JP2004259903A - 生体磁場計測用クライオスタット及びそれを用いた生体磁場計測装置 - Google Patents

生体磁場計測用クライオスタット及びそれを用いた生体磁場計測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】生体磁場計測を阻害せず、且つクライオスタットの断熱性能を低下することなく、且つクライオスタットの昇温時間を短縮し、メンテナンス性に優れたクライオスタットを提供する。
【解決手段】上部に開口部を持ち、内部に冷媒を貯蔵し、被冷却物を格納する内容器と、前記内容器との間に真空槽を形成するための外容器と、前記真空槽内に設置され、前記内容器の開口部側で前記内容器と熱的に結合した中間シールドと、前記中間シールドと前記外容器の間に設置される積層断熱材と、前記内容器開口部に挿入される開口部断熱材により構成されるクライオスタットにおいて、前記外容器に着脱可能な交番磁界発生源を備えた事を特徴とするクライオスタット。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体から発生する微弱な磁場を計測するSQUIDセンサ冷却用クライオスタットに係り、特にセンサメンテナンス時等にクライオスタット内部を極低温から室温まで短時間で昇温可能なクライオスタットおよびそれを用いた生体磁気計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体磁場計測装置は、脳や心臓の活動に伴い発生する微弱な磁場を計測し、磁場強度の時間波形や磁場分布から脳機能又は心機能の診断や解明を目的としている。
【0003】
脳や心臓で発生する磁場の強さは地磁気と比較して極めて小さく、唯一SQUID(Superconducting Quantum Interference Device:超電導量子干渉素子)を利用した高感度磁束センサを用いることにより計測が可能となっている。
【0004】
このSQUIDは超電導状態で動作するデバイスであり、センサ全体を超電導臨界温度以下に冷却しなければならない。そこでデュワあるいはクライオスタットと呼ばれる極低温格納容器内にセンサを設置し、同容器内に沸点が4.2K である液体ヘリウムを貯蔵することで計測を実現している。
【0005】
デュワは液体ヘリウムの蒸発をできるだけ抑えるため、様々な断熱手段を用いて外部環境から断熱されている。しかし、デュワ内のセンサに不具合が生じてセンサを交換する必要が生じた場合、この断熱材により、デュワ内の温度が、液体ヘリウムを排出した後でも室温に戻すために長時間を要するという問題があった。すなわち、センサメンテナンスに要する時間の大部分がセンサを室温に戻すための時間に充てられることになり作業効率は非常に悪い。
【0006】
この問題を解決するため、特許文献1には強力な磁場を発生させる超電導マグネット冷却用デュワ内に加熱用ヒータを設け、このヒータによりデュワ内を急速に昇温させる技術が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−233840号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
微弱な磁気を計測する生体磁気計測装置では、磁場に影響を与えるものをセンサ近傍に配すると雑音等が増加するため好ましくない。導電材料を配さなくてはならない場合は、そのままでは磁場により材料内に渦電流が発生して磁場を生じるので、渦電流が発生しないように導電材料を分割して配置する等の対策をしている。特許文献1記載の技術ではデュワ内にヒータを配置しているが、これではヒータに渦電流が発生して磁気計測に悪影響を与えることが懸念される。これは特許文献1記載の技術が磁場を発生させる装置に関る発明であり、生体磁気計測を対象としている装置ではないためと思われる。
【0009】
