JP2004257524A - スナップリングの組み付け方法およびそれに用いるスナップリング組み付け用ジグ - Google Patents

スナップリングの組み付け方法およびそれに用いるスナップリング組み付け用ジグ Download PDF

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Jun Furuichi
潤 古市
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Abstract

【課題】コストの上昇を抑えつつ第1回転部材および第2回転部材を嵌合させる際の嵌合強度を向上させることができるスナップリングの組み付け方法および、その方法に用いるスナップリング組み付け用ジグを提供する。
【解決手段】本発明は、アウトプットギア40の外周部に設けた複数のスプライン突起40pと、インターナルプレート60の内周部に設けた複数のスプライン突起60pとを互いのスプライン溝40n,60nにスプライン嵌合させるに際して、ギア40の外周溝n1にリングSを取り付け、このリングSの外径がスプライン溝40nの底面径以下になるように該スプライン溝40nに沿って移動可能なスライド部材1をリング部材2で押圧したのち、ギア40およびプレート60を互いのスプライン溝40n,60nに沿ってスライドさせて、プレート60のスプライン突起60pがスライド部材1をスプライン溝40nから押し退けることによって、ギア40の外周溝n1およびプレート60の内周溝n2を互いに整列させて画成した環状空間R内にスナップリングSを組み付ける。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1回転部材の外周部と、第2回転部材の内周部とを嵌合させるに際して、第1回転部材の外周部に設けた環状の外周溝および第2回転部材の内周部に設けた環状の内周溝を互いに整列させて画成した環状空間内にスナップリングを組み付けるスナップリングの組み付け方法およびそれに用いるスナップリング組み付け用ジグに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2つの回転部材を嵌合させてスナップリングで固定する技術には、自動変速機に用いられたものがあり、この従来技術は、図9に示す如く、第1の回転部材である遊星歯車のリングギア310の外周部に設けた複数のスプライン突起310pと、第2の回転部材であるアウトプットギア320の内周部に設けた複数のスプライン突起320pとを互いのスプライン溝にスプライン嵌合させるに際して、リングギア310のスプライン部分に設けた環状の外周溝n1およびアウトプットギア320のスプライン部分に設けた環状の内周溝n2を互いに整列させて画成した環状空間内にスナップリングSoを組み付けることにより、リングギア310およびアウトプットギア320が互いに抜け落ちることなく固定されるようにしたものである(例えば、特許文献1。)。
【0003】
【特許文献1】
特願平8−152049号公報
【0004】
こうしたスナップリングを用いた組み付けは、様々な回転部材同士を固定するために利用されており、例えば、同じ自動変速機にあっては、アウトプットギアおよびリングギア以外にも、アウトプットギアおよびパーキングギア間を固定するために利用されている。
【0005】
図10は、他の従来技術であって、アウトプットギア440およびパーキングギア450が一体に固定された状態を側面から示す断面図であり、図11(a),(b)はそれぞれ、スナップリングS1を組み付けたアウトプットギア440を示す正面図および、アウトプットギア440のA−A断面図である。
【0006】
アウトプットギア440は、図10および図11(a)に示す如く、外歯441と一体の複数のスプライン突起440pを有する第1回転部材であって、このスプライン部分に環状の外周溝n1を有する。パーキングギア450は、図10に示す如く、その内周部に、リング状のインターナルプレート460が一体に溶接されている。このインターナルプレート460は、その内周部に、複数のスプライン突起460pを有する第2回転部材であって、このスプライン部分に環状の内周溝n2を有する。この場合、スナップリングS1は、アウトプットギア440のスプライン突起440pおよびインターナルプレート460のスプライン突起460pを互いのスプライン溝440n,460nにスライドさせて出力ギア440の外周溝n1およびインターナルプレート460の外周溝n2で画成した環状空間R内に組み付けられてアウトプットギア440およびパーキングギア450が互いに抜け落ちることなく固定される。
