JP2004260454A - 送受信システム、送信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オーディオ信号とビデオ信号を異なる伝送系により伝送するのにあたり、伝送系の途切れにかかわらず、途切れの無い再生出力を可能とする。
【解決手段】アダプタ装置2からの信号出力を、ビデオ信号は有線、オーディオ信号は無線により伝送する場合において、伝送が途切れる可能性の高いオーディオ信号については、メモリ部22により一時蓄積した上で再生出力させることで、途切れの無い再生出力を可能とする。このために生じるビデオ信号との再生同期のずれについては、アダプタ装置2側で入力されるビデオ信号をメモリ部11に蓄積しておき、ワイヤレススピーカ装置4側でのオーディオ信号の再生出力開始タイミングに応じて、メモリ部11からの読み出しを開始させてディスプレイ部3に出力するように構成することで解消を図る。
【選択図】 図2
【解決手段】アダプタ装置2からの信号出力を、ビデオ信号は有線、オーディオ信号は無線により伝送する場合において、伝送が途切れる可能性の高いオーディオ信号については、メモリ部22により一時蓄積した上で再生出力させることで、途切れの無い再生出力を可能とする。このために生じるビデオ信号との再生同期のずれについては、アダプタ装置2側で入力されるビデオ信号をメモリ部11に蓄積しておき、ワイヤレススピーカ装置4側でのオーディオ信号の再生出力開始タイミングに応じて、メモリ部11からの読み出しを開始させてディスプレイ部3に出力するように構成することで解消を図る。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばオーディオ情報とビデオ情報とから成る時間的連続性を有するコンテンツ情報を音声、画像として再生出力するのにあたり、例えば少なくともオーディオ情報については、情報伝送が途切れる可能性の高いとされるような伝送路により送受信する送信装置及び受信装置から成る送受信システムに関する。また、このような送受信システムを構成する送信装置としての機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、いわゆるホームシアターを設置することが普及してきている。このようなホームシアターは、例えば近年であれば、映像作品が記録されるDVDなどのメディアを再生する再生装置と、この再生装置により再生されるビデオ信号、音声信号をそれぞれ画像、音声として出力する、ディスプレイ装置、及びスピーカ装置などから成る。この場合において、再生装置側から出力されるビデオ信号はディスプレイ装置に入力させ、音声信号はスピーカ装置に入力させることになるので、ビデオ信号と音声信号とでは、それぞれ、異なる伝送路を用いることになる。
【0003】
そして、このような場合において、ビデオ信号と音声信号の伝送路の方式が互いに異なるものであり、かつ、一方の伝送路の方式が、比較的伝送条件が不安定であるような状況を考えてみる。
このような状況の代表的な例として、ビデオ信号の伝送は有線であることとし、音声信号の伝送は無線により行う場合を考えることができる。例えばホームシアターとして少なくとも音声信号については無線により伝送するようにすれば、その分、室内にスピーカケーブルを設置する必要が無くなり、また、スピーカ装置の設置の自由度も高くなる。
【0004】
但し、無線伝送は、有線と比較した場合、通信環境などに応じて伝送条件が比較的著しく変化するので、伝送が途切れる可能性を排除することはできない。例として赤外線による無線伝送の場合であれば、送信側と受信側の間に、障害物が存在することで赤外線の送受信が妨げられ、これにより、伝送が途切れる場合が生じ得る。また、電波による無線伝送においても、何らかの要因によって電波にノイズが重畳したり、弱電界となったような場合に、伝送が途切れる可能性が出てくるものである。
【0005】
ここで、上記した場合において、無線伝送される音声信号は、時間的連続性を有する情報であるから、伝送が途切れた場合には、実際に再生出力される音声も途切れることとなって好ましくない。
【0006】
そこで、例えば音声信号や映像信号のようにして、時間的連続性を有する情報を無線伝送するのにあたり、一時的に伝送が途切れたとしても、受信側では時間的連続性を有する情報が得られるように構成したものが知られている(特許文献1参照)。
これは、例えば、送信装置側において、送信している映像データが受信装置側で受信されていないことを認識した場合には、この受信装置側で受信されなかったとされる映像データのデータ部分を記憶保存しておくようにする。そして、その後において、受信装置との通信が可能な状態に復帰した後に、送信装置側で、実時間で送信するデータと共に、受信装置側で受信されなかったデータを送信するようにされる。受信装置側では、このようにして送信されてくる映像データを、先ずは記憶装置に保存するようにされるが、ここに保存された映像データは、そのままでは時間軸に従ったものとはなっていない。そこで、受信装置側では、受信した映像データを時間軸上に組み立てるようにして再構築し、記憶装置に再保存する。これにより、受信装置側では、受信した映像データを記憶装置から読み出して時間順に再生することが可能になる。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−112341号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば上記したようなホームシアターでは、再生装置で再生されたコンテンツの映像、音声信号をリアルタイムに再生出力することが求められる。しかしながら、上記した構成では、受信装置側で受信した映像信号をリアルタイムで再生出力しようとした場合には、伝送が途切れている時間に対応する映像の再生は行えないことになる。
つまり、ホームシアターの場合のようにして、コンテンツの映像、音声信号をリアルタイムに再生出力する場合において、伝送が途切れた状況でも、映像又は音声信号の連続した再生出力を維持することが要求されるものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、送受信システムとして次のように構成する。
本発明の送受信システムは、送信装置と受信装置とから成るものとされる。
そして上記送信装置は、時間的連続性を有する第1の情報を所定の第1の伝送路を経由して送信出力する送信手段と、第1の情報の再生出力タイミングに同期して再生出力させるべき、時間的連続性を有する第2の情報を蓄積する送信側情報蓄積手段と、この送信側情報蓄積手段に蓄積されている第2の情報を読み出して、所定の出力態様により再生出力するための再生出力装置に対して、所定の第2の伝送路を経由して出力する出力手段とを備える。
また、上記受信装置は、送信装置から送信された第1の情報を受信する受信手段と、この受信手段により受信された第1の情報を一時蓄積する受信側情報蓄積手段と、この受信側情報蓄積手段から出力される第1の情報を所定の出力態様により再生出力する再生出力手段とを備える。
そして、さらに、上記送信装置及び/又は受信装置は、第1の情報が再生出力手段により再生出力されるタイミングに同期するようにして、上記送信側情報蓄積手段に蓄積されている第2の情報の読み出しタイミングを制御する制御手段を備えることとした。
【0010】
また、送信装置としては、時間的連続性を有する第1の情報を、この第1の情報を受信して一時蓄積した後に所定の出力態様によって再生出力する受信装置に対して、所定の第1の伝送路を経由して送信出力する送信手段と、第1の情報の再生出力タイミングに同期して再生出力させるべき、時間的連続性を有する第2の情報を蓄積する情報蓄積手段と、受信装置による第1の情報の再生出力タイミングに同期するようにして、情報蓄積手段に蓄積されている第2の情報の読み出しタイミングを制御して、この第2の情報を所定の出力態様により再生出力するための再生出力装置に対して、所定の第2の伝送路を経由して出力させる出力制御手段とを備えて構成することとした。
【0011】
上記各構成によると、送信装置側からは、時間的に連続し、かつ、同期した再生タイミングにより再生出力されるべき第1の情報と第2の情報とを、それぞれ異なる第1の伝送路と第2の伝送路とによって出力するようにされる。また、受信装置側では、第1の伝送路を経由して受信した第1の情報を一時蓄積した上で、再生出力するようにされる。これにより、第1の伝送路の伝送が途切れたとしても、受信装置側で蓄積されている第1の情報が無くならないうちに伝送可能な状態に復帰しさえすれば、時間的連続性を保って途切れが無いようにして第1の情報の再生出力を行うことが可能となる。
但し、受信装置側で第1の情報を蓄積するためには、必然的に、第1の情報の受信開始時から必要量の第1の情報が蓄積された後に、再生出力を開始することになる。従って、受信装置による第1の情報の受信時から再生出力時までの間には、タイムラグが生じる。
そこで、本発明では、送信装置側で第2の情報を蓄積するようにしており、受信装置側における再生出力タイミングに同期するようにして、この蓄積された第2の情報の読み出しタイミングを制御して、第2の伝送路により出力させることとしている。
このようにして、本発明では、時間的連続性を保って途切れが無いようにして第1の情報の再生出力を行うことと、これにより生じる、第1の情報と第2の情報の再生出力タイミングの同期のずれを解消することしている。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1のブロック図は、本発明としての情報通信システムが適用される、AVシステムの構成例を示している。このAVシステムは、いわゆるホームシアターとしてのシステムを構築する。
この図に示すようにして、本実施の形態のAVシステムは、AV再生装置1、アダプタ装置2、ディスプレイ部3、及びワイヤレススピーカ装置4とから成る。
AV再生装置1は、具体的には映画などをはじめとした映像/音声から成るコンテンツが記録された所定のメディアについての再生が可能とされる再生装置である。本実施の形態において、このような再生装置としての機器の種類については特に限定しないが、例えば、代表的なものとしては、DVDプレーヤ、VTRなどを挙げることができる。あるいは、テレビジョン放送を受信復調する受信装置などとすることもできる。さらには、ハードディスクを備えて、このハードディスクに対して映像/音声から成るコンテンツの記録再生を行うことのできる、いわゆるホームサーバなどとされてもよい。
【0013】
このAV再生装置1では、例えばメディアからコンテンツとしてのデータを再生して所要のデコード処理を施し、最終的には、ビデオ信号とオーディオ信号とをそれぞれ独立して出力できるようになっている。また、この場合において、AV再生装置1から出力されるビデオ信号及びオーディオ信号は、それぞれデジタル信号であり、互いの再生出力タイミングとして同期している状態で出力されているものである。
AV再生装置1から出力されるビデオ信号及びオーディオ信号は、アダプタ装置2に対して入力される。
この場合の構成において、AV再生装置1におけるコンテンツ(ビデオ信号及びオーディオ信号)の再生速度としては、通常の1倍速であってもよいし、1倍速以上の所定倍速度とされてもよい。
【0014】
アダプタ装置2において、AV再生装置1から入力されたビデオ信号及びオーディオ信号は、この場合には、共にメモリ部11に入力される。
