなっても、バッテリ14へは微小電流しか流れていないため、過充電を防止でき、また、長時間微小電流での充電が可能なため、充分にSOCを確保できる。
【0073】
以上のように、バッテリ14の充電が進むにつれて(SOCが100%に近づくにつれて)、段階的にバッテリ充電電流ICを減少させることにより、バッテリ14の過充電を防止できるとともに、SOCが100%近傍の充電末期では、バッテリ充電電流ICを少量にすることにより、バッテリ14の容量密度を高め、かつ、充電精度を高めることができる。また、バッテリ14の寿命を延ばすことができる。
【0074】
また、バッテリ端子電圧VBに加えて、バッテリ充電電流ICから算出されるSOCを考慮することによる充放電制御を行うことも可能である。この充放電制御について、図10を参照しながら説明する。
まず、システムコントローラ7からの指示により、バッテリ14の端子電圧VBおよび充電電流ICが電圧センサ33および電流センサ34にて検出され、このとき検出されたバッテリ端子電圧VBおよび充電電流ICがシステムコントローラ7に入力され、該システムコントローラ7は、前述したSOCを演算する制御の場合と同様にして、バッテリ14のSOCを算出する(ステップU1)。次に、この算出されたSOCを、SOCL(SOCの最小限度値)およびSOCH(SOCの最大限度値)と比較する(ステップU2)。そして、算出されたSOCがSOCHよりも大きい場合には(SOC>SOCH)、バッテリ14は、すでに最大限充電された状態となっているため、何の制御も行わず、終了する。算出されたSOCがSOCL以上かつSOCH以下である場合には(SOCL≦SOC≦SOCH)、後述するステップU8へ移行する。一方、算出されたSOCがSOCLよりも小さい場合には(SOC<SOCL)、前述の強制充電モードに切り換わり、強制的にバッテリ14への充電のみを行うように制御する。このとき、電圧センサ33により検出されたバッテリ端子電圧VBが所定の上限値VBMAXより大きいか否かが判定され(ステップU3)、大きくない場合には、バッテリ充電電流ICを最大電流の状態として、バッテリ14への充電を行う(ステップU4)。
そして、前述したSOCを演算する制御の場合と同様にして、バッテリ充電電流ICを積算することにより、SOCの修正を行う(ステップU6)。つまり、前記式(2)を用いて、充電電流ICを加味することにより算出されたSOC1を、修正したSOCの値として採用する。
一方、ステップU3において、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXよりも大きい場合には、バッテリ14への充電を行わずに(ステップU5)、ステップU6へ移行する。
【0075】
次に、ステップU6において修正されたSOCの値がSOCLより大きいか否かが判定される(ステップU7)。大きくない場合には(SOC≦SOCL)、前記ステップU3へ移行し、SOCがSOCLより大きくなるまで強制充電モードを引き続き行う。一方、大きい場合には(SOC>SOCL)、再度、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXより大きいか否かが判定される(ステップU8)。大きくない場合には、バッテリ充電電流ICを最大電流の状態にして、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXより大きくなるまで、バッテリ14の充電を行う(ステップU9)。一方、ステップU8において、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXよりも大きい場合には、つまり、バッテリ端子電圧VBが所定の上限値VBMAXに達した場合には、バッテリ充電電流ICを減少させて、半分にする制御を行う(ステップU10)。このとき、システムコントローラ7がバッテリ充電電流減少手段として機能し、バッテリ充電電流ICは最大電流の1/2となる。
そして、前記ステップU6と同様にして半減させたバッテリ充電電流ICを積算することにより、SOCの値を修正する(ステップU11)。
【0076】
次に、再度、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXより大きいか否かが判定される(ステップU12)。大きくない場合には、バッテリ充電電流ICを最大電流の1/2の状態にして、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXより大きくなるまで、バッテリ14の充電を行う(ステップU13)。一方、ステップU12において、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXよりも大きい場合には、バッテリ充電電流ICを減少させて、半分にする制御を行う(ステップU14)。このとき、システムコントローラ7がバッテリ充電電流減少手段として機能し、バッテリ充電電流ICは最大電流の1/4になっている。そして、前記ステップU6と同様にして減少したバッテリ充電電流ICを積算することにより、SOCの値を修正する(ステップU15)。
【0077】
次に、再び、バッテリ端子電圧VBが所定の上限値VBMAXより大きいか否かが判定される(ステップU16)。大きくない場合には、バッテリ充電電流ICを最大電流の1/4の状態にして、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXより大きくなるまで、バッテリ14の充電を行う(ステップU17)。一方、ステップU16において、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXよりも大きい場合には、バッテリ充電電流ICを減少させる制御を行う(ステップU18)。このとき、システムコントローラ7がバッテリ充電電流減少手段として機能し、バッテリ充電電流ICは最大電流の1/4よりも小さい最小電流(微小電流)となっている。
そして、前記ステップU6と同様にして、最小電流となったバッテリ充電電流ICを積算することにより、SOCの値を修正する(ステップU19)。
【0078】
更に、バッテリ端子電圧VBが所定の上限値VBMAXより大きいか否かが判定される(ステップU20)。大きい場合には、この充放電制御を終了し、一方、大きくない場合には、バッテリ充電電流ICを最小電流の状態として充電を始めてから、所定時間が経過したか否かが判定される(ステップU21)。所定時間が経過している場合には、前記ステップU6と同様にして、最小電流となっているバッテリ充電電流ICを積算することにより、SOCの値を修正して(ステップU22)、この充放電制御を終了する。一方、所定時間が経過していない場合には、前記ステップU18へ移行する。
【0079】
このようにして、バッテリ14の充放電電流ICDの影響を大きく受ける場合において、充放電電流ICDの検出結果に基づく第一SOCに基づいて充電電流ICを減少させることにより、実際のSOCに、より対応した充電が可能となる。また、バッテリ端子電圧VBによって充電電流ICを減少させることにより過充電を防止できる。また、以上のように、バッテリ14のSOCとバッテリ端子電圧VBとを併用することにより、SOCのみを管理する場合に比べ、SOC管理の精度を向上させることができる。更には、バッテリ14の寿命を延ばすことが可能となる。
【0080】
次に、本システムにおけるバッテリ14の充放電制御によるバッテリ暖機制御について、図11、図12を用いて説明する。このバッテリ暖機制御では、温度センサ37(図1)により検出されるバッテリ14の周囲温度(バッテリ雰囲気温度)Tが所定温度TSETより低い場合に、目標SOCを変更することで、バッテリ14を充電状態または放電状態として、バッテリ14の充放電電流ICDが流れることに伴う発熱量によって、バッテリ14の暖機を行うこととしている。
【0081】
具体的な制御について、図12を参照しながら説明する。
まず、システムコントローラ7からの指示により、バッテリ雰囲気温度Tが温度センサ37により検出され(ステップV1)、検出されたバッテリ雰囲気温度Tがシステムコントローラ7に入力される(図1)。そして、このバッテリ雰囲気温度Tが基準となる所定温度TSETより低いか否かが判定され(ステップV2)、低くない場合には、バッテリ暖機の制御を行う必要がないため、バッテリ14のSOCを予めシステムコントローラ7に設定された目標SOCに近づけて、一致させるように発電機10の発電量を制御する(ステップV4)。一方、低い場合には(T<TSET)、バッテリ雰囲気温度Tにおけるバッテリ14のSOCが、予めシステムコントローラ7に設定されている所定値(図12では80%)より大きいか否かが判定される(ステップV3)。バッテリ14のSOCは、前述したSOCを演算する制御の場合と同様にして、バッテリ端子電圧VB、バッテリ充放電電流ICDを検出することにより算出される。そして、バッテリ14のSOCが80%より大きい場合(図11では、AおよびCの場合)には、バッテリ14を放電状態にして、バッテリ14から放電電流を流すことによるバッテリ暖機制御を行い(ステップV5〜V9)、一方、バッテリ14のSOCが80%より大きくない場合(図11ではBの場合)には、バッテリ14を充電状態にして、バッテリ14へ充電電流を流すことによるバッテリ暖機制御が行われる(ステップV10〜V14)。
【0082】
放電によるバッテリ暖機制御では、まず、バッテリ雰囲気温度Tにおける設定SOC(SOCADDSET)を次式(6)により算出する(ステップV5)。
SOCADDSET=80−(SOC−80)−SOCADD ・・・(6)
この式(6)によれば、設定SOCは、予め設定された所定のSOC(80%)から(SOC−80)を減じた値から、更に、若干の補正量SOCADDを減じた値となっている。よって、設定SOCは、80%よりも小さい値となる。
【0083】
次に、算出された設定SOCがSOC下限値(SOCMIN)より大きいか否かが判定される(ステップV6)。大きい場合には、設定SOCを目標SOC(SOCSET)として設定し(ステップV7)、大きくない場合には、SOC下限値を目標SOCとして設定する(ステップV8)。このとき、システムコントローラ7が目標SOC変更手段として機能している。図11では、SOC下限値は55%に設定されており、SOCが50%以下となる過放電領域に、目標SOCが設定されないようにしている。
【0084】
そして、目標SOCは、現在のバッテリ14のSOCよりも小さくなっているため、バッテリ14を放電状態としたモータ制御を行うことにより、現在のSOCを目標SOCに近づける制御を行う(ステップV9)。このとき、バッテリ14からバッテリ放電電流が流れているため、この放電電流による発熱によって、バッテリ暖機制御を行うこととしている。このように、バッテリ雰囲気温度Tが所定温度TSETより低くなる低温時に、目標SOCを小さく設定することにより放電電流が増し、バッテリ14を暖機できる。また、これによりバッテリ14の端子電圧VBの降下を防止できる。
【0085】
逆に、充電によるバッテリ暖機制御においても、まず、バッテリ雰囲気温度Tにおける設定SOC(SOCADDSET)を次式(7)により算出する(ステップV10)。
SOCADDSET=80+(80−SOC)+SOCADD ・・・(7)
この式(7)によれば、設定SOCは、予め設定された所定のSOC(80%)に(80−SOC)を加えた値に、更に、若干の補正量SOCADDを加えた値となっている。よって、この場合の設定SOCは、80%よりも大きい値となる。
【0086】
次に、算出された設定SOCがSOC上限値(SOCMAX)より小さいか否かが判定される(ステップV11)。小さい場合には、設定SOCを目標SOC(SOCSET)として設定し(ステップV12)、小さくない場合には、SOC上限値を目標SOCとして設定する(ステップV13)。このとき、システムコントローラ7が目標SOC変更手段として機能している。図11では、SOC上限値は95%に設定されており、SOCが100%である過充電領域に、目標SOCが設定されないようにしている。
【0087】
そして、目標SOCは、現在のバッテリ14のSOCよりも大きくなっているため、バッテリ14を充電状態としたエンジン(発電)制御を行うことにより、現在のSOCを目標SOCに近づける制御を行う(ステップV14)。このとき、バッテリ14へバッテリ充電電流が流れているため、この充電電流による発熱によって、バッテリ暖機制御を行うこととしている。このように、バッテリ雰囲気温度Tが所定温度TSETより低くなる低温時に、目標SOCを大きく設定することにより充電電流が増し、バッテリ14を暖機できる。また、これによりバッテリ14の端子電圧VBの降下を防止できる。
【0088】
以上のように、バッテリ14の暖機を、SOCの値に応じて充放電を制御して、自動的に行うことにより、充電または放電、単独のみの場合に比べて、暖機速度を高めることができ、効果的な暖機を行うことができる。
そして、バッテリ14の暖機を行うことにより、バッテリ14の電圧降下を防ぎ、モータ5等の出力不足を防止できる。この結果、モータ5によるアシスト、加速を充分に行うことができ、迅速な応答性が得られる。更には、エンジン2の暖機も促進され、低温時の始動不良を改善することができる。
【0089】
また、図13に示すようなハイブリッドシステムBにおいて、前述した充放電制御を行うことも可能である。
ハイブリッドシステムBの構成は、ハイブリッドシステムAの構成を変更したものとなっており、その機能は略同様のものとなっている。すなわち、ハイブリッドシステムBにおけるモータジェネレータ(M/G)40が、ハイブリッドシステムAのモータ5と発電機10に相当する。また、ハイブリッドシステムBにおけるVVVFインバータコンバータ(可変電圧可変周波数インバータコンバータ)42と単相CVCFインバータ(単相定電圧定周波数インバータ)43と昇降圧チョッパ44とにより構成されるインバータ部41が、ハイブリッドシステムAにおけるモータコントローラ6とDC/DCコンバータ13と整流機器12とインバータ15に相当する。また、ハイブリッドシステムBは、後述するようにスタータ機能を備えているため、ハイブリッドシステムAにおけるエンジン2始動用のスタータモータ2a、スタータバッテリ24等に相当するものを備えていない。
【0090】