本発明の目的は生体磁気計測に対する悪影響が少なく、かつメンテナンス時に短時間で昇温可能なデュワ及びそれを用いた生体磁気計測装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の構成は、上部に開口部を持ち、内部に冷媒を貯蔵し、被冷却物を格納する内容器と、前記内容器との間に真空槽を形成するための外容器と、前記真空槽内に設置され、前記内容器と前記外容器の間に設置される積層断熱材と、を備えた生体磁場計測用クライオスタットにおいて、前記内容器表面の少なくとも1部には、該内容器の周囲を取り囲むように導体板が貼付けされている生体磁場計測用クライオスタットである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図2は従来のクライオスタットにおいてセンサを取り出す状態を示す断面図である。
【0012】
従来のクライオスタットは、内容器3の底面の大きさと開口部の大きさが等しい形状であり、開口部の大きさよりも外径が小さなセンサ装着部100に液体ヘリウム2を固定している。
【0013】
センサ装着部100は内容器3の開口部に挿入された断熱材8および内容器3の開口部を塞ぐための蓋11と一体化することにより、内容器3から全ての液体ヘリウム2を同時に取り出すことが可能である。また、蓋11の温度は室温であるため、液体ヘリウム2や内容器3が極低温状態にあってもセンサを外部に取り出す事が可能であった。
【0014】
図1は従来の生体磁場計測用クライオスタットの横断面図である。クライオスタットは、上面に開口部を有し、内部底面にSQUID磁束センサ1を設置し、液体ヘリウム2を貯蔵するための内容器3と、内容器3との間に真空断熱槽4を形成する外容器5と、真空断熱槽4内に設置され且つ一端が内容器3と熱的に結合した中間シールド6と、中間シールド6と外容器5の間に設置された積層断熱材7と、内容器3の上部開口部に挿入される開口部断熱材8により構成される。
【0015】
内容器3および外容器5はガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を加工して製作されている。中間シールド6は内容器3の開口部付近で内容器3と熱的に結合しており、内容器3の底部に貯蔵された液体ヘリウム2から蒸発したヘリウムガスの顕熱を利用して極低温に冷却されている。液体ヘリウム2を貯蔵し、極低温状態にある内容器3の周囲を室温よりも十分に低い温度に維持された中間シールド6で囲むことにより、室温である外容器5から極低温である内容器3への輻射熱量を低減している。
【0016】
中間シールド6には、全体を均一に冷却するために高い熱伝導率が求められる。また同時に非磁性材料であることが必須事項である。そこで、非磁性であり熱伝導率の高い銅(無酸素銅)やアルミを用いて製作するのが一般である。しかし、中間シールド6を構成する銅やアルミは電気伝導性に優れた導体であり、外部磁場の変動に伴う電磁誘導現象により導体表面に渦電流が発生する。渦電流の周囲には磁場が形成されることから、渦電流の発生は生体磁場計測上重大な問題となる。特にSQUID磁束センサ1の近傍での渦電流の発生はその影響が大きいことから、SQUID磁束センサ1近傍の中間シールド6は導体を短冊状に加工するなどして渦電流の発生を抑制している。
【0017】
中間シールド6と外容器5の間の真空断熱槽4には、積層断熱材7を配置し、室温である外容器5から中間シールド6へ伝わる輻射熱量を低減している。積層断熱材7は薄いポリエステルシートの片面にアルミニウムを蒸着したものであり、シートを多層積層することにより高い断熱効果を発揮している。
【0018】
内容器3の開口部には開口部断熱材8を配置している。開口部断熱材8は発泡ポリウレタンで製作されており、内部に多数存在する気泡が極低温に冷却されることにより液化し真空状態を形成するため、低温状態で高い断熱性能を発揮する。開口部断熱材8の外径は内容器3の開口部の内径よりも小さくなっており、内容器3の底部に貯蔵された液体ヘリウム2から蒸発したヘリウムガスが開口部断熱材8と内容器3の隙間を流れる構造となっている。これは隙間を流れるヘリウムガスと開口部断熱材8および内容器3との間で熱交換を行うことにより、開口部断熱材8および内容器3の壁を伝わる熱伝導による侵入熱量を低減するとともに、内容器3の開口部付近で熱的に結合している中間シールド6を冷却するためである。