この場合のメモリ部11は、例えばビデオ信号としてのデータを、数秒から数十秒程度蓄積するのに足る記憶容量を有するメモリ装置を備えて成る。ビデオ信号のデータレートはオーディ信号と比較して非常に高く、それだけデータ容量も大きいことから、例えば現状においては、比較的大容量を得ることが容易なハードディスク(HDD)をメモリ装置として備えることが考えられる。また、半導体メモリ素子をメモリ部11のメモリ装置として設けることも当然考えられるものである。
【0015】
メモリ部11においては、コントローラ14による書き込み/読み出しタイミングの制御によって、入力されたビデオ信号及びオーディオ信号が、一時蓄積される。なお、この蓄積時間は後述するようにして、ビデオ信号及びオーディオ信号とで異なるものとなる。
また、本実施の形態の目的上、オーディオ信号については、図において破線で示すようにしてメモリ部11を経由せずに直接、送信部13に入力させるようにしても構わない。この場合には、オーディオ信号を送信する送信部13において、オーディオ信号の一時的な伝送の途切れに対応してデータを一時蓄積するに足る容量のバッファを設ければよい。
【0016】
メモリ部11において一時蓄積されたビデオ信号は、上記のようにしてコントローラ14の制御によって読み出しが行われ、出力部12に対して入力される。この場合においては、メモリ部11からのビデオ信号の出力は、通常の1倍速により行われるものとされる。つまり、メモリ部11からビデオ信号を読み出すのにあたっては、通常の1倍速としてのデータレートが維持されるようにして、メモリ部11からのビデオ信号読み出しのための読出アドレスのインクリメントが行われるように、コントローラ14が読み出し制御を実行する。
【0017】
出力部12では、例えば必要に応じて、メモリ部11から出力されたビデオ信号について、ディスプレイ部3が対応する入力信号形式に変換して、ディスプレイ部3に対して出力する。
ここで、ディスプレイ部3に対して出力されるビデオ信号は、メモリ部11に対する読み出しタイミング制御及び出力部12における信号処理によって、時間的連続性が与えられており、データに途切れがないようにして出力されるものとなる。これにより、ディスプレイ部3では、入力されたビデオ信号について、画像の途切れが無いようにして、表示出力することになる。
また、この場合において、出力部12からディスプレイ部3へのビデオ信号出力は、有線による伝送であることとしている。
【0018】
また、メモリ部11において一時蓄積されたオーディオ信号は、コントローラ14の制御によって、通常の1倍速よりも高速とされる所定倍速度に対応した転送速度により、連続的、又は間欠的に送信部13に対して出力される。この場合のコントローラ14は、上記した所定倍速度としてのデータレートが得られるようにして、メモリ部11からのオーディオ信号読み出しのための読出アドレスのインクリメントを実行することになる。
【0019】
この場合、送信部13は、入力されたオーディオ信号について、所定の無線通信方式に従った、キャリア変調等のエンコード処理を施すようにされる。また、無線通信方式がパケット通信の方式を採るものであれば、パケット化などの処理も施される。そして、無線送信のためのエンコード処理が施されたオーディオ信号を外部のワイヤレススピーカ装置4に対して送信出力する。つまり、アダプタ装置側(再生装置側)とワイヤレススピーカ装置4側とのオーディオ信号の伝送路は、無線によるものとなる。
なお、送信部13が対応すべき無線通信方式としては、ここでは特に限定されるべきものではないが、赤外線による無線通信方式を採用することが考えられる。また、電波による無線通信方式として、例えばFM波をキャリアとして利用した通信や、Bluetoothなどを考えることができる。
【0020】
コントローラ14は、例えばマイクロコンピュータ等から成り、アダプタ装置2としての動作が適正に実行されるように所要の制御処理を実行する。例えば、前述もしたように、メモリ部14に対する書き込み、読み出し制御を実行する。また、必要に応じて、出力部12,送信部13に対する制御を実行する。
【0021】
コントローラ14には、送受信部15が接続されている。
この送受信部15は、後述するワイヤレススピーカ装置4の送受信部26と、データの送受信を無線により行うために設けられる。ただし、ここで送受信されるデータは、例えばアダプタ装置2のコントローラ14と、ワイヤレススピーカ装置4のコントローラ25との間で授受すべきコマンド等の各種制御情報となる。従って、この送受信部15(及び送受信部26)が対応する無線通信方式としては、コマンドの送受信が適正に実行できる程度の通信速度が得られればよいものとされる。従って、例えばオーディオ信号を送受信するための伝送路の無線通信方式と比較すれば、より低速で簡易な無線通信方式を採用できる。
【0022】
ワイヤレススピーカ装置4では、アダプタ装置2の送信部13から無線送信されたオーディオ信号を受信部21により受信復調して、オーディオ信号としてのデジタル信号を抽出する。
このオーディオ信号は、コントローラ25の書き込み/読み出し制御によってメモリ部22に書き込みが行われる。ここで、アダプタ装置2側では、オーディオ信号を所定倍速度によりメモリ部11から読み出して送信部13により送信している。これに対応して、ワイヤレススピーカ装置4の送受信部26により受信復調したオーディオ信号のメモリ部22への書き込みも、上記メモリ部11からの読み出し時と同じデータレートにより実行するようにされる。そして、メモリ部22からのオーディオ信号の読み出しは、通常の1倍速により実行するようにされる。
このようにして、メモリ部22に対するオーディオ信号の書き込み速度が、読み出し速度よりも高くなっていることで、メモリ部22においては、オーディオ信号のデータが蓄積される状態が得られることになる。つまり、メモリ部22は、オーディオ信号を一時蓄積して出力するためのバッファとして機能している。そして、メモリ部22に一時蓄積されたオーディオ信号は、信号処理部23に対して出力される。なお、メモリ部22に対する読み出しは、上記もしているように通常1倍速に対応している。また、オーディオ信号が連続的に出力されるように読出アドレスをインクリメントしていくようにされる。これにより、メモリ部22から読み出されるオーディオ信号は、メモリ部22がアンダーフロー(又はオーバーフロー)しない限り、通常の1倍速により、時間的連続性が保たれるようにして出力される。
【0023】
信号処理部23では、入力されたオーディオ信号について、D/A変換を実行するとともに、必要に応じて所定段階でイコライジング処理、ボリューム調整、増幅処理などを行い、最終的にスピーカ24を駆動可能な音声信号を出力する。スピーカ24では、この音声信号を入力して音声として再生出力することになる。
【0024】
ここで、アダプタ装置2における送信部13と、ワイヤレススピーカ装置4における受信部21との間で正常に通信を行っていた途中で、オーディオ信号の無線伝送が、何らかの障害要因によって不安定となって途切れ、受信部21側において、オーディオ信号の受信も途切れたとする。
受信部21にて無線伝送が適正に行われているのか、或いは途切れたのかについては、例えばワイヤレススピーカ装置4側のコントローラ24が、受信部21におけるデータの受信状況、又は、メモリ部22におけるデータの蓄積状況を監視することで、判定することができる。
そして、ワイヤレススピーカ装置4側のコントローラ24がオーディオ信号の受信が途切れたことを判定した場合、例えば送受信部26を利用して、ステイタスとして、無線伝送が途切れたことを、そのときの受信データ位置の情報と共に送信するようにされる。
また、コントローラ24が途切れていた無線伝送が回復したことを判定した場合には、無線伝送が回復したことを、上記と同様にして、送受信部26を利用して、ステイタスとして送信するようにされる。
【0025】
アダプタ装置2側では、上記したステイタスを送受信部15により受信し、コントローラ14が認識するようにされる。そして、無線伝送が途切れたことを認識した場合には、一旦、オーディオ信号の無線伝送を停止する。このとき、AV再生装置1から入力されてくるオーディオ信号は、メモリ部11にて蓄積されるようにして保持されることになるので、オーディオ信号の無線伝送の停止期間に対応する実時間のオーディオデータが欠落することはないようにされる。
そして、この後において、ステイタスとして、無線伝送が復帰したことを認識すると、先の無線伝送が途切れたことによって受信が途切れたとされるオーディオ信号の位置から、オーディオ信号の送信を再開させることになる。
【0026】
ここで、上記のようにして、オーディオ信号の無線伝送が不安定となって途切れたことで、受信部21側においてオーディオ信号の受信が途切れたとき、ワイヤレススピーカ装置4のメモリ部22においては、これまで受信して書き込まれたオーディオ信号のデータのうち、未だ読み出しが行われていないデータが蓄積されて残っている状態にある。オーディオ信号の受信が途切れて、メモリ部22に対してオーディオ信号のデータが書き込まれない期間においては、このメモリ部22に蓄積されているオーディオ信号のデータが読み出され、信号処理部23に供給されることになる。従って、オーディオ信号の受信が途切れている期間であっても、読み出しが行われていないデータが蓄積されて残っている限りは、時間的連続性を保って、オーディオ信号を音声として再生出力することができることになる。
そして、メモリ部22において読み出しが行われていないデータが残っているうちに、無線伝送が復帰して、オーディオ信号の受信が再開されてメモリ部22に蓄積されることとなれば、以降においても、途切れのない音声再生出力が行われることとなる。
【0027】
つまり、ワイヤレススピーカ装置4におけるメモリ部22としてのバッファ機能は、不安定性がつきまとう無線伝送による伝送の途切れが、或る程度の時間にわたって生じたとしても、時間的連続性を保ったオーディオ信号の出力を可能とすることを目的として与えられるものである。
【0028】
ここで、メモリ部22の記憶容量としては、実際のオーディオ信号の無線伝送方式(送信されるオーディオ信号のデータレートなどの条件もここに含まれる)に応じて想定される、一時的に生じる伝送途切れの継続時間の一般的な長さに対応するオーディオ信号の欠落時間(データ容量)を求め、このデータ容量を蓄積できるのに足る容量に基づいて決定するようにされればよい。
また、メモリ部22として備えるメモリ装置は、例えば、アダプタ装置2のメモリ部11と同様にHDDとされてもよいのであるが、オーディオ信号のデータレートは、ビデオ信号と比較すれば非常に低く、単位時間あたりの蓄積データ容量も少ない。従って、例えばDRAM、SRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子を備えるようにすることも考えられる。
【0029】
また、上記のようにして、メモリ部22にバッファ機能を与えるようにした場合には、実際には、メモリ部22におけるオーディオ信号としてのデータについてオーバーフローが生じないようするための処理も、送受信部15、26を使用した、コントローラ14、25間の通信により実行されるように構成される。
例えば、ワイヤレススピーカ装置4のコントローラ25は、メモリ部22におけるオーディオ信号のデータ蓄積量を監視するようにしており、そのデータ蓄積量が一定以上となった場合には、このことを通知するためのコマンドを送受信部26から送信出力させる。
アダプタ装置2のコントローラ14側では、送受信部15により受信した、上記通知のコマンドに応答して、メモリ部11からのオーディオ信号のデータ読み出し及び送信部13による送信出力を停止させる。