図13に示すように、モータジェネレータ40は、システム1において、エンジン2と動力伝達装置3との間に介装されている。モータジェネレータ40が発電機器として機能する場合(図14のM4からM7、および図17の電力供給機能の場合)には、エンジン2の駆動によりモータジェネレータ40が作動され、該モータジェネレータ40により発電された電力(発電機出力)はインバータ部41に入力され、該インバータ部41からバッテリ14への充電や、切換機器19、出力ソケット20を介して船内供給を行っている。また、モータジェネレータ40が、モータとして機能する場合(図14のM1からM3、図15のスタータ機能、および図16のアシスト機能の場合)には、エンジン2の始動や、航走のアシストを行っている。
【0091】
インバータ部41のVVVFインバータコンバータ42は、モータジェネレータ40が発電機器として機能する場合にはインバータ部41に入力される発電機出力の整流・平滑を行い、また、モータジェネレータ40がモータとして機能する場合にはモータ制御を行う。また、VVVFインバータコンバータ42はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7はVVVFインバータコンバータ42に対し、モータとしてのモータジェネレータ40の起動(回転数)指示、およびアシスト(トルク)指令を出力する。一方、VVVFインバータコンバータ42はシステムコントローラ7へモータとしてのモータジェネレータ40の回転数、トルク、アラーム、直流電圧を送る。
【0092】
単相CVCFインバータ43は、該単相CVCFインバータ43に接続される電気負荷に電力を供給するときに作動して、その供給電力を所定の周波数の交流電力として供給できるようにしている。単相CVCFインバータ43には、該単相CVCFインバータ43に接続される電気負荷に供給される電流および電圧を検出するための電流センサおよび電圧センサ(図示略)が備えられている。また、単相CVCFインバータ43はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7は単相CVCFインバータ43に対し、運転・停止指示を出力する。一方、単相CVCFインバータ43はシステムコントローラ7へ前記電圧センサにより検出した交流電圧、電流センサにより検出した交流電流、交流電力、アラームを送る。
【0093】
昇降圧チョッパ44はバッテリ14と接続されており、該バッテリ14が放電を行う場合には、昇圧チョッパとして機能してバッテリ14の放電電圧を所定の電圧に昇圧し、また、バッテリ14への充電を行う場合には、降圧チョッパとして機能して、バッテリ14への充電電圧を所定の電圧に降圧する。また、昇降圧チョッパ44はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7は昇降圧チョッパ44に対し、運転・停止指示、充電電流指示、充電指示、バッテリ温度検出指示を出力する。一方、昇降圧チョッパ44はシステムコントローラ7へバッテリ電圧、バッテリ充放電電流、バッテリ温度(バッテリ雰囲気温度)、アラームを送る。バッテリ電圧およびバッテリ充放電電流は電圧センサおよび電流センサ(図示略)により検出される。また、バッテリ温度は、バッテリ14に付設される温度センサにより検出される。
【0094】
ハイブリッドシステムBの動作モードを図14から図18により詳しく説明する。
図15には、エンジン2を始動するときの電気回路の作動および駆動力の伝達状態が示されている。バッテリ14から昇降圧チョッパ44により昇圧された電力がVVVFインバータコンバータ42により所要の電圧および周波数に変換されて、モータジェネレータ40に供給され、モータジェネレータ40がモータとして機能してエンジン2を始動する。これは、ハイブリッドシステムAと比べてハイブリッドシステムB特有のモードである。ハイブリッドシステムAに用いられる発電機10並びにハイブリッドシステムBに用いられるモータジェネレータ40は、エンジン2のクランク軸と常時同期回転する構成である。このため、モータジェネレータ40をモータとして駆動すればエンジン2の始動が可能となる。一方、ハイブリッドシステムAの場合、モータ5はセイルドライブ3およびプロペラ4と常時同期回転する構成であり、エンジン2とはセイルドライブ3に内装されるクラッチにより断接されるからである。これにより、エンジン2を始動するためのスタータバッテリ24等を削減できる。
【0095】
図16には、モータジェネレータ40によりエンジンアシストを行うときの電気回路の作動および駆動力の伝達状態が示されている。バッテリ14からモータジェネレータ40までの電気回路の作動状態は図15と同様である。モータジェネレータ40およびエンジン2の駆動力の和が、セイルドライブ3およびプロペラ4の駆動力となる。これにより、モータジェネレータ40によるエンジンアシストによりエンジン2を燃費の良い回転域で使用することができ、かつ、モータジェネレータ40の駆動源もバッテリ14であるので本システムの燃費性を向上できる。
【0096】
図17には、モータジェネレータ40により発電された電力により単相CVCFインバータ43を介して電力供給、またはバッテリ14の充電を行うときの電気回路の作動および駆動力の伝達状態が示されている。エンジン2によりセイルドライブ3およびプロペラ4並びにモータジェネレータ40が駆動される。これにより、モータジェネレータ40が発電を行い、その電力がVVVFインバータコンバータ42により整流・平滑され、その後、単相CVCFインバータ43により所定の電圧および周波数に変換されて電気負荷へ供給される。このとき、整流・平滑後の電力に余剰があれば昇降圧チョッパ44により降圧されてバッテリ14の充電に費やされる。これにより、航行および単相CVCFインバータ43の電気負荷への電力供給が並立できる。更にバッテリ14の充電も可能となる。
【0097】
図18には、バッテリ14により昇降圧チョッパ44および単相CVCFインバータ43を介して電力供給を行うときの電気回路の作動状態が示されている。バッテリ14から昇降圧チョッパ44により昇圧された電力が単相CVCFインバータ43により所定の電圧および周波数に変換されて電気負荷へ供給される。
これは、ハイブリッドシステムAと比べてハイブリッドシステムB特有のモードである。これにより、モータジェネレータ40で発電される電力が不足するときにその補償が可能となる。また、エンジン2の停止中でも単相CVCFインバータ43の電気負荷への電力供給が可能となる。
【0098】
そして、図14で示すM1は、図15または図16で表される動作モードである。M2は、図16で表される動作モードである。M3は、図15または図16、および図18で表される動作モードの組合せモードである。M4は、図2のH13と同様の動作モードである。M5は、図17の内、単相CVCFインバータ43による電力供給が停止している動作モードである。M6は、図17で表される動作モードである。M7は、図17の内、バッテリ14の充電が停止している動作モードである。M8は、図18で表される動作モードである。
【0099】
ハイブリッドシステムBでは、ハイブリッドシステムAと比べてきめ細かなモードは実現できない代わりに配線を低減できるので本質的に生産性(特に組立性)および信頼性が向上できる。更に、ハイブリッドシステムAと比べてエンジン2の始動のためのスタータバッテリ24等が削減できるので、本システムを搭載した船舶の空間利用性を向上できる。また、モータジェネレータ40で発電される電力が不足するときにその補償が可能となるとともに、エンジン2の停止中でも単相CVCFインバータ43の電気負荷への電力供給が可能となるので、電力使用の利便性が向上する。
【0100】
ハイブリッドシステムBには、システム1にバッテリ14が備えられており、前述したハイブリッドシステムAと略同様の充放電制御を行っている(図3乃至図12参照)。
まず、バッテリ端子電圧およびバッテリ充放電電流を検出することによるバッテリ14の充電状態(SOC)を演算する制御では、バッテリ14に備えられる前記電流センサがバッテリ充放電電流検出手段として、前記電圧センサがバッテリ端子電圧検出手段として、システムコントローラ7がバッテリ内部抵抗平均値演算手段、バッテリ開路電圧演算手段、バッテリ液比重演算手段、およびSOC演算手段として、それぞれ機能している。
【0101】
また、内分値SOCを演算することによるバッテリ14のSOCを推定する制御では、システムコントローラ7が、SOC1演算手段、バッテリ開路電圧演算手段、および内分値SOC演算手段として機能している。
また、バッテリ14の使用領域を広げる充放電制御では、システムコントローラ7がバッテリ充放電制御手段、およびバッテリ放電電流減少手段として機能している。
また、バッテリ14の充電電圧を検出することによる充放電制御では、バッテリ充電電流減少手段として機能している。
そして、バッテリ14の充放電制御によるバッテリ暖機制御では、バッテリ14に備えられる温度センサがバッテリ温度検出手段として、システムコントローラ7が目標SOC変更手段として、それぞれ機能している。
【0102】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、請求項1に示す如く、エンジン、電動機器、動力伝達装置、発電機器、およびバッテリからなり、動力伝達装置の駆動源としてエンジンまたは電動機器が用いられ、発電機器の駆動源としてエンジンが用いられ、発電された電力によりコンバータを介してバッテリを充電するハイブリッドシステムにおいて、バッテリの端子電圧を所定時間中に複数回、検出するバッテリ端子電圧検出手段と、バッテリの充放電を所定時間中に複数回、検出するバッテリ充放電電流検出手段と、これらの検出結果に基づいてバッテリの内部抵抗の平均値を演算するバッテリ内部抵抗平均値演算手段と、この内部抵抗の平均値と前記検出結果に基づいてバッテリ開路電圧を演算するバッテリ開路電圧演算手段と、予め記憶されたバッテリ開路電圧とバッテリ液の比重との関係よりバッテリ液の比重を演算するバッテリ液比重演算手段と、予め記憶されたバッテリ液の比重とバッテリの放電深度、または、バッテリ充電状態との関係よりバッテリ充電状態を演算するバッテリ充電状態演算手段とを備えるので、バッテリの端子電圧および充放電電流を所定時間中に複数回検出して、バッテリの内部抵抗の平均値を求め、この内部抵抗の平均値に基づいてSOCを演算することにより、バッテリの端子電圧または充放電電流の検出誤差を吸収してSOCの正確性を高めることができる。そして、検出誤差の少ないSOCを推定することにより、確実な充放電制御が可能となり、過充電および過放電の防止が図れ、更には、バッテリの寿命を延ばすことにもつながる。
【0103】
請求項2に示す如く、請求項1記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流の検出結果に基づき第一バッテリ充電状態を演算する第一バッテリ充電状態演算手段と、所定時間バッテリ充放電電流が停止したことを判定したときバッテリ端子電圧に基づきバッテリ開路電圧を演算するバッテリ開路電圧演算手段と、このバッテリ開路電圧に基づき前記バッテリ液比重演算手段およびバッテリ充電状態演算手段より演算される第二バッテリ充電状態と前記第一バッテリ充電状態の内分値を演算する内分値バッテリ充電状態演算手段とを備えるので、動的変化の結果である、バッテリの充放電電流の検出結果に基づく第一SOCと、静的状態の結果である、バッテリ開路電圧に基づく第2SOCの内分値によりSOCを演算することにより、充放電中および待機状態のいずれのSOCについてもその正確性を高めることができる。検出誤差の少ないバッテリのSOCの推定が可能となり、航走中においても、時間変化するSOCを正確に求めることができる。
【0104】
請求項3に示す如く、請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流が所定値以上のときは、内分値バッテリ充電状態における第一バッテリ充電状態の占める割合を0.5より大きくするので、充放電電流の影響が大きい場合には、第一SOCの占める割合を0.5より大きくすることにより、充放電中のSOCの正確性を高めることができる。
【0105】
請求項4に示す如く、請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流が所定値以下で、かつ、その期間が所定期間以上のときは、内分値バッテリ充電状態における第一バッテリ充電状態の占める割合を0.5より小さくするので、充放電電流の影響が小さく待機状態、または待機状態に近い状態の場合には、第一SOCの占める割合を0.5より小さくすることにより、待機状態、または待機状態に近い状態のSOCの正確性を高めることができる。
【0106】
請求項5に示す如く、請求項1または請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定の下限値以下のときは充電のみ、所定の上限値以上のときは放電のみを行うよう制御するバッテリ充放電制御手段を備えるので、SOCにより充放電を制限することにより、バッテリのSOC管理の精度の向上を図ることができる。
【0107】
請求項6に示す如く、請求項5記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定値以下になると所定の下限値以下になるまでの間は、バッテリからの放電電流をバッテリ充電状態が所定の下限値に近づくほど減少させるバッテリ放電電流減少手段を備えるので、バッテリが過放電状態になるのを防止するとともに、バッテリの放電可能範囲を広げて電気負荷への電力供給能力の向上を図ることができる。
【0108】
請求項7に示す如く、請求項5記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定値以上になると所定の上限値になるまでの間は、バッテリへの充電電流をバッテリ充電状態が所定の上限値に近づくほど減少させるバッテリ充電電流減少手段を備えるので、SOCが100%に近づくにつれて、段階的に充電電流を抑制できることにより、過充電を防止できるとともに、SOCの100%近傍では、充電電流を少量にできることにより、バッテリの容量密度を高め、かつ、充電精度を高めることができる。
【0109】
請求項8に示す如く、エンジン、電動機器、動力伝達装置、発電機器、およびバッテリからなり、動力伝達装置の駆動源としてエンジンまたは電動機器が用いられ、発電機器の駆動源としてエンジンが用いられ、発電された電力によりコンバータを介してバッテリを充電するハイブリッドシステムにおいて、バッテリの端子電圧を検出するバッテリ端子電圧検出手段と、バッテリ端子電圧が所定の上限値になったとき充電電流を減少させるバッテリ充電電流減少手段とを備えるので、充電が進むにつれて、段階的に充電電流を抑制できることにより、過充電を防止できるとともに、充電末期では、充電電流を少量にできることにより、バッテリの容量密度を高め、かつ、充電精度を高めることができる。また、バッテリの寿命を延ばすことができる。