【0007】
ところで、従来のスナップリングの組み付け方法は、図11(a)に示す如く、アウトプットギア440の外周溝n1にスナップリングS1を組み付けた後、アウトプットギア440の一部を切り欠いて設けた切り欠き部440cから、スナップリングS1の開口部に設けた2つの爪部S1(a),S1(b)を図示せぬ組み付け道具を用いてスナップリングS1の径が小さくなる矢印dの方向に挟み込んで、図11(a)に示す如く、スナップリングS1の外径をアウトプットギア440のスプライン溝440nの底面径以下にする。そしてこの状態を維持したまま、図10に示す如く、アウトプットギア440のスプライン突起440pおよびインターナルプレート460のスプライン突起460pを互いのスプライン溝440n,460nに沿って両者の外周溝n1および内周溝n2が互いに整列する位置にスライドさせたのち、スナップリングS1の爪部S1(a),S1(b)から組み付け道具を外して、スナップリングS1を外周溝n1および内周溝n2で画成された環状空間内に開放する。これにより、アウトプットギア440およびパーキングギア450は、互いに抜け落ちたり、相対回転することなく組み付けられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来の組み付け方法にあっては、上述の如く、第1回転部材または第2回転部材に組み付け道具を差し入れるための切り欠き部を設ける必要があるため、第1回転部材および第2回転部材の(スプライン)嵌合における嵌合(噛み合い)長さが減少する分、嵌合(噛み合い)強度の信頼性を維持するように設計しなければならないという不都合が生じる。
【0009】
加えて従来の組み付け方法によれば、第1回転部材または第2回転部材に切り欠き部を設けるに際して、その加工分のコストが増加するという不都合があり、さらにスナップリングに関しても、このスナップリングの開口部に2つの爪部を形成しなくてはならないため、加工コストが上昇するという不都合があった。
【0010】
本発明の解決すべき課題は、上述の事実に鑑みてなされたものであり、コストの上昇を抑えつつ第1回転部材および第2回転部材を嵌合させる際の嵌合強度を向上させることができるスナップリングの組み付け方法および、その方法に用いるスナップリング組み付け用ジグを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る、スナップリングの組み付け方法は、第1回転部材の外周部と第2回転部材の内周部とを嵌合させるに際して、第1回転部材の外周部に設けた環状の外周溝および第2回転部材の内周部に設けた環状の内周溝を互いに整列させて画成した環状空間内にスナップリングを組み付けるスナップリングの組み付け方法において、第1回転部材の外周溝にスナップリングを取り付け、このスナップリングの外径が第1回転部材の外周径以下になるように第1回転部材の軸線に沿って移動可能なスライド部材で押圧したのち、第1回転部材および第2回転部材を互いにスライドさせて、第2回転部材の端縁がスライド部材を第1回転部材の外周部から押し退けることによって、スナップリングを環状空間内に組み付けられるようにしたことを特徴とする方法である。
【0012】
請求項2に係る、スナップリングの組み付け方法は、第1回転部材の外周部に設けた複数のスプライン突起と、第2回転部材の内周部に設けた複数のスプライン突起とを互いのスプライン溝にスプライン嵌合させるに際して、第1回転部材のスプライン部分に設けた環状の外周溝および第2回転部材のスプライン部分に設けた環状の内周溝を互いに整列させて画成した環状空間内にスナップリングを組み付けるスナップリングの組み付け方法において、第1回転部材の外周溝にスナップリングを取り付け、このスナップリングの外径がこのスプライン溝の底面径以下になるように該スプライン溝に沿って移動可能なスライド部材で押圧したのち、第1回転部材のスプライン突起および第2回転部材のスプライン突起を互いのスプライン溝に沿ってスライドさせて、第2回転部材のスプライン突起がスライド部材を第1回転部材のスプライン溝から押し退けることによって、スナップリングを環状空間内に組み付けられるようにしたことを特徴とする方法である。
