JP2004257467A - ボールねじおよびその製造方法 - Google Patents

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靖巳 渡辺
Toshiharu Kajita
敏治 梶田
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Abstract

【課題】高速回転等の使用条件が厳しい場合でも寿命の長いボールねじを提供する。
【解決手段】戻し路とボール転動溝21との境界部分に、ボール転動溝21の底を示す螺旋の延長線21aより凹んだ滑らかな曲線に沿う立ち上がり面27を、ボール転動溝21から滑らかに立ち上がるように形成する。この立ち上がり面27と戻し路との境界部に丸み部28を形成する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌道と戻し路との境界部分に特徴を有するボールねじに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のボールねじの一例を図5(斜視図)および6(断面図)に示す。このボールねじは、ボールの戻し路としてチューブを用いるチューブ式ボールねじであり、ねじ軸1とナット2とボール3とチューブ4とで構成されている。図5の符号6はチューブ4をナット2に固定するチューブ押えであり、図6ではこのチューブ押え6が省略されている。
【0003】
ねじ軸1の外周面とナット2の内周面には螺旋状の溝11,21が形成されており、これらの螺旋溝11,21でボール3の軌道が形成されている。そして、ボール3がこの軌道を負荷状態で転動することにより、ナット2はねじ軸1に対して相対的に直線移動する。すなわち、ねじ軸1およびナット2の螺旋溝11,21がボール転動溝となっている。
【0004】
チューブ4は略門形に形成され、その両端部が、ナット2をなす円筒に設けた貫通穴22内に挿入され、軌道の始点と終点を連結するように、ねじ軸1を挟んで斜向かいに配置されている。したがって、軌道の終点に達したボール3はこのチューブ4を通って軌道の始点に戻される。この例では、ボール循環経路(軌道+戻し路)を2つ有するため、チューブ4を2本備えている。
【0005】
図7は、このボールねじの部分断面図であって、軌道と戻し路との境界部分およびその周辺部を示す。この図に示すように、ナット2には、外周面からボール転動溝21に向けて貫通穴22が形成されており、この貫通穴22内にチューブ4の端部が配置されている。
この貫通穴22は、チューブ4の端面を受ける段差部22aを有する。これにより、チューブ4の端部を貫通穴22に取り付けたときに、貫通穴22の段差部22aよりボール転動溝21側の面(溝側の面)22bが、チューブ4の内面41と一致するようにしてある。この溝側の面22bが、戻し路の端部がナット2のボール転動溝21から立ち上がる立ち上がり面に相当する。
【0006】
また、チューブ4の端部には、取り付け状態で貫通穴22の溝側の面22bに対向配置されるタング42が形成されている。このタング42が、ねじ軸のボール軌道溝11の底面付近まで延び、ボール転動溝11,21からなる軌道30の端部をなす止め部となっている。
したがって、軌道30の終点付近に至ったボール3はタング42の先端に当たって掬い上げられ、貫通穴22の溝側の面(立ち上がり面)22bとタング42との間を通ってチューブ4内に導かれる。また、チューブ4内を移動したボール30は、貫通穴22の溝側の面22bとタング42との間を通って軌道30内に導かれる。
【0007】
前述のような従来のチューブ式ボールねじには、戻し路の立ち上がり面22bとナット2のボール転動溝21との境界部25が、ボール3のスムーズな移動を妨げるという問題点がある。この問題点を解決するために、下記の特許文献1には、角張っている境界部25を削り取って滑らかな形状(例えば符号27で示す面形状)に加工することが提案されている。
【0008】
一方、大きな負荷がかかる用途で使用されるボールねじでは、ボール同士の競り合いが発生し易い。この競り合いによってボールに疵が生じることを防止するために、従来より、隣り合うボール間に、略円柱体の2つの底面にボールを受ける凹面を有する形状のリテーニングピース(セパレータ)を配置することが行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−141019号公報