これにより、ワイヤレススピーカ装置4のメモリ部22では、オーディオ信号の書き込みが停止され、読み出しのみが実行されることになるので、メモリ部22におけるオーディオ信号のデータ蓄積量が減少していくことになる。そして、コントローラ25は、メモリ部22におけるデータ蓄積量が一定以下になったことを認識すると、このことを通知するコマンドを送信する。アダプタ装置2のコントローラ14では、このコマンドの受信に応じて、メモリ部11からのデータ読み出しを再開させる。
このようにして、アダプタ装置2からワイヤレススピーカ装置4へのオーディオ信号としてのデータの転送量を制御することで、メモリ部22に蓄積されるオーディオ信号としてのデータのオーバーフロー(及びアンダーフロー)が生じないように制御されるようになっている。
【0030】
ワイヤレススピーカ装置4のコントローラ25は、ワイヤレススピーカ装置4を構成する各部に対する制御を実行する。例えば、前述もしているように、メモリ部22におけるオーディオ信号としてのデータの書き込み/読み出し制御を実行する。また、信号処理部23におけるイコライジング、及びボリュームの設定を行う。また、送受信部26により各種コマンド等の送受信を実行するための制御処理も実行する。
例えば、この場合において、アダプタ装置側に操作部、若しくは、リモートコントローラとしての操作手段から送信される操作情報信号を受信する受信部を設けるようにして、これらの操作部又はリモートコントローラにより、例えば音質調整、音量調整などの操作が行えるようにする。そして、アダプタ装置2のコントローラ14では、音質調整、音量調整等の操作に応じた操作情報信号に応じて、送受信部15により、音質調整、音量調整等のコマンドを送信するようにされる。
ワイヤレススピーカ装置4では、これらのコマンドを送受信部26により受信してコントローラ25に転送する。コントローラ25では、転送されたコマンドに応じて信号処理部23におけるイコライジング設定、ボリューム設定を可変制御する。このようにして、ワイヤレススピーカ装置4から出力される音声を、ユーザ操作によりコントロールすることが可能に構成することができる。
【0031】
なお、上記図1に示したシステム構成は、あくまでも基本的な構成のみについて示しているものであり、実際には、このシステム構成を基に、各種の構成を考えることができる。
例えば1つには、1つのワイヤレススピーカ装置4がLRステレオ再生に対応しているものとして構成することができる。この場合には、L,Rチャンネルのオーディオ信号をワイヤレススピーカ装置4に送信することとして、ワイヤレススピーカ装置4ではL,Rチャンネルに対応する2つのスピーカ24を備えることとする。そして、信号処理部23によって1つのオーディオ信号のストリームから、L,Rチャンネルの各オーディオ信号を分離して出力し、2つのスピーカ24に出力させることで、ステレオ音声による再生を実現する。
【0032】
また、1つのアダプタ装置2に対してワイヤレススピーカ装置4が複数系統備えられる構成を採ることも考えられる。この場合には、例えば上記したようなステレオ音声再生を、L,Rの各チャンネルに対応する2系統のワイヤレススピーカ装置4により音声出力させることで実現することが可能である。さらには、例えば6系統のワイヤレススピーカ装置4を備えることで、5.1chサラウンドによる音声再生を実現することも可能とされる。
【0033】
上記もしているように、本実施の形態のAVシステムでは、先ず、AV再生装置1から再生されるコンテンツとしてのビデオ信号とオーディオ信号とをメモリ部22に対して一時蓄積し、それぞれを、出力部12及び送信部13を介して、ディスプレイ部3及びワイヤレススピーカ装置4に対して出力するようにしている。つまり、本実施の形態のAVシステムでは、AV再生装置1などのソース出力元から出力されるビデオ、オーディオ信号などの時間的連続性を有する信号を、リアルタイム的に再生するようにされた構成を採るものである。
そして、オーディオ信号については、無線伝送での一時的な伝送途切れの発生に対して、連続的な再生出力が行えるように、ワイヤレススピーカ装置4のメモリ部22において、再度一時蓄積された上で、音声としての出力が行われるようになっている。
【0034】
ここで、AV再生装置1から再生されるビデオ信号及びオーディオ信号は、同一コンテンツとして再生されるものであり、同期して出力される必要がある。しかしながら、上記した本実施の形態のシステム構成では、アダプタ装置2から無線により伝送されるオーディオ信号については、伝送途切れによる音切れを回避するためにワイヤレススピーカ装置4において一時蓄積が行われる。従って、仮に、アダプタ装置2のメモリ部11からビデオ信号とオーディオ信号を同期させた状態で出力開始させたとしても、ワイヤレススピーカ装置4のメモリ部22においてオーディオ信号のデータが一定量以上蓄積されるまでは、メモリ部22からのオーディオ信号のデータ読み出しが開始されない。つまり、このままでは、最終的にディスプレイ部3から出力される画像と、スピーカ24から出力される音声とで同期が得られていない状態となる。
【0035】
そこで本実施の形態では、このような不都合を回避するために、図2に示すようにして、オーディオ信号についての出力タイミングを制御することとしている。
図2においては、アダプタ装置2及びワイヤレススピーカ装置4における、ビデオ信号、オーディオ信号についての処理タイミングが示されている。
先ず、AV再生装置1から出力開始された同一コンテンツとしてのビデオ信号、オーディオ信号は、時点t1において同時にアダプタ装置2のメモリ部11に入力されて、ここでの蓄積が開始される。なお、確認のために述べておくと、ここでは、AV再生装置1から出力されるビデオ信号及びオーディオ信号は同期が得られているタイミングで同時出力されているものとする。
【0036】
この時点t1から一定時間経過した時点t2は、メモリ部11におけるオーディオ信号について読み出し出力が可能な程度に蓄積された状態が得られる時点とされる。そこで、この時点t2に至ると、アダプタ装置2では、コントローラ14の制御によって、メモリ部11に蓄積されているオーディオ信号のデータの先頭からの読み出しと、この読み出したオーディオ信号のデータを送信部13に転送する動作が開始される。これにより、時点t2以降からは、アダプタ装置2の送信部13から、ワイヤレススピーカ装置4に対するオーディオ信号の送信処理が開始されることになる。
これに応じて、ここでは時点t2から一定時間経過した時点t3において、ワイヤレススピーカ装置4にて受信復調したオーディオ信号のデータをメモリ部22に書き込んで蓄積させていく動作が開始される。この動作はコントローラ25により制御される。なお、時点t2から時点t3までの時間差は、ここでは、例えば送信部13、受信部21による送受信処理(変調・復調処理等)に要するタイムラグ等により生じるものであるとする。
【0037】
そして、時点t3から或る時間が経過したとされる時点t4において、メモリ部22におけるデータ蓄積量が一定以上になったとされると、ワイヤレススピーカ装置4側では、メモリ部22からオーディオ信号のデータの読み出しを開始して、信号処理部23に転送し、音声としての出力を開始させる。これに応じて、アダプタ装置2側においても、同じ時点t4から、時点t1からメモリ部11に蓄積させていたビデオ信号の読み出しをはじめて開始し、出力部12に転送することで、ディスプレイ部3における画像出力を開始させる。
【0038】
このようにして、本実施の形態では、コンテンツの再生を開始させるのにあたり、入力されたビデオ信号について、アダプタ装置2のメモリ部11に蓄積しておくようにしたうえで、ワイヤレススピーカ装置4のメモリ部22からのオーディオ信号の出力開始タイミングに一致させるようにして、メモリ部11からのビデオ信号のデータの読み出し/転送を開始させるようにしている。
これにより、同一コンテンツとしてのビデオ、オーディオ信号をリアルタイム的に再生するのにあたり、ワイヤレススピーカ装置4において伝送途切れのためにオーディオ信号のデータがメモリ部22にて蓄積されることに依るタイムラグの存在にかかわらず、ビデオ信号とオーディオ信号とについて画像/音声が同期するようにして再生出力することができる。
【0039】
ここで、図2の時点t4として示すようにして、ワイヤレススピーカ装置4におけるオーディオ信号の再生出力開始タイミング(メモリ部22からの読み出し開始タイミング)に、アダプタ装置2におけるメモリ部11の読み出し開始タイミングを一致させるためには、アダプタ装置2側が、ワイヤレススピーカ装置4におけるオーディオ信号の再生出力開始タイミングを知っている必要がある。
このための構成として、1つには、AV再生装置1からビデオ信号/オーディオ信号が入力開始されてからワイヤレススピーカ装置4におけるオーディオ信号の再生出力が開始されるまでの時間を、予め計測しておき、この計測した時間に基づいて、アダプタ装置2におけるメモリ部11からのビデオ信号の読み出しタイミングを決定するようにすることが考えられる。
つまり、アダプタ装置2からワイヤレススピーカ装置4との間での、オーディオ信号の無線伝送について一定以上のエラーは発生しないとして仮定した場合、アダプタ装置2に対してビデオ、オーディオ信号が入力開始された時点(図2の時点t1に相当)から、ワイヤレススピーカ装置4において音声として出力されるまでの時点(図2の時点t4に相当)までの時間長は、メモリ部11→送信部13→受信部21→メモリ部22→信号処理部23→スピーカ24までの系における蓄積時間、信号処理に要する時間などにより、一義的に求めることが可能となる。
そこで、コントローラ14のプログラムとして、アダプタ装置2にビデオ信号及びオーディオ信号が入力された時点から計時を開始して、上記時点t1〜時点t4に相当するとされる時間長に至ったら、所要のタイミングでメモリ部11からビデオ信号の読み出し及び出力部12への転送を開始させるように構成するものである。
この場合には、アダプタ装置2側のコントローラ14の簡易な制御処理として完結させることができるので、容易な設計により構成することが可能である。
【0040】
ただし、この構成では、上記もしているようにアダプタ装置2からワイヤレススピーカ装置4との間での、オーディオ信号の無線伝送について一定以上のエラーは発生しないことを前提としている。このため、アダプタ装置2に対してビデオ、オーディオ信号が入力開始される時点t1から、予め設定した時点t4としての計時時間内において、無線伝送が一時的に途切れて伝送のリトライが実行されたとすると、メモリ部22へのオーディオ信号のデータの蓄積量が一定以上となるまでの時間にも遅れが出る。従って、実際の時点t4も、設定された時間長よりも遅れることとなって、オーディオ信号とビデオ信号との再生開始時点にずれが生じ、同期して再生出力されないことになってしまう。
【0041】
そこで、このような不都合を回避するための構成としては、次のようにして、ワイヤレススピーカ装置4側が、アダプタ装置2側に対して、メモリ部11からのビデオ信号の読み出し開始タイミングを指示するように構成することが考えられる。
図3はこのような動作を実現するためのフローチャートを示している。この図においては、アダプタ装置2側の処理と、ワイヤレススピーカ装置4との処理が並列的に示されている。また、アダプタ装置2側では、これまでの説明から分かるように、コンテンツとして同時入力されるビデオ信号及びオーディオ信号についてのメモリ部11への書き込み/読み出し処理、及び外部への出力処理を実行するが、ここでは説明の便宜上、ビデオ信号を対象とした処理についてのみ示している。
【0042】