【0013】
請求項3に係る、スナップリング組み付け用ジグは、第1回転部材の外周部と第2回転部材の内周部とを嵌合させるに際して、第1回転部材の外周部に設けた環状の外周溝および第2回転部材の内周部に設けた環状の内周溝を互いに整列させて画成した環状空間内にスナップリングを組み付けるためのスナップリング組み付け用ジグであって、この組み付け用ジグは、第1回転部材の軸線に沿って延在し前記外周溝に取り付けたスナップリングの外径が第1回転部材の外周径以下になるように押圧しつつ第1回転部材の軸線に沿って移動可能なスライド部材と、このスライド部材の外周部に取り付けられてスライド部材をスナップリングと共に押圧するリング状の部材からなることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4に係る、スナップリング組み付け用ジグは、第1回転部材の外周部に設けた複数のスプライン突起と、第2回転部材の内周部に設けた複数のスプライン突起とを互いのスプライン溝にスプライン嵌合させるに際して、第1回転部材のスプライン部分に設けた環状の外周溝および第2回転部材のスプライン部分に設けた環状の内周溝を互いに整列させて画成した環状空間内にスナップリングを組み付けるためのスナップリング組み付け用ジグであって、この組み付け用ジグは、第1回転部材のスプライン溝に沿って延在しこのスプライン部分の前記外周溝に取り付けたスナップリングの外径がこのスプライン溝の底面径以下になるように押圧しつつ該スプライン溝に沿って移動可能なスライド部材と、このスライド部材の外周部に取り付けられてスライド部材をスナップリングと共に押圧するリング状の部材からなることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の効果】
請求項1に係る、スナップリングの組み付け方法によれば、第1回転部材の外周部に設けた外周溝にスナップリングを取り付け、このスナップリングの外径が第1回転部材の外周径以下になるように第1回転部材の軸線に沿って移動可能なスライド部材で押圧したのち、第1回転部材および第2回転部材を互いにスライドさせて、第2回転部材の端縁がスライド部材を第1回転部材の外周部から押し退けることによって、スナップリングを第1回転部材の外周部に設けた環状の外周溝および第2回転部材の内周部に設けた環状の内周溝を互いに整列させて画成した環状空間に組み付けられるようにしたことから、第1回転部材および第2回転部材のいずれにも、第1回転部材および第2回転部材を互いにスライドさせるに際して、第1回転部材の外周溝に取り付けたスナップリングの外径が第1回転部材の外周径以下になるように保持するための組み付け道具などを差し入れる切り欠き部を設ける必要がない。
【0016】
従って請求項1に係る方法によれば、第1回転部材および第2回転部材のいずれにも切り欠き部を設ける必要がないため、第1回転部材および第2回転部材における嵌合長さが増加する分、嵌合強度の信頼性が向上し、その設定も容易になる。加えて、第1回転部材および第2回転部材のいずれにも切り欠き部が不要になることから、その加工分のコストを削減することができ、さらに、スナップリングの開口部に設けた2つの爪部も不要となることから、その加工分のコストも削減することができる。
【0017】
同様に請求項2に係る、スナップリングの組み付け方法によれば、第1回転部材のスプライン部分に設けた外周溝にスナップリングを取り付け、このスナップリングの外径がこのスプライン溝の底面径以下になるように該スプライン溝に沿って移動可能なスライド部材で押圧したのち、第1回転部材のスプライン突起および第2回転部材のスプライン突起を互いのスプライン溝に沿ってスライドさせて、第2回転部材のスプライン突起がスライド部材を第1回転部材のスプライン溝から押し退けることによって、スナップリングを第1回転部材のスプライン部分に設けた環状の外周溝および第2回転部材のスプライン部分に設けた環状の内周溝を互いに整列させて画成した環状空間に組み付けられるようにしたことから、第1回転部材および第2回転部材のいずれにも、第1回転部材のスプライン突起および第2回転部材のスプライン突起を互いのスプライン溝に沿ってスライドさせるに際して、第1回転部材の外周溝に取り付けたスナップリングの外径がこのスプライン溝の底面径以下になるように保持するための組み付け道具などを差し入れる切り欠き部を設ける必要がない。
