JP2004260097A - 半導体熱処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のバームクーヘン型に配置された誘導加熱コイル16をゾーン単位に配置して加熱冷却を行う半導体熱処理方法において、前記半導体ウェハ10を冷却する時、ゾーン単位に前記半導体ウェハ10の表面温度分布を直接又は間接に図示しないパイロメータで計測する。ゾーン単位に温度分布が異なる領域を検出することにより、温度制御を必要とする個所に該当する誘導加熱コイル16への投入電力を制御して、半導体ウェハ10の温度分布を均一に保ちつつ冷却をすることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体熱処理方法に係り、特に、半導体を加熱後に冷却を行う際の半導体熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に半導体ウェハの熱処理を行う場合、スリップが生じることを防ぐために、半導体ウェハの温度分布の均一化を図る。その際、加熱時に生じる温度変化を制御して温度分布の均一化を図るという発明は多数存在するが、加熱時に比べ温度変化が遅い冷却時の温度を制御する事に関しては軽視されがちであり、あまり取り上げられていない。
【0003】
例えば、昇温時に半導体ウェハの温度分布を均一化させる目的のものとして、サセプタの温度分布を均一化させて行うようにした発明が特許文献1に挙げられている。
【0004】
その構造は、2層の円板とその間を繋ぐ円筒とから成るサセプタである。前記サセプタは、底板となる円板にタングステンやモリブデン等からなる導電性ペーストをパターン印刷して抵抗発熱体としている。また、上下の円板の間は空洞となっているため、当該空洞には、水銀等の液体金属や、錫、亜鉛等の低融点金属を封入している。
【0005】
上記のようなサセプタでは、上部の円板の表面に半導体ウェハを配置する。前記半導体ウェハを配置後、印刷された抵抗発熱体に電力を投入して加熱状態にする。前記加熱により空洞内に封入された低融点金属は溶解し、空洞内で対流を始める。前記対流により前記低融点金属は、均熱化がなされる。半導体ウェハを配置した上部の円板は、前記均熱化された低融点金属により加熱されるため、温度分布が均一になるというものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−214488号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようなサセプタでは、半導体ウェハの急速加熱及び冷却は不可能であり、そうした場合に温度分布の均一化を図ることは困難である。なお、空洞内に低融点金属を封入した場合には、固体時と液体時の体積に差が生じるため、サセプタ自体に歪が生じてしまう可能性がある。
本発明では、上記問題点を解決し、半導体ウェハを急速に冷却した場合であっても当該半導体ウェハ内の温度分布を均一化させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る半導体熱処理方法では、複数の誘導加熱コイルをゾーン単位に配置して加熱冷却を行う半導体熱処理方法において、前記半導体ウェハ冷却時におけるゾーン単位の表面温度分布を直接又は間接に計測し、ゾーン単位に温度分布が異なる領域を検出することにより、誘導加熱コイルへの投入電力の制御を行って半導体ウェハの温度分布を均一に保ちつつ冷却をすることを特徴とする。
【0009】
また、前記誘導加熱コイルへの投入電力の制御は、温度分布の規定値を定め、温度分布が前記規定値の範囲内となるように制御することが望ましい。さらに、前記規定値は、降温速度の最も遅い箇所を基準に定めるようにすると良い。
【0010】
また、複数の誘導加熱コイルを同時に制御しようとした場合、一般的に相互誘導の作用の影響で精密な制御はできなくなってしまう。本実施形態では、相互誘導により発生する誘導起電力を、検知・調整可能なインバータを各誘導加熱コイルに備えることにより、複数の誘導加熱コイルのゾーン毎の制御を可能にしている。
【0011】
【作用】
上記のように、半導体ウェハ冷却時におけるゾーン単位の表面温度分布を直接又は間接に計測し、ゾーン単位に温度分布が異なる領域を検出することにより、誘導加熱コイルへの投入電力の制御を行って半導体ウェハの温度分布を均一に保ちつつ冷却をするようにしたことにより、半導体ウェハ内で極端に温度が相違する箇所が出現することを防ぐことができ、冷却過程での半導体ウェハ内の温度分布を均一に保つことができ、スリップや割れの発生を防止することができる。
【0012】
また、前記誘導加熱コイルへの投入電力の制御を、温度分布の規定値を定め、温度分布が前記規定値の範囲内となるように制御するようにすることにより、温度分布の均一性の精密度を任意に選択することができる。
【0013】
さらに、前記規定値は、降温速度の最も遅い箇所を基準に定めるようにすることにより、降温速度が速い箇所を基準とした場合一部を冷却する必要がでてくるが、この場合は、全体の温度を低下させながら調整することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る半導体熱処理方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は第1の実施例であり、枚葉式コールドウォール型の半導体熱処理装置に利用した場合の例を示す図である。