【0110】
請求項9に示す如く、請求項7記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流を所定時間中に複数回、検出するバッテリ充放電電流検出手段と、バッテリの充放電電流の検出結果に基づき第一バッテリ充電状態を演算する第一バッテリ充電状態演算手段と、第一バッテリ充電状態とバッテリ端子電圧に基づき充電電流を減少させる充電電流減少手段とを備えるので、充放電電流の影響を大きく受ける場合において、充放電電流の検出結果に基づく第一SOCに基づいて充電電流を減少させることにより、実際のSOCに、より対応した充電が可能となる。また、バッテリ端子電圧によって充電電流を減少させることにより過充電を防止できる。また、バッテリのSOCとバッテリ端子電圧とを併用することにより、SOCのみを管理する場合に比べ、SOC管理の精度を向上させることができる。更には、バッテリ14の寿命を延ばすことが可能となる。
【0111】
請求項10に示す如く、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ雰囲気温度を検出するバッテリ温度検出手段と、バッテリ雰囲気温度が所定値より小さいとき目標バッテリ充電状態を大きくする目標バッテリ充電状態変更手段とを備えるので、低温時に目標SOCを大きくすることにより充電電流が増し、バッテリを暖機できる。また、バッテリ暖機により、バッテリの電圧降下を防ぎ、電動機等の出力不足を防止できる。この結果、電動機によるアシスト、加速を充分に行うことができ、迅速な応答性が得ることができる。更には、エンジンの暖機も促進され、低温時の始動不良を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハイブリッドシステムAを示す図。
【図2】ハイブリッドシステムAにおける動作モードの一例を示す図。
【図3】バッテリの内部抵抗を算出するためのバッテリ電圧と充放電電流との関係を示す図。
【図4】バッテリ液の比重とバッテリ開路電圧の関係を示す図。
【図5】バッテリ液の比重とバッテリの放電深度(DOD)の関係を示す図。
【図6】内分値SOCを演算することによるバッテリのSOC推定の制御の手順を示す図。
【図7】バッテリの使用可能領域を示す図。
【図8】バッテリ充電電圧による充放電制御におけるバッテリ充電電圧と充電電流の時間変化を示す図。
【図9】充電優先制御領域の近傍における充放電制御の手順を示す図。
【図10】SOCとバッテリ端子電圧によりバッテリの充放電を制御する手順を示す図。
【図11】バッテリ暖機制御における現在のSOCと目標SOCの時間変化を示す図。
【図12】バッテリ暖機制御の手順を示す図。
【図13】ハイブリッドシステムBを示す図。
【図14】ハイブリッドシステムBにおける動作モードの一例を示す図。
【図15】ハイブリッドシステムBにおけるスタータ機能を示す図。
【図16】ハイブリッドシステムBにおけるモータジェネレータによる動力アシスト機能を示す図。
【図17】ハイブリッドシステムBにおける電力供給(発電あり)機能を示す図。
【図18】ハイブリッドシステムBにおける電力供給(発電なし)機能を示す図。
【符号の説明】
1 システム
2 エンジン
3 動力伝達装置
4 プロペラ
5 モータ
7 システムコントローラ
10 発電機
13 DC/DCコンバータ
14 バッテリ
33 電圧センサ
34 電流センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッドシステムに関し、特に、エンジンを駆動源とした発電機器により発電された電力を、コンバータを介してバッテリに充電するハイブリッドシステムに関する。なお、本発明における「ハイブリッド」とは、エンジンから少なくとも機械的駆動力と電力を取り出すという意味である。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ハイブリッドシステムとして、例えば、電気自動車や船舶等の移動体にの移動体に用いられているものがあり、エンジンを駆動源とした発電機器により発電された電力をコンバータを介して、移動体に備えられたバッテリに充電する技術が知られている。そして、バッテリの充電状態(以下、「SOC」という。)を検出する装置または方法、および、このSOCに基づく充放電制御のことが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−238106号公報
【特許文献2】
特開2002−51470号公報
【特許文献3】
特開2000−166105号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のハイブリッドシステムにおけるSOCに基づく充放電制御には、次のような不具合があった。
まず、バッテリ充放電電流とバッテリ電圧とを検出して、バッテリ充放電電流の積算値(積分値)を算出することにより、バッテリのSOCを推定していた。
しかし、バッテリ充放電電流の積分する際にバッテリ充放電電流の検出誤差をも積分していたため、SOCの推定結果において誤差が大きく生じ、その精度があまりよくないものとなっていた。このため、本発明においては、バッテリ充放電電流を積分して得られたSOCを、バッテリが充放電状態にない場合のSOCにより補正することで、SOCの誤差を少なくして、正確性の高いSOCを推定することを課題とする。また、検出されたバッテリ充放電電流とバッテリ電圧に対して移動平均を使用することにより検出誤差を少なくして、バッテリのSOC推定の精度を向上させることを課題とする。
また、走行(航走)中において、バッテリの過放電を防止するために、バッテリのSOCが所定レベルまで低下した場合に、発電走行を行い、SOCがある程度回復した場合に発電を停止して走行していた。このように、バッテリSOCが所定の範囲に収まるように、目標SOCを設定し、発電機の発電を制御していた。しかし、この制御では、バッテリ使用領域を狭くするという問題があった。このため、本発明においては、通常のバッテリ制御領域とは別に充電優先制御領域を設け、この充電優先制御領域では、バッテリの充電をできるだけ確保することにより、バッテリ使用領域を広げ、かつ、バッテリの過放電を防止することを課題とする。
また、バッテリ充電電圧の上限値を設定し、この上限値よりもバッテリ電圧が上昇すると充電を終了していた。しかし、バッテリの過充電、または、充分に充電されないという問題があった。このため、本発明においては、バッテリ充電電流を段階的に減少させることにより、バッテリの過充電を防止し、バッテリのSOCを充分に確保することを課題とする。
更に、バッテリ温度が低い場合には、バッテリで電圧降下が発生するため、充分な充放電電流が確保されないことにより、エンジンの始動不良やモータの出力不足が発生するという不具合があった。そして、この際、バッテリの暖機を手動により行っていた。このため、バッテリの暖機を自動的に、かつ、効果的に行い、これにより、バッテリ電圧降下を防止し、エンジンの始動不良やモータの出力不足を解消することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、エンジン、電動機器、動力伝達装置、発電機器、およびバッテリからなり、動力伝達装置の駆動源としてエンジンまたは電動機器が用いられ、発電機器の駆動源としてエンジンが用いられ、発電された電力によりコンバータを介してバッテリを充電するハイブリッドシステムにおいて、バッテリの端子電圧を所定時間中に複数回、検出するバッテリ端子電圧検出手段と、バッテリの充放電を所定時間中に複数回、検出するバッテリ充放電電流検出手段と、これらの検出結果に基づいてバッテリの内部抵抗の平均値を演算するバッテリ内部抵抗平均値演算手段と、この内部抵抗の平均値と前記検出結果に基づいてバッテリ開路電圧を演算するバッテリ開路電圧演算手段と、予め記憶されたバッテリ開路電圧とバッテリ液の比重との関係よりバッテリ液の比重を演算するバッテリ液比重演算手段と、予め記憶されたバッテリ液の比重とバッテリの放電深度、または、バッテリ充電状態との関係よりバッテリ充電状態を演算するバッテリ充電状態演算手段とを備えるものである。
【0006】
請求項2においては、請求項1記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流の検出結果に基づき第一バッテリ充電状態を演算する第一バッテリ充電状態演算手段と、所定時間バッテリ充放電電流が停止したことを判定したときバッテリ端子電圧に基づきバッテリ開路電圧を演算するバッテリ開路電圧演算手段と、このバッテリ開路電圧に基づき前記バッテリ液比重演算手段およびバッテリ充電状態演算手段より演算される第二バッテリ充電状態と前記第一バッテリ充電状態の内分値を演算する内分値バッテリ充電状態演算手段とを備えるものである。
【0007】
請求項3においては、請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流が所定値以上のときは、内分値バッテリ充電状態における第一バッテリ充電状態の占める割合を0.5より大きくするものである。
【0008】
請求項4においては、請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流が所定値以下で、かつ、その期間が所定期間以上のときは、内分値バッテリ充電状態における第一バッテリ充電状態の占める割合を0.5より小さくするものである。
【0009】
請求項5においては、請求項1または請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定の下限値以下のときは充電のみ、所定の上限値以上のときは放電のみを行うよう制御するバッテリ充放電制御手段を備えるものである。
【0010】
請求項6においては、請求項5記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定値以下になると所定の下限値以下になるまでの間は、バッテリからの放電電流をバッテリ充電状態が所定の下限値に近づくほど減少させるバッテリ放電電流減少手段を備えるものである。
【0011】
請求項7においては、請求項5記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定値以上になると所定の上限値になるまでの間は、バッテリへの充電電流をバッテリ充電状態が所定の上限値に近づくほど減少させるバッテリ充電電流減少手段を備えるものである。
【0012】
請求項8においては、エンジン、電動機器、動力伝達装置、発電機器、およびバッテリからなり、動力伝達装置の駆動源としてエンジンまたは電動機器が用いられ、発電機器の駆動源としてエンジンが用いられ、発電された電力によりコンバータを介してバッテリを充電するハイブリッドシステムにおいて、バッテリの端子電圧を検出するバッテリ端子電圧検出手段と、バッテリ端子電圧が所定の上限値になったとき充電電流を減少させるバッテリ充電電流減少手段とを備えるものである。
【0013】
請求項9においては、請求項7記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流を所定時間中に複数回、検出するバッテリ充放電電流検出手段と、バッテリの充放電電流の検出結果に基づき第一バッテリ充電状態を演算する第一バッテリ充電状態演算手段と、第一バッテリ充電状態とバッテリ端子電圧に基づき充電電流を減少させる充電電流減少手段とを備えるものである。
【0014】
請求項10においては、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ雰囲気温度を検出するバッテリ温度検出手段と、バッテリ雰囲気温度が所定値より小さいとき目標バッテリ充電状態を大きくする目標バッテリ充電状態変更手段とを備えるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について添付の図面を用いて説明する。
図1は本発明の一つである「エンジン、発電機、モータ、コンバータ、バッテリ、および動力伝達装置」よりなるハイブリッドシステム(以下、「ハイブリッドシステムA」という。)を示す図、図2はハイブリッドシステムAの動作モードの一例を示す図、図3はバッテリの内部抵抗を算出するためのバッテリ電圧と充放電電流との関係を示す図、図4はバッテリ液の比重とバッテリ開路電圧の関係を示す図、図5はバッテリ液の比重とバッテリの放電深度(DOD)の関係を示す図、図6は内分値SOCを演算することによるバッテリのSOC推定の制御の手順を示す図、図7はバッテリの使用可能領域を示す図、図8はバッテリ充電電圧による充放電制御におけるバッテリ充電電圧と充電電流の時間変化を示す図、図9は充電優先制御領域の近傍における充放電制御の手順を示す図、図10はSOCとバッテリ端子電圧によりバッテリの充放電を制御する手順を示す図、図11はバッテリ暖機制御における現在のSOCと目標SOCの時間変化を示す図、図12はバッテリ暖機制御の手順を示す図、図13は本発明の一つである「エンジン、モータジェネレータ、コンバータ、バッテリ、および動力伝達装置」よりなるハイブリッドシステム(以下、「ハイブリッドシステムB」という。)を示す図、図14はハイブリッドシステムBの動作モードの一例を示す図、図15はハイブリッドシステムBのスタータ機能を示す図、図16はハイブリッドシステムBのモータジェネレータによる動力アシスト機能を示す図、図17はハイブリッドシステムBの電力供給(発電あり)機能を示す図、図18はハイブリッドシステムBの電力供給(発電なし)機能を示す図である。
【0016】
本発明の一つであるハイブリッドシステムAについて説明する。
ハイブリッドシステムAは、図1に示すような構成である。ハイブリッドシステムAでは、水中推進用に備えられるプロペラ4の駆動をエンジン2とモータ5との両方により可能としている。なお、後述するように、図13に示すハイブリッドシステムBのような構成とすることも可能である。また、以下では、ハイブリッドシステムを船舶について適用した実施例について説明しているが、その他の移動体(例えば、自動車等)に適用することも可能である。
【0017】
図1において、システム1は、エンジン2および動力伝達装置3を有しており、該動力伝達装置3としてはセイルドライブが用いられ、その後下部にはプロペラ4が接続されている。これにより、システム1は船舶の推進システムとして利用することができる。