【0018】
従って請求項2に係る方法によれば、第1回転部材および第2回転部材のいずれにも切り欠き部を設ける必要がないため、第1回転部材および第2回転部材のスプライン嵌合における噛み合い長さが増加する分、噛み合い強度の信頼性が向上し、その設定も容易になる。加えて、第1回転部材および第2回転部材のいずれにも切り欠き部が不要になることから、その加工分のコストを削減することができ、さらに、スナップリングの開口部に設けた2つの爪部も不要となることから、その加工分のコストも削減することができる。
【0019】
請求項3に係る、スナップリング組み付け用ジグは、第1回転部材の軸線に沿って延在し第1回転部材に設けた環状の外周溝に取り付けたスナップリングの外径が第1回転部材の外周径以下になるように押圧しつつ第1回転部材の軸線に沿って移動可能なスライド部材と、このスライド部材の外周部に取り付けられてスライド部材をスナップリングと共に押圧するリング状の部材からなるものであるから、作業者がスナップリングの組み付けが完了するまでスライド部材を把持する必要がなくなるため、作業効率が向上するという効果が得られる。
【0020】
同様に請求項4に係る、スナップリング組み付け用ジグは、第1回転部材のスプライン溝に沿って延在しこのスプライン部分に設けた環状の外周溝に取り付けたスナップリングの外径がこのスプライン溝の底面径以下になるように押圧しつつ該スプライン溝に沿って移動可能なスライド部材と、このスライド部材の外周部に取り付けられてスライド部材をスナップリングと共に押圧するリング状の部材からなるものであるから、作業者がスナップリングの組み付けが完了するまでスライド部材を把持する必要がなくなるため、作業効率が向上するという効果が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態であるスナップリングの組み付け方法を採用して組み立てた前進6速自動変速機のパワートレーンを示す断面図である。
【0023】
パワートレーン1は、変速機ケース2内に3つの軸線O1,O2,O3をオフセット配置したものであって、第1軸O1上に配した、エンジン(図示せず)からの動力が入力されるロックアップ式トルクコンバータ10と、このロックアップ式トルクコンバータ10のポンプインペラ10aによって駆動されるオイルポンプ20と、ロックアップ式トルクコンバータ10の出力をタービンランナ10bを経て入力されるインプットシャフト30と、このインプットシャフト30からの動力を入力として変速を行いアウトプットギア40に出力する変速機構部100とからなる。
【0024】
変速機構部100は、インプットシャフト30に伝達された動力をシングルタイプ遊星歯車機構110に入力して第1の変速を行なったのち、この出力をロークラッチ130、3速・5速・リバースクラッチ140および2速・6速ブレーキ150を介してラビニオタイプ遊星歯車機構120に入力し、このラビニオタイプ遊星歯車機構120に入力された動力をハイクラッチ160、ローアンドリバースブレーキ170およびワンウェイクラッチOWCを動作させて第2の変速を行なってアウトプットギア40に出力する。
【0025】
アウトプットギア40は、第2軸O2上に配したアイドラシャフト70に取り付けた第1アイドラギア71と噛合しており、このアウトプットギア40に入力された動力は、アイドラシャフト70と一体に設けた2組の第2アイドラギア72と噛合するファイナルドライブリングギアGfによって第3軸上に配したディファレンシャルギア機構80に伝達される。このディファレンシャルギア機構80は、ファイナルドライブリングギアGfから入力された動力を2つのアウトプットシャフト81,82に分配して車輪に伝達する。
【0026】