先ず、アダプタ装置2側の動作として、コントローラ14は、ステップS101の処理として、AV再生装置1側からのビデオ信号入力が開始されるのを待機している。そして、ビデオ信号入力が開始されたのであれば、ステップS102として示すように、入力されたビデオ信号のデータをメモリ部11に対して書き込んでいくための書き込み制御を開始する。以降においては、入力されたビデオ信号がメモリ部11に対して書き込まれていくことになる。
また、この段階においては未だ、メモリ部11からのビデオ信号の読み出しは開始されないのであるが、コントローラ14では、上記のようにして、メモリ部11に対するビデオ信号の書き込みを開始させると、次のステップS103により、ワイヤレススピーカ装置4側から送信される読み出し開始コマンドの受信を待機するようにされる。
なお、上記ステップS103までの処理と併行して、実際には、ビデオ信号と同時に入力されるオーディオ信号をメモリ部11に一時蓄積したうえで、送信部13によりワイヤレススピーカ装置4に対して送信するための処理も実行されているものである。
【0043】
ワイヤレススピーカ装置4のコントローラ25は、先ずステップS201としての処理により、アダプタ装置2側から送信されてくるオーディオ信号の受信が開始されるのを待機している。そして、オーディオ信号の受信が開始されたのであれば、ステップS202の処理により、受信されたオーディオ信号をメモリ部22に対して書き込むための制御を開始する。
【0044】
上記のようにして、メモリ部22へのオーディオ信号の書き込みが開始された後においては、ステップS203において、メモリ部22におけるオーディオ信号のデータ蓄積量を監視することにより、このデータ蓄積量がオーディオ信号のデータの読み出しを開始するのに充分とされる一定以上となることを待機するようにされる。
そして、メモリ部22におけるオーディオ信号のデータ蓄積量が一定以上となってステップS203において肯定結果が得られると、次のステップS204により、アダプタ装置2側でのメモリ部11からのビデオ信号の読み出し開始を指示するための読み出し開始コマンドを発生させ、送受信部26を介して送信出力する。
また、ステップS203にて肯定結果が得られた場合、上記ステップS204の処理と共に、次のステップS205の処理として示すように、コントローラ25は、メモリ部22からオーディオ信号のデータを読み出して、信号処理部23に転送するための制御を開始する。
【0045】
上記ステップS204により送信された読み出し開始コマンドは、アダプタ装置2の送受信部15により受信され、これに応じて、アダプタ装置2のコントローラ14は、ステップS103において肯定結果が得られることとなってステップS104に進む。
ステップS104では、メモリ部11から所要のタイミングで、これまでメモリ部11に蓄積されていたビデオ信号の先頭から読み出して、出力部12に転送するための制御を開始する。
【0046】
ここで、上記ステップS104の処理は、ステップ103による読み出し開始コマンドの受信に応答して所要タイミングで実行される。そして、読み出し開始コマンドが受信されたということは、ワイヤレススピーカ装置4側でメモリ部22におけるオーディオ信号のデータ蓄積量が一定以上となり、ワイヤレススピーカ装置4では、メモリ部22に蓄積されたオーディオ信号の再生出力を開始させるべきタイミングに至っていることを意味することになる。
従って、例えばステップS203にて肯定結果が得られるまでにおいて、無線伝送の途切れが生じて伝送のリトライが行われたような場合であっても、上記ステップS104としての処理開始タイミングは、常に、ステップS205の処理タイミングと一致させることができる。この結果、ディスプレイ部3からの画像の再生出力開始時点と、スピーカ24からの音声の再生出力開始時点とを同時タイミングとすることが可能となる。つまり、AV再生装置1から出力されたコンテンツとしてのビデオ信号及びオーディオ信号をリアルタイム的に再生出力するのにあたり、ビデオ信号及びオーディオ信号を同期再生することが可能とされるものである。
【0047】
ところで、図1に示したシステムにおいては、ホームシアターを構築するAVシステムの構成として、AV再生装置1と、メモリ部11を備えるアダプタ装置2とがそれぞれ別体の機器であるとされている。
しかしながら、近年においては、AV機器として、例えばDVDプレーヤやテレビジョン放送対応のチューナなどとHDDなどの大容量のストレージデバイスを一体化する傾向となってきている。このようなAV機器では、DVDプレーヤやチューナにより再生、受信したコンテンツとしてのビデオ、オーディオ信号をHDDに記憶させて保存可能なように構成される。
このようなことを背景として、本実施の形態のAVシステムとしては、AV再生部(或いはテレビジョン放送チューナ部)に対してHDDなどのストレージデバイスを備えたAV機器を構成した上で、このストレージデバイスをメモリ部11として機能させることで、アダプタ装置2としての機能も与えたAV機器を備えるようにすることも考えられる。つまり、図1の場合であれば、AV再生装置1とアダプタ装置2とを一体化した構成を採るようにする。
このような構成であれば、図1におけるメモリ部11については、AV機器に内蔵されるHDDなどのストレージデバイスを流用すればよいことになるので、大幅なコストアップを避けた上で、本実施の形態としてのAVシステムを構築する機器を提供できることになる。
【0048】
また、上記のようにしてAV再生装置1とアダプタ装置2とを一体化したような構成では、メモリ部11としてのHDDには、AV再生部(或いはテレビジョン放送チューナ部)により再生したAVコンテンツが保存される。従って、このHDDに保存されているコンテンツを再生して、画像、音声として出力する場合にも本実施の形態としての同期再生のための構成が適用される。
この場合には、先ず、HDDからコンテンツとしてのオーディオ信号を再生してワイヤレススピーカ装置4に対して送信出力する。そして、ワイヤレススピーカ装置4側で、オーディオ信号をスピーカ24から再生出力開始するタイミングに一致させるようにして、HDDからのビデオ信号の読み出しを開始させるようにされる。
また、上記した構成は、AVコンテンツが記録されているメディアからのビデオ信号、オーディオ信号の各読み出しタイミングをコントロールすることにより、ワイヤレススピーカ装置4側でのオーディオ信号の再生出力タイミングに、ビデオ信号の再生出力タイミングを一致させているということがいえる。そして、この場合においては、メディアに対する読み出し動作タイミングを積極的に変更させてオーディオ信号とビデオ信号の同期を取るようにされるのであるから、メディアを再生するドライブがメモリ部11として機能しているという事が言える。この場合には、実際の回路構成として、メモリ部11に相当する記憶装置を省略することが可能になる。また、このようにして、メモリ部11として機能するメディアドライブとしては、HDDだけではなく、例えば各種のディスクメディア、半導体メモリ素子によるメディアに対応するドライブなど各種考えられる。
【0049】
なお、本発明としては、これまでに説明した実施の形態としての構成に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、第1の情報であるオーディオ信号の伝送路(第1の伝送路)を無線としているが、有線であってもよいものとされる。つまり、本発明としては、第1の情報を送信する第1の伝送路としては、無線/有線にかかわらず、この第1の伝送路の伝送条件があまり良好でないような場合に、有用な効果が得られるようにされているものである。
また、上記実施の形態では、第2の情報であるビデオ信号を伝送する第2の伝送路としては有線であることとしているが、これは、第1の伝送路との明確な比較が行えるように、無線に対して対照的な有線を例示しているに過ぎない。従って、第2の伝送路としても、有線/無線は問わないものである。
また、この第2の伝送路により伝送される第2の情報(つまりビデオ信号)についても、再生元(例えばAV再生装置1側)からの入力から、再生出力するまでの系において、伝送途切れ対策のためのバッファリングが行われるようにしたうえで、第1の情報と第2の情報との間での同期再生出力が行われるように、再生出力開始タイミングが制御されるように構成されてよいものである。
また、実際に適用される伝送路に応じては、本発明としての第1の情報をビデオ信号とし、第2の情報をオーディオ信号として、実施の形態とは逆の関係として構成することも考えられる。
【0050】
さらに、前述もしたように、図1のAVシステムとしては、ビデオ信号に対して、複数系統のワイヤレススピーカ装置4が設けられてもよい。つまり、例えば1つの第2の伝送路に対して、複数系統の第1の伝送路が設けられたうえで、これらの伝送路から再生出力される全てのビデオ信号、オーディオ信号について、再生出力の同期が図られるようにして良い。さらには、第2の伝送路としても複数系統が備えられた構成も考えられる。
【0051】
また、上記実施の形態では、再生出力を同期させるべき情報種別として、ビデオ信号及びオーディオ信号としているが、これ以外にも、時間的連続性が要求され、かつ同期再生が要求される複数の情報を、異なる信号再生系より再生出力する場合に、本発明を適用することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したようにして、本発明では、同期して再生出力させるべきビデオ信号(第2の情報)とオーディオ信号(第1の情報)とについて、それぞれ異なる伝送路により伝送して再生出力させる場合において、少なくともオーディオ信号については、再生出力までの系において、伝送途切れ対策のための一時蓄積が行われるようにされる。
これにより、例えばオーディオ信号を伝送する伝送路の伝送条件が不安定で、伝送が途中で途切れやすいことが想定されるような場合でも、時間的連続性を維持して途切れが無いようにして再生出力が可能となる。
ただし、オーディオ信号を一時蓄積することによって、ビデオ信号との再生同期のずれが生じるが、この同期のずれは、ビデオ信号についても一時蓄積を行い、上記オーディオ信号の再生出力に同期するようにして、蓄積されたビデオ信号の再生出力タイミングを制御することで解消するようにしている。
つまり、本発明によっては、時間的連続性を有する複数情報を異なる伝送路を介して再生出力するのにあたり、例えば、少なくとも一方については、一時的な伝送系の障害にかかわらず、途切れの無い再生出力が可能とされたうえで、複数の情報間での再生出力タイミングの同期も適正となるようにされるものである。これにより、例えば、ホームシアターといわれるAVシステムを構築するのにあたり、ユーザにとって有益な機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としてのAVシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態としてのビデオ信号及びオーディオ信号の再生出力のための処理タイミング例を示す説明図である。