エンジン2からの駆動力は動力伝達装置3によりプロペラ4に伝達され、その結果プロペラ4が回転駆動される。動力伝達装置3内にはクラッチが備えられており、該クラッチによりエンジン2からの駆動力の断接と動力伝達の回転方向(プロペラ4の回転方向)の切り換えを行うようにしている。
なお、本実施例においては、システム1は動力伝達装置3がエンジン2の下方へ大きく延出し、該動力伝達装置3に直接プロペラ4が取り付けられたセイルドライブに構成されているが、動力伝達装置3の後端部に、プロペラ4のプロペラ軸が装着されるマリンギアに構成することもできる。
【0018】
また、本システムにおいては、エンジン2と動力伝達装置(セイルドライブ)3との間に、発電機器である発電機10を介装している。エンジン2により発電機10を駆動して、該発電機10により発電された電力は、後述するように電動機駆動用に用いられたり、船内電力として供給されたりするようにしている。
【0019】
発電機10は、例えば、高周波発電機に構成されており、該発電機10の出力部には、リレー(電磁開閉器)11、整流機器12、インバータ15が接続されている。
また、発電機10は前記整流機器12を介して、DC/DCコンバータ(直流/直流コンバータ)13と接続されている。
【0020】
整流機器12は、例えば、平滑用コンデンサで構成されており、発電機10により発電された交流電力を整流・平滑化して、直流に変換する。整流機器12からDC/DCコンバータ13に送られた電力は、該DC/DCコンバータ13により所定の電圧に変圧されて、リレー17を介してバッテリ14を充電する。
【0021】
一方、整流機器12からインバータ15に送られた電力は、該インバータ15により交流に変換されて、切換機器19を介して出力ソケット20から交流電力として船内供給可能とされる。切換機器19にて商用電源(外部電源)とインバータ15により変換された交流電力とを切換可能としている。このように、インバータ15を介して電気負荷(AC出力)が接続できるようにしている。なお、切換機器19を切換スイッチで構成して手動により切り換えを行ってもよく、また、電磁接触器で構成してインバータ出力と商用電源との切り換えを自動で行ってもよい。電磁接触器で構成する場合には、該電磁接触器にシステムコントローラ7からオン・オフ信号が入力されるように、システムコントローラ7と接続しておく。そして、インバータ15には、リレー15aが内蔵されており、該リレー15aはシステムコントローラ7と接続されている。
【0022】
動力伝達装置3の上端部には電動機器(モータ)5が設置されており、該モータ5の出力軸は動力伝達装置3の伝達軸と接続されている。モータ5はモータコントローラ6と接続されており、該モータコントローラ6によりモータ5を制御する構成としている。また、モータコントローラ6はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7からの指令がモータコントローラ6へ入力されるようにしている。
また、モータコントローラ6は、リレー18を介して、前記DC/DCコンバータ13とバッテリ14に接続されており、バッテリ14、またはDC/DCコンバータ13を介して発電機10から電力供給を受けて、フィールド電流(界磁電流)で発生させた磁界とアマチュア電流(電機子電流)によりモータ5を駆動する。そして、モータコントローラ6がこれらの電流または電圧を制御してモータ5の回転数およびトルクを制御する。
【0023】
船体の前後進の切り換えやエンジン2の駆動力の調節は、船舶の操作部8に配設されるレバー9等の操作具を操作することによって行われる。レバー9には、例えば、シフトレバー、レギュレータレバー、モード切換レバー等があり、それぞれシステムコントローラ7と接続されている。そして、レバー9を操作することにより、システムコントローラ7にレバー位置に対応した信号が入力される。
【0024】
例えば、操作部8のシフトレバーを操作すると、シフトレバー位置(前進・中立・後進)に対応する信号がシステムコントローラ7に入力され、該システムコントローラ7によりシフトアクチュエータ21を作動させるようにしている。シフトアクチュエータ21は動力伝達装置3のクラッチに接続されており、該シフトアクチュエータ21の作動により、動力伝達装置3の伝動軸の正転・中立・逆転を切り換えて、前進・中立・後進の切り換えを行うこととしている。このように、シフトレバーを操作することにより、船体の前後進の切り換えを行っている。
【0025】
また、操作部8のレギュレータレバーを操作すると、レギュレータレバー位置に対応する信号がシステムコントローラ7に入力され、該システムコントローラ7によりレギュレータアクチュエータ22を作動させるようにしている。レギュレータアクチュエータ22はエンジン2のレギュレータに接続されており、該レギュレータアクチュエータ22の作動により、エンジン2における燃料噴射量を調節して、エンジン2の駆動力を調節可能としている。このように、レギュレータレバーを操作することにより、エンジン2の駆動力の調整を行っている。
【0026】
また、操作部8にはモード切換レバーが配設されており、該モード切換レバーを操作することにより、本システムの動作モードを切換可能としている。この動作モードの例としては、図2に示すようなものがあり、モード切換レバーにより、「航走モード」の切り換えを行う。そして、「航走モード」の切り換えを行うと、システムコントローラ7へモード信号が入力されて、該システムコントローラ7により各「航走モード」に対応した本システムの制御が行われるようにしている。
具体的には、図2に示すように「航走モード」の切り換えにより、プロペラ4の駆動を、エンジン2のみにより駆動するモード、エンジン2により駆動しつつ、モータ5により駆動をアシストするモード、モータ5のみにより駆動するモード、の3種類のパターンにより行うことを可能としている。
【0027】
エンジン2内にはエンジン2始動用のスタータモータ2aと機関付発電機であるオルタネータ2bが備えられており、該スタータモータ2aはリレー25を介してスタータバッテリ24と接続され、該スタータバッテリ24はオルタネータ2bと接続されている。また、スタータモータ2a、オルタネータ2b、スタータバッテリ24はメインリレー26を介して前記システムコントローラ7と接続されている。オルタネータ2bからの発電出力は、エンジン2のスタータモータ2aを駆動するためのスタータバッテリ24に充電され、該スタータバッテリ24に蓄積された電力をエンジン2始動の際に用いるようにしている。
【0028】
以上のように構成される本システムにおいて、メインコントローラとしてのシステムコントローラ7は次のように機能して、本システムの制御を行う。前述したように、システムコントローラ7は操作部8のレバー9(シフトレバー、レギュレータレバー、モード切換レバー)と接続されている。また、システムコントローラ7はシフトアクチュエータ21およびレギュレータアクチュエータ22と接続されている。
【0029】
また、システムコントローラ7はエンジン2と接続されており、該エンジン2からシステムコントローラ7にエンジン回転数が入力される。エンジン2の回転数は、エンジン2に付設される回転数センサ35により検出される。
また、システムコントローラ7はモータ5と接続されており、該モータ5からシステムコントローラ7にモータ回転数およびモータ5の温度が入力される。モータ5の回転数は、モータ5に付設される回転数センサ36により検出され、モータ5の温度は、サーミスタ等の温度センサ(図示せず)により検出される。
【0030】
また、システムコントローラ7はモータコントローラ6と接続されており、該システムコントローラ7はモータコントローラ6に対して回転方向信号、出力信号、モード信号等を出力する。一方、モータコントローラ6は、モータ5に異常が発生した場合には、アラーム信号をシステムコントローラ7へ送る。
また、システムコントローラ7は発電機10と接続されており、該発電機10からシステムコントローラ7に発電機10の温度が入力される。発電機10の温度は、サーミスタ等の温度センサ(図示せず)により検出される。
【0031】
また、システムコントローラ7はリレー11・15a・17・18と接続されており、該システムコントローラ7は、図2に示すように、リレー11・15a・17・18のオン・オフ(開閉)を制御する。このオン・オフ制御は、船舶の航走状態、バッテリ14の充放電状態、インバータ15に接続される電気負荷(インバータ負荷)等の状態に基づいて行われている。
また、システムコントローラ7はDC/DCコンバータ13に接続されており、該システムコントローラ7はDC/DCコンバータ13に対して充電電流指示を送る。
【0032】
また、システムコントローラ7はバッテリ14と接続されており、該バッテリ14からシステムコントローラ7にバッテリ14の充放電状態を表す電圧値・電流値が入力される。バッテリ14の電圧値および電流値はそれぞれ、バッテリ端子電圧検出手段としての電圧センサ33、バッテリ充放電電流検出手段(バッテリ充電電流検出手段)としての電流センサ34により検出される。更に、バッテリ14には、バッテリ周囲温度(バッテリ雰囲気温度)を検出するバッテリ温度検出手段としてのサーミスタ等の温度センサ37が付設されており、該温度センサ37はシステムコントローラ7と接続されている。温度センサ37により検出されたバッテリ雰囲気温度はシステムコントローラ7に入力される。
【0033】
また、システムコントローラ7はインバータ15に接続されており、該システムコントローラ7はインバータ15(リレー15a)に対してオン・オフ信号を出力する。一方、インバータ15はシステムコントローラ7に対してインバータ15に接続される電気負荷の状態を表すインバータ入力電圧値、インバータ入力電流値、アラーム信号を出力する。インバータ入力電圧値およびインバータ入力電流値は、それぞれ、電圧センサ31および電流センサ32により検出される。
【0034】
また、システムコントローラ7は表示モニタ23と接続されており、該表示モニタ23はシステムコントローラ7に入力される種々の検出値等を表示して、操船者が本システムの状態を把握できるようにしている。
【0035】
本システムでは、例えば、図2に示すようなH1からH16までの動作モードがある。以下、各モードについて説明する。
【0036】
H1およびH2は、モータ5のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するモードであり、モータ5の駆動源はバッテリ14である。これらのモードによりエンジン停止状態でも航行可能となる。
【0037】
H3およびH8は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するモードであり、モータ5の駆動源はバッテリ14である。これらのモードにより、発電機10が損傷等でその電力が使用できない場合であっても、モータ5によるエンジンアシストが可能となる。なお、本実施例で「エンジンアシスト」とは、セイルドライブ3およびプロペラ4の駆動負荷の一部をモータ5により賄うことを意味する。
【0038】
H4およびH9は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するモードであり、モータ5の駆動源は発電機10の電力である。これらのモードにより、バッテリ14が損傷等でその電力が使用できない場合であっても、モータ5によるエンジンアシストが可能となる。
【0039】
H5およびH10は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動し、モータ5を駆動するに当たって発電機10の電力が不足するときはバッテリ14の放電により不足電力を補い、発電機10の電力に余裕があるときはバッテリ14を充電するモードである。これらのモードにより、モータ5の所要駆動力を確保してバッテリ14の充電が可能となる。
【0040】
H6およびH11は、エンジン2および発電機10の電力により駆動されるモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、インバータ15を介して発電機10の電力を供給するモードである。これらのモードにより、インバータ15の電気負荷への電力供給とモータ5によるエンジンアシストの両立が可能となる。
【0041】
H7およびH12は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、インバータ15を介して発電機10の電力を供給し、モータ5を駆動するに当たって発電機10の電力が不足するときはバッテリ14の放電により不足電力を補い、モータ5の駆動およびインバータ15を介しての電力供給に当たって発電機10の電力に余裕があるときはバッテリ14を充電するモードである。これらのモードにより、インバータ15を介しての電力供給を安定化できるとともに、モータ5の所要駆動力を確保してエンジンアシストが可能となる。
【0042】
H13はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するのみであり発電機10はエンジン2と同期回転するが実質停止しているモードである。このモードにより、インバータ15を介しての電力供給およびモータ5の駆動が不要またはこれらの機器の損傷等により不能の場合にあってもエンジン航行が可能となる。
【0043】
H14はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、発電機10の電力でバッテリ14を充電するモードである。このモードにより、航行しながらバッテリ14の充電が可能となる。
【0044】
H15はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、発電機10の電力でバッテリ14を充電およびインバータ15を介して電力供給を行うモードである。このモードにより、航行、インバータ15を介しての電力供給およびバッテリ14の充電を並立できる。
【0045】
H16はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、インバータ15を介して発電機10の電力を供給するモードである。このモードにより、航行およびインバータ15を介しての電力供給を並立できる。
【0046】
なお、H1とH2との違いは、本システムを搭載した船舶が定常(=定速)航行状態か加速航行状態かの違いである。H3とH8との違い、H4とH9との違い、H5とH10との違い、H6とH11との違い、およびH7とH12との違いについても同様である。