図2は、ラビニオタイプ遊星歯車機構120とアウトプットギア40との連結部分を示す拡大断面図である。また図3(a),(b)はそれぞれ、後述のスライド部材1でスナップリングSを押圧した状態を示すアウトプットギア40の平面図および側面図であり、図4は、後述のインターナルプレート60を示す平面図である。
【0027】
アウトプットギア40は、図2および図3(a)に示す如く、第1アイドラギア71と噛合する外歯41およびその歯溝と一体に整列する複数のスプライン突起40pおよびスプライン溝40nを有する第1回転部材であって、このスプライン部分に環状の外周溝n1を有する。パーキングギア50は、図2に示す如く、ラビニオタイプ遊星歯車機構120のリングギアと一体に成形されたものであって、その内周部に、ピニオン121と噛合する内歯(リングギア)51を有すると共に、リング状のインターナルプレート60が斜線部wに示す箇所で一体に溶接されている。
【0028】
インターナルプレート60は、図2および図4に示す如く、その内周部に、リングギア51および歯溝51nと整列する複数のスプライン突起60pおよびスプライン溝60nを有する第2回転部材であって、このスプライン部分に環状の内周溝n2を有する。この場合、スナップリングSは、図2に示す如く、アウトプットギア40のスプライン突起40pおよびインターナルプレート60のスプライン突起60pを互いのスプライン溝40n,60nにスライドさせてアウトプットギア40の外周溝n1およびインターナルプレート60の内周溝n2で画成した環状空間R内に組み付けられてアウトプットギア40と、パーキングギア50(リングギア51)が互いに抜け落ちることなく固定される。
【0029】
ここで本発明に係るスナップリングSの組み付け方法を、図2〜図7を参照して説明する。なお、図5は、スライド部材1を用いてスナップリングSを組み付ける際の作用を側面から示す模式図であり、図6(a),(b)はそれぞれ、本実施形態に用いられるスナップリングSと、従来技術にて用いられるスナップリングS1とを示す平面図である。また図7(a),(b)はそれぞれ、本発明に係るスライド部材を例示する斜視図である。
【0030】
まず始めに、図3(a)に示す如く、アウトプットギア40の外周溝n1にスナップリングSを取り付け、このスナップリングSの外径がアウトプットギア40のスプライン溝40nの底面径φ1以下になるようにスプライン溝40nに沿って移動可能なスライド部材1で押圧する。
【0031】
そしてこの状態をスライド部材1によって維持したまま、図5に示す矢印Dの方向に、アウトプットギア40のスプライン突起40pおよびインターナルプレート60のスプライン突起60pを互いのスプライン溝40n,60nに沿って両者の外周溝n1および内周溝n2が互いに整列する位置にスライドさせる。すると、インターナルプレート60のスプライン突起60pは、図3(b)に示すように、スライド部材1をアウトプットギア40のスプライン溝40nから押し退けることによって、図2に示す如く、アウトプットギア40の外周溝n1およびインターナルプレート60の内周溝n2が整列する位置に環状空間Rを画成し、この環状空間R内にスナップリングSを開放する。これにより、アウトプットギア40およびパーキングギア50(リングギア51)は互いに抜け落ちたり、相対回転することなく組み付けられる。
【0032】
つまり、本実施形態の組み付け方法によれば、アウトプットギア40のスプライン部分に設けた外周溝n1にスナップリングSを取り付け、このスナップリングSの外径がこのスプライン溝40nの底面径以下になるように該スプライン溝40nに沿って移動可能なスライド部材1で押圧したのち、アウトプットギア40のスプライン突起40pおよびインターナルプレート60のスプライン突起60pを互いのスプライン溝40n,60nに沿ってスライドさせて、インターナルプレート60のスプライン突起60pがスライド部材1をアウトプットギア40のスプライン溝40nから押し退けることによって、スナップリングSをアウトプットギア40のスプライン部分に設けた環状の外周溝n1およびインターナルプレート60のスプライン部分に設けた環状の内周溝n2を互いに整列させて画成した環状空間Rに組み付けられるようにしたことから、アウトプットギア40およびインターナルプレート60のいずれにも、アウトプットギア40のスプライン突起40pおよびインターナルプレート60のスプライン突起60pを互いのスプライン溝40n,60nに沿ってスライドさせるに際して、例えば図11に示すような切り欠き部(440c)を設ける必要がない。
