JP2004259932A - 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法 - Google Patents

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浩一郎 滝口
Atsushi Hibino
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Abstract

【課題】Pbを含む結晶性酸化物の均一分布により均一な点状のピット起点が付与されて、エッチング時の表面溶解が抑制され、エッチング後に拡大された表面積が得られ、静電容量の増大を達成することが可能とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法を提供する。
【解決手段】最終焼鈍前のアルミニウム箔を化学処理して、該アルミニウム箔の表面にPb粒子を置換析出により分散させた後、不活性ガス雰囲気中または真空中、350〜650℃の温度で最終焼鈍を行うことにより、アルミニウム箔の表面に平均粒径0.05〜0.20μmのPbを含む結晶性酸化物を1〜20個/μmの分散度で生成、分散させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔、とくに、増大された静電容量を有する電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品の小型化、高性能化に伴い、電子部品に組み込まれる電解コンデンサの電極用アルミニウム箔についても、静電容量の向上が要望されており、そのために、電極用アルミニウム箔をエッチング処理した後の表面積を拡大させるための多くの試みがなされている。
【0003】
通常、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔については、常法により製箔された硬質アルミニウム箔を最終焼鈍した後、塩素イオンを含む溶液中で電気化学的または化学的エッチング処理を施すことにより、エッチピットと呼ばれる多数の孔を形成してエッチング面の表面積を拡大させている。これまでエッチング時のピット開始点の制御に関する多くの提案が行われ、アルミニウム箔中の添加元素との関係も種々検討されてきた。
【0004】
添加元素のうち、Pbはピット起点となる元素として知られており、合金成分としてアルミニウムの溶解時に添加される。また、Pbはアルミニウム箔の焼鈍時に表面に濃縮される特性をそなえているため、Pb添加の効果をより高めるために、アルミニウム箔の最終焼鈍条件の調整によって表面濃縮状態を変化させる手法も検討されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、単に、材料に添加されたPbを利用する手法では、最終焼鈍後のPbの表面濃縮状態がアルミニウム箔の面内で不均一となり、エッチングの集中やエッチングピットの横走り(ピットが箔の厚さ方向ではなく箔の長さ方向や幅方向に進展する現象)による表面溶解が生じるため、十分な静電容量の向上効果を得ることができないという問題がある。
【0006】
一方で、材料表面にベーマイト被膜を形成し、最終焼鈍時にγ−アルミナなどの結晶性酸化物を分散させて、これをピット起点とする手法(特許文献2参照)、材料中に添加されたPbを含む結晶性アルミニウム酸化物粒子を分散させ、これをピット起点とする手法(特許文献3参照)も提案されているが、前者においては、ベーマイト処理液の反応性が低く酸化被膜の欠陥部に反応が集中するためにピットの分散性が低下し易く、後者においては、結晶性酸化物がPbの拡散経路である粒界に集中しピット分布が不均一になり易いという問題がある。
【0007】
W.Linらによれば、電解コンデンサ用高純アルミニウム箔のエッチング形態におけるPbの効果について、最終焼鈍後に硝酸鉛溶液に浸漬した場合、ピット起点が増加すると報告されている(非特許文献1参照)が、エッチング時の前処理によって、析出したPb粒子が溶解除去されてしまい、静電容量の向上効果を十分に得ることができない。
【0008】
【特許文献1】
特許第3130056号公報(第1〜3頁)
【特許文献2】
特開平8−222487号公報(第1〜3頁)
【特許文献3】
特開2002−43184号公報(第1頁)
【非特許文献】
Corrosion Science 、Vol.8 、No.6、p889−907
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らは、アルミニウム箔の表面に結晶性酸化物を生成させ、これをピットの起点とする手法に着目し、この手法により改善されたエッチング処理後の拡面率を得るために、結晶性酸化物の種類、結晶性酸化物の分散状態とエッチングピットの形態および分布との関係について試験、検討を行った。本発明は、その結果としてなされたものであり、その目的は、エッチング後に拡大された表面積が得られ、静電容量の増大を達成することを可能とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明による電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、表面に置換析出により付与されたPbを含む平均粒径0.05〜0.20μmの結晶性酸化物が1〜20個/μmの分散度で分布してなることを特徴とする。
【0011】
請求項2による電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法は、最終焼鈍前のアルミニウム箔を化学処理して、該アルミニウム箔の表面にPb粒子を置換析出により分散させた後、不活性ガス雰囲気中または真空中、350〜650℃の温度で最終焼鈍を行うことにより、アルミニウム箔の表面にPbを含む結晶性酸化物を生成、分散させることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔は、従来と同様、溶解、鋳造した後、常法に従って熱間圧延、箔圧延、必要に応じて中間焼鈍を行って製箔し、得られた硬質アルミニウム箔に、化学処理して表面にPbを置換析出させる。
【0013】
化学処理は、アルミニウム箔を硝酸鉛溶液に浸漬することにより行うのが好ましい。例えば、濃度0.05〜0.2Nの硝酸鉛溶液を50〜100℃に加熱して、アルミニウム箔を20〜120秒間浸漬する。この処理により、アルミニウム箔の表面にPb粒子が点状に置換析出する。