また、モータ5によるエンジンアシストによりエンジン2を燃費の良い回転域で使用することができ、かつ、モータ5の駆動源もバッテリ14またはエンジン2により駆動される発電機10の電力であるので本システムの燃費性を向上できる。
一方、エンジン2により駆動される発電機10の電力をインバータ15を介して電気負荷へ供給できるので別個の発電機が不要とでき、本システムを搭載した船舶の空間利用性を向上できる。
【0047】
次に、本システムにおける充放電制御について説明する。
まず、バッテリ端子電圧およびバッテリ充放電電流を計測することによるバッテリ14の充電状態(以下、「SOC(State of Charge)」という)を演算する制御について、図3、図4、図5を用いて説明する。前述したように、エンジン2の駆動により発電機10にて発電された交流電力を整流機器12にて整流・平滑化した後、DC/DCコンバータ13により所定の電圧に変圧されて、リレー17を介してバッテリ14に充電される(図1)。また、バッテリ14からの放電電力によりモータコントローラ6へ電力供給を行って、モータ5を駆動可能としている(図1)。
【0048】
充放電中のバッテリ電圧(バッテリ14の端子電圧)VBは、次式(1)により表され、この式を用いてバッテリ14のSOCを算出する。
VB=E0±ICD・R0 ・・・(1)
式(1)において、E0はバッテリ14の起電力(バッテリ開路電圧)、ICDはバッテリ14の充放電電流、R0はバッテリ14の内部抵抗である。バッテリ14の充放電電流ICDは電流の向きによって、充電電流ICまたは放電電流IDとなり、式(1)においては、+(プラス)の場合には充電電流であり、−(マイナス)の場合には放電電流である。
【0049】
まず、バッテリ電圧VBおよび充放電電流ICDが、電圧センサ33および電流センサ34により所定時間中に複数回、検出されて、検出されたバッテリ電圧VBおよび充放電電流ICDがシステムコントローラ7に送られる。システムコントローラ7はバッテリ内部抵抗平均値演算手段として機能して、入力されたバッテリ電圧VBおよび充放電電流ICDに基づいてバッテリ14の内部抵抗R0を演算する。
図3には、複数回分(図3では10回分)のバッテリ電圧VBと充放電電流ICDの検出結果を示している。図3中の直線は、バッテリ電圧VBと充放電電流ICDとの関係を示す直線であり、複数回分の検出結果に対して、検出誤差を少なくするために、移動平均を使用することにより求められる。このとき、直線の傾きがバッテリ14の内部抵抗R0の平均値であり、この傾きを算出することにより、バッテリ14の内部抵抗R0の平均値が求められる。
【0050】
次に、算出された内部抵抗R0の平均値に基づき、式(1)からバッテリ開路電圧E0を演算する。このとき、システムコントローラ7はバッテリ開路電圧演算手段として機能する。
予めシステムコントローラ7には、図4に示すような、バッテリ開路電圧E0とバッテリ14のバッテリ液(電解液)の比重との関係と、図5に示すような、バッテリ液の比重とバッテリ14の放電深度(DOD)との関係が記憶されている。このDODとSOCとは、ともにバッテリの充電状態を表す量であり、両者間には、DOD+SOC=100%という関係がある。
【0051】
バッテリ開路電圧E0が分かると、システムコントローラ7は、バッテリ液比重演算手段として機能して、バッテリ開路電圧E0とのバッテリ液の比重との関係により、あるバッテリ温度(周囲温度)に対するバッテリ液の比重が算出される。そして、算出されたバッテリ液の比重から、バッテリ液の比重とDODとの関係により、バッテリ14のDODが演算される。また、このDODに対するバッテリ14のSOCも演算される。このとき、システムコントローラ7はSOC演算手段(DOD演算手段)として機能している。なお、システムコントローラ7には、バッテリ液とDODとの関係に替えて、バッテリ液とSOCとの関係を予め記憶させておいてもよい。
【0052】
このように、バッテリ14の端子電圧VBおよび充放電電流ICDを所定時間中に複数回検出して、バッテリ14の内部抵抗R0の平均値を求め、この内部抵抗R0の平均値に基づいてSOCを演算することにより、バッテリ14の端子電圧VBまたは充放電電流ICDの検出誤差を吸収してSOCの正確性を高めることができる。そして、検出誤差の少ないSOCを推定することにより、確実な充放電制御が可能となり、過充電および過放電の防止が図れ、更には、バッテリ14の寿命を延ばすことにもつながる。
【0053】
次に、内分値SOCを演算することによるバッテリ14のSOCを推定する制御について、図6を用いて説明する。この充放電制御は、バッテリ充放電電流ICDを積分して充電量SOC1(第一SOC)を推定し、更にバッテリ14が充放電状態にない(充放電電流検出値がほぼ0)時のバッテリ端子電圧VBを検出し、バッテリ14の充電量SOC2(第二SOC)を推定する。そして、SOC1をSOC2により補正し、正確性の高い充電量SOCを算出しようというものである。
【0054】
具体的な制御について、図6を参照しながら説明する。
まず、システムコントローラ7からの指示により、バッテリ14の充放電電流ICDを電流センサ34により検出する(ステップS1)。このとき、検出された充放電電流ICDはシステムコントローラ7に入力される。次に、システムコントローラ7は、バッテリ14の充放電電流ICDを積分(電流積算)することにより、ICD・Δtを求める(ステップS2)。ここで、Δtは、充放電電流ICDの検出時間である。
【0055】
そして、SOC1を、次式(2)により推定する(ステップS3)。
SOC1=SOC±ICD・Δt ・・・(2)
式(2)の右辺のSOCは、前述したように、バッテリ端子電圧VBおよびバッテリ充放電電流ICDを検出することにより算出されるSOCである。また、右辺の±(プラスマイナス)の符号は、前述の式(1)の場合と同様に、バッテリ14の充放電電流の向きによって定まり、充電電流のときは、+(プラス)となり、放電電流のときは、−(マイナス)となる。そして、式(2)によれば、バッテリ14にて充放電が行われている場合には、SOCに変動があることを示しており、その変動後の充電量をSOC1として表している。このSOC1はバッテリ14が充電状態の場合には増加し、放電状態の場合には減少するため、このSOC1からバッテリ14の状態の変化を知ることができる。なお、このとき、システムコントローラ7は、SOC1演算手段として機能する。
【0056】
次に、バッテリ充放電電流ICDが0であるかどうかの判定を行う(ステップS4)。0である場合には、つまり、バッテリ14が充放電を行っておらず、充放電電流ICDが停止している場合には、次のステップS5へ移行する。ステップS5では、所定時間以上待機したか否かの判定が行われ、待機時間が所定時間以上である場合には、システムコントローラ7が、バッテリ開路電圧演算手段として機能して、バッテリ開路電圧E0を算出する(ステップS6)。すなわち、ICDが0である場合には、バッテリ14の内部抵抗R0を考慮する必要がなく、式(1)は、E0=VBとなるため、電圧センサ33でバッテリ14の端子電圧VBを検出することによって、バッテリ開路電圧E0を算出できる。なお、充放電電流ICDが0であるとは、バッテリ14が充放電を行っていない、待機状態にあることを意味しており、この待機状態のSOC(SOC2)を求めることによって、バッテリ状態をより正確に把握できるようにしている。また、ステップS5においては、バッテリ14が待機状態にあることを確認するために、所定時間の経過を判定している。
一方、ステップS4において、充放電電流ICDが0ではない場合、および、ステップS5において、待機時間が所定時間以下の場合には、前記ステップS1へ移行する。
【0057】
バッテリ開路電圧E0を算出した後、システムコントローラ7に予め記憶されているバッテリ開路電圧E0とSOCとの関係から、算出された開路電圧E0に対する充電量SOC2を推定する(ステップS7)。このとき推定されるSOC2は、前述したように、バッテリ14が充放電を行っていない静的状態(待機状態)にある場合のバッテリ14の状態を示す量である。
次に、SOC2によりSOC1を、次式(3)を用いて補正係数をK(0<K<1)として、補正する(ステップS8)。
内分値SOC=K・SOC1+(1−K)・SOC2 ・・・(3)
この式(3)により求められる内分値SOCは、バッテリ14の充放電電流ICDに基づくSOC1と、バッテリ開路電圧E0により算出したSOC2とを、(1−K):Kの割合で内分した値である。つまり、内分値SOCは、バッテリ14が充放電を行っている動的状態と、充放電を行っていない静的状態とを加味した値となっている。このとき、システムコントローラ7は、内分値SOC演算手段として機能する。そして、システムコントローラ7は、算出されたSOC(内分値SOC)を出力する(ステップS9)。
【0058】
このように、動的変化の結果である、バッテリ14の充放電電流ICDの検出結果に基づくSOC1と、静的状態の結果である、バッテリ開路電圧E0に基づくSOC2との内分値によりSOCを演算することにより、充放電中および待機状態のいずれのSOCについてもその正確性を高めることができる。従来は、検出されたバッテリ充放電電流ICDを積分してSOCを推定してしたため、その測定誤差をも積分することとなり、SOCの推定結果における誤差が大きく生じてしまうという不具合があったが、以上のような制御を行うことにより、検出誤差の少ないバッテリ14のSOCの推定が可能となり、航走中においても、時間変化するSOCを正確に求めることができる。
【0059】
そして、バッテリ14の充放電電流ICDが所定値以上のときは、式(3)における補正係数Kを0.5より大きく設定して、内分値SOCを算出する。つまり、内分値SOCにおけるSOC1の占める割合を0.5よりも大きくする。充放電電流ICDが所定値以上の場合には、バッテリ14の動的変化の観点から求められるSOC1を重視して、内分値SOCにおけるその割合(補正係数)Kを大きくしている。
【0060】
このように、バッテリ14の充放電電流ICDが大きい場合には、バッテリ14における電流の流出・流入が多く、充放電電流ICDによる影響が大きいものとして、その動的な状態をより反映させるため、内分値SOCにおけるSOC1の占める割合を、SOC2の占める割合よりも大きく設定して、充放電中のSOCの正確性を高めることを可能としている。
【0061】
また、バッテリ14の充放電電流ICDが所定値以下で、かつ、この所定値以下となっている期間が所定時間以上の場合には、式(3)における補正係数Kを0.5より小さく設定して、内分値SOCを算出する。つまり、内分値SOCにおけるSOC2の占める割合を0.5よりも大きくする。充放電電流ICDが所定値以下の場合には、バッテリ14の静的状態の観点から求められるSOC2を重視して、内分値SOCにおけるその割合(1−K)を大きくしている。
【0062】
このように、バッテリ14の充放電電流ICDが小さく、その期間が長い場合には、バッテリ14における電流の流出・流入が少なく、充放電電流ICDによる影響が小さいものとして、その待機状態または待機状態に近い状態をより反映させるため、内分値SOCにおけるSOC2の占める割合を、SOC1の占める割合よりも大きく設定して、待機状態または待機状態に近い状態のSOCの正確性を高めることを可能としている。
【0063】
次に、本システムにおいてバッテリ14の使用領域を広げる充放電制御について、図7、図9を用いて説明する。図7では、横軸をSOCとし、縦軸を放電電流および充電電流としている。縦軸が放電電流である場合には、図7の下の方向(矢印の方向)に向かって、放電電流が小さくなる向きとしており、SOCが所定の下限値(図7では、50%)以下では、放電電流は0となり、この場合には、バッテリ14は充電のみを行うようにしている。また、縦軸が充電電流である場合には、上の方向(矢印の方向)に向かって、充電電流が小さくなる向きとしていおり、SOCが所定の上限値(図7では100%)以上では、充電電流は0となり、この場合には、バッテリ14は放電のみを行うようにしている。
図7においては、バッテリ使用可能領域が示されている。このバッテリ使用可能領域には、横軸のSOCの値に応じて、通常制御領域と充電優先制御領域とが設けられている。通常制御領域として、EV用の通常制御領域とHV用の通常制御領域とがあり、EV用通常制御領域では、「モータ単独」モードにて充放電制御が行われており、HV用通常制御領域では、「エンジンおよびモータ」モードにて充放電制御が行われている。SOCが小さくなる充電優先制御領域では、放電電流を徐々に減少させる制御(モータ出力制限)を行い、充電を極力確保することで、過放電境界でバッテリ14を使用せず、バッテリ使用領域を広げるとともに、過放電を可能な限り防いでいる。一方、SOCが大きくなる領域では、バッテリ14の容量密度を高めるために徐々に充電電流を減少させる制御を行っている。
【0064】
充電優先制御領域の近傍における具体的な制御について、図9を参照しながら説明する。
まず、システムコントローラ7からの指示により、バッテリ14の端子電圧VBを電圧センサ33により検出する(ステップT1)。このとき、検出されたバッテリ端子電圧VBはシステムコントローラ7に入力され、該システムコントローラ7は、前述したSOCを演算する制御の場合と同様にして、バッテリ14のSOCを算出する(ステップT2)。次に、システムコントローラ7は、モータ出力PMおよび発電機出力PGを算出する(ステップT3)。PMおよびPGは、次式(4)、(5)により求められる値である。
PM=NM・TM・ηM ・・・(4)
PG=VG・IG・ηG ・・・(5)
ここで、NMはモータ5の回転数、TMはモータ5のトルク、VGは発電機10の出力電圧、IGは発電機10の出力電流、ηM、ηGは所定の係数である。
【0065】
次に、システムコントローラ7は、算出されたPGとPMとの大小を比較する(ステップT4)。つまり、充放電の出力の収支(PG−PM)により、バッテリ14が充電状態か放電状態かが判定される。ステップT4の判定において、PG>PMの場合には、バッテリ14は充電状態にあると判定され、PG≦PMの場合には、バッテリ14は放電状態にあると判定される。そして、充電状態(PG>PM)と判定された場合には、SOCが所定値(図9では、60%)以上であるかどうかの判定が行われ(ステップT5)、SOCが60%以上である場合には、後述するような充電制御を行う(ステップT6)。一方、SOCが60%以上ではない場合には、更に、SOCが所定の下限値(図9では、50%)より小さいかどうかの判定が行われる(ステップT8)。なお、後述するハイブリッドシステムBにあっては、充放電の判定は、昇降圧チョッパ44(図13)の動作状態、または昇降圧チョッパ44とバッテリ14の間を流れる電流の向きにより判定する。