【0033】
従って本実施形態に係る方法によれば、アウトプットギア40およびインターナルプレート60のいずれにも切り欠き部(440c)を設ける必要がないため、アウトプットギア40およびインターナルプレート60のスプライン嵌合における噛み合い長さが増加する分、噛み合い強度の信頼性が向上し、その設定も容易になる。加えて、アウトプットギア40およびインターナルプレート60のいずれにも切り欠き部(440c)が不要になることから、その加工分のコストを削減することができ、さらに、スナップリングSは、図6(a),(b)から比較されるように、従来のスナップリングS1のように、そのスナップリングS1の開口部に設けた2つの爪部S1(a),S1(b)も不要となることから、その加工分のコストも削減することができる。
【0034】
またスライド部材1は、図7(a)に示す如く、スナップリング組み付け用ジグは、1つのスプライン溝40nに沿って延在する定規の如くのものであって、少なくとも1箇所のスプライン溝40nでスナップリングSを押圧すればよいが、図3(a)に示す如く、3箇所以上のスプライン溝40nでスナップリングSを押圧する場合、スナップリングSを均等に押圧してスナップリングSの外径に生じる歪みや変形が最小限に抑えることができるため、このスナップリングSの外径を確実にアウトプットギア40のスプライン溝40nの底面径φ1以下にできる。
【0035】
またスライド部材1は、作業者が直接把持したまま、インターナルプレート60をアウトプットギア40にスライド嵌合させてもよいが、図3(a),(b)の仮想線に示すように、スライド部材1の外周部に取り付けられて該スライド部材1をスナップリングSと共に保持するリング状の部材2を用いて、全てのスライド部材1をスプライン溝40n内に規制することによって、インターナルプレート60をアウトプットギア40にスライド嵌合させてもよい。この場合、作業者は、スナップリングSの組み付けが完了するまでスライド部材1を把持する必要がなくなるため、作業効率が向上するという効果が得られる。
【0036】
上述したところは、本発明の好適な実施形態を示したにすぎず、当業者によれば、請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。このため、2つの回転部材間にスナップリングを組み付けるものであれば、第1および第2回転部材の具体的な要素は、図9のように、アウトプットギア、インターナルプレートおよびパーキングギアなど、問わない。また動力伝達する機構も自動変速機に限るものではない。
【0037】
例えば、本願出願人が先に出願した特開平8−312656号公報には、ベアリングおよび外歯車がスナップリングを介して組み付けられたものが開示されている。
【0038】
図8(a),(b)はそれぞれ、ベアリング200および外歯車220が一体に固定された状態を側面から示す要部断面図と、ベアリング200および外歯車220間にスライド部材3を用いてスナップリングSを組み付ける際の作用を側面から示す模式図である。
【0039】
この文献では、図8(a)に示す如く、ベアリング200のアウターレース210を第1回転部材とし、このアウターレース210の外周部と第2回転部材である外歯車220の内周部とを嵌合させるに際して、アウターレース210の外周部に設けた環状の外周溝n1および外歯車220の内周部に設けた内周溝n2を互いに整列させて画成した環状空間R内にスナップリングSを組み付けることにより、ベアリング200および外歯車220が互いに抜け落ちることなく固定されるようにしたものが開示されている。
【0040】
このため、本発明の第2の実施形態として、図8(a)に示すベアリング200および外歯車220間にスナップリングSを組み付けることもできる。
【0041】
この実施形態では、ベアリング200のアウターレース210の外周部に設けた環状の外周溝n1にスナップリングSを取り付け、このスナップリングSの外径がアウターレース210の外周径φ2以下になるようにベアリング200(アウターレース210)の軸線Oに沿って移動可能なスライド部材3で押圧したのち、図8(b)に示す如く、アウターレース210および外歯車220を互いにスライドさせて、外歯車220の端縁220eがスライド部材3をアウターレース210の外周部から押し退けることによって、スナップリングSを環状空間R内に組み付ける。