【図3】ビデオ信号の再生出力開始タイミングを、オーディオ信号に同期させるためのアダプタ装置とワイヤレススピーカ装置との間での通信処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 AV再生装置、2 アダプタ装置、3 ディスプレイ部、4 ワイヤレススピーカ装置、11 メモリ部、12 出力部、13 送信部、14 コントローラ、15 送受信部、21 受信部、22 メモリ部、23 信号処理部、24 スピーカ、25 コントローラ、26 送受信部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばオーディオ情報とビデオ情報とから成る時間的連続性を有するコンテンツ情報を音声、画像として再生出力するのにあたり、例えば少なくともオーディオ情報については、情報伝送が途切れる可能性の高いとされるような伝送路により送受信する送信装置及び受信装置から成る送受信システムに関する。また、このような送受信システムを構成する送信装置としての機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、いわゆるホームシアターを設置することが普及してきている。このようなホームシアターは、例えば近年であれば、映像作品が記録されるDVDなどのメディアを再生する再生装置と、この再生装置により再生されるビデオ信号、音声信号をそれぞれ画像、音声として出力する、ディスプレイ装置、及びスピーカ装置などから成る。この場合において、再生装置側から出力されるビデオ信号はディスプレイ装置に入力させ、音声信号はスピーカ装置に入力させることになるので、ビデオ信号と音声信号とでは、それぞれ、異なる伝送路を用いることになる。
【0003】
そして、このような場合において、ビデオ信号と音声信号の伝送路の方式が互いに異なるものであり、かつ、一方の伝送路の方式が、比較的伝送条件が不安定であるような状況を考えてみる。
このような状況の代表的な例として、ビデオ信号の伝送は有線であることとし、音声信号の伝送は無線により行う場合を考えることができる。例えばホームシアターとして少なくとも音声信号については無線により伝送するようにすれば、その分、室内にスピーカケーブルを設置する必要が無くなり、また、スピーカ装置の設置の自由度も高くなる。
【0004】
但し、無線伝送は、有線と比較した場合、通信環境などに応じて伝送条件が比較的著しく変化するので、伝送が途切れる可能性を排除することはできない。例として赤外線による無線伝送の場合であれば、送信側と受信側の間に、障害物が存在することで赤外線の送受信が妨げられ、これにより、伝送が途切れる場合が生じ得る。また、電波による無線伝送においても、何らかの要因によって電波にノイズが重畳したり、弱電界となったような場合に、伝送が途切れる可能性が出てくるものである。
【0005】
ここで、上記した場合において、無線伝送される音声信号は、時間的連続性を有する情報であるから、伝送が途切れた場合には、実際に再生出力される音声も途切れることとなって好ましくない。
【0006】
そこで、例えば音声信号や映像信号のようにして、時間的連続性を有する情報を無線伝送するのにあたり、一時的に伝送が途切れたとしても、受信側では時間的連続性を有する情報が得られるように構成したものが知られている(特許文献1参照)。
これは、例えば、送信装置側において、送信している映像データが受信装置側で受信されていないことを認識した場合には、この受信装置側で受信されなかったとされる映像データのデータ部分を記憶保存しておくようにする。そして、その後において、受信装置との通信が可能な状態に復帰した後に、送信装置側で、実時間で送信するデータと共に、受信装置側で受信されなかったデータを送信するようにされる。受信装置側では、このようにして送信されてくる映像データを、先ずは記憶装置に保存するようにされるが、ここに保存された映像データは、そのままでは時間軸に従ったものとはなっていない。そこで、受信装置側では、受信した映像データを時間軸上に組み立てるようにして再構築し、記憶装置に再保存する。これにより、受信装置側では、受信した映像データを記憶装置から読み出して時間順に再生することが可能になる。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−112341号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば上記したようなホームシアターでは、再生装置で再生されたコンテンツの映像、音声信号をリアルタイムに再生出力することが求められる。しかしながら、上記した構成では、受信装置側で受信した映像信号をリアルタイムで再生出力しようとした場合には、伝送が途切れている時間に対応する映像の再生は行えないことになる。
つまり、ホームシアターの場合のようにして、コンテンツの映像、音声信号をリアルタイムに再生出力する場合において、伝送が途切れた状況でも、映像又は音声信号の連続した再生出力を維持することが要求されるものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、送受信システムとして次のように構成する。
本発明の送受信システムは、送信装置と受信装置とから成るものとされる。
そして上記送信装置は、時間的連続性を有する第1の情報を所定の第1の伝送路を経由して送信出力する送信手段と、第1の情報の再生出力タイミングに同期して再生出力させるべき、時間的連続性を有する第2の情報を蓄積する送信側情報蓄積手段と、この送信側情報蓄積手段に蓄積されている第2の情報を読み出して、所定の出力態様により再生出力するための再生出力装置に対して、所定の第2の伝送路を経由して出力する出力手段とを備える。
また、上記受信装置は、送信装置から送信された第1の情報を受信する受信手段と、この受信手段により受信された第1の情報を一時蓄積する受信側情報蓄積手段と、この受信側情報蓄積手段から出力される第1の情報を所定の出力態様により再生出力する再生出力手段とを備える。
そして、さらに、上記送信装置及び/又は受信装置は、第1の情報が再生出力手段により再生出力されるタイミングに同期するようにして、上記送信側情報蓄積手段に蓄積されている第2の情報の読み出しタイミングを制御する制御手段を備えることとした。
【0010】
また、送信装置としては、時間的連続性を有する第1の情報を、この第1の情報を受信して一時蓄積した後に所定の出力態様によって再生出力する受信装置に対して、所定の第1の伝送路を経由して送信出力する送信手段と、第1の情報の再生出力タイミングに同期して再生出力させるべき、時間的連続性を有する第2の情報を蓄積する情報蓄積手段と、受信装置による第1の情報の再生出力タイミングに同期するようにして、情報蓄積手段に蓄積されている第2の情報の読み出しタイミングを制御して、この第2の情報を所定の出力態様により再生出力するための再生出力装置に対して、所定の第2の伝送路を経由して出力させる出力制御手段とを備えて構成することとした。
【0011】
上記各構成によると、送信装置側からは、時間的に連続し、かつ、同期した再生タイミングにより再生出力されるべき第1の情報と第2の情報とを、それぞれ異なる第1の伝送路と第2の伝送路とによって出力するようにされる。また、受信装置側では、第1の伝送路を経由して受信した第1の情報を一時蓄積した上で、再生出力するようにされる。これにより、第1の伝送路の伝送が途切れたとしても、受信装置側で蓄積されている第1の情報が無くならないうちに伝送可能な状態に復帰しさえすれば、時間的連続性を保って途切れが無いようにして第1の情報の再生出力を行うことが可能となる。
但し、受信装置側で第1の情報を蓄積するためには、必然的に、第1の情報の受信開始時から必要量の第1の情報が蓄積された後に、再生出力を開始することになる。従って、受信装置による第1の情報の受信時から再生出力時までの間には、タイムラグが生じる。
そこで、本発明では、送信装置側で第2の情報を蓄積するようにしており、受信装置側における再生出力タイミングに同期するようにして、この蓄積された第2の情報の読み出しタイミングを制御して、第2の伝送路により出力させることとしている。
このようにして、本発明では、時間的連続性を保って途切れが無いようにして第1の情報の再生出力を行うことと、これにより生じる、第1の情報と第2の情報の再生出力タイミングの同期のずれを解消することしている。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1のブロック図は、本発明としての情報通信システムが適用される、AVシステムの構成例を示している。このAVシステムは、いわゆるホームシアターとしてのシステムを構築する。
この図に示すようにして、本実施の形態のAVシステムは、AV再生装置1、アダプタ装置2、ディスプレイ部3、及びワイヤレススピーカ装置4とから成る。
AV再生装置1は、具体的には映画などをはじめとした映像/音声から成るコンテンツが記録された所定のメディアについての再生が可能とされる再生装置である。本実施の形態において、このような再生装置としての機器の種類については特に限定しないが、例えば、代表的なものとしては、DVDプレーヤ、VTRなどを挙げることができる。あるいは、テレビジョン放送を受信復調する受信装置などとすることもできる。さらには、ハードディスクを備えて、このハードディスクに対して映像/音声から成るコンテンツの記録再生を行うことのできる、いわゆるホームサーバなどとされてもよい。
【0013】
このAV再生装置1では、例えばメディアからコンテンツとしてのデータを再生して所要のデコード処理を施し、最終的には、ビデオ信号とオーディオ信号とをそれぞれ独立して出力できるようになっている。また、この場合において、AV再生装置1から出力されるビデオ信号及びオーディオ信号は、それぞれデジタル信号であり、互いの再生出力タイミングとして同期している状態で出力されているものである。
AV再生装置1から出力されるビデオ信号及びオーディオ信号は、アダプタ装置2に対して入力される。
この場合の構成において、AV再生装置1におけるコンテンツ(ビデオ信号及びオーディオ信号)の再生速度としては、通常の1倍速であってもよいし、1倍速以上の所定倍速度とされてもよい。
【0014】
アダプタ装置2において、AV再生装置1から入力されたビデオ信号及びオーディオ信号は、この場合には、共にメモリ部11に入力される。
この場合のメモリ部11は、例えばビデオ信号としてのデータを、数秒から数十秒程度蓄積するのに足る記憶容量を有するメモリ装置を備えて成る。ビデオ信号のデータレートはオーディ信号と比較して非常に高く、それだけデータ容量も大きいことから、例えば現状においては、比較的大容量を得ることが容易なハードディスク(HDD)をメモリ装置として備えることが考えられる。また、半導体メモリ素子をメモリ部11のメモリ装置として設けることも当然考えられるものである。
【0015】
メモリ部11においては、コントローラ14による書き込み/読み出しタイミングの制御によって、入力されたビデオ信号及びオーディオ信号が、一時蓄積される。なお、この蓄積時間は後述するようにして、ビデオ信号及びオーディオ信号とで異なるものとなる。
また、本実施の形態の目的上、オーディオ信号については、図において破線で示すようにしてメモリ部11を経由せずに直接、送信部13に入力させるようにしても構わない。この場合には、オーディオ信号を送信する送信部13において、オーディオ信号の一時的な伝送の途切れに対応してデータを一時蓄積するに足る容量のバッファを設ければよい。
【0016】
メモリ部11において一時蓄積されたビデオ信号は、上記のようにしてコントローラ14の制御によって読み出しが行われ、出力部12に対して入力される。この場合においては、メモリ部11からのビデオ信号の出力は、通常の1倍速により行われるものとされる。つまり、メモリ部11からビデオ信号を読み出すのにあたっては、通常の1倍速としてのデータレートが維持されるようにして、メモリ部11からのビデオ信号読み出しのための読出アドレスのインクリメントが行われるように、コントローラ14が読み出し制御を実行する。
【0017】
出力部12では、例えば必要に応じて、メモリ部11から出力されたビデオ信号について、ディスプレイ部3が対応する入力信号形式に変換して、ディスプレイ部3に対して出力する。