【0015】
図1に示す装置は、真空チャンバ18内に半導体ウェハ10を水平に装填する方式の半導体熱処理装置である。前記真空チャンバ18の上部には、石英製の蓋12が備えられ、前記真空チャンバ18を密閉する役割を果たすようにしている。また、前記蓋12の上側には、前記半導体ウェハ10を輻射加熱するサセプタ14が備えられている。さらに、前記サセプタ14の上側には、当該サセプタ14を誘導加熱するバームクーヘン型の誘導加熱コイル16が複数、同心円状に近接して配置されている。なお、図示しないが、前記サセプタ14と誘導加熱コイル16との間には断熱材が備えられるものとする。
【0016】
また、配置される複数の誘導加熱コイル16は、そのままでは相互誘導作用によって各誘導加熱コイル16を正確に電力制御できなくなってしまう。そこで、発生する相互誘導起電力を検知し、図示しないインバータの制御により投入電力の調整をするようにして前記相互誘導起電力を回避し、各誘導加熱コイル16のゾーンコントロールを行うことができるように構成すれば良い。
【0017】
上記のようにゾーンコントロールが可能な誘導加熱コイル16を備えた半導体熱処理装置であれば、半導体ウェハ10を加熱処理した後、冷却ガス等により前記半導体ウェハ10を冷却する際急速冷却を行ったとしても、上述のように各ゾーン毎の誘導加熱コイル16を制御することにより、半導体ウェハ10の温度分布を制御することができる。また、温度分布の検知は図1の場合、図示しないが、半導体ウェハ10の下面側より前記誘導加熱コイル16に沿って複数のパイロメータを設置して計測するようにすると良い。
【0018】
詳細すると、加熱処理された半導体ウェハ10の温度分布を前記図示しないパイロメータにより計測し、前記計測値を予め定めておいた規定値の範囲内に収まるように、各誘導加熱コイル16を制御して調整する。温度分布を規定値に調整後、冷却ガス等の供給により又は自然に、前記半導体ウェハ10を冷却する。前記のように冷却すると共に、規定値も降下させていくが、冷却される半導体ウェハ10は、その形状から外縁部が降温し易いという特徴がある。このため、降下させる規定値の値は、半導体ウェハ10内の最も降温が遅い箇所を基準として定め、他のゾーンでの検出温度を前記規定値に追従させるようにする。そして、温度調整を必要とする各ゾーンの誘導加熱コイル16を制御して、温度分布が均一となるように調整しながら冷却を行う。これにより、温度分布のバランスが崩れることにより発生する、スリップや割れを防ぐことができる。また、温度の高い箇所を基準とすることにより、低温箇所を加熱して温度分布を調整することができるので、温度降下時の温度差が熱の残留等により規定値以上に広がってしまうことを防止しつつ降温させることができる。なお、前記規定値は、温度分布の均一性の必要とする精度によって任意に定めるようにすれば良い。
【0019】
図2は第2の実施形態であり、枚葉式ホットウォール型の半導体熱処理装置の例である。当該実施形態は、半導体ウェハ110を水平に装填可能なプロセスチューブ111と、それらを内包するサセプタ114と、前記サセプタ114を囲繞する複数の誘導加熱コイル116とから成るものの場合である。
【0020】
図2の実施形態の場合、反応槽である前記プロセスチューブ111は、石英で形成され、半導体ウェハ110の装填側断面を矩形としている。また、前記サセプタ114は、前記プロセスチューブ111の半導体ウェハ110の挿入口に沿った断面を長円形状(トラック形状)としており、前記半導体ウェハ110に均等に輻射熱が伝達されるように反応槽であるプロセスチューブ111を覆っている。さらに、前記複数の誘導加熱コイル116は、同一形状であり前記サセプタ114の形状に沿って長円形状にサセプタ114を囲繞するようにしている。
【0021】
なお、誘導加熱コイル116の構成は、上述した誘導加熱コイル16に準用し、図示しないインバータの制御によりゾーンコントロールができるものとする。また、前記プロセスチューブ111と前記サセプタ114との間には、空間が備えられ、当該空間には冷却ガスの給排気に仕様される1対のダクト120が半導体ウェハ110の表裏面それぞれの側に設けられる。
【0022】
上記のような第2の実施例においては、半導体ウェハ110を冷却する際、前記ダクト120から冷却ガスを給排気することにより急速冷却を行う。この時冷却ガスは、半導値ウェハ110の表裏面で各々逆向きの流れとなるようにして、半導体ウェハ110の温度分布の均一化を図っている。このようにして冷却時の温度分布の均一化を図る場合であっても、第1の実施例と同様に半導体ウェハ110の温度分布のバランスが崩れた場合には、該当ゾーンにあたる誘導加熱コイル116を起動させて再加熱することで温度分布の均一化を図るようにする。
【0023】
また、図2の実施形態の場合、図示しない複数のパイロメータを半導体ウェハ110の各ゾーンの温度、又はサセプタ114の各ゾーンの温度を測定可能に前記誘導加熱コイル116の配置に沿って設置し、当該パイロメータにより計測した値を、各誘導加熱コイル116を制御する図示しないインバータにフィードバックするようにすれば第1の実施形態同様に温度分布の制御が可能となる。
【0024】