【特許文献2】
特開平11−315835号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、例えば、図7に符号27で示すような、滑らかな立ち上がり面を設けると、この立ち上がり面27とチューブ4の内面41との境界部45が角張った状態となり、この部分にボールが衝突してボールに過大な残留圧縮応力が発生する可能性がある。すなわち、特許文献1に記載の方法には、ボールねじの寿命向上に関してさらなる改良の余地がある。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、戻し路の両端部が、ナットのボール転動溝から立ち上がる立ち上がり面と、この立ち上がり面に対向配置されて軌道端をなす止め部とを有するボールねじにおいて、ナットのボール転動溝と戻し路との境界部分の形状を工夫することによって、高速回転等の使用条件が厳しい場合でも寿命の長いボールねじを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、これらのボール転動溝で形成される軌道内に配置された複数のボールと、軌道の終点から始点へボールを移動させる戻し路とを備え、戻し路の両端部は、ナットのボール転動溝から立ち上がる立ち上がり面と、この立ち上がり面に対向配置されて軌道端をなす止め部と、を有し、隣接するボール間に、略円柱体の2つの底面にボールを受ける凹面を有する形状のリテーニングピースが配置されているボールねじにおいて、前記立ち上がり面は、ボール転動溝から滑らかに立ち上がってボール転動溝の底を示す螺旋の延長線より凹んだ滑らかな曲線に沿い、この凹み量がボール転動溝から戻し路に向けて順次大きくなるように形成され、この立ち上がり面と前記戻し路とが滑らかに連続していることを特徴とするボールねじを提供する。
【0013】
このボールねじによれば、前記立ち上がり面を、ボール転動溝から滑らかに立ち上がってボール転動溝の底を示す螺旋の延長線より凹んだ滑らかな曲線に沿い、この凹み量がボール転動溝から戻し路に向けて順次大きくなるように形成することにより、無負荷圏である戻し路から負荷圏である軌道へのボールの進入がスムーズに行われる。
【0014】
また、前記立ち上がり面と前記戻し路とが滑らかに連続しているため、前記立ち上がり面と前記戻し路との境界部が角張った状態になっている場合よりも、ボールが戻し路から軌道に入る際の衝突に伴いボールおよびナットに生じる応力を小さくすることができる。また、ナットが受ける衝突荷重が低下するため、衝突に伴う金属粉を発生させないようにすることができる。
【0015】
これらのことから、本発明のボールねじは、高速回転等の使用条件が厳しい場合でも寿命が長くなる。
本発明はまた、外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、これらのボール転動溝で形成される軌道内に配置された複数のボールと、軌道の終点から始点へボールを移動させる戻し路とを備え、戻し路の両端部は、ナットのボール転動溝から立ち上がる立ち上がり面と、この立ち上がり面に対向配置されて軌道端をなす止め部と、を有するボールねじの製造方法において、所定位置のボール転動溝の底を砥粒流動加工することで、前記立ち上がり面を、ボール転動溝から滑らかに立ち上がってボール転動溝の底を示す螺旋の延長線より凹んだ滑らかな曲線に沿い、この凹み量がボール転動溝から戻し路に向けて順次大きくなるように形成し、且つ前記立ち上がり面と前記戻し路とを滑らかに連続させることを特徴とするボールねじの製造方法を提供する。
【0016】
ここで、砥粒流動加工とは、例えば炭化ケイ素、ダイヤモンド等の砥粒が混練された粘弾性流体を用いた表面除去(研磨)であり、加工物の加工箇所でこの粘弾性流体を流動させて、この流体中の砥粒を加工箇所で圧接移動させることにより、加工箇所の表面が除去される。
本発明の方法によれば、所定位置のボール転動溝の底を砥粒流動加工するだけで、前記立ち上がり面が、ボール転動溝から滑らかに立ち上がってボール転動溝の底を示す螺旋の延長線より凹んだ滑らかな曲線に沿い、この凹み量がボール転動溝から戻し路に向けて順次大きくなるように形成され、しかもこの立ち上がり面と前記戻し路とが滑らかに連続する。また、砥粒流動加工は複数のナットに対して同時に行うことができる。また、砥粒流動加工された表面は研磨された状態となるため、立ち上がり面の潤滑性能が向上して寿命が長くなる。