ここで、ディスプレイ部3に対して出力されるビデオ信号は、メモリ部11に対する読み出しタイミング制御及び出力部12における信号処理によって、時間的連続性が与えられており、データに途切れがないようにして出力されるものとなる。これにより、ディスプレイ部3では、入力されたビデオ信号について、画像の途切れが無いようにして、表示出力することになる。
また、この場合において、出力部12からディスプレイ部3へのビデオ信号出力は、有線による伝送であることとしている。
【0018】
また、メモリ部11において一時蓄積されたオーディオ信号は、コントローラ14の制御によって、通常の1倍速よりも高速とされる所定倍速度に対応した転送速度により、連続的、又は間欠的に送信部13に対して出力される。この場合のコントローラ14は、上記した所定倍速度としてのデータレートが得られるようにして、メモリ部11からのオーディオ信号読み出しのための読出アドレスのインクリメントを実行することになる。
【0019】
この場合、送信部13は、入力されたオーディオ信号について、所定の無線通信方式に従った、キャリア変調等のエンコード処理を施すようにされる。また、無線通信方式がパケット通信の方式を採るものであれば、パケット化などの処理も施される。そして、無線送信のためのエンコード処理が施されたオーディオ信号を外部のワイヤレススピーカ装置4に対して送信出力する。つまり、アダプタ装置側(再生装置側)とワイヤレススピーカ装置4側とのオーディオ信号の伝送路は、無線によるものとなる。
なお、送信部13が対応すべき無線通信方式としては、ここでは特に限定されるべきものではないが、赤外線による無線通信方式を採用することが考えられる。また、電波による無線通信方式として、例えばFM波をキャリアとして利用した通信や、Bluetoothなどを考えることができる。
【0020】
コントローラ14は、例えばマイクロコンピュータ等から成り、アダプタ装置2としての動作が適正に実行されるように所要の制御処理を実行する。例えば、前述もしたように、メモリ部14に対する書き込み、読み出し制御を実行する。また、必要に応じて、出力部12,送信部13に対する制御を実行する。
【0021】
コントローラ14には、送受信部15が接続されている。
この送受信部15は、後述するワイヤレススピーカ装置4の送受信部26と、データの送受信を無線により行うために設けられる。ただし、ここで送受信されるデータは、例えばアダプタ装置2のコントローラ14と、ワイヤレススピーカ装置4のコントローラ25との間で授受すべきコマンド等の各種制御情報となる。従って、この送受信部15(及び送受信部26)が対応する無線通信方式としては、コマンドの送受信が適正に実行できる程度の通信速度が得られればよいものとされる。従って、例えばオーディオ信号を送受信するための伝送路の無線通信方式と比較すれば、より低速で簡易な無線通信方式を採用できる。
【0022】
ワイヤレススピーカ装置4では、アダプタ装置2の送信部13から無線送信されたオーディオ信号を受信部21により受信復調して、オーディオ信号としてのデジタル信号を抽出する。
このオーディオ信号は、コントローラ25の書き込み/読み出し制御によってメモリ部22に書き込みが行われる。ここで、アダプタ装置2側では、オーディオ信号を所定倍速度によりメモリ部11から読み出して送信部13により送信している。これに対応して、ワイヤレススピーカ装置4の送受信部26により受信復調したオーディオ信号のメモリ部22への書き込みも、上記メモリ部11からの読み出し時と同じデータレートにより実行するようにされる。そして、メモリ部22からのオーディオ信号の読み出しは、通常の1倍速により実行するようにされる。
このようにして、メモリ部22に対するオーディオ信号の書き込み速度が、読み出し速度よりも高くなっていることで、メモリ部22においては、オーディオ信号のデータが蓄積される状態が得られることになる。つまり、メモリ部22は、オーディオ信号を一時蓄積して出力するためのバッファとして機能している。そして、メモリ部22に一時蓄積されたオーディオ信号は、信号処理部23に対して出力される。なお、メモリ部22に対する読み出しは、上記もしているように通常1倍速に対応している。また、オーディオ信号が連続的に出力されるように読出アドレスをインクリメントしていくようにされる。これにより、メモリ部22から読み出されるオーディオ信号は、メモリ部22がアンダーフロー(又はオーバーフロー)しない限り、通常の1倍速により、時間的連続性が保たれるようにして出力される。
【0023】
信号処理部23では、入力されたオーディオ信号について、D/A変換を実行するとともに、必要に応じて所定段階でイコライジング処理、ボリューム調整、増幅処理などを行い、最終的にスピーカ24を駆動可能な音声信号を出力する。スピーカ24では、この音声信号を入力して音声として再生出力することになる。
【0024】
ここで、アダプタ装置2における送信部13と、ワイヤレススピーカ装置4における受信部21との間で正常に通信を行っていた途中で、オーディオ信号の無線伝送が、何らかの障害要因によって不安定となって途切れ、受信部21側において、オーディオ信号の受信も途切れたとする。
受信部21にて無線伝送が適正に行われているのか、或いは途切れたのかについては、例えばワイヤレススピーカ装置4側のコントローラ24が、受信部21におけるデータの受信状況、又は、メモリ部22におけるデータの蓄積状況を監視することで、判定することができる。
そして、ワイヤレススピーカ装置4側のコントローラ24がオーディオ信号の受信が途切れたことを判定した場合、例えば送受信部26を利用して、ステイタスとして、無線伝送が途切れたことを、そのときの受信データ位置の情報と共に送信するようにされる。
また、コントローラ24が途切れていた無線伝送が回復したことを判定した場合には、無線伝送が回復したことを、上記と同様にして、送受信部26を利用して、ステイタスとして送信するようにされる。
【0025】
アダプタ装置2側では、上記したステイタスを送受信部15により受信し、コントローラ14が認識するようにされる。そして、無線伝送が途切れたことを認識した場合には、一旦、オーディオ信号の無線伝送を停止する。このとき、AV再生装置1から入力されてくるオーディオ信号は、メモリ部11にて蓄積されるようにして保持されることになるので、オーディオ信号の無線伝送の停止期間に対応する実時間のオーディオデータが欠落することはないようにされる。
そして、この後において、ステイタスとして、無線伝送が復帰したことを認識すると、先の無線伝送が途切れたことによって受信が途切れたとされるオーディオ信号の位置から、オーディオ信号の送信を再開させることになる。
【0026】
ここで、上記のようにして、オーディオ信号の無線伝送が不安定となって途切れたことで、受信部21側においてオーディオ信号の受信が途切れたとき、ワイヤレススピーカ装置4のメモリ部22においては、これまで受信して書き込まれたオーディオ信号のデータのうち、未だ読み出しが行われていないデータが蓄積されて残っている状態にある。オーディオ信号の受信が途切れて、メモリ部22に対してオーディオ信号のデータが書き込まれない期間においては、このメモリ部22に蓄積されているオーディオ信号のデータが読み出され、信号処理部23に供給されることになる。従って、オーディオ信号の受信が途切れている期間であっても、読み出しが行われていないデータが蓄積されて残っている限りは、時間的連続性を保って、オーディオ信号を音声として再生出力することができることになる。
そして、メモリ部22において読み出しが行われていないデータが残っているうちに、無線伝送が復帰して、オーディオ信号の受信が再開されてメモリ部22に蓄積されることとなれば、以降においても、途切れのない音声再生出力が行われることとなる。
【0027】
つまり、ワイヤレススピーカ装置4におけるメモリ部22としてのバッファ機能は、不安定性がつきまとう無線伝送による伝送の途切れが、或る程度の時間にわたって生じたとしても、時間的連続性を保ったオーディオ信号の出力を可能とすることを目的として与えられるものである。
【0028】
ここで、メモリ部22の記憶容量としては、実際のオーディオ信号の無線伝送方式(送信されるオーディオ信号のデータレートなどの条件もここに含まれる)に応じて想定される、一時的に生じる伝送途切れの継続時間の一般的な長さに対応するオーディオ信号の欠落時間(データ容量)を求め、このデータ容量を蓄積できるのに足る容量に基づいて決定するようにされればよい。
また、メモリ部22として備えるメモリ装置は、例えば、アダプタ装置2のメモリ部11と同様にHDDとされてもよいのであるが、オーディオ信号のデータレートは、ビデオ信号と比較すれば非常に低く、単位時間あたりの蓄積データ容量も少ない。従って、例えばDRAM、SRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子を備えるようにすることも考えられる。
【0029】
また、上記のようにして、メモリ部22にバッファ機能を与えるようにした場合には、実際には、メモリ部22におけるオーディオ信号としてのデータについてオーバーフローが生じないようするための処理も、送受信部15、26を使用した、コントローラ14、25間の通信により実行されるように構成される。
例えば、ワイヤレススピーカ装置4のコントローラ25は、メモリ部22におけるオーディオ信号のデータ蓄積量を監視するようにしており、そのデータ蓄積量が一定以上となった場合には、このことを通知するためのコマンドを送受信部26から送信出力させる。
アダプタ装置2のコントローラ14側では、送受信部15により受信した、上記通知のコマンドに応答して、メモリ部11からのオーディオ信号のデータ読み出し及び送信部13による送信出力を停止させる。
これにより、ワイヤレススピーカ装置4のメモリ部22では、オーディオ信号の書き込みが停止され、読み出しのみが実行されることになるので、メモリ部22におけるオーディオ信号のデータ蓄積量が減少していくことになる。そして、コントローラ25は、メモリ部22におけるデータ蓄積量が一定以下になったことを認識すると、このことを通知するコマンドを送信する。アダプタ装置2のコントローラ14では、このコマンドの受信に応じて、メモリ部11からのデータ読み出しを再開させる。
このようにして、アダプタ装置2からワイヤレススピーカ装置4へのオーディオ信号としてのデータの転送量を制御することで、メモリ部22に蓄積されるオーディオ信号としてのデータのオーバーフロー(及びアンダーフロー)が生じないように制御されるようになっている。
【0030】
ワイヤレススピーカ装置4のコントローラ25は、ワイヤレススピーカ装置4を構成する各部に対する制御を実行する。例えば、前述もしているように、メモリ部22におけるオーディオ信号としてのデータの書き込み/読み出し制御を実行する。また、信号処理部23におけるイコライジング、及びボリュームの設定を行う。また、送受信部26により各種コマンド等の送受信を実行するための制御処理も実行する。
例えば、この場合において、アダプタ装置側に操作部、若しくは、リモートコントローラとしての操作手段から送信される操作情報信号を受信する受信部を設けるようにして、これらの操作部又はリモートコントローラにより、例えば音質調整、音量調整などの操作が行えるようにする。そして、アダプタ装置2のコントローラ14では、音質調整、音量調整等の操作に応じた操作情報信号に応じて、送受信部15により、音質調整、音量調整等のコマンドを送信するようにされる。