【0066】
そして、SOCが50%より小さい場合には、システムコントローラ7はモータコントローラ6に対して発電機作動信号を出力して、強制的な発電によりバッテリ14を充電状態とする強制充電モードとし、また、操船者へアラームにて強制発電機始動を知らせる(ステップT9)。
強制充電モードに切り換わると、エンジン2が駆動し、発電機10が作動する(ステップT10)。このとき、充電電流ICは最大となっており(ステップT11)、モータ5は停止状態にある(ステップT12)。このように、強制充電モードでは、発電機10を作動させて、バッテリ14への充電のみを行い、モータ5(モータコントローラ6)へ電力供給を行わず、バッテリ14からの放電を行わないこととしている。このとき、システムコントローラ7はバッテリ充放電制御手段として機能する。
その結果、SOCが所定値(図9では、60%)以上となったか否かが判定され(ステップT13)、SOCが60%以上になっていない場合には、前記ステップT11へ移行し、SOCが60%以上となるまで強制充電モードを引き続き行う。
一方、60%以上である場合には、強制充電モードを終了し、SOCとモータ5による発電制御に切り換える(ステップT14)。この制御は、警報や強制充電なしのSOCによる制御であって、常時発電可能でモータ5は一時的な出力となっており、このため細かな制御を必要としない。
【0067】
前記(ステップT8)において、SOCが50%より小さくない場合には、再度、SOCが60%以下である否かを判定し(ステップT15)、60%以下ではない場合には、前記ステップT14へ移行し、SOCとモータ5による発電制御を行う。一方、SOCが60%以下である場合には、SOCは充電優先制御領域にあり、操船者に対してバッテリ14への充電を行うように警告し(ステップT16)、モータ5の出力制御を行った後(ステップT17)、前記ステップT14へ移行する。このモータ出力制御では、図7に示すように、SOCが充電優先制御領域にある場合に、SOCが所定の下限値(50%)に近づくにつれてバッテリ14からの放電電流を徐々に減少させることにより、バッテリ14への充電を極力確保する制御を行っており、このとき、システムコントローラ7はバッテリ放電電流減少手段として機能する。
【0068】
前記ステップT5において、バッテリ14が放電状態(PG≦PM)と判定された場合には、航走モードが「モータ単独」となっているかどうかの判定が行われ(ステップT7)、「モータ単独」モードである場合には前記ステップT8へ移行し、「モータ単独」モードではない場合にはステップT14へ移行する。
この「モータ単独」モードとなっているバッテリ14が放電状態の場合においても、SOCが50%以下であれば、モータ5を停止して、強制充電モードにて充放電制御が行われ(ステップT9〜ステップT13)、SOCが50%以上60%以下の充電優先制御領域では、モータ5への放電電流を徐々に減少させるモータ出力制限による充放電制御が行われる(ステップT16、T17)。
【0069】
このように、バッテリ14のSOCが所定の下限値以下の場合には、強制充電モードに切り換えて、充電のみを行う制御とすることにより、SOCにてバッテリ14の充放電を制御しているため、バッテリ14のSOC管理の制度が向上する。
また、バッテリ14のSOCが充電優先制御領域にある場合には、モータ出力制御に切り換えて、SOCが所定の下限値に近づくにつれて、バッテリ14からの放電電流を徐々に減少させる制御を行うことにより、バッテリ14が過放電状態になるのを防止するとともに、バッテリ14の放電可能範囲を広げて、電気負荷への電力供給能力の向上が図れる。
【0070】
次に、本システムにおいてバッテリ14の充電電圧を検出することによる充放電制御について、図8を用いて説明する。図8には、この充放電制御におけるバッテリ端子電圧VBとバッテリ充電電流ICとの時間変化を表している。バッテリ端子電圧VBとバッテリ充電電流ICとは、システムコントローラ7の指示により、電圧センサ33および電流センサ34にて検出される。
【0071】
図8に示すように、予めバッテリ充電電圧(バッテリ端子電圧)の上限値VBMAX(図8の破線)を設定しておく。バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXを超えるまでは、バッテリ充電電流ICを最大電流として、バッテリ14の充電を行う。バッテリ14の充電により、バッテリ14のSOCは徐々に大きくなる。そして、バッテリ端子電圧VBが上昇して、上限値VBMAXとなったとき、バッテリ充電電流ICを減少させる制御を行う。図8においては、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXに達したとき、バッテリ充電電流ICを半減させている。このとき、システムコントローラ7がバッテリ充電電流減少手段として機能している。バッテリ充電電流ICを減少させると、バッテリ端子電圧VBも一旦降下し、この分だけの電位差が生ずるため、バッテリ14への充電を行い易い状態になる。
【0072】
次に、半減したバッテリ充電電流ICにて充電を続けると、バッテリ端子電圧VBが上昇して、再び、上限値VBMAXに達する。上限値VBMAXに達すると、再び、バッテリ充電電流ICを減少させる制御を行う。図8においては、このとき減少された充電電流ICは最大電流の1/4となっている。そして、バッテリ充電電流ICを減少させると、バッテリ端子電圧VBも再び降下する。
このような制御を繰り返すことにより、SOCが、充電末期となる100%に近づくため、バッテリ充電電流ICを減少させてもバッテリ端子電圧VBが変化せず、バッテリ充電電流ICも微小電流となる。図8では、バッテリ充電電流ICを減少させる制御を三度繰り返した後に、最小電流にて長時間、バッテリ14の充電を行っている。充電終了時には、徐々に電流が流れなくなり、バッテリ端子電圧VBが一定となるため、特別な制御を必要としない。この場合、充電時間が長くなっても、バッテリ14へは微小電流しか流れていないため、過充電を防止でき、また、長時間微小電流での充電が可能なため、充分にSOCを確保できる。
【0073】
以上のように、バッテリ14の充電が進むにつれて(SOCが100%に近づくにつれて)、段階的にバッテリ充電電流ICを減少させることにより、バッテリ14の過充電を防止できるとともに、SOCが100%近傍の充電末期では、バッテリ充電電流ICを少量にすることにより、バッテリ14の容量密度を高め、かつ、充電精度を高めることができる。また、バッテリ14の寿命を延ばすことができる。
【0074】
また、バッテリ端子電圧VBに加えて、バッテリ充電電流ICから算出されるSOCを考慮することによる充放電制御を行うことも可能である。この充放電制御について、図10を参照しながら説明する。
まず、システムコントローラ7からの指示により、バッテリ14の端子電圧VBおよび充電電流ICが電圧センサ33および電流センサ34にて検出され、このとき検出されたバッテリ端子電圧VBおよび充電電流ICがシステムコントローラ7に入力され、該システムコントローラ7は、前述したSOCを演算する制御の場合と同様にして、バッテリ14のSOCを算出する(ステップU1)。次に、この算出されたSOCを、SOCL(SOCの最小限度値)およびSOCH(SOCの最大限度値)と比較する(ステップU2)。そして、算出されたSOCがSOCHよりも大きい場合には(SOC>SOCH)、バッテリ14は、すでに最大限充電された状態となっているため、何の制御も行わず、終了する。算出されたSOCがSOCL以上かつSOCH以下である場合には(SOCL≦SOC≦SOCH)、後述するステップU8へ移行する。一方、算出されたSOCがSOCLよりも小さい場合には(SOC<SOCL)、前述の強制充電モードに切り換わり、強制的にバッテリ14への充電のみを行うように制御する。このとき、電圧センサ33により検出されたバッテリ端子電圧VBが所定の上限値VBMAXより大きいか否かが判定され(ステップU3)、大きくない場合には、バッテリ充電電流ICを最大電流の状態として、バッテリ14への充電を行う(ステップU4)。
そして、前述したSOCを演算する制御の場合と同様にして、バッテリ充電電流ICを積算することにより、SOCの修正を行う(ステップU6)。つまり、前記式(2)を用いて、充電電流ICを加味することにより算出されたSOC1を、修正したSOCの値として採用する。
一方、ステップU3において、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXよりも大きい場合には、バッテリ14への充電を行わずに(ステップU5)、ステップU6へ移行する。
【0075】
次に、ステップU6において修正されたSOCの値がSOCLより大きいか否かが判定される(ステップU7)。大きくない場合には(SOC≦SOCL)、前記ステップU3へ移行し、SOCがSOCLより大きくなるまで強制充電モードを引き続き行う。一方、大きい場合には(SOC>SOCL)、再度、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXより大きいか否かが判定される(ステップU8)。大きくない場合には、バッテリ充電電流ICを最大電流の状態にして、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXより大きくなるまで、バッテリ14の充電を行う(ステップU9)。一方、ステップU8において、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXよりも大きい場合には、つまり、バッテリ端子電圧VBが所定の上限値VBMAXに達した場合には、バッテリ充電電流ICを減少させて、半分にする制御を行う(ステップU10)。このとき、システムコントローラ7がバッテリ充電電流減少手段として機能し、バッテリ充電電流ICは最大電流の1/2となる。
そして、前記ステップU6と同様にして半減させたバッテリ充電電流ICを積算することにより、SOCの値を修正する(ステップU11)。
【0076】
次に、再度、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXより大きいか否かが判定される(ステップU12)。大きくない場合には、バッテリ充電電流ICを最大電流の1/2の状態にして、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXより大きくなるまで、バッテリ14の充電を行う(ステップU13)。一方、ステップU12において、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXよりも大きい場合には、バッテリ充電電流ICを減少させて、半分にする制御を行う(ステップU14)。このとき、システムコントローラ7がバッテリ充電電流減少手段として機能し、バッテリ充電電流ICは最大電流の1/4になっている。そして、前記ステップU6と同様にして減少したバッテリ充電電流ICを積算することにより、SOCの値を修正する(ステップU15)。
【0077】
次に、再び、バッテリ端子電圧VBが所定の上限値VBMAXより大きいか否かが判定される(ステップU16)。大きくない場合には、バッテリ充電電流ICを最大電流の1/4の状態にして、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXより大きくなるまで、バッテリ14の充電を行う(ステップU17)。一方、ステップU16において、バッテリ端子電圧VBが上限値VBMAXよりも大きい場合には、バッテリ充電電流ICを減少させる制御を行う(ステップU18)。このとき、システムコントローラ7がバッテリ充電電流減少手段として機能し、バッテリ充電電流ICは最大電流の1/4よりも小さい最小電流(微小電流)となっている。
そして、前記ステップU6と同様にして、最小電流となったバッテリ充電電流ICを積算することにより、SOCの値を修正する(ステップU19)。
【0078】
更に、バッテリ端子電圧VBが所定の上限値VBMAXより大きいか否かが判定される(ステップU20)。大きい場合には、この充放電制御を終了し、一方、大きくない場合には、バッテリ充電電流ICを最小電流の状態として充電を始めてから、所定時間が経過したか否かが判定される(ステップU21)。所定時間が経過している場合には、前記ステップU6と同様にして、最小電流となっているバッテリ充電電流ICを積算することにより、SOCの値を修正して(ステップU22)、この充放電制御を終了する。一方、所定時間が経過していない場合には、前記ステップU18へ移行する。
【0079】
このようにして、バッテリ14の充放電電流ICDの影響を大きく受ける場合において、充放電電流ICDの検出結果に基づく第一SOCに基づいて充電電流ICを減少させることにより、実際のSOCに、より対応した充電が可能となる。また、バッテリ端子電圧VBによって充電電流ICを減少させることにより過充電を防止できる。また、以上のように、バッテリ14のSOCとバッテリ端子電圧VBとを併用することにより、SOCのみを管理する場合に比べ、SOC管理の精度を向上させることができる。更には、バッテリ14の寿命を延ばすことが可能となる。
【0080】
次に、本システムにおけるバッテリ14の充放電制御によるバッテリ暖機制御について、図11、図12を用いて説明する。このバッテリ暖機制御では、温度センサ37(図1)により検出されるバッテリ14の周囲温度(バッテリ雰囲気温度)Tが所定温度TSETより低い場合に、目標SOCを変更することで、バッテリ14を充電状態または放電状態として、バッテリ14の充放電電流ICDが流れることに伴う発熱量によって、バッテリ14の暖機を行うこととしている。
【0081】
具体的な制御について、図12を参照しながら説明する。