【0017】
これに対して、前記立ち上がり面を研削加工で形成する場合には、先ず、所定位置のボール転動溝の底を除去することで、前記立ち上がり面を、ボール転動溝から滑らかに立ち上がってボール転動溝の底を示す螺旋の延長線より凹んだ滑らかな曲線に沿い、この凹み量がボール転動溝から戻し路に向けて順次大きくなるように形成する。この状態では、前記立ち上がり面と前記戻し路との境界部が角張った状態になっているため、この角張った部分を研磨等の方法で丸める処理が必要になる。
そのため、本発明の方法によれば、前記立ち上がり面を研削加工で形成する方法よりも、製造コストを低くすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、この実施形態のボールねじの部分断面図であって、軌道と戻し路との境界部分およびその周辺部を示す。図2は、図1のA部分の拡大図である。この実施形態のボールねじの前記境界部分以外の構成は、図5および6に示す従来のボールねじと同じである。
【0019】
図1に示すように、ナット2には、外周面からボール転動溝21に向けて貫通穴22が形成されており、この貫通穴22内にチューブ4の端部が配置されている。この貫通穴22は、チューブ4の端面を受ける段差部22aを有する。これにより、チューブ4の端部を貫通穴22に取り付けたときに、貫通穴22の段差部22aよりボール転動溝21側の面22bが、チューブ4の内面41と一致するようにしてある。
【0020】
また、チューブ4の端部には、取り付け状態で、後述の立ち上がり面27に対向配置されるタング42が形成されている。このタング42が、ねじ軸のボール軌道溝11の底面付近まで延び、ボール転動溝11,21からなる軌道30の端部をなす止め部となっている。
さらに、隣接するボール3間にリテーニングピース5が配置されている。リテーニングピース5は略円柱体からなり、その2つの底面にボールを受ける凹面51,52を有する。
【0021】
なお、ナット2の貫通穴22のボール転動溝21側の面22bは、図7の実線で示す従来例では「立ち上がり面」となっているが、この実施形態では「戻し路」の端部を構成している。
そして、図2に示すように、戻し路とボール転動溝21との境界部分Bに、ボール転動溝21の底を示す螺旋の延長線21aより凹んだ滑らかな曲線に沿う立ち上がり面27が、ボール転動溝21から滑らかに立ち上がるように形成されている。この螺旋の延長線21aに対する立ち上がり面27の凹み量は、ボール転動溝21から戻し路22bに向けて順次大きくなっている。
【0022】
また、この立ち上がり面27と戻し路22bとの境界部に、曲率半径Rがボール3の直径の0.05倍以上である丸み部28が形成されている。これにより、立ち上がり面27と戻し路22bとが滑らかに連続している。
この立ち上がり面27および丸み部28は、ナット2にボール転動溝21を研削加工で形成し、ナット2に貫通穴22を設けた後に、この貫通穴22に連続するボール転動溝21の底を砥粒流動加工することで形成される。この砥粒流動加工は、ボール転動溝21の立ち上がり面開始点から戻し路22bに向けて徐々に深く表面が除去されるように行う。
【0023】
【実施例】
先ず、ボール転動溝と戻し路との境界部分の形状のみが異なる三種類のナット▲1▼〜▲3▼を作製した。
図2の形状では、上述のように、戻し路とボール転動溝21との境界部分(チューブ4の内面41に連続するナット2の貫通穴22の面22bと、ボール転動溝21との間の部分)Bに、ボール転動溝21の底を示す螺旋の延長線21aより凹んだ滑らかな曲線に沿う立ち上がり面27が、ボール転動溝21から滑らかに立ち上がるように形成されている。また、この立ち上がり面27と前記戻し路(ナット2の貫通穴22の面22b)との境界部に丸み部28が形成されている。
【0024】
そして、立ち上がり面27および丸み部28は、ナット2にボール転動溝21を研削加工で形成し、ナット2に貫通穴22を設けた後に、この貫通穴22に連続するボール転動溝21の底を砥粒流動加工することで形成されている。
ナット▲1▼は図2の形状である。ナット▲2▼は、図2で丸み部28が無く、立ち上がり面27は研削加工により形成されていて、立ち上がり面27と戻し路22bとの境界部は角張っている。それ以外の点は全てナット▲1▼と同じ形状である。すなわち、ナット▲2▼は図7の一点鎖線で示す形状である。
【0025】