ワイヤレススピーカ装置4では、これらのコマンドを送受信部26により受信してコントローラ25に転送する。コントローラ25では、転送されたコマンドに応じて信号処理部23におけるイコライジング設定、ボリューム設定を可変制御する。このようにして、ワイヤレススピーカ装置4から出力される音声を、ユーザ操作によりコントロールすることが可能に構成することができる。
【0031】
なお、上記図1に示したシステム構成は、あくまでも基本的な構成のみについて示しているものであり、実際には、このシステム構成を基に、各種の構成を考えることができる。
例えば1つには、1つのワイヤレススピーカ装置4がLRステレオ再生に対応しているものとして構成することができる。この場合には、L,Rチャンネルのオーディオ信号をワイヤレススピーカ装置4に送信することとして、ワイヤレススピーカ装置4ではL,Rチャンネルに対応する2つのスピーカ24を備えることとする。そして、信号処理部23によって1つのオーディオ信号のストリームから、L,Rチャンネルの各オーディオ信号を分離して出力し、2つのスピーカ24に出力させることで、ステレオ音声による再生を実現する。
【0032】
また、1つのアダプタ装置2に対してワイヤレススピーカ装置4が複数系統備えられる構成を採ることも考えられる。この場合には、例えば上記したようなステレオ音声再生を、L,Rの各チャンネルに対応する2系統のワイヤレススピーカ装置4により音声出力させることで実現することが可能である。さらには、例えば6系統のワイヤレススピーカ装置4を備えることで、5.1chサラウンドによる音声再生を実現することも可能とされる。
【0033】
上記もしているように、本実施の形態のAVシステムでは、先ず、AV再生装置1から再生されるコンテンツとしてのビデオ信号とオーディオ信号とをメモリ部22に対して一時蓄積し、それぞれを、出力部12及び送信部13を介して、ディスプレイ部3及びワイヤレススピーカ装置4に対して出力するようにしている。つまり、本実施の形態のAVシステムでは、AV再生装置1などのソース出力元から出力されるビデオ、オーディオ信号などの時間的連続性を有する信号を、リアルタイム的に再生するようにされた構成を採るものである。
そして、オーディオ信号については、無線伝送での一時的な伝送途切れの発生に対して、連続的な再生出力が行えるように、ワイヤレススピーカ装置4のメモリ部22において、再度一時蓄積された上で、音声としての出力が行われるようになっている。
【0034】
ここで、AV再生装置1から再生されるビデオ信号及びオーディオ信号は、同一コンテンツとして再生されるものであり、同期して出力される必要がある。しかしながら、上記した本実施の形態のシステム構成では、アダプタ装置2から無線により伝送されるオーディオ信号については、伝送途切れによる音切れを回避するためにワイヤレススピーカ装置4において一時蓄積が行われる。従って、仮に、アダプタ装置2のメモリ部11からビデオ信号とオーディオ信号を同期させた状態で出力開始させたとしても、ワイヤレススピーカ装置4のメモリ部22においてオーディオ信号のデータが一定量以上蓄積されるまでは、メモリ部22からのオーディオ信号のデータ読み出しが開始されない。つまり、このままでは、最終的にディスプレイ部3から出力される画像と、スピーカ24から出力される音声とで同期が得られていない状態となる。
【0035】
そこで本実施の形態では、このような不都合を回避するために、図2に示すようにして、オーディオ信号についての出力タイミングを制御することとしている。
図2においては、アダプタ装置2及びワイヤレススピーカ装置4における、ビデオ信号、オーディオ信号についての処理タイミングが示されている。
先ず、AV再生装置1から出力開始された同一コンテンツとしてのビデオ信号、オーディオ信号は、時点t1において同時にアダプタ装置2のメモリ部11に入力されて、ここでの蓄積が開始される。なお、確認のために述べておくと、ここでは、AV再生装置1から出力されるビデオ信号及びオーディオ信号は同期が得られているタイミングで同時出力されているものとする。
【0036】
この時点t1から一定時間経過した時点t2は、メモリ部11におけるオーディオ信号について読み出し出力が可能な程度に蓄積された状態が得られる時点とされる。そこで、この時点t2に至ると、アダプタ装置2では、コントローラ14の制御によって、メモリ部11に蓄積されているオーディオ信号のデータの先頭からの読み出しと、この読み出したオーディオ信号のデータを送信部13に転送する動作が開始される。これにより、時点t2以降からは、アダプタ装置2の送信部13から、ワイヤレススピーカ装置4に対するオーディオ信号の送信処理が開始されることになる。
これに応じて、ここでは時点t2から一定時間経過した時点t3において、ワイヤレススピーカ装置4にて受信復調したオーディオ信号のデータをメモリ部22に書き込んで蓄積させていく動作が開始される。この動作はコントローラ25により制御される。なお、時点t2から時点t3までの時間差は、ここでは、例えば送信部13、受信部21による送受信処理(変調・復調処理等)に要するタイムラグ等により生じるものであるとする。
【0037】
そして、時点t3から或る時間が経過したとされる時点t4において、メモリ部22におけるデータ蓄積量が一定以上になったとされると、ワイヤレススピーカ装置4側では、メモリ部22からオーディオ信号のデータの読み出しを開始して、信号処理部23に転送し、音声としての出力を開始させる。これに応じて、アダプタ装置2側においても、同じ時点t4から、時点t1からメモリ部11に蓄積させていたビデオ信号の読み出しをはじめて開始し、出力部12に転送することで、ディスプレイ部3における画像出力を開始させる。
【0038】
このようにして、本実施の形態では、コンテンツの再生を開始させるのにあたり、入力されたビデオ信号について、アダプタ装置2のメモリ部11に蓄積しておくようにしたうえで、ワイヤレススピーカ装置4のメモリ部22からのオーディオ信号の出力開始タイミングに一致させるようにして、メモリ部11からのビデオ信号のデータの読み出し/転送を開始させるようにしている。
これにより、同一コンテンツとしてのビデオ、オーディオ信号をリアルタイム的に再生するのにあたり、ワイヤレススピーカ装置4において伝送途切れのためにオーディオ信号のデータがメモリ部22にて蓄積されることに依るタイムラグの存在にかかわらず、ビデオ信号とオーディオ信号とについて画像/音声が同期するようにして再生出力することができる。
【0039】
ここで、図2の時点t4として示すようにして、ワイヤレススピーカ装置4におけるオーディオ信号の再生出力開始タイミング(メモリ部22からの読み出し開始タイミング)に、アダプタ装置2におけるメモリ部11の読み出し開始タイミングを一致させるためには、アダプタ装置2側が、ワイヤレススピーカ装置4におけるオーディオ信号の再生出力開始タイミングを知っている必要がある。
このための構成として、1つには、AV再生装置1からビデオ信号/オーディオ信号が入力開始されてからワイヤレススピーカ装置4におけるオーディオ信号の再生出力が開始されるまでの時間を、予め計測しておき、この計測した時間に基づいて、アダプタ装置2におけるメモリ部11からのビデオ信号の読み出しタイミングを決定するようにすることが考えられる。
つまり、アダプタ装置2からワイヤレススピーカ装置4との間での、オーディオ信号の無線伝送について一定以上のエラーは発生しないとして仮定した場合、アダプタ装置2に対してビデオ、オーディオ信号が入力開始された時点(図2の時点t1に相当)から、ワイヤレススピーカ装置4において音声として出力されるまでの時点(図2の時点t4に相当)までの時間長は、メモリ部11→送信部13→受信部21→メモリ部22→信号処理部23→スピーカ24までの系における蓄積時間、信号処理に要する時間などにより、一義的に求めることが可能となる。
そこで、コントローラ14のプログラムとして、アダプタ装置2にビデオ信号及びオーディオ信号が入力された時点から計時を開始して、上記時点t1〜時点t4に相当するとされる時間長に至ったら、所要のタイミングでメモリ部11からビデオ信号の読み出し及び出力部12への転送を開始させるように構成するものである。
この場合には、アダプタ装置2側のコントローラ14の簡易な制御処理として完結させることができるので、容易な設計により構成することが可能である。
【0040】
ただし、この構成では、上記もしているようにアダプタ装置2からワイヤレススピーカ装置4との間での、オーディオ信号の無線伝送について一定以上のエラーは発生しないことを前提としている。このため、アダプタ装置2に対してビデオ、オーディオ信号が入力開始される時点t1から、予め設定した時点t4としての計時時間内において、無線伝送が一時的に途切れて伝送のリトライが実行されたとすると、メモリ部22へのオーディオ信号のデータの蓄積量が一定以上となるまでの時間にも遅れが出る。従って、実際の時点t4も、設定された時間長よりも遅れることとなって、オーディオ信号とビデオ信号との再生開始時点にずれが生じ、同期して再生出力されないことになってしまう。
【0041】
そこで、このような不都合を回避するための構成としては、次のようにして、ワイヤレススピーカ装置4側が、アダプタ装置2側に対して、メモリ部11からのビデオ信号の読み出し開始タイミングを指示するように構成することが考えられる。
図3はこのような動作を実現するためのフローチャートを示している。この図においては、アダプタ装置2側の処理と、ワイヤレススピーカ装置4との処理が並列的に示されている。また、アダプタ装置2側では、これまでの説明から分かるように、コンテンツとして同時入力されるビデオ信号及びオーディオ信号についてのメモリ部11への書き込み/読み出し処理、及び外部への出力処理を実行するが、ここでは説明の便宜上、ビデオ信号を対象とした処理についてのみ示している。
【0042】
先ず、アダプタ装置2側の動作として、コントローラ14は、ステップS101の処理として、AV再生装置1側からのビデオ信号入力が開始されるのを待機している。そして、ビデオ信号入力が開始されたのであれば、ステップS102として示すように、入力されたビデオ信号のデータをメモリ部11に対して書き込んでいくための書き込み制御を開始する。以降においては、入力されたビデオ信号がメモリ部11に対して書き込まれていくことになる。
また、この段階においては未だ、メモリ部11からのビデオ信号の読み出しは開始されないのであるが、コントローラ14では、上記のようにして、メモリ部11に対するビデオ信号の書き込みを開始させると、次のステップS103により、ワイヤレススピーカ装置4側から送信される読み出し開始コマンドの受信を待機するようにされる。
なお、上記ステップS103までの処理と併行して、実際には、ビデオ信号と同時に入力されるオーディオ信号をメモリ部11に一時蓄積したうえで、送信部13によりワイヤレススピーカ装置4に対して送信するための処理も実行されているものである。
【0043】
ワイヤレススピーカ装置4のコントローラ25は、先ずステップS201としての処理により、アダプタ装置2側から送信されてくるオーディオ信号の受信が開始されるのを待機している。そして、オーディオ信号の受信が開始されたのであれば、ステップS202の処理により、受信されたオーディオ信号をメモリ部22に対して書き込むための制御を開始する。
【0044】
上記のようにして、メモリ部22へのオーディオ信号の書き込みが開始された後においては、ステップS203において、メモリ部22におけるオーディオ信号のデータ蓄積量を監視することにより、このデータ蓄積量がオーディオ信号のデータの読み出しを開始するのに充分とされる一定以上となることを待機するようにされる。