まず、システムコントローラ7からの指示により、バッテリ雰囲気温度Tが温度センサ37により検出され(ステップV1)、検出されたバッテリ雰囲気温度Tがシステムコントローラ7に入力される(図1)。そして、このバッテリ雰囲気温度Tが基準となる所定温度TSETより低いか否かが判定され(ステップV2)、低くない場合には、バッテリ暖機の制御を行う必要がないため、バッテリ14のSOCを予めシステムコントローラ7に設定された目標SOCに近づけて、一致させるように発電機10の発電量を制御する(ステップV4)。一方、低い場合には(T<TSET)、バッテリ雰囲気温度Tにおけるバッテリ14のSOCが、予めシステムコントローラ7に設定されている所定値(図12では80%)より大きいか否かが判定される(ステップV3)。バッテリ14のSOCは、前述したSOCを演算する制御の場合と同様にして、バッテリ端子電圧VB、バッテリ充放電電流ICDを検出することにより算出される。そして、バッテリ14のSOCが80%より大きい場合(図11では、AおよびCの場合)には、バッテリ14を放電状態にして、バッテリ14から放電電流を流すことによるバッテリ暖機制御を行い(ステップV5〜V9)、一方、バッテリ14のSOCが80%より大きくない場合(図11ではBの場合)には、バッテリ14を充電状態にして、バッテリ14へ充電電流を流すことによるバッテリ暖機制御が行われる(ステップV10〜V14)。
【0082】
放電によるバッテリ暖機制御では、まず、バッテリ雰囲気温度Tにおける設定SOC(SOCADDSET)を次式(6)により算出する(ステップV5)。
SOCADDSET=80−(SOC−80)−SOCADD ・・・(6)
この式(6)によれば、設定SOCは、予め設定された所定のSOC(80%)から(SOC−80)を減じた値から、更に、若干の補正量SOCADDを減じた値となっている。よって、設定SOCは、80%よりも小さい値となる。
【0083】
次に、算出された設定SOCがSOC下限値(SOCMIN)より大きいか否かが判定される(ステップV6)。大きい場合には、設定SOCを目標SOC(SOCSET)として設定し(ステップV7)、大きくない場合には、SOC下限値を目標SOCとして設定する(ステップV8)。このとき、システムコントローラ7が目標SOC変更手段として機能している。図11では、SOC下限値は55%に設定されており、SOCが50%以下となる過放電領域に、目標SOCが設定されないようにしている。
【0084】
そして、目標SOCは、現在のバッテリ14のSOCよりも小さくなっているため、バッテリ14を放電状態としたモータ制御を行うことにより、現在のSOCを目標SOCに近づける制御を行う(ステップV9)。このとき、バッテリ14からバッテリ放電電流が流れているため、この放電電流による発熱によって、バッテリ暖機制御を行うこととしている。このように、バッテリ雰囲気温度Tが所定温度TSETより低くなる低温時に、目標SOCを小さく設定することにより放電電流が増し、バッテリ14を暖機できる。また、これによりバッテリ14の端子電圧VBの降下を防止できる。
【0085】
逆に、充電によるバッテリ暖機制御においても、まず、バッテリ雰囲気温度Tにおける設定SOC(SOCADDSET)を次式(7)により算出する(ステップV10)。
SOCADDSET=80+(80−SOC)+SOCADD ・・・(7)
この式(7)によれば、設定SOCは、予め設定された所定のSOC(80%)に(80−SOC)を加えた値に、更に、若干の補正量SOCADDを加えた値となっている。よって、この場合の設定SOCは、80%よりも大きい値となる。
【0086】
次に、算出された設定SOCがSOC上限値(SOCMAX)より小さいか否かが判定される(ステップV11)。小さい場合には、設定SOCを目標SOC(SOCSET)として設定し(ステップV12)、小さくない場合には、SOC上限値を目標SOCとして設定する(ステップV13)。このとき、システムコントローラ7が目標SOC変更手段として機能している。図11では、SOC上限値は95%に設定されており、SOCが100%である過充電領域に、目標SOCが設定されないようにしている。
【0087】
そして、目標SOCは、現在のバッテリ14のSOCよりも大きくなっているため、バッテリ14を充電状態としたエンジン(発電)制御を行うことにより、現在のSOCを目標SOCに近づける制御を行う(ステップV14)。このとき、バッテリ14へバッテリ充電電流が流れているため、この充電電流による発熱によって、バッテリ暖機制御を行うこととしている。このように、バッテリ雰囲気温度Tが所定温度TSETより低くなる低温時に、目標SOCを大きく設定することにより充電電流が増し、バッテリ14を暖機できる。また、これによりバッテリ14の端子電圧VBの降下を防止できる。
【0088】
以上のように、バッテリ14の暖機を、SOCの値に応じて充放電を制御して、自動的に行うことにより、充電または放電、単独のみの場合に比べて、暖機速度を高めることができ、効果的な暖機を行うことができる。
そして、バッテリ14の暖機を行うことにより、バッテリ14の電圧降下を防ぎ、モータ5等の出力不足を防止できる。この結果、モータ5によるアシスト、加速を充分に行うことができ、迅速な応答性が得られる。更には、エンジン2の暖機も促進され、低温時の始動不良を改善することができる。
【0089】
また、図13に示すようなハイブリッドシステムBにおいて、前述した充放電制御を行うことも可能である。
ハイブリッドシステムBの構成は、ハイブリッドシステムAの構成を変更したものとなっており、その機能は略同様のものとなっている。すなわち、ハイブリッドシステムBにおけるモータジェネレータ(M/G)40が、ハイブリッドシステムAのモータ5と発電機10に相当する。また、ハイブリッドシステムBにおけるVVVFインバータコンバータ(可変電圧可変周波数インバータコンバータ)42と単相CVCFインバータ(単相定電圧定周波数インバータ)43と昇降圧チョッパ44とにより構成されるインバータ部41が、ハイブリッドシステムAにおけるモータコントローラ6とDC/DCコンバータ13と整流機器12とインバータ15に相当する。また、ハイブリッドシステムBは、後述するようにスタータ機能を備えているため、ハイブリッドシステムAにおけるエンジン2始動用のスタータモータ2a、スタータバッテリ24等に相当するものを備えていない。
【0090】
図13に示すように、モータジェネレータ40は、システム1において、エンジン2と動力伝達装置3との間に介装されている。モータジェネレータ40が発電機器として機能する場合(図14のM4からM7、および図17の電力供給機能の場合)には、エンジン2の駆動によりモータジェネレータ40が作動され、該モータジェネレータ40により発電された電力(発電機出力)はインバータ部41に入力され、該インバータ部41からバッテリ14への充電や、切換機器19、出力ソケット20を介して船内供給を行っている。また、モータジェネレータ40が、モータとして機能する場合(図14のM1からM3、図15のスタータ機能、および図16のアシスト機能の場合)には、エンジン2の始動や、航走のアシストを行っている。
【0091】
インバータ部41のVVVFインバータコンバータ42は、モータジェネレータ40が発電機器として機能する場合にはインバータ部41に入力される発電機出力の整流・平滑を行い、また、モータジェネレータ40がモータとして機能する場合にはモータ制御を行う。また、VVVFインバータコンバータ42はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7はVVVFインバータコンバータ42に対し、モータとしてのモータジェネレータ40の起動(回転数)指示、およびアシスト(トルク)指令を出力する。一方、VVVFインバータコンバータ42はシステムコントローラ7へモータとしてのモータジェネレータ40の回転数、トルク、アラーム、直流電圧を送る。
【0092】
単相CVCFインバータ43は、該単相CVCFインバータ43に接続される電気負荷に電力を供給するときに作動して、その供給電力を所定の周波数の交流電力として供給できるようにしている。単相CVCFインバータ43には、該単相CVCFインバータ43に接続される電気負荷に供給される電流および電圧を検出するための電流センサおよび電圧センサ(図示略)が備えられている。また、単相CVCFインバータ43はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7は単相CVCFインバータ43に対し、運転・停止指示を出力する。一方、単相CVCFインバータ43はシステムコントローラ7へ前記電圧センサにより検出した交流電圧、電流センサにより検出した交流電流、交流電力、アラームを送る。
【0093】
昇降圧チョッパ44はバッテリ14と接続されており、該バッテリ14が放電を行う場合には、昇圧チョッパとして機能してバッテリ14の放電電圧を所定の電圧に昇圧し、また、バッテリ14への充電を行う場合には、降圧チョッパとして機能して、バッテリ14への充電電圧を所定の電圧に降圧する。また、昇降圧チョッパ44はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7は昇降圧チョッパ44に対し、運転・停止指示、充電電流指示、充電指示、バッテリ温度検出指示を出力する。一方、昇降圧チョッパ44はシステムコントローラ7へバッテリ電圧、バッテリ充放電電流、バッテリ温度(バッテリ雰囲気温度)、アラームを送る。バッテリ電圧およびバッテリ充放電電流は電圧センサおよび電流センサ(図示略)により検出される。また、バッテリ温度は、バッテリ14に付設される温度センサにより検出される。
【0094】
ハイブリッドシステムBの動作モードを図14から図18により詳しく説明する。
図15には、エンジン2を始動するときの電気回路の作動および駆動力の伝達状態が示されている。バッテリ14から昇降圧チョッパ44により昇圧された電力がVVVFインバータコンバータ42により所要の電圧および周波数に変換されて、モータジェネレータ40に供給され、モータジェネレータ40がモータとして機能してエンジン2を始動する。これは、ハイブリッドシステムAと比べてハイブリッドシステムB特有のモードである。ハイブリッドシステムAに用いられる発電機10並びにハイブリッドシステムBに用いられるモータジェネレータ40は、エンジン2のクランク軸と常時同期回転する構成である。このため、モータジェネレータ40をモータとして駆動すればエンジン2の始動が可能となる。一方、ハイブリッドシステムAの場合、モータ5はセイルドライブ3およびプロペラ4と常時同期回転する構成であり、エンジン2とはセイルドライブ3に内装されるクラッチにより断接されるからである。これにより、エンジン2を始動するためのスタータバッテリ24等を削減できる。
【0095】
図16には、モータジェネレータ40によりエンジンアシストを行うときの電気回路の作動および駆動力の伝達状態が示されている。バッテリ14からモータジェネレータ40までの電気回路の作動状態は図15と同様である。モータジェネレータ40およびエンジン2の駆動力の和が、セイルドライブ3およびプロペラ4の駆動力となる。これにより、モータジェネレータ40によるエンジンアシストによりエンジン2を燃費の良い回転域で使用することができ、かつ、モータジェネレータ40の駆動源もバッテリ14であるので本システムの燃費性を向上できる。
【0096】
図17には、モータジェネレータ40により発電された電力により単相CVCFインバータ43を介して電力供給、またはバッテリ14の充電を行うときの電気回路の作動および駆動力の伝達状態が示されている。エンジン2によりセイルドライブ3およびプロペラ4並びにモータジェネレータ40が駆動される。これにより、モータジェネレータ40が発電を行い、その電力がVVVFインバータコンバータ42により整流・平滑され、その後、単相CVCFインバータ43により所定の電圧および周波数に変換されて電気負荷へ供給される。このとき、整流・平滑後の電力に余剰があれば昇降圧チョッパ44により降圧されてバッテリ14の充電に費やされる。これにより、航行および単相CVCFインバータ43の電気負荷への電力供給が並立できる。更にバッテリ14の充電も可能となる。
【0097】
図18には、バッテリ14により昇降圧チョッパ44および単相CVCFインバータ43を介して電力供給を行うときの電気回路の作動状態が示されている。バッテリ14から昇降圧チョッパ44により昇圧された電力が単相CVCFインバータ43により所定の電圧および周波数に変換されて電気負荷へ供給される。
これは、ハイブリッドシステムAと比べてハイブリッドシステムB特有のモードである。これにより、モータジェネレータ40で発電される電力が不足するときにその補償が可能となる。また、エンジン2の停止中でも単相CVCFインバータ43の電気負荷への電力供給が可能となる。
【0098】
そして、図14で示すM1は、図15または図16で表される動作モードである。M2は、図16で表される動作モードである。M3は、図15または図16、および図18で表される動作モードの組合せモードである。M4は、図2のH13と同様の動作モードである。M5は、図17の内、単相CVCFインバータ43による電力供給が停止している動作モードである。M6は、図17で表される動作モードである。M7は、図17の内、バッテリ14の充電が停止している動作モードである。M8は、図18で表される動作モードである。
【0099】
ハイブリッドシステムBでは、ハイブリッドシステムAと比べてきめ細かなモードは実現できない代わりに配線を低減できるので本質的に生産性(特に組立性)および信頼性が向上できる。更に、ハイブリッドシステムAと比べてエンジン2の始動のためのスタータバッテリ24等が削減できるので、本システムを搭載した船舶の空間利用性を向上できる。また、モータジェネレータ40で発電される電力が不足するときにその補償が可能となるとともに、エンジン2の停止中でも単相CVCFインバータ43の電気負荷への電力供給が可能となるので、電力使用の利便性が向上する。
【0100】
ハイブリッドシステムBには、システム1にバッテリ14が備えられており、前述したハイブリッドシステムAと略同様の充放電制御を行っている(図3乃至図12参照)。
まず、バッテリ端子電圧およびバッテリ充放電電流を検出することによるバッテリ14の充電状態(SOC)を演算する制御では、バッテリ14に備えられる前記電流センサがバッテリ充放電電流検出手段として、前記電圧センサがバッテリ端子電圧検出手段として、システムコントローラ7がバッテリ内部抵抗平均値演算手段、バッテリ開路電圧演算手段、バッテリ液比重演算手段、およびSOC演算手段として、それぞれ機能している。
【0101】
また、内分値SOCを演算することによるバッテリ14のSOCを推定する制御では、システムコントローラ7が、SOC1演算手段、バッテリ開路電圧演算手段、および内分値SOC演算手段として機能している。
また、バッテリ14の使用領域を広げる充放電制御では、システムコントローラ7がバッテリ充放電制御手段、およびバッテリ放電電流減少手段として機能している。