【0019】
開口部断熱材8は発泡ポリウレタン製の断熱材とアルミニウム薄板を交互に積層した構造となっている。アルミニウム薄板はポリウレタン部の温度を半径方向に均一化する役割を果たしている。
【0020】
図4は本発明の一実施例であるクライオスタットの構造を示す断面図である。内容器3は底部にSQUID磁束センサ1を格納するための面積を有し、内容器3の内部には液体ヘリウム2を貯蔵できる構造となっている。また内容器3と結合し、開口部の大きさが内容器3の底面の大きさよりも小さなネック部9を有する狭首型構造を採用することによって、室温部と極低温部間の熱伝導面積を低減し、熱伝導による侵入熱量が小さくなるようにしている。
【0021】
ネック部9の内側には、熱伝導率が小さい発泡ポリウレタンで構成された断熱材と熱伝導率の高いアルミニウム板を交互に積層した開口部断熱材8を挿入している。開口部断熱材8を構成する断熱材およびアルミニウム板の外径はネック部9の内径よりも小さくなっており、液体ヘリウム2から蒸発したヘリウムガスは開口部断熱材8とネック部9の壁との間の隙間を流れる構造になっている。
【0022】
これは、室温である蓋11から液体ヘリウム2の液面に向かう輻射熱量を低減するだけでなく、蒸発したヘリウムガスが開口部断熱材8とネック部9の壁の隙間を流れることにより、ヘリウムガスとネック部9の壁との間の熱伝達を向上させ、ネック部9の壁を伝わり内容器3の内部に貯蔵した液体ヘリウム2に伝わる熱伝導による侵入熱量を低減することを目的としている。
【0023】
内容器3,ネック部9および外容器5は熱伝導率が小さく、且つ極低温状態で高い強度を有するガラス繊維強化プラスチック(GFRP)であり、各パーツを高分子接着剤を用いて組立てるか、一体成形により製作されている。
【0024】
内容器3の真空槽側表面と中間シールド6の表面には、表面にアルミニウムが蒸着されたテープを全面に貼付け、放射率を小さくし、内容器3が中間シールド6から受ける輻射熱量と中間シールド6が外容器5から受ける輻射熱量をそれぞれ低減している。
【0025】
内容器3の真空槽側表面には導体薄板31を貼付けている。導体薄板31は外部磁場の変動に伴う電磁誘導現象により表面に渦電流が発生するため、導体薄板31はSQUID磁束センサ1の近傍ではなく、SQUID磁束センサ1から離れた内容器3とネック部9とが結合したフランジ部の周囲に取り付けている。
【0026】
内容器3の真空槽側表面に貼り付けられた導体薄板31は、複数のブロックにより形成されており、各ブロックは相互に絶縁されている。これは生体磁場計測上問題となる大きな渦電流の発生を抑制するためである。
【0027】
導体薄板31は、非磁性であり且つ導電体である必要があるため、銅やアルミ,ステンレス(SUS304)が用いられる。特にステンレスは銅やアルミと比較して材料の比抵抗が大きく、渦電流損失が大きくなるため発熱量が増大する。
【0028】
導体薄板31は外部から交番磁界を加えることにより発熱するため、交番磁界を加えない通常使用時には単なる薄板に過ぎず熱侵入に影響を与えることはない。また非磁性体であるため生体磁場計測上問題を与えることもない。
【0029】
中間シールド6と外容器5との間の真空断熱槽4には積層断熱材7を設置しており、外容器5から中間シールド6への輻射熱量を低減している。
【0030】
図5は本発明におけるクライオスタットの一実施例における中間シールドの構造を示す図である。中間シールド6は、ネック部9と熱的に結合するフランジ部61と側面部62,センサ近傍部64でそれぞれ材料寸法・形状が異なる。
【0031】
中間シールド6のフランジ部61は厚さ5mmの無酸素銅製である。板厚を厚くすることで熱容量を大きくし、中間シールド6全体の温度が安定する役割を果たす。
【0032】
中間シールド6の側面部62は厚さ0.5mm の無酸素銅製である。中間シールド6のフランジ部61と側面部62は銀ろうを用いて熱的に強固に結合されている。また、中間シールド6の側面部62の表面には導体薄板63を貼付けている。導体薄板63は側面部62の全体を覆う形状ではなく、側面部62の一部にのみ取り付けられている。