ナット▲3▼は、図2で丸み部28もボール転動溝の底を示す螺旋の延長線21aより凹んだ立ち上がり面27も無く、延長線21aに沿ったボール転動溝21と戻し路22bとが連続していて、その境界部は角張っている。すなわち、ナット▲3▼は図7の実線で示す形状である。
図3は、ナット▲1▼〜▲3▼について、ボール転動溝と戻し路との境界部分における軌道に沿った溝の深さの変化を測定したグラフである。縦軸はボール転動溝21の底の位置を「0」とした時の前記境界部分の各位置での深さを示し、横軸は前記境界部分の軌道に沿った位置に相当する回転方向での角度を示す。
【0026】
図4は、ナット▲1▼〜▲3▼について、ボール転動溝と戻し路との境界部分を軸に垂直に切断した断面図(図2および図7に相当)に示される形状を、ボール転動溝側から戻し路側に向けて測定したグラフである。縦軸の「Z」は、ボール転動溝21の底の位置を「0」とした時の前記境界部分の各位置での寸法を示し、横軸の「X」は、図2の点Cを「0」とした時の前記境界部分での各位置を示す。
【0027】
図3からはボールに対してかかる負荷の度合いが分かり、図4からはボールに対してかかる面圧の度合いが分かる。そして、図3に示すように、本発明の構成を満たすナット▲1▼では滑らかな曲線となっているため、ボール転動溝と戻し路との境界部分での応力集中が生じない。ナット▲2▼は、戻し路側で落ち込む部分があるが、程度が小さいためこの位置で応力集中は生じない。これに対して、ナット▲3▼は戻し路側で大きく落ち込むため、この位置で応力集中が生じる。
【0028】
また、図4に示すように、ナット▲2▼▲3▼のグラフには角張った部分に相当する折れ点があり、ボール転動溝と戻し路との境界部分にボールが高速で衝突した場合には、この点でボールに疵が生じ易い。これに対して、本発明の構成を満たすナット▲1▼では滑らかな曲線となっているため、ボール転動溝と戻し路との境界部分にボールが高速で衝突しても、ボールに疵が生じ難い。
【0029】
次に、上述の▲1▼〜▲3▼のナットを用いて、表1に示すNo. 1〜6の各構成でボールねじを組み立て、各ボールねじの寿命を調べる試験を行った。No. 4〜6は図1に示すようにリテーニングピース5を入れたものであり、No. 1〜3はリテーニングピース5を入れていないものである。
ボールねじの形状としては、呼び番号「BS6316」(ボールの直径Dw:12.7mm、ボールピッチ円の直径Dm:66mm)で、3.7巻×3列のものを用いた。試験機としては、NSK製のボールねじ耐久寿命試験機を用いた。試験条件は、試験荷重:200kN(スラスト荷重)、回転速度(min−1):200,1000、ストローク:160mm、潤滑グリース:「ルベールFS−2」とした。
【0030】
各ボールねじを試験機にかけて計算寿命となるまで走行試験を行った後、ボール、立ち上がり面と戻し路との境界部、およびリテーニングピース(RP)の外周部の表面状態を調べた。その結果を、表1に、各表面に疵や剥離が生じていた場合「×」、疵や剥離が生じていない場合「○」で示した。表1で「凹み」はボール転動溝の底を示す螺旋の延長線21aより凹んだ立ち上がり面27を示し、「丸み」は丸み部28を示す。▲1▼の場合の凹みは砥粒流動加工で形成され、▲2▼の場合の凹みは研削加工で形成されている。
【0031】
【表1】
Figure 2004257467
【0032】
この結果から分かるように、ナット▲1▼〜▲3▼のいずれについても、リテーニングピースを使用しない場合にはボールに競り合い疵が発生しており、線疵が付いているかどうかの判定はできなかった。また、リテーニングピースを使用している場合には、ナット▲1▼〜▲3▼のいずれについても、ボールに競り合い疵は発生していなかった。
【0033】
リテーニングピースを使用しているサンプルNo. 4〜6のボールねじのうち、本発明のボールねじに相当するサンプルNo. 4は、回転速度200min−1の低速回転時だけでなく、回転速度1000min−1の高速回転時であっても、ボール、立ち上がり面と戻し路との境界部、およびリテーニングピースの外周部のいずれの表面にも疵が生じていなかった。
【0034】
これに対して、ナットが▲2▼であるサンプルNo. 5のボールねじは、回転速度200min−1の低速回転時にはボール、立ち上がり面と戻し路との境界部、およびリテーニングピースの外周部のいずれの表面にも疵が生じていなかったが、回転速度1000min−1の高速回転時には、ボール表面に線疵が生じ、立ち上がり面と戻し路との境界部、およびリテーニングピースの外周部のいずれの表面にも疵が生じていた。