また、バッテリ14の充電電圧を検出することによる充放電制御では、バッテリ充電電流減少手段として機能している。
そして、バッテリ14の充放電制御によるバッテリ暖機制御では、バッテリ14に備えられる温度センサがバッテリ温度検出手段として、システムコントローラ7が目標SOC変更手段として、それぞれ機能している。
【0102】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、請求項1に示す如く、エンジン、電動機器、動力伝達装置、発電機器、およびバッテリからなり、動力伝達装置の駆動源としてエンジンまたは電動機器が用いられ、発電機器の駆動源としてエンジンが用いられ、発電された電力によりコンバータを介してバッテリを充電するハイブリッドシステムにおいて、バッテリの端子電圧を所定時間中に複数回、検出するバッテリ端子電圧検出手段と、バッテリの充放電を所定時間中に複数回、検出するバッテリ充放電電流検出手段と、これらの検出結果に基づいてバッテリの内部抵抗の平均値を演算するバッテリ内部抵抗平均値演算手段と、この内部抵抗の平均値と前記検出結果に基づいてバッテリ開路電圧を演算するバッテリ開路電圧演算手段と、予め記憶されたバッテリ開路電圧とバッテリ液の比重との関係よりバッテリ液の比重を演算するバッテリ液比重演算手段と、予め記憶されたバッテリ液の比重とバッテリの放電深度、または、バッテリ充電状態との関係よりバッテリ充電状態を演算するバッテリ充電状態演算手段とを備えるので、バッテリの端子電圧および充放電電流を所定時間中に複数回検出して、バッテリの内部抵抗の平均値を求め、この内部抵抗の平均値に基づいてSOCを演算することにより、バッテリの端子電圧または充放電電流の検出誤差を吸収してSOCの正確性を高めることができる。そして、検出誤差の少ないSOCを推定することにより、確実な充放電制御が可能となり、過充電および過放電の防止が図れ、更には、バッテリの寿命を延ばすことにもつながる。
【0103】
請求項2に示す如く、請求項1記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流の検出結果に基づき第一バッテリ充電状態を演算する第一バッテリ充電状態演算手段と、所定時間バッテリ充放電電流が停止したことを判定したときバッテリ端子電圧に基づきバッテリ開路電圧を演算するバッテリ開路電圧演算手段と、このバッテリ開路電圧に基づき前記バッテリ液比重演算手段およびバッテリ充電状態演算手段より演算される第二バッテリ充電状態と前記第一バッテリ充電状態の内分値を演算する内分値バッテリ充電状態演算手段とを備えるので、動的変化の結果である、バッテリの充放電電流の検出結果に基づく第一SOCと、静的状態の結果である、バッテリ開路電圧に基づく第2SOCの内分値によりSOCを演算することにより、充放電中および待機状態のいずれのSOCについてもその正確性を高めることができる。検出誤差の少ないバッテリのSOCの推定が可能となり、航走中においても、時間変化するSOCを正確に求めることができる。
【0104】
請求項3に示す如く、請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流が所定値以上のときは、内分値バッテリ充電状態における第一バッテリ充電状態の占める割合を0.5より大きくするので、充放電電流の影響が大きい場合には、第一SOCの占める割合を0.5より大きくすることにより、充放電中のSOCの正確性を高めることができる。
【0105】
請求項4に示す如く、請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流が所定値以下で、かつ、その期間が所定期間以上のときは、内分値バッテリ充電状態における第一バッテリ充電状態の占める割合を0.5より小さくするので、充放電電流の影響が小さく待機状態、または待機状態に近い状態の場合には、第一SOCの占める割合を0.5より小さくすることにより、待機状態、または待機状態に近い状態のSOCの正確性を高めることができる。
【0106】
請求項5に示す如く、請求項1または請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定の下限値以下のときは充電のみ、所定の上限値以上のときは放電のみを行うよう制御するバッテリ充放電制御手段を備えるので、SOCにより充放電を制限することにより、バッテリのSOC管理の精度の向上を図ることができる。
【0107】
請求項6に示す如く、請求項5記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定値以下になると所定の下限値以下になるまでの間は、バッテリからの放電電流をバッテリ充電状態が所定の下限値に近づくほど減少させるバッテリ放電電流減少手段を備えるので、バッテリが過放電状態になるのを防止するとともに、バッテリの放電可能範囲を広げて電気負荷への電力供給能力の向上を図ることができる。
【0108】
請求項7に示す如く、請求項5記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定値以上になると所定の上限値になるまでの間は、バッテリへの充電電流をバッテリ充電状態が所定の上限値に近づくほど減少させるバッテリ充電電流減少手段を備えるので、SOCが100%に近づくにつれて、段階的に充電電流を抑制できることにより、過充電を防止できるとともに、SOCの100%近傍では、充電電流を少量にできることにより、バッテリの容量密度を高め、かつ、充電精度を高めることができる。
【0109】
請求項8に示す如く、エンジン、電動機器、動力伝達装置、発電機器、およびバッテリからなり、動力伝達装置の駆動源としてエンジンまたは電動機器が用いられ、発電機器の駆動源としてエンジンが用いられ、発電された電力によりコンバータを介してバッテリを充電するハイブリッドシステムにおいて、バッテリの端子電圧を検出するバッテリ端子電圧検出手段と、バッテリ端子電圧が所定の上限値になったとき充電電流を減少させるバッテリ充電電流減少手段とを備えるので、充電が進むにつれて、段階的に充電電流を抑制できることにより、過充電を防止できるとともに、充電末期では、充電電流を少量にできることにより、バッテリの容量密度を高め、かつ、充電精度を高めることができる。また、バッテリの寿命を延ばすことができる。
【0110】
請求項9に示す如く、請求項7記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流を所定時間中に複数回、検出するバッテリ充放電電流検出手段と、バッテリの充放電電流の検出結果に基づき第一バッテリ充電状態を演算する第一バッテリ充電状態演算手段と、第一バッテリ充電状態とバッテリ端子電圧に基づき充電電流を減少させる充電電流減少手段とを備えるので、充放電電流の影響を大きく受ける場合において、充放電電流の検出結果に基づく第一SOCに基づいて充電電流を減少させることにより、実際のSOCに、より対応した充電が可能となる。また、バッテリ端子電圧によって充電電流を減少させることにより過充電を防止できる。また、バッテリのSOCとバッテリ端子電圧とを併用することにより、SOCのみを管理する場合に比べ、SOC管理の精度を向上させることができる。更には、バッテリ14の寿命を延ばすことが可能となる。
【0111】
請求項10に示す如く、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ雰囲気温度を検出するバッテリ温度検出手段と、バッテリ雰囲気温度が所定値より小さいとき目標バッテリ充電状態を大きくする目標バッテリ充電状態変更手段とを備えるので、低温時に目標SOCを大きくすることにより充電電流が増し、バッテリを暖機できる。また、バッテリ暖機により、バッテリの電圧降下を防ぎ、電動機等の出力不足を防止できる。この結果、電動機によるアシスト、加速を充分に行うことができ、迅速な応答性が得ることができる。更には、エンジンの暖機も促進され、低温時の始動不良を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハイブリッドシステムAを示す図。
【図2】ハイブリッドシステムAにおける動作モードの一例を示す図。
【図3】バッテリの内部抵抗を算出するためのバッテリ電圧と充放電電流との関係を示す図。
【図4】バッテリ液の比重とバッテリ開路電圧の関係を示す図。
【図5】バッテリ液の比重とバッテリの放電深度(DOD)の関係を示す図。
【図6】内分値SOCを演算することによるバッテリのSOC推定の制御の手順を示す図。
【図7】バッテリの使用可能領域を示す図。
【図8】バッテリ充電電圧による充放電制御におけるバッテリ充電電圧と充電電流の時間変化を示す図。
【図9】充電優先制御領域の近傍における充放電制御の手順を示す図。
【図10】SOCとバッテリ端子電圧によりバッテリの充放電を制御する手順を示す図。
【図11】バッテリ暖機制御における現在のSOCと目標SOCの時間変化を示す図。
【図12】バッテリ暖機制御の手順を示す図。
【図13】ハイブリッドシステムBを示す図。
【図14】ハイブリッドシステムBにおける動作モードの一例を示す図。
【図15】ハイブリッドシステムBにおけるスタータ機能を示す図。
【図16】ハイブリッドシステムBにおけるモータジェネレータによる動力アシスト機能を示す図。
【図17】ハイブリッドシステムBにおける電力供給(発電あり)機能を示す図。
【図18】ハイブリッドシステムBにおける電力供給(発電なし)機能を示す図。
【符号の説明】
1 システム
2 エンジン
3 動力伝達装置
4 プロペラ
5 モータ
7 システムコントローラ
10 発電機
13 DC/DCコンバータ
14 バッテリ
33 電圧センサ
34 電流センサ
Claims (10)
- エンジン、電動機器、動力伝達装置、発電機器、およびバッテリからなり、動力伝達装置の駆動源としてエンジンまたは電動機器が用いられ、発電機器の駆動源としてエンジンが用いられ、発電された電力によりコンバータを介してバッテリを充電するハイブリッドシステムにおいて、
バッテリの端子電圧を所定時間中に複数回、検出するバッテリ端子電圧検出手段と、バッテリの充放電を所定時間中に複数回、検出するバッテリ充放電電流検出手段と、これらの検出結果に基づいてバッテリの内部抵抗の平均値を演算するバッテリ内部抵抗平均値演算手段と、この内部抵抗の平均値と前記検出結果に基づいてバッテリ開路電圧を演算するバッテリ開路電圧演算手段と、予め記憶されたバッテリ開路電圧とバッテリ液の比重との関係よりバッテリ液の比重を演算するバッテリ液比重演算手段と、予め記憶されたバッテリ液の比重とバッテリの放電深度、または、バッテリ充電状態との関係よりバッテリ充電状態を演算するバッテリ充電状態演算手段とを備えることを特徴とするハイブリッドシステム。 - 請求項1記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流の検出結果に基づき第一バッテリ充電状態を演算する第一バッテリ充電状態演算手段と、所定時間バッテリ充放電電流が停止したことを判定したときバッテリ端子電圧に基づきバッテリ開路電圧を演算するバッテリ開路電圧演算手段と、このバッテリ開路電圧に基づき前記バッテリ液比重演算手段およびバッテリ充電状態演算手段より演算される第二バッテリ充電状態と前記第一バッテリ充電状態の内分値を演算する内分値バッテリ充電状態演算手段とを備えることを特徴とするハイブリッドシステム。
- 請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流が所定値以上のときは、内分値バッテリ充電状態における第一バッテリ充電状態の占める割合を0.5より大きくすることを特徴とするハイブリッドシステム。
- 請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流が所定値以下で、かつ、その期間が所定期間以上のときは、内分値バッテリ充電状態における第一バッテリ充電状態の占める割合を0.5より小さくすることを特徴とするハイブリッドシステム。
- 請求項1または請求項2記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定の下限値以下のときは充電のみ、所定の上限値以上のときは放電のみを行うよう制御するバッテリ充放電制御手段を備えることを特徴とするハイブリッドシステム。
- 請求項5記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定値以下になると所定の下限値以下になるまでの間は、バッテリからの放電電流をバッテリ充電状態が所定の下限値に近づくほど減少させるバッテリ放電電流減少手段を備えることを特徴とするハイブリッドシステム。
- 請求項5記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ充電状態が所定値以上になると所定の上限値になるまでの間は、バッテリへの充電電流をバッテリ充電状態が所定の上限値に近づくほど減少させるバッテリ充電電流減少手段を備えることを特徴とするハイブリッドシステム。
- エンジン、電動機器、動力伝達装置、発電機器、およびバッテリからなり、動力伝達装置の駆動源としてエンジンまたは電動機器が用いられ、発電機器の駆動源としてエンジンが用いられ、発電された電力によりコンバータを介してバッテリを充電するハイブリッドシステムにおいて、バッテリの端子電圧を検出するバッテリ端子電圧検出手段と、バッテリ端子電圧が所定の上限値になったとき充電電流を減少させるバッテリ充電電流減少手段とを備えることを特徴とするハイブリッドシステム。
- 請求項7記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリの充放電電流を所定時間中に複数回、検出するバッテリ充放電電流検出手段と、バッテリの充放電電流の検出結果に基づき第一バッテリ充電状態を演算する第一バッテリ充電状態演算手段と、第一バッテリ充電状態とバッテリ端子電圧に基づき充電電流を減少させる充電電流減少手段とを備えることを特徴とするハイブリッドシステム。
- 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のハイブリッドシステムにおいて、バッテリ雰囲気温度を検出するバッテリ温度検出手段と、バッテリ雰囲気温度が所定値より小さいとき目標バッテリ充電状態を大きくする目標バッテリ充電状態変更手段とを備えることを特徴とするハイブリッドシステム。
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