【0033】
中間シールド6のセンサ近傍部64は、内容器3の内部に取り付けられたSQUID磁束センサ1の最上面より下方に位置している。センサ近傍部64は他の部分よりも渦電流の発生を抑制する必要があり、厚さ0.3mm の無酸素銅板を幅10mmの短冊状に加工した部材を用いて形成されている。側面部62とセンサ近傍部64は銀ろうを用いて熱的に強固に結合されている。
【0034】
中間シールド6のフランジ部61,側面部62,センサ近傍部64の各部分が左右半割構造となっており、生体磁場計測上問題となる大きな渦電流の発生を抑制している。
【0035】
中間シールド6は通常使用時において渦電流の発生を抑制させるための構造となっているが、外部から交番磁界を加えた場合には導体である中間シールド6は加熱源になり得る。
【0036】
外容器5の側面部には、着脱可能な磁場発生ユニット73を取り付けている。外容器5と磁場発生ユニット73は非接触状態であってもクライオスタット内部の導電体を加熱することが可能であるため、磁場発生ユニット73を外容器5と一体化する必要はなく、通常生体磁場計測を行う時には磁場発生ユニット73をクライオスタット本体から取り外すことにより、生体磁場計測時にノイズ源になることはない。
【0037】
磁場発生ユニット73は、家庭用もしくは商業用交流電圧を入力とし、スイッチング制御された直流電圧を出力とする電源ユニット71と、電源ユニット出力を調整するための制御ユニット72と連結される。
【0038】
電源ユニット71では、家庭用もしくは商業用電源を入力とし、50Hz/
60Hzの交流電圧を整流・平滑化することにより直流電圧を生成している。出力された直流電圧はインバータにより例えば50kHzや100kHzといった周期でスイッチングされる。直流電圧は磁場発生ユニット73においてコイル状に巻かれた導体を流れており、スイッチングされた直流電圧によりコイルの周囲には交番磁界が発生する。
【0039】
以下に本発明におけるクライオスタットの昇温プロセスを説明する。
【0040】
極低温状態にあるクライオスタットを昇温するためには、寒冷の発生源である内容器3の内部に貯蔵された液体ヘリウム2を排出する必要がある。
【0041】
内容器3の開口部を覆う蓋11に取り付けられたヘリウムガス排出口12から圧力を大気圧以上に設定したヘリウムガスを内容器3の内部に入れ、トランスファーチューブ13の口を開くことによって極低温状態のヘリウムガスをクライオスタット外部に放出することができる。この場合には、極低温状態のヘリウムはトランスファーチューブ13を通って外部に放出されるため、ネック部9及びネック部9に挿入された開口部断熱材8との間で熱交換が生じることがなく、ネック部9および開口部断熱材8が冷却されることはない。しかし、液体ヘリウムを輸送するために内容器3内部の圧力を高く維持する必要があり、この圧力が通常運転時の内容器3の内部圧力よりも大きいため、設計圧力をより高いレベルに設定する必要がある。
【0042】
一方、トランスファーチューブ13側からヘリウムガスを内容器3の内部に入れる場合には、ヘリウムガスの熱量により内容器3の内部の液体ヘリウム2が急激に蒸発し、容器開口部を覆う蓋11に取り付けられたヘリウムガス排出口12より極低温状態のヘリウムガスが外部に放出される。この場合には、蒸発した極低温状態のヘリウムガスはネック部9およびネック部9に挿入された開口部断熱材8との間で熱交換を行うため、ネック部9及びネック部9に挿入された開口部断熱材8は極低温状態に冷却されることとなる。この場合には内容器3の内部から蒸発したヘリウムガスは容器開口部を覆う蓋11に取り付けられたヘリウムガス排出口12より外部に放出されるため内部圧力は運転時圧力に比べて大きな値をとる事がなく、設計圧力は運転時圧力を基準に設定することが可能である。
【0043】