【0014】
ついで、Pb粒子が点状に置換析出させたアルミニウム箔を、不活性ガス雰囲気中または真空中、350〜650℃の温度で最終焼鈍すると、アルミニウム箔の表面にPbを含む結晶性酸化物が生成、分散する。
【0015】
Pbを含む結晶性酸化物の平均粒径は0.05〜0.20μm、分散度は1〜20個/μmの範囲とするのが、エッチング処理により拡大された表面積を得るという効果を達成するうえで好ましい。
【0016】
Pbを含む結晶性酸化物の平均粒径が0.05μm未満ではその効果が十分でなく、0.20μmを越えると、ピット密度が必要以上に多くなり、これらが化成時に合体して無効溶解となる。Pbを含む結晶性酸化物の分散度が1個/μm未満ではその効果が小さく、20個/μmを越えて分布すると、ピット密度が必要以上に多くなり、これらが化成時に合体して無効溶解となる。
【0017】
最終焼鈍されたアルミニウム箔は、塩素イオンを含む溶液中で電気化学的または化学的エッチング処理を施された後、化成処理(例えば、ホウ酸溶液中において200〜600V)される。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明するとともに、それに基づいてその効果を実証する。なお、これらの実施例は、本発明の好ましい一実施態様を説明するためのものであって、これにより本発明が制限されるものではない。
【0019】
実施例1
アルミニウム純度99.98wt%の最終焼鈍前の硬質アルミニウム箔(厚さ110μm)を、0.1N硝酸鉛溶液(液温90℃)に30秒間浸漬し、表面にPb粒子を置換析出させた。ついで、アルゴンガス雰囲気中、560℃の温度で12時間の最終焼鈍を行い、アルミニウム箔の表面にPbを含む結晶性酸化物を生成させ、試験材No.1とした。
【0020】
実施例2
アルミニウム純度99.98wt%の最終焼鈍前の硬質アルミニウム箔(厚さ110μm)を、0.1N硝酸鉛溶液(液温90℃)に60秒間浸漬し、表面にPb粒子を置換析出させた。ついで、アルゴンガス雰囲気中、560℃の温度で12時間の最終焼鈍を行い、アルミニウム箔の表面にPbを含む結晶性酸化物を生成させ、試験材No.2とした。
【0021】
実施例3
アルミニウム純度99.98wt%の最終焼鈍前の硬質アルミニウム箔(厚さ110μm)を、0.1N硝酸鉛溶液(液温90℃)に90秒間浸漬し、表面にPb粒子を置換析出させた。ついで、アルゴンガス雰囲気中、560℃の温度で12時間の最終焼鈍を行い、アルミニウム箔の表面にPbを含む結晶性酸化物を生成させ、試験材No.3とした。
【0022】
比較例1
アルミニウム純度99.98wt%の硬質アルミニウム箔(厚さ110μm)を、アルゴンガス雰囲気中、560℃の温度で12時間の最終焼鈍して軟質アルミニウム箔とし、ついで、0.1N硝酸鉛溶液(液温90℃)に60秒間浸漬し、表面にPb粒子を置換析出させ、試験材No.4とした。
【0023】
比較例2
アルミニウム純度99.98wt%の硬質アルミニウム箔(厚さ110μm)を、アルゴンガス雰囲気中、560℃の温度で12時間の最終焼鈍を行い、試験材No.5とした。
【0024】
上記の実施例、比較例で得られた各試験材を、塩酸1mol/L、硫酸3mol/Lの混酸溶液(液温85℃)中で、電流密度25A/dmで480秒間エッチング処理し、その後、ホウ酸溶液中で200Vに化成して、静電容量を測定した。
【0025】
エッチング処理後、各試験材の表面に生成、分散されたPbを含む結晶性酸化物の平均粒径および分散度、および各試験材の静電容量を表1に示す。なお、結晶性酸化物の平均粒径および分散度は、試験材の表面にカーボンを蒸着した後、ヨウ素ーメタノール法によりアルミニウム箔基材を溶解し、残った酸化物をTEM観察することにより評価し、結晶性酸化物の同定は、電子線回折法およびTEM−EDXにて行った。
【0026】
【表1】
Figure 2004259932
【0027】
表1に示すように、本発明による試験材No.1〜3はいずれも、単に最終焼鈍を施したのみの試験材No.5と比べて、きわめて高い静電容量をそなえている。最終焼鈍後に硝酸鉛溶液で処理した試験材No.4については、Pbを含む結晶性酸化物の分散が認められず、改善された静電容量が得られない。
【0028】
実施例3で得られた試験材No.3と、比較例2で得られた試験材No.5の表面状態のSEM像を対比して図1に示す。図1にみられるように、試験材No.3においては、表面にPbを含む結晶性酸化物の分散が認められるが、試験材No.5の表面では結晶性酸化物の分布数が少なく、存在するものは主にγ−アルミナであり、Pbを含む結晶性酸化物は認められない。
【0029】
実施例1で得られた試験材No.1と、比較例2で得られた試験材No.5のピット分布状態を対比して図2に示す。図2は、試験材をエッチング処理後、電解研磨で表面を約15μm除去した後のSEM像を示すものである。図2にみられるように、試験材No.5と比較して、試験材No.1のピット発生数が増加していることがわかる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、Pbを含む結晶性酸化物の均一分布により均一な点状のピット起点が付与されて、エッチング時の表面溶解が抑制され、エッチング後に拡大された表面積が得られ、静電容量の増大を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各試験材のエッチング処理前の表面状態を示す写真である。
【図2】各試験材のエッチング処理後のピット分布状態を示す写真である。

Claims (2)

  1. 表面に置換析出により付与されたPbを含む平均粒径0.05〜0.20μmの結晶性酸化物が1〜20個/μmの分散度で分布してなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
  2. 最終焼鈍前のアルミニウム箔を化学処理して、該アルミニウム箔の表面にPb粒子を置換析出により分散させた後、不活性ガス雰囲気中または真空中、350〜650℃の温度で最終焼鈍を行うことにより、アルミニウム箔の表面にPbを含む結晶性酸化物を生成、分散させることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法。
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