そして、メモリ部22におけるオーディオ信号のデータ蓄積量が一定以上となってステップS203において肯定結果が得られると、次のステップS204により、アダプタ装置2側でのメモリ部11からのビデオ信号の読み出し開始を指示するための読み出し開始コマンドを発生させ、送受信部26を介して送信出力する。
また、ステップS203にて肯定結果が得られた場合、上記ステップS204の処理と共に、次のステップS205の処理として示すように、コントローラ25は、メモリ部22からオーディオ信号のデータを読み出して、信号処理部23に転送するための制御を開始する。
【0045】
上記ステップS204により送信された読み出し開始コマンドは、アダプタ装置2の送受信部15により受信され、これに応じて、アダプタ装置2のコントローラ14は、ステップS103において肯定結果が得られることとなってステップS104に進む。
ステップS104では、メモリ部11から所要のタイミングで、これまでメモリ部11に蓄積されていたビデオ信号の先頭から読み出して、出力部12に転送するための制御を開始する。
【0046】
ここで、上記ステップS104の処理は、ステップ103による読み出し開始コマンドの受信に応答して所要タイミングで実行される。そして、読み出し開始コマンドが受信されたということは、ワイヤレススピーカ装置4側でメモリ部22におけるオーディオ信号のデータ蓄積量が一定以上となり、ワイヤレススピーカ装置4では、メモリ部22に蓄積されたオーディオ信号の再生出力を開始させるべきタイミングに至っていることを意味することになる。
従って、例えばステップS203にて肯定結果が得られるまでにおいて、無線伝送の途切れが生じて伝送のリトライが行われたような場合であっても、上記ステップS104としての処理開始タイミングは、常に、ステップS205の処理タイミングと一致させることができる。この結果、ディスプレイ部3からの画像の再生出力開始時点と、スピーカ24からの音声の再生出力開始時点とを同時タイミングとすることが可能となる。つまり、AV再生装置1から出力されたコンテンツとしてのビデオ信号及びオーディオ信号をリアルタイム的に再生出力するのにあたり、ビデオ信号及びオーディオ信号を同期再生することが可能とされるものである。
【0047】
ところで、図1に示したシステムにおいては、ホームシアターを構築するAVシステムの構成として、AV再生装置1と、メモリ部11を備えるアダプタ装置2とがそれぞれ別体の機器であるとされている。
しかしながら、近年においては、AV機器として、例えばDVDプレーヤやテレビジョン放送対応のチューナなどとHDDなどの大容量のストレージデバイスを一体化する傾向となってきている。このようなAV機器では、DVDプレーヤやチューナにより再生、受信したコンテンツとしてのビデオ、オーディオ信号をHDDに記憶させて保存可能なように構成される。
このようなことを背景として、本実施の形態のAVシステムとしては、AV再生部(或いはテレビジョン放送チューナ部)に対してHDDなどのストレージデバイスを備えたAV機器を構成した上で、このストレージデバイスをメモリ部11として機能させることで、アダプタ装置2としての機能も与えたAV機器を備えるようにすることも考えられる。つまり、図1の場合であれば、AV再生装置1とアダプタ装置2とを一体化した構成を採るようにする。
このような構成であれば、図1におけるメモリ部11については、AV機器に内蔵されるHDDなどのストレージデバイスを流用すればよいことになるので、大幅なコストアップを避けた上で、本実施の形態としてのAVシステムを構築する機器を提供できることになる。
【0048】
また、上記のようにしてAV再生装置1とアダプタ装置2とを一体化したような構成では、メモリ部11としてのHDDには、AV再生部(或いはテレビジョン放送チューナ部)により再生したAVコンテンツが保存される。従って、このHDDに保存されているコンテンツを再生して、画像、音声として出力する場合にも本実施の形態としての同期再生のための構成が適用される。
この場合には、先ず、HDDからコンテンツとしてのオーディオ信号を再生してワイヤレススピーカ装置4に対して送信出力する。そして、ワイヤレススピーカ装置4側で、オーディオ信号をスピーカ24から再生出力開始するタイミングに一致させるようにして、HDDからのビデオ信号の読み出しを開始させるようにされる。
また、上記した構成は、AVコンテンツが記録されているメディアからのビデオ信号、オーディオ信号の各読み出しタイミングをコントロールすることにより、ワイヤレススピーカ装置4側でのオーディオ信号の再生出力タイミングに、ビデオ信号の再生出力タイミングを一致させているということがいえる。そして、この場合においては、メディアに対する読み出し動作タイミングを積極的に変更させてオーディオ信号とビデオ信号の同期を取るようにされるのであるから、メディアを再生するドライブがメモリ部11として機能しているという事が言える。この場合には、実際の回路構成として、メモリ部11に相当する記憶装置を省略することが可能になる。また、このようにして、メモリ部11として機能するメディアドライブとしては、HDDだけではなく、例えば各種のディスクメディア、半導体メモリ素子によるメディアに対応するドライブなど各種考えられる。
【0049】
なお、本発明としては、これまでに説明した実施の形態としての構成に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、第1の情報であるオーディオ信号の伝送路(第1の伝送路)を無線としているが、有線であってもよいものとされる。つまり、本発明としては、第1の情報を送信する第1の伝送路としては、無線/有線にかかわらず、この第1の伝送路の伝送条件があまり良好でないような場合に、有用な効果が得られるようにされているものである。
また、上記実施の形態では、第2の情報であるビデオ信号を伝送する第2の伝送路としては有線であることとしているが、これは、第1の伝送路との明確な比較が行えるように、無線に対して対照的な有線を例示しているに過ぎない。従って、第2の伝送路としても、有線/無線は問わないものである。
また、この第2の伝送路により伝送される第2の情報(つまりビデオ信号)についても、再生元(例えばAV再生装置1側)からの入力から、再生出力するまでの系において、伝送途切れ対策のためのバッファリングが行われるようにしたうえで、第1の情報と第2の情報との間での同期再生出力が行われるように、再生出力開始タイミングが制御されるように構成されてよいものである。
また、実際に適用される伝送路に応じては、本発明としての第1の情報をビデオ信号とし、第2の情報をオーディオ信号として、実施の形態とは逆の関係として構成することも考えられる。
【0050】
さらに、前述もしたように、図1のAVシステムとしては、ビデオ信号に対して、複数系統のワイヤレススピーカ装置4が設けられてもよい。つまり、例えば1つの第2の伝送路に対して、複数系統の第1の伝送路が設けられたうえで、これらの伝送路から再生出力される全てのビデオ信号、オーディオ信号について、再生出力の同期が図られるようにして良い。さらには、第2の伝送路としても複数系統が備えられた構成も考えられる。
【0051】
また、上記実施の形態では、再生出力を同期させるべき情報種別として、ビデオ信号及びオーディオ信号としているが、これ以外にも、時間的連続性が要求され、かつ同期再生が要求される複数の情報を、異なる信号再生系より再生出力する場合に、本発明を適用することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したようにして、本発明では、同期して再生出力させるべきビデオ信号(第2の情報)とオーディオ信号(第1の情報)とについて、それぞれ異なる伝送路により伝送して再生出力させる場合において、少なくともオーディオ信号については、再生出力までの系において、伝送途切れ対策のための一時蓄積が行われるようにされる。
これにより、例えばオーディオ信号を伝送する伝送路の伝送条件が不安定で、伝送が途中で途切れやすいことが想定されるような場合でも、時間的連続性を維持して途切れが無いようにして再生出力が可能となる。
ただし、オーディオ信号を一時蓄積することによって、ビデオ信号との再生同期のずれが生じるが、この同期のずれは、ビデオ信号についても一時蓄積を行い、上記オーディオ信号の再生出力に同期するようにして、蓄積されたビデオ信号の再生出力タイミングを制御することで解消するようにしている。
つまり、本発明によっては、時間的連続性を有する複数情報を異なる伝送路を介して再生出力するのにあたり、例えば、少なくとも一方については、一時的な伝送系の障害にかかわらず、途切れの無い再生出力が可能とされたうえで、複数の情報間での再生出力タイミングの同期も適正となるようにされるものである。これにより、例えば、ホームシアターといわれるAVシステムを構築するのにあたり、ユーザにとって有益な機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としてのAVシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態としてのビデオ信号及びオーディオ信号の再生出力のための処理タイミング例を示す説明図である。
【図3】ビデオ信号の再生出力開始タイミングを、オーディオ信号に同期させるためのアダプタ装置とワイヤレススピーカ装置との間での通信処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 AV再生装置、2 アダプタ装置、3 ディスプレイ部、4 ワイヤレススピーカ装置、11 メモリ部、12 出力部、13 送信部、14 コントローラ、15 送受信部、21 受信部、22 メモリ部、23 信号処理部、24 スピーカ、25 コントローラ、26 送受信部
Claims (2)
- 送信装置と、受信装置とから成り、
上記送信装置は、
時間的連続性を有する第1の情報を所定の第1の伝送路を経由して送信出力する送信手段と、
上記第1の情報の再生出力タイミングに同期して再生出力させるべき、時間的連続性を有する第2の情報を蓄積する送信側情報蓄積手段と、
上記送信側情報蓄積手段に蓄積されている第2の情報を読み出して、所定の出力態様により再生出力するための再生出力装置に対して、所定の第2の伝送路を経由して出力する出力手段とを備え、
上記受信装置は、
上記送信装置から送信された第1の情報を受信する受信手段と、
上記受信手段により受信された第1の情報を一時蓄積する受信側情報蓄積手段と、
上記受信側情報蓄積手段から出力される第1の情報を所定の出力態様により再生出力する再生出力手段とを備え、
さらに、上記送信装置及び/又は受信装置は、上記第1の情報が上記再生出力手段により再生出力されるタイミングに同期するようにして、上記送信側情報蓄積手段に蓄積されている第2の情報の読み出しタイミングを制御する制御手段を備える、ことを特徴とする送受信システム。 - 時間的連続性を有する第1の情報を、この第1の情報を受信して一時蓄積した後に所定の出力態様によって再生出力する受信装置に対して、所定の第1の伝送路を経由して送信出力する送信手段と、
上記第1の情報の再生出力タイミングに同期して再生出力させるべき、時間的連続性を有する第2の情報を蓄積する情報蓄積手段と、
上記受信装置による上記第1の情報の再生出力タイミングに同期するようにして、上記情報蓄積手段に蓄積されている第2の情報の読み出しタイミングを制御して、この第2の情報を所定の出力態様により再生出力するための再生出力装置に対して、所定の第2の伝送路を経由して出力させる出力制御手段と、を備えることを特徴とする送信装置。
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