内容器3から液体ヘリウム2を放出した後、外容器5の外表面に磁場発生ユニットを設置する。ここで、磁場発生ユニットの取り付け位置は内容器3の壁に取り付けた導体薄板31と同じ高さ位置に設置する。外容器5表面にマーカーを設けることにより、位置合わせを容易にしている。
【0044】
高周波にスイッチングされた直流電圧が磁場発生ユニット73に流れることにより、磁場発生ユニット73の周囲には交番磁界が発生する。交番磁界内に設置された導体表面には電磁誘導により渦電流が発生するが、導体の内部抵抗により生じる損失のため発熱し、導体を表面より加熱する。
【0045】
クライオスタットを構成する内容器3および外容器5は非磁性且つ電気絶縁性に優れたGFRPで製作されているため、内容器3および外容器5自体が加熱されることはない。
【0046】
しかし、内容器3と外容器5との間の真空断熱槽4に設置されている中間シールド6は導体(無酸素銅)であるため、交番磁界を加えることにより導体表面に発生する。発生した渦電流は導体の内部抵抗による損失のため導体表面より発熱する。
【0047】
中間シールド6は熱伝導率の高い無酸素銅を用いて製作されているため、中間シールド6全体の温度が上昇する。
【0048】
また、中間シールド6と外容器5の間の真空断熱槽4に設置されている積層断熱材7は表面にアルミニウムが蒸着されているため、外部より交番磁界を加えることにより発熱し、積層断熱材7の温度が上昇する。したがって室温である外容器5から積層断熱材7を介して中間シールド6へ伝わっていた輻射による侵入熱量が増大する。
【0049】
更に、中間シールド6はネック部9と熱的に結合しているためネック部9の温度を上昇させることになり、内容器3への熱伝導による侵入熱量も増加させる。
【0050】
内容器3の表面に取り付けた導体薄板31は、外部より加えられた交番磁界により電磁誘導現象で発生した渦電流が、導体の内部抵抗により発熱するため、外部より交番磁界を加えることにより内容器3自体を直接加熱することができる。
【0051】
このように本発明によれば、昇温時に極低温状態にある内容器3を外部より直接加熱することが可能となり、クライオスタットの昇温時間が短縮する。
【0052】
図6は本発明におけるクライオスタットの第2の実施例における構成を示す断面図である。
【0053】
第2の実施例では、導体薄板31を内容器3のヘリウムガス側壁面に取り付けたことに特徴がある。磁場発生ユニットで発生する交番磁界により内容器3のヘリウムガス側壁面に取り付けた導体薄板31の表面には渦電流が発生し、導体薄板31の内部抵抗による渦電流損失に伴い発熱する。導体薄板31を内容器3の真空槽側に取り付けた場合には、導体薄板31の周囲は真空状態であるため、導体薄板31から周囲への熱の拡散が無く、導体薄板31の加熱量は導体薄板31と熱的に結合した内容器3の壁に効率良く伝わり、内容器3のみを加熱するのに有効であった。しかし、内容器3の内部に導体薄板31を取り付けることにより、導体薄板31の周囲にはヘリウムガスが存在するため、導体薄板31からヘリウムガスへ熱が伝わる。内容器3の内部のヘリウムガスが加熱されることにより、ヘリウムガスに対流が生じるため、内容器3の昇温速度が向上する。
【0054】
導体薄板31は生体磁場計測時に大きな渦電流の発生を抑制するために複数のブロックより形成され、相互に絶縁されている。
【0055】
他の構造は実施例1と同様である。
【0056】
図7は本発明におけるクライオスタットの第3の実施例における構成を示す断面図である。
【0057】
第3の実施例では、導体薄板31を内容器の真空槽側およびヘリウムガス側の両面に取り付けたことに特徴がある。真空槽側に取り付けた導体薄板31が効率良く内容器3を加熱する一方、ヘリウムガス側に取り付けた導体薄板31が内容器3の内部に貯蔵されたヘリウムガスを加熱し、内容器3の内部に貯蔵されたヘリウムガスの対流を促進させることにより、内容器3の昇温時間をより短縮することが可能である。
【0058】
導体薄板31は生体磁場計測時に大きな渦電流の発生を抑制するために複数のブロックより形成され、相互に絶縁されている。
【0059】