【0042】
スライド部材3は、図7(b)に示す如く、アウターレース210の外周部を摺動可能に移動する円弧状の部材であって、アウターレース210の外周部上の少なくとも1箇所でスナップリングSを押圧すればよいが、第1実施形態と同様、アウターレース210の外周部上の3箇所以上でスナップリングSを押圧する場合、スナップリングSを均等に押圧してスナップリングSの外径に生じる歪みや変形が最小限に抑えることができるため、このスナップリングSの外径を確実にアウターレース210の外周径φ2以下にできる。
【0043】
またスライド部材3も、作業者が直接把持したまま、外歯車220をアウターレース210にスライド嵌合させてもよいが、第1実施形態と同様、図8(b)の仮想線で示すように、スライド部材3の外周部に取り付けられて該スライド部材3をスナップリングSと共に押圧するリング状の部材4を用いて、全てのスライド部材3をアウターレース210の外周部上に規制することによって、外歯車220をアウターレース210にスライド嵌合させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるスナップリングの組み付け方法を採用して組み立てた前進6速自動変速機のパワートレーンを示す断面図である。
【図2】同実施形態において、ラビニオタイプ遊星歯車機構とアウトプットギアとの連結部分を示す拡大断面図である。
【図3】(a),(b)はそれぞれ、同実施形態において、スライド部材でスナップリングを押圧した状態を示すアウトプットギアの平面図および側面図である。
【図4】同実施形態における、インターナルプレートを示す平面図である。
【図5】同実施形態において、スライド部材を用いてスナップリングを組み付ける際の作用を側面から示す模式図である。
【図6】(a),(b)はそれぞれ、本実施形態に用いられるスナップリングと、従来技術にて用いられるスナップリングとを示す平面図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ、本発明に係るスライド部材を例示する斜視図である。
【図8】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第2実施形態であって、ベアリングおよび外歯車が一体に固定された状態を側面から示す断面図と、ベアリングおよび外歯車間にスライド部材を用いてスナップリングを組み付ける際の作用を側面から示す模式図である。
【図9】第一の従来技術を示す要部断面図である。
【図10】第二の従来技術であって、アウトプットギアおよびパーキングギアが一体に固定された状態を側面から示す断面図である。
【図11】(a),(b)はそれぞれ、第二の従来技術において、スナップリングを組み付けたアウトプットギアを示す正面図および、このアウトプットギアのA−A断面図である。
【符号の説明】
1 パワートレーン
2a,2b,2c 変速機ケース
10 ロックアップ式トルクコンバータ
10a ポンプインペラ
10b タービンランナ
20 オイルポンプ
30 インプットシャフト
40 アウトプットギア
41 外歯
50 パーキングギア
51 内歯(リングギア)
51n 歯溝
50p スプライン突起
50n スプライン溝
60 インターナルプレート
60p スプライン突起
60n スプライン溝
70 アイドラシャフト
71 第1アイドラギア
72 第2アイドラギア
80 ディファレンシャルギア機構
81,82 アウトプットシャフト
100 変速機構部
110 シングルタイプ遊星歯車機構
120 ラビニオタイプ遊星歯車機構
130 ロークラッチ
140 3速・5速・リバースクラッチ
150 2速・6速ブレーキ
160 ハイクラッチ
170 ローアンドリバースブレーキ
200 ベアリング
210 アウターレース
220 外歯車
220e 外歯車の端縁OWC ワンウェイクラッチ
Gf ファイナルドライブリングギア
n1 外周溝
n2 内周溝
O1,O2,O3 軸線
φ アウターレースの外周径