図3は、第3の実施形態であり、バッチ式コールドウォール型の半導体熱処理装置の例である。この実施例の場合では、下方から回転軸222によって水平に支持されたサセプタ214と、前記サセプタ214の上面に複数配置された半導体ウェハ210と、前記サセプタ214の下部に複数配置された誘導加熱コイル216と、反射熱源となるドーム型天井224を持つ反応炉とからなる。
【0025】
前記サセプタ214は、回転軸222と連結されており、水平回転が可能である。また、前記サセプタ214の上面に複数配置される半導体ウェハ210は、サセプタ214と同芯円となる円の円周上に放射状に配置されるものが良い。さらに、前記誘導加熱コイル216は、前記サセプタ214の中心と同芯円とした複数のバームクーヘン型コイルからなる。また、図3に示す実施形態では、図示しない複数のパイロメータを前記半導体ウェハ210の温度計測が可能となるように、前記誘導加熱コイル216の配置に沿って設置し、当該複数のパイロメータによって得られた値は、各誘導加熱コイル216をゾーンコントロールする図示しないインバータにフィードバックするようにすると良い。
なお、誘導加熱コイル216の制御方法は、上述した誘導加熱コイル16に準用する。
【0026】
上記のようなバッチ式の熱処理装置では、半導体ウェハ210内の温度分布を均一化させるために、熱処理時には、サセプタ214を自転させることにより半導体ウェハ210を回転軸222に対して公転させると共に、半導体ウェハ210自体も自転させていた。しかし、前記誘導加熱コイル216による制御を可能にしたことにより、サセプタ214を均一加熱及び冷却することができるため、半導体ウェハ210の自転を必要としなくなり、サセプタ214の構成を簡素化することができる。さらに第1の実施形態、第2の実施形態と同様に、半導体ウェハ210の温度分布の均一化を図りつつ冷却をすることができる。
【0027】
なお、上記のような第1の実施形態ではサセプタ14の温度分布を、第3の実施形態では半導体ウェハ210の温度分布を各々計測するようにしていたが、各々半導体ウェハ、サセプタどちらの温度分布を知るようにしても良い。
【0028】
上記のような実施形態において、前記誘導加熱コイル16、116、216への投入電力の制御を、温度分布の規定値を定め、温度分布が前記規定値の範囲内となるように制御するようにしたことにより、温度分布の均一性の精密度を任意に選択することができる。このため、必要以上の複雑な制御を必要としない。
【0029】
さらに、前記規定値は、降温速度の最も遅い箇所を基準に定めるようにすることにより、降温速度が速い箇所を基準とした場合一部を冷却する必要がでてくるが、この場合は、全体の温度を低下させながら調整することができる。このため、降温時の温度差が規定値以上に広がることを防止しつつ降温させることができる。
【0030】
また、実施例において本発明の半導体熱処理方法を利用可能な熱処理装置の形状等を限定して記載をしているが、これにこだわらず誘導加熱コイルを用いた半導体熱処理装置であれば、本発明の半導体熱処理方法を利用可能である。
【0031】
【発明の効果】
複数の誘導加熱コイルを用いて行う半導体熱処理の冷却方法において、半導体ウェハ冷却時の表面温度分布又は前記温度分布に準用可能な温度領域を持つものの温度分布を計測し、前記温度分布の上下限を誘導加熱コイルの制御により規定値以内に調整し、前記半導体ウェハの温度を低下させると共に前記規定値を下げつつ、前記規定値を外れて冷却される箇所では該当箇所を加熱可能な誘導加熱コイルを制御し、前記規定値へと帰服させて前記半導体ウェハの温度分布を均一化して冷却するようにしたことにより、冷却過程での半導体ウェハ内の温度分布を均一に保つことができ、急速冷却する場合であってもスリップや割れの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が利用可能な装置の第1の実施形態を示した図である。
【図2】本発明が利用可能な装置の第2の実施形態を示した図である。
【図3】本発明が利用可能な装置の第3の実施形態を示した図である。
【符号の説明】
10………半導体ウェハ、12………蓋、14………サセプタ、16………誘導加熱コイル、18………真空チャンバ。
Claims (3)
- 複数の誘導加熱コイルをゾーン単位に配置して加熱冷却を行う半導体熱処理方法において、前記半導体ウェハ冷却時におけるゾーン単位の表面温度分布を直接又は間接に計測し、ゾーン単位に温度分布が異なる領域を検出することにより、誘導加熱コイルへの投入電力の制御を行って半導体ウェハの温度分布を均一に保ちつつ冷却をすることを特徴とする半導体熱処理方法。
- 前記誘導加熱コイルへの投入電力の制御は、温度分布の規定値を定め、温度分布が前記規定値の範囲内となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の半導体熱処理方法。
- 前記規定値は、降温速度の最も遅い箇所を基準に定めることを特徴とする請求項2に記載の半導体熱処理方法。
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JP2003051486A JP2004260097A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 半導体熱処理方法 |
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