【0035】
また、ナットが▲3▼であるサンプルNo. 6のボールねじは、回転速度200min−1の低速回転時でも、ボール表面に線疵が生じ、立ち上がり面と戻し路との境界部、およびリテーニングピースの外周部のいずれの表面にも疵が生じていた。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高速回転等の使用条件が厳しい場合であっても、ボール、ナットの立ち上がり面と戻し路との境界部、およびリテーニングピースの外周部のいずれの表面にも疵が生じ難く、寿命の長いボールねじを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に相当するボールねじの、軌道と戻し路との境界部分およびその周辺部を示す断面図である。
【図2】図1のA部分の拡大図である。
【図3】本発明の構成のナット▲1▼とそれ以外のナット▲2▼▲3▼について、ボール転動溝と戻し路との境界部分における、軌道に沿った溝の深さの変化を測定したグラフである。
【図4】本発明の構成のナット▲1▼とそれ以外のナット▲2▼▲3▼について、ボール転動溝と戻し路との境界部分を軸に垂直に切断した断面図に示される形状を、ボール転動溝側から戻し路側に向けて測定したグラフである。
【図5】チューブ式ボールねじの一例を示す斜視図である。
【図6】チューブ式ボールねじの一例を示す断面図であって、ナットのみが断面になっている状態を示す。
【図7】従来のボールねじの、軌道と戻し路との境界部分およびその周辺部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ねじ軸
11 ねじ軸のボール転動溝(螺旋状の溝)
2 ナット
21 ナットのボール転動溝(螺旋状の溝)
21a ボール転動溝の底を示す螺旋の延長線
22 ナットの貫通穴
22a 貫通穴の段差部
22b 貫通穴のボール転動溝側の面(戻し路の端部)
25 立ち上がり面とボール転動溝との境界部
27 立ち上がり面
28 丸み部(立ち上がり面と戻し路との境界部)
3 ボール
30 軌道
4 チューブ
41 チューブの内面
42 タング(軌道端をなす止め部)
5 リテーニングピース
6 チューブ押え

Claims (2)

  1. 外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、これらのボール転動溝で形成される軌道内に配置された複数のボールと、軌道の終点から始点へボールを移動させる戻し路とを備え、戻し路の両端部は、ナットのボール転動溝から立ち上がる立ち上がり面と、この立ち上がり面に対向配置されて軌道端をなす止め部と、を有し、隣接するボール間に、略円柱体の2つの底面にボールを受ける凹面を有する形状のリテーニングピースが配置されているボールねじにおいて、
    前記立ち上がり面は、ボール転動溝から滑らかに立ち上がってボール転動溝の底を示す螺旋の延長線より凹んだ滑らかな曲線に沿い、この凹み量がボール転動溝から戻し路に向けて順次大きくなるように形成され、
    この立ち上がり面と前記戻し路とが滑らかに連続していることを特徴とするボールねじ。
  2. 外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、これらのボール転動溝で形成される軌道内に配置された複数のボールと、軌道の終点から始点へボールを移動させる戻し路とを備え、戻し路の両端部は、ナットのボール転動溝から立ち上がる立ち上がり面と、この立ち上がり面に対向配置されて軌道端をなす止め部と、を有するボールねじの製造方法において、
    所定位置のボール転動溝の底を砥粒流動加工することで、
    前記立ち上がり面を、ボール転動溝から滑らかに立ち上がってボール転動溝の底を示す螺旋の延長線より凹んだ滑らかな曲線に沿い、この凹み量がボール転動溝から戻し路に向けて順次大きくなるように形成し、且つ前記立ち上がり面と前記戻し路とを滑らかに連続させることを特徴とするボールねじの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015232399A (ja) * 2015-09-04 2015-12-24 日本精工株式会社 ボールねじ装置の製造方法

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