Claims (4)

  1. 第1回転部材の外周部と第2回転部材の内周部とを嵌合させるに際して、前記第1回転部材の外周部に設けた環状の外周溝および前記第2回転部材の内周部に設けた環状の内周溝を互いに整列させて画成した環状空間内にスナップリングを組み付けるスナップリングの組み付け方法において、
    前記第1回転部材の外周溝にスナップリングを取り付け、このスナップリングの外径が前記第1回転部材の外周径以下になるように前記第1回転部材の軸線に沿って移動可能なスライド部材で押圧したのち、前記第1回転部材および前記第2回転部材を互いにスライドさせて、前記第2回転部材の端縁が前記スライド部材を前記第1回転部材の外周部から押し退けることによって、前記スナップリングを前記環状空間内に組み付けられるようにしたことを特徴とするスナップリングの組み付け方法。
  2. 第1回転部材の外周部に設けた複数のスプライン突起と、第2回転部材の内周部に設けた複数のスプライン突起とを互いのスプライン溝にスプライン嵌合させるに際して、前記第1回転部材のスプライン部分に設けた環状の外周溝および前記第2回転部材のスプライン部分に設けた環状の内周溝を互いに整列させて画成した環状空間内にスナップリングを組み付けるスナップリングの組み付け方法において、
    前記第1回転部材の外周溝にスナップリングを取り付け、このスナップリングの外径がこのスプライン溝の底面径以下になるように該スプライン溝に沿って移動可能なスライド部材で押圧したのち、前記第1回転部材のスプライン突起および前記第2回転部材のスプライン突起を互いのスプライン溝に沿ってスライドさせて、前記第2回転部材のスプライン突起が前記スライド部材を前記第1回転部材のスプライン溝から押し退けることによって、前記スナップリングを前記環状空間内に組み付けられるようにしたことを特徴とするスナップリングの組み付け方法。
  3. 第1回転部材の外周部と第2回転部材の内周部とを嵌合させるに際して、前記第1回転部材の外周部に設けた環状の外周溝および前記第2回転部材の内周部に設けた環状の内周溝を互いに整列させて画成した環状空間内にスナップリングを組み付けるためのスナップリング組み付け用ジグであって、
    この組み付け用ジグは、前記第1回転部材の軸線に沿って延在し前記外周溝に取り付けたスナップリングの外径が前記第1回転部材の外周径以下になるように押圧しつつ前記第1回転部材の軸線に沿って移動可能なスライド部材と、このスライド部材の外周部に取り付けられて該スライド部材を前記スナップリングと共に押圧するリング状の部材からなることを特徴とするスナップリング組み付け用ジグ。
  4. 第1回転部材の外周部に設けた複数のスプライン突起と、第2回転部材の内周部に設けた複数のスプライン突起とを互いのスプライン溝にスプライン嵌合させるに際して、前記第1回転部材のスプライン部分に設けた環状の外周溝および前記第2回転部材のスプライン部分に設けた環状の内周溝を互いに整列させて画成した環状空間内にスナップリングを組み付けるためのスナップリング組み付け用ジグであって、
    この組み付け用ジグは、前記第1回転部材のスプライン溝に沿って延在しこのスプライン部分の前記外周溝に取り付けたスナップリングの外径がこのスプライン溝の底面径以下になるように押圧しつつ該スプライン溝に沿って移動可能なスライド部材と、このスライド部材の外周部に取り付けられて該スライド部材を前記スナップリングと共に押圧するリング状の部材からなることを特徴とするスナップリング組み付け用ジグ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009103229A (ja) * 2007-10-24 2009-05-14 Mazda Motor Corp 自動変速機
JP2009236072A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Yamaha Motor Electronics Co Ltd 電動式駆動装置
JP2014185654A (ja) * 2013-03-22 2014-10-02 Jatco Ltd 摩擦係合装置

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