他の構造は実施例1と同様である。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、生体磁場計測に影響を与えることなく、生体磁場計測用クライオスタットの断熱性能を劣化させることなく、クライオスタットの昇温時間を短縮することができ、メンテナンス性に優れた生体磁場計測用クライオスタットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の生体磁場計測用クライオスタットの横断面図。
【図2】従来の液体ヘリウム低消費型クライオスタットの一実施例の構造を示す横断面図。
【図3】本発明の一実施例であるクライオスタットの構造を示す断面図。
【図4】本発明におけるクライオスタットの一実施例における中間シールドの構造を示す図。
【図5】本発明におけるクライオスタットの一実施例における誘導磁場発生装置の構成を示す図。
【図6】本発明におけるクライオスタットの第2の実施例における構成を示す断面図。
【図7】本発明におけるクライオスタットの第3の実施例における構成を示す断面図。
【符号の説明】
1…SQUID磁束センサ、2…液体ヘリウム、3…内容器、4…真空断熱槽、5…外容器、6…中間シールド、7…積層断熱材、8…開口部断熱材、9…ネック部、11…蓋、12…ヘリウムガス排出口、13…トランスファーチューブ、31…導体薄板、61…中間シールドフランジ部、62…中間シールド側面部、64…中間シールドセンサ近傍部、71…電源ユニット、72…制御ユニット、73…磁場発生ユニット、100…センサ装着部。

Claims (8)

  1. 上部に開口部を持ち、内部に冷媒を貯蔵し、被冷却物を格納する内容器と、
    前記内容器との間に真空槽を形成するための外容器と、
    前記真空槽内に設置され、前記内容器と前記外容器の間に設置される積層断熱材と、
    を備えた生体磁場計測用クライオスタットにおいて、
    前記内容器表面の少なくとも1部には、該内容器の周囲を取り囲むように導体板が貼付けされていることを特徴とする生体磁場計測用クライオスタット。
  2. 請求項1記載の生体磁場計測用クライオスタットにおいて、
    前記内容器の開口部につながるネック部と内容器とが結合したフランジ部の近傍に前記導体板が貼付けされていることを特徴とする生体磁場計測用クライオスタット。
  3. 請求項1または2記載の生体磁場計測用クライオスタットにおいて、
    前記導体板が複数のブロックにより形成されており、各ブロックは相互に絶縁されていることを特徴とする生体磁場計測用クライオスタット。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の生体磁場計測用クライオスタットにおいて、
    前記内容器の開口部の大きさが、前記内容器底部の径よりも小さいことを特徴とする生体磁場計測用クライオスタット。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の生体磁場計測用クライオスタットにおいて、
    前記導体板を前記内容器の前記冷媒貯蔵側に取り付けたことを特徴とするクライオスタット。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の生体磁場計測用クライオスタットにおいて、
    前記導体板を前記内容器の前記真空断熱槽に面した壁面と前記内容器の前記冷媒貯蔵側の両方に取り付けたことを特徴とする生体磁場計測用クライオスタット。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の生体磁場計測用クライオスタットにおいて、
    前記導体板はステンレスからなることを特徴とする生体磁場計測用クライオスタット。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の生体磁場計測用クライオスタットに着脱可能な交番磁界発生源を備えたことを特徴とする生体磁場計測装置。
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